JP2947227B2 - 半導体光増幅器、その製造方法及び利得の偏光依存性の補償方法 - Google Patents

半導体光増幅器、その製造方法及び利得の偏光依存性の補償方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信システムに
おける重要なデバイスである偏光無依存型半導体光増幅
器及び半導体光集積素子、並びにそれらの製造方法に関
する。また本発明は、これらの偏光無依存型半導体光増
幅器及び半導体光集積素子における利得の偏光依存性の
補償方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の光通信システムにおいて、半導体
光増幅器は様々な用途において注目される素子となって
いる。半導体光増幅器を用いることにより、光信号を光
のまま増幅可能である。またエルビウムドープ光ファイ
バ増幅器などの他の光増幅器と比較しても、小型である
などの特長を有する。また近年では、光スイッチングゲ
ート素子や、波長変換素子としての用途が注目されてい
る。
【0003】図9に半導体光増幅器を光スイッチングゲ
ート素子に使用した従来のマトリクス光スイッチの構成
を示す。マトリクス光スイッチは複数本の入力信号ポー
トからの信号光を複数本の任意の出力ポートに任意に切
り替えて出力することができる光スイッチであり、図9
に示すものは、Y分岐光導波路と4個の半導体光増幅器
により構成された分岐/半導体光増幅器ゲート型マトリ
クス光スイッチと呼ばれるタイプで、入出力ポート数が
それぞれ2個の例である。図9において、入力側光導波
路903の一つから入力された入力光信号902は入力
側Y分岐光導波路904により分割された後、電流注入
する半導体光増幅器901を選択することにより出力ポ
ートが選択される。その後出力側Y分岐光導波路905
を経て出力側光導波路906から出力光信号907が出
力される。半導体光増幅器をマトリクス光スイッチにお
けるスイッチングゲート素子として使用した場合、光増
幅機能による無挿入損失動作や、高消光比、低クロスト
ーク、低消費電力が期待できるため有望である。
【0004】このような半導体光増幅器は、例示した光
スイッチなどの用途をはじめ、主に光ファイバの間に挿
入して使用されるために、偏光無依存動作が要求され
る。半導体光増幅器の偏光無依存化の例としては、断面
形状の縦横比が1に近いバルク構造活性層を作製するこ
とにより、TE−TM偏光間の利得差をできるだけ抑え
た報告がある(特開平6−90065号公報)。この例
では、偏光無依存型バルク活性層を簡便な方法で形成す
るために、図10に示すように1対のストライプ状誘電
体マスク1001にはさまれた空隙部に、有機金属気相
成長法(以下MOVPEと略す)を用いて基板1003
上にInGaAsPを含むメサ構造1002を選択的に
結晶成長する、選択MOVPE技術を用いている。ま
た、別の例として、活性層を多重量子井戸構造とし、電
流注入時に主にTE偏光を増幅する活性層と、電流注入
時に主にTM偏光を増幅する活性層とをストライプ方向
において縦続に接続し、各々の活性層に独立に電流注入
できるようにすることで利得の偏光無依存化や偏光依存
性調整を図った報告がある(特開平4−373194号
公報、特開平8−64904号公報)。
【0005】特開平8−64904号公報の例を図11
を用いて説明する。図11の半導体光増幅器は、n−I
nP基板1109上にn−InP層1110が形成さ
れ、InGaAsP層1111に挟まれて、格子整合形
態の異なる二つの活性層を持つ。一つは、第1領域及び
第2領域に共通に形成され、主にTE偏光を増幅する面
内圧縮歪型の格子整合形態を有する圧縮歪活性層110
4であり、もう一つは、第1領域の前記圧縮歪活性層1
104の上部に形成され、主にTM偏光を増幅する面内
伸張歪型の格子整合形態を有する伸張歪活性層1103
である。圧縮歪活性層1104及び伸張歪活性層110
3はいずれも量子井戸構造である。伸張歪活性層110
3の井戸数は圧縮歪活性層1104の井戸数より多く、
例えば伸張歪活性層1103の井戸数4に対し、圧縮歪
活性層1104の井戸数1である。そのため、第1領域
は電流注入時には、圧縮歪活性層1104の特性が打ち
消されて伸張歪活性層1103の特性が出るため、TM
偏光増幅領域となる。一方、第2領域は圧縮歪活性層1
104の特性によりTE偏光増幅領域となる。前記活性
層はn−InP埋め込み層1106で埋め込まれてお
り、キャップ層1105を介して、第1及び第2領域に
は独立して電流注入できるTM偏光光増幅用電極110
1及びTE偏光光増幅用電極1102を持つ。また、こ
れらの電極に対向して、n側電極1107が設けられて
おり、素子端面には無反射コート1108が施されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように様々な方
法で、半導体光増幅器の利得の偏光無依存化の提案がな
されてきた。しかしながら、前記の特開平6−9006
5号公報の例の場合、素子の作製ばらつきにより生ずる
偏光依存性や、素子実装後の光ファイバや光導波路との
結合効率の偏光による違いに起因する利得の偏光依存性
を補償することは難しい。また、前記の特開平4−37
3194号公報や特開平8−64904号公報の例のよ
うにTE偏光とTM偏光の利得を独立に変化させる場合
は、前記の理由により生ずる偏光依存性を補償すること
が可能であるが、複数の領域への電流注入量を制御する
必要があるため、駆動回路及び使用方法が複雑になるこ
とが懸念される。更に、複数の活性層構造を形成するた
め、素子作製工程が複雑になり、製造コストや歩留り等
の点で問題がある。
【0007】以上述べたように、従来の技術では素子の
作製ばらつきに起因する偏光依存性や、光ファイバ、光
導波路との実装時の結合特性に起因する利得の偏光依存
性を補償するとともに、単独の電流源で駆動が可能で、
かつ素子作製工程が複雑にならないような半導体光増幅
器を実現することは困難であった。
【0008】本発明の目的は、偏光無依存型半導体光増
幅器において、素子作製後に利得の偏光依存性を調節可
能であるため、素子実装後に生じる利得の偏光依存性を
補償することができ、かつ作製が簡便で高い歩留りが得
られ、半導体光導波路などとのモノリシック集積に適す
る素子構造並びに製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段を以下に示す。
【0010】(1)電流注入時のTE、TM偏光に対す
る利得差がストライプ方向で異なる構造の活性層と、該
活性層に電流注入する電極を少なくとも有する利得の偏
光無依存化が可能な半導体光増幅器であって、ストライ
プ方向で断面構造及び結晶組成が連続的に変化する構造
の活性層と、該活性層に電流注入するストライプ方向に
おいて少なくとも2つに分割された分割構造電極とを有
する組成遷移領域を少なくとも含み、電流注入する前記
分割構造電極を選択して電流注入領域長を可変としたこ
とを特徴とする半導体光増幅器。
【0011】(2)前記組成遷移領域に接してストライ
プ方向で均一な断面構造及び結晶組成を有する活性層構
造と該活性層の全域に形成された電極を有する定常組成
領域を含むことを特徴とする(1)の半導体光増幅器。
【0012】(3)半導体光増幅器がストライプ方向に
おいて3つの領域から構成され、中央に定常組成領域
が、該定常組成領域の両側に組成遷移領域が形成されて
いることを特徴とする、(2)の半導体光増幅器。
【0013】(4)素子両端に窓構造を有することを特
徴とする(1)乃至(3)の半導体光増幅器。
【0014】(5)活性層がバルク半導体であることを
特徴とする(1)乃至(4)の半導体光増幅器。
【0015】(6)活性層の面内歪がストライプ方向に
おいて圧縮歪から伸張歪に連続的に変化していることを
特徴とする(1)乃至(5)の半導体光増幅器。
【0016】(7)定常組成領域における活性層の面内
歪が圧縮歪であり、組成遷移領域における活性層の面内
歪が、前記定常組成領域における活性層からストライプ
方向に離れるに従い圧縮歪から伸張歪に連続的に変化し
ていることを特徴とする(2)又は(3)の半導体光増
幅器。
【0017】(8)半導体準増幅器と半導体受動光導波
路とを含む半導体光集積素子であって、前記半導体光増
幅器として、上記(1)乃至(7)の半導体光増幅器を
使用することを特徴とする半導体光集積素子。
【0018】(9)半導体光増幅器或いは半導体光集積
素子の入出力端において、前記半導体光増幅器或いは前
記半導体光集積素子と光学的に結合されたシングルモー
ド光ファイバ、及び前記半導体光増幅器或いは前記半導
体光集積素子に電流注入するための引き出し電極により
構成された偏光無依存型半導体光モジュールであって、
半導体光増幅器或いは半導体光集積素子として上記
(1)乃至(7)の半導体光増幅器或いは(8)の半導
体光集積素子を使用することを特徴とする半導体光モジ
ュール。
【0019】(10)前記(1)の半導体光増幅器の製
造方法であって、半導体基板上に一対の誘電体マスクを
形成する工程、半導体バッファ層、半導体活性層、半導
体クラッド層を順次前記マスクの空隙部に積層して、前
記半導体活性層を含むメサストライプを形成する工程、
埋め込み層を選択成長するための誘電体マスクを形成す
る工程、メサストライプの上に半導体埋め込み層及び半
導体コンタクト層を積層する工程、前記半導体コンタク
ト層をストライプ方向において少なくとも2つに分割す
る工程、及び該分割された半導体コンタクト層上に電極
を形成する工程を少なくとも含み、前記半導体基板上に
形成される一対の誘電体マスクが、少なくとも組成遷移
領域に相当する部分でストライプ方向にその幅が変化す
るよう形成され、前記組成遷移領域の活性層をストライ
プ方向で断面構造及び結晶組成が連続的に変化するよう
形成することを特徴とする半導体光増幅器の製造方法。
【0020】(11)前記(2)の半導体光増幅器の製
造方法であって、半導体基板上に一対の誘電体マスクを
形成する工程、半導体バッファ層、半導体活性層、半導
体クラッド層を順次前記マスクの空隙部に積層して、前
記半導体活性層を含むメサストライプを形成する工程、
埋め込み層を選択成長するための誘電体マスクを形成す
る工程、メサストライプの上に半導体埋め込み層及び半
導体コンタクト層を積層する工程、前記半導体コンタク
ト層をストライプ方向において少なくとも2つに分割す
る工程、及び該分割された半導体コンタクト層上に電極
を形成する工程を少なくとも含み、前記半導体基板上に
形成される一対の誘電体マスクが、少なくとも定常組成
領域に相当する部分ではストライプ方向で一定の幅を有
し、一方組成遷移領域に相当する部分ではストライプ方
向で変化させ、前記組成遷移領域においてはその幅が変
化するよう形成され、前記組成遷移領域の活性層をスト
ライプ方向で断面構造及び結晶組成が連続的に変化する
よう形成することを特徴とする半導体光増幅器の製造方
法。
【0021】(12)半導体光増幅器と、半導体受動光
導波路とを含む半導体光集積素子の製造方法であって、
半導体基板上に選択成長用の誘電体マスクを形成する工
程、半導体バッファ層、半導体活性層もしくは半導体コ
ア層、半導体クラッド層からなるダブルヘテロメサを順
次前記マスクの空隙部に一括して積層する工程、前記受
動光導波路の埋め込み層を選択成長するための誘電体マ
スクを形成する工程、前記受動光導波路のメサの上に受
動光導波路部埋め込み層を積層する工程、前記半導体光
増幅器の埋め込み層を選択成長するための誘電体マスク
を形成する工程、前記半導体光増幅器のメサストライプ
の上に半導体光増幅器部埋め込み層及び半導体コンタク
ト層を積層する工程、前記半導体コンタクト層をストラ
イプ方向において少なくとも2つに分割する工程、及び
前記半導体コンタクト層上に電極を形成する工程を少な
くとも含み、前記半導体光増幅器の前記活性層の結晶の
面内歪量がストライプ方向において連続的に変化する構
造をもち、前記活性層にかかる電極が、活性層のストラ
イプ方向において少なくとも2つに分割されており、選
択成長の前記空隙部のパターンが、前記半導体光増器と
前記受動光導波路に対応する前記選択成長用の誘電体マ
スクにおいて、前記半導体光増器の誘電体マスク幅が前
記受動光導波路の誘電体マスク幅よりも広いことを特徴
とする半導体光集積素子の製造方法。
【0022】(13)前記(1)乃至(7)の半導体光
増幅器、(8)の半導体光集積素子、あるいは(9)の
光モジュールの利得の偏光依存性の補償方法であって、
作製後の素子を実装する工程と、分割構造電極への電流
注入領域を変化させながら、TE偏光及びTM偏光に対
する利得を測定する工程と、測定された利得差が最小と
なる様な電流注入領域長において電流注入されるように
該電流注入領域長内の分割構造電極を電気的に結合する
工程を少なくとも含むことを特徴とする前記方法。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明における半導体光増幅器の
一実施形態になる構成のストライプ横手方向からの断面
図を図1に示す。
【0024】本発明の半導体光増幅器は、ストライプ方
向において縦続に接続された複数の領域からなる活性層
107を有する。図1において活性層107はストライ
プ方向において3つの領域からなる。すなわち、結晶の
面内歪量及び断面形状がストライプ方向で一定な活性層
と、該活性層に電流注入するための単一構造電極102
を有し、電流注入時において主に利得を得る働きをする
定常組成領域112及び、該定常組成領域112の両側
に形成され、結晶組成、すなわち結晶の面内歪量と、断
面形状がストライプ方向で連続的に変化している活性層
と、該活性層に電流注入するための電極がストライプ方
向で2つ以上に分割された分割構造電極103を持ち、
電流注入領域長を変化させることにより、主に利得の偏
光依存性を調節する働きをする組成遷移領域111から
なる。定常組成領域112の活性層は、結晶の面内歪が
圧縮歪となる条件で成長され、電流注入時においては、
TE偏光に対する利得がTM偏光に対する利得をわずか
に上回るような構造を持つ。また、組成遷移領域111
の活性層は、結晶の面内歪が定常組成領域112の活性
層に接する側から離れるに従いストライプ方向で圧縮歪
から伸張歪に連続的に変化し、電流注入領域長を変化さ
せることにより利得の偏光依存性を調整することができ
る構造とする。
【0025】次に具体的な偏光依存性の補償過程を図7
を用いて模式的に説明する。図7において右列の図は分
割構造電極103を模式的に示したものであり、ハッチ
ングされた部分が電流注入される領域であることを示し
ている。まず、作製した素子を実装後にTE偏光及びT
M偏光に対する利得を測定する。なお、各電流注入領域
701は図7(a)の(A)に示すように、組成遷移領
域111の一部となるよう選んでおく。測定された利得
特性が、TM偏光に対する利得がTE偏光に対する利得
よりも大きい場合、図7(a)の(B)のように、より
TE偏光を増幅するように、組成遷移領域111におけ
る電流注入領域長703を短くすることによりTM偏光
に対する利得を相対的に抑制して偏光依存性を補償す
る。逆に、TE偏光に対する利得がTM偏光に対する利
得よりも大きい場合には、図7(a)の(C)のよう
に、組成遷移領域111における電流注入領域長703
を長くすることによって、よりTM偏光を増幅し偏光依
存性を補償する。利得の偏光依存性が最小となる電流注
入領域長703を決定した後、該当する電極間をワイヤ
ボンディングなどにより電気的に接続する。なお、非電
流注入領域702(ハッチングされていない部分)の活
性層は信号光にとって吸収層となるため、電流注入領域
701の変化は利得の変化を伴う。電流注入領域701
を変化させたときに生じる利得変化は電流注入量により
最適化すればよい。
【0026】以上の方法で調整されたTE−TM偏光間
利得差について以下に説明する。作製した素子をシング
ルモードファイバと光結合して測定した場合の、組成遷
移領域111における電流注入領域長703とTE、T
M両偏光の利得差の関係を図7(b)に示す。ここで、
TE−TM偏光間利得差が正ならばTE偏光に対する利
得がTM偏光に対するそれよりも大きく、負の場合は逆
にTM偏光に対する利得がTE偏光に対するそれを上回
ることを示している。電流注入領域長703を長くする
とTM偏光に対する利得が相対的に大きくなり、逆に短
くするとTE偏光に対する利得が相対的に大きくなる。
両者の中間の電流注入領域長703を選択するとTE−
TM偏光間利得差がほぼ0dBの偏光無依存特性が得ら
れる。
【0027】以上の様な構造を簡便な作製方法で実現す
るために、本発明では、1対のストライプ状誘電体マス
クの空隙部に選択的に結晶成長を行うときにマスク幅を
変化させると、成長層の面内歪量を制御できることを利
用する。誘電体マスク幅により面内歪量を変化させるこ
とができる原理については、加藤らによって、ELECTRON
ICS LETTERS誌 VOL.28, No.2(1992年1月16日
号)第153ページから154ページに記述されてい
る。図10に示すように、1対のストライプ状誘電体マ
スク1001にはさまれた空隙部に選択MOVPEによ
りInGaAsを結晶成長すると、選択成長されたダブ
ルヘテロメサ202の歪量及び波長組成がマスク幅Wm
により異なるような成長層組成が得られる。選択的に結
晶成長された層がInGaAsPバルク層の場合の、マ
スク幅Wmと成長層の面内歪量の関係を図8に示す。図
8より分かるようにSiO2マスク幅Wmを6μmから3
0μmへと変化させると、面内歪量を−0.65%から
+0.2%まで変化させることができる。なお、ここで
はマスク幅25μmで格子整合する条件で活性層を作製
した。したがって、半導体光増幅器のストライプ方向に
おいて選択成長のマスク幅Wmを変化させることによ
り、活性層の面内歪量がストライプ方向で変化する構造
を1回の選択成長で形成することができ、利得の偏光依
存性がストライプ方向で変化する活性層構造が簡便な方
法により実現可能である。
【0028】
【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例について
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限
定されるものではない。
【0029】実施例1 図1は本発明の第一の実施例である半導体光増幅器の構
成を説明する側面図である。図1に示すように、本発明
による半導体光増幅器は、n−InP基板109上にM
OVPEにより結晶成長したアンドープInGaAsP
バルク活性層107、p−InP埋め込み層106、p
−InGaAsコンタクト層105及び電極101から
なる。アンドープInGaAsPバルク活性層107は
ストライプ方向において3つの領域により構成される。
すなわち、利得を得るために形成され、結晶の波長組
成、歪量が一定であり、単一構造電極102を有する定
常組成領域112、利得の偏光依存性を調整する目的で
定常組成領域112の両側に形成され、結晶の歪量、波
長組成がストライプ方向で変化しており、分割構造電極
103を有する組成遷移領域111からなる。図1にお
いて定常組成領域112及び、組成遷移領域111の長
さはそれぞれ350μm、250μmである。前記分割
構造電極103及びp−InGaAsコンタクト層10
5はストライプ方向において2つ以上に分割されてい
る。
【0030】図1に示した半導体光増幅器の製造方法に
ついて、図2を用いて以下に説明する。図2(a)−
(e)は埋め込み層の選択成長工程までの活性層ストラ
イプに垂直な方向の断面図、図2(f)−(i)は埋め
込み成長工程以降の工程における活性層ストライプ方向
の断面図である。まず、(100)面方位のn−InP
基板109上に、半導体光増幅器の活性層107の選択
成長を行うためのダブルヘテロメサ形成用SiO2マス
ク201を図2(a)のように形成する。誘電体マスク
パターン201の平面図を図3に示す。図3において斜
線で示した領域301が、ストライプ状のSiO2がパ
ターニング後に残った部分であり、ダブルヘテロメサ形
成用SiO2マスク201に挟まれたマスク空隙部に活
性層107が結晶成長される。なお、SiO2マスクパ
ターンの方向は、ストライプの長手方向が[011]方
向となるように選ぶ。マスク幅Wmは定常組成領域11
2においてWm2=30μmであり、組成遷移領域111
においてはWm1は30μmから6μmまで緩やかに変化
している。SiO2マスクの空隙部の幅W0は0.7μm
であり、定常組成領域112、組成遷移領域111にわ
たり一定である。
【0031】このSiO2マスクパターンを選択成長用
のマスクとして、図2(b)に示すように、InGaA
sP活性層107を含むダブルヘテロ・メサ202を、
選択MOVPEによって一括形成する。具体的にはドー
ピング濃度1.0×1018/cm3のn−InPバッフ
ァ層を50nm、アンドープInGaAsP活性層10
7を300nm、アンドープInPクラッド層を100
nm順次成長する。なお、上記の各層の厚さは、マスク
幅Wmが30μmの定常組成領域112における層厚で
あり、マスク幅Wmが30μmから次第に狭くなる組成
遷移領域111においては活性層107の厚さは減少
し、マスク幅が6μmとなる組成遷移領域先端部では、
活性層107の厚さは80nmとなる。また、組成遷移
領域111ではマスク幅の変化に対応して層厚だけでな
く、結晶の面内歪量、組成波長も変化する。定常組成領
域112における活性層107の歪量は約0.2%であ
る。また、組成遷移領域107において、活性層107
の歪量は0.2%から−0.65%まで変化する。この
ように、選択MOVPEにより、歪量の異なる領域を一
回の結晶成長で形成する。選択MOVPEによりダブル
ヘテロメサ202を一括形成した後、図2(c)に示す
ように、ダブルヘテロメサ202以外のInGaAsP
成長層をエッチングにより除去する。その後、図2
(d)に示すように、埋め込み選択成長のためのSiO
2膜80nmを全面に再形成し、埋め込み選択成長用パ
ターンを形成する。その後、図2(e)のように、この
空隙部にドーピング濃度7.0×1017/cm3のp−
InP埋め込み層106(層厚6μm)及びドーピング
濃度1.0×1019/cm3のp−InGaAsコンタ
クト層106(層厚40nm)を選択MOVPEにより
形成する。埋め込み成長の後、図2(f)のように分割
構造電極に対応した形状にp−InGaAsコンタクト
層105をエッチングにより分割する。コンタクト層1
05の長さは定常組成領域部112では350μmと
し、組成遷移領域111では全長250μmの遷移領域
部コンタクト層を、5μmずつの空隙部をはさんで45
μmずつの長さに5分割する。次に、再びSiO2膜を
全面に形成し、図2(g)のようにTi−Au電極のコ
ンタクト窓形成用SiO2マスク104をパターニング
する。その後、図2(h)のようにTi−Auスパッタ
膜204を全面にスパッタした後、図2(i)のように
分割構造電極103のパターニングを行う。最後にIn
P基板裏面の研磨と裏面電極形成、劈開による素子端面
の形成、端面へのSiON無反射膜108の形成を行い
図1に示した素子の作製を完了する。
【0032】実施例2 図4に本発明による半導体光増幅器の第2の実施例であ
るモノリシック半導体マトリクス光スイッチの平面図及
び、半導体受動導波路及び半導体光増幅器での断面図を
示す。図4では、実施例1に基づく半導体光増幅器40
1と、曲線、分岐などの形状を持つ受動光導波路408
とがモノリシックに集積され、入出力ポート数2の分岐
/半導体光増幅器ゲート型マトリクス光スイッチを構成
している。図4において、半導体光増幅器401の活性
層107と受動光導波路コア層410は選択MOVPE
により一括して形成される。
【0033】本実施例の素子の製造方法では、受動光導
波路408はアンドープInP埋込層409で埋め込ま
れ、半導体光増幅器401は実施例1と同様p−InP
埋め込み層106で埋め込まれるため、埋め込み成長工
程は2回となる。その他の製造工程については実施例1
に示した半導体光増幅器とほとんど同様なので詳細な説
明は省略する。以下に製造方法の概略を説明する。
【0034】まず、半導体光増幅器401の活性層10
7と受動光導波路408のコア層410を選択成長によ
り一括して形成するために、(100)面方位のn−I
nP基板109上にパターニングされるSiO2マスク
の平面図を図5に示す。半導体光増幅器401のマスク
パターンは図3に示した実施例1のパターンと同様であ
る。受動光導波路408のマスク幅Wm3は6μmとし、
同じマスク幅である半導体光増幅器401の組成遷移領
域111の先端部から連続したパターンとなつている。
図5に示したSiO2パターンを選択成長用のマスクと
して、ストライプに挟まれた空隙部(W0=0.7μ
m)にInGaAsP活性層107を含むダブルヘテロ
・メサ202を一括成長する。具体的にはドーピング濃
度1.0×1018/cm3のn−InPバッファ層を5
0nm、アンドープInGaAsP活性層107を30
0nm、アンドープInPクラッド層を100nm順次
成長する。ここで、層厚はマスク幅Wmが30μmであ
る半導体光増幅器401の定常組成領域112における
層厚を示している。
【0035】このとき、半導体光増幅器部401の組成
遷移領域111においては活性層107の厚さは減少
し、マスク幅が6μmとなる組成遷移領域111の先端
部では、活性層の厚さは80nmとなる。受動光導波路
408におけるマスク幅Wmは組成遷移領域111の先
端のマスク幅と同じ6μmであり、半導体増幅器401
の活性層107と連続した受動光導波路コア層410が
一括して形成される。受動光導波路コア層410の波長
組成は1.35μm程度であるため、波長1.55μm
の信号光に対しては吸収がない光導波路として機能す
る。次に、InP埋め込み層を半導体光増幅器部401
と受動光導波路部408とで分けて埋め込む。はじめ
に、ウエハ全面にSiO2膜を再形成し、受動光導波路
部408のアンドープInP埋め込み層409成長のた
めの選択成長マスクパターンを形成し、選択MOVPE
によりアンドープInP層(層厚5μm)を受動光導波
路408にのみ成長する。その後ウエハ全面に再度Si
2膜を形成し、半導体光増幅器部401のp−InP
埋め込み層106の選択成長用パターニングを施したの
ち、同様に選択成長によりドーピング濃度7.0×10
17/cm3のp−InP埋め込み層106(層厚6μ
m)、ドーピング濃度2.0×1019/cm8のp−I
nGaAsコンタクト層105(層厚40nm)を半導
体光増幅器401のみに順次成長する。InP埋め込み
成長の後、分割構造電極に対応した形状に半導体光増幅
器401のp−InGaAsコンタクト層105をエッ
チングにより分割する。コンタクト層105の長さは定
常組成領域112では360μmとし、組成遷移領域1
11では5μmずつの空隙部をはさんで45μmずつの
長さにストライプ方向に5分割する。次に、再びSiO
2膜を全面に形成し、Ti−Au電極のコンタクト窓形
成用SiO2マスク104をパターニングする。その
後、Ti−Auスパッタ膜204を全面にスパッタした
のち、分割構造電極103のパターニングを行う。最後
にInP基板裏面の研磨と裏面電極形成、劈開による素
子端面の形成、端面へのSiON無反射膜108の形成
を行い図4に示した素子の作製を完了する。
【0036】作製した素子は実施例1に記載の半導体光
増幅器と同様、素子作製後に半導体光増幅器への電流注
入領域を最適化することにより偏光依存性を補償するこ
とが可能である。本実施例では受動光導波路の伝搬特性
の偏光依存性及び、光ファイバとの結合効率の偏光依存
性が主として補償され、素子実装後の偏光無依存化を図
ることが可能である。偏光依存性の補償方法の詳細は半
導体光増幅器単体と同様である。
【0037】以上述べた製造方法を用いると、半導体光
増幅器と受動光導波路をモノリシック集積するために、
エッチングと結晶成長の繰り返しで形成する必要がな
く、製造工程が大幅に簡略化される。したがって、素子
の製造歩留りも大幅に向上する。半導体光増幅器と受動
光導波路で活性層は連続となるため、接続部の損失が生
じず、素子全体の伝搬損失が小さいばかりでなく、接続
部で不要な反射戻り光が発生することによる悪影響も低
減できる。
【0038】実施例3 図6に本発明による半導体光増幅器の第3の実施例であ
る半導体光増幅器モジュールの平面図を示す。図6に示
した半導体光増幅器モジュールは、実施例1に示した半
導体光増幅器401の入出力端において、レンズ602
を介して光学的に結合された入出力光ファイバ601、
及び前記半導体光増幅器401に電流注入するための引
き出し電極603がパッケージに実装される。
【0039】実装された半導体光増幅器の利得の偏光依
存性を以下の手順で補償する。補償原理の説明は前記し
た通りである。
【0040】まず、半導体光増幅器401の電極と引き
出し電極603をボンディングせず、他の方法により電
流注入して利得特性の測定を行う。電流注入は単一構造
電極102及び分割構造電極103の一部に選んでお
く。光ファイバ601の一方から入力信号光402を入
力し、半導体光増幅器401を経て、他方の光ファイバ
から出力される出力信号光407の強度を測定し、入力
信号光との強度比が0dBとなり無挿入損失動作となる
電流注入量においてTE偏光及びTM偏光に対する利得
を測定し、ファイバ間TE−TM偏光間利得差を測定す
る。ここで生ずる偏光依存性は素子の作製ばらつきに起
因する利得の偏光依存性、及び光ファイバとの結合効率
の偏光依存性からなる。測定された利得特性が、TM偏
光に対する利得がTE偏光に対する利得よりも大きい場
合、組成遷移領域111における電流注入領域長703
を短くすることによりTM偏光に対する利得を相対的に
抑制して偏光依存性を補償する。逆に、TE偏光に対す
る利得がTM偏光に対する利得よりも大きい場合には、
組成遷移領域111における電流注入領域長703を長
くすることによって、よりTM偏光を増幅し偏光依存性
を補償する。利得の偏光依存性が最小となる電流注入領
域長703を決定した後、該当する電極をボンディング
ワイヤ604により電気的に接続する。
【0041】以上説明した手順以外の手順としては、素
子実装後全ての電極を引き出し電極603にボンディン
グワイヤ604によりボンディングする。引き出し電極
603に電流注入し、前記手順と同様の手順でファイバ
間TE−TM偏光間利得差を測定する。このとき測定さ
れる利得差はTM偏光に対する利得がTE偏光に対する
利得より大きくなる傾向となる。次に、ボンディングワ
イヤ604を組成遷移領域111の端から1段切断する
ことにより、電流注入領域長703を短くした上でTE
−TM偏光間利得差を測定する手順を、TE−TM偏光
間利得差が補償されるまで繰り返す。
【0042】以上で示したモジュール構成及び補償方法
により、図6に示した半導体光増幅器モジュールのファ
イバ間利得の偏光依存性を補償することが可能となる。
この構成により、利得の偏光依存性の補償が可能な半導
体光増幅器モジュールを単一の引き出し電極により実現
できる。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、素
子実装後に利得の偏光依存性を調節可能であり、素子の
作製ばらつき、光ファイバや導波路との結合特性などに
起因する利得の偏光依存性を素子作製後に補償すること
ができるため、半導体光増幅器を含むモジュール全体の
偏光無依存化を図ることが可能である。以上のような偏
光依存性調節機能を有する素子を簡便な方法で作製する
ことは従来困難であったが、活性層を選択MOVPEで
形成することによって、従来の製造工程とほとんど同じ
工程により作製可能である。
【0044】なお、本発明は上記の実施例に限定される
ものではない。実施例としては、InP系の半導体光増
幅器、及び半導体モノリシック集積型マトリクス光スイ
ッチの例のみを示したが、InAlAs等の他の材料系
に対しても本発明は有効である。また、集積素子の構成
についても、マトリクス光スイッチに限る必要はなく、
受動光導波路のみでなく、光変調器や方向性結合器、導
波路アレイ回折格子型合分波器などが集積された素子に
対しても本発明は有効であり、偏光無依存動作を要求さ
れるあらゆる集積型素子に対して、本発明は適用可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である半導体光増幅器の構造
を示す側断面図である。
【図2】図1にその構造を示した、本発明の第一の実施
例である半導体光増幅器の製造工程を示す図である。
【図3】図1にその構造を示した、本発明の第一の実施
例である半導体光増幅器を作製する際に用いられる選択
成長マスクの形状を示す平面図である。
【図4】本発明により製造される半導体光増幅器の第二
の実施例である、半導体モノリシック集積分岐/半導体
増幅器ゲート型マトリクス光スイッチの構造を示す平面
図(a)、a−a’における断面図(b)及びb−b’
における断面図(c)である。
【図5】図4にその構造を示した第二の実施例である半
導体モノリシック集積分岐/半導体増幅器ゲート型マト
リクス光スイッチを作製する際の、選択成長マスク形状
を示す平面図である。
【図6】本発明の第三の実施例である半導体光増幅器モ
ジュールの構造を示す概略図である。
【図7】本発明の半導体光増幅器の利得の偏光依存性の
補償方法を説明するための図である。
【図8】選択MOVPEによる成長層組成歪量制御の原
理を説明するための図である。
【図9】分岐/半導体増幅器ゲート型マトリクス光スイ
ッチの構成を示す平面図である。
【図10】半導体光増幅器を製造するための選択成長技
術について説明するための概念図である。
【図11】偏光依存性調整機能を有する半導体光増幅器
の従来例を説明するための概念図である。
【符号の説明】
101 電極 102 単一構造電極 103 分割構造電極 104 コンタクト窓形成用SiO2マスク 105 p−InGaAsコンタクト層 106 p−InP埋め込み層 107 InGaAsP活性層 108 SiON無反射膜 109 n−InP基板 110 窓構造 111 組成遷移領域 112 定常組成領域 201 ダブルヘテロメサ形成用SiO2マスク 202 ダブルヘテロメサ 203 埋め込み成長用SiO2マスク 204 Ti/Auスパッタ膜 301 半導体光増幅器部SiO2マスク 401 半導体光増幅器 402 入力信号光 403 入力側光導波路 404 入力側Y分岐光導波路 405 出力側Y分岐光導波路 406 出力側光導波路 407 出力信号光 409 i−InP埋め込み層 410 半導体受動光導波路コア層 601 光ファイバ 602 レンズ 603 引き出し電極 604 ボンディングワイヤ 701 電流注入領域 702 非電流注入領域 703 電流注入領域長
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/10 H01S 3/18 JICSTファイル(JOIS)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電流注入時のTE、TM偏光に対する利
    得差がストライプ方向で異なる構造の活性層と、該活性
    層に電流注入する電極を少なくとも有する利得の偏光無
    依存化が可能な半導体光増幅器であって、ストライプ方
    向で断面構造及び結晶組成が連続的に変化する構造の活
    性層と、該活性層に電流注入するストライプ方向におい
    て少なくとも2つに分割された分割構造電極とを有する
    組成遷移領域を少なくとも含み、電流注入する前記分割
    構造電極を選択して電流注入領域長を可変としたことを
    特徴とする半導体光増幅器。
  2. 【請求項2】 前記組成遷移領域に接してストライプ方
    向で均一な断面構造及び結晶組成を有する活性層構造と
    該活性層の全域に形成された電極を有する定常組成領域
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体光増幅
    器。
  3. 【請求項3】 半導体光増幅器がストライプ方向におい
    て3つの領域から構成され、中央に定常組成領域が、該
    定常組成領域の両側に組成遷移領域が形成されているこ
    とを特徴とする、請求項2に記載の半導体光増幅器。
  4. 【請求項4】 素子両端に窓構造を有することを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体光増
    幅器。
  5. 【請求項5】 活性層がバルク半導体であることを特徴
    とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体光
    増幅器。
  6. 【請求項6】 組成遷移領域における活性層の面内歪が
    ストライプ方向において圧縮歪から伸張歪に連続的に変
    化していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
    1項に記載の半導体光増幅器。
  7. 【請求項7】 定常組成領域における活性層の面内歪が
    圧縮歪であり、組成遷移領域における活性層の面内歪
    が、前記定常組成領域における活性層からストライプ方
    向に離れるに従い圧縮歪から伸張歪に連続的に変化して
    いることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体光
    増幅器。
  8. 【請求項8】 半導体光増幅器と半導体受動光導波路と
    を含む半導体光集積素子であって、前記半導体光増幅器
    として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体
    光増幅器を使用することを特徴とする半導体光集積素
    子。
  9. 【請求項9】 半導体光増幅器或いは半導体光集積素子
    の入出力端において、前記半導体光増幅器或いは前記半
    導体光集積素子と光学的に結合されたシングルモード光
    ファイバ、及び前記半導体光増幅器或いは前記半導体光
    集積素子に電流注入するための引き出し電極により構成
    された偏光無依存型半導体光モジュールであって、前記
    半導体光増幅器或いは前記半導体光集積素子として請求
    項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体光増幅器或い
    は請求項8に記載の半導体光集積素子を使用することを
    特徴とする半導体光モジュール。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の半導体光増幅器の製
    造方法であって、 半導体基板上に一対の誘電体マスクを形成する工程、 半導体バッファ層、半導体活性層、半導体クラッド層を
    順次前記マスクの空隙部に積層して、前記半導体活性層
    を含むメサストライプを形成する工程、 埋め込み層を選択成長するための誘電体マスクを形成す
    る工程、 メサストライプの上に半導体埋め込み層及び半導体コン
    タクト層を積層する工程、 前記半導体コンタクト層をストライプ方向において少な
    くとも2つに分割する工程、及び該分割された半導体コ
    ンタクト層上に電極を形成する工程を少なくとも含み、
    前記半導体基板上に形成される一対の誘電体マスクが、
    少なくとも組成遷移領域に相当する部分でストライプ方
    向にその幅が変化するよう形成され、前記組成遷移領域
    の活性層をストライプ方向で断面構造及び結晶組成が連
    続的に変化するよう形成することを特徴とする半導体光
    増幅器の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項2に記載の半導体光増幅器の製
    造方法であって、 半導体基板上に一対の誘電体マスクを形成する工程、 半導体バッファ層、半導体活性層、半導体クラッド層を
    順次前記マスクの空隙部に積層して、前記半導体活性層
    を含むメサストライプを形成する工程、 埋め込み層を選択成長するための誘電体マスクを形成す
    る工程、 メサストライプの上に半導体埋め込み層及び半導体コン
    タクト層を積層する工程、 前記半導体コンタクト層をストライプ方向において少な
    くとも2つに分割する工程、及び該分割された半導体コ
    ンタクト層上に電極を形成する工程を少なくとも含み、
    前記半導体基板上に形成される一対の誘電体マスクが、
    少なくとも定常組成領域に相当する部分ではストライプ
    方向で一定の幅を有し、一方組成遷移領域に相当する部
    分ではストライプ方向で変化させ、前記組成遷移領域に
    おいてはその幅が変化するよう形成され、前記組成遷移
    領域の活性層をストライプ方向で断面構造及び結晶組成
    が連続的に変化するよう形成することを特徴とする半導
    体光増幅器の製造方法。
  12. 【請求項12】 半導体光増幅器と、半導体受動光導波
    路とを含む半導体光集積素子の製造方法であって、 半導体基板上に選択成長用の誘電体マスクを形成する工
    程、 半導体バッファ層、半導体活性層もしくは半導体コア
    層、半導体クラッド層からなるダブルヘテロメサを順次
    前記マスクの空隙部に一括して積層する工程、 前記受動光導波路の埋め込み層を選択成長するための誘
    電体マスクを形成する工程、 前記受動光導波路のメサの上に受動光導波路部埋め込み
    層を積層する工程、 前記半導体光増幅器の埋め込み層を選択成長するための
    誘電体マスクを形成する工程、 前記半導体光増幅器のメサストライプの上に半導体光増
    幅器部埋め込み層及び半導体コンタクト層を積層する工
    程、 前記半導体コンタクト層をストライプ方向において少な
    くとも2つに分割する工程、及び前記半導体コンタクト
    層上に電極を形成する工程を少なくとも含み、前記半導
    体光増幅器の前記活性層の結晶の面内歪量がストライプ
    方向において連続的に変化する構造をもち、前記活性層
    にかかる電極が、活性層のストライプ方向において少な
    くとも2つに分割されており、選択成長の前記空隙部の
    パターンが、前記半導体光増器と前記受動光導波路に対
    応する前記選択成長用の誘電体マスクにおいて、前記半
    導体光増器の誘電体マスク幅が前記受動光導波路の誘電
    体マスク幅よりも広いことを特徴とする半導体光集積素
    子の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜7のいずれかに記載の半導
    体光増幅器、請求項8に記載の半導体光集積素子、ある
    いは請求項9に記載の光モジュールの利得の偏光依存性
    の補償方法であって、作製後の素子を実装する工程と、
    分割構造電極への電流注入領域を変化させながら、TE
    偏光及びTM偏光に対する利得を測定する工程と、測定
    された利得差が最小となる様な電流注入領域長において
    電流注入されるように該電流注入領域長内の分割構造電
    極を電気的に結合する工程を少なくとも含むことを特徴
    とする前記方法。
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