JP2946872B2 - 炭素繊維及びそれを用いた炭素繊維強化樹脂組成物 - Google Patents
炭素繊維及びそれを用いた炭素繊維強化樹脂組成物Info
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る炭素繊維及びその炭素繊維を熱可塑性樹脂に配合して
なる炭素繊維強化樹脂組成物に関するものである。
るが、その量産性、デザインの自由度・軽量性等の観点
からプラスチックス、熱可塑性樹脂がハウジング材料の
主流となっている。しかし、絶縁材料であるためにその
ままでは著しく帯電するためにほこりやゴミが付着し
て、製品の汚染、装置の静電気による誤動作や火花放電
が生じやすい。そのためこの帯電を防止するためにプラ
スチックスの導電化が行われている。このプラスチック
スの導電化のためには、種々の方法が提案されている
が、通常は成形と同時に導電性が付与でき、従って工程
上低コストにできる導電性プラスチックが主流とされて
いる。そして、かかる導電性プラスチックとしては、一
般にポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アク
リル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の各種マト
リックスにフィラーを混合、分散させて繊維強化樹脂材
料を得、次いで導電性を付与するに、導電性カーボンブ
ラック、金属フィラー、や金属繊維等の導電性フィラー
あるいは帯電防止剤を添加する。しかし導電性フィラー
の場合は、プラスチックスに導電性は付与するものの機
械的物性を低下させこそすれ改善することが出来ないと
いう問題があった。一方、帯電防止剤の場合は、成形品
の表面に塗布する方法と、成形体製造時に一緒に練り込
む方法が知られている。前者の場合は、高い効果が得ら
れるが、持久性に乏しく、また塗布面がベトツクとかブ
ロッキング等の課題があり、後者の場合は持久力が優れ
ているが、帯電防止効果が不十分のために多量の帯電防
止剤を添加せねば成らず、成形体表面にベトツキ感が現
れかつ耐熱性が低下し着色の問題も起こってくる。
導電性を有し上記用途に適している。炭素繊維は、高強
度、高剛性を保持しつつ、高電気伝導性であることから
繊維強化複合材の機械的物性を保持しつつ電気的に導電
性を付与する強化繊維として注目され使用されるように
なっている。
炭素繊維を使用しても帯電防止性を付与するためにはか
なりの量の炭素繊維を添加せねば成らずコストの面で課
題があった。また、通常の帯電防止剤では、上記課題の
他、表面の有機溶剤による洗浄によって一旦低下した導
電性の復元が起こりにくい点が課題となっていた。
かる課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の組成か
らなる重合物と少量の界面活性剤で被覆した炭素繊維を
使用すると従来よりも少量の配合量で同等の帯電防止性
を発現し、かつ表面を有機溶剤により洗浄することによ
って一旦低下した導電性の復元が可能であり、しかも優
れた機械的物性を示す炭素繊維強化樹脂が得られること
を見いだし、本発明に到達した。
機械的物性を発現する樹脂組成物を与える樹脂強化用炭
素繊維及びそれを用いた炭素繊維強化樹脂組成物を提供
することにある。そしてその目的は、炭素繊維として
は、モノマー組成として、ジアミン化合物、ジカルボン
酸化合物及び下記一般式(I)で示される10〜30重
量%のグリシジル化ポリアルキレンオキシド誘導体を含
んでなる共重合体並びに界面活性剤を含む帯電防止剤を
含有するサイジング剤で表面が被覆されていることを特
徴とする炭素繊維、
ルキル基、R2 はHまたはCH3 、nは1〜40の整数
を表わす。) さらに樹脂組成物としては、モノマー組成として、ジア
ミン化合物、ジカルボン酸化合物及び下記一般式(I)
で示される10〜30重量%のグリシジル化ポリアルキ
レンオキシド誘導体を含んでなる共重合体並びに界面活
性剤を含む帯電防止剤を含有するサイジング剤で表面が
被覆されている炭素繊維1〜40重量部を熱可塑性樹脂
100重量部に対して配合したことを特徴とする炭素繊
維強化樹脂組成物、
ルキル基、R2 はHまたはCH3 、nは1〜40の整数
を表わす。) によって達成される。以下本発明を詳細に説明する。
の炭素繊維が使用でき、具体的にはポリアクリロニトリ
ル系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維が挙げられ
る。被覆に使用する重合物としてはジアミン、ジカルボ
ン酸とグリシジル化ポリアルキレンオキシドの共重合体
である。ジアミン化合物としては特に限定されないが一
般式(II)で示される化合物でR3 が炭素数15以下の
アルキル基、およびその誘導体からなるものが好まし
い。具体的にはエチレンジアミン、テトラメチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、デカメチレンジアミンやそのメチル化、エチル化、
ハロゲン化物等の誘導体が挙げられる。
合物であり、好ましくはR4 が炭素数15以下のアルキ
ル基、単核または2核芳香族環及びこれらの誘導体から
なるものである。具体的にはコハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸およびそのメチル化、エチル化、ハロゲン化物
等の誘導体や、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙
げられる。
キシド誘導体は、片末端にグリシジル基を有するエチレ
ンオキシド、プロピレンオキシドの付加反応生成物のア
ルキルエーテルであり、nは1〜40、好ましくは5〜
20、R1は炭素数20以下のアルキル基が挙げられ
る。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルグリシジ
ルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルグリシジルエ
ーテル等が挙げられる。
し適当な分子量のポリマーが得られる範囲において決定
されるが、帯電防止性向上の効果を得るにはグリシジル
化ポリアルキレンオキシド誘導体の含有率としては、1
0〜30重量%、好ましくは25〜30重量%の範囲と
するのがよい。含有率が高すぎても、また低すぎても良
好な帯電防止性が得られない。
性の界面活性剤としては、オレフィンの硫酸化エステル
油、硫酸化アミド油、脂肪族アルコールの硫酸エステル
塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪族エチルスルホン酸
塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホ
ン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン界
面活性剤;多価アルコールの脂肪酸エステル、脂肪族ア
ルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪族酸のエチ
レンオキサイド付加物、脂肪族アミンもしくは脂肪族ア
ミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノール
のエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール
等のノニオン界面活性剤;カルボン酸型、スルホン酸型
等の両性界面活性剤が挙げられる。
束ねたストランドを樹脂により被覆集束することにより
取り扱い性を向上させたり、樹脂に配合し複合材とした
ときの特性向上を図っている。得られた重合物と上記界
面活性剤との混合液の炭素繊維表面への付着法に制約は
ないが水溶液とし炭素繊維束を含浸する方法が実用的で
ある。水溶液の濃度は炭素繊維に付着する量が所望する
レベルとなるよう設定すれば良い。重合物と界面活性剤
の混合割合としては、重合物に対して20〜60重量
%、好ましくは40〜60重量%である。界面活性剤の
量が多いと帯電防止性は発現するが、炭素繊維の集束性
が劣化する。また、少なすぎると表面の有機溶剤による
洗浄によって一旦低下した導電性は復元が困難になる。
炭素繊維に付着する量としては、0.5〜10重量%、
好ましくは2〜10重量%である。被覆量が少ないと、
集束剤による複合材特性向上の効果がみられなかった
り、炭素繊維の集束性が不十分だったりする。また、被
覆量が多すぎると、かえって複合材物性が低下したり、
集束後の炭素繊維ストランドの取扱い性が低下したりす
る。該混合物水溶液に含浸した炭素繊維ストランドは赤
外線、熱風等によって乾燥されるが、乾燥温度は集束剤
の分解が起こらないよう300℃以下とする事が好まし
い。乾燥し集束された炭素繊維束は、樹脂との配合を容
易にするため1〜20mm好ましくは3〜10mmにカット
し使用する(カットされた炭素繊維ストランドをチョッ
プトストランドと呼ぶ。)。
塑性樹脂に配合した優れた帯電防止性を有する炭素繊維
強化樹脂組成物について説明する。マトリックス樹脂と
しては、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン、
ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリオ
キシメチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレ
ンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリフェニレンスルホン、フッ素樹
脂などのポリマー類またはこれらのコポリマー類などの
公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。
ス樹脂の配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対し
て、炭素繊維を1〜50重量部、好ましくは、5〜30
重量部の範囲である。炭素繊維の配合量が1重量部未満
では炭素繊維の帯電防止効果が発揮されず、また50重
量部を越えるとマトリックス樹脂への混合、分散の工程
に於て種々の問題が発生しやすい。
の炭素繊維との配合方法としては特に限定されるもので
はないが、通常一軸押し出し機、二軸押し出し機、プレ
ス機、高速ミキサー、射出成形機、引き抜き成形機等の
方法により行なわれる。更に、上記成分以外に本発明の
効果を損なわない程度に例えば、他種炭素繊維、ガラス
繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維など
の短繊維及び長繊維、ホイスカー類、これらにニッケ
ル、アルミニウム、銅などの金属をコーティングした繊
維あるいは金属繊維などの繊維状強化材類、あるいはカ
ーボンブラック、二硫化モリブデン、マイカ、タルク、
炭酸カルシウムなどのフィラー類からなる強化材、安定
剤、滑剤、その他添加剤などを加えることが出来る。
性樹脂組成物は従来の炭素繊維で強化された場合に比べ
高い帯電防止性を示す。
るが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例
に制限されない。 <帯電防止性の評価>帯電防止性の評価は、炭素繊維強
化熱可塑性樹脂の平板をスタティックオネストメーター
(シシド静電気株式会社製)にて帯電圧および減衰半減
値を測定することで行った。
量部、ポリオキシエチレンラウリルグリシジルエーテル
(分子量約700)28重量部を加え窒素置換後220
℃に加熱、脱水しながらこれらのモノマーを重合せしめ
重合物を得た。この重合物とアルキルフェノールのエチ
レンオキサイド付加物の60/40の割合に配合した水
溶液を調製し炭素繊維束の含浸用サイジング剤液として
使用した。
成(株)製)連続糸6000本フィラメントを、前記混
合物8%水溶液中に含浸させた後、約120℃で20分
間加熱乾燥し、更に切断機で6mm長のチョップトストラ
ンドを製造した。得られたチョップトストランドの重合
物付着量を比較例1〜2の結果とともに表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(三菱化成(株)製“三菱ポリプロ
8800J”)のペレット100重量部をドライブレン
ドした後、スクリュー押し出し機に投入、溶融混合し、
押し出し物を水冷後ペレット状に切断した。この様にし
て得られた炭素繊維配合樹脂材料を120℃5時間乾燥
した後、射出成形機にて成形し試験片を得て帯電防止
性、剛性を測定した。比較例1〜3とともに測定結果を
表1に示す。
エチレンオキサイド付加物を除いたサイジング剤を使用
した他は実施例1と同様の方法で試作を行ない試験片を
得た。
4”(シェル化学社製)30重量部と“エピコート10
04”(シェル化学社製)70重量部のエポキシ樹脂と
アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物の60
/40の割合に配合して調製したエマルジョン溶液(濃
度3重量%)を使用した他は実施例1と同様の方法で試
作を行ない試験片を得た。
菱ポリプロ8800J”)のペレット100重量部にア
ルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物を0.3
2重量%をドライブレンドした後、スクリュー押し出し
機に投入、溶融混合し、押し出し物を水冷後ペレット状
に切断した。この様にして得られた配合樹脂材料を12
0℃5時間乾燥した後、射出成形機にて成形し試験片を
得た。
載した組成の樹脂で被覆した炭素繊維を用いると他の樹
脂で被覆した炭素繊維より良好な帯電防止性を有する樹
脂組成物が得られる。
圧も低くかつエタノール脱脂後しばらく置くと半減期が
復元するため、材料の帯電防止性を大幅に改善する事に
なり工業上極めて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 モノマー組成として、ジアミン化合物、
ジカルボン酸化合物及び下記一般式(I)で示される1
0〜30重量%のグリシジル化ポリアルキレンオキシド
誘導体を含んでなる共重合体並びに界面活性剤を含む帯
電防止剤を含有するサイジング剤で表面が被覆されてい
ることを特徴とする炭素繊維。 【化1】 (式中R1 はHまたは炭素数20以下のアルキル基、R
2 はHまたはCH3 、nは1〜40の整数を表わす。) - 【請求項2】 モノマー組成として、ジアミン化合物、
ジカルボン酸化合物及び下記一般式(I)で示される1
0〜30重量%のグルシジル化ポリアルキレンオキシド
誘導体を含んでなる共重合体並びに界面活性剤を含む帯
電防止剤を含有するサイジング剤で表面が被覆されてい
る炭素繊維1〜40重量部を熱可塑性樹脂100重量部
に対して配合したことを特徴とする炭素繊維強化樹脂組
成物。 【化2】 (式中R1 はHまたは炭素数20以下のアルキル基、R
2 はHまたはCH3 、nは1〜40の整数を表わす。)
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Publications (2)
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1991
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