JP2944580B2 - 分注装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、免疫学的分析やＤ
ＮＡ分析等の各種分析において、検体が収容されている
容器に一定量の試薬を自動的に注入するための分注装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば免疫学的分析においては、容器内
の検体に対して、先ず生理食塩水等の液体を注入した
後、更に試薬を注入して、免疫反応を調べることが行な
われ、この様な液体や試薬(以下、試薬と総称する)の注
入作業に、従来より図１０に示す如き分注装置が用いら
れている。該分注装置は、反応容器(７)を設置するため
の分注テーブル(90)を具え、該分注テーブル(90)上に
は、ヘッド駆動装置(９)が設置されると共に、ヘッド駆
動装置(９)の出力端には、分注ヘッド(91)が取り付けら
れている。分注ヘッド(91)には、プランジャー機構(図
示省略)が連繋している。又、分注ヘッド(91)の先端部
には、試薬を吸入、吐出すべきピペットチップ(92)が下
向きに嵌められている。

【０００３】該分注装置によって、反応容器(７)の各穴
(71)へ試薬を分注する際には、制御装置(93)によりヘッ
ド駆動装置(９)を制御して、分注ヘッド(91)を反応容器
(７)の穴(71)へ接近させ、ピペットチップ(92)内の試薬
を穴(71)へ吐出する。試薬の希釈や混合を行なう場合に
は、穴(71)内に他の試薬(72)が既に注入されており、ピ
ペットチップ(92)から滴下する試薬を穴(71)内の試薬(7
2)の液面に接触させて、表面張力を開放することによっ
て、試薬の吐出を行なう。

【０００４】ところで、分注装置においては、０.５μ
ｌ〜２００μｌの試薬を分注するために、容量の異なる
複数種類のピペットチップが用いられている。そして、
０.５μｌ〜１０μｌの小容量のピペットチップを取り
付けるための小口径の分注ヘッドと、５μｌ〜２００μ
ｌの大容量のピペットチップを取り付けるための大口径
の分注ヘッドとが用意され、分注量に応じて、これらの
分注ヘッドが交換使用されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
分注装置においては、分注ヘッドがねじ等の締結手段を
用いて装置本体に固定されているため、分注ヘッドを交
換する作業が煩雑であるばかりでなく、分注ヘッドは外
径が２０ｍｍ程度と小形であるため、交換作業が極めて
困難である問題があった。本発明の目的は、装置本体に
分注ヘッドを確実に保持することが出来、然も、分注ヘ
ッドの交換を自動的に且つ迅速に行なうことが出来る分
注装置を提供することである。

【０００６】

【課題を解決する為の手段】本発明に係る分注装置は、
試薬吸入、吐出の対象となる１或いは複数の容器を設置
するための容器設置部と、試薬を吸入、吐出すべき１或
いは複数の分注ヘッドが収容されたヘッド収容装置と、
容器設置部とヘッド収容装置の間で出力端を往復移動さ
せる往復駆動装置(１)と、往復駆動装置(１)の出力端に
取り付けられて１つの分注ヘッド(３)のチャック及びそ
の解除を行なうチャック機構(２)と、ヘッド収容装置の
各ヘッド収容部の近傍に設置されてチャック機構のチャ
ック動作及びチャック解除動作を制御するチャック制御
機構(５)とから構成される。チャック機構(２)は、分注
ヘッド(３)の基端部を周囲から挟持すべき複数のチャッ
ク爪(23)(23)を具え、各チャック爪(23)は、分注ヘッド
(３)との係合部に弾性片(100)を具え、分注ヘッド(３)
には、複数のチャック爪(23)(23)のチャック動作に伴っ
て前記弾性片(100)が圧接されるべき係合受け面(34b)が
形成されている。

【０００７】上記本発明の分注装置において、分注ヘッ
ドを交換する際は、先ず、往復駆動装置(１)の駆動によ
って、チャック機構(２)に保持された分注ヘッド(３)を
空のヘッド収容部まで移動させる。分注ヘッドがヘッド
収容部に収容される過程で、チャック制御機構(５)が動
作し、チャック機構(２)にチャック解除動作を行なわし
める。これによって、分注ヘッド(３)がチャック機構
(２)から切り離される。その後、往復駆動装置(１)の駆
動によって、チャック機構(２)をヘッド収容部から離間
させる。

【０００８】次に、往復駆動装置(１)の駆動によって、
チャック機構(２)を分注ヘッド(３)の収容されたヘッド
収容部に移動させる。チャック機構(２)がヘッド収容部
の分注ヘッド(３)と接合される過程で、チャック制御機
構(５)が動作し、チャック機構(２)にチャック動作を行
なわしめる。これによって、分注ヘッド(３)がチャック
機構(２)に保持される。チャック機構(２)のチャック動
作においては、複数のチャック爪(23)(23)が分注ヘッド
(３)を周囲から挟持する。この際、各チャック爪(23)に
設けられた弾性片(100)が分注ヘッド(３)の係合受け面
(34b)に圧接され、該弾性片(100)の弾性反発力によっ
て、分注ヘッド(３)とチャック機構(２)とが互いに接合
されることとなる。その後、往復駆動装置の駆動によっ
て、チャック機構を分注ヘッドと共にヘッド収容部から
離間させ、所定の分注動作に移行する。

【０００９】又、チャック機構(２)の下端面と分注ヘッ
ド(３)の上端面に、互いに接合可能な位置決め基準面(2
1a)(34c)を形成した構成においては、各チャック爪(23)
が分注ヘッド(３)に係合した状態で、弾性片(100)の反
発力によって両位置決め基準面(21a)(34c)が互いに圧接
され、チャック機構(２)と分注ヘッド(３)の間の芯合わ
せが正確に行なわれることになる。

【００１０】

【発明の効果】本発明に係る分注装置によれば、往復駆
動装置によってチャック機構を往復駆動して、分注ヘッ
ドが保持されているチャック機構をヘッド収容装置のヘ
ッド収容部へ移動させる動作に連動して、チャック解除
動作が実行され、分注ヘッドが保持されていないチャッ
ク機構をヘッド収容装置のヘッド収容部まで移動させる
動作に連動して、チャック動作が実行されるので、分注
ヘッドの交換を自動的に且つ迅速に行なうことが出来
る。又、分注ヘッドがチャック機構に保持された状態で
は、各チャック爪に取り付けた弾性片の反発力によっ
て、分注ヘッドがチャック機構に圧接され、保持される
ので、チャック爪を分注ヘッドに対して直接に係合させ
て分注ヘッドを保持する方式に比べ、チャック爪と分注
ヘッドの係合部の形状精度や、チャック爪の開閉の動作
精度は、低いもので十分である。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、図面に沿って具体的に説明する。全体構成 本発明に係る分注装置においては、図４に示す如く、分
注テーブル(10)上に、Ｘ軸駆動機構(11)、Ｙ軸駆動機構
(12)及びＺ軸駆動機構(13)からなる往復駆動装置(１)が
設置され、Ｚ軸駆動機構(13)の出力端にチャック機構
(２)が取り付けられている。チャック機構(２)には後述
の如く分注ヘッド(３)が保持される。これによって、分
注ヘッド(３)には、試薬を吸引、吐出するためのプラン
ジャー機構(図示省略)が連繋することになる。又、分注
ヘッド(３)の下端部には、ディスポーザブルピペットチ
ップ(６)が着脱可能に嵌められる。尚、往復駆動装置
(１)及びプランジャー機構の動作は制御回路(14)によっ
て制御される。

【００１２】又、分注テ−ブル(10)上には、複数のディ
スポーザブルピペットチップ(６)が収容されたチップホ
ルダー(61)、複数の分注ヘッド(３)が収容されたヘッド
収容装置(４)、及び複数の反応容器(７)が夫々所定位置
に設置されている。各反応容器(７)の表面には、複数の
穴(71)が凹設されている。ヘッド収容装置(４)は、収容
すべき分注ヘッドの数に応じて複数のヘッド支持部材(4
1)を具え、各ヘッド支持部材(41)の側部には、チャック
機構(２)のチャック及びその解除を制御するためのチャ
ック制御機構(５)が配置されている。

【００１３】チャック機構(２)及び分注ヘッド(３)の構
成 図５に示す如く、往復駆動装置(１)の出力端(15)に、中
央孔(20)を有する軸部材(21)が固定され、該軸部材(21)
の外周面には、スライド筒(22)が取り付けられている。
スライド筒(22)は、軸部材(21)に摺動可能に嵌まった上
半部(27)と、上半部(27)よりも大径の下半部(28)と、上
半部(27)と下半部(28)の間に外向きに突設された鍔部(2
6)とから構成される。軸部材(21)の上部には、スライド
筒(22)を軸部材(21)側へ押圧する押さえバネ(25)が取り
付けられている。又、軸部材(21)の下部には、分注ヘッ
ド(３)の頭部を挟持する複数のチャック爪(23)(23)が開
閉可能に枢支されており、各チャック爪(23)は、引張り
バネ(24)によって開き方向に付勢されている。

【００１４】従って、図示の如くスライド筒(22)が上昇
端に保持された状態では、複数のチャック爪(23)(23)
は、引張りバネ(24)(24)の付勢によって開き、スライド
筒(22)の下端部に当接した位置で保持される。この状態
から、スライド筒(22)が下降すると、スライド筒(22)の
下端部によってチャック爪(23)(23)が下方に押圧され、
引張りバネ(24)に抗して閉じられることになる。

【００１５】一方、分注ヘッド(３)のヘッド本体(30)の
頭部には、被チャック部(32)及び鍔部(33)を有する連結
部材(34)が固定されており、被チャック部(32)が前記複
数のチャック爪(23)(23)によって挟持されることにな
る。又、ヘッド本体(30)の下端部には、ノズル(31)が下
向きに突設されており、該ノズル(31)に、前述のピペッ
トチップ(６)が着脱可能に嵌められる。

【００１６】チャック機構(２)によって分注ヘッド(３)
が保持されると、チャック機構(２)の軸部材(21)と分注
ヘッド(３)の連結部材(34)とが互いに係合密着し、相互
に正確な芯合せが行なわれることになる。

【００１７】図５に示す構成においては、チャック機構
(２)の各チャック爪(23)が分注ヘッド(３)の連結部材(3
4)に直接に係合して、分注ヘッド(３)が保持されるが、
この場合、チャック爪(23)と連結部材(34)の係合部の形
状を精度良く仕上げると共に、スライド筒(22)の昇降を
高い精度で行なう必要がある。これらの条件を緩和する
には、図１及び図２に示す様に、各チャック爪(23)に弾
性片(100)を取り付けることが有効である。

【００１８】弾性片(100)は、図３(ａ)に示す様に、厚
さｔが約０.３〜０.５ｍｍのステンレス鋼製のバネ板を
Ｌ字状に成型してなり、基端部がビス(101)によってね
じ止めされると共に、位置決めピン(102)によって位置
決め固定されている。又、弾性片(100)は、上記固定部
からチャック爪(23)の内面に沿って伸び、長さＬが約４
〜５ｍｍの片持ち梁を形成しており、更にその先端は、
チャック爪(23)の内面に向かって屈曲している。同図
(ｂ)の如くスライド筒(22)が降下して、チャック爪(23)
が押し下げられて、矢印の如くチャック動作を行なう過
程で、弾性片(100)が分注ヘッド(３)の連結部材(34)に
形成された係合受け面(34b)に圧接され、弾性片(100)
は、先端がチャック爪(23)の内面に当たって、両端支持
梁の状態で弾性変形することになる。そして、該弾性片
(100)の弾性反発力によって、チャック機構の軸部材(2
1)に形成された基準面(21a)と、分注ヘッド(３)の連結
部材(34)に形成された基準面(34c)とが互いに圧接され
ることになる。該圧接力は例えば２Ｋｇ程度とする。

【００１９】従って、チャック爪(23)と連結部材(34)の
係合部の形状精度が多少低く、或いはスライド筒(22)の
昇降精度が多少低くとも、弾性片(100)の弾性変形によ
って、これらの誤差が吸収される。

【００２０】又、図５に示す構成においては、チャック
機構(２)に分注ヘッド(３)が保持された状態で、分注ヘ
ッド(３)は、チャック機構(２)の軸部材(21)やチャック
爪(23)(23)との接触面における摩擦によって、垂直軸回
りの自由回転が阻止され、回転角度姿勢が一定に維持さ
れるが、より確実に分注ヘッド(３)の回転を阻止するに
は、図１及び図２に示す回り止め機構を装備することが
有効である。分注ヘッド(３)の連結部材(34)には、その
中心部にねじ部材(35)が螺合している。即ち、連結部材
(34)には内ねじ(34a)、ねじ部材(35)には外ねじ(35a)が
形成されており、連結部材(34)にねじ部材(35)がねじ込
まれている。ねじ部材(35)の上面には、軸心を挟んで対
向位置に一対の回り止めピン(37)(37)が垂直方向に突設
されている。又、連結部材(34)の側部には、ロックねじ
(36)が螺合貫通しており、その先端はねじ部材(35)の外
周面に圧接され、ねじ部材(35)がロックされている。一
方、チャック機構(２)の軸部材(21)には、前記一対の回
り止めピン(37)(37)との対向位置に、これらのピンが嵌
入可能な一対のピン穴(29)(29)が、垂直方向に凹設され
ている。

【００２１】その後、図２の如くチャック機構(２)によ
って分注ヘッド(３)が保持された状態では、分注ヘッド
(３)の一対の回り止めピン(37)(37)がチャック機構(２)
の一対のピン穴(29)(29)へ嵌入して、分注ヘッド(３)に
回り止めが施される。従って、往復駆動装置(１)の駆動
によって分注ヘッド(３)を移動させる過程で、分注ヘッ
ド(３)或いはチャック機構(２)に振動や衝撃が加わった
としても、分注ヘッド(３)が回転する虞れはなく、正確
な回転角度姿勢を維持する。特に、分注ヘッド(３)が複
数本のピペットチップを一列に装着することの出来る構
造を有する場合は、分注ヘッド(３)の回転角度姿勢の誤
差は、分注時の誤動作を引き起こすが、上記回り止め機
構の装備によって、この様な誤動作を確実に回避するこ
とが出来る。

【００２２】何らかの原因で分注ヘッド(３)の回転角度
姿勢がずれたときは、分注ヘッド(３)をチャックしたま
ま、ロックねじ(36)を緩めて、ねじ部材(35)に対する連
結部材(34)の相対回転によって、分注ヘッド(３)の回転
角度姿勢を修正する。この際、分注ヘッド(３)を例えば
前記反応容器(７)の位置まで移動させて、該反応容器の
複数の穴(71)の位置を基準として、分注ヘッド(３)の回
転角度姿勢を修正することが出来る。その後、ロックね
じ(36)をねじ込んで、連結部材(34)とねじ部材(35)とを
互いに相対回転不能にロックする。

【００２３】ヘッド収容装置(５)の構成 図５に示す様に、ヘッド設置台(40)に、分注ヘッド(３)
の収容、支持が可能なヘッド支持部材(41)が上下動可能
に係合すると共に、複数のバネ(42)によって垂直方向に
弾性支持されている。ヘッド支持部材(41)の上端部に
は、磁石保持片(43)が連結固定され、該磁石保持片(43)
の上部及び下部に、第１原動磁石片(81)及び第２原動磁
石片(82)が取り付けられている。尚、ヘッド収容装置
(４)のヘッド支持部材(41)に分注ヘッド(３)が収容され
た状態では、分注ヘッド(３)の連結部材(34)の鍔部(33)
が、図示の如く磁石保持片(43)の端部に当接して、分注
ヘッド(３)が受け止められている。

【００２４】チャック制御機構(５)の構成 鉛直に立設された支柱(50)の側面に沿って、揺動レバー
(51)が枢軸(52)により揺動自由に支持されている。揺動
レバー(51)の上端部には、チャック機構(２)のスライド
筒(22)と係合すべき制御片(54)が突設されている。又、
揺動レバー(51)の枢軸(52)よりも上方位置には、従動磁
石片(８)が取り付けられている。支柱(50)には、揺動レ
バー(51)の反時計方向の回動端を規制するためのストッ
パー(53)が突設されており、図示の如く揺動レバー(51)
の上端部がストッパー(53)に当接した状態で、揺動レバ
ー(51)は垂直姿勢に保持される。

【００２５】磁石保持片(43)の第１原動磁石片(81)及び
第２原動磁石片(82)と、揺動レバー(51)の従動磁石片
(８)とは、図６に示す如き極性関係となる様、向きが規
定されている。即ち、第１原動磁石片(81)及び第２原動
磁石片(82)は、揺動レバー(51)側へＮ極を向けて取り付
けられ、従動磁石片(８)は、磁石保持片(43)側へＳ極を
向けて取り付けられている。尚、これらの磁石片(８)(8
1)(82)の形状及び相対位置関係は、図中に示す距離ａ、
ｂ、ｃ、ｄ、ｅが夫々、３ｍｍ、２ｍｍ、１.２ｍｍ、
１.７ｍｍ、５.６ｍｍとなる様に規定されている。又、
これらの磁石片(８)(81)(82)の表面磁束密度は夫々１２
００Ｇaussである。

【００２６】第１原動磁石片(81)、第２原動磁石片(82)
及び従動磁石片(８)を上記の位置関係に配置することに
よって、図６に示す如く第２原動磁石片(82)が従動磁石
片(８)に非常に接近して、両磁石片が高さの異なる食い
違い位置に配置された状態では、両磁石の異極どうしが
引き合う吸引状態よりも、同極どうしが反発し合う反発
状態が支配的となって、結果として両磁石間に反発力が
発生する。これに対し、第２原動磁石片(82)が従動磁石
片(８)と同一の高さにて正面で対向した状態では、両磁
石の対向する異極どうしが強く引き合って、両磁石間に
吸引力が発生することになる。この現象は、第１原動磁
石片(81)と従動磁石片(８)の関係においても同様に発生
する。

【００２７】分注ヘッドのチャック動作 図７のに示す如く、往復駆動装置(１)の駆動によっ
て、分注ヘッドが保持されていないチャック機構(２)
を、ヘッド支持部材(41)に収容された目的の分注ヘッド
(３)に向けて降下させる。このとき、チャック機構(２)
のスライド筒(22)は上昇端までスライドして押えバネ(2
5)によって保持されており、これに伴ってチャック爪(2
3)(23)は前記引張りバネの付勢によって開き状態に保持
されている。又、ヘッド支持部材(41)は前記バネの付勢
によって上昇端に支持されており、これに伴って、第２
原動磁石片(82)は、従動磁石片(８)よりも僅かに高い位
置に設定されている。これによって、従動磁石片(８)と
第２原動磁石片(82)の間に前述の如く反発力が生じ、該
反発力によって揺動レバー(51)は反時計方向に回転付勢
され、ストッパー(53)に当たっている。

【００２８】同図に示す如く、チャック機構(２)が更
に降下すると、第２原動磁石片(82)が従動磁石片(８)と
対向して、両磁石片間に吸引力が発生し、該吸引力によ
って揺動レバー(51)は時計方向に僅かに回動する。そし
て、同図の如く、チャック機構(２)が更に降下する
と、第１原動磁石片(81)と第２原動磁石片(82)の中間位
置が従動磁石片(８)と対向して、両原動磁石片(81)(82)
と従動磁石片(８)との間に反発力が生じ、該反発力によ
って揺動レバー(51)は時計方向の回動端に復帰すること
になる。その後、更にチャック機構(２)が降下すると、
同図の如く、第１原動磁石片(81)が従動磁石片(８)と
対向して、両磁石片間に吸引力が発生し、該吸引力によ
って揺動レバー(51)は再び時計方向に回動する。上述の
揺動レバー(51)の揺動とチャック機構(２)の下降動作の
同時進行によって、揺動レバー(51)の制御片(54)は、ス
ライド筒(22)の鍔部(26)を乗り越えるのである。

【００２９】次に、図８のに示す様に、往復駆動装置
(１)の駆動によって、チャック機構(２)を上昇させる。
これに伴って、スライド筒(22)の鍔部(26)が揺動レバー
(51)の制御片(54)に当接し、その後は、スライド筒(22)
の上昇が阻止されて、スライド筒(22)が軸部材(21)に対
し相対的に下降することになる。これによって、スライ
ド筒(22)がチャック爪(23)(23)を下方に押圧し、チャッ
ク爪(23)(23)は前記引張りバネに抗して閉じられる。こ
の結果、チャック爪(23)(23)は分注ヘッド(３)の被チャ
ック部(32)を挟持し、チャック機構(２)に分注ヘッド
(３)が保持される。その後、同図の様に、チャック機
構(２)を僅かに下降させ、スライド筒(22)の鍔部(26)を
揺動レバー(51)の制御片(54)から離間させる。このと
き、第１原動磁石片(81)と第２原動磁石片(82)の中間位
置が従動磁石片(８)と対向し、両磁石片の反発力を受け
て、揺動レバー(51)は反時計方向に回動する。

【００３０】続いて同図に示す様に、チャック機構
(２)を上昇させる。チャック機構(２)を上昇させる過程
で、第２原動磁石片(82)が従動磁石片(８)と対向して、
揺動レバー(51)は一旦、時計方向に回動するが、そのと
き、制御片(54)はスライド筒(22)の鍔部(26)を通過して
おり、下半部(28)と当接或いは対向する。その後、更に
チャック機構(２)を上昇させると、第２原動磁石片(82)
と従動磁石片(８)の間に反発力が発生する位置関係とな
り、図示の如く揺動レバー(51)は反時計方向の回動端に
復帰することになる。

【００３１】そして、同図の如く、チャック機構(２)
を更に上昇させることによって、チャック機構(２)に保
持された分注ヘッド(３)がヘッド支持部材(41)から抜き
出されるのである。

【００３２】分注ヘッドのチャック解除動作 図９のに示す如く、往復駆動装置(１)の駆動によっ
て、分注ヘッド(３)が保持されたチャック機構(２)を、
空のヘッド支持部材(41)に向けて降下させ、分注ヘッド
(３)をヘッド支持部材(41)内に挿入する。そして、同図
の如く、更に分注ヘッド(３)を降下させることによっ
て、第２原動磁石片(82)が従動磁石片(８)と対向し、両
磁石片間に生じる吸引力によって、揺動レバー(51)は時
計方向に回動し、制御片(54)がスライド筒(22)の下端部
(28)に当接する。

【００３３】この状態から、同図に示す様に、更にチ
ャック機構(２)を降下させると、制御片(54)がスライド
筒(22)の鍔部(26)に当接して、スライド筒(22)の降下を
阻止する。これによって、スライド筒(22)が軸部材(21)
に対し相対的に上昇することとなって、チャック爪(23)
(23)の押圧を解除する。この結果、チャック爪(23)(23)
は前記引張りバネに付勢されて開き、分注ヘッド(３)の
被チャック部(32)に対するチャックを解除する。

【００３４】その後、同図に示す如く、チャック機構
(２)を上昇させることによって、チャック機構(２)が分
注ヘッド(３)から離脱し、分注ヘッド(３)は、ヘッド支
持部材(41)内に留まる。又、図示の如く、第２原動磁石
片(82)と従動磁石片(８)の間に反発力が発生する位置関
係となって、揺動レバー(51)は、反時計方向に回動して
ストッパー(53)に当接し、元の姿勢に復帰することにな
る。

【００３５】分注ヘッドの交換動作 分注ヘッド(３)を交換する場合は、分注ヘッド(３)が保
持されたチャック機構(２)を空のヘッド支持部材(41)の
上方位置まで移動させ、図９の〜に示すチャック解
除動作を実行する。その後、チャック機構(２)を目的と
する分注ヘッド(３)が収容されているヘッド支持部材(4
1)の上方位置まで移動させ、図７〜、図８〜の
チャック動作を実行する。

【００３６】分注動作 チャック機構(２)に分注ヘッド(３)をチャックした後、
往復駆動装置(１)の駆動によって、分注ヘッド(３)を図
４に示すチップホルダー(61)上に移動させ、その後、分
注ヘッド(３)を１つのピペットチップ(６)へ向けて降下
させることによって、分注ヘッド(３)にピペットチップ
(６)を装着する。そして、ピペットチップ(６)の装着さ
れた分注ヘッド(３)を図示省略する試薬容器上へ移動さ
せて、ピペットチップ(６)内に試薬を吸入した後、該分
注ヘッド(３)を目的とする反応容器(７)上へ移動させ、
ピペットチップ(６)から反応容器(７)の所定の穴(71)へ
試薬を吐出するのである。

【００３７】上述の如く、本発明に係る分注装置によれ
ば、チャック機構(２)をヘッド収容装置(４)に対して接
近離間させる動作に伴って、分注ヘッド(３)のチャック
動作及びチャック解除動作が自動的に行なわれるので、
従来の如き人手による分注ヘッドの交換作業は不要であ
り、迅速なヘッド交換が実現される。又、弾性片(100)
の弾性反発力によって、チャック機構(２)の軸部材(21)
と分注ヘッド(３)の連結部材(34)とが互いに係合密着し
て、チャック機構(２)と分注ヘッド(３)の正確な芯合せ
が行なわれるので、精度の高い分注動作が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】チャック解除状態のチャック機構を表わす一部
破断正面図である。

【図２】チャック状態のチャック機構を表わす一部破断
正面図である。

【図３】チャック機構のチャック解除状態(ａ)及びチャ
ック状態(ｂ)の要部を拡大して表わす一部破断正面図で
ある。

【図４】本発明に係る分注装置の外観を表わす斜視図で
ある。

【図５】該分注装置の要部を拡大して表わす一部破断正
面図である。

【図６】第１原動磁石片、第２原動磁石片及び従動磁石
片の極性及び位置関係を表わす図である。

【図７】チャック動作の前半を表わす工程図である。

【図８】チャック動作の後半を表わす工程図である。

【図９】チャック解除動作を表わす工程図である。

【図１０】従来の分注装置の概略構成を表わす一部破断
側面図である。

【符号の説明】

(１) 往復駆動装置 (２) チャック機構 (21a) 基準面 (23) チャック爪 (100) 弾性片 (３) 分注ヘッド (34b) 係合受け面 (34c) 基準面 (４) ヘッド収容装置 (５) チャック制御機構 (６) ピペットチップ (７) 反応容器 (８) 従動磁石片 (81) 第１原動磁石片 (82) 第２原動磁石片

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 往復駆動装置の出力部に分注ヘッドを着
   脱可能に取り付けた分注装置において、往復駆動装置の
   出力部には、分注ヘッドのチャック及びその解除を行な
   うチャック機構が装備され、チャック機構は、分注ヘッ
   ドの基端部を周囲から挟持すべき複数のチャック爪を具
   え、各チャック爪は、分注ヘッドとの係合部に弾性片を
   具え、分注ヘッドには、複数のチャック爪のチャック動
   作に伴って前記弾性片が圧接されるべき係合受け面が形
   成されていることを特徴とする分注装置。
2. 【請求項２】 試薬吸入、吐出の対象となる１或いは複
   数の容器を設置するための容器設置部と、試薬を吸入、
   吐出すべき１或いは複数の分注ヘッドが収容されたヘッ
   ド収容装置と、容器設置部とヘッド収容装置の間で出力
   端を往復移動させる往復駆動装置と、往復駆動装置の出
   力端に取り付けられて１つの分注ヘッドのチャック及び
   その解除が可能なチャック機構と、ヘッド収容装置の各
   ヘッド収容部の近傍に設置されてチャック機構のチャッ
   ク動作及びチャック解除動作を制御するチャック制御機
   構とから構成され、チャック機構(２)は、分注ヘッド
   (３)の基端部を周囲から挟持すべき複数のチャック爪(2
   3)(23)を具え、各チャック爪(23)は、分注ヘッド(３)と
   の係合部に弾性片(100)を具え、分注ヘッド(３)には、
   複数のチャック爪(23)(23)のチャック動作に伴って前記
   弾性片(100)が圧接されるべき係合受け面(34b)が形成さ
   れていることを特徴とする分注装置。
3. 【請求項３】 チャック機構(２)の下端面と分注ヘッド
   (３)の上端面には、互いに接合可能な位置決め基準面(2
   1a)(34c)が形成され、各チャック爪(23)が分注ヘッド
   (３)に係合した状態で、弾性片(100)の反発力によって
   両位置決め基準面(21a)(34c)が互いに圧接される請求項
   １又は請求項２に記載の分注装置。