JP2943988B2 - 多心光ファイバの一括融着接続方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は光ファイバ端面の不揃いが大きい多心光ファ
イバを一括して融着接続する方法に関するものである。

（従来の技術） 光ファイバ端面の不揃いが大きい多心光ファイバを一
括融着接続するための従来の技術としては例えば、「電
子情報通信学会論文誌CvolJ70−Ｃ、No6、P810〜816 19
87年６月号の“単一モード光ファイバの多心一括融着接
続法:VSP接続法”」に示されているように、VSP接続法
がある（この論文の対応特許出願は特開昭63−167309号
公報）。

一般に、多心光ファイバを一括接続するには、第２図
に示すように、光ファイバ（1a）（1b）の端面同志を突
合せ（同図イ）、次いで、放電加熱（２）と同時に一方
の光ファイバ（1b）を矢印の方向に押込み（同図ロ）、
同図（ハ）のような一連長の光ファイバ（１）を得る。

前記VSP接続法は、上記放電加熱時の光ファイバの押
込量（Ｓ）を次のように決める方法である。

即ち、第１図のように光ファイバ端面の不揃いが大き
い光ファイバ（1a）（1b）を融着接続するとき、突合さ
れた光ファイバの端面間隔L1〜L4を計測する。次に端面
間隔の最大のものL4（Lmax）と最少のもの L1（Lmin）
の差を計算する。さらに、あらかじめ決められていた押
込み量α（固定値）に、上記求めた差を加えて最終的な
押込み量（Ｓ）とする。これを数式であらわすと、（式
１）のようになる。

Ｓ＝α＋（Lmax−Lmin） …（式１） このような方法をとる理由は、もし、最小端面間隔
Lmin＞αであると、光ファイバ同志が物理的に接触しな
いので接続が出来なくなるからである。

このようなVSP接続法を用いると、一見すれば第３図
のように常に接続が可能となるように思われる。なお、
図面において、（Ａ）は押込み前の右側の光ファイバ
（1b）の端面位置を示している。

（解決しようとする課題） しかし、上述のVSP接続法を用いても、端面間隔の最
大値（Lmax）と最少値（Lmin）の差（ΔＬ）がある一定
値ΔLoを越えると、第４図に示すように接続出来ないと
いう問題があった。即ち第５図（イ）のような光ファイ
バを放電により加熱すると、その端面位置は（ロ）
（ハ）（ニ）というように順次後退し、ΔＰだけ後退す
る。従って、端面間隔の特に大きいものは、光ファイバ
のオーバーラップ量よりもこの端面が後退する量が大き
く、結果として接続できなくなるわけである。

（課題を解決するための手段） 本発明は上述の問題点を解消した多心光ファイバの一
括融着接続方法を提供するもので、その特徴は、突合さ
れた光ファイバ同志のなす各端面間隔を計測し、 次式１に基づいて最終押し込み量Ｓを決定し、 Ｓ＝α＋（Lmax−Lmin） …式１ 前記式１に基づいて決定した押し込み量では融着接続
時の加熱に伴う光ファイバ端面の後退により接続できな
い場合、この後退量を最大端面間隔に対応して補償する
ために最終押し込み量Ｓを次式２に基づいて決定するこ
とにある。

Ｓ＝ｋα＋（Lmax−Lmin）（ｋ＞１） …式２ ここで、α：端面後退量を考慮することなく定めた固
定値、Lmax:光ファイバ端面間隔の最大値、Lmin:光ファ
イバ端面間隔の最小値。

第１図は本発明の多心光ファイバの一括融着接続方法
の具体例の説明図である。VSP接続法と同様に、光ファ
イバの端面間隔を計測し、最大値（Lmax）と最少値（Lm
in）の差ΔＬを求める。この差（ΔＬ）がΔLo以上にな
った場合には、最終的な押込み量（Ｓ）を従来のVSP接
続法の（式１）に対して（式２）のようにする。

Ｓ＝ｋα＋（Lmax−Lmin）（ｋ＞１） ・・・・式２ 即ち、あらかじめ決められていた押込み量（α）にｋ
を乗じてｋαで表される値を可変にするわけである。こ
れによって、ΔＬ＞ΔLoのときは従来のVSP接続法より
も最終的な押込み量（Ｓ）を大きくすることができる。

（作用） このような方法を融着接続機で採用すれば、端面間隔
の最大値と最小値の差が大きく、融着時に光ファイバを
押込む際に光ファイバの端面が融けて相対的に押込む方
向に対して端面が後退する量以上に、光ファイバ同志が
接する方向に移動するので、端面の不揃い量が大きくて
も融着接続の失敗は殆んど起こらない。

（発明の効果） 以上説明したように、多心光ファイバの一括融着接続
装置に本発明の方法を採用すると、端面間隔の最大値と
最小値の差がΔLoを越えても接続成功率100％を維持で
きた。

従って、一括融着接続において、光ファイバの端面不
揃い量が大きくても、接続の失敗を繰り返えすことがな
く、作業効率が著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は多心光ファイバの端面突合せ時の端面不揃い状
態の説明図である。 第２図（イ）〜（ハ）は多心光ファイバの一括融着接続
方法の概要説明図である。 第３図は接続成功例の説明図である。 第４図は接続失敗例の説明図である。 第５図（イ）〜（ニ）は放電加熱によって光ファイバ端
面が融けて後退していく状態の説明図である。 1a、1b……光ファイバ、２……放電加熱。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上間 功也 東京都千代田区内幸町１丁目１番６号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−167309（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−187206（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】多心光ファイバテープ心線を一括して被覆
   除去し、露出した光ファイバを切断し、その端面同士を
   突合せた後に一括して融着接続を行なう多心光ファイバ
   の一括融着接続方法において、 突合された光ファイバ同士のなす各端面間隔を計測し
   て、 次式１に基づいて最終押し込み量Ｓを決定し、 Ｓ＝α＋（Lmax−Lmin） …式１ 前記式１に基づいて決定した押し込み量では融着接続時
   の加熱に伴う光ファイバ端面の後退により接続できない
   場合、この後退量を最大端面間隔に対応して補償するた
   めに最終押し込み量Ｓを次式２に基づいて決定すること
   を特徴とする多心光ファイバの一括融着接続方法。 Ｓ＝ｋα＋（Lmax−Lmin）（ｋ＞１） …式２ ここで、α：端面後退量を考慮することなく定めた固定
   値、Lmax:光ファイバ端面間隔の最大値、Lmin:光ファイ
   バ端面間隔の最小値。