JP3153329B2 - 光ファイバの接続方法 - Google Patents

光ファイバの接続方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバ同士を接続
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバは、その低損失性、無誘導、
無漏話などの多くの特徴を生かし、短距離から長距離ま
で、小中容量から超大容量まで、さらには従来の同軸ケ
ーブルなどの伝送路では充分な性能が得られなかった誘
導雑音などの悪環境下での信頼できる伝送路として期待
されている(”光通信の現状と将来”、昭和62年3月
1日発行、電気通信技術審議会編、株式会社ぎょうせい
発行、p.167)。
【0003】ところで、光ファイバを用いたシステムを
拡大、追加する為に、2本の光ファイバを接続して使用
する場合がある。従来の接続方法では、2本の光ファイ
バをつき合せて、放電加熱によって光ファイバを溶融し
接続する融着接続の技術や、光ファイバの先端部にコネ
クタを取り付け、コネクタ同士を割スリーブ等を用いて
つき合せる技術が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の光ファ
イバの接続技術である融着接続技術では、フッ化物光フ
ァイバと石英系光ファイバとの様に、融点が大きく違う
光ファイバ同士の接続は困難であるし、コネクタを用い
た接続技術では、悪環境下での使用等により接続部に振
動が作用すると、2本の光ファイバの接続状態が変化
し、位置ずれが生じる。
【0005】その為、長期間使用の間に光接続損失が増
大したり、0.2dB以上の損失のばらつきが生じると
いう欠点があった。
【0006】そこで本発明は、接続状態が安定して保持
される、信頼性の高い接続方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、被覆が除去さ
れた第1光ファイバ及び第2光ファイバの端部を突き合
わせて接触させ、その接触部の近傍に前記第1光ファイ
バ及び第2光ファイバの転移点より低い融点を有するガ
ラス材を配置する第1工程と、ガラス材を転移点未満、
融点以上の温度で加熱することにより、ガラス材のみを
溶融し、第1光ファイバ及び第2光ファイバの接触部を
ガラス材で被覆する第2工程と、ガラス材を固化し、固
化されたガラス材で第1光ファイバ及び第2光ファイバ
の接触状態を維持する第3工程と、ガラス材により覆わ
れた接触部を保護部材により保護する第4工程とを備え
る。
【0008】
【作用】本発明によると、溶融したガラス材により第1
光ファイバ及び第2光ファイバの接続部は被覆され、固
化されたガラス材により第1光ファイバと第2光ファイ
バの接続状態が維持される。さらに、ガラス材で覆われ
た第1光ファイバ及び第2光ファイバの接続部は保護部
材により保護される。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面を参照し
て説明する。なお、説明において同一要素には同一符号
を用い、重複する説明は省略する。
【0010】図1は、実施例に係る光ファイバの接続方
法を示す工程図、図2は、本実施例に適用できる光ファ
イバ接続装置の概要を示す斜視図、図3は、本実施例に
適用できる別の光ファイバ接続装置の要部を示す斜視図
である。
【0011】最初に、図2に基づき、光ファイバ接続装
置の概要を説明する。この光ファイバ接続装置は、フッ
化物光ファイバ1を保持するファイバクランプ2、石英
系光ファイバ3を保持する調心機能付きファイバクラン
プ4、石英ガラスチューブ5、ヒータ6を含んで構成さ
れている。フッ化物光ファイバ1及び石英系光ファイバ
3は被覆が除去された一端で互いに突き合され、石英ガ
ラスチューブ5内で接続状態になっている。フッ化物光
ファイバ1の他端は光源7に接続され、石英系光ファイ
バ3の他端にはパワーメータ8が接続されている。その
為、光源7から入射されるモニタ光を検知することによ
り、フッ化物光ファイバ1及び石英系光ファイバ3にお
ける伝送損失を測定することができる。
【0012】また、ファイバクランプ2は2つの平板部
材2a、2bで構成され、フッ化物光ファイバ1を挟持
する構造になっている。また、ファイバクランプ4は、
石英系光ファイバ3の光軸方向(Z方向)、当該光軸と
直交する2方向(X方向、Y方向)に沿って移動できる
機構を備えた2つの平板部材4a、4bで構成され、石
英系光ファイバ3を挟持した状態で移動可能になってい
る。なお、この種の機構は公知なので説明は省略する。
【0013】石英ガラスチューブ5は石英系材料で形成
された円筒部材で構成されており、円筒部材の内部には
フッ化物光ファイバ1及び石英系光ファイバ3のガラス
転移点より低い融点を有する低融点ガラス材5aが配置
されている。フッ化物光ファイバ1及び石英系光ファイ
バ3は、この低融点ガラス材5aの内側で突き合わされ
ている。低融点ガラス材5aとしては、59Sn,6.4 P
b,34.0P,60.4F,121.5 O、あるいは56.5Sn,47
Pb, 38.7 P,52.8F,131.6 Oの組成比で構成され
た鉛スズフッ化リン酸塩ガラスを使用することができ
る。
【0014】ヒータ6は略リング状開口部6aを有する
ブロック体で構成され、その側壁には加熱部6bが埋設
されている。この加熱部6bは、少なくとも当該低融点
ガラス材5aを融点以上に加熱し、この低融点ガラス材
5aが完全に溶融状態になる程度の熱容量を石英ガラス
チューブ5に供給することができる。
【0015】以下、上記接続装置を用いて、本実施例に
係る光ファイバ接続方法を説明する。まず、フッ化物光
ファイバ1および石英系光ファイバ3の一端部の被覆を
除去する(ステップ101)。次に、これらの端部を石
英ガラスチューブ5に挿入し(ステップ102)、それ
ぞれの端部を突き合わせて接続させる。
【0016】次に、ヒータ6を用いて低融点ガラス材5
aを加熱、溶融し(ステップ103)、溶融されたガラ
ス材でフッ化物光ファイバ1および石英系光ファイバ3
の接続部を被覆する。この場合、モニタ光をパワーメー
タ8で測定することにより、伝送損失の増減をモニタし
ながら、フッ化物光ファイバ1および石英系光ファイバ
3の調心を行う(ステップ104)。この調心作業はフ
ァイバクランプ4をX、Y、Z方向に移動させることに
よりなされ、この調心作業によりフッ化物光ファイバ1
および石英系光ファイバ3は所望の状態で接続される。
【0017】次に、ヒータ6の加熱を停止させ、石英ガ
ラスチューブ5を低融点ガラス材5aの融点未満の温度
雰囲気中に置くことにより溶融ガラスを固化させる(ス
テップ105)。この結果、固化されたガラス材によ
り、フッ化物光ファイバ1および石英系光ファイバ3の
接続部は固定され保持される。最後に、この接続部を熱
収縮チューブなどの保護部材で保護する(ステップ10
6)。
【0018】なお、上記装置の石英ガラスチューブ5は
円筒部材を半分に分割した半割円筒部材を使用し、接続
部の両側に低融点ガラス部材5aを配置してもよい(図
3参照)。
【0019】また、V溝基板を用いてフッ化物光ファイ
バ1および石英系光ファイバ3の位置合せをすることが
できる。この場合、V溝の底部にフッ化物光ファイバ1
および石英系光ファイバ3を載置して位置合せを行い、
その上部に2本の低融点ガラス部材を配置する。この場
合、V溝の数に応じた本数の光ファイバを1回の加熱に
より同時に接続することが可能になるので、作業性は一
段と向上する。特に、テープ状光ファイバを用いると、
効果的である。
【0020】このように、本実施例によると、フッ化物
光ファイバと石英系光ファイバとの接続のように、融点
差が大きく、直接接続が困難な光ファイバ同士の接続に
有用である。
【0021】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変形が可能
である。例えば、上記実施例では光ファイバとして単心
ファイバを用いているが、本発明はテープ状光ファイバ
のような多心ファイバにも適用できる。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明では低融点ガラス
材により接続部が強固に保持されるので、接続状態は長
期的に安定して保持され、その結果、接続ファイバの信
頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る光ファイバの接続方法を
示す工程図である。
【図2】実施例に係る光ファイバの接続方法を適用する
ことができる接続装置の概要を示す斜視図である。
【図3】実施例に係る光ファイバの接続方法を適用する
ことができる別の接続装置の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…フッ化物光ファイバ、2、4…ファイバクランプ、
3…石英系光ファイバ、5…石英ガラスチューブ、6…
ヒータ、7…光源、8…パワーメータ。
フロントページの続き (72)発明者 中沢 正隆 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 宮島 義昭 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−176006(JP,A) 特開 平2−67504(JP,A) 特開 昭58−186713(JP,A) 昭和62年電子情報通信学会半導体・材 料部門全国大会講演論文集(2),2− 223 O plus E,通巻74号(昭 61−1−5),pp.60−65 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/00 - 6/54

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1光ファイバと第2光ファイバを接続
    する方法において、 被覆が除去された第1光ファイバ及び第2光ファイバの
    端部を突き合わせて接触させ、その接触部の近傍に前記
    第1光ファイバ及び第2光ファイバの転移点より低い融
    点を有するガラス材を配置する第1工程と、 前記ガラス材を前記転移点未満、前記融点以上の温度で
    加熱することにより、前記ガラス材のみを溶融し、前記
    第1光ファイバ及び第2光ファイバの接触部を前記ガラ
    ス材で被覆する第2工程と、 前記ガラス材を固化し、固化されたガラス材で前記第1
    光ファイバ及び第2光ファイバの接触状態を維持する第
    3工程と、 前記ガラス材により覆われた接触部を保護部材により保
    護する第4工程と、を備える光ファイバの接続方法。
  2. 【請求項2】 前記第1光ファイバはフッ化物光ファイ
    バであり、前記第2光ファイバは石英系光ファイバであ
    る請求項1記載の光ファイバの接続方法。
  3. 【請求項3】 前記第2工程及び前記第3工程の間に、
    突き合わされた状態にある前記第1光ファイバ及び第2
    光ファイバの一端から入射されたモニタ光を他端で検出
    することにより、前記第1光ファイバ及び第2光ファイ
    バを伝播するモニタ光の接続損失を求め、当該接続損失
    に基づき前記第1光ファイバ及び第2光ファイバを調心
    する工程を備える請求項1記載の光ファイバの接続方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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昭和62年電子情報通信学会半導体・材料部門全国大会講演論文集(2),2−223 O plus E,通巻74号(昭61−1−5),pp.60−65

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