JP2931021B2 - 電磁駆動装置、およびこれを用いた光ディスク装置 - Google Patents

電磁駆動装置、およびこれを用いた光ディスク装置

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JP2931021B2 JP4440390A JP4440390A JP2931021B2 JP 2931021 B2 JP2931021 B2 JP 2931021B2 JP 4440390 A JP4440390 A JP 4440390A JP 4440390 A JP4440390 A JP 4440390A JP 2931021 B2 JP2931021 B2 JP 2931021B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は電磁駆動装置、およびこれを用いた光ディス
ク装置に関する。
(従来の技術) 現在、光ディスク装置や磁気ディスク装置など様々な
分野において、アクチュエータとしての電磁駆動装置が
用いられている。第27図は、従来から光ディスク装置に
用いられている電磁駆動装置であり、以下、同図に基づ
いて従来技術を説明する。
同図に示すように、光ディスク101に対して光源から
の光ビームを集光・照射する対物レンズ102が、可動体1
03上に搭載されている。対物レンズ102はカバー104内に
設けられる対物レンズ駆動系により、光ディスク101の
厚さ方向に微小移動可能であると共に光ディスク101の
半径方向にも微小移動が可能である。また、対物レンズ
102を光ディスク101の半径方向に比較的長い距離だけ駆
動するために設けられるトラッキング駆動系は、ヨーク
105およびこれらヨーク105に固定される永久磁石106か
らなる一対の磁気回路107と、可動体103に固定されるト
ラッキングコイル108と、可動体103の移動方向を規制す
るリニアガイド109およびリニアガイド109に摺接し転動
可能なガイドローラ110から構成されている。そしてト
ラッキングコイル108に流れる電流と、磁気回路107内に
流れる磁束とにより発生するローレンツ力の作用で、可
動体103を光ディスク101の半径方向へ粗動駆動し、さら
に前述した対物レンズ駆動系によって対物レンズ102を
微小駆動して、光ディスク101面の所望の位置に光ビー
ムのスポットを形成し、情報の記録・再生を行うもので
ある。
ここで用いられている磁気回路107は第28図に示すよ
うに、平板状のヨーク105aおよび断面コの字形のヨーク
105bを接合してヨーク105を形成すると共に、その中心
の空間に永久磁石106が配置(ヨーク105aに固定)され
てなるものである。
ところが、このような磁気回路107であると、第29図
(a)に示すように、永久磁石106のN極から発生した
磁束の全てがヨーク105bの長辺に向って直進せず、磁束
の一部はヨーク105bの両短辺に向って迂回してしまうよ
うな磁路を形成してしまう。また同図(b)に示す方向
から見れば、永久磁石106の端部から発生する磁束は空
気中を通って直接ヨーク105aに戻ってしまうような磁路
を形成してしまう。従って、前記空間内つまり磁気ギャ
ップ内での磁束密度の分布は面方向に一様とはならず、
磁気ギャップの中心部に比べて端部での磁束密度が小さ
くなってしまう。
また、こういった磁気回路107の小形化を考えた場
合、永久磁石106の磁気特性やヨーク105の磁気飽和など
の材料特性が問題になり、磁気ギャップ内での磁束密度
の分布を面方向に一様に保つのは非常に困難となってヨ
ーク105より透磁率の小さな空気中にかなりの磁束が漏
れてしまう。このような磁路が形成されてしまうと磁気
キャップ中心付近と終端付近の磁束は大きく異なってし
まうので、第27図の電磁駆動装置に適用した場合、可動
体103の位置により、発生する駆動力が異なってくるの
で、対物レンズ102の移動加速度が不均一になって対物
レンズ102の位置決め制御が不安定なものとなってしま
う。
(発明が解決しようとする課題) 以上のように従来は、磁気回路の形成する磁路は磁気
ギャップの面方向にわたって一様でなく、しかも磁気回
路の小形化を行なうと磁気ギャップ内での磁束密度の分
布を一様に保つのが非常に困難になってしまう。そして
この磁気回路を用いた電磁駆動装置とすると、可動体の
位置により、発生する駆動力が異なってしまい、対物レ
ンズの位置決め制御が不安定なものとなってしまう。本
発明はこういった従来の問題点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、常に安定した駆動力を
得ることのできる電磁駆動装置の提供、さらには対物レ
ンズの位置決め制御が確実に行われる光ディスク装置の
提供にある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するために本発明においては、第1
のヨーク材と、この第1のヨーク材にN極を固定する少
なくとも2個の第1の永久磁石と、この永久磁石のS極
に固定され、少なくともこれら永久磁石により挾まれる
空間内にて第1のヨーク材との対向面の距離を略一定と
する第2のヨーク材と、前記空間の開口部付近に配置さ
れ、前記空間の厚さ方向と異なる方向に着磁方向を有す
る第2の永久磁石と、前記空間の内部に配置されるトラ
ッキングコイルと、前記空間の外部でかつ第2の永久磁
石の磁場内に配置されるフォーカシングコイルと、フォ
ーカシングコイルおよびトラッキングコイルを搭載する
可動体と、この可動体に搭載され、フォーカシングコイ
ルおよびトラッキングコイルへの通電制御により、光デ
ィスクの所定位置へ位置決め制御される光ヘッドとを有
する光ディスク装置とした。
(作用) 以上のような構成によれば、磁気ギャップ内での磁束
密度の分布が面方向にわたってほぼ一様となるため、磁
気ギャップ内でほぼ一定の駆動力を得ることができると
ともに、フォーカシングコイルに磁力を与えるために取
り付けた永久磁石がトラッキングコイルに対しても磁束
を与え、可動体の重量分布に応じて磁束密度分布を変化
させる対応が可能となる。したがって、常に安定した駆
動力が得られ、しかも小形化が可能な電磁駆動装置、お
よび位置決め制御の確実な光ディスク装置が提供され
る。
(実施例) 以下、図面に基づいて本発明を説明する。まず、本発
明の基本構成となる電磁駆動装置の磁気回路について説
明する。第1図および第2図は本発明の基本構成となる
電磁駆動装置の磁気回路の分解斜視図および斜視図であ
る。ここで磁気回路1は同図に示すように、形状の等し
い2枚の板状のヨーク2,3と、やはり形状の等しい2枚
の板状の永久磁石4,5からなる。そして永久磁石4,5の着
磁の向きをそろえて着磁された方向からヨーク2,3にて
挾み込むように構成されている。ここでヨーク2,3の対
向面は平面となっており、しかも永久磁石4,5の着磁方
向の厚みは等しいので、ヨーク2,3の対向面の距離は面
方向にわたって一定である。さらに、ヨーク2,3および
永久磁石4,5とで囲まれる空間は磁気ギャップとなり、
この磁気ギャップの形状は直方体状となる。ここで磁気
ギャップの長さを広くとるために、永久磁石4,5をヨー
ク2,3の側端部に配置している。
次に、磁気回路1の磁束の流れについて説明する。第
2図に示すように、永久磁石4,5のN極から発生した磁
束はヨーク3内を通って磁気ギャップからヨーク2に向
かい、永久磁石4,5のS極に戻る経路を辿る。このルー
トをR1とする。第3図の磁気回路1の正面図の方向から
見ると、本実施例ではこのR1の他に、磁気ギャップを通
過せず周囲の空気中を通って戻るような磁束の流れが発
生する。このルートをR2とする。ここでR1とR2とを比較
すると、磁気ギャップ内でヨーク2からヨーク3へ向か
って磁束が最短距離を流れるR1に対し、磁束が磁気回路
1外を円弧を描くように流れるR2は、磁束が空気中を流
れる距離が長い。空気の透磁率はヨーク1,2の透磁率に
比べて十分小さいので、磁束は空気中を通りづらく、従
ってN極から発生したほとんどの磁束はR1のルートを辿
ってS極に戻ることになる。また、前述したようにヨー
ク2,3の対向面の距離は面方向にわたって一定であるの
で、磁気ギャップ内での磁束密度の分布も面方向にわた
ってほぼ一様となる。
そしてこのような構成の磁気回路1にて全体を小形化
した場合を考える。第28図の従来例に示したように従来
では磁気回路を小形化するとヨーク105が磁気飽和を起
こして磁束が流れにくくなり、磁気ギャップ内から磁束
が空気中に漏れてしまって磁気ギャップ内での磁束密度
が面方向で変化してしまう。本発明にてヨーク3が磁気
飽和を生じると、第4図に斜線で示す仮想断面より内側
に磁束が流れてこなくなり、この断面を通過するのを避
けて磁束がR2xやR2yなどのルートを辿るようになる。
(ここで添字x,yは磁束の流れる方向を表している。)
従って、磁気ギャップ内を通過する磁束はたとえば磁気
飽和の状態であっても変化せず、磁束密度の分布は磁気
回路1を小形化してもほぼ一定に保たれる。
また、第28図の従来例では、磁気ギャップの厚さ方向
にヨーク105a,永久磁石106,磁気ギャップ,ヨーク105b
が直列配置されるが、本発明では磁気ギャプと永久磁石
4,5とが並列配置となるため、磁気回路の薄形化が実現
される。
また、第6図のように磁気ギャップ内にコイル6が挿
通されるように配置して電磁駆動装置10を構成した場
合、コイル6に通電制御することによってコイル6には
どの位置においても安定した駆動力が発生し、磁気ギャ
ップ内を滑らかに移動する。従ってコイル6を光ディス
ク装置や磁気ディスク装置の記録・再生用ヘッド(対物
レンズや磁気ヘッドなど)に連結した場合、目的の情報
に素早く性格にアクセスすることが可能となる。
第5図は本発明の基本構成となる他の電磁駆動装置の
磁気回路の正面図である。同図からも明らかなように、
本実施例の磁気回路11は、ヨーク12がヨーク13a,13bの
2倍の厚さを有しており、また、永久磁石14a,15aと永
久磁石14b,15bの着磁の向きは逆になるように構成され
る。つまり、磁気回路11は、上記磁気回路1をその着磁
方向に重ねた構造をなしている。そしてここでは、4個
の永久磁石14a,14b,15a,15bにより計2つの磁気ギャッ
プが形成されている。
このような構造の磁気回路11としても2つの磁気ギャ
ップ内での磁束密度の分布は面方向にわたって一様であ
り、小形化を図ってもこの分布はほとんど変化しない。
さらに、第7図のように磁気回路11の2つの磁気ギャッ
プにわたるようにコイル16を巻装した電磁駆動装置20と
すれば、コイル16の有効巻線部は第9図の実施例の約2
倍の面積となり、コイルの利用効率が大幅に向上して駆
動力が増加する。従ってコイル16を光ディスク装置や磁
気ディスク装置の記録・再生用ヘッド(対物レンズや磁
気ヘッドなど)に連結した場合、目的の情報により素早
くより正確にアクセスすることが可能となる。
第8図および第9図は本発明の第1の実施例に係る電
磁駆動装置の磁気回路の分解斜視図および正面図であ
る。本実施例の磁気回路41は、第5図の如くの積層構造
であると共に、ヨーク43bより厚みを大きくしたヨーク4
3aの面方向の断面を略コの字形となるように構成してそ
の溝部に新たな板状の永久磁石48を配置するものであ
る。ここで永久磁石48はS極をヨーク43aに固定し、N
極の面をヨーク43aの図面前方に一致させており、永久
磁石44a,44b,45a,45bの着字方向と永久磁石48の着磁方
向は直交している。なお、永久磁石48の着磁の向きはN
極とS極とが逆となる構成であってよい。またここで
は、永久磁石48の長さ(永久磁石44,45を結ぶ方向)お
よび厚みは、ヨーク43aの溝部の流さおよび厚みに比べ
てやや小さくなっているが、同じであってもよい。ま
た、永久磁石48の幅(永久磁石48の着磁方向)は、永久
磁石48のN極がヨーク43aの前方面に一致するように設
定されているが、前方面からやや突出しているなどして
もよい。
このような構造の磁気回路41とすると、第12図(a)
〜(c)に示すような磁束密度分布が発生する。ここで
同図(b)については磁気ギャップの中心面での磁束密
度分布を示しているが、同図(a),(c)については
永久磁石48の着磁方向の磁束密度分布を示している。
永久磁石48のN極から発生した磁束は、ヨーク43aま
たはヨーク42を通過して永久磁石48のS極に戻る磁路を
形成する。そして、基本構成となる上記した磁気回路1
(第1図参照)内の磁束の流れを妨げることなく、永久
磁石48が発生する磁束は磁気回路41の内部を無理なく有
効に流れる。
そして、磁気回路41に発生する磁束の流れを利用する
ことによって可動体を2方向に駆動することができる。
以下、この磁気回路41を用いた電磁駆動装置の応用例と
して、光ディスク装置への応用例を説明する。
第14図は光ディスク装置の内部構造を示す斜視図、第
15図は可動体および磁気回路を示す斜視図、第16図は可
動体を示す斜視図、第17図は磁気回路を示す分解斜視
図、第18図は第14図中のA−A線による可動体および磁
気回路の断面図、第19図は第14図中のB−B線による可
動体および磁気回路の断面図、第20図は第18図の要部拡
大図である。
第14図に透視状態で表した回転可能な光ディスク61に
対して情報の読み取り、あるいは書き込みを行うための
光学ヘッド(記録・再生用光ヘッド)である対物レンズ
62には、固定光学系74内に備えられた半導体レーザなど
の光源から生成された光ビームがビームスプリッタや反
射ミラーなどを介して導かれるようになっており、この
光ビームを光ディスク61のトラックに集光・照射するこ
とにより情報の読み取り、あるいは書き込みが行われ
る。対物レンズ62はレンズホルダ63に搭載され、またレ
ンズホルダ63は一端面を2枚の板バネ64a,64bによって
弾性支持されており、対物レンズ62はその光軸をZ方向
に向けた状態で平行移動が可能である。このレンズホル
ダ63には、対物レンズ62を囲むように、Z方向を軸とし
て巻装されたフォーカシングコイル65が配置され、磁気
回路41,41′と共にフォーカシング電磁駆動系が形成さ
れる。(第19図参照。)なお、対物レンズ62、レンズホ
ルダ63、フォーカシングコイル65などは前記板バネ64a,
64bを介して可動体であるキャリッジ66に搭載されてい
る。レンズホルダ63およびキャリッジ66は、例えばプラ
スチックなどの樹脂材料からなっている。
一方、キャリッジ66の両側面には、X方向を軸とする
ように巻装された1個のトラッキングコイル67が固定さ
れており、さらにこのトラッキングコイル67の両端面に
はガイドローラ機構68a,68bが固定されている。ガイド
ローラ機構68aは、板バネ69a,69bにより弾性支持された
1組のガイドローラ70を備えており、一方、ガイドロー
ラ機構68bは板バネを介さずに2組のガイドローラ71a,7
1bを備えるものである。これらガイドローラ70,71a,71b
の回転軸は、Y方向に対して45゜方向に設定されてお
り、ベース72に固定されX方向に長手方向を有する断面
円形状のリニアガイド73a,73bに摺接し、その側面を流
手方向に向って転動する。従って、キャリッジ66はリニ
アガイド73a,73bが両端支持されてX方向に移動が可能
である。なお、トラッキングコイル67は磁気回路41,4
1′と共にトラッキング電磁駆動系を形成している。
磁気回路41,41′は第8図および第9図に示すものと
比べてヨークや永久磁石の形状が多少異なるものの、基
本的な構造は同じである。但し、ここではキャリッジ66
の重心に対して左右対称な位置に2つが設けられる構成
となっている。
そして、キャリッジ66に固定されたトラッキングコイ
ル67は、磁気回路41,41′が形成する計4つの磁気ギャ
ップに挿通されるように巻装されており、ヨーク42,4
2′,43a,43a′,43b,43b′に対して非接触の状態が保た
れるようにリニアガイド73a,73bに支持される。また、
第14の状態ではフォーカシングコイル65と永久磁石48,4
8′は空隙を介して対向している。永久磁石48,48′の長
さは、キャリッジ66の可動長さ全域において常にフォー
カシングコイル65と対向するだけの十分な寸法を有して
いる。
以上のような構造の光ディスク装置の動作について説
明する。対物レンズ62をX方向に駆動する場合、トラッ
キングコイル67に必要量の電流を通電する。この電流の
方向(Y方向)と、磁気回路41,41′の磁気ギャップ内
での磁束の方向(Z方向)とにより、X方向にローレン
ツ力つまり駆動力が働く、磁気ギャップ内での磁束密度
は一定であるので、トラッキングコイル67に通電する電
流の制御により駆動量,駆動方向および駆動速度が決定
される。キャリッジ66はトラッキングコイル67の受ける
駆動力に従い、X方向に長手方向を有するリニアガイド
73a,73b上をガイドローラ70,71a,71bが転動しながら移
動を行う。そして対物レンズ62は光ディスク61半径方向
の所定の位置に粗動,微小位置決めされる。
対物レンズ62をZ方向に駆動する場合、フォーカシン
グコイル65に必要量の電流を通電すれば、この電流の方
向(X方向)と、永久磁石48,48′の磁束の方向(Y方
向)とによりZ方向に駆動力が働く。そして同様に、フ
ォーカシングコイル65に通電する電流の制御により駆動
量,駆動方向および駆動速度が決定される。レンズホル
ダ63はフォーカシングコイル65の受ける駆動力に従い、
2枚の板バネ64a,64bの等しい湾曲動作を伴いながら移
動を行う。そして対物レンズ62が形成する光ビームのス
ポットは、光ディスク61の所定の位置にて微小位置決め
され、正確に焦束される。
なお、フォーカシングコイル65に与える電流は板バネ
64a,64bを介して供給されるようになっており、板バネ6
4a,64bの他端(キャリッジ側)に設けられキャリッジ66
から突出する端子(図示せず)が電源に接続している。
このような光ディスク装置とすると、対物レンズ62の
X方向への駆動の際、磁気ギャップ内では磁束密度の分
布が面方向にわたって一様であるため、磁気ギャップ内
で一定の駆動力を得ることができる。従来の磁気回路で
は磁気ギャップの両端付近で磁束密度が大きく低下する
が、本発明の磁気回路41,41′とするとその心配はなく
なり、磁気ギャップの中央付近でも両端付近でも安定し
た駆動力が得られる。そのため、キャリッジ66がどの位
置にあってもトラッキングコイル67への通電制御を変化
させる必要がなく、制御が非常に簡単になる。また磁気
回路41,41′全体を小形化(厚さ、幅、長さ方向)した
り、あるいは永久磁石の起磁力を大きくしたりすること
により、ヨークの飽和磁束密度がオーバーしてもトラッ
キングコイル67に加わる磁束密度は磁気ギャップの面方
向にわたってほぼ一様で、キャリッジ66がどの位置にあ
っても発生する駆動力はほぼ一定となる。
また、第14図のA−A線断面の要部拡大図である第20
図に示すように、フォーカシングコイル65に磁力を与え
るために取り付けた永久磁石48は、トラッキングコイル
67に対しても磁束を与えることになる。そして同図
(a)のように磁気ギャップ内での磁束の流れと同じ向
きとなるように永久磁石48を取り付けると、同図(b)
のに示すような磁束密度分布となり、キャリッジ66の
中心部付近にまで駆動力の発生が及ぶ。従って、キャリ
ッジ66全体の重量が比較的中心部付近に集中しているよ
うなものにあっては、の磁束密度分布とすると有効で
ある。また、永久磁石48の着磁の向きを同図(a)の向
きと逆になるように固定すれば、磁気ギャップ内での磁
束密度分布が上昇し、同図(b)のに示すような磁束
密度分布となる。従って、キャリッジ66全体の重量が比
較的週端部付近(ガイドローラ73a,73bの近傍)に集中
しているようなものにあっては、の磁束密度分布とす
ると有効である。
第10図および第11図は本発明の第2の実施例に係る電
磁駆動装置の磁気回路の分解斜視図および正面図であ
る。本実施例の磁気回路51は、上述した第1の実施例に
用いた永久磁石48の代わりに、永久磁石58をヨーク52に
固定するものである。そしてここでは、永久磁石58の長
さ(永久磁石54,55を結ぶ方向)はヨーク52の溝部の長
さに比べてやや小さく、また永久磁石58の厚みはヨーク
52の厚みに等しく設定されているが、もちろん必ずしも
こうである必要はないものである。
このような構造の磁気回路51とすると、第13図(a)
〜(c)に示すような磁束密度分布が発生する。ここで
同図(b)については磁気ギャップの中心面での磁束密
度分布を示しているが、同図(a),(c)については
永久磁石58の着磁方向の磁束密度分布を示している。
永久磁石58のN極から発生する磁束は上下のヨーク53
a,53bに戻るので磁気抵抗が小さくなり、磁極端面の磁
束密度をさらに上げることができる。
この磁気回路51からなる電磁駆動装置を上記の光ディ
スク装置に適用した場合、磁気回路51とキャリッジ66と
の位置関係は第21図、第22図に示すようになる。ここで
第21図は、第14図に示す前述の実施例におけるB−B線
による断面図と同一の部位を示すものであり、第22図
は、キャリッジ66の中心を通るXZ平面による断面図であ
る。また、第23図はキャリッジ66の側面図である。な
お、ここでは永久磁石58,58′から発生する磁束を有効
に利用する目的で、キャリッジ66側の永久磁石58,58′
と対向する位置に、Y方向を軸とするように巻装された
計4個の偏平状のフォーカシングコイル65a,65a′,65b,
65b′が、キャリッジ66の両側面に2個づつ固定されて
いる。また、2枚の板バネ64a,64bは、ここではトラッ
キングコイル67を挾み込むように等距離の位置に配置さ
れてレンズホルダ63を弾性支持している。(その他の構
成は、前述の光ディスク装置と同一である。)もちろん
本実施例においても、対物レンズ62のX方向への駆動の
際、磁気ギャップ内では磁束密度の分布が面方向にわた
って一様であるため、磁気ギャップ内で一定の駆動力を
得ることができる。
また、本実施例でもやはり第20図に示すように、永久
磁石58の磁極の向きが逆となるように固定すれば、トラ
ッキングコイル67に与える磁力の大きさを変化させるこ
とができる。
なお、第1および第2の実施例においては、磁気回路
41,51にさらに新たな永久磁石を取り付けるなどして磁
束の流れや分布を調節することもできる。
続いて、第24図から第26図に基づいて本発明の磁気回
路が光ディスクに与える磁界の影響を説明する。なお、
以下の実施例においては、光ディスク61(正確には光磁
気ディスク)を挾んで磁気回路と対向する側には補助磁
界発生装置81が設けられ、光ディスク61に近接するよう
に配置されている。
第24図は、磁気回路41を用いた場合の光ディスクへの
磁界の影響を示す断面図である。一般に光ディスク装置
で情報の記録と再生の両方を行う場合には、光ディスク
に照射される光ビームの強度を一定として光ディスク記
録面内の磁気モーメントを一方向にそろえる必要があ
り、これには光ディスク面にバイアス磁界を付与する必
要がある。ここで、磁気モーメントを一定にするために
は情報の記録時と情報の再生時とでは互いに逆向きのバ
イアス磁界が必要であり、この磁極の反転制御を行うた
めに電磁石である補助磁界発生装置81aが設けられる。
補助磁界発生装置81aはヨーク82aおよびコイル83aを有
し、例えば図中矢印で示されるような磁束の流れを形成
して情報の記録を行い、一方、コイル83aへ通電する電
流の向きを反転して図示したのとは逆向きの磁束の流れ
を形成することによって情報の再生を行うものである。
このように構成した場合、永久磁石48からの磁束の流
れは光ディスク61面に到達し、Z方向への磁界が供給さ
れるので、永久磁石48の磁束はフォーカシングコイル
駆動、トラッキングコイル駆動、光ディスク面への
磁界供給に寄与することになる。そしての効果によっ
て、光ディスク61への情報の記録時もしくは再生時に、
補助磁界発生装置81aの発生する磁力(つまりコイル83a
へ通電する電流の量)を少なく抑えることができるよう
になる。
第25図は、磁気回路51を用いた場合の光ディスクへの
磁界の影響を示す断面図である。なお、その他の構成と
しては第21図、第25図に示すものを採用している。本実
施例の場合、永久磁石58からの磁束のほとんどはヨーク
53a,53bに吸収されるので、光ディスク61面に到達する
磁束はほとんどない。従って、記録,再生,消去を光デ
ィスク61記録面上の補助磁界強度の変調によって実現す
る場合、アクチュエータ駆動用の磁気回路の影響がな
い。その結果、補助磁界発生装置81bのコイル83bに流す
電流量に対応したバイアス磁界を発生できる。
また、第26図に示すように、補助磁界発生装置81bが
発生する磁束は、磁気回路51のヨーク53a内を流れるよ
うな効果的な磁路を形成する。そのため、光ディスク61
の記録面をZ方向に向かいヨーク53aを通過した後にヨ
ーク81bに戻る磁束の量が増加する。従って、コイル83b
へ通電する電流の量に対する光ディスク61記録面の通過
磁束密度はさらに増加し、空気中へ漏洩してしまう無駄
な磁束の量を少なく抑えることができる。
なお、コイル83bへ通電する電流の向きを反転した場
合、補助磁界発生装置81bから発生してヨーク53aを通過
する磁束は、フォカシングコイル65a,65a′を駆動する
磁束に変動を与えることになる。しかし、一般に磁気回
路51が発生する磁束の量に対して補助磁界発生装置81b
が発生する磁束の量は少ない(光ディスク記録面に供給
すべき磁束の量は、フオーカス駆動用の磁束の量より小
さい)。そのため、例えば、第26図に実線で示すような
磁束密度分布曲線に対し、補助磁界発生装置81bの磁束
の向きを反転した場合には、破線に示すようなわずかな
磁束密度分布の変化としかならず、駆動力が大きく変化
することはない。従って、フォーカシングコイル65a′,
65b′に付与される磁束密度分布は、磁束の向きが反転
してもほとんど磁束変動がなく、フォーカシングコイル
65a′,65b′は常に安定した駆動力を供給する。
[発明の効果] 以上述べたように本発明によれば、常に安定した駆動
力の得られてしかも小形化が可能な電磁駆動装置、およ
び位置決め制御の確実な光ディスク装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第4図は本発明の基本構成となる磁気回路を
示す図、第5図は本発明の基本構成となる他の磁気回路
を示す図、第6図および第7図は本発明の基本構成とな
る磁気回路を含む電磁駆動装置を示す図、第8図乃至第
13図は本発明に係る磁気回路の実施例を示す図、第14図
乃至第23図は本発明の電磁駆動装置を用いた光ディスク
装置を示す図、第24図乃至第26図は本発明に係る磁気回
路と光ディスクとの磁束の関係を示す図、第27図乃至第
29図は従来の磁気回路および光ディスク装置を示す図で
ある。 1,11,41,51……磁気回路 2,3,12,13a,13b,42,42′,43a,43a′,43b,43b′,52,53a,
53b……ヨーク 4,5,14a,14b,15a,15b,44a,44a′,44b,44b′,45a,45a′,
45b,45b′,48,54a,54b,55a,55b,58……永久磁石 10,20……電磁駆動装置 16,65,65a,65a′,65b,65b′,67……コイル 81a,81b……補助磁界発生装置

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1のヨーク材と、 前記第1のヨーク材にN極を固定する少なくとも2個の
    第1の永久磁石と、 前記永久磁石のS極に固定され、少なくとも前記永久磁
    石どうしにより挟まれる空間内にて前記第1のヨーク材
    との対向面の距離を略一定とする第2のヨーク材と、 前記空間の開口部付近に配置され、前記空間の厚さ方向
    と異なる方向に着磁方向を有する第2の永久磁石と、 前記空間の内部に配置される第1のコイルと、 前記空間の外部でかつ前記第2の永久磁石の磁場内に配
    置される第2のコイルと、 を有することを特徴とする電磁駆動装置。
  2. 【請求項2】第1のヨーク材と、 前記第1のヨーク材に一方の磁極を固定する少なくとも
    2個の第1の永久磁石と、 前記第1のヨーク材に前記第1の永久磁石と同一の磁極
    を固定する少なくとも2個の第2の永久磁石と 前記第1の永久磁石の他方の磁極に固定され、少なくと
    も前記第1の永久磁石どうしにより挟まれる第1の空間
    内にて前記第1のヨーク材との対向面の距離を略一定と
    する第2のヨーク材と、 前記第2の永久磁石の他方の磁極に固定され、少なくと
    も前記第2の永久磁石どうしにより挟まれる第2の空間
    内にて前記第1のヨーク材との対向面の距離を略一定と
    する第3のヨーク材と、 前記空間の開口部付近に配置され、前記空間の厚さ方向
    と異なる方向に着磁方向を有する第3の永久磁石と、 前記第1および第2の空間の内部に配置される第1のコ
    イルと、 前記第1および第2の空間の外部でかつ前記第3の永久
    磁石の磁場内に配置される第2のコイルと、 を有することを特徴とする電磁駆動装置。
  3. 【請求項3】第1のヨーク材と、 前記第1のヨーク材にN極を固定する少なくとも2個の
    第1の永久磁石と、 前記永久磁石のS極に固定され、少なくとも前記永久磁
    石により挟まれる空間内にて前記第1のヨーク材との対
    向面の距離を略一定とする第2のヨーク材と、 前記空間の開口部付近に配置され、前記空間の厚さ方向
    と異なる方向に着磁方向を有する第2の永久磁石と、 前記空間の内部に配置されるトラッキングコイルと、 前記空間の外部でかつ前記第2の永久磁石の磁場内に配
    置されるフォーカシングコイルと、 前記フォーカシングコイルおよび前記トラッキングコイ
    ルを搭載する可動体と、 前記可動体に搭載され、前記フォーカシングコイルおよ
    び前記トラッキングコイルへの通電制御により、光ディ
    スクの所定位置へ位置決め制御される光ヘッドと、 を有することを特徴とする光ディスク装置。
  4. 【請求項4】第1のヨーク材と、 前記第1のヨーク材に一方の磁極を固定する少なくとも
    2個の第1の永久磁石と、 前記第1のヨーク材に前記第1の永久磁石と同一の磁極
    を固定する少なくとも2個の第2の永久磁石と、 前記第1の永久磁石の他方の磁極に固定され、少なくと
    も前記第1の永久磁石どうしにより挟まれる第1の空間
    内にて前記第1のヨーク材との対向面の距離を略一定と
    する第2のヨーク材と、 前記第2の永久磁石の他方の磁極に固定され、少なくと
    も前記第2の永久磁石どうしにより挟まれる第2の空間
    内にて前記第1のヨーク材との対向面に距離を略一定と
    する第3のヨーク材と、 前記空間の開口部付近に配置され、前記空間の厚さ方向
    と異なる方向に着磁方向を有する第3の永久磁石と、 前記第1および第2の空間の内部に配置されるトラッキ
    ングコイルと、 前記第1および第2の空間の外部でかつ前記第3の永久
    磁石の磁場内に配置されるフォーカシングコイルと、 前記フォーカシングコイルおよび前記トラッキングコイ
    ルを搭載する可動体と、 前記可動体に搭載され、前記フォーカシングコイルおよ
    び前記トラッキングコイルへの通電制御により、光ディ
    スクの所定位置へ位置決め制御される光ヘッドと、 を有することを特徴とする光ディスク装置。
  5. 【請求項5】第1のヨーク材と、 前記第1のヨーク材にN極を固定する少なくとも2個の
    第1の永久磁石と、 前記永久磁石のS極に固定され、少なくとも前記永久磁
    石により挟まれる空間内にて前記第1のヨーク材との対
    向面の距離を略一定とする第2のヨーク材と、 前記空間の開口部付近に配置され、前記空間の厚さ方向
    と異なる方向に着磁方向を有する第2の永久磁石とから
    なる磁気回路を複数配置するとともに、 前記空間の内部に配置されるトラッキングコイルと、 前記空間の外部でかつ前記第2の永久磁石の磁場内に配
    置されるフォーカシングコイルと、 前記フォーカシングコイルおよび前記トラッキングコイ
    ルを搭載する可動体と、 前記可動体に搭載され、前記フォーカシングコイルおよ
    び前記トラッキングコイルへの通電制御により、光ディ
    スクの所定位置へ位置決め制御される光ヘッドと、 を有することを特徴とする光ディスク装置。
  6. 【請求項6】第1のヨーク材と、 前記第1のヨーク材に一方の磁極を固定する少なくとも
    2個の第1の永久磁石と、 前記第1のヨーク材に前記第1の永久磁石と同一の磁極
    を固定する少なくとも2個の第2の永久磁石と、 前記第1の永久磁石の他方の磁極に固定され、少なくと
    も前記第1の永久磁石どうしにより挟まれる第1の空間
    内にて前記第1のヨーク材との対向面の距離を略一定と
    する第2のヨーク材と、 前記第2の永久磁石の他方の磁極に固定され、少なくと
    も前記第2の永久磁石どうしにより挟まれる第2の空間
    内にて前記第1のヨーク材との対向面の距離を略一定と
    する第3のヨーク材とからなる磁気回路を複数配置する
    とともに、 前記第1および第2の空間の内部に配置されるトラッキ
    ングコイルと、 前記第1および第2の空間の外部でかつ前記第3の永久
    磁石の磁場内に配置されるフォーカシングコイルと、 前記フォーカシングコイルおよび前記トラッキングコイ
    ルを搭載する可動体と、 前記可動体に搭載され、前記フォーカシングコイルおよ
    び前記トラッキングコイルへの通電制御により、光ディ
    スクの所定位置へ位置決めされる光ヘッドと、 を有することを特徴とする光ディスク装置。
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