JP2920580B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP2920580B2
JP2920580B2 JP22050392A JP22050392A JP2920580B2 JP 2920580 B2 JP2920580 B2 JP 2920580B2 JP 22050392 A JP22050392 A JP 22050392A JP 22050392 A JP22050392 A JP 22050392A JP 2920580 B2 JP2920580 B2 JP 2920580B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置に関する。よ
り詳しくは、アクティブマトリクス型液晶表示装置等の
光弁装置に用いられる半導体駆動基板に関する。さらに
詳しくは、画素スイッチング素子群及び周辺ドライバー
回路が同一基板上に集積的に形成された構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アクティブマトリクス型光弁装置
用の駆動基板としては、石英等の絶縁基板上に薄膜トラ
ンジスタ(TFT)を集積的に形成した所謂TFT基板
が知られていた。例えば、特開平3−101714号公
報には半導体薄膜材料として多結晶シリコンを用いたT
FT基板が開示されている。又、多結晶シリコンに代え
てアモルファスシリコンを用いたTFT基板も知られて
いる。しかしながら、多結晶シリコンやアモルファスシ
リコンのキャリア移動度は比較的小さい為、同一基板上
に周辺ドライバー回路を形成する上で困難が伴なうとい
う欠点がある。
【0003】近年、石英等の絶縁基板上に単結晶シリコ
ン層を貼り合わせたウェハを用いて駆動基板を作成する
技術が開発されており、例えば特開平3−100516
号公報に開示されている。前述した多結晶シリコンやア
モルファスシリコンに比べ、単結晶シリコンは高い移動
度を有する為、通常のIC製造プロセスを駆使して高性
能且つ大容量の周辺ドライバー回路を同時に形成する事
ができるという利点がある。しかしながら、実際にはI
C製造プロセスにおける最高処理温度が1150℃程度
に達する為、単結晶シリコン層と絶縁基板の熱膨張係数
の違いから、ウェハの反りが生じ所望の製造歩留りを得
る事ができないという欠点がある。
【0004】又、バルクの単結晶シリコンウェハを利用
して光弁装置用駆動基板を作成する技術も近年開発され
ており、例えば第8回インターナショナル ワークショ
ップオン フューチャー エレクトロン デバイス(8
TH INTERNATIONAL WORKSHOP
ON FUTURE ELECTRON DEVIC
ES)1990年3月14日から16日,日本高知県,
81〜84ページに開示されている。バルクの単結晶シ
リコンウェハを用いれば何ら問題なく通常のLSI製造
プロセスが適用できる。しかしながら、光弁装置用基板
とする為には透明化する必要があり、ウェハ上に形成さ
れた集積回路に対して2回のデバイス転写を行ない、シ
リコンウェハを透明基板に置換している。この為、製造
工程が煩雑になるという欠点がある。
【0005】バルクの単結晶シリコンウェハを透明化す
る為に必要な2回の転写を1回に削減する為に、エピタ
キシャル技術を利用した従来例が、例えば特開昭63−
90859号公報及び特開昭63−101831号公報
に開示されている。この従来例では、単結晶シリコンウ
ェハの表面に絶縁層を形成した後、選択的に窓開けしエ
ピタキシャル単結晶シリコン領域を設けている。このエ
ピタキシャル領域にデバイスを形成した後透明基板に転
写しシリコンウェハを除去している。転写に当たって
は、デバイス表面をCVDにより二酸化シリコンからな
る保護膜で被覆しさらに透明接着剤を用いて透明基板に
貼り付けている。この状態で先に述べた絶縁膜をエッチ
ングストッパとしてシリコンウェハのバルク部分を除去
する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】最後に説明した第4番
目の従来例では、単結晶シリコンウェハを利用している
ので通常のIC製造プロセスが適用可能であり、さらに
デバイス転写も1回で済むという利点がある。しかしな
がら、転写を行なう際、シリコンウェハと透明基板ある
いは保持部材を接着剤により貼り合わせている。この接
着剤にはアルカリ金属等の不純物が含まれている為、デ
バイス表面には予め保護膜あるいはパッシベーション膜
が施されている。前述した様に、この保護膜はCVD等
により堆積された燐を含有する二酸化シリコン膜(PS
G)からなる。しかしながら、接着剤にはアルカリ金属
に加えて水分や水素等も含まれており、デバイスの電気
特性の劣化をもたらすという課題あるいは問題点があ
る。PSG膜はアルカリ金属等の不純物を有効に遮断す
る事ができるが、水分や水素を透過する為デバイスを十
分に保護する事ができない。かかる従来の技術の課題に
鑑み、本発明は半導体単結晶層に形成された光弁装置用
デバイスを透明保持部材に転写する構造において、デバ
イスの劣化を防止し信頼性を改善する事を第1の目的と
する。
【0007】又、前述した第4の従来例では単結晶シリ
コンウェハの表面を絶縁膜で被覆し選択的に窓開けして
エピタキシャル領域を形成しデバイスを設けているが、
製造工程上複雑且つ煩雑な制御を要し量産に適していな
いという課題がある。そこで、本発明ではシリコンウェ
ハの表面に予め電気絶縁物を介して単結晶シリコン層を
設けた基板(以下SOI基板と言う)を利用してアクテ
ィブマトリクス型光弁用の駆動基板を作成する様にして
いる。ところで、電気絶縁物上に設けられた単結晶シリ
コン層にトランジスタ等のデバイス素子を形成した場合
様々な弱点あるいは課題が発生する。これらの課題に
は、寄生チャネルによるリーク電流の増大、基板電位の
不安定化、光リーク電流の発生等が含まれる。そこで、
本発明はSOI基板に形成されたトランジスタの電気特
性を改善する事を第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した従来の技術の課
題を解決し本発明の目的を達成する為に講じられた手段
を図1に示す。本発明にかかる半導体装置は、例えばア
クティブマトリクス型光弁装置の駆動基板に用いられ
る。本半導体装置は、電気絶縁物1上に設けられた単結
晶シリコン層2に少なくとも集積回路が形成されてい
る。電気絶縁物1は例えば二酸化シリコン層からなる。
本半導体装置はシリコン単結晶ウェハ(図示せず)の上
に二酸化シリコン膜からなる電気絶縁物1を介して単結
晶シリコン層2を設けたSOI基板を利用して作成され
ており、図示の完成品状態ではシリコン単結晶ウェハは
除去されている。二酸化シリコンからなる電気絶縁物1
は当初単結晶シリコン層2とシリコン単結晶ウェハとの
間に埋め込まれた状態となっており、以下BOXと呼ぶ
事もある。
【0009】単結晶シリコン層2に形成された集積回路
はシリコンオキシナイトライド膜又はシリコン窒化膜3
を最上層とするパッシベーション膜で被覆されている。
本例では、パッシベーション膜は上述したシリコンオキ
シナイトライド膜又はシリコン窒化膜3と二酸化シリコ
ン膜4の積層構造となっている。このパッシベーション
膜上に透明な接着剤層5が介在し、この接着剤層5によ
り電気絶縁物1上に設けられた単結晶シリコン層2が透
明な保持部材6に接着固定されている。換言すると、当
初SOI基板上に形成された集積回路は保持部材6に転
写され透明化が図られている。好ましくは、パッシベー
ション膜と接着剤層5の間に平坦化層7が介在してい
る。
【0010】電気絶縁物1上に設けられた単結晶シリコ
ン層2に形成された集積回路は、アクティブマトリクス
型表示装置用の画素スイッチング素子群8と、該画素ス
イッチング素子群8を動作させる為のドライバー集積回
路9とを含んでいる。画素スイッチング素子群8及びド
ライバー集積回路9はともに、電界効果型金属・絶縁膜
・半導体構造のMISトランジスタから構成されてい
る。画素スイッチング素子群8を個々に構成するMIS
トランジスタは特にPチャネル型のトランジスタ10が
用いられている。一方ドライバー集積回路9は相補型の
MISトランジスタから構成されている。本例では、N
チャネル型MISトランジスタ11が形成されている領
域の単結晶シリコン層2の厚みは、Pチャネル型MIS
トランジスタ12が形成されている領域の単結晶シリコ
ン層2の厚みより大きく設定されている。さらに、ドラ
イバー集積回路9が形成されている領域の単結晶シリコ
ン層2の厚みは、画素スイッチング素子群8が形成され
ている領域の単結晶シリコン層2の厚みよりも大きく設
定されている。
【0011】
【作用】本発明によれば、集積回路が形成されている単
結晶シリコン層2と接着剤層5との間に、シリコンオキ
シナイトライド膜又はシリコン窒化膜3を最上層とする
パッシベーション膜が介在している。シリコンオキシナ
イトライド膜又はシリコン窒化膜3の膜厚を例えば10
0nm以上に設定する事により、接着剤層5に含まれる水
分や水素の透過を防止できる。この為、集積回路を構成
するトランジスタの電気特性劣化が抑制でき信頼性が改
善できる。
【0012】パッシベーション膜と接着剤層5の間には
平坦化層7が介在している。この平坦化層7は例えば二
酸化シリコン系のものが用いられ、集積回路への悪影響
がなく化学的に安定で且つ信頼性が高い。又、平坦化層
7を介在させる事により接着剤層5とパッシベーション
膜との間の接着強度が改善される。一般に、シリコンオ
キシナイトライド膜又はシリコン窒化膜3に比べて酸化
シリコンからなる平坦化層7の方が接着剤層5に対して
良好な接着強度が得られる。
【0013】単結晶シリコン層2に形成される集積回路
は微細なデバイス寸法を有するMISトランジスタで構
成される為、高集積化が可能であり特に大容量のアクテ
ィブマトリクス型光弁装置の駆動基板に適している。
又、単結晶シリコン層2を素子領域として用いている
為、特に集積回路の動作が高速化され、アクティブマト
リクス型光弁装置に適している。ドライバー集積回路9
は相補型のMISトランジスタから構成されているの
で、小面積高集積化に加えて低消費電力化を図る事が可
能である。又、Pチャネル型MISトランジスタ12が
形成されている領域の単結晶シリコン層2の厚みをNチ
ャネル型MISトランジスタ11が形成されている領域
の単結晶シリコン層2の厚みに比べて小さく設定する事
により、光リーク電流を効果的に抑制している。又、画
素スイッチング素子群8は、Nチャネル型MISトラン
ジスタよりもリーク電流の少ないPチャネル型トランジ
スタ10を用いて構成されている。
【0014】本発明では、SOI基板を用いて集積回路
を形成するので、通常の高温IC製造プロセスが適用可
能である。さらに、1回のデバイス転写により、SOI
基板に形成された集積回路を透明な保持部材6側に移す
事が可能である。
【0015】
【実施例】以下図面を参照して本発明の好適な実施例を
詳細に説明する。図2は、本発明にかかる半導体装置の
第一実施例を示す模式的な断面図である。図1に示した
基本的な構造と類似しており、対応する部分には対応す
る参照番号を付して理解を容易にしている。図1に示し
た基本的な構造と異なる点は、平坦化層を省略している
事である。即ち、接着剤層5とパッシベーション膜の最
上層に位置するシリコンオキシナイトライド膜又はシリ
コン窒化膜3とが直接接する構造となっている。かかる
構造とする事により製造工程を簡略化できる。なお、図
1では説明を省略したが、電気絶縁物1の裏側にはパタ
ニングされた金属膜等からなる遮光層13が形成されて
おり、MISトランジスタ10,11及び12を選択的
に被覆し光リーク電流を抑制している。加えて、図1で
は説明を省略したが、画素スイッチング素子群8を構成
するMISトランジスタ10のソース領域にはパタニン
グされた多結晶シリコン膜等からなる画素電極14が接
続されている。
【0016】図3は本発明にかかる半導体装置の第二実
施例を示す模式的な断面図である。基本的に、図1に示
す構造と同一であり、対応する部分には対応する参照番
号を付して理解を容易にしている。異なる点は、画素ス
イッチング素子群8を構成するMISトランジスタ10
が単結晶シリコン層2ではなく多結晶シリコン層あるい
はアモルファスシリコン層15により形成されている事
である。本例では、電気絶縁物1上に設けられた単結晶
シリコン層2の一部の領域がシリコン酸化膜等の絶縁膜
16に転換されている。この絶縁膜16の上に多結晶シ
リコン層又はアモルファスシリコン層15が形成され、
前述した画素スイッチング素子用のMISトランジスタ
10が設けられる。なお、多結晶シリコン層又はアモル
ファスシリコン層15の延長部分が画素電極となる。本
例では、画素スイッチング素子群8はMISトランジス
タで構成されているが、本発明はこれに限られるもので
はなく例えばダイオードで構成する事も可能である。多
結晶シリコントランジスタあるいはアモルファスシリコ
ントランジスタは単結晶シリコントランジスタに比べ
て、光照射時に発生する電子とホールの対が少なく、且
つキャリアの寿命も短かい為、光弁装置用駆動基板とし
て適している。但し、ドライバー集積回路9は、図1に
示した基本構造と同様に、単結晶シリコントランジスタ
で構成される。単結晶シリコントランジスタはドライバ
ビリティーが高く、小面積で高速のドライバー集積回路
を作る事ができる。
【0017】図4は本発明にかかる半導体装置の第三の
実施例を示す模式図である。(A)はドライバー集積回
路を構成するMISトランジスタを1個取り出して示し
た模式的な断面図及び平面図である。このMISトラン
ジスタ12は電気絶縁物例えばBOX1の上に設けられ
た単結晶シリコン層2に形成されており、ソース領域
S、ドレイン領域D及びゲート電極Gとからなる。MI
Sトランジスタ12の設けられた素子領域はフィールド
酸化膜17により囲まれている。図示する様に、MIS
トランジスタ12の素子領域の幅寸法はW1 に設定され
ており、長手寸法はL1 に設定されている。
【0018】一方(B)は画素スイッチング素子群8を
構成するMISトランジスタ10を1個取り出して示し
た断面図及び平面図であり、同様にドレイン領域D、ソ
ース領域S及びゲート電極Gとから構成されている。フ
ィールド酸化膜17により囲まれた素子領域は、幅寸法
がW2 に設定されており、長手寸法がL2 に設定されて
いる。本実施例では、画素スイッチング素子群を構成す
るMISトランジスタ10の長手寸法L2 と幅寸法W2
の積は、ドライバー集積回路を構成するMISトランジ
スタ12の長手寸法L1 と幅寸法W1 の積よりも小さい
事を特徴とする。
【0019】ここで、単結晶シリコン層2の厚み及びト
ランジスタの寸法の具体的な数値例を示す。まず単結晶
シリコン層の厚みについて示す。SOI基板が後述する
貼り合わせ法により製作されていると仮定した場合、単
結晶シリコン層2の厚みはウェハ内でレンジで約0.5
μmのバラツキをもっている。画素スイッチング素子用
MISトランジスタの単結晶シリコン層2の厚みは例え
ば、0.1〜0.6μm、ドライバー集積回路部のP型
のMISトランジスタが形成されている領域の単結晶シ
リコン層2の厚みは例えば0.3〜0.8μm、同じく
ドライバー集積回路部のN型MISトランジスタが形成
されている領域の単結晶シリコン層2の厚みは例えば
0.5〜1.0μmである。次にトランジスタの寸法の
具体例を示す。ドライバー集積回路部と画素部両方のM
ISトランジスタの長さ寸法を1.2μmとする。ドラ
イバー集積回路部の中にあるMISトランジスタの幅寸
法は、各トランジスタの用途に応じて種々の寸法を持つ
が、最小寸法を5μmとする。これに対し画素部のMI
Sトランジスタの幅寸法は例えば2μm一定とする。こ
のように画素部のMISトランジスタの単結晶シリコン
層の厚みを薄くし、かつトランジスタの寸法をドライバ
ー集積回路を構成するMISトランジスタの寸法より小
さくすることによって、画素部のトランジスタ内で発生
する光リーク電流を低く抑えることができる。
【0020】前述した様に単結晶シリコントランジスタ
は多結晶シリコントランジスタあるいはアモルファスシ
リコントランジスタに比べて光リーク電流が大きい。即
ち、光照射による電子とホールの対の発生量が大きく且
つ寿命も長い。特に、画素スイッチング素子群は光照射
に晒される可能性が高い。そこで、キャリアの発生領域
を少なくし光リーク電流を抑制する為に、画素スイッチ
ング素子群のMISトランジスタのサイズをドライバー
集積回路のMISトランジスタよりも小さくしている。
同様な理由により、画素スイッチング素子用MISトラ
ンジスタ10の形成されている単結晶シリコン層2の膜
厚を、(A)に示すドライバー集積回路用MISトラン
ジスタ12が形成されている単結晶シリコン層2の膜厚
に比べて小さく設定している。
【0021】本発明の理解を容易にする為に、ここで図
28ないし図30を参照して単結晶シリコントランジス
タの光リーク現象について簡潔に説明を加えておく。B
OXの表面に島状にパタニングされた単結晶シリコン層
が残されており、これに例えばNチャネル型のMISト
ランジスタが形成されている。ソース領域Sとドレイン
領域Dとの間にチャネル領域Chが設けられる。チャネ
ル領域Chの上にはゲート絶縁膜GOXを介してゲート
電極Gがパタニング形成されている。外部から光が入射
すると、チャネル領域Chに電子とホールの対が発生す
る。ホールはチャネル領域Ch中に溜り易く接地電位に
あるソース領域Sから電子を引き出し、所謂バイポーラ
動作を引き起す。一方、電子は正電位に保持されたドレ
イン領域に引張られると同時に、BOXと単結晶シリコ
ン層の界面のエネルギーバンドが落ち込んでいる個所に
集まり、最終的に界面を通ってドレイン領域Dに向か
う。この様にして、光リーク電流が流れる事になる。
【0022】図29は、図28に示した単結晶シリコン
層における、厚み方向に沿ったエネルギー準位の変化を
示している。伝導帯CBはチャネル領域単結晶シリコン
層s−SiとBOXとの界面で落ち込んでおり電子が溜
り易いエネルギー準位構造となっている。この為、s−
SiとBOXとの界面で特にNチャネル型トランジスタ
の場合リーク電流が生じ易い。又、価電子帯VBのエネ
ルギー準位もs−SiとBOXの界面で落ち込んでい
る。この為、ホールがこの界面部分に集まる事はない。
【0023】図30は単結晶シリコントランジスタのゲ
ート電圧VG とドレイン電流ID との関係を示すグラフ
である。ドレイン電圧VD を一定にして測定しており、
点線カーブは光照射時の特性を表わし、実線カーブは光
遮断時の特性を表わす。グラフから明らかな様に、光照
射時にはリーク電流が増大し、単結晶シリコントランジ
スタのオン/オフ特性が悪化する。
【0024】電気絶縁物上に形成された薄膜型の単結晶
シリコンMISトランジスタでは、前述した光リーク電
流の問題に加えて、所謂寄生チャネルによるリーク電流
の増大が問題となる。以下、この寄生チャネルの改善を
目的とした幾つかの実施例を説明する前に、理解を容易
にする為に寄生チャネルを簡潔に図25ないし図27を
参照して説明する。図25の(A)はSOI基板上に形
成されたNチャネル型MISトランジスタの一般的な構
成を示す。BOXの上に設けられた単結晶シリコン層s
−Siはフィールド酸化膜FOXによって囲まれており
素子領域を形成する。素子領域にはN+ 型のソース領域
S及びドレイン領域Dが形成されており、両者の間にチ
ャネル領域が設けられる。チャネル領域の上にはゲート
絶縁膜GOXを介してゲート電極Gがパタニング形成さ
れている。ゲート電極G直下の単結晶シリコン層s−S
iはP- 型の不純物領域である。
【0025】一方図25の(B)には同じくSOI基板
上に形成されたPチャネル型MISトランジスタが示さ
れている。Pチャネル型の場合には、ドレイン領域D及
びソース領域SはP+ 型の不純物領域からなり、ゲート
電極G直下の単結晶シリコン層s−SiはN- 型の不純
物領域となっている。
【0026】図26は、図25の(A)に示したNチャ
ネル型MISトランジスタにおけるP- 型不純物領域の
深さ方向濃度プロファイルを示す。本例では、P型不純
物としてボロンが導入されている。このプロファイルか
ら明らかな様に、単結晶シリコン層s−SiとBOXと
の界面で、ボロンの偏析により単結晶シリコン層s−S
i側でボロンの濃度が急激に減少している。この為界面
領域はボロンの濃度が非常に薄く、Nチャネル型MIS
トランジスタの電流通路が形成され易い領域となる。こ
の為寄生チャネルを生じ易く、リーク電流が非常に大き
くなってしまう。
【0027】一方、図27は図25の(B)に示したP
チャネル型MISトランジスタのN- 型不純物領域にお
ける深さ方向濃度プロファイルを示している。本例では
N型不純物として燐が用いられている。このプロファイ
ルから明らかな様に、単結晶シリコン層s−SiとBO
Xとの境界において、燐の偏析により単結晶シリコン層
s−Si側で燐の濃度が上昇している。この為界面領域
における燐の濃度が比較的高く電流通路は形成されにく
い。従って、Pチャネル型のMISトランジスタは、N
チャネル型のMISトランジスタに比べ寄生チャネルが
生じにくい構造となっている。
【0028】SOI基板上に形成されるMISトランジ
スタは、バルクの単結晶シリコンウェハに形成される通
常のMISトランジスタと同様に、1×1016cm-3以下
の比較的低不純物濃度のシリコン単結晶層表面部分に閾
値制御の為、例えばNチャネル型トランジスタでは単結
晶シリコン層と同じ導電型のボロン等のP型不純物のイ
オン注入によるチャネルドープが行なわれていた。P型
不純物のチャネルドープにより、シリコン単結晶層のP
型不純物濃度は、表面付近で高く内部で低くなる様に分
布する。この為、SOI基板に形成されたNチャネル型
MISトランジスタにおいては、BOXあるいは埋め込
み酸化膜の界面近傍では、表面に比べてP型の不純物濃
度が低下している。さらに、不純物としてボロンを用い
ると前述した様に単結晶シリコン層とBOXとの間の界
面において偏析が生じ、シリコン単結晶側の不純物濃度
が益々減少する事になる。又、Nチャネル型トランジス
タに限らず、Pチャネル型トランジスタにおいても、単
結晶シリコン層とBOXとの界面には電界が多く存在
し、この界面近傍に空乏層や反転層が形成され易くなり
BOXに接する単結晶シリコン層の領域に本来のチャネ
ルよりも閾値の小さいチャネル即ち寄生チャネルが形成
されてしまう。
【0029】以下図5ないし図20を参照して寄生チャ
ネルの防止を目的とした幾つかの実施例を詳細に説明す
る。先ず、図5に示す実施例では、SOI基板に島状の
Nチャネル型MISトランジスタが形成されている。S
OI基板はシリコンからなる基板SUBの上にBOXを
介して単結晶シリコン層s−Siを積層した構造を有し
ている。この単結晶シリコン層s−Siは前述した様に
島状に形成されており素子領域を構成する。Nチャネル
型のMISトランジスタは、P型の不純物を含む単結晶
シリコン層s−SiのP+-型領域Rと、単結晶シリコン
層中に形成されたN型の不純物を含むN+ ソース領域S
及びドレイン領域Dと、前記領域Rの上側で且つソース
領域Sとドレイン領域Dの間に形成されたチャネル領域
Chとから構成されている。なおチャネル領域Chの上
にはゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極Gがパタニ
ング形成されている。BOXと接合する前記領域Rにお
いてソース領域Sとドレイン領域Dの間に寄生チャネル
の発生を防止する上で十分な濃度のP型不純物が導入さ
れている。加えて、チャネル領域Chには、閾値電圧制
御の為のN型不純物が導入されている。
【0030】図5に示す直線A−Bに沿った、不純物濃
度プロファイルを図9に示す。このプロファイルから明
らかな様に、領域R中に従来に比し多量のP型不純物を
導入し、s−SiとBOXとの界面における偏析による
P型不純物濃度の低下を補っている。この為、寄生チャ
ネルが表面の本来のチャネルよりも先に反転して、ソー
ス領域Sとドレイン領域Dとを導通させてしまう事を防
止できる。又、表面チャネル領域Chに対してはN型の
不純物を導入し、実効的にP型不純物濃度を下げる事に
より所望の閾値制御を行なっている。
【0031】図6は寄生チャネル抑制の為の他の実施例
を示し、同じくSOI基板に形成されたNチャネル型M
ISトランジスタの例である。本例では、ゲート絶縁膜
GOXと電気絶縁物BOXとの間にある単結晶シリコン
層の領域RがP型の不純物層からなる。P型不純物の濃
度は、チャネル領域Chの方がBOXと接する領域Rに
比べて薄くなる様に設定されている。
【0032】図10に、図6に示した直線C−Dに沿っ
たP型不純物濃度のプロファイルを表わす。本実施例に
おいても、BOXに接する界面側においてP型不純物濃
度が高くなっており、偏析による濃度低下を補ってい
る。一方、表面チャネル領域ChにおいてはP型不純物
濃度を低くして、所望の閾値特性が得られる様にしてい
る。この様な濃度プロファイルは、例えばイオンインプ
ランテーションにおける不純物イオンの加速エネルギー
を適宜調整する事により可能である。
【0033】図7はSOI基板に形成されたPチャネル
型のMISトランジスタを示しており、図5に示すNチ
ャネル型MISトランジスタの構造に対応している。即
ち、BOXに接する単結晶シリコン層の領域Rは従来に
比し比較的高濃度のN型不純物を含んでおり、寄生チャ
ネルを抑制している。一方、表面チャネル領域Chには
反対導電型のP型不純物が低濃度で導入されており、ト
ランジスタの閾値特性を制御している。
【0034】図8は同じくSOI基板に形成されたPチ
ャネル型MISトランジスタの例を示しており、図6に
表わしたNチャネル型MISトランジスタの構造に対応
している。即ち、本実施例においても、BOXに接する
単結晶シリコン層の領域Rは従来に比し比較的高濃度の
N型不純物を含んでおり寄生チャネルを抑制している。
一方、表面チャネル領域ChのN型不純物濃度は領域R
に比べ低く抑制されており、所望のトランジスタ閾値特
性を得ている。
【0035】次に図11を参照して、図5に示した実施
例の製造方法を詳細に説明する。先ず、工程(A)にお
いてSOI基板を用意する。このSOI基板では、シリ
コン基板101上に電気絶縁物あるいはBOXを構成す
るシリコン酸化膜102を介して1μm以下の厚みを有
する単結晶シリコン層103が設けられている。続い
て、単結晶シリコン層103に寄生チャネルの発生を防
止するのに十分な不純物濃度(例えば1×1017cm-3
になる様にボロン等のP型不純物をイオン注入法等によ
り導入した後、拡散及び活性化処理を施す。すなわち、
P型の不純物濃度が、シリコン単結晶層103内で略均
一に分布する様に熱処理を施す。
【0036】工程(B)において、トランジスタ形成領
域104を残して、単結晶シリコン層103をエッチン
グ除去し個々のトランジスタの素子分離を行なう。な
お、トランジスタ間の素子分離は、LOCOS法等によ
り行なっても良い。又、前述したP型の不純物導入処理
は工程(B)に示した素子分離を行なった後に実施して
も良い。
【0037】次に工程(C)において、MISトランジ
スタのゲート絶縁膜105を熱酸化法又はCVD法によ
り形成した後、P型不純物を導入した領域の表面部分に
N型の不純物による閾値制御用のイオン注入を行ない、
トランジスタ形成領域104の表面にP型不純物濃度を
実効的に低下させたチャネル領域106を形成する。N
型不純物としては拡散係数の小さい砒素が好ましいが、
場合によっては燐やアンチモンを用いても良い。
【0038】最後に工程(D)において、通常のICプ
ロセスによりゲート電極107を形成する。さらに、ゲ
ート電極107直下のN型不純物を導入したチャネル領
域106を挟む様に、自己整合的にN型不純物をイオン
注入法等で大量に導入し、ソース領域108とドレイン
領域109を形成する。
【0039】ソース領域108及びドレイン領域109
はN型の不純物層からなり、各々シリコン酸化膜102
と接合している。これらの領域に挟まれた内部領域11
0には、シリコン酸化膜102の接合部113に寄生チ
ャネルが発生するのを防止する為に、十分な濃度のP型
の不純物が導入されている。デバイス形成層表面部分に
沿ってソース領域108とドレイン領域109間に形成
されるチャネル領域106は、内部領域110の不純物
濃度を高くした分、Nチャネル型MISトランジスタの
閾値が上昇するので、これを下げる為に実効上チャネル
領域106のP型不純物濃度を下げるべく、N型の不純
物が導入されている。チャネル領域106以外の部分の
デバイス形成層内部領域110においては不純物濃度が
濃い為、ソース領域108及びドレイン領域109とデ
バイス形成層内部領域110の接合容量が大きくなる
が、ソース領域108及びドレイン領域109は各々シ
リコン酸化膜102と接合しているので、通常のバルク
シリコンウェハにおいて不純物濃度を高くした場合程接
合容量が大きくなる事はなく、トランジスタの動作スピ
ードの低下は殆んど問題ない。
【0040】図12は寄生チャネルを効果的に抑制する
為のさらに別の実施例を示す。この例では、SOI基板
の上にNチャネル型のMISトランジスタが形成されて
いる。このMISトランジスタは、電気絶縁物あるいは
BOXと単結晶シリコン層s−Siの境界付近で、且つ
ソース領域S及びドレイン領域Dの相対向する側に、ソ
ース領域及びドレイン領域と反対導電型の不純物が導入
されている事を特徴とする。具体的には、ソース領域S
及びドレイン領域DのN型不純物濃度は1020cm-3程度
であり、両領域S,Dに挟まれた内部領域RのP型不純
物濃度は1×1016cm-3程度である。さらに、BOXと
s−Siの界面近傍でソース領域S及びドレイン領域D
に接する部分BのP型不純物濃度は1×1017cm-3程度
である。この様に、内部領域Rに比べ特にソース領域S
及びドレイン領域Dの近傍において界面付近の部分のP
型不純物濃度を高くする事により、有効に寄生チャネル
を抑制できる。この部分Bは特にソース領域S及びドレ
イン領域DからのN型不純物の拡散により実効的なP型
不純物濃度が低下する惧れのある領域である。
【0041】図13はさらに別の実施例を示し、基本的
には図12に示す実施例と同一の構造を有する。異なる
点は、このNチャネル型MISトランジスタがLDD構
造を有する事である。即ち、ゲート電極Gの側壁部分に
設けられた二酸化シリコンからなるサイドスペーサSS
の直下には、ソース領域S及びドレイン領域Dに比べて
比較的低濃度のN型不純物が導入されておりLDD構造
を構成している。このLDD領域の直下に位置する部分
BのP型不純物濃度は、内部領域Rに比べて比較的大き
く設定されており、寄生チャネルを効果的に抑制してい
る。
【0042】図14は寄生チャネルを抑制する為のさら
に別の実施例を示し、SOI基板上に相補型のMISト
ランジスタが形成されている。厚さが500〜700μ
mの単結晶シリコン基板SUBの上には厚さが数十nmか
ら数μmのシリコン酸化膜BOXが形成されている。N
チャネル型MISトランジスタのソース領域SNとドレ
イン領域DNは0.3〜0.5μmの深さに制御可能で
ある。このNチャネル型MISトランジスタは、さらに
多結晶シリコンからなるゲート電極GN、シリコン酸化
膜からなるゲート絶縁膜GOXN及び薄い濃度のP型不
純物領域からなるPウェルPWを有している。一方、P
チャネル型MISトランジスタは、ソース領域SP、ド
レイン領域DP、多結晶シリコンからなるゲート電極G
P、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜GOXP及び
薄い濃度のN型不純物領域からなるNウェルNWから構
成されている。これらの相補型MISトランジスタは二
酸化シリコンからなるフィールド酸化膜FOXにより互
いに素子分離されている。なお、本実施例ではNチャネ
ル型MISトランジスタが形成されている単結晶シリコ
ン層の領域をPウェルと呼び、Pチャネル型MISトラ
ンジスタの形成されている単結晶シリコン層の領域をN
ウェルと呼んでいる。Pウェルはイオン注入等による薄
い濃度のP型不純物領域からなるが、仮にSOI基板の
単結晶シリコン層がP型不純物を含み、且つイオン注入
や拡散によって新たにP型不純物が導入されない場合で
あっても、Nチャネル型MISトランジスタが形成され
る領域であればPウェルと呼ぶ事にする。Nウェルにつ
いても同様である。
【0043】図14に示す実施例において、Nチャネル
型MISトランジスタのソース領域SNとドレイン領域
DNの底部は、BOXに接していない。換言すると、反
転層あるいは空乏層の生じがちなBOXとPWの界面か
ら離間している為、本実施例では寄生チャネルが生じる
惧れがない。又、Pチャネル型MISトランジスタのソ
ース領域SP及びドレイン領域DPの底部もBOXに接
していない。加えて、フィールド酸化膜FOXの底部も
BOXに接していない。
【0044】図15はBOXの上に形成されたNチャネ
ル型MISトランジスタの平面図を示す。ソース領域S
Nとドレイン領域DNは、N型不純物を高濃度に含んだ
多結晶シリコンからなるゲート電極GNによって両側に
分離されている。ソース領域SN、ドレイン領域DN及
びゲート電極GN以外の部分は厚い二酸化シリコン層か
らなるフィールド酸化膜FOXにより覆われている。
【0045】図16はフィールド酸化膜FOXの底部が
電気絶縁物BOXに接している構造における、Nチャネ
ル型MISトランジスタのチャネル幅方向断面構造を示
している。即ち、図15に示した直線E−Fに沿って切
断した断面形状である。この図では、単結晶シリコン基
板SUB、電気絶縁物BOX、PウェルPW、ゲート絶
縁膜GOXN、フィールド酸化膜FOX及びゲート電極
GNが表われている。図示されないソース領域SNとド
レイン領域DNは紙面に対して垂直方向の前方と後方に
位置し、電流の流れる方向も紙面に垂直である。フィー
ルド酸化膜FOXの端部は通常テーパ上に形成されバー
ズビークBBと呼ばれている。フィールド酸化膜FOX
を形成した後、バーズビークBBの下に非常に厚みの薄
い単結晶シリコン層の部分(ハッチングで示されてい
る)rが残される。PウェルPWに含まれるP型不純物
には通常ボロンが使われる。単結晶シリコンを酸化処理
した時、シリコン表面近傍に存在していたボロンは、前
述した偏析によりシリコン酸化膜中に取り込まれ易い。
この為、フィールド酸化膜FOXを形成した時、バーズ
ビークBB直下の単結晶シリコン層の部分rに含まれる
ボロンの内、かなりの量がフィールド酸化膜FOXの中
に吸収されてしまう。この為、バーズビークBB直下の
薄い厚みの単結晶シリコンの領域rにおける不純物ボロ
ン濃度は、ゲート酸化膜GOXN直下のPウェルに含ま
れるボロン濃度よりも相当低下する。
【0046】通常、絶縁ゲート電界効果型トランジスタ
の場合、電流の流れる個所はチャネルと呼ばれゲート絶
縁膜直下に位置する。Nチャネル型MISトランジスタ
の場合、チャネル領域のボロン濃度がある程度高いとチ
ャネルが導通する為に必要なゲート電圧の閾値もある程
度高くなる。しかしながら、SOI基板上に形成された
Nチャネル型MISトランジスタにおいて、図16に示
す様にフィールド酸化膜FOXの底部が電気絶縁物BO
Xに接触していると、ボロン濃度が非常に薄い部分rが
形成され、その部分の閾値電圧が低下する。加えて、ソ
ース領域及びドレイン領域の底部がBOXに接している
場合には、このボロン濃度の低い部分rが寄生的な電流
通路になってしまう。図16に示すバーズビークBB直
下の部分rは、図15においてハッチングで示した部分
rに対応している。このNチャネル型MISトランジス
タの幅方向両端部に位置する部分rに寄生チャネルが生
じリーク電流が増大する。
【0047】この様な寄生チャネルを防止する為に、前
述した図14に示す実施例では、フィールド酸化膜FO
Xの底部が電気絶縁物BOXに接していない構造となっ
ている。この点をより明確にする為に、図17に本実施
例にかかるNチャネル型MISトランジスタのチャネル
幅方向断面構造を示す。すなわち、図17の構造は図1
4に示した構造に対応している。図から明らかな様に、
フィールド酸化膜FOXの底部は電気絶縁物BOXから
離間している。従って、バーズビークBBの下部には相
当程度の厚みを有する単結晶シリコン層が残されてい
る。この為、バーズビークBB直下に位置する部分rに
含まれるP型不純物であるボロンの濃度は極端に低下す
る事がない。即ち、フィールド酸化膜FOXを形成する
為に単結晶シリコン層のLOCOS酸化処理を行なう
際、バーズビークBB直下の部分rに含まれるボロンは
FOX中に移動するが、この部分rのさらに下側にP型
の単結晶シリコン層が残されている為ボロンの供給を受
ける事ができる。従って、かかる構造によれば、図15
及び図16を参照して説明した様なNチャネル型MIS
トランジスタのチャネル幅方向両端部に寄生チャネルが
形成される惧れがない。
【0048】図18は、図14に示した実施例の変形例
を表わしており、理解を容易にする為に対応する部分に
は対応する参照符号を付してある。異なる点は、フィー
ルド酸化膜FOXの底部とPチャネル型MISトランジ
スタのソース領域SP及びドレイン領域SDがともに電
気絶縁物BOXに接しているが、Nチャネル型MISト
ランジスタのソース領域SN及びドレイン領域DNの底
部はBOXに接していない事である。Nチャネル型MI
Sトランジスタのソース領域及びドレイン領域の底部が
BOXに接していない限り、フィールド酸化膜FOXの
底部がBOXに接していても、Nチャネル型MISトラ
ンジスタのチャネル幅方向両端部に寄生チャネルが生じ
る惧れがない。Pチャネル型MISトランジスタのソー
ス領域及びドレイン領域の底部がBOXに接していて
も、Pチャネル型MISトランジスタでは前述した様に
寄生チャネルが生じにくく、リーク電流が低く抑えられ
る。
【0049】図19は、図14に示した実施例のさらに
他の変形例を表わしており、同様に理解を容易にする為
に対応する部分には対応する参照符号を付してある。異
なる点は、フィールド酸化膜FOXの底部がBOXに接
しているが、Nチャネル型MISトランジスタのソース
領域SN及びドレイン領域DNの底部とPチャネル型M
ISトランジスタのソース領域SP及びドレイン領域D
Pの底部がともにBOXに接していない事である。この
場合にも、図14の実施例において説明したと同様に、
Nチャネル型MISトランジスタとPチャネル型MIS
トランジスタの両方ともに寄生チャネルは発生せず、リ
ーク電流を低く抑制する事が可能である。
【0050】図20は、図14に示した実施例のさらに
別の変形例を示す模式的な断面図であり、対応する部分
には対応する参照符号を付して理解を容易にしている。
異なる点は、PウェルPWの領域に位置する第1のフィ
ールド酸化膜FOX1と中央第2のフィールド酸化膜F
OX2の左半分の底部、及びNチャネル型MISトラン
ジスタのソース領域SNとドレイン領域DNの底部がB
OXに接していない事である。他方、NウェルNWの領
域に位置する第3のフィールド酸化膜FOX3と前述し
た第2のフィールド酸化膜FOX2の右半分の底部、及
びPチャネル型MISトランジスタのソース領域SPと
ドレイン領域DPの底部はBOXに接している。図20
に示した変形例では、図14,図18及び図19に示し
た実施例と異なり、Nチャネル型MISトランジスタが
形成されているPウェルPWを構成する単結晶シリコン
層の厚みtSNが、Pチャネル型MISトランジスタが形
成されているNウェルNWを構成する単結晶シリコン層
の厚みtSPより大きく設定されている事である。かかる
構造にすれば、Nチャネル型MISトランジスタのソー
ス領域SN及びドレイン領域DNを電気絶縁物層BOX
から離間する事ができる。図20に示した変形例におい
ても、図18及び図19において説明したと同様に、相
補型MISトランジスタのどちらにも寄生チャネルは発
生せず、リーク電流を抑制できるという利点がある。
【0051】図14,図18,図19及び図20に示し
た実施例では、何れもSOI基板上に相補型のMISト
ランジスタが形成されているが、本発明はこれに限られ
るものではない。相補型のMISトランジスタに加えて
バイポーラトランジスタ等も同時に形成する事ができ
る。即ち、本発明にかかる半導体装置は所謂CMOSI
Cに限定されるものではなく、BiCMOSIC等を含
むものである。
【0052】次にバイポーラアクション(バイポーラ動
作)対策を目的とした実施例について説明する。SOI
基板に形成されたトランジスタでは単結晶シリコン層か
らなる基板電位が浮いた状態にある。この為、Nチャネ
ル型MISトランジスタではホールが基板に蓄積され易
く、Pチャネル型MISトランジスタでは電子が基板に
溜り易い。これらのキャリアが基板に溜るとソース領域
と基板間のバリヤハイト(PN接合の内部電位でありビ
ルトインポテンシャルと呼ばれる)が下げられ、ソース
領域からキャリアが基板に向かって流れ出す。所謂バイ
ポーラアクションであり先に図28を参照して説明した
通りである。このバイポーラアクションを防ぐ為に基板
電位を固定する必要があり、以下にその実施例を説明す
る。
【0053】先ず実施例の説明に入る前に、理解を容易
にする為に図21及び図22を参照して背景技術につい
て若干の説明を加える。図21はアクティブマトリクス
型光弁装置に用いられる駆動基板の平面図であり、特に
画素領域のみを示してある。この画素部は電気絶縁物
(図示せず)の上に設けられた単結晶シリコン層s−S
iに形成されている。この駆動基板の表面には行方向に
沿って多結晶シリコンからなる走査線Gが設けられてお
り、その一部がゲート電極を構成する。又、マトリクス
状に複数の画素電極Eが形成されている。この画素電極
Eは厚みが数十nm程度の多結晶シリコンからなり実質的
に透明である。個々のトランジスタは単結晶シリコン中
の高濃度の不純物層からなるソース領域S及びドレイン
領域Dとから構成されている。ソース領域Sはコンタク
トホールCONを介して対応する画素電極Eに接続され
ている。又、ドレイン領域Dは他のコンタクトホールC
ONを介してアルミニウム等の金属からなる信号線(図
示せず)に接続されている。
【0054】図22は、画素スイッチング素子を構成す
る個々のトランジスタのチャネル長手方向に沿って切断
した断面形状を示す。即ち、図21に示す直線X−Xに
沿って切断された断面形状を示し、Pチャネル型MIS
トランジスタの場合を表わしている。このトランジスタ
はN型不純物を含むNウェルWを備えている。その上に
はゲート酸化膜GOXを介して前述した走査線の一部か
らなるゲート電極Gがパタニング形成されている。Nウ
ェルWの両側には高濃度のP型不純物を含むソース領域
Sとドレイン領域Dとが形成されている。かかる構成を
有するNチャネル型MISトランジスタは下地のシリコ
ン酸化膜BOXの上に設けられている。このトランジス
タは素子分離用のフィールド酸化膜FOXによって囲ま
れている。ソース領域Sは薄い多結晶シリコン膜p−S
iを介して図示しない画素電極に接続されている。ゲー
ト電極Gは画素電極から電気的に分離する為にシリコン
酸化膜SiO2 で被覆されている。アルミニウム等の金
属からなる信号線SIGはトランジスタのソース領域D
に電気的に接続されている。信号線SIGと画素電極は
中間絶縁膜PSGによって互いに絶縁されている。本例
では、N型不純物領域からなるNウェルWとソース領域
S及びドレイン領域Dは電気絶縁物BOXの上に設けら
れた単結晶シリコン層に形成されている。図示する様
に、この単結晶シリコン層の厚みtS が薄いとソース領
域S及びドレイン領域Dの底面は下地のシリコン酸化膜
BOXに直接接する事になる。又、単結晶シリコン層の
厚みtSが薄い為、フィールド酸化膜FOXの底部も下
地酸化膜BOXに接してしまう。かかる構成を有する画
素スイッチング素子用トランジスタを安定的に動作させ
る為にはNウェルWの電位を固定する必要がある。しか
しながらNウェルWはフィールド酸化膜FOXによって
完全に囲まれており島状に分離している。換言すると、
NウェルWを構成する単結晶シリコン層の部分は、図示
しない周辺ドライバー回路部を構成する単結晶シリコン
層から分離しており、内部的に基板電位をとる事が不可
能に近い。
【0055】そこで、アクティブマトリクス型光弁装置
の駆動基板において、画素スイッチング素子用トランジ
スタの基板電位を固定する事を目的とする実施例を図2
3に示す。図示しない電気絶縁物の表面に単結晶シリコ
ン層s−Siが設けられており、これに個々の画素スイ
ッチング素子用トランジスタが形成される。この駆動基
板には多結晶シリコンからなる走査線Gが形成されてお
り、一部トランジスタのゲート電極を兼ねる。又厚みが
数十nm程度の多結晶シリコンからなる画素電極Eも形成
されている。トランジスタは単結晶シリコン層s−Si
中に含まれる高濃度のP型不純物層からなるソース領域
S及びドレイン領域Dを備えている。又ドレイン領域D
の近傍には、反対導電型の高濃度N型不純物領域WRが
設けられている。ソース領域Sは第1コンタクトホール
CON1を介して画素電極Eに接続されている。又ドレ
イン領域Dは第2コンタクトホールCON2を介して図
示しないアルミニウム等の金属からなる信号線に接続さ
れている。さらに、前述したN型の高濃度不純物領域W
Rは第3コンタクトホールCON3を介して接地電位を
与える他のアルミニウム等からなる金属配線(図示せ
ず)に接続されている。
【0056】図24は、図23に示した直線Y−Yに沿
って切断した画素スイッチング素子用トランジスタの断
面構造を示す。この例では、画素スイッチング素子はP
チャネル型のMISトランジスタからなる。このトラン
ジスタはN型不純物を含むNウェルWに形成されてい
る。このNウェルWの直上にはゲート酸化膜GOXを介
して走査線の一部からなるゲート電極Gがパタニング形
成されている。NウェルWの両側には高濃度のP型不純
物層からなるソース領域Sと反対導電型の高濃度N型不
純物領域WRが設けられている。なお、ドレイン領域D
はN型不純物領域WRの背後に隠れて図示されない。こ
のトランジスタは数百nmないし数μmの厚みを有する下
地シリコン酸化膜BOXの上に設けられている。その素
子領域はフィールド酸化膜FOXによって他のトランジ
スタから分離されている。ソース領域Sは薄い多結晶シ
リコン膜p−Siを介して図示しない画素電極に接続さ
れる。又、ゲート電極Gを構成する多結晶シリコン膜と
図示しない画素電極を構成する多結晶シリコン膜はシリ
コン酸化膜SiO2 により互いに絶縁されている。又、
接地電位を与える為のアルミニウム金属配線Alは前述
したN型の高濃度不純物領域WRに接続している。アル
ミニウム配線Alと画素電極は中間絶縁膜PSGによっ
て互いに絶縁されている。周辺のドライバー回路から導
かれた接地電位を与える為のアルミニウム金属配線Al
は、電気的に高濃度N型不純物領域WRに接続されてい
る。従って、この高濃度N型不純物領域WRに接してい
るNウェルWの電位は接地電位に安定的に固定される。
【0057】図31は本発明にかかる半導体装置を駆動
基板として利用した光弁装置の一実施例を示しており、
特にアクティブマトリクス型液晶光弁装置を示してい
る。この光弁装置は、本発明にかかる半導体装置からな
る駆動基板201と透明なガラス等からなる対向基板2
02をスペーサ203を介して互いに積層接着した構造
を有し、両基板の間には電気光学物質である液晶204
が充填封入されている。駆動基板201は、電気絶縁物
205の上に設けられたシリコン単結晶層206等に形
成された集積回路を、接着剤層207により保持部材2
08に転写した構造を有していてる。前述した様に、集
積回路を保護するパッシベーション膜209の最上層に
はシリコンオキシナイトライド膜あるいはシリコン窒化
膜210が配置しており、接着剤層207に含まれる水
分や水素から集積回路を有効に保護しており電気特性の
劣化を防止できる。駆動基板201は周辺ドライバー回
路部と、画素部に分けられる。画素部にはマトリクス状
に配列された画素電極211とこれを駆動する画素スイ
ッチング素子212が集積的に形成されている。周辺ド
ライバー回路部は遮光膜213により裏面側から被覆さ
れている。又画素スイッチング素子212も裏面側から
遮光膜213により被覆されている。周辺ドライバー回
路部に位置する電気絶縁物205の厚みt2は、画素部
に位置する電気絶縁物の厚みt1に比べて大きく設定さ
れている。特に、画素部の電気絶縁物205の膜厚を薄
くする事により、液晶204に対して電界が効果的に加
わる様に考慮を払っている。
【0058】駆動基板201の画素部裏面側には配向膜
214が形成されている。又、対向基板202の内表面
には共通電極215及び配向膜216が設けられてい
る。
【0059】図32は、図31に示した透過型の光弁装
置を利用して構成された画像プロジェクション装置を示
す。この画像プロジェクション装置301は、ランプ等
の発光源302と3枚の光弁装置303〜305とから
構成されている。発光源302からの光を光弁装置30
3〜305に照射し光弁装置上の画像を光学レンズ30
6によって拡大投影する。本例ではRGB三原色画像に
対応して3個の光弁装置が用いられている。光源光は第
1のミラーM1により反射された後フィルター307を
通過し、第1のダイクロイックミラーDM1によりR成
分と残りのG及びB成分に分けられる。R成分は第2の
ミラーM2により反射された後コンデンサレンズC1を
通過し第1の光弁装置303を照射する。一方G成分は
第2のダイクロイックミラーDM2により分離された後
コンデンサレンズC2を介して第2の光弁装置304を
照射する。残りのB成分はコンデンサレンズC3を介し
て第3の光弁装置305を照射する。各光弁装置を透過
したR,G及びB成分はダイクロイックミラーDM3,
DM4及びミラーM3を介して合成され、光学レンズ3
06により拡大投影される。
【0060】前述した様に、個々の光弁装置は、画素電
極と所定の信号に応じて該画素電極を励起する為の駆動
回路とが形成された駆動基板と、該駆動基板に対向配置
した対向基板と、該駆動基板と該対向基板の間に配置さ
れた液晶等の電気光学物質層からなる。この駆動基板
は、透明電気絶縁物と該透明電気絶縁物の上に形成され
た単結晶半導体層と、該透明電気絶縁物の単結晶半導体
層側と反対側の裏面に設けられた遮光層とを有してい
る。駆動回路は、単結晶半導体層に形成されたトランジ
スタ素子を含んでおり、遮光層はこのトランジスタ素子
の能動部を被覆する様に設けられている。画素電極は単
結晶半導体層に集積的に配置され、且つ駆動回路と電気
的に接続されている。駆動回路により画素電極を励起し
て電気光学物質に作用しその光透過性を制御して光弁機
能を奏する。
【0061】次に、図33及び図34を参照して光弁装
置の製造方法を説明する。先ず図33の(A)に示す第
1工程において、仮基板401と単結晶半導体層402
を透明電気絶縁物403を介して積層した三層からなる
SOI基板を用意する。本例では仮基板401は500
〜700μmの厚みを有する単結晶シリコンからなり、
単結晶半導体層402は1μm程度の厚みを有する薄膜
単結晶シリコンからなり、透明電気絶縁物403は1μ
m程度の厚みを有する二酸化シリコンからなる。
【0062】次に(B)に示す第2工程において、SO
I基板の単結晶半導体層403を選択的に除去した部分
あるいは選択的に二酸化シリコン膜を形成した部分に画
素電極404を形成する。さらに、該単結晶半導体層4
03に画素スイッチング素子405や該画素スイッチン
グ素子405へ信号を選択的に供給する為のドライバー
集積回路406等からなる駆動部を形成する。さらに、
この駆動部をパッシベーション膜407により被覆す
る。このパッシベーション膜407の最上層408は前
述した様にシリコンオキシナイトライド膜あるいはシリ
コン窒化膜からなる。
【0063】(C)に示す第3工程において、画素電極
404及び駆動部を形成したSOI基板表面上に、接着
剤層409を介して透明なガラス等からなる保持部材4
10を載置する。好ましくはパッシベーション膜407
と接着剤層409との間に平坦化層411を介在させ
る。
【0064】次に図34の(D)に示す第4工程におい
て、仮基板を除去し透明電気絶縁物403を表出させ
る。仮基板の除去は透明絶縁物403をエッチングスト
ッパとしてエッチング処理により行なう事ができる。
【0065】(E)に示す第5工程において、該表出し
た透明電気絶縁物403の所定位置に貫通孔412を設
ける。さらに該表出した透明電気絶縁物403の表面全
体に金属膜を形成する。続いて第6工程において、該金
属膜をパタニングして、少なくとも駆動部の一部又は全
部を覆う様に遮光層413を形成するとともに電極パッ
ド414も同時に形成する。この電極パッド414は、
前述した貫通孔412を介して駆動部と電気的に接続
し、外部電極引き出しが行なわれる。最後に、図示しな
いが第7工程において、駆動基板の遮光層を形成した裏
面側に対して、透明電極を予め形成した対向基板をギャ
ップを設けて積層接着し、該ギャップに電気光学物質を
充填して光弁装置を完成する。
【0066】最後に、本発明にかかる半導体装置を作成
する為に用いられるSOI基板の製造方法について説明
する。現在、単結晶シリコンを使ったSOI基板の内、
主に使われているウェハは2種類ある。1つは単結晶シ
リコン基板に酸素原子を所定の深さでイオン注入し、そ
の後アニールする事により製造されるものであり、SI
MOXと呼ばれている。このウェハはSOI層の単結晶
シリコン厚みのばらつきが非常に小さい利点を有してい
る。しかしながら、このSIMOXウェハでは、SOI
シリコン層の厚みが約0.2μm以下でないと、アニー
ル後に良好な単結晶シリコンを得る事ができない。SO
I層の単結晶シリコンの厚みがこの様に薄いと、形成さ
れるNチャネル型MISトランジスタとPチャネル型M
ISトランジスタの双方のソース領域及びドレイン領域
の底部がBOXに接触してしまい、寄生チャネルを抑制
する事が困難になる。
【0067】そこで、本発明では主として貼り合わせ法
により作成されたSOI基板を利用している。図35に
貼り合わせSOI基板の例を示す。(A)に示すSOI
基板は最も基本的なものであり、単結晶シリコン基板5
01の上にシリコン酸化膜502を介して単結晶シリコ
ン層503が貼り合わされている。
【0068】(B)に示すSOI基板では、単結晶シリ
コン基板501と単結晶シリコン薄膜503との間に三
層の電気絶縁物質が介在している。この電気絶縁物質層
は中間の窒化シリコン膜504を上下から酸化シリコン
膜505及び506で挟持した構成となっている。窒化
シリコン膜は内部的に引張り応力が働く。一方酸化シリ
コン膜は圧縮応力が働く。両者を積層する事により引張
り応力と圧縮応力が相殺し全体としてストレスを緩和す
る事ができる。
【0069】(C)に示すSOI基板構造では、単結晶
シリコン基板501と単結晶シリコン薄膜503との間
に二層のシリコン窒化膜507及びシリコン酸化膜50
8が介在している。同様に引張り応力と圧縮応力が互い
に相殺する為反り変形等の少ないSOI基板が得られ
る。
【0070】(D)に示すSOI基板の構造では、
(C)に示すSOI基板の構造に加えて、さらに二層の
窒化シリコン膜509及び酸化シリコン膜510を加え
ている。
【0071】最後に、特に図面を参照しないが、まとめ
として本発明にかかる半導体装置の製造方法の基本的な
プロセスを説明する。先ず第1工程として、仮基板の上
に電気絶縁物を介して積層された単結晶半導体層を有す
るSOI基板を形成する。第2工程において、該単結晶
半導体層に対して集積回路を形成する。第3工程におい
て、形成された集積回路の表面に対して該仮基板と反対
側に保持部材を面接着固定する。第4工程において、該
仮基板を除去し平坦な電気絶縁物を露出する。最後に、
第5工程において、該露出した平坦な電気絶縁物の表面
に対して少なくとも電極形成を含む処理を行なう。好ま
しくは、第1工程はシリコンからなる仮基板の上に二酸
化シリコンからなる電気絶縁物を介して単結晶シリコン
からなる半導体基板を熱圧着により固定した後、該半導
体基板を研磨して薄膜化し単結晶シリコン層を有するS
OI基板を形成する。さらに好ましくは、第1工程にお
いて、シリコンからなる仮基板の上に下地処理として窒
化シリコン層を堆積し続いてCVDにより二酸化シリコ
ン層を堆積する事により電気絶縁物を形成した後、熱圧
着により該半導体基板を固定する工程を含む。又、第4
工程は、二酸化シリコン層又は窒化シリコン層をエッチ
ングストッパとして該仮基板をエッチングあるいは研磨
とエッチングの両方により除去する。さらに、第3工程
は、二酸化シリコンを主成分とする接着剤を用いて保持
部材を面接着固定する。あるいは、第3工程は集積回路
の表面に対して接着剤を供給し固化して単層構造を有す
る保持部材を設ける工程でも良い。
【0072】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、S
OI基板に形成された集積回路を接着剤層等を介して透
明な保持部材側に転写し半導体装置を構成している。こ
の際、集積回路を被覆するパッシベーション膜の最上層
にシリコンオキシナイトライド膜又はシリコン窒化膜を
設ける事により、接着剤層に含まれる水分や水素等を完
全に遮断し、集積回路の電気特性の劣化を防止し信頼性
を改善する事ができるという効果がある。又、集積回路
を転写する際、接着剤層とパッシベーション膜の間に平
坦化層を介在させる事により接着強度を高める事ができ
るという効果がある。特に、平坦化層として二酸化シリ
コン系の材料を用いた場合には、集積回路への影響が少
なく安定した信頼性を維持する事ができるという効果が
ある。本発明にかかる半導体装置をアクティブマトリク
ス型光弁装置の駆動基板として用いる場合には、画素部
に含まれるスイッチングトランジスタをポリシリコンあ
るいはアモルファスシリコンで形成する事により、光リ
ーク電流を抑制する事ができるという効果がある。一
方、周辺ドライバー回路部は単結晶シリコンをそのまま
利用したトランジスタで形成する事により、ドライバビ
リティーが高く小面積で高速な駆動回路を得る事ができ
るという効果がある。
【0072】又、本発明によればシリコン単結晶層と電
気絶縁物BOXの界面に対して、ソース領域及びドレイ
ン領域と反対導電型の不純物を比較的高濃度で導入する
事により寄生チャネルを抑制する事ができるという効果
がある。又、特にNチャネル型MISトランジスタのソ
ース領域及びドレイン領域底部を下地電気絶縁物から離
間する事により寄生チャネルを抑制する事ができるとい
う効果がある。同様に、Nチャネル型MISトランジス
タが形成された領域を囲むフィールド酸化膜の底部を下
地電気絶縁物から離間する事により寄生チャネルを防ぐ
事ができるという効果がある。
【0073】本発明にかかる半導体装置を光弁装置の駆
動基板に利用した場合、画素部に形成されるスイッチン
グトランジスタ素子には光照射が加わる惧れがある。こ
の為、画素スイッチングトランジスタの寸法を周辺駆動
回路トランジスタの寸法に比べて小さくする事により光
リーク電流の増大を防いでいる。特に、リーク電流抑制
の点で有利なPチャネル型MISトランジスタを画素ス
イッチング素子として利用する事によりオン/オフ特性
を改善する事ができるという効果がある。さらに、画素
スイッチングトランジスタの形成されるシリコン単結晶
層の厚みを、周辺駆動トランジスタの形成される単結晶
シリコン層の厚みに比べて小さく設定する事によりリー
ク電流を抑制できるという効果がある。
【0074】加えて、単結晶シリコン層に形成されたト
ランジスタの基板電位を固定する事により、所謂バイポ
ーラ動作に基くリーク電流を抑制する事ができるという
効果がある。
【0075】本発明によれば貼り合わせ法により形成さ
れたSOI基板を用いる事により製造コストが低く且つ
信頼性の高い半導体装置を提供する事ができるという効
果がある。特に、シリコン単結晶層と単結晶シリコン基
板を貼り合わせる際窒化膜と酸化膜の二層構造を電気絶
縁物として使用する事により引張り応力と圧縮応力が互
いに相殺しSOI基板の変形を有効に防止する事ができ
るという効果がある。
【0076】加えて、本発明にかかる半導体装置を光弁
装置用の駆動基板として用いる場合、露出した電気絶縁
物の厚みを画素部で特に薄化する事により、光弁を駆動
する為の電界を有効に発生する事ができるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる半導体装置の基本的な構成を示
す模式的な断面図である。
【図2】本発明にかかる半導体装置の第一実施例を示す
断面図である。
【図3】本発明にかかる半導体装置の第二実施例を示す
断面図である。
【図4】本発明にかかる半導体装置の第三実施例を示す
模式図である。
【図5】リーク電流抑制に効果的なチャネル構造を有す
るMISトランジスタの一例を示す断面図である。
【図6】同じくリーク電流抑制型のチャネル構造を有す
るMISトランジスタを示す断面図である。
【図7】同じくリーク電流抑制型のチャネル構造を有す
るMISトランジスタを示す断面図である。
【図8】同じくリーク電流抑制構造を有するMISトラ
ンジスタを示す断面図である。
【図9】図5に示すA−B線に沿って測定された不純物
濃度プロファイルを示すグラフである。
【図10】図6に示すC−D線に沿って測定された不純
物濃度プロファイルを示すグラフである。
【図11】図5に示すMISトランジスタの製造方法を
示す工程図である。
【図12】リーク電流抑制構造を有するMISトランジ
スタを示す断面図である。
【図13】同じくリーク電流抑制構造を有するLDD型
MISトランジスタを示す断面図である。
【図14】リーク電流抑制構造を有する相補型MISト
ランジスタの断面図である。
【図15】寄生チャネルの発生構造を説明する為の模式
的な平面図である。
【図16】図15に示すE−F線に沿って切断された断
面図である。
【図17】寄生チャネル抑制構造を説明する為の模式的
な断面図である。
【図18】寄生チャネル抑制構造を有する相補型MIS
トランジスタの断面図である。
【図19】同じく寄生チャネル抑制構造を有する相補型
MISトランジスタを示す断面図である。
【図20】同じく寄生チャネル抑制構造を有する相補型
MISトランジスタの断面図である。
【図21】バイポーラアクションを説明する為の平面図
である。
【図22】図21に示すX−X線に沿って切断された断
面図である。
【図23】基板電位の固定された構造を有する実施例を
示す平面図である。
【図24】図23に示すY−Y線に沿って切断された断
面図である。
【図25】寄生チャネルの発生機構を説明する為の模式
図である。
【図26】単結晶シリコン層と電気絶縁物との界面近傍
における不純物ボロンの濃度プロファイルを示すグラフ
である。
【図27】同じく単結晶シリコン層と電気絶縁物との界
面近傍における不純物燐の濃度プロファイルを示すグラ
フである。
【図28】光リーク電流発生機構を説明する為の模式図
である。
【図29】単結晶シリコン層におけるエネルギー準位図
である。
【図30】MISトランジスタのゲート電圧とドレイン
電流との関係を示すグラフである。
【図31】本発明にかかる半導体装置を利用して構成さ
れたアクティブマトリクス型光弁装置を示す模式図であ
る。
【図32】図31に示す光弁装置を用いて構成された画
像プロジェクション装置を示す模式図である。
【図33】本発明にかかる光弁装置の製造方法を示す工
程図である。
【図34】同じく本発明にかかる光弁装置の製造方法を
示す工程図である。
【図35】本発明にかかる半導体装置の製造に用いられ
るSOI基板の例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 電気絶縁物 2 単結晶シリコン層 3 シリコンオキシナイトライド膜又はシリコン窒化膜 5 接着剤層 6 保持部材 7 平坦化層 8 画素スイッチング素子群 9 ドライバー集積回路
フロントページの続き (72)発明者 山崎 恒夫 東京都江東区亀戸6丁目31番1号 セイ コー電子工業株式会社内 (72)発明者 岩城 忠雄 東京都江東区亀戸6丁目31番1号 セイ コー電子工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−178633(JP,A) 特開 平4−170520(JP,A) 特開 昭63−101830(JP,A) 特開 昭63−101832(JP,A) 特開 平5−113581(JP,A) 特開 平2−154232(JP,A) 特開 平4−152574(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/136 500

Claims (26)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリコ
    ン層に少なくとも集積回路が形成されており、その集積
    回路はシリコンオキシナイトライド膜又はシリコン窒化
    膜を最上層とするパッシベーション膜で被覆されてお
    り、かつパッシベーション膜上に接着剤層が介在し、こ
    の接着剤層により電気絶縁物上に設けられた前記単結晶
    シリコン層が保持部材に接着固定されている構造を持つ
    事を特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 パッシベーション膜と接着剤層の間に平
    坦化層が設けられている事を特徴とする請求項1記載の
    半導体装置。
  3. 【請求項3】 平坦化層はシリコン酸化物系の膜からな
    る事を特徴とする請求項2記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリコ
    ン層の一部の領域をシリコン酸化膜等の絶縁膜に転換
    し、その絶縁膜上に設けた多結晶シリコン層中又はアモ
    ルファスシリコン層中にアクティブマトリクス型表示装
    置用の画素スイッチング素子群を形成し、かつ前記電気
    絶縁物上に残された単結晶シリコン層の領域に画素スイ
    ッチング素子群を動作させる為のドライバー集積回路が
    形成されている事を特徴とする請求項1記載の半導体装
    置。
  5. 【請求項5】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリコ
    ン層に、アクティブマトリクス型表示装置用の画素スイ
    ッチング素子群及び該画素スイッチング素子群を動作さ
    せる為のドライバー集積回路が形成されている事を特徴
    とする請求項1記載の半導体装置。
  6. 【請求項6】 画素スイッチング素子群と画素スイッチ
    ング素子群を動作させる為のドライバー集積回路はとも
    に、電界効果型金属・絶縁膜・半導体構造のMISトラ
    ンジスタから構成されている事を特徴とする請求項5記
    載の半導体装置。
  7. 【請求項7】 画素スイッチング素子群はP型のMIS
    トランジスタから構成されている事を特徴とする請求項
    5記載の半導体装置。
  8. 【請求項8】 電気絶縁物上に形成された画素電極群に
    対し個々に選択給電を行なう画素スイッチング素子の極
    く近傍に、単結晶シリコン層からなる基板と同じ導電型
    の高濃度不純物領域が設けられている事を特徴とする請
    求項5記載の半導体装置。
  9. 【請求項9】 画素スイッチング素子群を構成するMI
    Sトランジスタの長さ寸法と幅寸法の積は、ドライバー
    集積回路を構成しているMISトランジスタの長さ寸法
    と幅寸法の積より小さい事を特徴とする請求項6記載の
    半導体装置。
  10. 【請求項10】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリ
    コン層中に形成される集積回路は少なくとも電界効果型
    金属・絶縁膜・半導体構造のMISトランジスタを含ん
    でおり、該MISトランジスタは第1の導電型の不純物
    を含む単結晶シリコン層の領域からなる単結晶半導体基
    板と、前記単結晶半導体基板中に形成された第2の導電
    型の不純物を含むソース領域及びドレイン領域と、前記
    単結晶半導体基板の表面で且つソース領域とドレイン領
    域の間に形成されたチャネル領域とから構成されてお
    り、前記電気絶縁物と接合する単結晶半導体基板に設け
    られたソース領域とドレイン領域の間に寄生チャネルの
    発生を防止する上で十分な濃度の第1導電型の不純物が
    導入されており、且つ前記チャネル領域においては閾値
    電圧制御の為の第2の導電型の不純物が導入されている
    事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  11. 【請求項11】 単結晶半導体基板に形成されたソース
    領域及びドレイン領域の底部が電気絶縁膜上から離間し
    ている事を特徴とする請求項10記載の半導体装置。
  12. 【請求項12】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリ
    コン層中に形成される集積回路は少なくとも電界効果型
    金属・絶縁膜・半導体構造のMISトランジスタを含ん
    でおり、該MISトランジスタは第1の導電型の不純物
    を含む単結晶シリコン層の領域からなる単結晶半導体基
    板と、前記単結晶半導体基板中に形成された第2の導電
    型の不純物を含むソース領域及びドレイン領域と、前記
    単結晶半導体基板の表面で且つソース領域とドレイン領
    域の間に形成されたチャネル領域と、チャネル領域の上
    にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極とから構
    成されており、該ゲート絶縁膜と該電気絶縁物との間に
    ある単結晶半導体基板が一方導電型の不純物層からな
    り、該一方導電型の不純物の濃度はチャネル領域の方が
    電気絶縁物と接する付近の領域より薄い事を特徴とする
    請求項1記載の半導体装置。
  13. 【請求項13】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリ
    コン層に形成される集積回路は少なくとも電界効果型金
    属・絶縁膜・半導体構造のMISトランジスタを含んで
    おり、該MISトランジスタは前記電気絶縁物と単結晶
    シリコン層の境界付近で且つソース領域及びドレイン領
    域の相対向する側にソース領域及びドレイン領域と反対
    導電型の不純物が導入されている事を特徴とする請求項
    1記載の半導体装置。
  14. 【請求項14】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリ
    コン層に形成されている集積回路は少なくとも相補型金
    属・絶縁膜・半導体構造のMISトランジスタから構成
    され、N型MISトランジスタが形成されている領域の
    単結晶シリコン層の厚みはP型MISトランジスタが形
    成されている領域の単結晶シリコン層の厚みより大きい
    事を特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  15. 【請求項15】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリ
    コン層に形成されている集積回路は少なくとも相補型金
    属・絶縁膜・半導体構造のMISトランジスタから構成
    され、前記集積回路内においてN型MISトランジスタ
    のソース領域及びドレイン領域の底部は、前記電気絶縁
    物から離間している事を特徴とする請求項1記載の半導
    体装置。
  16. 【請求項16】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリ
    コン層に形成されている集積回路は少なくとも相補型金
    属・絶縁物・半導体構造のMISトランジスタから構成
    され、前記集積回路内においてN型MISトランジスタ
    が形成されている領域であるP型不純物領域あるいはP
    ウェル領域内にあるフィールド酸化膜の底部は、電気絶
    縁物から離間している事を特徴とする請求項1記載の半
    導体装置。
  17. 【請求項17】 画素スイッチング素子群とこの画素ス
    イッチング素子群を動作させる為のドライバー集積回路
    がともに少なくともMISトランジスタから構成されて
    いる半導体装置であって、ドライバー集積回路が形成さ
    れている領域の単結晶シリコン層の厚みが画素スイッチ
    ング素子群が形成されている領域の単結晶シリコン層の
    厚みより大きい事を特徴とする請求項6記載の半導体装
    置。
  18. 【請求項18】 電気絶縁物上に設けられた単結晶シリ
    コン層にアクティブマトリクス型表示装置用の画素スイ
    ッチング素子群及び該画素スイッチング素子群を動作さ
    せる為のドライバー集積回路とが形成されている半導体
    装置、又は電気絶縁物上に設けられた単結晶シリコン層
    の一部の領域をシリコン酸化膜等の絶縁膜に転換しその
    絶縁膜上に設けた多結晶シリコン層中又はアモルファス
    シリコン層中にアクティブマトリクス型表示装置の画素
    スイッチング素子群を形成し、電気絶縁膜上に残された
    単結晶シリコン層に画素スイッチング素子群を動作させ
    る為のドライバー集積回路が形成されている半導体装置
    であって、画素スイッチング素子群が形成されている領
    域下の電気絶縁膜の厚みはドライバー集積回路が形成さ
    れている領域下の電気絶縁膜の厚みより薄い事を特徴と
    する請求項1記載の半導体装置。
  19. 【請求項19】 仮基板の上に電気絶縁物を介して積層
    された単結晶半導体層を有するSOI基板を形成する第
    1工程と、該単結晶半導体層に対して集積回路を形成
    し、該集積回路の上面にシリコンオキシナイトライド膜
    又はシリコン窒化膜を最上層とするパッシベーション膜
    で被覆する第2工程と、形成された集積回路の表面に対
    して該仮基板と反対側に保持部材を面接着固定する第3
    工程と、該仮基板を除去し平坦な電気絶縁物を露出する
    第4工程と、該露出した平坦な電気絶縁物の表面に対し
    て少なくとも電極形成を含む処理を行なう第5工程とか
    らなる半導体装置の製造方法。
  20. 【請求項20】 該第1工程は、シリコンからなる仮基
    板の上に二酸化シリコンからなる電気絶縁物を介して単
    結晶シリコンからなる半導体基板を熱圧着により固定し
    た後、該半導体基板を研磨して薄膜化し単結晶シリコン
    層を有するSOI基板を形成する工程である請求項19
    記載の半導体装置の製造方法。
  21. 【請求項21】 該第1工程は、シリコンからなる仮基
    板の上に下地処理として窒化シリコン層を堆積し続いて
    CVDにより二酸化シリコン層を堆積する事により電気
    絶縁物を形成した後、熱圧着により該半導体基板を固定
    する工程を含む請求項20記載の半導体装置の製造方
    法。
  22. 【請求項22】 該第4工程は、二酸化シリコン層又は
    窒化シリコン層をエッチングストッパとして該仮基板を
    エッチングあるいは研磨とエッチングの両方により除去
    する工程である請求項19記載の半導体装置の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 該第3工程は、二酸化シリコンを主成
    分とする接着剤を用いて、保持部材を面接着固定する工
    程である請求項19記載の半導体装置の製造方法。
  24. 【請求項24】 該第3工程は、集積回路の表面に対し
    て接着剤を供給し固化して単層構造を有する保持部材を
    設ける工程である請求項19記載の半導体装置の製造方
    法。
  25. 【請求項25】 仮基板と単結晶半導体層を透明電気絶
    縁物を介して積層した3層からなるSOI基板を用意す
    る第1工程、 該SOI基板の単結晶半導体層を選択的に除去した部分
    あるいは選択的に二酸化シリコン膜を形成した部分に画
    素電極を形成し、該単結晶半導体層に画素スイッチング
    素子、該画素スイッチング素子へ信号を選択的に供給す
    る為のドライバー集積回路等からなる駆動部を形成し、
    前記電極部と前記駆動部をシリコンオキシナイトライド
    膜又はシリコン窒化膜を最上層とするパッシベーション
    膜で被覆する第2工程、 該画素電極と駆動部を形成したSOI基板表面上に接着
    剤を介して保持部材を載置する第3工程、 該仮基板を除去し透明電気絶縁物を表出させる第4工
    程、 該表出した透明電気絶縁物の所定位置に貫通孔を開け、
    次に該表出した透明電気絶縁物表面に金属膜を形成する
    第5工程、 該金属膜をパタニングして、少なくとも駆動部の一部又
    は全部を覆う様にして遮光層を形成するとともに、電極
    パッドを形成し該貫通孔を介して該電極パッドと駆動部
    が電気的に接続して駆動基板を形成する第6工程、及び
    該駆動基板の遮光層を形成した表面に対して、透明電極
    を形成した対向基板をギャップを設けて積層接着し、次
    に該ギャップに電気光学物質を充填する第7工程、とを
    含む光弁装置の製造方法。
  26. 【請求項26】 発光源と、該発光源からの光を光弁装
    置に照射し該光弁装置上の画像を光学レンズによって拡
    大投影する画像プロジェクション装置において、 該光弁装置は、画素電極と所定の信号に応じて該画素電
    極を励起する為の駆動回路とを形成した駆動基板と、該
    駆動基板に対向配置した対向基板と、該駆動基板と該対
    向基板の間に配置された電気光学物質層からなり、 該駆動基板は、透明電気絶縁物層と、該透明電気絶縁物
    層の上に形成された単結晶シリコン層と、該透明電気絶
    縁物層の単結晶シリコン側と反対側表面に遮光層とを有
    し、 該駆動回路は、該単結晶シリコン層に形成されたトラン
    ジスタ素子を含み、該遮光層は該トランジスタ素子の能
    動部を覆う様に形成され、 該画素電極は該単結晶シリコン層に集積的に配置され、
    且つ該駆動回路と電気的に接続され、該駆動回路と該画
    素電極はシリコンオキシナイトライド膜又はシリコン窒
    化膜を最上層とするパッシベーション膜で被覆されて形
    成され、該画素電極を励起して該電気光学物質層に作用
    しその光透過性を制御する光弁装置を用いたことを特徴
    とする画像プロジェクション装置。
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