JP2918132B2 - 刺繍ブロックデータ展開装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、刺繍ブロックデータ展
開装置に関し、特にブロックデータと糸密度データとに
基いて針落ち点を規定するステッチデータを求める際
に、針落ち点間のステッチ長或いはブロックの１対の副
辺の合計長が所定値未満のときには、ステッチ長を延長
するようにしたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、本願出願人は、刺繍模様の為の刺
繍データを極力少ない記憶容量で記憶できるように、例
えば特公昭６０─４２７４０号公報において、文字や図
形などの刺繍領域を複数のブロックに分割し、これらブ
ロックの輪郭を画定する為の複数の輪郭線素を示すブロ
ックデータと、刺繍糸によりブロック内に形成する縫目
の数を規定する糸密度データとを含む刺繍領域データを
記憶するようにし、これらブロックデータと糸密度デー
タとに基いて各ブロック毎の針落ち点の位置データを求
め、その針落ち位置データを用いて刺繍縫いするように
した刺繍模様記憶再生装置を提案した。

【０００３】ところで、この刺繍領域データを作成する
場合、綺麗な刺繍縫目を形成できるように、基本的に
は、刺繍領域を複数の三角形状や四角形状のブロックに
分割するようにしている。ここで、刺繍領域を複数のブ
ロックに分割する場合に、特にひらがなや漢字などの文
字模様の刺繍領域を分割した複数のブロックのうち、縫
い方向と略直交する方向の幅（刺繍縫目幅）が非常に狭
いブロックにおいては、刺繍縫目のステッチ長が、例え
ば１mm以下のように非常に短くなり、上下動する縫針で
刺繍糸を切断したり、下糸が加工布の表面に出易くなっ
て糸調子が悪化する。従って、その刺繍縫目幅の狭いブ
ロックに関しては、特に糸調子の悪化を防止する為に、
ブロックデータを用いないで、ステッチ長が長くなるよ
うに、オペレータが針落ち位置をマニュアルモードによ
り逐一入力するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、刺繍
領域データを作成する場合に、刺繍縫目幅の狭いブロッ
クに関しては、ステッチ長をより長くして糸調子を良好
にするために、ブロックデータを用いないで、オペレー
タが針落ち位置をマニュアルモードにより逐一入力する
ので、刺繍領域データの作成能率が低減すること、刺繍
縫目幅の狭さの基準がなくしかも刺繍縫目幅の狭いブロ
ックを見落とすことも有り、刺繍縫目幅の狭いブロック
に対する針落ち位置修正が確実でないこと、などの問題
がある。

【０００５】本発明の目的は、刺繍縫いを施す刺繍領域
における縫い方向と略直交する方向の刺繍縫目幅に関係
なく、刺繍領域を分割したブロックを規定するデータを
簡単に作成でき、しかも糸切れや糸調子の悪化を確実に
防止できるステッチデータを作成するような刺繍ブロッ
クデータ展開装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る刺繍ブロ
ックデータ展開装置は、図１の機能ブロック図に示すよ
うに、刺繍ミシンにおけるＸ方向とＹ方向とに独立に位
置制御される布移動手段を駆動する為に、刺繍縫いすべ
き刺繍領域を分割した複数のブロックを規定するブロッ
クデータと糸密度を規定する糸密度データとを記憶した
データ記憶手段を備え、このデータ記憶手段に記憶した
データを刺繍縫いの針落ち点を規定するステッチデータ
に展開する刺繍ブロックデータ展開装置において、デー
タ記憶手段には、各ブロックの相対向する１対の輪郭線
素である１対の主辺の位置を規定する位置データと、各
ブロック又は複数のブロックの糸密度を規定する糸密度
データとが格納され、データ記憶手段に記憶されたデー
タに基いて、１つ又は列状に連なる複数のブロックにつ
いて、主辺上の針落ち点が略等間隔となるように針落ち
点を演算する針落ち点演算手段を設け、針落ち点演算手
段で求めた針落ち点のデータに基いて、各針落ち点とそ
れに続く後続針落ち点間に亙るステッチ長を演算し、ス
テッチ長が所定値未満のときには所定値以上となるよう
に後続針落ち点の主辺上の位置を補正する補正手段を設
けたものである。

【０００７】請求項２に係る刺繍ブロックデータ展開装
置は、図２の機能ブロック図に示すように、刺繍ミシン
におけるＸ方向とＹ方向とに独立に位置制御される布移
動手段を駆動する為に、刺繍縫いすべき刺繍領域を分割
した複数のブロックを規定するブロックデータと糸密度
を規定する糸密度データとを記憶したデータ記憶手段を
備え、このデータ記憶手段に記憶したデータを刺繍縫い
の針落ち点を規定するステッチデータに展開する刺繍ブ
ロックデータ展開装置において、データ記憶手段には、
各ブロックの相対向する１対の輪郭線素である１対の主
辺の位置を規定する位置データと、各ブロック又は複数
のブロックの糸密度を規定する糸密度データとが格納さ
れ、データ記憶手段に記憶されたデータに基いて、各ブ
ロックにおける１対の主辺の対応する端点同志を結ぶ１
対の副辺の合計長が所定値未満のときにはそのブロック
における糸密度を小さく補正する糸密度補正手段を設
け、データ記憶手段に記憶されたデータと糸密度補正手
段で補正された糸密度に基いて、１つ又は列状に連なる
複数のブロックについて、主辺上に略等間隔となるよう
に針落ち点を演算する針落ち点演算手段を設けたもので
ある。

【０００８】

【作用】請求項１に係る刺繍ブロックデータ展開装置に
おいては、刺繍縫いすべき刺繍領域を分割した各ブロッ
クの相対向する１対の輪郭線素である１対の主辺の位置
を規定する位置データと、各ブロック又は複数のブロッ
クの糸密度を規定する糸密度データとがデータ記憶手段
に格納されているので、１つ又は列状に連なる複数のブ
ロックについて、主辺上の針落ち点が略等間隔となる針
落ち点は、針落ち点演算手段によりデータ記憶手段に記
憶されたデータに基いて演算される。一方、各針落ち点
とそれに続く後続針落ち点間に亙るステッチ長は、針落
ち点演算手段で求めた針落ち点のデータに基いて補正手
段により演算されるとともに、このステッチ長が所定値
未満のときには所定値以上となるように、後続針落ち点
の主辺上の位置が補正手段により補正される。

【０００９】このように、各ブロックの主辺上に求めた
各針落ち点とそれに続く後続針落ち点間に亙るステッチ
長が所定値未満のときには、所定値以上となるように後
続針落ち点の位置を補正するので、糸調子が改善され
る。従って、ステッチ長が所定値未満となる刺繍縫目幅
の狭いブロックに関して、マニュアルモードによる針落
ち点の入力作業を省略でき、データ記憶手段に格納する
データの作成が著しく簡単化する。しかも、糸切れや糸
調子の悪化を確実に防止することができる。

【００１０】請求項２に係る刺繍ブロックデータ展開装
置においては、前記請求項１と略同様に作用するが、次
の点で異なる。即ち、各ブロックにおける１対の主辺の
対応する端点同志を結ぶ１対の副辺の合計長は、糸密度
補正手段によりデータ記憶手段に記憶されたデータに基
いて求められ、その副辺の合計長が所定値未満のときに
は、糸密度補正手段によりそのブロックにおける糸密度
が小さくなるように補正される。その結果、副辺の合計
長が所定値未満となる刺繍縫目幅の狭いブロックに関し
て、糸密度を小さく補正して分割数が減少するのに伴っ
てステッチ長が延長される。

【００１１】このように、各ブロックの副辺の合計長が
所定値未満のときには、糸密度を小さく補正して分割数
が減少するのに伴ってステッチ長が延長されるので、糸
調子が改善される。従って、刺繍縫目幅の狭いブロック
に関して、マニュアルモードによる針落ち点の入力作業
を省略でき、データ記憶手段に格納するデータの作成が
著しく簡単化する。しかも、糸切れや糸調子の悪化を確
実に防止することができる。

【００１２】

【発明の効果】請求項１に係る刺繍ブロックデータ展開
装置によれば、〔作用〕の項で説明したように、データ
記憶手段に各ブロックの主辺の位置を規定する位置デー
タと糸密度データとを格納する一方、針落ち点演算手段
と補正手段とを設け、各ブロックの主辺上に求めた各針
落ち点とそれに続く後続針落ち点間に亙るステッチ長が
常に所定値以上となるように後続針落ち点の位置を補正
するので、ステッチ長が所定値未満となる刺繍縫目幅の
狭いブロックに関して、マニュアルモードによる針落ち
点の入力を省略でき、データ記憶手段に格納するデータ
の作成が著しく簡単化する。更に、糸切れや刺繍縫目の
糸調子の悪化を確実に防止できる。

【００１３】請求項２に係る刺繍ブロックデータ展開装
置によれば、〔作用〕の項で説明したように、データ記
憶手段に各ブロックの主辺の位置を規定する位置データ
と糸密度データとを格納する一方、糸密度補正手段と針
落ち点演算手段とを設け、各ブロックの副辺の合計長が
所定値未満のときには、糸密度を小さく補正して分割数
が減少するのに伴ってステッチ長が延長されるので、前
記請求項１と同様の効果を得ることができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。本実施例は、刺繍領域（ブロック）に縫目を
施す為のステッチデータ（針落ち位置データ）を作成す
る刺繍ブロックデータ展開装置に本発明を適用した場合
のものである。刺繍ブロックデータ展開装置１は、図３
に示すように基本的には、文字や画像を表示するＣＲＴ
表示器１０と、キーボード１１と、ハードディスク装置
などからなる外部記憶装置１２と、座標入力器（マウ
ス）１３及びこれらが接続された制御ボックス１４とか
ら構成されている。この制御ボックス１４には、後述す
る制御装置Ｃやフロッピーディスクドライブ装置１６
（図４参照）が内蔵されている。

【００１５】次に、刺繍ブロックデータ展開装置１の制
御系は、図４のブロック図に示すように構成されてい
る。制御装置Ｃの入出力インターフェース２０には、キ
ーボード１１と、外部記憶装置１２と、座標入力器１３
と、ＣＲＴ表示器１０の為の表示駆動回路１５と、フロ
ッピーディスクドライブ装置（ＦＤＤ）１６の為のフロ
ッピーディスクコントローラ（ＦＤＣ）１７とが夫々接
続されている。

【００１６】前記キーボード１１には、加工布に施す刺
繍模様や縫目密度などを入力する為のものであり、アル
ファベット、数字、記号などの刺繍模様を指示する為の
キーやデータの入力に必要な種々のキーが設けられてい
る。また、外部記憶装置１２には、文字や図形などの複
数種類の刺繍模様に関する刺繍領域データ（模様輪郭デ
ータ）が刺繍模様番号と対応づけて格納されている。こ
こで、刺繍領域データとして、例えば三角形や四角形か
らなる複数のブロック（刺繍領域）で構成された刺繍模
様のときには、糸密度データと、複数のブロックの各々
に関して、そのブロックの輪郭を画定する為の複数の輪
郭線素の各々について、始点位置、終点位置及びこれら
輪郭線素の種類（直線又は曲線）を指示するデータなど
が含まれている。

【００１７】例えば、ひらがな「う」の刺繍領域の刺繍
領域データとしては、図５に示すように、糸密度データ
に加えて、ブロックＢ１の座標データ（刺繍領域デー
タ）、ブロックＢ２の座標データ、ブロックＢ３の座標
データ、・・ブロックＢ６の座標データ、フィードデー
タ（Ｆ）、ブロックＢ７の座標データ、・・・ブロック
Ｂ２１の座標データが順次格納されている。ここで、ブ
ロックＢ１１とブロックＢ１２とは、縫い方向と略直交
する方向の幅（以下、刺繍縫目幅という）が非常に狭く
なっている。

【００１８】このブロック座標データとして、例えばブ
ロックＢ１の場合には、図６に示すように、三角形状の
輪郭を画定する為の３つの輪郭線素Ｌ１〜Ｌ３の各々に
ついて、始点位置と終点位置を規定する４つの規定点ｂ
１１、ｂ１２、ｂ１３、ｂ１４の座標データが含まれて
いる。ここで、これら規定点ｂ１１、ｂ１２、ｂ１３、
ｂ１４は所定の順序で格納されており、規定点の格納順
序により、相対向する２つの輪郭線素（主辺）Ｌ１・Ｌ
２上に針落ち点が糸密度に基いて縫製順に順次求められ
る。尚、符号Ｌ３は、１対の規定点ｂ１３、ｂ１４を結
ぶ副辺である。

【００１９】制御装置Ｃは、ＣＰＵ２１とＣＰＵ２１に
データバスなどのバス２４を介して接続された入出力イ
ンターフェース２０とＲＯＭ２２及びＲＡＭ２３とから
構成されている。このＲＯＭ２２には、後述の本案特有
のステッチデータ展開処理制御の制御プログラムなどが
格納されている。ＲＡＭ２３には、外部記憶装置１２か
ら読出された刺繍領域データを格納する刺繍データメモ
リ、糸密度メモリ、ワークメモリや、ＣＰＵ２１で演算
した演算結果を一時的に格納する各種メモリやカウンタ
やポインタなどのメモリが設けられている。

【００２０】次に、刺繍ブロックデータ展開装置１で行
なわれるステッチデータ展開処理制御のルーチンについ
て、図７のフローチャートに基いて説明する。尚、図中
符号Ｓｉ（ｉ＝３０、３１、３２・・・・）は各ステッ
プである。

【００２１】キーボード１１において、刺繍縫いする刺
繍模様が選択されるとともに、縫製開始が指令されると
この制御が開始され、先ずカウンタＰやメモリＮ、Ｒが
夫々クリアされ（Ｓ３０）、選択された刺繍模様に関す
る刺繍領域データが外部記憶装置１２から読込まれ、こ
の刺繍領域データのうち糸密度データは糸密度メモリに
格納され、更に複数のブロックデータは刺繍データメモ
リに格納される（Ｓ３１）。次に、これらブロックデー
タに基いてブロック数（総ブロック数）が検索され、こ
のブロック数がカウンタにカウント値Ｎとして格納され
る（Ｓ３２）。但し、フィードデータも１つのブロック
数として扱われる。

【００２２】次に、ブロックカウンタＰに「１」がセッ
トされ、最初のブロックデータが指示される（Ｓ３
３）。次に、１つ前のブロックに設けられた余りの分割
数を記憶する余り分割数メモリの余り分割数Ｒがクリア
される（Ｓ３４）。次に、このブロックカウンタＰで指
示するデータがフィードデータでなくブロックデータの
ときには（Ｓ３５：Ｎｏ）、ブロックカウンタＰで指示
されるブロックデータに余り分割数Ｒを加算した修正ブ
ロックデータが演算される（Ｓ３６）。例えば、図８に
示すように、ブロックカウンタＰで指示されるブロック
ＢＰは、本来、規定点１と規定点２と規定点３及び規定
点４で規定されるが、１つ前のブロックＢ（Ｐ−１）に
「２」つの余り分割数Ｒが存在すると仮定し、規定点Ａ
と規定点Ｂと規定点３及び規定点４で修正ブロックＢｐ
を規定する。ここで、規定点Ａと規定点３とで規定され
る線分Ａ３を針落ち点が求められる第１主辺Ｌ１とし、
規定点Ｂと規定点４とで規定される線分Ｂ４を針落ち点
が求められる第２主辺Ｌ２とする。

【００２３】次に、この修正ブロックデータと糸密度デ
ータとに基いて、この修正ブロックのステッチ数Ｍが少
数点以下も含めて演算される（Ｓ３７）。例えば、図８
に示す修正ブロックＢｐにおけるステッチ数Ｍは「２．
２」として求められる。次に、修正ブロックの主辺をス
テッチ数Ｍで分割した分割点が演算される（Ｓ３８）。
例えば、図８に示す修正ブロックＢｐにおいて、第１主
辺Ｌ１上の分割点Ｕ１、Ｕ２が求められ且つ第２主辺Ｌ
２上の分割点Ｖ１、Ｖ２が求められる。

【００２４】次に、前記分割点間を１０等分した中間分
割点が演算される（Ｓ３９）。例えば、図８に示す修正
ブロックＢｐにおいて、第１主辺Ｌ１上の中間分割点ａ
１、ａ２、ａ３・・・・・が求められ、第２主辺Ｌ２上
の中間分割点ｂ１、ｂ２、ｂ３・・・・・が求められ
る。次に、分割点のデータに基いて、次の針落ち点とそ
のステッチ長Ｌとが演算される（Ｓ４０）。例えば、図
８に示す修正ブロックＢｐにおいて、第２主辺Ｌ２上の
分割点Ｖ１を次の針落ち点とし且つ線分ＡＶ１の線分長
さ（ステッチ長）Ｌが求められる。

【００２５】次に、この次の針落ち位置データと修正ブ
ロックデータとに基いて、この針落ち点がこの修正ブロ
ックの主辺上の点か否かが判定され（Ｓ４１）、主辺上
の点のときには（Ｓ４１：Ｙｅｓ）、更にステッチ長Ｌ
が１mm（所定値）以上か否かが判定される（Ｓ４２）。
そして、ステッチ長Ｌが１mm以上のときには（Ｓ４２：
Ｙｅｓ）、その針落ち位置の座標データがワークメモリ
に記憶され（Ｓ４３）、Ｓ４０に戻る。しかし、ステッ
チ長Ｌが１mm未満のときには（Ｓ４２：Ｎｏ）、次の針
落ち点を１つ規定点３側又は規定点４側の分割点として
求められ（Ｓ４４）、Ｓ４１に戻る。そして、ステッチ
長Ｌが１mm以上のときには（Ｓ４１・Ｓ４２：Ｙｅ
ｓ）、その針落ち位置の座標データがワークメモリに記
憶される（Ｓ４３）。例えば、図８に示す修正ブロック
Ｂｐにおいて、次の針落ち点が分割点Ｖ１のときのステ
ッチ長Ｌが１mmより小さいときには、次の針落ち点が分
割点ｂ１１に移動され、そのステッチ長Ｌが未だ１mm未
満のときには、次の針落ち点が分割点ｂ１２に移動さ
れ、そのステッチ長Ｌが１mm以上になったときには、そ
の分割点ｂ１２が針落ち位置データとしてワークメモリ
に記憶される。

【００２６】ところで、前記Ｓ４１〜Ｓ４２・Ｓ４４を
繰り返して実行中に、ステッチ長Ｌが１mmより小さく且
つ移動させた次の分割点がその修正ブロックを越えた分
割点のときには（Ｓ４１：Ｎｏ）、ブロックカウンタＰ
で指示するブロックの次にブロックデータが連続してい
るときには（Ｓ４５：Ｙｅｓ）、最終に記憶した針落ち
点から規定点３又は規定点４までのステッチ数が少数点
を含めて余り分割数Ｒとして格納され（Ｓ４６）、ブロ
ックカウンタＰのカウント値が１つインクリメントされ
（Ｓ５０）、ブロックカウント値Ｐがブロック数Ｎ以下
のときには（Ｓ５１：Ｎｏ）、Ｓ３５に戻る。

【００２７】例えば、図８に示す修正ブロックＢｐにお
いて、次の本来の針落ち点ａ２２を求め、針落ち点ｂ１
２から針落ち点ａ２２までのステッチ長Ｌが１mmより小
さく、針落ち点を規定点３側の分割点に順次移動する移
動途中で、針落ち点が現在の修正ブロックＢｐの主辺Ｌ
１を越えたときには、針落ち点ｂ１２から規定点４まで
のステッチ数「１．２」が余り分割数Ｒとして記憶され
る。その後、Ｓ３５〜Ｓ４６により、次の針落ち点が分
割点ａ３２として求められる。

【００２８】一方、次の針落ち点を求める為に移動させ
た次の分割点がその修正ブロックを越えた分割点のとき
に（Ｓ４１：Ｎｏ）、次にブロックデータが連続しない
ときには（Ｓ４５：Ｎｏ）、この修正ブロックの最終の
規定点３（又は規定点４）が次の針落ち位置データとし
てワークメモリに記憶され（Ｓ４７）、余り分割数Ｒが
クリアされ（Ｓ４８）、Ｓ５０に移行する。尚、ブロッ
クカウンタＰで指示するデータがフィードデータのとき
には（Ｓ３５：Ｙｅｓ）、このフィードデータがワーク
メモリに記憶される（Ｓ４９）。また、インクリメント
されたブロックカウント値Ｐがブロック数Ｎより大きい
ときには（Ｓ５１：Ｙｅｓ）、この制御を終了する。例
えば、前記図５に示すひらがな「う」の刺繍領域データ
に基いて、このステッチデータ展開処理制御により求め
られたステッチデータを用いた刺繍縫目は図９に示すよ
うに形成され、刺繍縫目幅が非常に狭いブロックＢ１
１、Ｂ１２において、各刺繍縫目のステッチ長Ｌが１mm
以上となるように延長されている。

【００２９】以上説明したように、各ブロックの第１・
第２主辺Ｌ１・Ｌ２上に求められた各針落ち点とそれに
続く後続針落ち点間に亙るステッチ長Ｌが所定値（例え
ば、１mm）未満のときには、所定値以上となるように、
後続針落ち点の位置を規定点３側又は規定点４側の分割
点に順次移動させて補正するので、糸調子が改善され
る。従って、ステッチ長Ｌが所定値未満となる刺繍縫目
幅の狭いブロックに関して、マニュアルモードによる針
落ち点の入力を省略でき、データ記憶手段に格納するデ
ータの作成が著しく簡単化する。更に、糸切れや刺繍縫
目の糸調子の悪化を確実に防止できる。

【００３０】尚、ステッチデータ展開処理制御の制御プ
ログラムを外部記憶装置１２に格納することも可能であ
る。尚、本発明の刺繍ブロックデータ展開装置１を刺繍
縫い可能な各種のミシンに組み込むことも可能である。
尚、針落ち点を補正する為のステッチ長Ｌは１mm以上の
任意の所定値とすることが可能である。

【００３１】

【第２実施例】ところで、前記ステッチデータ展開処理
制御を図１０に示すように制御し、ブロックの１対の副
辺（１対の主辺Ｌ１・Ｌ２の両規定点を夫々結ぶ辺）の
合計長が所定値未満のときには、そのブロックの糸密度
を小さく補正してステッチ長を延長することも可能であ
る。このステッチデータ展開処理制御のルーチンについ
て、図１０のフローチャートに基いて説明する。但し、
Ｓ６０〜Ｓ６４については、前記ステッチデータ展開処
理制御のＳ３０〜Ｓ３５と同様なので、その説明を省略
する。

【００３２】即ち、ブロックカウンタＰで指示するデー
タがフィードデータでなくブロックデータのときには
（Ｓ６４：Ｎｏ）、ブロックカウンタＰで指示されるブ
ロックの１対の副辺の長さの合計つまり総副辺長Ｌが副
辺長メモリに格納される（Ｓ６５）。次に、この総副辺
長Ｌが１mmより小さいときには、糸密度データｔが０．
４倍に補正され（Ｓ６７）、この補正糸密度データｔを
用いてブロックカウンタＰで指示するブロックにおける
針落ち点が求められ（Ｓ６９）、これら針落ち位置デー
タがワークメモリに記憶され（Ｓ７０）、ブロックカウ
ンタＰのカウント値が１つインクリメントされ（Ｓ７
１）、ブロックカウント値Ｐがブロック数Ｎ以下のとき
には（Ｓ７２：Ｎｏ）、Ｓ６４に戻る。従って、糸密度
データｔが小さく補正されるので、この糸密度データｔ
を用いて求めた主辺の分割数が少なくなり、その結果ス
テッチ長をより長くすることができる。

【００３３】一方、前記総副辺長Ｌが１mm以上且つ２mm
より小さいときには、糸密度データｔが０．７倍に補正
され（Ｓ６８）、この補正糸密度データｔを用いてブロ
ックカウンタＰで指示するブロックにおける針落ち点が
求められ（Ｓ６９）、これら針落ち位置データがワーク
メモリに記憶される（Ｓ７０）。この場合にも前記と同
様に、ステッチ長をより長くすることができる。また、
総副辺長Ｌが２mm以上のときには、本来の糸密度データ
ｔを用いてブロックカウンタＰで指示するブロックにお
ける針落ち点が求められ（Ｓ６９）、これら針落ち位置
データがワークメモリに記憶される（Ｓ７０）。

【００３４】以上説明したように、各ブロックの副辺の
合計長Ｌが例えば、１mm未満のときには、糸密度を０．
４倍に小さく補正して分割数が減少するのに伴ってステ
ッチ長が延長され、また副辺の合計長Ｌが例えば、１mm
≦Ｌ≦２mmのときには、糸密度を０．７倍に小さく補正
して分割数が減少するのに伴ってステッチ長が延長され
るので、前記実施例と同様の効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１の構成を示す機能ブロック図である。

【図２】請求項２の構成を示す機能ブロック図である。

【図３】刺繍ブロックデータ展開装置の概略斜視図であ
る。

【図４】刺繍ブロックデータ展開装置の制御系のブロッ
ク図である。

【図５】複数のブロックからなる刺繍領域データを説明
する説明図である。

【図６】ブロックデータを説明する説明図である。

【図７】ステッチデータ展開処理制御のルーチンの概略
フローチャートである。

【図８】ステッチ長が所定値以上となるように後続針落
ち点の位置補正を説明する説明図である。

【図９】刺繍縫いされた刺繍模様「う」の例示図であ
る。

【図１０】第２実施例に係るステッチデータ展開処理制
御のルーチンの概略フローチャートである。

【符号の説明】

１ 刺繍ブロックデータ展開装置 １２ 外部記憶装置 ２１ ＣＰＵ ２２ ＲＯＭ ２３ ＲＡＭ Ｃ 制御装置

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刺繍ミシンにおけるＸ方向とＹ方向とに
   独立に位置制御される布移動手段を駆動する為に、刺繍
   縫いすべき刺繍領域を分割した複数のブロックを規定す
   るブロックデータと糸密度を規定する糸密度データとを
   記憶したデータ記憶手段を備え、このデータ記憶手段に
   記憶したデータを刺繍縫いの針落ち点を規定するステッ
   チデータに展開する刺繍ブロックデータ展開装置におい
   て、 前記データ記憶手段には、各ブロックの相対向する１対
   の輪郭線素である１対の主辺の位置を規定する位置デー
   タと、各ブロック又は複数のブロックの糸密度を規定す
   る糸密度データとが格納され、 前記データ記憶手段に記憶されたデータに基いて、１つ
   又は列状に連なる複数のブロックについて、主辺上の針
   落ち点が略等間隔となるように針落ち点を演算する針落
   ち点演算手段を設け、 前記針落ち点演算手段で求めた針落ち点のデータに基い
   て、各針落ち点とそれに続く後続針落ち点間に亙るステ
   ッチ長を演算し、ステッチ長が所定値未満のときには所
   定値以上となるように後続針落ち点の主辺上の位置を補
   正する補正手段を設けたことを特徴とする刺繍ブロック
   データ展開装置。
2. 【請求項２】 刺繍ミシンにおけるＸ方向とＹ方向とに
   独立に位置制御される布移動手段を駆動する為に、刺繍
   縫いすべき刺繍領域を分割した複数のブロックを規定す
   るブロックデータと糸密度を規定する糸密度データとを
   記憶したデータ記憶手段を備え、このデータ記憶手段に
   記憶したデータを刺繍縫いの針落ち点を規定するステッ
   チデータに展開する刺繍ブロックデータ展開装置におい
   て、 前記データ記憶手段には、各ブロックの相対向する１対
   の輪郭線素である１対の主辺の位置を規定する位置デー
   タと、各ブロック又は複数のブロックの糸密度を規定す
   る糸密度データとが格納され、 前記データ記憶手段に記憶されたデータに基いて、各ブ
   ロックにおける１対の主辺の対応する端点同志を結ぶ１
   対の副辺の合計長が所定値未満のときにはそのブロック
   における糸密度を小さく補正する糸密度補正手段を設
   け、 前記データ記憶手段に記憶されたデータと糸密度補正手
   段で補正された糸密度に基いて、１つ又は列状に連なる
   複数のブロックについて、主辺上に略等間隔となるよう
   に針落ち点を演算する針落ち点演算手段を設けたことを
   特徴とする刺繍ブロックデータ展開装置。