JP2916377B2 - アンモニア分解用触媒およびその触媒を用いるアンモニアの分解方法 - Google Patents

アンモニア分解用触媒およびその触媒を用いるアンモニアの分解方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種排ガス中に含まれる
有害なアンモニア(NH3)を下記の式(1)で示され
る様に窒素ガス(N2)と水(H2O)とに酸化分解する
ためのアンモニア分解触媒に関する。アンモニア含有ガ
スとしては、コークス炉や各種工場からの排ガス、アン
モニアを含む水溶液から空気又は水蒸気によりアンモニ
アを放散させるアンモニアストリッピングプロセスから
のガス、アンモニアを還元剤とした選択的接触還元によ
る排煙脱硝プロセスからの排ガス、都市清掃施設、都市
浄水施設、汚泥処理施設等から排出されるガスなどがあ
る。
【0002】
【数1】
【0003】
【従来の技術】アンモニアストリッピングプロセスは湖
沼や閉鎖海域の富栄養化を防ぐため排水中の全窒素濃度
を低減させる方法として最近特に検討されつつありその
場合には排水中から放散したアンモニアを含むガスの処
理が必要である。
【0004】また発電所などから排出される排煙中の窒
素酸化物(NOx)の効果的な除去方法として採用され
ているアンモニアを還元剤とした選択的接触還元による
排煙脱硝法は、火力発電所を中心に幅広く用いられてい
る。近年、電力需要変動に対応するため都市部を中心に
設置が進められている発電用ガスタービン等からのNO
x排出は、生活地域に隣接するために環境保全上問題と
なるばかりか設置地域がNOx総量規制対象地域である
ことも多く、設備から排出される排ガス中のNOx量を
極めて低いレベルに抑えることすなわち高度の脱硝が必
要とされている。
【0005】この目的のためアンモニア注入量を必要脱
硝率より求められる化学量論量よりも増加させて脱硝装
置を高脱硝率で運転するなどの方法が検討されている。
この場合、化学量論量よりも過剰に添加され脱硝反応に
利用されなかった未反応アンモニア(以下「リークアン
モニア」という)を低減させることが必要でありこの目
的で脱硝触媒とアンモニア分解触媒の組み合わせが検討
されている。この場合には当然の事ながら高温度領域に
おいてもアンモニアの酸化によりNOxが多量に発生し
ない、すなわち窒素と水への高選択率アンモニア分解特
性を有する触媒を必要とするものである。
【0006】この様に高温においても、またアンモニア
濃度に対する酸素濃度が過剰に存在する条件下において
もアンモニアの酸化によりNOxが多量に発生しない、
すなわち窒素と水への選択率の高いアンモニア分解特性
が強く求められている。更に本発明のアンモニア分解触
媒による処理対象ガスとしては都市清掃施設、都市浄水
施設、汚泥処理施設等から排出されるガス等も挙げら
れ、通常これらの施設からの排ガスにはアンモニアと共
に硫黄酸化物、硫化水素や含イオウ有機化合物、含窒素
有機化合物などの悪臭の原因となる成分が含まれてい
る。
【0007】従来より、アンモニアを含有する排気ガス
の浄化においては、下記に示す触媒が提案されている。
例えばPt−Al23系触媒などの貴金属系触媒(特公
昭57−58213号公報)やNi、Mn、Cu、Fe
等の金属酸化物系触媒(特開平2−198638号公
報)である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の触媒は、例えばPt系触媒の場合には高温度条件下や
アンモニア濃度に対する酸素濃度過剰条件下ではアンモ
ニアの酸化によってNOxが多量に発生する等の問題が
あり、NiやMn等の卑金属酸化物触媒では低温での活
性が低くN2Oの発生を招くなどの問題があった。更に
処理ガス中に硫化水素や含イオウ有機化合物が含まれる
と耐久性が著しく低下する問題もあった。また、処理ガ
ス中にアンモニアと共に他の含窒素有機化合物が含まれ
るとアンモニア分解活性が低下したりNOx生成が増大
するなどの問題もあった。脱硝機能を備えたアンモニア
分解触媒としてチタン、バナジウム、タングステン、モ
リブデンから選ばれる元素の酸化物と貴金属塩類の組成
物からなる触媒又はチタン、バナジウム、タングステ
ン、モリブデンから選ばれる元素の酸化物と貴金属を担
持したゼオライト等の多孔体から成る触媒も提案されて
いる(特開平5−146634号公報)。
【0009】しかしながら、該公報実施例に示される様
に前者すなわちチタン、バナジウム、タングステン、モ
リブデンから選ばれる元素の酸化物に貴金属塩類を担持
しただけでは後者すなわちチタン、バナジウム、タング
ステン、モリブデンから選ばれる元素の酸化物と貴金属
を担持したゼオライト等の多孔体から成る触媒に比較し
てアンモニア分解活性が極端に低く、また後者は触媒成
分の他にゼオライト等の多孔体が必要であり、更に多孔
体に貴金属を担持する工程や得られた貴金属担持多孔体
をチタン、バナジウム、タングステン、モリブデンから
選ばれる元素の酸化物と混合するための工程が必要とな
るなど製造工程が複雑になる問題があった。
【0010】そこで本発明の目的は、低温から高温まで
幅広い温度範囲で酸素過剰存在下や他の含窒素有機化合
物の存在下においても高いアンモニア分解活性を示し、
NOxの生成も極めて低く、かつ処理ガス中にイオウ化
合物が含まれても優れた耐久性を有し、しかも複雑な製
造工程を必要としないアンモニア分解触媒及び該アンモ
ニア分解触媒を用いてアンモニアと共に硫黄酸化物、硫
化水素、含イオウ有機化合物、含窒素有機化合物から選
ばれる少なくとも1種の化合物を含むガスを分解処理す
る方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため鋭意研究検討を加えた。その結果、特定の
金属の複合酸化物を選択し、更にその複合酸化物を特定
の金属の酸化物及び貴金属成分と組み合わせることによ
り目的とする高活性高寿命アンモニア分解触媒が得られ
ることを見い出し、更に該触媒をアンモニア、並びに硫
黄酸化物、硫化水素、含イオウ有機化合物、含窒素有機
化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含むガスに適用すると優れた分解処理効果が得られる
ことも見い出し本発明を完成するに至った。すなわち本
発明は、以下の通り特定されるものである。
【0012】(1)Ti及びSiを含有する二元系複合
酸化物;Ti及びZrを含有する二元系複合酸化物;T
i、Si及びZrを含有する三元系複合酸化物からなる
群から選ばれた少なくとも1種の複合酸化物である触媒
A成分と、バナジウム、タングステン及びモリブデンよ
りなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物で
ある触媒B成分と、白金、パラジウム、ロジウム、ルテ
ニウム及びイリジウムよりなる群から選ばれた少なくと
も1種の貴金属又はその化合物である触媒C成分とを含
有することを特徴とするアンモニア分解用触媒。
【0013】(2)上記1の触媒を用いるアンモニアの
分解方法。
【0014】(3)アンモニア、並びに硫黄化合物、硫
化水素、含イオウ有機化合物及び含窒素有機化合物から
なる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むガス
において、上記1記載の触媒を用いるアンモニアの分解
方法。
【0015】以下に更に具体的に本発明を説明する。本
発明のアンモニア分解触媒を構成する成分のうち、第一
の特徴は触媒成分Aとして特定の金属の複合酸化物を用
いるところにある。この金属の複合酸化物はTi及びS
iからなる二元系複合酸化物、Ti及びZrからなる二
元系複合酸化物及びTi、SiとZrとからなる三元系
複合酸化物からなる群から選ばれる。
【0016】一般にチタンおよびケイ素からなる二元系
複合酸化物、例えば、田部浩三(触媒,第17巻,No
3,72頁,1975年)によっても周知のように、固
体酸として知られ、構成するおのおの単独の酸化物には
みられない顕著な酸性を示し、また高表面積を有するも
のである。すなわち、上記のTiO2−SiO2(チタン
とケイ素の複合酸化物、以下、各複合酸化物の表示法と
して、酸化物と酸化物の間に「−」を用いて示すことも
ある。)は酸化チタンおよび酸化ケイ素を単に混合した
ものではなく、チタンおよびケイ素がいわゆる二元系酸
化物を形成することにより、その特異的な物性を発現す
るものと認められるものである。またチタン、ケイ素お
よびジルコニウムからなる三元系複合酸化物もTiO2
−SiO2と同様な性質を有する複合酸化物である。さ
らに、上記の複合酸化物はX線回折による分析の結果、
非晶質若しくはほぼ非晶質に近い微細な構造を有してい
ることが判った。
【0017】本発明においてかかる金属の複合酸化物が
優れた効果をもたらす理由については明確ではないが、
かかる金属の複合酸化物を構成する酸化物単独では認め
られない複合酸化物の特性すなわちアンモニア吸着性
能、高表面積、高細孔容積、耐イオウ化合物性などに帰
因すると考えられる。つまり、本発明において用いられ
る複合酸化物はガス中に共存するイオウ酸化物などの影
響も受けにくくアンモニア吸着性能に優れることや、高
表面積かつ高細孔容積を有し、触媒の活性成分の高分散
化が可能であることから少量の活性成分で幅広い温度範
囲で高活性を示し、シンタリングなどによる熱劣化もな
く長寿命の触媒が得られるものと推測される。 以上の
点について、一般的に使用される酸化物、例えばアルミ
ナ等と、本発明に係る複合酸化物とを比べると、さらに
明確に効果が判る。例えば、本発明に係る複合酸化物に
代えアルミナを用いた場合、アンモニアの分解(水と窒
素ガスへの分解)への活性が低くなり、また処理するガ
ス中にイオウ化合物が存在すると、アルミナは硫酸塩化
し、分解活性の低下、触媒強度の低下を生じるものであ
る。
【0018】シリカを用いる場合は、アンモニアの分解
活性が低く、高温下において、特に水分を含むガスを処
理するとシンタリングを生じ表面積の大幅な低下が生じ
るため、さらにアンモニアの分解活性が低くくなるもの
である。
【0019】ゼオライトを使用すると耐熱性に劣り、高
温条件下では結晶構造が変化し表面積の大幅な低下を生
じるともに、分解活性も著しく低下する。以上のような
欠点は本発明に係る複合酸化物には少なくアンモニア分
解触媒としては有効なものとなる。
【0020】本発明に係る複合酸化物である触媒A成分
と触媒B成分とを組み合わせた場合では、アンモニアの
分解によるNOxの生成はほとんどなく、また処理ガス
中にNOxが含まれていてもアンモニアによる脱硝反応
により出口ガスにはNOxはほとんど存在しないもので
ある。しかし、当該処理ガス中にNOxが存在しない場
合、特に低温でのアンモニア分解活性が低くなるもので
ある。また、触媒A及びC成分を組み合わせる場合は、
アンモニア分解活性の点くでは優れるが、NOxの発生
が高くなり好ましくないとなる。
【0021】一方、触媒A、B及びC成分を組み合わせ
ることにより、触媒A成分のアンモニア吸着能にも優れ
る点に加え、さらに触媒B及びC成分の働きを有効に発
揮することができ、アンモニア分解活性及びNOxの発
生も低減できるという相乗効果を得ることができるもの
である。
【0022】このような理由から、本発明において使用
される触媒A成分の物性及び組成は本発明のアンモニア
分解触媒の特性に大きな影響を与える。例えばそのBE
T表面積は、低すぎるとアンモニア分解活性が低く耐久
性も低下するため30m2/g以上であることが好まし
く、40m2/g以上であることがより好ましい。表面
積の上限は特に限定されないが、本発明における金属の
複合酸化物は一般に1000m2/g以下の表面積を有
し、さらに好ましくは、40〜300m2/gである。
40m2/g未満である場合は、アンモニア分解活性が
低くなり、1000m2/gを超える場合は、初期活性
は高いが触媒性能についての経時変化が大きくなること
もあるので長期間の使用には好ましくないことも生じ
る。
【0023】本発明に係る二成分系の複合酸化物、Ti
2−SiO2又はTiO2−ZrO2の二元系複合酸化物
であり、これらのうち表面積の大きさ、アンモニアの分
解し易さ等を考慮すると好ましくは、TiO2−SiO2
の複合酸化物である。
【0024】またTiO2−SiO2又はTiO2−Zr
2の二元系複合酸化物である場合の各成分の組成比
は、酸化物に換算(酸化チタンはTiO2、酸化ケイ素
はSiO2、酸化ジルコニウムはZrO2)で、二成分の
合計モル量を100モル%とした場合、TiO2−Si
2の二元系複合酸化物であるときは、TiO2が40〜
95モル%、好ましくは60〜95モル%である。40
モル%未満である場合および95モル%を超える場合
は、アンモニアの分解性が低くなるからである。
【0025】TiO2−ZrO2の二元系複合酸化物であ
るとき、TiO2が45〜98モル%、好ましくは、6
5〜95モル%である。45モル%未満である場合は、
表面積が低くなるためアンモニアの分解活性も低くなる
からであり、98モル%を超える場合は、アンモニア分
解活性が低くなるからである。
【0026】また触媒A成分が三元系の複合酸化物であ
る場合の組成比は酸化物に換算(酸化チタンはTi
2、酸化ケイ素はSiO2、酸化ジルコニウムはZrO
2)の合計を100モル%とした場合、TiO2が40〜
95モル%、より好ましくは60〜95モル%の範囲内
にあることが好ましい。TiO2がその範囲を超える場
合は複合酸化物としての特徴が十分発揮されず、またそ
の範囲未満である場合は、触媒活性が低下する。
【0027】SiO2が1〜60モル%、好ましくは、
5〜40モル%、1モル%未満である場合は、表面積が
低くなりアンモニア分解活性も低くなるからであり、6
0モル%を超える場合は、アンモニア分解活性が低くな
るからである。
【0028】ZrO2が1〜55モル%、好ましくは、
5〜40モル%、1モル%未満である場合は、三元系の
複合酸化物としての上記特性が十分発揮されず、55モ
ル%を超える場合は、表面積が低くアンモニア分解活性
も低くなるものである。
【0029】なお、本発明においては、使用条件によっ
ては、上記の二元系複合酸化物と三元系複合酸化物とを
併用することもできる。
【0030】かかる金属の複合酸化物の調整方法は、例
えばTi及びSiからなる二元系複合酸化物について説
明すれば、チタン源としては、塩化チタン、硫酸チタン
等の無機チタン化合物、テトライソプロビルチタネート
等の有機チタン化合物などから適宜選択使用することが
できる。また、ケイ素源としては、コロイド状シリカ、
水ガラス、微粒子ケイ酸、四塩化ケイ素等の無機ケイ素
化合物、テトラエチルシリケート等の有機物ケイ素化合
物等から適宜選択使用することができる。これらの原料
のなかには、微量の不純物、混入物等を含有することが
あるが、ある程度の量であれば、目的とするチタン−ケ
イ素の複合酸化物の物性には、大きく影響を及ぼすもの
ではないので、問題なく使用することができる。上記チ
タンーケイ素の複合酸化物の好ましい調製方法として
は、以下に示す手順により達成できる。
【0031】(1)四塩化チタンをシリカゾルと混合
し、アンモニアを添加して沈殿を生じさせ、得られた沈
殿物を洗浄、乾燥し、次いで、300〜650℃で焼成
し、目的の複合物を得ることができる。
【0032】(2)四塩化チタンにケイ酸ナトリウム水
溶液を添加し、反応し沈殿を生じさせ、得られた沈殿物
を洗浄、乾燥し、次いで、300〜650℃で焼成し、
目的の複合物を得ることができる。
【0033】(3)四塩化チタンの水−アルコール溶液
に、エチルシリケート((C36O)4Si)を添加
し、次いで加水分解することにより沈殿物を生じさせ、
得られた沈殿物を洗浄、乾燥し、次いで、300〜65
0℃で焼成し、目的の複合物を得ることができる。
【0034】(4)酸化塩化チタン(TiOCl3
と、エチルシリケートとの水−アルコール溶液に、アン
モニアを加わえ、沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗
浄、乾燥、次いで、300〜650℃で焼成し、目的の
複合物を得ることができる。
【0035】上記の方法のうち(1)の方法が特に好ま
しく、さらに具体的には、チタン源(TiO2)および
ケイ素源(SiO2)のモル比が所定量となるように取
り、酸性の水溶液またはゾル状態(1〜100g/リッ
トル(以下、Lで表示する、なお、この量は、チタン源
はTiO2で、ケイ素源はSiO2で、換算する)の濃度
の酸性の水溶液またはゾルの状態)で、10〜100℃
に保ち、その中に中和剤としてアンモニア水を滴下し、
pH2〜10で10分から3時間保持してチタンおよび
ケイ素との共沈物を生成し、この沈殿物をろ過し、充分
洗浄後、80℃〜140℃で10分間〜3時間乾燥し、
400〜700℃で1〜10時間焼成し、チタン−ケイ
素複合酸化物を得ることができる。またケイ素の代わり
に、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコ
ニウム等の無機系ジルコニウム化合物、または蓚酸ジル
コニウムなどの有機系ジルコニウム、または場合によっ
てはジルコニアゾルを用いることにより、チタンとジル
コニアの複合酸化物チタニア−ジルコニア、チタン−シ
リカ−ジルコニアの複合酸化物を得ることができる。
【0036】本発明の第二の特徴である触媒B成分すな
わちバナジウム、タングステン及びモリブデンよりなる
群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物の添加
は、前記複合酸化物の粉体又はスラリーにかかる金属の
塩類もしくはその溶液を添加混合し必要に応じてニーダ
ーなどで練ってハニカム状などに成型することも可能で
あるし、前記複合酸化物を成型、乾燥、焼成して得られ
る成型体にかかる金属の塩類の溶液を含浸担持させる方
法によって添加することも可能である。かかる金属の塩
類としては、例えばメタバナジン酸アンモン、パラタン
グステン酸アンモニウム、パラモリブデン酸アンモンが
挙げられる。
【0037】本発明の第三の特徴である触媒C成分すな
わち白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びイリ
ジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属
又はその化合物は、前記触媒A成分または触媒A成分と
触媒B成分の混合物の粉体又はスラリーに例えばこれら
貴金属の塩類もしくはその溶液で添加することができ、
また、触媒A成分もしくは触媒A成分と触媒B成分より
成る成型体にこれら貴金属の塩類の溶液を含浸担持させ
る方法によっても添加することもできる。
【0038】すなわち本発明によって提供されるアンモ
ニア分解触媒の成型体は、上記触媒A成分、触媒B成
分、触媒C成分又はそれらの塩類よりなる粉体やスラリ
ーなどから成型して用いてもよく、また上記触媒A成分
及び触媒B成分よりなる成型体に触媒C成分を担持して
もよく、また上記触媒A成分よりなる成型体に触媒B成
分及び触媒C成分を担持して用いることもできる。ま
た、本発明によって得られる触媒組成物は、板状、波板
状、網状、ハニカム状、円柱状、円筒状などの形状に成
形して用いても良いし、アルミナ、シリカ、シリカアル
ミナ、コーディライト、チタニア、ステンレス金属など
よりなる板状、波板状、網状、ハニカム状、円柱状、円
筒状などの形状の担体に担持して使用してもよい。
【0039】この様にして本発明により得られたアンモ
ニア分解用触媒において触媒A成分と触媒B成分及び触
媒C成分の組成比は、そのアンモニア分解特性に大きい
影響を与える。触媒A成分が多すぎると触媒B成分及び
触媒C成分添加の効果が十分に得られず少なすぎてもア
ンモニア分解活性が低下する。触媒B成分は、少なすぎ
ると高温での触媒活性が低くなり、ある程度を越えて大
きくしても触媒活性の大きな向上は認められない。ま
た、触媒C成分が少ないとアンモニア分解活性特に低温
でのアンモニア分解活性が低くなり、多すぎると触媒コ
ストが高くなる他にアンモニア酸化によるNOx生成が
特に高温において増加する傾向が見られるようになる。
【0040】本発明に係る触媒B成分としては、バナジ
ウム、タングステン及びモリブデンよりなる群から選ば
れた少なくとも1種の金属の酸化物であり、この成分の
うち好ましくは、バナジウムおよびタングステンの少な
くとも一種である。また、触媒B成分を併用する場合
は、1〜99モル%、好ましくは2〜98モル%の比率
で混合することもできる。
【0041】本発明に係る触媒C成分としては、白金、
パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びイリジウムより
なる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属又はその化
合物であり、この成分のうち好ましくは、アンモニア分
解活性が高い白金またはパラジウムの少なくとも一種で
あり、さらに好ましくはパラジウムである。また、触媒
B成分を併用する場合は、1〜99モル%、好ましくは
2〜98モル%の比率で混合することもできる。
【0042】以上の触媒A、B及びC成分の比率は、好
ましくは触媒A成分は酸化物の形で70〜99重量%、
より好ましくは75〜95重量%、触媒B成分は酸化物
の形で0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重
量%、触媒C成分は金属として0.001〜5重量%、
より好ましくは0.005〜2.5重量%の範囲にある
ことが好ましい。
【0043】触媒A成分が、70重量%未満である場合
は、アンモニア分解活性および耐久性が低くなり、99
重量%を超える場合も同様にアンモニア分解活性が低く
なるからである。
【0044】触媒B成分が、0.5重量%未満である場
合は、高温でのアンモニア分解活性が低くなり、30重
量%を超えて添加しても大きなアンモニア活性の向上が
ないからである。
【0045】触媒C成分が、0.001重量%未満であ
る場合は、低温でのアンモニア分解活性が低くなり、5
重量%を超える場合は、高温でのNOx生成が増加する
から好ましくはないものである。
【0046】また得られた触媒の物性は、触媒A成分の
物性において述べたごとく、例えばそのBET表面積
は、低すぎるとアンモニア分解活性が低く耐久性も低下
するため30m2/g以上であることが好ましく、402
m/g以上であることがより好ましい。更にその細孔容
積は低すぎると触媒活性が低く、また高すぎると一般に
調製した触媒の強度が低くなるため0.25〜0.9c
c/gの範囲にあることが好ましく、0.3〜0.7c
c/gの範囲にあることがより好ましい。0.25cc
/g未満である場合は、触媒活性が低くなり、0.9c
c/gを超える場合は、触媒強度が低下し、触媒の充填
などの点に支障が生じるものである。
【0047】さらに、0.5μm以上の細孔径を有する
細孔の容積は、全細孔容積に対して、0.05〜0.6
の範囲の割合であることが好ましく、さらに好ましくは
0.1〜0.5の範囲である。0.05未満である場合
は、アンモニアの分解活性が低くなり、0.6を超える
場合は、触媒の強度が低下するため好ましくはない。
【0048】以下に触媒A成分としてTiO2−SiO2
複合酸化物、触媒B成分としてバナジウム及びタングス
テン酸化物、触媒C成分として白金よりなる本発明の触
媒の調製方法の一例を示す。
【0049】まず、前述の方法で得られたTiO2−S
iO2複合酸化物粉体にメタバナジン酸アンモン及びパ
ラタングステン酸アンモニウムのモノエタノールアミン
水溶液と成型助剤、例えば澱粉、ポリエチレンオキサイ
ドを加え十分混練りした後ハニカム型に押し出し成型す
る。この時触媒強度を高めるためにガラス繊維やガラス
粉末を加えることも可能である。続いてこの成型体を5
0〜150℃で乾燥した後300〜700℃で1〜10
時間焼成処理する。かくして得られたハニカム成型体を
塩化白金酸の水溶液に含浸し、50〜200℃で乾燥、
焼成して所望の触媒を得る。
【0050】本発明の触媒が使用されるアンモニア分解
処理の対象となるガスとしては、各種工場からのアンモ
ニアを含む排ガス、コークス炉排ガス、アンモニアを還
元剤とした選択的接触還元による排煙脱硝プロセスから
のリークアンモニアを含む排ガス、アンモニアストリッ
ピングプロセスからのアンモニア含有ガス、都市清掃施
設、都市浄水施設、汚泥処理施設等から排出されるガス
等が挙げられる。これらのガスは、本発明により得られ
る触媒の特性、すなわち低温から高温まで幅広い温度範
囲で高いアンモニア分解活性を示し窒素酸化物の生成も
極めて低くかつ処理ガス中にイオウ化合物が含まれても
優れた耐久性を有する特徴を十分に活かせるため特に処
理対象ガスとして好ましく選ばれる。
【0051】本発明の触媒をアンモニアと共に硫黄酸化
物、硫化水素、含イオウ有機化合物、含窒素有機化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むガスに適用
すると従来よりも優れた分解処理効果が得られる。すな
わちアンモニアと共に含まれる硫化水素、含イオウ有機
化合物、含窒素有機化合物は本発明の触媒によりアンモ
ニアと共に容易に分解され、触媒の耐久性も高い。この
場合アンモニアと共に含まれる成分としては二酸化硫黄
のような硫黄酸化物や、硫化水素の他に含イオウ有機化
合物としてはメチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化
メチル等があり、含窒素有機化合物としてはアミン類例
えばトリメチルアミン等があり本発明の効果が顕著に示
されるため特に処理対象ガスとして好ましく選ばれる。
【0052】本発明の触媒が使用されるアンモニア分解
処理の対象となるガスに含まれるアンモニアの濃度は低
すぎると分解効率が低くなり高すぎると触媒での発熱量
が大きくなり除熱が困難となって局部的な温度上昇やそ
れに伴う分解選択率の低下が起こるため0.5ppm〜
50%(体積濃度)の範囲にあることが好ましく、より
好ましくは1ppm〜5%(体積濃度)の範囲である。
0.5ppm未満である場合は、アンモニア分解効率が
低くなり、50%を超える場合は、触媒での発熱量が大
きくなり、除熱が困難となるため局部的な温度上昇やア
ンモニア分解活性の低下、耐久性の低下が起こるからで
ある。
【0053】また、アンモニアと共に含まれる硫化水素
または含イオウ有機化合物の濃度は、0〜5000pp
mの範囲にあることが好ましい。5000ppmを超え
る場合は、高すぎると触媒活性の低下を招くためだから
である。
【0054】アンモニアと共に含まれる窒素有機化合物
の濃度は0〜1%の範囲にあることが好ましく、1%を
超える場合は、高すぎるとNOx生成が増えるためだか
らである。NOxの生成を抑えてアンモニアと窒素有機
化合物両方の分解効率を上げるためにはアンモニア濃度
よりも低いことが好ましい。通常、処理対象ガス中には
酸素がアンモニアに対して過剰に存在するので特に酸素
を加える必要はないが、アンモニアや窒素有機化合物の
モル数に対して極めて低い濃度でしか存在しない場合に
はアンモニアや窒素有機化合物の1当量モルに対して目
的とする分解率(%)に対して0.01モル以上になる
ように加えると分解効率が改善されるため好ましい。ア
ンモニアや窒素有機化合物のモル数に対して酸素が極め
て大過剰に存在するとNOx生成量が増えるため酸素濃
度は21%以下であることが好ましい。
【0055】処理対象ガスの本発明の触媒に対する空間
速度は、100〜100000hr~1、好ましくは20
0〜50000hr~1の範囲にあるのがよい。100h
r~1未満である場合は、処理装置が大きく成りすぎ非効
率的だからであり、100000hr~1を超える場合
は、高すぎると分解効率が低下するためだからである。
【0056】分解処理ガス温度は、25〜700℃の範
囲にあることが好ましく、より好ましくは100〜50
0℃の範囲がよい。25℃未満出ある場合は、分解効率
が低くなるからだからであり、700℃を超える場合
は、NOxの生成が増加するためだからである。以下に
実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではな
い。
【0057】
【実施例】
実施例1 Ti及びSiからなる二元系複合酸化物を以下に述べる
方法で調製した。10重量%アンモニア水700リット
ルにスノーテックス−20(日産化学製シリカゾル、約
20重量%−SiO2含有)35.5Kgを加え撹拌混合
した後、硫酸チタニルの硫酸水溶液(TiO2として1
25g/リットル、硫酸濃度0.55g/リットル)3
00リットルを撹拌しながら徐々に滴下した。得られた
ゲルを3時間放置後、濾過水洗し、続いて150℃で1
0時間乾燥した。次いで500℃で6時間焼成した。得
られた粉体の組成はTi:Si=4:1(モル比)でB
ET表面積は210m2/gであった。こうして得られ
た粉体のX線回折チャートはTiO2やSiO2の明らか
な固有ピークは認められずブロードな回折ピークによっ
て非晶質な微細構造を有するTi及びSiよりなる複合
酸化物であることが確認された。こうして得られたTi
及びSiよりなる複合酸化物粉体20Kgにメタバナジ
ン酸アンモニウム0.56Kg及びパラタングステン酸
アンモニウム1.79Kgを含む10%モノエタノール
アミン水溶液12Kgを加え更に成形助剤として澱粉を
加えて混合しニーダーで混練りした後、押し出し成型機
で外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、
長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで80℃
で乾燥後450℃で5時間空気雰囲気下で焼成した。得
られたハニカム成形体の組成は、Ti−Si複合酸化
物:V25:WO3=91:2:7(重量比)であっ
た。この成形体を塩化白金酸水溶液(0.5g−Pt/
リットル)に含浸しその後150℃で3時間乾燥し続い
て空気雰囲気下450℃で3時間焼成した。こうして得
られた触媒のBET表面積は130m2/gであり、細
孔容積は0.45cc/gであった。また、そのうち
0.5μm以上の細孔径を有する細孔の容積は、0.1
1cc/g(全細孔容積に対し0.24の割合)であっ
た。触媒の組成は、Ti−Si複合酸化物:V25:W
3:Pt=90.8:2.0:7.0:0.2(重量
比)であった。
【0058】実施例2 Ti及びZrからなる二元系複合酸化物を以下に述べる
方法で調製した。スノーテックスの代わりに酸化塩化ジ
ルコニウム(ZrOCl2・8H2O)を用いた以外は実
施例1と同様にしてTi及びZrからなる二元系複合酸
化物を調製した。得られた粉体の組成はTi:Zr=
4:1(モル比)でありX線の回折チャートからはTi
2やZrO2の明らかな固有ピークは認められずブロー
ドな回折ピークによって非晶質な微細構造を有するTi
及びZrよりなる複合酸化物であることが確認された。
このTi及びZrからなる二元系複合酸化物の粉体を用
いて実施例1と同様にしてハニカム状触媒を得た。得ら
れた触媒のBET表面積は85m2/gであり、細孔容
積は0.38cc/gであった。また、触媒の組成は、
Ti−Zr複合酸化物:V25:WO3:Pt=90.
9:2.0:7.0:0.1(重量比)であった。
【0059】実施例3 Ti、Si、Zrからなる三元系複合酸化物を以下に述
べる方法で調製した。Zr源として酸化塩化ジルコニウ
ム(ZrOCl2・8H2O)を加えて用いた以外は実施
例1と同様にしてTi、Si、Zrからなる三元系複合
酸化物を調製した。得られた粉体の組成はTi:Si:
Zr=20:4:1(モル比)でありX線の回折チャー
トからはTiO2やSiO2、ZrO2の明らかな固有ピ
ークは認められずブロードな回折ピークによって非晶質
な微細構造を有するTi、Si及びZrよりなる複合酸
化物であることが確認された。このTi、Si、Zrか
らなる三元系複合酸化物を用いて実施例1と同様にして
ハニカム状触媒を得た。得られた触媒のBET表面積は
115m2/gであり、細孔容積は0.43cc/gであ
った。また、触媒の組成は、Ti−Si−Zr複合酸化
物:V25:WO3:Pt=90.9:2.0:7.0:
0.1(重量比)であった。
【0060】実施例4 実施例1において、メタバナジン酸アンモニウムの代わ
りにパラモリブデン酸アンモンを用いた他は実施例1と
同様にして触媒を調製した。得られた触媒のBET表面
積は121m2/gであり、細孔容積は0.42cc/g
であった。また、触媒の組成は、Ti−Si複合酸化
物:MoO3:WO3:Pt=90.6:2.0:7.
0:0.4(重量比)であった。
【0061】実施例5 実施例1において、使用原料の量を変化させ塩化白金酸
溶液の代わりに硝酸パラジウム溶液を用いた以外は実施
例1と同様にして触媒を調製した。得られたTi及びS
iからなる二元系複合酸化物粉体の組成はTi:Si=
9:1(モル比)でありX線の回折チャートからはTi
2やSiO2の明らかな固有ピークは認められずブロー
ドな回折ピークによって非晶質な微細構造を有するTi
及びSiよりなる複合酸化物であることが確認された。
最終的に得られた触媒のBET表面積は110m2/g
であり、細孔容積は0.41cc/gであった。また、
触媒の組成は、Ti−Si複合酸化物:V25:W
3:Pd=89.6:5.0:5.0:0.4(重量
比)であった。
【0062】実施例6 実施例において、使用原料の量を変化させ塩化白金酸溶
液の代わりに硝酸ロジウム溶液を用いた以外は実施例1
と同様にして触媒を調製した。得られたTi及びSiか
らなる二元系複合酸化物粉体の組成はTi:Si=4:
1(モル比)でありX線の回折チャートからはTiO2
やSiO2の明らかな固有ピークは認められずブロード
な回折ピークによって非晶質な微細構造を有するTi及
びSiよりなる複合酸化物であることが確認された。最
終的に得られた触媒のBET表面積は95m2/gであ
り、細孔容積は0.39cc/gであった。また、触媒
の組成は、Ti−Si複合酸化物:V25:WO3:R
h=84.8:10.0:5.0:0.2(重量比)であ
った。
【0063】実施例7 実施例5において、使用原料の量を変化させメタバナジ
ン酸アンモニウムを添加しなかった以外は実施例5と同
様にして触媒を調製した。得られたTi及びSiからな
る二元系複合酸化物粉体の組成はTi:Si=4:1
(モル比)でありX線の回折チャートからはTiO2
SiO2の明らかな固有ピークは認められずブロードな
回折ピークによって非晶質な微細構造を有するTi及び
Siよりなる複合酸化物であることが確認された。最終
的に得られた触媒のBET表面積は132m2/gであ
り、細孔容積は0.44cc/gであった。また、触媒
の組成は、Ti−Si複合酸化物:WO3:Pd=89.
6:10.0:0.4(重量比)であった。
【0064】実施例8 実施例の量を変化させ塩化白金酸溶液の代わりに塩化ル
テニウム溶液を用いた以外は実施例1と同様にして触媒
を調製した。得られたTi及びSiからなる二元系複合
酸化物粉体の組成はTi:Si=4:1(モル比)であ
りX線の回折チャートからはTiO2やSiO2の明らか
な固有ピークは認められずブロードな回折ピークによっ
て非晶質な微細構造を有するTi及びSiよりなる複合
酸化物であることが確認された。最終的に得られた触媒
のBET表面積は117m2/gであり、細孔容積は0.
43cc/gであった。また、触媒の組成は、Ti−S
i複合酸化物:V25:WO3:Ru=92.6:3.
0:4.0:0.4(重量比)であった。
【0065】実施例9 実施例1おいて、使用原料の量を変化させ塩化白金酸溶
液の代わりに塩化イリジウムのアルコール溶液を用いパ
ラタングステン酸アンモニウムを用いなかった以外は実
施例1と同様にして触媒を調製した。得られたTi及び
Siからなる二元系複合酸化物粉体の組成はTi:Si
=4:1(モル比)でありX線の回折チャートからはT
iO2やSiO2の明らかな固有ピークは認められずブロ
ードな回折ピークによって非晶質な微細構造を有するT
i及びSiよりなる複合酸化物であることが確認され
た。最終的に得られた触媒のBET表面積は92m2
gであり、細孔容積は0.40cc/gであった。ま
た、触媒の組成は、Ti−Si複合酸化物:V25:I
r=89:10:1(重量比)であった。
【0066】実施例10 実施例1において使用原料の量を変化させメタバナジン
酸アンモニウム及びパラタングステン酸アンモニウムの
代わりにパラモリブデン酸アンモンを用いた以外は実施
例1と同様にして触媒を調製した。得られたTi及びS
iからなる二元系複合酸化物粉体の組成はTi:Si=
4:1(モル比)でありX線の回折チャートからはTi
2やSiO2の明らかな固有ピークは認められずブロー
ドな回折ピークによって非晶質な微細構造を有するTi
及びSiよりなる複合酸化物であることが確認された。
最終的に得られた触媒のBET表面積は127m2/g
であり、細孔容積は0.40cc/gであった。また、
触媒の組成は、Ti−Si複合酸化物:MoO3:Pt
=89.8:10.0:0.2(重量比)であった。
【0067】比較例1 実施例1において、シリカゾルを使用しなかった以外は
実施例1と同様の操作を行い、Ti02の粉体を得た。
得られた粉体のBET表面積は75m2/gであり、X
線の回折チャートからはTiO2の明らかな固有ピーク
が認められた。こうして得られたTiO2粉体にTi:
Si=4:1(モル比)となる様に微粒シリカ粉末(平
均粒径2.4μm、比表面積180m2/g、細孔容積
0.58cc/g)を混合した。得られた粉体の表面積
は110m2/gであった。この混合粉体を用いて実施
例1と同様にして触媒を調製した。得られた触媒のBE
T表面積は102m2/gであり、細孔容積は0.33c
c/gであった。また、触媒の組成は、TiO2−Si
2混合粉体:V25:WO3:Pt=90.8:2.
0:7.0:0.2(重量比)であった。
【0068】試験例1 実施例1〜10及び比較例1で調製した触媒を用いて以
下の条件でアンモニア分解反応を実施した。結果を表1
に示す。いずれの場合もN2Oの生成は認められなかっ
た。アンモニア分解率すなわちアンモニア除去率および
NO生成率は次式により求めた。
【0069】
【数2】
【0070】
【表1】
【0071】実施例11 実施例1において使用原料の量を変化させた以外は実施
例1と同様にして触媒を調製した。得られたTi及びS
iからなる二元系複合酸化物粉体の組成はTi:Si=
4:1(モル比)でありX線の回折チャートからはTi
2やSiO2の明らかな固有ピークは認められずブロー
ドな回折ピークによって非晶質な微細構造を有するTi
及びSiよりなる複合酸化物であることが確認された。
最終的に得られた触媒のBET表面積は112m2/g
であり、細孔容積は0.42cc/gであった。また、
触媒の組成は、Ti−Si複合酸化物:V25:W
3:Pt=89.98:5.00:5.00:0.02
(重量比)であった。
【0072】実施例12 実施例1使用原料の量を変化させ塩化白金酸溶液の代わ
りに硝酸パラジウム溶液を用いた以外は実施例1と同様
にして触媒を調製した。得られたTi及びSiからなる
二元系複合酸化物粉体の組成はTi:Si=4:1(モ
ル比)でありX線の回折チャートからはTiO2やSi
2の明らかな固有ピークは認められずブロードな回折
ピークによって非晶質な微細構造を有するTi及びSi
よりなる複合酸化物であることが確認された。最終的に
得られた触媒のBET表面積は114m2/gであり、
細孔容積は0.40cc/gであった。また、触媒の組
成は、Ti−Si複合酸化物:V25:WO3:Pt=
84.96:5.00:10.00:0.04(重量比)
であった。
【0073】比較例2 実施例1においてバナジウム、タングステン及び白金の
含有量を変えた以外は比較例1と同様にして触媒を調製
した。得られた触媒のBET表面積は95m2/gであ
り、細孔容積は0.32cc/gであった。また、触媒
の組成は、TiO2−SiO2混合粉体:V25:W
3:Pt=89.98:5.00:5.00:0.02
(重量比)であった。
【0074】試験例2 実施例11〜12、比較例2で調製した触媒を用いて以
下の条件でNO存在下でのアンモニア分解反応を実施し
た。結果を表1に示す。いずれの場合もN2Oの生成は
認められなかった。脱硝率及び未反応アンモニア分解率
(脱硝反応で未反応のアンモニアの分解率)は次式によ
り求めた。
【0075】
【数3】
【0076】
【表2】
【0077】実施例13 実施例1、実施例5及び比較例1で調製した触媒を用い
て以下の条件でアンモニアと共に硫化水素を含むガスを
用いて分解処理反応を実施した。結果を表3に示す。い
ずれの場合もN2Oの生成は認められなかった。アンモ
ニア分解率及びNO生成率、硫化水素分解率は次式によ
り求めた。
【0078】
【数4】
【0079】
【表3】
【0080】実施例14 実施例1、実施例5及び比較例1で調製した触媒を用い
て以下の条件でアンモニアと共に含イオウ有機化合物と
してメチルメルカプタンを含むガスを用いて分解処理反
応を実施した。結果を表4に示す。いずれの場合もN2
Oの生成は認められなかった。アンモニア分解率及びN
O生成率、メチルメルカプタン分解率は次式により求め
た。
【0081】
【数5】
【0082】
【表4】
【0083】実施例15 実施例1、実施例5及び比較例1で調製した触媒を用い
て以下の条件でアンモニアと共に含イオウ有機化合物と
して硫化メチルを含むガスを用いて分解処理反応を実施
した。結果を表5に示す。いずれの場合もN2Oの生成
は認められなかった。アンモニア分解率及びNO生成
率、硫化メチル分解率は次式により求めた。
【0084】
【数6】
【0085】
【表5】
【0086】実施例16 実施例1、実施例5及び比較例1で調製した触媒を用い
て以下の条件でアンモニアと共に含イオウ有機化合物と
して二硫化メチルを含むガスを用いて分解処理反応を実
施した。結果を表6に示す。いずれの場合もN2Oの生
成は認められなかった。アンモニア分解率及びNO生成
率、二硫化メチル分解率は次式により求めた。
【0087】
【数7】
【0088】
【表6】
【0089】実施例17 実施例1、実施例5及び比較例1で調製した触媒を用い
て以下の条件でアンモニアと共に含窒素有機化合物とし
てトリメチルアミンを含むガスを用いて分解処理反応を
実施した。結果を表7に示す。いずれの場合もN2Oの
生成は認められなかった。アンモニア分解率及びNO生
成率、トリメチルアミン分解率は次式により求めた。
【0090】
【数8】
【0091】
【表7】
【0092】実施例18 実施例1、実施例5及び比較例1で調製した触媒を用い
て以下の条件でアンモニアと共に硫化水素及び含窒素有
機化合物としてトリメチルアミンを含むガスを用いて分
解処理反応を実施した。結果を表8に示す。いずれの場
合もN2Oの生成は認められなかった。
【0093】
【数9】
【0094】
【表8】
【0095】実施例19 実施例5で調製した触媒を用いて以下の条件でアンモニ
アと共に、硫黄酸化物として二酸化硫黄を含むガスを用
いて分解処理反応を実施した。結果を表9に示す。いず
れの場合もN2Oの生成は認められなかった。アンモニ
ア分解率及びNO生成率は次式により求めた。
【0096】
【数10】
【0097】
【表9】
【0098】
【発明の効果】本発明の触媒を用いることにより低温か
ら高温まで幅広い温度範囲で酸素過剰存在下や他の含窒
素化合物やイオウ化合物の存在下においても高いアンモ
ニア分解活性でしかも窒素と水への高い選択率で、N2
OやNOxの生成も極めて低く、アンモニアを含むガス
の処理が可能となる。しかも本発明のアンモニア分解触
媒は複雑な製造工程を必要としない。更に本発明のアン
モニア分解触媒を用いてアンモニアと共に硫化水素、含
イオウ有機化合物、含窒素有機化合物から選ばれる少な
くとも1種の化合物を含むガスを分解処理するとアンモ
ニアばかりかそれら共存化合物も同時に高効率で分解処
理することが可能である。本発明により各種工場からの
アンモニアを含む排ガス、コークス炉排ガス、アンモニ
アを還元剤とした選択的接触還元による排煙脱硝プロセ
スからのリークアンモニアを含む排ガス、アンモニアス
トリッピングプロセスからのアンモニア含有ガス、都市
清掃施設、都市浄水施設、汚泥処理施設等から排出され
るガス等の高効率分解処理が達成される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−146634(JP,A) 特開 昭62−65721(JP,A) 特開 昭62−282623(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B01J 23/64 B01D 53/86

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ti及びSiを含有する二元系複合酸化
    物;Ti及びZrを含有する二元系複合酸化物;Ti、
    Si及びZrを含有する三元系複合酸化物からなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の複合酸化物である触媒A成
    分と、バナジウム、タングステン及びモリブデンよりな
    る群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物である
    触媒B成分と、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウ
    ム及びイリジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1
    種の貴金属又はその化合物である触媒C成分とを含有す
    ることを特徴とするアンモニア分解用触媒。
  2. 【請求項2】請求項1の触媒を用いるアンモニアの分解
    方法。
  3. 【請求項3】アンモニア、並びに硫黄酸化物、硫化水
    素、含イオウ有機化合物及び含窒素有機化合物からなる
    群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むガスにお
    いて、請求項1記載の触媒を用いるアンモニアの分解方
    法。
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