JP2911044B2 - 着色の少ないメタクリル系樹脂組成物 - Google Patents

着色の少ないメタクリル系樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、着色の少ないメタクリル系樹脂組成物に関
する。さらに詳しくは、高温での成形における熱着色を
改良した耐熱変形性に優れたメタクリル系樹脂組成物に
関する。
〔従来の技術および解決しようとする課題〕
N−置換マレイミド化合物単位を高分子鎖中に含むメ
タクリル系樹脂は、従来のメタクリル樹脂と同等の優れ
た機械的性質、透明性等を保持するとともに、従来のメ
タクリル樹脂が持ちえなかった優れた耐熱性を有する樹
脂として、近年非常に注目されている(特開昭62−1098
11号公報、特開昭62−112612号公報、特開昭61−141715
号公報等)。例えば、自動車用部品としてのテールラン
プの場合、従来のものに比較してランプ自体の大型化、
照度アップからくる発熱の増加およびコスト低域に伴う
薄肉化の面から、より高い耐熱変形性が要求されてお
り、また自動車、二輪車のメーターカバー、車載用ピッ
クアップレンズ等、温度が非常に上昇する部品に対して
も高い耐熱変形性が要求されている。しかしながら、N
−置換マレイミド化合物単位を高分子鎖中に含むメタク
リル系樹脂は、通常のメタクリル樹脂に比べて高温成形
では着色し易いという欠点があり、いくつかの改善策が
提案されている。例えば、懸濁重合して得たビーズをア
ルコール洗浄して残存モノマーを少くする方法(特開昭
61−252211号公報)、特定の開始剤を用いて重合し、特
定条件でペレット化する方法(特開昭63−304013号公
報)あるいは熱劣化を防止するためヒンダードフェノー
ル系化合物、含硫黄化合物、金属石けんなどの安定剤を
添加する方法等が知られている。
しかしながら、上記方法により着色の少ないメタクリ
ル系樹脂を得るには、煩雑な工程を必要としたり、ある
程度の着色改善効果はあるものの必ずしも十分な効果が
認められていないのが現状である。
したがって、本発明の目的は、高温での加熱成形加工
時においても着色が少なく、耐熱変形性の高いメタクリ
ル系樹脂を煩雑な工程を経ることなく、容易に得ること
にある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、このような現状に鑑み、鋭意検討した
結果、主鎖にN−置換マレイミド化合物単位およびこれ
らと共重合可能な他の単量体単位を含む特定組成のメタ
クリル系共重合体に、特定の有機リン化合物を含有させ
ることにより、著しく着色が防止され、耐熱変形性の高
い樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
すなわち本発明の要旨とするところは、メタクリル酸
メチル40〜85重量%、一般式 (式中、Rは水素原子、炭素原子数が1〜18のアルキル
基またはシクロアルキル基である。)で表わされるN−
置換マレイミド12〜30重量%およびこれらと共重合可能
な他の単量体3〜30重量%からなる共重合体100重量部
に対して、一般式 (式中、R1はアルキル基またはシクロアルキル基、R2
R3およびR4はそれぞれ水素原子、アルキル基またはアル
コキシ基を表わす。) で示される有機リン化合物の少なくとも一種を0.005〜
1重量部含有することを特徴とする着色の少ないメタク
リル系樹脂組成物である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の共重合体において、メタクリル酸メチル単位
は該共重合体の主体となる単量体単位であって、透明性
および機械的強度の向上の役割を果たすものである。メ
タクリル酸メチル単位の含有量は該共重合体に対して40
〜85重量%の範囲である。この含有量が40重量%未満で
は、機械的強度および透明性が低下するので好ましくな
く、一方85重量%を超えると、耐熱変形性の改善効果が
小さく好ましくない。
本発明に用いられるN−置換マレイミド化合物単位
は、耐熱変形性の向上の役割を果すものである。N−置
換マレイミド化合物単位の含有量は該共重合体に対して
12〜30重量%である。この含有量が12重量%未満では耐
熱変形性の改善効果が小さいので好ましくなく、一方30
重量%を超えると透明性、機械的強度が低下するので好
ましくない。このN−置換マレイミド化合物単位を構成
する化合物としては、 一般式 (式中、Rは水素原子、炭素原子数が1〜18のアルキル
基またはシクロヘキシル基である。) で表わされるマレイミド化合物が挙げられ、好ましくは
N−シクロヘキシルマレイミド、N−tert−ブチルマレ
イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチ
ルマレイミドなどの単量体単位等であり、さらに好まし
くは、N−シクロヘキシルマレイミド、N−tert−ブチ
ルマレイミドである。
また、本発明の樹脂組成物の成分である共重合体にお
いて、上記単量体単位と共重合可能な他の単量体単位を
用いるが、その含有量は3〜30重量%である。この含有
量が30重量%を超えると、機械的強度の低下、耐熱変形
性の低下、または透明性の低下を起こすので好ましくな
い。
この共重合可能な他の単量体単位を構成する単量体と
しては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エ
ステル化合物、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボ
ロニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニ
ル、メタクリル酸トリブロモフェニル、メタクリル酸ジ
シクロペンタニル等のメタクリル酸エステル化合物、メ
タクリル酸などが挙げられる。
本発明に用いられる有機リン化合物は、前記共重合体
中に含有され加熱着色を防止する役割を果たす。有機リ
ン化合物としては 一般式 (式中、R1はアルキル基またはシクロアルキル基、R2
R3およびR4はそれぞれ水素原子、アルキル基またはアル
コキシ基を表わす。)が挙げられる。
上記一般式のR1はアルキル基またはシクロアルキル基
であり、アルキル基の炭素数には特に制限はないが、通
常炭素数1〜18、好ましくは4〜18のアルキル基が用い
られる。R2、R3およびR4は、それぞれ水素原子、アルキ
ル基またはアルコキシ基であり、アルキル基の炭素数に
は特に制限はないが、通常炭素数1〜8、好ましくは1
〜4の低級アルキル基が用いられ、またアルコキシ基と
してはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが好ま
しく用いられる。
これらの有機リン化合物は単独若しくは2種以上併用
して使用することができる。この含有量は、前記共重合
体100重量部に対して、前記有機リン化合物の少なくと
も一種0.005〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部で
ある。この量が0.005重量部未満では加熱着色を防止す
る効果が十分でなく、また1重量部を超えると、添加量
の割には効果が向上せず経済的なメリットがないばかり
か、射出成形時にシルバーストリークスなどの外観欠点
が発生し易くなり好ましくない。
前記式(I)で示されるペンタエリスリトール系亜リ
ン酸エステル化合物として、ジトリデシルペンタエリス
リトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリ
トールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリト
ールジホスファイト等が好ましく用いられる。
また前記式(II)で示されるフォスファフェナンスレ
ン系化合物として、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−
フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−メチ
ル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェ
ナンスレン−10−オキサイド、6−メチル−9,10−ジヒ
ドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10
−オキサイド、2,6−ジメチル−9,10−ジヒドロ−9−
オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイ
ド、6,8−ジ−tert−ブチル−9,10−ジヒドロ−9−オ
キサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイ
ド、6−メトキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−
フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−メチ
ル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェ
ナンスレン−10−オキサイド、10−エトキシ−9,10−ジ
ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−
10−オキサイド等が好ましく用いられる。
これらの有機リン化合物中よりさらに好ましい例とし
ては、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ジトリデシルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェ
ナンスレン−10−オキサイドが挙げられ、それぞれ単独
又は2種以上併用して用いることができる。
本発明の樹脂組成物を構成する前記共重合体の製造方
法は特に限定されず、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、
乳化重合などが可能である。
これらの重合に用いられる重合開始剤としては、ベン
ジルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−
tert−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレートな
どの過酸化物系開始剤、2,2′−アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリルな
どのアゾ系開始剤およびレドックス系開始剤を挙げるこ
とができる。また、必要に応じて用いられる連鎖移動剤
としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメ
ルカプタン、チオグリコール酸−2−エチルヘキシルな
どのメルカプタン類やα−メチルスチレンダイマーのよ
うな炭化水素系のものが挙げられる。
本発明における前記有機リン化合物の前記共重合体へ
の添加方法としては、単量体混合物中に添加する方法、
重合反応初期に重合反応液中に添加する方法、重合完結
後に種々の混練方法によって添加する方法等があり、い
ずれの方法を用いてもよい。
また、本発明の樹脂組成物においては、必要に応じて
紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、染料、帯電防止剤、難燃
剤などを添加することができる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明す
る。
本実施例において着色の尺度としては、ハンターの測
色色差計により測定したb値を用い、着色改善効果を示
す目的で測色b値減少率を合せて示した。全光線透過率
およびヘイズはASTM−D1003、ピッカート軟化点はASTM
−D1525、引張強度はASTM−D638に準拠してそれぞれ測
定した。
実施例1〜3、比較例1〜3 第1表に示すような単量体組成とラウロイルパーオキ
サイド0.25Phr、n−ドデシルメルカプタン0.25Phrから
なる単量体溶液20kgとイオン交換水99.67重量%、メタ
クリル酸ナトリウムとスチレン−P−スルホン酸ナトリ
ウムの共重合体0.03重量%および硫酸ナトリウム0.3重
量%からなる水溶液50kgをジャケット付の100リットル
耐圧重合槽に仕込み、窒素雰囲気下で撹拌し、ジャケッ
トに温水を通して75℃で重合を開始した。
重合開始後3時間でジャケットにスチームを通して系
を120℃に昇温し、さらに2時間保持して重合を完結さ
せた。均一なビーズが収率よく得られ、それを水洗乾燥
した。得られたビーズ100重量部に対して、第1表に示
したフォスファフェナンスレン系化合物0.1重量部を加
えてヘンシルミキサーで混合した後、40φの押出機を用
い、シリンダー温度250℃で溶融混練しペレットを得
た。このペレットを用いてシリンダー温度250℃で射出
成形し、平板状の成形品を得た。得られた成形品の評価
結果は第1表のとおりである。
実施例4 実施例1において用いたフォスファフェナンスレン系
化合物の代わりに、ジイソデシルペンタエリスリトール
ジホスファイト0.3Phrを添加し、実施例1と同様にして
射出成形し、平板状の成形品を得た。得られた成形品の
評価結果はいずれも実施例1で得られたものと比較して
遜色のない優れた評価結果を得た。
〔発明の効果〕 本発明のメタクリル系樹脂組成物は、前記特定の有機
リン化合物を含有することにより、加熱着色を抑えるこ
とができ、かつメタクリル樹脂本来の有する他の優れた
物性をほとんど損うことがないので、耐熱変形性と透明
性とを要するランプ・レンズ等の樹脂材料として有用で
ある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−252458(JP,A) 特開 昭62−156115(JP,A) 特開 昭63−304045(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタクリル酸メチル40〜85重量%、一般式 (式中、Rは水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基ま
    たはシクロアルキル基である。)で表わされるN−置換
    マレイミド12〜30重量%およびこれらと共重合可能な他
    の単量体3〜30重量%からなる共重合体100重量部に対
    して、 一般式 (式中、R1はアルキル基またはシクロアルキル基、R2
    R3およびR4はそれぞれ水素原子、アルキル基またはアル
    コキシ基を表わす。) で示される有機リン化合物の少なくとも一種を0.005〜
    1重量部含有することを特徴とする着色の少ないメタク
    リル系樹脂組成物。
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RU2607091C2 (ru) 2012-10-19 2017-01-10 Асахи Касеи Кемикалз Корпорейшн Покрытие детали транспортного средства, включающее метакриловую смолу
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