JP2909379B2 - タイヤ騒音が減少された多重トレッド形状 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は一般にタイヤトレッドに
関し、特に、タイヤトレッドの基本ピッチに対しそれぞ
れ違ったトレッド形状を使用することによりタイヤトレ
ッド騒音を減少させる技術に関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその問題点】近来のタイヤのトレッド
は、タイヤの外面の周りに延びており、地面と接触する
ように設計されている。トレッドは典型的には、互いに
交差する周方向、横方向の溝および／またはサイプ（ｓ
ｉｐｅ：細かい溝）により分離された多数の盛り上がっ
た荷重支持トレッドブロックに分割されている。トレッ
ドブロックはタイヤの制御、加速、制動等の特性を決定
し、一方、溝および／またはサイプは柔軟性および水排
除特性を付与するために必要である。

【０００３】トレッドブロックは典型的にはタイヤの周
りに“基本ピッチ”をなして配置されており、各基本ピ
ッチは溝および／またはサイプにより分離されたトレッ
ドブロックの全部または一部から成る所定の形状を有し
ている。基本ピッチ内の各トレッドブロックは他のトレ
ッドブロックから、周方向の溝、横方向の溝および／ま
たは他の選定された方向に延びる溝により分離され得
る。同様に、当業者には知られているように、トレッド
ブロックは他のトレッドブロックから、周方向のサイ
プ、横方向のサイプおよび／または他の選定された方向
に延びるサイプにより分離または中断され得る。言い換
えると、各基本ピッチは、設計者により上述した要因に
少なくとも部分的に従って選択された特殊なトレッド形
状を有している。

【０００４】さらに各基本ピッチのタイヤを横切る幅は
変化してもよい。例えば、各基本ピッチはタイヤの一方
の肩から他方の肩まで横方向に延びてもよい。代わり
に、各基本ピッチがタイヤの１つだけの周方向の区画を
横方向に越えて、例えば、１つのリブ（ｒｉｂ）または
リブの組み合わせを越えて横方向に延びた基本ピッチの
幾つかの列またはリブが存在してもよい。

【０００５】使用中にタイヤトレッドが道路面と不変の
接触をしていることはしばしば望ましくない騒音を発生
させる。特に、タイヤが道路面と接触すると、独立のト
レッドブロックが道路と衝突して空気擾乱を起こし、広
く「タイヤ騒音」と呼ばれている可聴周波数のスペクト
ラムを生じさせる。タイヤ騒音は少なくとも部分的に
は、(1) トレッドブロックの道路面への衝突、(2) タイ
ヤカーカスの振動、(3)タイヤブロックが圧縮され、隣
接するブロックを分離している溝内へ膨張するときに生
じる空気ポンプ作用、により発生する。

【０００６】道路面におけるタイヤ騒音を減少させよう
とする種々のトレッド設計が開発されて来た。かかる騒
音処理技術は、タイヤトレッドにより生じる騒音周波数
をいわゆる“白色騒音”と称されるものに近い広い周波
数領域に分散させることを意図している。例えば、トレ
ッド騒音を減少させる一つの既知の技術は、違ったピッ
チ長さをもつ基本ピッチを使用することである。ここに
ピッチ長さとは、タイヤの周方向に見て一つの基本ピッ
チの前縁から次の隣接する基本ピッチの前縁までの長さ
を意味している。違ったピッチ長さをもつ多数の基本ピ
ッチは従来から「ピッチ系列」と称されている。

【０００７】リップマン等の米国特許第２，８７８，８
５２は、雄型半分と雌型半分とをもつタイヤトレッドを
開示しており、各型半分はタイヤの外面の周りに延びる
別々のピッチ系列を有している。リップマンは相対的な
外面距離の連続：９ １０１１ １２ １０ １１ １
２ １３ １２ １１ １０ ９ １１ １２ １３
１０ １０ １３ １２ １１ ９ １０ １１ １２
１３ １２ １１１０ １２ １１ １０ ９により
代表されたピッチ系列を開示している。これら外面距離
は所望の計測単位で表現された次々のトレッドユニット
の相対的な外面長さを意味している。リップマンにおい
ては、トレッドユニットは、自分自身の、または、各そ
れぞれの型半分内の他の群の鏡面映像になるように選定
されている。

【０００８】タイヤトレッド騒音を減少させる他の技術
が、１９９１年１１月１４日出願の、本発明の譲受人所
有の「タイヤピッチ系列化技術」という名称のウィリア
ムスの出願番号０７／７９２，００６に示されている。
ウィリアムスは、タイヤ騒音を減少させるため、ピッチ
系列内に基本ピッチを配列する際の一定のピッチ長さ基
準を特定している。

【０００９】不愉快な騒音を生じさせる周波数を変調
し、タイヤ騒音を広い周波数スペクトラムに拡散させる
ことを意図して、ピッチのランダムまたは正弦波状の系
列化を使用している技術（ボーリ、米国特許３，９２
６，２３８を見よ）もある。

【００１０】リップマン、ウィリアムス、およびボーリ
は一定の基準に従って各基本ピッチのピッチ長さを変化
させることを開示していることが注意されよう。しか
し、他の全ての点において各基本ピッチのトレッド形状
は、ピッチ系列内の隣接する基本ピッチのトレッド形状
と同じである。実際、典型的なタイヤトレッドパターン
は各基本ピッチに対して使用される均一なトレッド形状
を有し、該トレッド形状は上述したような技術を用いて
タイヤの外面の周りに全体に繰り返し配置される。トレ
ッドパターンの基本ピッチの全ては、周方向のピッチ長
さが変化していることを除いては相似している。

【００１１】従って上記引例は、タイヤが道路面に接触
したときタイヤトレッドから生じる騒音を減少させる或
る設計技術を開示している。しかし、工業界には、低い
タイヤトレッド騒音をもつタイヤを提供する技術、特に
上述の技術に追加して、またはそれに代わって道路面に
おけるタイヤトレッド騒音を減少させたタイヤを提供す
る新しい改良された技術に対する不変の要求が存在して
いる。

【００１２】

【発明の目的および目的を達成するための手段】本発明
は、タイヤトレッドを設計する新しい有効な技術、特に
トレッド騒音を減少させ、タイヤトレッドの騒音を広い
周波数領域に分布させるタイヤトレッドを提供する新し
い有効な技術を提供している。

【００１３】タイヤトレッドはタイヤの外面の周りに少
なくとも１つのピッチ系列をなして配置された基本ピッ
チを有している。各基本ピッチは周方向溝、横方向溝お
よび／または他の所定方向に延びる溝により分離された
多数の荷重支持トレッドブロックを含んでいる。さら
に、各基本ピッチはトレッドブロックを分離または中断
すべく周方向、横方向または他の選定された方向に延び
るサイプを有することが出来る。

【００１４】本発明によれば、独立の基本ピッチのトレ
ッド形状がタイヤの外面の周りにおいて変化している。
違ったトレッド形状が各基本ピッチ内のトレッドブロッ
クを通る通路を延びている溝および／またはサイプによ
り形成されている。違ったトレッド形状をもつ基本ピッ
チの数と位置とは、摩耗と静止摩擦とに対する適切な基
準に基づいて決めることが出来る。しかし全ての基本ピ
ッチは、タイヤの周方向における隣接した基本ピッチ間
を横切るトレッドの溝および／またはサイプが突然終結
することなく、隣接する基本ピッチを横切って連続する
ように、基本ピッチの前縁および後縁において共通の縁
点を有している。

【００１５】さらに基本ピッチの溝および／またはサイ
プは、隣接する列またはリブの基本ピッチ間の境界にお
いて共通の端末点を有していて、隣接する基本ピッチを
タイヤの横方向に横切るトレッドの溝および／またはサ
イプが突然終結することなく、隣接するリブまたは列を
横切って同様に連続しているようになっている。各種類
の基本ピッチ内の各々のそのような溝またはサイプはタ
イヤの軸線に関して周方向に延びており、且つ他の種類
の基本ピッチの溝またはサイプの最大横方向変化と異な
る、基本ピッチの横方向境界との交点からの最大横方向
変化を有している。

【００１６】従って、基本ピッチは基本ピッチのトレッ
ド形状の相違に関係なく、基本ピッチの特定の配置にも
関係なく、タイヤの外面の周りに任意の順序で配置する
ことが出来る。基本ピッチの違ったトレッド形状は、タ
イヤ騒音を広い周波数領域に分布させ道路面上における
トレッドの騒音を減少させる。さらにタイヤトレッドの
最終設計は、単にタイヤの周方向の基本ピッチの長さを
変化させることによってではなく、タイヤトレッド騒音
を最大に減少させる違った基本ピッチトレッド形状によ
り主に決定される。

【００１７】さらにこの技術は、基本ピッチの長さを周
方向に正弦波またはランダムな順序に変化させることに
より、または他の既知の技術、方法により道路上のタイ
ヤの騒音を減少させる他の騒音減少技術に対して、これ
に追加して、またはその代わりに使用することが可能で
ある。

【００１８】従って、道路面上におけるトレッド騒音を
減少させたタイヤトレッドを提供することが本発明の基
本的目的である。

【００１９】タイヤトレッドの騒音処理が、基本ピッチ
の少なくとも部分的に相違したトレッド形状として具体
化されているタイヤトレッドを提供することが本発明の
他の目的である。本発明のさらなる目的は、以下の詳細
な説明と添付図面とから明らかになろう。

【００２０】

【実施例】最初に図１を参照して、一般に１０で表示さ
れたタイヤは、タイヤの外面の周りに延びる一般に１５
で表示されたタイヤトレッドを有する。タイヤは道路面
と接触している間、軸Ｒの回りに回転するように設計さ
れている。本発明の好適形態に従えば、タイヤはラジア
ルタイヤであることが好ましい。しかし、本発明は特定
のタイヤのタイプ、大きさまたはスタイルに限定される
ものではない。むしろ、本発明はトレッドを有する如何
なるタイプのタイヤにも適用され得る。このようなタイ
ヤの製造、成形技術は当業者には知られており、ここで
は論じない。

【００２１】図２に示すように、タイヤトレッド１５は
多数の基本ピッチ、例えば基本ピッチ２０Ａ−２０Ｊを
含んでいる。この例示的トレッドパターンにおいては、
タイヤトレッドは８８の基本ピッチを有している。基本
ピッチは５つの違ったピッチ長さ（すなわち、１，２，
３，４，５）を有し、下記順序に配列されている：２３
４４２３３３４１１３１３２３２５３３１３３１２２２
３２２１１２４４５５３２３４３１１４３５５１３２３
２３２１４４２５１３５３４４４４５５４５４１５１５
１５１１２２２１１５。このピッチ系列に対して、下記
のピッチ長さの比が使用出来、下記のように表示され得
る：上記ブロック番号１，２，３，４，５に対してそれ
ぞれ、０．７４８８− ０．８４１０− ０．９３４８
− １．０２８０− １．１２２０− が対応してい
る。

【００２２】トレッド内の各基本ピッチ２０Ａ−２０Ｅ
は好ましくはタイヤトレッドの内側肩２８から中心線２
９へと横方向に延びて底半分３０を形成しており、一
方、基本ピッチ２０Ｆ−２０Ｊは中心線２９から反対側
の肩３１へと延びて頂半分３２を形成している。しか
し、前述したように、各基本ピッチはまた、例えばタイ
ヤの一つの外面部分（またはリブ）のようなタイヤの１
部分だけを横切って、またはタイヤの幅全体を横切っ
て、（すなわち、肩２８から反対側の肩３１まで）横方
向に延びていてもよい。

【００２３】各基本ピッチ２０Ａ−２０Ｅは、全体的な
および／または部分的な荷重支持ブロックの配置を有し
ている。例えば、基本ピッチ２０Ｃは少なくとも部分的
に、基本ピッチを横切って広がったトレッドブロック４
０Ａ−４０Ｅを含んでいる。トレッドブロックは溝およ
び／またはサイプにより分離または中断されて、トレッ
ドパターンを形成している。例えば、トレッドブロック
４０Ｃと４０Ｅとは周方向の溝４５により分離されてお
り、一方、トレッドブロック４０Ａと４０Ｂとは横方向
の溝４７により分離されている。さらに、サイプ４８が
周方向溝４９から中心線に向かって内方に延び、トレッ
ドブロック４０Ｄを少なくとも部分的に２分している。
加えて、サイプ５０が周方向溝４９から外方に延び、ト
レッドブロック４０Ｂを少なくとも部分的に２分してい
る。

【００２４】周方向および横方向の溝および／またはサ
イプは、当業者には一般に知られているように、（例え
ば周方向溝４５のように）比較的直線状であってもよ
く、または（周方向溝４９のように）曲線状であっても
よい。さらに、各基本ピッチ内の溝および／またはサイ
プは、周方向でも横方向でもない別の方向に（例えば、
基本ピッチ２０Ｅ内を円弧状に延びた溝５１のように）
トレッドブロックを横切って延びてもよく、また、隣接
する溝間を延びてもよく、同一の溝から出発して該溝に
再び終結してもよく、あるいは、（周方向溝４９のよう
に）隣接する基本ピッチの境界を横切ってもよい。言い
変えれば、各基本ピッチのトレッド形状は、トレッドブ
ロック、溝およびサイプの如何なる所定の形状を有して
もよいし、また、当業者には知られているように、ブロ
ック剛性、騒音、取り扱い、摩耗および／または石の除
去などのトレッドパターンを生じさせる規定された基準
に基づいてもよい。

【００２５】さらに、本発明に従えば、タイヤの外面の
周りの基本ピッチのいくつかは違ったトレッド形状を有
している。特に、各基本ピッチにおける全体的および／
または部分的トレッドブロックの配置および溝および／
またはサイプの位置付けは、ここにより詳細に説明する
ように、一定の基準に従ってタイヤの周りで変化してい
る。ここで使用されているように、「トレッド形状」
（ｔｒｅａｄ ｇｅｏｍｅｔｒｙ）という用語は、各基
本ピッチ内のトレッドブロック、溝および／またはサイ
プの特定の配置に関連しており、一方、「トレッドパタ
ーン」（ｔｒｅａｄ ｐａｔｔｅｒｎ）という用語はタ
イヤトレッド全体のトレッド設計に関連している。本発
明に従えば、タイヤのトレッドパターンは、道路面上の
タイヤの騒音を減少するとされている多くの違ったトレ
ッド形状を有している。

【００２６】この技術に従って構成されたタイヤは、タ
イヤ騒音が広い周波数領域にわたって分散されるのでト
レッド騒音が減少されている。基本ピッチに違ったトレ
ッド形状をもたせることにより、タイヤトレッドが道路
面に衝突することにより生じる高調波、カーカスの振
動、空気ポンプ作用などが広い周波数領域にわたって分
散されるので、周期的な振動が起こることが防止される
と信じられている。

【００２７】しかし、静止摩擦と摩耗の理由からは、ト
レッド内の溝および／またはサイプがタイヤの周りに、
特に周方向に連続しており、基本ピッチ間でトレッド形
状が違うために隣接する基本ピッチを横切って突然終結
するようなことがないことが重要である。従って、本発
明の原理に従えば、溝および／またはサイプが隣接する
基本ピッチを横切って延びる範囲において、かかる溝お
よび／またはサイプが、基本ピッチの残余の形状の如何
に拘らず、各基本ピッチ前縁、後縁において共通の縁点
を有している。従って、基本ピッチの縁まで延びている
各基本ピッチ内の溝および／またはサイプは、隣接する
基本ピッチ内の溝および／またはサイプとそれぞれ一致
している。この際、基本ピッチは基本ピッチの違った形
状に関係なく、また、用いられた特定の順序にも関係な
く、互いに対して特定の順序に配置されてよく、しかも
隣接する基本ピッチを横切って溝および／またはサイプ
の連続性を維持している。

【００２８】例えば、図２の基本ピッチ２０Ａ−２０Ｄ
は全て違ったトレッド形状を有している。タイヤトレッ
ドの底半分３０内の周方向溝４９は基本ピッチ２０Ａ−
２０Ｅを横切って延びている。基本ピッチ間の境界にお
いて、溝４９は各基本ピッチを横切る共通端末点を有し
ている。例えば、溝４９は基本ピッチ２０Ｃの前縁にお
いて端末点６０Ａ，６０Ｂを有し、該端末点は隣接する
基本ピッチ２０Ｄの後縁における端末点６１Ａ，６１Ｂ
と一致している。さらに、基本ピッチ２０Ｄ内の溝４９
は基本ピッチ２０Ｄの前縁において端末点６３Ａ，６３
Ｂを有し、該端末点は隣接する基本ピッチ２０Ｅの後縁
における端末点６４Ａ，６４Ｂと一致している。端末点
の一致はタイヤトレッドの周りに基本ピッチから基本ピ
ッチへと続いている。

【００２９】明らかなように、溝４９の端末点は各基本
ピッチの両縁において同じ位置を占めている。例えば、
ある基本ピッチの前縁における溝４９の端末点が側壁か
ら２５．４mm（１インチ）離れているとすると、該基本
ピッチの後縁における溝４９の対応する端末点も側壁か
ら２５．４mm（１インチ）離れている。この技術を使用
して、基本ピッチは互いに対して所望の順序で配置され
ることができる。例えば、基本ピッチ２０Ｃを基本ピッ
チ２０Ｅに隣接して配置してもよく、このとき溝４９は
前縁においても後縁においても基本ピッチ間の境界を横
切って連続して延びている。

【００３０】溝４９は各基本ピッチの全長にわたって延
びているように図示されているが、溝が基本ピッチを横
切る点で中断もされ得ることもまた明らかである。特
に、溝は基本ピッチの１縁から延び、肩またはタイヤ中
心線において終結しても、または、他の溝において終結
してもよい。さて、他の溝は対向する縁の同じ位置から
延びて、同じく中心線または肩、またはタイヤ内の他の
溝において終結してもよい。溝の基本ピッチの前縁およ
び後縁における端末点が同じ位置にあり、基本ピッチが
（選定された順序の如何に拘らず）互いに隣接して位置
されたときに、溝が基本ピッチ間の境界を横切って連続
するようにされている限り、種々の他の代替案も考えら
れよう。

【００３１】この技術は隣接する基本ピッチを横切って
延びるサイプへも適用できる。言い換えれば、サイプが
隣接する基本ピッチを横切る限り、サイプは基本ピッチ
の前縁および後縁において同じ位置において終結するよ
うに形成される。かくて、ピッチ系列内の基本ピッチの
特定の配列、または特定の基本ピッチのトレッドパター
ンに無関係に、溝および／またはサイプは基本ピッチを
横切って連続している。

【００３２】本発明の原理に従って形成された他のトレ
ッドパターンが図３に示されている。このトレッドパタ
ーンにおいては、タイヤは６５の基本ピッチを有してい
る。基本ピッチは３つの違ったピッチ長さ（すなわち、
１，２，３）を有し、次の順序で配列されている：３１
１２３３３３２１１１３１２２１１３３３２１２３３１
１１２３１２１１１２３１１３２２３３３２３１１３２
３１２２２１３３３１２３。このピッチ系列に対して、
次のピッチ長さ比が使用され、上記ブロックに対するピ
ッチ長さ、０．９９８８− １．２９５８− １．６１
９８− がそれぞれ１，２，３として表示されている。
基本ピッチ７０Ａ−７０Ｄがタイヤの肩７２から中心線
７３まで延びているように図示されている。追加の基本
ピッチ７０Ｅ−７０Ｈが中心線７３から頂半分７６の反
対側の肩７５まで延びている。再び、底半分７４内の基
本ピッチが、基本ピッチがどのようにも配置され得るよ
うに、各基本ピッチの前縁および後縁において同じ位置
に終結する溝および／またはサイプを有することが注意
されよう。例えば、基本ピッチ７０Ｃは基本ピッチ７０
Ｄとは違ったトレッド形状を有している。周方向の溝７
７は基本ピッチ７０Ｄの後縁において、基本ピッチ７０
Ｃの前縁における端末点７９Ａ，７９Ｂと同じ位置に端
末点７８Ａ，７８Ｂを有している。かくて、基本ピッチ
は如何なる順序にも配置できるし、基本ピッチの前縁お
よび後縁を横切って連続性を有している。

【００３３】本発明のさらに他の面に従えば、隣接する
周方向の列またはリブ内の基本ピッチ間の縁を横切って
延びる溝および／またはサイプが、タイヤトレッドを横
方向に横切って同様に連続性が存在するように共通の端
末点を有している。例えば、図３に示すように、溝８１
は、タイヤの底半分７４内の基本ピッチ７０Ｂと頂半分
７６内の基本ピッチ７０Ｆとの間の中心線７３を横切っ
て延びている。この場合、一つの列またはリブ内の各基
本ピッチは、隣接する列またはリブ内の対応する基本ピ
ッチと同じ周方向長さを有することが好ましい。言い換
えれば、隣接する列またはリブ内のピッチ順序は同じで
ある。基本ピッチは、一つの周方向の列またはリブ内の
基本ピッチの前縁および後縁が隣接する列またはリブ内
の基本ピッチの前縁および後縁と一致するように配置し
てもよい。いずれの場合も、溝および／またはサイプは
タイヤトレッド全体の周りの中心線を横方向に横切ると
き連続している。

【００３４】かくて連続性は、タイヤの横方向において
も、基本ピッチのリブまたは列間の溝および／またはサ
イプをして、前述した周方向において連続性が達成され
たのと同じ方法で共通の端末点を持たせるように形成す
ることにより維持され得る。しかし、タイヤトレッド設
計の中には、基本ピッチの隣接した列またはリブを分離
する比較的広い周方向溝を備えたものもあり（例えば、
図２の周方向溝４５を見よ）、この場合この技術はこの
タイプのタイヤに対しては、摩耗や静止摩擦に関する利
点がそれ程顕著でないから必要でなくなろう。

【００３５】いずれの場合にも、本発明の特に有利な面
は、本発明の原理がタイヤトレッド騒音を減少させるた
めの従来技術に容易に適用され得ることである。

【００３６】例えば、ウィリアムスの係属中の出願であ
る１９９１年１１月４日出願の「減少されたタイヤトレ
ッド騒音のためのタイヤピッチ系列」という名称の出願
番号０７／７９２，００６において論じられた技術は本
発明に追加して使用され得る。この係属中の出願におい
ては、ピッチ系列内の基本ピッチは互いに対して道路面
上におけるタイヤ騒音を減少させる一定のピッチ長さ基
準に従って配置されている。ピッチ系列において各基本
ピッチの違った（上述したような）トレッド形状をして
違ったピッチ長さを持たせることは本発明の範囲内であ
る。基本ピッチ間の縁は、本発明に従って共通の端末点
をもつ溝および／またはサイプを有しているから、基本
ピッチは基本ピッチ間の境界を横切る連続性を維持しつ
つ、選定された配列に配置されることができる。

【００３７】ウィリアムスにおいて論じられたように、
３つのピッチ長さを有するタイヤトレッドの特に有効な
ピッチ系列が次の順序で提供されている：３３２２３３
１１３１１２３１１３１１２１２１２１３３３２３１３
３２３３１１１２１２２２３３１３１２１３３２１２１
２１１３３１２２３２１２１３３３２１１２２３３１１
１２３３１１３。このピッチ系列に対して、次のピッチ
長さ比が使用され、次のように表示される：上記ブロッ
ク番号１，２，３に対してそれぞれ１．００−１．２５
− １．５０が対応する。再び、基本ピッチが基本ピッ
チのピッチ長さに基づいて違ったトレッド形状をもって
いるとしても、全ての基本ピッチが共通の縁点を有して
おり、かくて、基本ピッチの境界を横切って連続性を維
持しつつ、基本ピッチを任意の形態で配置することが出
来る。勿論、上述のピッチ系列はその性格において単な
る例示的なものであり、本発明は特定のピッチ系列に限
定されることを意図していない。

【００３８】さらに、他の技術もタイヤトレッド騒音を
減少するために使用されよう。例えば、タイヤの外面の
周りの各基本ピッチは、トレッドブロック並びに溝およ
び／またはサイプの違ったトレッド形状を有してよい。
しかし、製造上の目的からは、トレッドパターンは３つ
と６つとの間の違ったトレッド形状に限定されることが
好ましい。

【００３９】本発明の原理を読み理解したとき当業者が
認識するであろうように、タイヤの外面の周りにそれぞ
れ違ったトレッド形状を配置することにより、基本ピッ
チから生じる周波数が広い周波数領域に分布される。本
発明の原理に従ってピッチ系列内に形成、配置された基
本ピッチのタイヤトレッドに対して試験が実施された。
タイヤトレッド内の基本ピッチ形状はピッチ長さの変化
に対応して変化する（すなわち、特定のピッチ長さをも
つ各基本ピッチはそれ自身の基本ピッチ形状を有してい
る）。これらタイヤを、基本ピッチが長さにおいては変
化するが、他の点では同じ形状をもつタイヤと比較した
とき、本発明に従って形成されたタイヤからの高調波は
この対照タイヤにおけるよりも一層平坦で広領域にわた
ることが発見された。言い換えれば、本発明に従って形
成されたタイヤにおける高調波スペクトラム内には、ピ
ークや谷の数がより少ない。さらに、全体としてのタイ
ヤトレッド騒音は、毎時４８km（毎時３０マイル）以下
の速度において試験された全てのタイヤに対してほぼ同
じであったが、毎時４８km（毎時３０マイル）以上の速
度においては騒音が減少した。

【００４０】従って、本発明は、非常に種々の市販のタ
イヤに使用出来、用いられる特定のピッチ系列の代わり
として、またはそれに追加して使用出来る騒音を減少さ
せる簡単にしてしかも有効な技術を提供する。

【００４１】しかし、本開示に留意すれば、明らかな代
替案が当業者には自明になるであろうと信じられる。本
発明は、かかる自明の代替案を包含するものであり、特
許請求の範囲に記載の範囲によってだけ限定されるもの
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に従って作られたトレッドを有するタイ
ヤの斜視図。

【図２】本発明の原理に従って作られた一つのタイヤト
レッド設計の概略図。

【図３】本発明の原理に従って作られた他のタイヤトレ
ッド設計の概略図。

【符号の説明】

１０ タイヤ １５ トレッド ２０Ａ−２０Ｊ、７０Ａ−７０Ｈ 基本ピッチ ２８，７２ 内側肩 ２９，７３ 中心線 ３０，７４ 底半分 ３１，７５ 反対側肩 ３２，７６ 頂半分 ４０Ａ−４０Ｅ トレッドブロック ４５，４７，４９ 溝 ４８ サイプ ６０Ａ，６０Ｂ，６１Ａ，６１Ｂ 端末点 ６３Ａ，６３Ｂ，６４Ａ，６４Ｂ 端末点

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｇ１０Ｋ 11/16 Ｃ (56)参考文献 特開 平４−201608（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−24416（ＪＰ，Ａ) 特公 平４−40203（ＪＰ，Ｂ２) 特公 平５−80362（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B60C 11/11 B60C 11/06 B60C 11/04 B60C 11/03

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行時に騒音が少ないタイヤにして、タ
   イヤのトレッドには、少なくとも３種類のトレッド形状
   が異なる基本ピッチを周方向に組み合わせで配置して形
   成したトレッドパターンが形成されており、該トレッド
   形状は、多数の溝ならびにサイプにより画成されるもの
   において、前記各基本ピッチの前記溝と前記サイプのう
   ちの少なくとも前記溝は、該基本ピッチの円周方向前縁
   上のタイヤの側壁から測ってほぼ同じ位置から発し、し
   かして円周方向後縁上の同位置に帰結し、もって該溝
   は、タイヤの円周方向においては、各隣接基本ピッチ間
   で中断されることなく連続するものにおいて、前記各種
   類の基本ピッチのトレッド形状は、少なくとも一つの溝
   が円周方向を横切る方向に変化する態様で互いに異なっ
   ており、もって前記各種類の基本ピッチを如何様の順序
   で配置しても、各基本ピッチのトレッド形状の異なりに
   より円周方向において溝が中断されることなく、しかし
   て該基本ピッチの配列により走行時に発生される騒音の
   周波数分布を変化させられることを特徴とするタイヤ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のタイヤにおいて、前記
   トレッドの前記溝および／またはサイプは、当該タイヤ
   の円周方向に延びる少なくとも２本の基本ピッチ列に分
   割されたパターンに配置され、一つの列の基本ピッチは
   当該タイヤの円周面の回りに延びる周方向境界によって
   他の列内の基本ピッチから分離され、各列内の違った種
   類の基本ピッチは、他の列内の対応する種類の基本ピッ
   チと同じ周方向長さを有すると共に同じピッチ系列に配
   置され、各列の少なくとも１種類の基本ピッチは、他の
   列の横方向に隣接する基本ピッチ内の横方向に延びる溝
   またはサイプと同じ位置において前記円周方向溝と交差
   する、横方向に延びる溝またはサイプを有しており、そ
   れにより前記トレッドは、基本ピッチの前記列間の周方
   向境界を横切って連続的に延びる横方向に延在する溝お
   よび／またはサイプを有していることを特徴とするタイ
   ヤ。