JP2908166B2 - 電子ピアノの鍵盤装置 - Google Patents

電子ピアノの鍵盤装置

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JP2908166B2
JP2908166B2 JP5053107A JP5310793A JP2908166B2 JP 2908166 B2 JP2908166 B2 JP 2908166B2 JP 5053107 A JP5053107 A JP 5053107A JP 5310793 A JP5310793 A JP 5310793A JP 2908166 B2 JP2908166 B2 JP 2908166B2
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隆行 佐々木
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Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アコースティックピア
ノのタッチ感(鍵タッチ感)を奏するように構成された
電子ピアノの鍵盤装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ピアニストがピアノを評価する際に最も
重視するのは、音と共に鍵盤のタッチ感である。したが
って、電子ピアノの鍵盤装置にあっても、アコースティ
ックピアノのタッチ感に近づける工夫が種々なされてい
る。
【0003】図12は、このような従来の電子ピアノの
鍵盤装置の側面図である。同図に示すように、この鍵盤
装置は、横フレーム101上に取り付けられたバランス
ピン102を介して、横フレーム101にシーソー様に
回動自在に設けられた鍵盤103と、バランスピン10
2の前方において、横フレーム101上に取り付けられ
た鍵スイッチ104と、中間部が鍵盤103の後端に当
接され、縦フレーム105に回動自在に取り付けられた
ハンマー106と、ハンマー106を受けるハンマーク
ッション107とで構成されている。鍵盤103の押鍵
ストロークは11mm程度に設定され、鍵盤103が8〜
9mm程度沈んだところで鍵スイッチ104がONするよ
うになっている。鍵盤103を押鍵すると、鍵盤103
の後端が持ち上がり、これにより鍵盤103は、ハンマ
ー106を強く跳ね上げると共に、鍵スイッチ104を
押し下げてこれをONする。ハンマー106の前部に
は、ハンマー重錘108が埋め込まれており、押鍵動作
中の鍵盤103に所望のモーメント荷重を付与する。こ
れにより、鍵盤103にアコースティックピアノのタッ
チ感に近いタッチ感を与えるようになっている。
【0004】図13は、このように構成された従来の鍵
盤装置の静的タッチ特性線図である。この特性線図は、
ピアノの押鍵ストローク(押鍵動作)と鍵盤に加わる相
対荷重の関係を表したもので、タッチ感を物理的に表し
たタッチ感の指標となるものである。同図に示すよう
に、アコースティクピアノのタッチ曲線Aは、Xa 、Y
a 、Za の3つの立ち上がり段部を有し、押鍵ストロー
クに比例して段階的に荷重が増大すると共に、Za の立
ち上がり段部の後,Sa の立ち下がり部を有して、特徴
づけられている。なお、このXa は、鍵盤系、ハンマー
系およびウイッペン系が動き出す静的荷重であり、Ya
は、ダンパーがかかったときの荷重であり、Za および
Sa は、ジャックが抜けるときのレットオフの抵抗荷重
である。一方、これに対し従来の電子ピアノのタッチ曲
線Bは、上記Xa に対応するXb の立ち上がり段部を有
し、以降、荷重がゆっくり上昇するパターンとなってい
る。なお、タッチ曲線A′およびB′は、鍵盤から指を
離して行く状態の特性線を表わしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の鍵盤
装置では、アコースティックピアノのタッチ感に近づけ
るような工夫がなされているものの、上記のように、押
鍵ストロークの中で、Ya およびZa のような段階的な
荷重が存在しないため、実質的にはそのタッチ感がアコ
ースティックピアノのタッチ感とは、ほど遠いものとな
っていた。
【0006】本発明は、アコースティックピアノのタッ
チ感とほぼ同一のタッチ感を奏するようにした電子ピア
ノの鍵盤装置を提供することをその目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく請
求項1の発明は、フレームに回動自在に支持された鍵盤
と、鍵盤に当接し、鍵盤の押鍵に際して鍵盤に所定の荷
重を付与するハンマー手段とを備えた電子ピアノの鍵盤
装置において、鍵盤の押鍵動作が進むにつれて、鍵盤に
付与するハンマー手段の荷重を、複数段階で増大させる
荷重調整機構を設けたことを特徴とする。
【0008】この場合、ハンマー手段は、鍵盤の押鍵動
作に伴い支軸を中心に、鍵盤により跳ね上げられるハン
マー体を有し、荷重調整機構は、ハンマー体と鍵盤との
少なくとも一方の当接部に設けられ、鍵盤の押鍵による
鍵盤の回動動作が進むにつれて、ハンマー体と鍵盤との
当接点を支軸側に段階的に移行させる複数の当接突起を
有することが好ましい。
【0009】また、請求項3の発明は、フレームに回動
自在に支持された鍵盤と、鍵盤に当接し、鍵盤の押鍵に
際して鍵盤に所定の荷重を付与するハンマー手段とを備
えた電子ピアノの鍵盤装置において、鍵盤の押鍵動作が
進むにつれて、鍵盤に付与するハンマー手段の荷重を、
複数段階で増大させる荷重調整機構を設けると共に、荷
重調整機構に、ハンマー手段による最終段階の荷重を付
与した後に、荷重を低減させる荷重低減機構を設けたこ
とを特徴とする。
【0010】この場合、ハンマー手段は、鍵盤の押鍵動
作に伴い支軸を中心に、鍵盤により跳ね上げられるハン
マー体を有し、荷重調整機構は、ハンマー体と鍵盤との
いずれか一方の当接部に設けられ、鍵盤の押鍵により鍵
盤の回動動作が進むにつれて、ハンマー体と鍵盤との当
接点を支軸側に段階的に移行させる複数の当接突起と、
他方の当接部に設けられ、当接突起に当接する当て板と
を有し、荷重低減機構は、最も支軸寄りの当接突起が当
て板に当接した後に、この当接状態を解除して、他の当
接突起と当て板とを当接させる当接点移動部材を有する
ことが好ましい。
【0011】さらにこの場合、当接点移動部材が、鍵盤
に回動自在に設けられ、一方の端部に当て板が取り付け
られると共に、他方の端部がフレーム側に延設された回
動アームで構成されており、回動アームは、鍵盤の回動
動作により、最も支軸寄りの当接突起が当て板に当接し
た後に、他方の端部がフレームに当接して、鍵盤とは逆
方向に回動されるように構成されていること、あるい
は、当接点移動部材が、鍵盤に固定され、上面に当て板
が取り付けられると共に、半部がフレーム側に延設され
たばね部材で構成されており、ばね部材は、鍵盤の回動
動作により、最も支軸寄りの当接突起が当て板に当接し
た直後に、半部がフレームに当接して、当接突起から離
間する方向に湾曲されるように構成されていることが好
ましい。
【0012】
【作用】請求項1の電子ピアノの鍵盤装置によれば、鍵
盤に付与するハンマー手段の荷重を、複数段階で増大さ
せる荷重調整機構を設けることにより、押鍵に際し、鍵
盤には、段階的に増大する荷重を付加することができ
る。すなわち、鍵盤の押鍵に際し、上述のXa 、Ya 、
Za などの立ち上がり段部を有する静的タッチ特性を持
たせることができる。
【0013】この場合、ハンマー手段を、鍵盤の押鍵動
作に伴い支軸を中心に、鍵盤により跳ね上げられるハン
マー体で構成し、荷重調整機構を、ハンマー体と鍵盤と
の少なくとも一方の当接部に設けられ、鍵盤の押鍵によ
り鍵盤の回動動作が進むにつれて、ハンマー体と鍵盤と
の当接点を支軸側に段階的に移行させる複数の当接突起
で構成することにより、鍵盤とハンマー体との当接点
が、鍵盤の回動動作に伴って機械的に支軸側に移動さ
れ、特別な操作を必要とすることなく、鍵盤に作用する
疑似ハンマーの荷重を段階的に増大させることできる。
【0014】また、請求項3の電子ピアノの鍵盤装置に
よれば、鍵盤に付与するハンマー手段の荷重を複数段階
で増大させる荷重調整機構を設けると共に、荷重調整機
構に、最終段階の荷重を付与した後に、荷重を低減させ
る荷重低減機構を設けることにより、押鍵に際し鍵盤に
は、段階的に増大する荷重を付加することができると共
に、最終段階の荷重を付与した直後にいったん荷重を低
減させることができる。すなわち、鍵盤の押鍵に際し、
上述のXa 、Ya 、Za などの立ち上がり段部と、Sa
の立ち下がり部とを有する静的タッチ特性を持たせるこ
とかできる。
【0015】この場合、ハンマー手段を、鍵盤の押鍵動
作に伴い支軸を中心に、鍵盤により跳ね上げられるハン
マー体で構成し、荷重調整機構を、ハンマー体と鍵盤と
のいずれか一方の当接部に設けられ、鍵盤の押鍵による
鍵盤の回動動作が進むにつれて、当接点を支軸側に段階
的に移行させる複数の当接突起と、他方の当接部に設け
られ、当接突起に当接する当て板とで構成し、荷重低減
機構を、最も支軸寄りの当接突起が当て板に当接した後
に、この当接状態を解除して、他の当接突起と当て板と
を当接させる当接点移動部材で構成することにより、鍵
盤とハンマー体との当接点が、鍵盤の回動動作に伴って
支軸側に移動されると共に、最も支軸寄りの当接突起が
当て板に当接した後に、この両者の当接状態が解かれ
る。すなわち、鍵盤に作用するハンマー体の荷重を段階
的に増大させ、かつ最終段階でいったん低減させること
できる。
【0016】さらにこの場合、当接点移動部材を、鍵盤
に回動自在に設けられ、一方の端部に当て板が取り付け
られると共に、他方の端部がフレーム側に延設された回
動アームで構成し、この回動アームを、鍵盤の回動動作
により、最も支軸寄りの当接突起が当て板に当接した後
に、フレームに当接させ、鍵盤とは逆方向に回動させる
ようにしているので、鍵盤に作用するハンマー体の荷重
を段階的に増大させ、かつ最終段階でいったん低減させ
ることを、鍵盤の回動動作に伴う回動アームの機械的な
作用で、自動的に行なわせることができる。
【0017】同様に、当接点移動部材を、鍵盤に固定さ
れ、上面に当て板が取り付けられると共に、半部がフレ
ーム側に延設されたばね部材で構成し、ばね部材を、鍵
盤の回動動作により、最も支軸寄りの当接突起が当て板
に当接した後に、フレームに当接させ、当接突起から離
間する方向に湾曲させるようにしているので、鍵盤に作
用するハンマー体の荷重を段階的に増大させ、かつ最終
段階でいったん低減させることを、鍵盤の回動動作に伴
うばね部材の機械的な作用で、自動的に行なわせること
ができる。
【0018】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
係る電子ピアノの鍵盤装置について説明する。図1およ
び図2は、それぞれ本発明の第1の実施例に係る鍵盤装
置の側面図および作動説明図である。図1に示すよう
に、この鍵盤装置は、横フレーム1と、横フレーム1の
後端に起立状態で取り付けられた縦フレーム2と、横フ
レーム1に取り付けられた鍵盤3と、縦フレーム2に取
り付けられたハンマー(ハンマー体)4とを備えてい
る。
【0019】鍵盤3は、前後に延びる鍵盤本体11と、
鍵盤本体11の前半部上面に形成された鍵部12と、鍵
盤本体11の後端部上面に取り付けられた当て板13
と、鍵盤本体11の前部に埋め込まれた鍵盤重錘14と
で構成されている。鍵盤3は、中間よりやや後側でバラ
ンスピン15を介して横フレーム1にシーソー様に回動
自在に支持されており、バランスピン15は、横フレー
ム1上に固定されたピンホルダー16に立設されてい
る。鍵盤3の回動の角度は、鍵部12が11mm程度の鍵
ストロークで上下するような浅い角度となっており、こ
の回動角度を規制するために、横フレーム1の前部上面
にはストッパ17が、後部上面には鍵盤枕18が取り付
けられている。離鍵状態では、鍵盤3の後部下面が鍵盤
枕18に当接すると共に、鍵部12が持ち上がってい
る。一方、押鍵状態では、鍵盤3の前部下面がストッパ
17に当接すると共に、当て板13がハンマー4を跳ね
上げる。また、ストッパ17にはフロントピン19が立
設され、押鍵の際の鍵盤3の横ブレを防止できるように
なっている。
【0020】一方、ストッパ17とピンホルダー16と
の中間位置には、横フレーム1の上面に鍵スイッチ5が
取り付けられており、この鍵スイッチ5は、鍵盤本体1
1の下面に当接されて、鍵盤3の鍵部12が8〜9mm程
度の深さまで押鍵されたときにONされる。すなわち、
鍵盤3が押鍵されると、鍵盤3の当て板13がハンマー
4をはね上げると共に、鍵盤本体11が鍵スイッチ5を
押し下げてこれをONすることにより、良好な鍵タッチ
感を付与できると共に、押鍵状態の検出を行えるように
なっている。
【0021】ハンマー4は、前端部にハンマー重錘21
が埋め込まれ、後端部に軸部(支軸)22が形成され、
更に軸部22寄りの下部に当接部23が形成されてい
る。ハンマー4は、この軸部22で縦フレーム2に固定
されたブラケット6に回動自在に取り付けられ、鍵盤3
により跳ね上げられて回動する。鍵盤3が離鍵状態にあ
る場合には、ハンマー4は、鍵盤3の当て板13により
ほぼ水平に支持されており、押鍵状態では、鍵盤3によ
り跳ね上げられて、上方のハンマークッション7に突き
当たるようになっている。
【0022】この場合、鍵盤3の押鍵に必要な力(荷
重)をWk 、ハンマー重錘21の重さ(荷重)をWh 、
ハンマー重錘21と軸部22との間の距離をl1 、当接
部23と軸部22との間の距離をl2 、バランスピン1
5と当て板13との距離をl3、鍵部12とバランスピ
ン15の距離をl4 とすると、これらの間に、Wk =
(l3 /l4 )・(l1 /l2 )・Wh の関係が成立す
る。したがって、本実施例では、これらの関係を適宜調
整することにより、押鍵動作中の鍵盤3に所望のモーメ
ント荷重を付与するようにしている。
【0023】当接部23には、前部当接突起24、中間
部当接突起25および後部当接突起26の3個の突起が
階段状に突出形成されており、鍵盤3の押鍵動作が進む
につれて、鍵盤3の当て板13に、前部当接突起24、
中間部当接突起25、後部当接突起26の順に当接す
る。これら3個の当接突起24,25,26の位置関係
は、荷重の付与タイミングを考慮し、上記の式からそれ
ぞれ所望の荷重が所望のタイミングで、鍵盤3の鍵部1
2に加わるように設計されている。そして、この3個の
当接突起24,25,26により、鍵盤3のハンマー4
に対する作用点(当接点)が段階的に、ハンマー4の軸
部22側に移行してゆき、鍵盤3に加わるモーメント荷
重が段階的に増大する。
【0024】ハンマークッション7は、縦フレーム2の
上端部に取り付けられた調整板7aと、調整板7aの下
面に取り付けられたクッション材7bとで構成され、ハ
ンマー4の跳ね上げを上から押さえるように受けて、ハ
ンマー4の回動を規制する。調整板7aは、軟鋼などの
比較的曲げ易い材料で構成され、高音部の鍵盤3と低音
部の鍵盤3の差異に対応して、各ハンマー4の回動位置
の微調整ができるようになっている。
【0025】ここで、図2を参照して、この鍵盤装置の
作動を簡単に説明する。離鍵状態において、鍵盤3の当
て板13には、ハンマー4の前部当接突起24が当接し
ていて、ハンマー4はほぼ水平に保たれている(図2
(a))。鍵盤3を押鍵すると、その当て板13が持ち
上がってゆきハンマー4を跳ね上げる。すなわち、鍵盤
3の押鍵動作により、鍵盤3とハンマー4とが逆方向、
すなわち互いに離れる方向に回動してゆき、その相対角
度が徐々に変化してゆく。すると、当て板13から前部
当接突起24が離間し、これに代わって、当て板13に
中間部当接突起25が当接する(図2(b))。更に鍵
盤3の押鍵動作が進んでゆくと、こんどは当て板13か
ら中間部当接突起25が離間してゆくと同時に、当て板
13に後部当接突起26が当接する(図2(c))。
【0026】このように、鍵盤3の押鍵動作の間に、当
て板13と当接部23との当接点が、前部当接突起2
4、中間部当接突起25、後部当接突起26の順にハン
マー4の軸部22側に移行してゆく。すなわち、上述の
当接部23と軸部22との間の距離l2 が段階的に小さ
くなると共に、バランスピン15と当て板13との距離
l3 が段階的に大きくなり、結局、鍵盤3の押鍵に必要
な力(荷重)をWk が、各当接突起24,25,26の
配設状態に基づくタイミングで、段階的に大きくなる。
したがって、鍵盤3に加わるモーメント荷重が、所望の
タイミングで段階的に増大してゆく。
【0027】この状態を図3の静的タッチ特性の特性線
図で説明する。同図に示すように、この第1実施例によ
れば、押鍵ストローク(11mm程度)の間に、X1 ,Y
1 ,Z1 の立ち上がり段部が生じ、すなわち、3段階で
荷重が増大するタッチ曲線となっている。X1 は前部突
起部24が当て板13に当接している状態であり、Y1
は中間部突起部25が当て板13に当接している状態で
あり、Z1 は後部突起部26が当て板13に当接してい
る状態である。このように、図13に示すアコースティ
クピアノの静的タッチ特性のXa ,Ya ,Za の立ち上
がり段部に対応する、X1 ,Y1 ,Z1 の立ち上がり段
部を生じさせることができる。
【0028】以上のように第1実施例によれば、ハンマ
ー4の各当接突起24,25,26により、鍵盤3のハ
ンマー4に対する当接点を、ハンマー4の軸部22側に
段階的に移行させるようにしているので、押鍵動作中の
鍵盤3に加わる荷重が3段階で増大され、アコースティ
クピアノの静的タッチ特性に近似した、静的タッチ特性
を得ることができる。したがって、アコースティクピア
ノのタッチ感とほぼ同一のタッチ感を得ることができ
る。
【0029】次に、図4および図5を参照して第2の実
施例について説明する。なお、以降の実施例では、第1
実施例と同一部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明
する。両図に示すように、この鍵盤装置では、当て板1
3が回動アーム31を介して鍵盤3に取り付けられてい
る。回動アーム31は、プレス成形品で構成されてお
り、全体を「L」字状に形成されている。回動アーム3
1の前後両端部には、水平に折り曲げた前部折曲部32
および後部折曲部33がそれぞれ形成され、前部折曲部
32には当て板13が接着固定されている。この状態で
回動アーム31は、鍵盤3の後端部に形成された切込み
溝3aに収容され、切込み溝3aを横断するように設け
た貫通ピン34により、鍵盤3に回動自在に取り付けら
れている。また、この状態で回動アーム31の前部折曲
部32に取り付けた当て板13は、鍵盤3の切込み溝3
aに水平に収まり、回動アーム31の後部折曲部33
は、縦フレーム2側に突出している。
【0030】一方、各回動アーム31の後部折曲部33
の位置には、上方から臨ませて調整ストッパ41が配設
されている。調整ストッパ41は、六角ボルト42の下
端に受けブロック43と受けクッション44とを取り付
けて構成されており、支持プレート45に螺合されると
共に、この支持プレート45を介して縦フレーム2に固
定されている。鍵盤3が押鍵により回動すると、鍵盤3
に取り付けた回動アーム31の後部折曲部33が、この
調整ストッパ41の受けクッション44に下方から突き
当たるようになっている。すなわち、調整ストッパ41
を回転させて受けクッション44の上下の位置を微調整
することにより、鍵盤3の回動が進んで当て板13に後
部当接突起26が当接した直後に、回動アーム31が調
整ストッパ41に当接するようになっている。これによ
り、以降、回動アーム31は鍵盤3とは逆方向に相対的
に回動される。
【0031】ここで、図6を参照して、この鍵盤装置の
作動を簡単に説明する。第1実施例と同様に、鍵盤3の
当て板13にハンマー4の前部当接突起24が当接して
いる離鍵状態(図6(a))から、当て板13に中間部
当接突起25が当接する第2段階を経て、当て板13に
後部当接突起26が当接する第3段階(図6(b))ま
で、鍵盤3の押鍵動作が進んだ直後に、回動アーム31
の後部折曲部33が調整ストッパ41に当接する。この
当接により、回動アーム31が貫通ピン34を中心に鍵
盤3とは逆方向に回動される。すると、後部当接突起2
6が当て板13から離間し、代わって中間部当接突起2
5が当て板13に当接する(図6(c))。このよう
に、鍵盤3の押鍵動作の間に、前部当接突起24、中間
部当接突起25、後部当接突起26の順に当接点が移行
し、更に後部当接突起26から中間部当接突起25へと
移行してゆく。すなわち、鍵盤3に加わるモーメント荷
重が段階的に増大してゆくが、最終段階でいったん荷重
が減少する。
【0032】この状態を図7の静的タッチ特性の特性線
図で説明すると、押鍵ストローク(11mm程度)の間
に、X1 ,Y1 ,Z1 の立ち上がり段部が生じた後、S
1 の立ち下がり部が生ずる。すなわち、図13に示すア
コースティクピアノの静的タッチ特性のXa ,Ya ,Z
a ,の立ち上がり段部とSa の立ち下がり部に対応す
る、X1 ,Y1 ,Z1 およびS1 が生じることになる。
【0033】したがって、この第2実施例によれば、回
動アーム31により、X1 ,Y1 ,Z1 の立ち上がり段
部に加え、S1 の立ち下がり部を生ずるようにしている
ので、アコースティクピアノの静的タッチ特性に、より
一層近似した静的タッチ特性を得ることができ、アコー
スティクピアノのタッチ感とほとんど差異のないタッチ
感を得ることができる。。
【0034】次に、図8および図9を参照して第3の実
施例について説明する。両図に示すように、この鍵盤装
置では、鍵盤3の後端部が短くカットして形成されると
共に、この後端部の上面に板ばね51が固定されてい
る。板ばね51は、前半部が、鍵盤3の後端部上面に形
成された浅溝3bに嵌合するようにしてこの部分にねじ
止めされ、後半部が縦フレーム2側に延びている。そし
て、板ばね51の上面には、前半部寄りに当て板13が
接着されている。
【0035】一方、板ばね51の後端部の位置には、こ
れに上方から臨ませて調整ストッパ61が配設されてい
る。調整ストッパ61は、縦フレーム2に固定された受
けプレート62と、受けプレート62の下面に取り付け
た受けクッション63とで構成されている。受けプレー
ト62は、各板ばね51に対応させた、切り込みにより
櫛歯状に形成され、受けクッション63を取り付けた受
け部62aと、縦フレーム2へのねじ止め部分となる基
部62bとで構成されている。そして、この受け部62
aと基部62bとの境界部分を上下方向に折り曲げるこ
とにより、調整ストッパ61の受けクッション63の上
下の位置を微調整できるようになっている。すなわち、
鍵盤3の回動が進んで当て板13に後部当接突起26が
当接した直後に、板ばね51が調整ストッパ61に当接
して、板ばね51の後半部が下方へ湾曲するように調整
されている。
【0036】ここで、図10を参照して、この鍵盤装置
の作動を簡単に説明する。この第3実施例では、第2実
施例と全く同様に、鍵盤3の当て板13にハンマー4の
前部当接突起24が当接している離鍵状態(図10
(a))から、当て板13に中間部当接突起25が当接
する第2段階を経て、当て板13に後部当接突起26が
当接する第3段階(図10(b))まで、鍵盤3の押鍵
動作が進んだ直後に、板ばね51の後端部が調整ストッ
パ61に当接する。この当接により、板ばね51の後半
部が当て板13と共に下方へ湾曲する。すると、後部当
接突起26が当て板13から離間し、代わって中間部当
接突起25が当て板13に当接する(図10(c))。
このように、鍵盤3の押鍵動作の間に、前部当接突起2
4、中間部当接突起25、後部当接突起26の順に当接
点が移行し、更に後部当接突起26から中間部当接突起
25へと移行してゆく。
【0037】すなわち、第2実施例と同様に、鍵盤3に
加わるモーメント荷重が段階的に増大してゆき、最終段
階でいったん荷重が減少する。したがって、特に図示し
ないが、図7に示すような、X1 ,Y1 ,Z1 の立ち上
がり段部とS1 の立ち下がり部とを有する静的タッチ特
性を得ることができる。
【0038】次に、図11を参照して第4の実施例につ
いて説明する。この実施例は、第1実施例における鍵盤
3の当て板13とハンマー4の当接部23とを、逆に取
り付けた構造になっている。すなわち、鍵盤3の後端部
の上面に、前部当接突起72、中間部当接突起73およ
び後部当接突起74を備えた当接部71が形成されてお
り、ハンマー4の下面に当て板81が取り付けられてい
る。この実施例によれば、第1実施例と同様に、鍵盤3
の押鍵動作により、当接部71に対して前部当接突起7
2、中間部当接突起73および後部当接突起74の順で
当接し、図3に示すような、X1 ,Y1 ,Z1 の立ち上
がり段部を有する静的タッチ特性を得ることができる。
【0039】なお、本発明は、上述した実施例に限定さ
れることなく、種々の態様で実施することができる。例
えば、実施例のハンマー体に代えて、電磁的なあるいは
油圧的な装置を用いて、鍵盤に段階的な荷重を付与する
ようにしてもよい。また、各当接突起をビスなどで構成
し、高さを微調整できるようにしてもよい。さらに、当
接突起を2個で構成し、簡易な鍵盤装置とすることも可
能である。
【0040】
【発明の効果】以上のように請求項1の鍵盤装置によれ
ば、鍵盤の押鍵動作が進むにつれて、ハンマー手段の荷
重を複数段階で増大させる荷重調整機構を設けるように
しているので、Xa 、Ya 、Za の立ち上がり段部を有
する静的タッチ特性を持たせることができ、アコーステ
ィックピアノのタッチ感とほぼ同一のタッチ感を持たせ
ることができる効果を有する。
【0041】また、請求項3の鍵盤装置によれば、鍵盤
の押鍵動作が進むにつれて、ハンマー手段の荷重を複数
段階で増大させる荷重調整機構を設けると共に、荷重調
整機構に、最終段階の荷重を付与した直後にいったん荷
重を低減させる荷重低減機構を設けるようにしているの
で、Xa 、Ya 、Za の立ち上がり段部と、Sa の立ち
下がり部とを有する静的タッチ特性を持たせることがで
き、アコースティックピアノのタッチ感と全く同一のタ
ッチ感を持たせることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る電子ピアノの鍵盤装
置の側面図である。
【図2】第1実施例に係る電子ピアノの鍵盤装置の作動
説明図である。
【図3】第1実施例に係る電子ピアノの鍵盤装置の静的
タッチ特性を表した、特性曲線図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る電子ピアノの鍵盤装
置の側面図である。
【図5】第2実施例に係る電子ピアノの鍵盤装置の要部
の分解斜視図である。
【図6】第2実施例に係る電子ピアノの鍵盤装置の作動
説明図である。
【図7】第2実施例に係る電子ピアノの鍵盤装置の静的
タッチ特性を表した、特性曲線図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る電子ピアノの鍵盤装
置の側面図である。
【図9】第3実施例に係る電子ピアノの鍵盤装置の要部
の分解斜視図である。
【図10】第3実施例に係る電子ピアノの鍵盤装置の作
動説明図である。
【図11】本発明の第4実施例に係る電子ピアノの鍵盤
装置の側面図である。
【図12】従来の電子ピアノの鍵盤装置の側面図であ
る。
【図13】従来の電子ピアノおよびアコースティク電子
ピアノの静的タッチ特性を表した、特性曲線図である。
【符号の説明】
1 横フレーム 2 縦フレーム 3 鍵盤 4 ハンマー 13 当て板 22 軸部 23 当接部 24 前部当接突起 25 中間部当接突起 26 後部当接突起 31 回動アーム 41 調整ストッパ 51 板ばね 61 調整ストッパ 71 当接部 81 当て板

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フレームに回動自在に支持された鍵盤
    と、当該鍵盤に当接し、当該鍵盤の押鍵に際して当該鍵
    盤に所定の荷重を付与するハンマー手段とを備えた電子
    ピアノの鍵盤装置において、 前記鍵盤の押鍵動作が進むにつれて、当該鍵盤に付与す
    る前記ハンマー手段の荷重を、複数段階で増大させる荷
    重調整機構を設けたことを特徴とする電子ピアノの鍵盤
    装置。
  2. 【請求項2】 前記ハンマー手段は、前記鍵盤の押鍵動
    作に伴い支軸を中心に、当該鍵盤により跳ね上げられる
    ハンマー体を有し、 前記荷重調整機構は、当該ハンマー体と当該鍵盤との少
    なくとも一方の当接部に設けられ、前記鍵盤の押鍵によ
    る当該鍵盤の回動動作が進むにつれて、当該ハンマー体
    と当該鍵盤との当接点を前記支軸側に段階的に移行させ
    る複数の当接突起を有することを特徴とする請求項1に
    記載の電子ピアノの鍵盤装置。
  3. 【請求項3】 フレームに回動自在に支持された鍵盤
    と、当該鍵盤に当接し、当該鍵盤の押鍵に際して当該鍵
    盤に所定の荷重を付与するハンマー手段とを備えた電子
    ピアノの鍵盤装置において、 前記鍵盤の押鍵動作が進むにつれて、当該鍵盤に付与す
    る前記ハンマー手段の荷重を、複数段階で増大させる荷
    重調整機構を設けると共に、当該荷重調整機構に、前記
    ハンマー手段による最終段階の荷重を付与した後に、荷
    重を低減させる荷重低減機構を設けたことを特徴とする
    電子ピアノの鍵盤装置。
  4. 【請求項4】 前記ハンマー手段は、前記鍵盤の押鍵動
    作に伴い支軸を中心に、当該鍵盤により跳ね上げられる
    ハンマー体を有し、 前記荷重調整機構は、当該ハンマー体と当該鍵盤とのい
    ずれか一方の当接部に設けられ、前記鍵盤の押鍵により
    当該鍵盤の回動動作が進むにつれて、当該ハンマー体と
    当該鍵盤との当接点を前記支軸側に段階的に移行させる
    複数の当接突起と、他方の当接部に設けられ、当該当接
    突起に当接する当て板とを有し、 前記荷重低減機構は、最も支軸寄りの前記当接突起が前
    記当て板に当接した後に、この当接状態を解除して、他
    の前記当接突起と当該当て板とを当接させる当接点移動
    部材を有することを特徴とする請求項3に記載の電子ピ
    アノの鍵盤装置。
  5. 【請求項5】 前記当接点移動部材は、前記鍵盤に回動
    自在に設けられ、一方の端部に前記当て板が取り付けら
    れると共に、他方の端部が前記フレーム側に延設された
    回動アームで構成されており、 当該回動アームは、前記鍵盤の回動動作により、最も支
    軸寄りの前記当接突起が前記当て板に当接した後に、前
    記他方の端部が前記フレームに当接して、当該鍵盤とは
    逆方向に回動されるように構成されていることを特徴と
    する請求項4に記載の電子ピアノの鍵盤装置。
  6. 【請求項6】 前記当接点移動部材は、前記鍵盤に固定
    され、上面に前記当て板が取り付けられると共に、半部
    が前記フレーム側に延設されたばね部材で構成されてお
    り、 当該ばね部材は、前記鍵盤の回動動作により、最も支軸
    寄りの前記当接突起が前記当て板に当接した直後に、前
    記半部が前記フレームに当接して、当該当接突起から離
    間する方向に湾曲されるように構成されていることを特
    徴とする請求項4に記載の電子ピアノの鍵盤装置。
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