JP2907917B2 - Sp6dnaポリメラーゼ及びその製法 - Google Patents

Sp6dnaポリメラーゼ及びその製法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は遺伝子工学研究用試薬として有用な酵素であ
る、SP6DNAポリメラーゼ及びその製法に関する。
〔従来の技術〕
今までに遺伝子工学研究用試薬として利用されている
DNAポリメラーゼには、大腸菌DNAポリメラーゼI、その
改変型であるクレノウ断片、T4ファージ由来DNAポリメ
ラーゼ、T7ファージ由来DNAポリメラーゼ、サーマス・
アクアティカス由来耐熱性DNAポリメラーゼ等がある。
一般に、DNAポリメラーゼは、その起源による酵素特
異性を有している。例えば、大腸菌DNAポリメラーゼI
は3′,5′−エキソヌクレアーゼ活性も有しており、そ
の特性を生かした利用法(ニックトランスレーション
法)によるDNAの標識化)がある。また、サーマス・ア
クアティカス由来のDNAポリメラーゼは耐熱性酵素であ
り、微量のDNAを増幅するPCR法(ポリメラーゼ・チェー
ン・リアクション法)などに利用されている。
これらDNAポリメラーゼは、近年盛んに行われる様に
なったDNA塩基配列決定にも利用されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
現在ジデオキシ法によるDNA塩基配列決定に用いられ
る酵素には、大腸菌由来のクレノウ断片、改変型T7DNA
ポリメラーゼ、サーマス・アクアティカス由来DNAポリ
メラーゼなどがあるが、それぞれ酵素の特性による欠点
も存在する。
例えば、クレノウ断片の場合は、塩基配列バンドに濃
淡を生じる点、塩基アナログの認識が弱い点などがあ
る。その改良型として最近よく用いられる様になった改
変型T7DNAポリメラーゼ(特開昭63-237798号)はクレノ
ウ断片の欠点をある程度補っているが、配列特異的な欠
失バンド(特にAレーンでのバンド欠失)を生じ配列を
解読できないことがある。
また、サーマス・アクアティカスDNAポリメラーゼ
は、一般に、塩基配列バンドに非特異的な停止によるゴ
ーストバンドを生じやすいなどがある。
この様な欠点を有しないDNAポリメラーゼの開発が望
まれており、本発明の目的は、DNA塩基配列決定に利用
できる新たなDNAポリメラーゼを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明はSP6DNAポ
リメラーゼに関する発明であって、配列表の配列番号1
に示すアミノ酸配列を有していることを特徴とする。
また、本発明の第2の発明は遺伝子に関する発明であ
って、第1の発明のSP6DNAポリメラーゼをコードする遺
伝子であることを特徴とする。
また、本発明の第3の発明はSP6DNAポリメラーゼの製
造方法に関する発明であって、第2の発明の遺伝子を導
入した形質転換体を培養し、該培養物より第1の発明の
SP6DNAポリメラーゼを採取することを特徴とする。
更に、本発明の第4の発明は、3′,5′−エキソヌク
レアーゼ活性欠失型SP6DNAポリメラーゼに関する発明で
あって、配列表の配列番号1において、少なくとも第16
7番目のヒスチジンに化学修飾、変換又は欠失のいずれ
かがなされていることを特徴とする。
更にまた、本発明の第5の発明は遺伝子に関する発明
であって、第4の発明の3′,5′−エキソヌクレアーゼ
活性欠失型SP6DNAポリメラーゼをコードする遺伝子であ
ることを特徴とする。
そして、本発明の第6の発明は、第4の発明の3′,
5′−エキソヌクレアーゼ活性欠失型SP6DNAポリメラー
ゼの製造方法に関する発明であって、第5の発明の遺伝
子を導入した形質転換体を培養し、該培養物より第4の
発明の3′,5′−エキソヌクレアーゼ活性欠失型SP6DNA
ポリメラーゼを採取することを特徴とする。
本発明者らは、サルモネラ・ティフィムリウム株に感
染するSP6ファージが新規DNAポリメラーゼを産生するこ
とを見出し、SP6ファージDNAよりSP6DNAポリメラーゼ遺
伝子全領域を含む2.65KbDNAをクローニングすることに
成功し、このDNA断片を含む発現ベクターを導入した微
生物、特に大腸菌を培養することにより、菌体内に著量
のDNAポリメラーゼが蓄積することを見出した。
また、本発明のSP6DNAポリメラーゼは、活性発現に、
チオレドキシンをサブユニットとして要求することを見
出した。活性型SP6DNAポリメラーゼを採取するために
は、発現ベクターをチオレドキシン生産性大腸菌を宿主
として用いればよく、チオレドキシンは大腸菌由来、あ
るいはサルモネラ菌由来いずれでも良いことを、サルモ
ネラ・ティフムリウム株のチオレドキシン遺伝子をクロ
ーニングすることにより解明した。また、非活性型SP6D
NAポリメラーゼはチオレドキシンと溶液中にて混合させ
ることによっても、活性型SP6DNAポリメラーゼに変換さ
れた。
更に、クローニングされたSP6DNAポリメラーゼ遺伝子
を、部位特異的変異処理法により3′,5′−エキソヌク
レアーゼ活性を欠失させた変異型DNAポリメラーゼも著
量産生させることに成功し、本発明を完成した。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に係る形質転換体及びSP6DNAポリメラーゼは次
に例示する工程による得ることができる。
(1) DNA供与体であるSP6ファージからDNAを抽出
し、適当な制限酵素で切断し、目的とするDNA断片を回
収する。
(2) 回収したDNA断片を末端よりBal 31エキソヌク
レアーゼにより消化し、短くする。
(3) ベクターを制限酵素で開裂し、この開裂部位に
(2)で得たDNA断片を結合させる。
(4) DNA断片を結合させたベクターを宿主に導入
し、目的のDNA断片を含む形質転換体を選択する。
(5) (4)で得た形質転換体からプラスミドを取出
し、目的のDNA断片を切出し、これを(3)と同様の要
領で発現ベクターに結合させる。
(6) (5)で得たSP6DNAポリメラーゼを含むDNA断
片を結合させた発現ベクターを、(4)と同じ要領で宿
主に導入し、形質転換体を得る。
(7) (6)で得た形質転換体を培養し、培養菌体よ
りSP6DNAポリメラーゼを生産する。
(8) (4)で得た発現ベクターにつき部位特異的変
異処理法によりSP6DNAポリメラーゼ遺伝子内3′,5′−
エキソヌクレアーゼ活性中心領域に変異を導入し、変異
型DNAポリメラーゼ発現ベクターを作製する。
(9) (8)で得た発現ベクターを宿主に導入し、形
質転換体を得る。
(10) (9)で得た形質転換体を培養し、培養菌体よ
り変異型SP6DNAポリメラーゼを生産する。
(11) (6)、(9)で用いる宿主がチオレドキシン
欠損株である場合、宿主にチオレドキシン生産性ベクタ
ーを導入することにより形質転換体を得る。
上記DNA供与体であるSP6ファージDNAはサルモネラ・
ティフィムリチウム株にSP6ファージを感染させた溶菌
液よりファージ粒子を回収し、それより抽出する。抽
出、精製、制限酵素による切断等は、公知の方法を用い
ることができ、当該方法の詳細は、1982年、コールド
スプリング ハーバーラボラトリー発行、T.マニアステ
ィス(T.Maniastis)ほか著、モレキュラー・クローニ
ング ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Clon
ing A Laboratory Manual)、第75〜179頁に記載されて
いる。
SP6ファージDNAの調製方法、制限酵素地図作製方法
は、特開昭63-105679号公報に詳述してある。第2図にS
P6ゲノムDNAのHindIII制限酵素地図(A〜MはDNA断片
を長さの順に表示)及びSP6DNAポリメラーゼ遺伝子の領
域を示す。ファージDNAの制限酵素切断は次の様に行
う。ファージDNAに適当な制限酵素を加え、適当な反応
条件下で反応を行うことにより、種々のDNA断片に切断
される。この切断に使用しうる酵素はファージDNAを切
断しうるものであり、かつSP6DNAポリメラーゼを産生す
る遺伝情報を担うDNA部分を切断しないものであること
が必要である。また、ベクターとなるプラスミドを1箇
所で切断できるものが望ましい。SP6ファージゲノムの
遺伝子解析を行ったところ第2図に示す。HindIII−B
断片7.3Kb上にDNAポリメラーゼ遺伝子が存在することを
見出し、更にHindIII−B断片上のMluI-AvaII断片3.4Kb
上に存在することが限定できた。
一方、ベクターの開裂も同様の方法で行うことができ
る。ベクターとしては、公知のものが使用できる例えば
pBR322、pCU18などが挙げられるがこれらに限定される
ものではない。
次に、DNAリガーゼを用いてベクターの開裂部位にDNA
断片を組込ませるが、その手段自体は公知の方法による
ものであり、ベクターの種類及び制限酵素の種類に応じ
て適当な反応条件が選択される。
MluI-AvaIIDNA断片の末端より消化し、短いDNA断片を
得るためにエキソヌクレアーゼが用いられるが、公知の
ものとしてはBal 31エキソヌクレアーゼがあり、適当な
反応条件下種々の長さのDNA断片が得られる。
次いで、ファージDNA断片を組込んだプラスミドを宿
主大腸菌に導入させるが、宿主大腸菌としては、形質転
換能を有するものであれば野生株、変異株のいずれも使
用できる。用いるベクターにより、用いる宿主を適宜変
えることも可能である。
この様にして、目的のDNA断片を宿主に導入し、ベク
ターの特性、例えばpBR322のEcoRV部位にクローン化す
る場合にはアンピシリン耐性、テトラサイクリン感受性
コロニーを選択することにより、クローン化することが
できる。
クローン化されたDNAの解析には、公知の方法を用い
て行う。すなわち、多数得られる形質転換株よりプラス
ミドを調製し、適当な制限酵素で切断後、アガロースゲ
ル電気泳動すればクローン化されたDNA断片の長さを知
ることができる。この様にして解析したところ、約3Kb
のクローン化DNAを有するプラスミド(pSPDNP6−1)を
得た。更に、このクローン化DNAを詳細に解析し、この
内部にSP6DNAポリメラーゼ遺伝子が存在することを確認
した。SP6DNAポリメラーゼ遺伝子を含む約2650bpの塩基
配列及びアミノ酸配列を第1図に示す。
SP6DNAポリメラーゼを著量発現させるためのベクター
は、その発現をコントロールできるものが好ましい。例
えば、第3図に示すベクターpUIQ12は、発現用プロモー
ターとして、ラクトース オペロン プロモーターを有
し、また、このプロモーターを制限するリプレッサーと
してラック(lac)Iqを有する発現用ベクターである。
この発現ベクターにpSPDNP6−1より、DNAポリメラー
ゼ遺伝子を切出したDNA断片を接続し、宿主大腸菌(例
えばJM109)に形質転換する。この様にして、プラスミ
ドpUIQSPDNP66を得た。
pUIQSPDNP66を保有する大腸菌を培養した菌体より、S
P6DNAポリメラーゼの採取を行った。培養菌体よりP.グ
リッポ(P.Grippo)らの方法〔ジャーナル・オブ・バイ
オロジカル・ケミストリー(Jounal of Biological Che
mistry)第246巻、第6867〜6873頁(1971)〕に従って
精製及び活性測定を行った。
得られたSP6DNAポリメラーゼは、DNA合成活性、3′,
5′−エキソヌクレアーゼ活性を有する活性型DNAポリメ
ラーゼであった。このタンパクをSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動により解析したところ、96,000ダルト
ンのクローン化DNA由来のSP6DNAポリメラーゼと、12,00
0ダルトンの大腸菌チオレドキシとのサブユニット構造
を有するDNAポリメラーゼであった。
SP6ファージ本来の宿主であるサルモネラ・ティフィ
ムリウム株に感染した場合、SP6DNAポリメラーゼはサル
モネラ・ティフィムリウム株において産生されているチ
オレドキシンとの複合体である。しかしながら、サルモ
ネラ・ティフィムリウム株で産生されているチオレドキ
シンの構造は今までに報告されていないので、その構造
を調べた。
サルモネラ・ティフィムリウム株染色体DNAよりチオ
レドキシン遺伝子をクローニングしたところ、第4図に
示すM13trxA株が分離され、構造解析の結果第5図に示
す塩基配列及びアミノ酸配列を有するものであることが
明らかにされた。
サルモネラ・ティフィムリウム株のチオレドキシンの
アミノ酸配列は、大腸菌のそれと同一であった。
したがって、大腸菌内で産生された活性型SP6DNAポリ
メラーゼは、サルモネラ・ティフィムリウム株にSP6フ
ァージが感染して産生されるDNAポリメラーゼと全く同
一の性質を有している。
また、チオレドキシンを産生しない様な宿主大腸菌
(例えばE.coli A179)を用いる場合には、クローン化
されたサルモネラ・ティフィムリウム株チオレドキシン
遺伝子を導入し、更にSP6DNAポリメラーゼ発現ベクター
pUIQSPDNP66を導入すれば、活性型SP6DNAポリメラーゼ
の産生を行うこともできる。
更にSP6DNAポリメラーゼをDNA塩基配列決定に用いる
には、このDNAポリメラーゼの有する3′,5′−エキソ
ヌクレアーゼ活性を欠失させる必要がある。DNA合成活
性に影響を及ぼさずに、3′,5′−エキソヌクレアーゼ
活性のみを欠失させる方法として、3′,5′−エキソヌ
クレアーゼの活性中心を構成するアミノ酸を化学修飾、
変異処理により変換、あるいは、欠失させることが可能
である。
W.クラマー(W.Kramer)らの方法〔メソッズ・イン・
エンザイモロジイ(Methods in Enzymology)第154巻、
第350〜367頁、1987年 アカデミックプレス社(Academ
ic Press)出版〕に従い、種々部位特異的変異処理株を
作製したところ、第1図に示すアミノ酸配列167番目の
ヒスチジン残基を含む領域が3′,5′−エキソヌクレア
ーゼ活性中心であり、この領域を変異させることにより
3′,5′−エキソヌクレアーゼ活性の欠失したSP6DNAポ
リメラーゼを作製することができた。
この様にして作製した変異型SP6DNAポリメラーゼを用
い、DNA塩基配列決定法を行うと、バンドの濃さが均一
であり、変異型T7DNAポリメラーゼの場合に生じるAレ
ーン欠失もなく、バックグランドの低い配列パターンを
与え、正確な配列決定を行うことができた。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれら実
施例に限定されるものではない。
実施例1 (1) SP6ファージゲノムDNA200μgを、各200UのMlu
I、AvaII制限酵素と、37℃ 2時間緩衝液〔トリス−HC
l(pH8.0)、5mM MgCl2、7mM 2−メルカプトエタノー
ル、0.01% BSA、50mM NaCl〕200μl中で反応させ
た。反応液を1%アガロースゲル電気泳動し、3.4KbのM
luI-AvaII断片を含むアガロースゲルを切出し、投石チ
ューブ中電気泳動し、緩衝液中に溶出し、エタノール沈
殿により回収した(M−A DNA断片)。
更に、回収された3.4KbのM−A DNA断片5μgをエキ
ソヌクレアーゼBal 31の5Uを用いBal緩衝液〔20mM ト
リス−HCl(pH8.0)、12mM CaCl2、12mM MgCl2、1mM ED
TA、600mM NaCl〕100μl中20℃ 5分反応させ、0.5M
EDTAを10μl加え反応を停止後、フェノール処理、エタ
ノール沈殿によりDNAを回収した(Bal・DNA断片)。
ベクターとしては、pBR322を用いた。pBR322の2μg
を制限酵素EcoRV5Uを用い、緩衝液〔10mM トリス−HCl
(pH7.5)、7mM MgCl2、150mM NaCl、7mM 2−メルカ
プトエタノール、0.01% BSA〕50μl中37℃ 1時間
反応させた。65℃ 10分加熱により制限酵素を失活させ
たのち、エタノール沈殿し、DNAを回収した。このDNAを
BAP緩衝液〔100mM トリス−HCl(pH8.0)〕100μlに
溶解し、1Uのアルカリホスファターゼを加え、55℃ 30
分反応させたのち、フェノール処理、エタノール沈殿を
行い、ベクターDNAを回収した(BAP−ベクター)。
Bal・DNA断片0.1μgと、BAP−ベクター0.15μgを、
T4DNAリガーゼ100Uを用いリガーゼ緩衝液〔66mM トリ
ス−HCl(pH7.6)、66mM MgCl2、10mM DTT、0.5mM AT
P〕20μl中16℃ 4時間反応させ、結合させた。
結合させたDNAを、大腸菌HB101コンピテントセル(宝
酒造製)に形質転換を行い、アンピシリン100μg/mlを
含むL寒天培地(トリプトン10g/l、酵母エキス5g/l、
食塩5g/l、pH7.2、寒天20g/l)に塗布した。得られた形
質転換体より、プラスミドを調製し、このプラスミドDN
Aを制限酵素BamHI、HindIIIで切断後、アガロースゲル
電気泳動を行って組込まれたDNA断片のサイズを調べた
結果、最長の約3KbのDNAを含むプラスミドが得られた。
この約3KbのDNAを含むプラスミドを保有する大腸菌はEs
cherichia coli HB101/pSPDNP6−1と表示して工業技術
院微生物工業技術研究所に、微工研菌寄第11199号FERMP
-11199)として寄託されている。該プラスミドはSP6フ
ァージDNAポリメラーゼ遺伝子全領域を含むプラスミド
であり、塩基配列及びそのコードするアミノ酸配列を第
1図に示す。この結果より、SP6DNAポリメラーゼは、翻
訳開始コドンを含め849アミノ酸よりなる分子量約96,40
0のタンパクであることがわかった。
(2) 大腸菌内でのSP6DNAポリメラーゼの発現タンパ
クの精製 pSPDNP6−1にコードされる遺伝子より発現されるタ
ンパクがDNAポリメラーゼ活性を有していることを確認
するため大腸菌内でのタンパク発現、及び活性測定を行
った。
発現ベクターの作製は、第3図に示す様に行った。詳
述すると、まず、pMJR1560プラスミド2μgをPstI、Kp
nI制限酵素各4Uを用い、緩衝液〔10mM トリス−HCl(p
H7.5)、7mM MgCl2、40mM NaCl、7mM 2−メルカプト
エタノール、0.01% BSA〕50μl中、37℃ 2時間切
断し、アガロースゲル電気泳動により1acIq遺伝子を含
むDNA断片(1acIq−DNA)を回収した。得られた1acIq
DNA0.5μgをT4DNAポリメラーゼ1Uを用い平滑化緩衝液
〔50mM トリス−HCl(pH7.5)、5mM MgCl2、100mM NaC
l、5mM 2−メルカプトエタノール、0.5mM dATP、0.5m
M dGTP、0.5mM dCTP、5mM TTP〕10μl中、37℃ 5分
反応させ、1acIq‐DNAの末端化を行った。同様にpUC18
をEcoO109切断したベクターを平滑末端化した。このベ
クターと、平滑末端化した1acIq‐DNAをT4DNAリガーゼ
を用い結合させたのち、大腸菌JM109に形質転換し、プ
ラスミドを回収した。これをpUIQ12と名付けた。
得られたpUIQ12 DNAを、BamHI、HindIIIで切断し、ベ
クターを調製する。一方、pSPDNP6−1をBamHI・HindII
Iで切断し、アガロースゲル電気泳動によりSP6DNAポリ
メラーゼ遺伝子を含むDNA断片を調製し、T4DNAリガーゼ
により、ベクターと結合した。結合したDNAを大腸菌JM1
09に形質転換し、得られた形質転換株よりプラスミドを
回収した。このプラスミドをpUIQSPDNP66と名付けた。
pUIQSPDNP66を有する大腸菌JM109をL培地1で37℃
振とう培養し、細菌数0.8×108セル/mlの時点で、誘導
物質であるイソプロピル−β−D−チオガラクトシド
(IPTG)を添加し、DNAポリメラーゼ産生誘導を行い、
更に4時間培養を行った。培養後菌体を遠心集菌(10,0
00rpm 10分間)し、生理食塩水で洗浄後、20mlの緩衝
液A〔20mM トリスHCl(pH7.5)、0.1mM EDTA、0.1mM
DTT、10%グリセロール〕に懸濁し、超音波破砕、超遠
心(30,000rpm 30分)により上澄を回収した。この分
画の活性を測定したところ、20,000UのDNAポリメラーゼ
が産生されていた。本酵素はホスホセルロース、DETA−
セルロース、ヒドロキシアパタイト、セファデックスG
−100のクロマトグラフィーで単一酵素として精製され
た。
単一にまで精製されたSP6DNAポリメラーゼを、SDS−
ポリアクリルアミド電気泳動により解析したところ、分
子量96,000のタンパクと、12,000のタンパクとの複合体
であった。分子量96,000のタンパクは、pSPDNP6−1に
コードされるSP6DNAポリメラーゼの分子量96,400と一致
した。また、12,000のタンパクは、解析の結果、大腸菌
チオレドキシンであった。
この様にして、活性型SP6DNAポリメラーゼを得ること
ができた。
実施例2 (1) サルモネラ・ティフィムリウム株チオレドキシ
ンの構造 実施例1において得られたDNAポリメラーゼは、大腸
菌チオレドキシンとの複合体であり、サルモネラ・ティ
フィムリウム株チオレドキシンとの複合体を作製した。
チオレドキシン遺伝子のクローニングは、一本鎖ファー
ジM13等がチオレドキシン欠損株(例えば、大腸菌A17
9)ではプラーク形成できない性質を利用した。
すなわち、サルモネラ・ティフィムリウム染色体DNA2
00μgを制限酵素SaU3A 10Uで部分切断し、アガロース
ゲル電気泳動により、1.5Kb〜3KbのDNA断片を回収し
た。
このDNA断片を0.3μgを、BamHI切断したM13mp18ベク
ター1μgと、T4DNAリガーゼを用いて結合させ、コン
ピテント化した大腸菌A179の500μlに形質導入した。
形質導入を行った大腸菌A179の100μlと、別に培養
した大腸菌A179の100μl(1×108セル)とを、0.6%
軟寒天中混合し、L−寒天培地プレートに塗布した。こ
のプレートを同様に5枚調製し、37℃1晩培養したとこ
ろ、3個のプラークが得られた。内1個のプラークを、
大腸菌A179と共にL−培地100mlで37℃ 8時間培養
し、菌体よりファージDNA(RFタイプ)を調製した。
このDNAを用いて制限酵素切断を行い、制限酵素地図
を作製した。第4図に示す制限酵素地図を有するDNA断
片が挿入されていた。
第4図に示す制限酵素地図に従い、各DNA断片を調製
し、再度M13m18に結合させ、サブクローン1〜5を得
た。大腸菌A179でのプラーク形成能を調べたところ、Ns
pV-KpnIDNA断片を有するクローンに、プラーク形成能が
認められ、この領域の塩基配列を決定した。
第5図に、塩基配列及びアミノ酸配列を示す。この結
果、サルモネラ・ティフィムリウム株チオレドキシン
は、大腸菌チオレドキシンとDNAレベルで96%、アミノ
酸レベルで100%の相同性を有していた。
(2) サルモネラ・ティフィムリウム株チオレドキシ
ンと複合体を形成したSP6DNAポリメラーゼタンパクの生
産 M13trxA 50μgを制限酵素NspV、KpnI各50Uを用いた
切断後、DNA断片を回収し、T4ポリメラーゼで平滑末端
化を行った。一方、プラスミドpACYC184をEcoRVで切断
し、ベクターを調製した。平滑末端化したDNA断片とベ
クターDNAとをT4DNAリガーゼを用い結合後、コンピテン
ト化した大腸菌A179に形質転換し、クロラムフェニコー
ル耐性、テトラサイクリン感受性の形質転換株を分離し
た。この形質転換株は、M13ファージ感受性であり、大
腸菌内でサルモネラ・ティフィムリウム株チオレドキシ
ン遺伝子が発現していることが確認された。
この株にpUIQSPDNP66を形質転換し、実施例1と同様
に培養し、集菌後、SP6DNAポリメラーゼを精製したとこ
ろ、同様の活性を有しており、SP6DNAポリメラーゼと、
大腸菌内で発現したサルモネラ・ティフィムリウム株由
来チオレドキシンとの複合体であった。
実施例3 (1) 3′,5′−エキソヌクレアーゼ活性の欠失した
SP6DNAポリメラーゼの作製 SP6DNAポリメラーゼの3′,5′−エキソヌクレアーゼ
活性を欠失させるために、部位特異的変異処理法により
種々変異体を作製し、DNA合成活性、3′,5′−エキソ
ヌクレアーゼ活性を測定した。
すなわち、pUIQSPDNP66にコードされるSP6DNAポリメ
ラーゼ遺伝子の変異を起こす部位に、変異型のオリゴヌ
クレオチド(20〜25bp)を作製し、W.クラマー(W.Kram
er)らの方法により変異株を作製した。
これら変異株を実施例1又は2に従い、培養、酵素精
製を行い、DNA合成活性、3′,5′−エキソヌクレアー
ゼ活性を測定した。その結果を表1に示す。
表1に示す様に、SP6DNAポリメラーゼは、アミノ酸配
列番号167のヒスチジン残基を含む変異処理により、有
意な3′,5′−エキソヌクレアーゼ欠失株が得られた。
(2) (1)で得られた変異型酵素のうちpUIQSPDNP6
73を用い、ジデオキシ法による塩基配列決定を行った。
すなわち、鋳型DNA 1μgとプライマー0.5pmoleを
反応液〔20mM トリス−HCl(pH7.5)、7mM MgCl2、50m
M NaCl〕12μlに加え、65℃ 15分後、徐々に37℃に戻
した。この反応液に、0.1M DTT 1μl、dNTP混液(1.5
μM dATP、1.5μM dGTP、1.5μM TTP)2μl、3000Ci/
m mole α−32P−dCTP 1μl、pUIQSPDNP673より精製
して得られた酵素あるいは変異型T7DNAポリメラーゼで
あるシークエナーゼ(SEQUENASE、ユナイテッド・ステ
ーツ・バイオケミカル・コーポレーション製)2Uを加
え、37℃ 3分反応させた。この内、4μlずつを、表
2に示すジデオキシ混合液各2μlに混合し、更に37℃
5分反応させた。
表2 ジデオキシ混合液 dddG dddA dddT dddC dGTP 80μM 80μM 80μM 80μM dATP 80μM 80μM 80μM 80μM TTP 80μM 80μM 80μM 80μM dCTP 80μM 80μM 80μM 80μM ddGTP 8μM − − − ddATP − 8μM − − ddTTP − − 8μM − ddCTP − − − 8μM 反応後、停止液(95%ホルムアミド、0.01%ブロモフ
ェノールブルー、0.01%キシレンンシアノール)3μl
を加え、反応を停止し、95℃ 3分熱処理後、6%アク
リルアミドウレアゲルで電気泳動し,オートラジオグラ
ムをとった。
変異型SP6DNAポリメラーゼは塩基配列に適し、変異型
T7DNAポリメラーゼに認められる様なAレーンのホール
等今までの塩基配列決定に用いられるDNAポリメラーゼ
の欠点を解消する酵素であった。
〔発明の効果〕
本発明により、塩基配列決定法に従来用いられてきた
DNAポリメラーゼの欠点の改善されたDNAポリメラーゼを
供給できるようになった。
[配列表] 配列番号:1 配列の長さ:849 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: 配列番号:2 配列の長さ:2547 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類;Genomic DNA 配列:
【図面の簡単な説明】
第1図はSP6DNAポリメラーゼのアミノ酸配列及びそれを
コードする塩基配列を示す図、第2図はSP6ゲノムDNAの
HindIII制限酵素地図(A〜MはDNA断片を長さの順に表
示)及びSP6DNAポリメラーゼ遺伝子の領域を示す図、第
3図はSP6DNAポリメラーゼ発現ベクターの構築を示す工
程図、第4図はサルモネラ・ティフィムリウムのチオレ
ドキシン遺伝子領域の制限酵素地図及びチオレドキシン
遺伝子座を示す図、第5図はサルモネラ・ティフィムリ
ウムのチオレドキシン遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配
列を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:19) (72)発明者 中村 輝也 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/12 C12N 15/54 GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq SwissProt/GeneSeq BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を
    有していることを特徴とするSP6DNAポリメラーゼ。
  2. 【請求項2】請求項1記載のSP6DNAポリメラーゼをコー
    ドする遺伝子。
  3. 【請求項3】配列表の配列番号2に示す塩基配列を有し
    ていることを特徴とする請求項2記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】請求項2記載の遺伝子を導入した形質転換
    体を培養し、該培養物より請求項1記載のSP6DNAポリメ
    ラーゼを採取することを特徴とするSP6DNAポリメラーゼ
    の製造方法。
  5. 【請求項5】配列表の配列番号1において、少なくとも
    第167番目のヒスチジンに化学修飾、変換又は欠失のい
    ずれかがなされていることを特徴とする3′,5′−エキ
    ソヌクレアーゼ活性欠失型SP6DNAポリメラーゼ。
  6. 【請求項6】請求項5記載の3′,5′−エキソヌクレア
    ーゼ活性欠失型SP6DNAポリメラーゼをコードする遺伝
    子。
  7. 【請求項7】請求項6記載の遺伝子を導入した形質転換
    体を培養し、該培養物より請求項5記載の3′,5′−エ
    キソヌクレアーゼ活性欠失型SP6DNAポリメラーゼを採取
    することを特徴とする3′,5′−エキソヌクレアーゼ活
    性欠失型SP6DNAポリメラーゼの製造方法。
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