JP2906484B2 - 炭素繊維強化炭素複合材及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化炭素複合材及びその製造方法

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JP2906484B2 JP1279527A JP27952789A JP2906484B2 JP 2906484 B2 JP2906484 B2 JP 2906484B2 JP 1279527 A JP1279527 A JP 1279527A JP 27952789 A JP27952789 A JP 27952789A JP 2906484 B2 JP2906484 B2 JP 2906484B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、強度及び摩擦、摺動特性に優れた炭素繊維
強化炭素複合材及びその製造方法に関するものである。
〔従来の技術 一般に炭素繊維強化炭素複合材(以下「C/C複合材」
という。)は、PAN系、ピッチ系、あるいはレーヨン系
などの長短炭素繊維にフェノール樹脂、フラン樹脂など
の熱硬化性樹脂あるいはピッチ類などの熱可塑性樹脂等
を含浸、又は混合して加熱成形したものを非酸化性雰囲
気において600〜2500℃で焼成することにより製造され
ている。
短繊維を用いたC/C複合材を製造する方法としては、
例えば特開昭54-41295号公報あるいは特開昭57-129814
号公報にみられるように、多孔質炭素電極の製造のた
め、ミキサーで溶媒と炭素繊維とを混合した後スクリー
ンにてマット化し、加圧する方法が知られている。又特
開昭58-30537号公報にみられるように、長さの異なる炭
素繊維を混合するために溶媒と長さの異なる炭素繊維を
成形型中で超音波振動により混合する方法、又は、特開
昭62-119288号公報にみられるように、短繊維をマット
状にしたものを積層し、これに樹脂又はピッチを含浸し
て成形する方法、さらに、特開昭62-96364号公報にみら
れるように、溶媒中で叩解処理し短繊維状炭素繊維を均
一分散させた後、溶媒を除去し、ランダム方向に配向し
た炭素繊維集合体を得る方法及び特開平1-176273号公報
にみられるように底部に多数の溶媒抜出し孔を設けた成
形用型に短繊維及び溶媒を供給し、均一分散した後に溶
媒を抜き出しプリフォームとする方法が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記特開昭62-119288号公報に記載の
方法では、不織布を積層したものに含浸しているため、
シート一枚一枚には充分に樹脂又はピッチが含浸せず、
厚物のサンプルの成形は困難であり、炭素繊維同志ある
いは積層した炭素繊維層の間に大きな空孔を生じ易く、
強度的に劣ったC/C複合材となりやすい。また特開昭62-
96364及び特開平1-176273号公報に記載の方法では、厚
いプリフォームを作製する際に炭素繊維の分布のむらが
生じ易いという難点があった。さらに他の方法では繊維
の配向が擬似三次元となるため、炭素繊維の分布むら、
及び局部的な空孔が生じ易く、強度的にも不均一で摩擦
材あるいは摺動部材として用いたときにも一様な特性が
得られないとう課題があった。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者等は、かかる課題を解決するため、
短繊維を用いたC/C複合材について鋭意検討したとこ
ろ、短繊維状の炭素繊維を乾式又は湿式解繊し、二次元
ランダムに配向したシートを作製し、該シートに樹脂又
はピッチを含浸したものを複数枚積層して成形した後に
従来法に基づいてC/C複合材とすることにより、上記課
題が解決できることを知得し、本発明を完成するに到っ
た。
即ち本発明の目的は、短繊維状の炭素繊維が二次元的
に均一に分散し、局部的な空孔を有することなく、摺動
性かつ強度的にもバラツキが少なく優れた特性を持つC/
C複合材を提供するものであり、その目的は、複数の単
繊維からなる短繊維状炭素繊維を乾式又は湿式解繊し、
繊維が二次元ランダムに配向したシートを作製し、該シ
ートに樹脂又はピッチを含浸したものを、複数枚積層し
て成形した後に焼成、緻密化処理して得られる炭素繊維
強化炭素複合材により容易に達成される。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明で用いる炭
素繊維としては、ピッチ系、PAN系あるいはレーヨン系
炭素繊維等のいずれのものも使用できる。更に必要に応
じてSiC、Al2O3,カーボンブラックなどの無機繊維、無
機物などを添加してもよい。
用いられる炭素繊維の形態としては、複数の単繊維か
ら成るトウ、ストランド、ロービング、ヤーンなどの形
態であり、これらをカッティングすることにより得られ
る短繊維を用いるのが好ましい。そして、これら短繊維
は複数の単繊維の束から形成されており、本発明におい
ては、通常0.3〜100mm、好ましくは5〜50mm程度の短繊
維を使用し、C/C複合材とする際に該短繊維を解繊、分
散し、二次元ランダムのシートを作製し、マトリックス
物質をその間に充填させることが特性向上のために重要
である。
このために、本発明においては、上記短繊維の束を乾
式又は湿式解繊し、二次元ランダムのシートを作製す
る。
ここで乾式解繊し、二次元ランダムに配向したシート
の製造方法としては例えば紡績において一般的な機械的
に炭素繊維をモノフィラメント化し、シートを作製する
ランダムウェバーを使用して製造したり、またはエアー
により解繊し、シートを製造する方法などがある。
また湿式解繊し、二次元ランダムに配向したシートを
製造する方法としては、例えばパルプ等の叩解処理に通
常使用されているビーターや解繊処理に用いられるパル
パーを使用し、溶媒中で短繊維状炭素繊維を解繊後、例
えば底部にスクリーンを有する型枠等に少量ずつ供給し
たり、解繊後攪拌等の手段で均一に分散させ、金網等で
抄紙後、乾燥させて作製する方法がある。短繊維状の炭
素繊維を均一に分散させる溶媒としては、好ましくは
水、あるいはアセトン、炭素数1〜5のアルコール、ア
ントラセン油等を用いるがその他の有機溶剤を用いても
よい。又該溶媒中にフェノール樹脂、フラン樹脂あるい
はピッチ等を分散もしくは溶解させておくと、炭素繊維
同志が接着された状態となり、次工程での取り扱いをよ
り容易とするので好ましい。更に、繊維素グリコール酸
ナトリウム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシセルロ
ース等の増粘剤を溶媒中に加えておくと、その効果が更
に増大となるので好ましい。
シートの目付(1m2当りの重量)としては、種々のも
のが取り得るが、取り扱い性、含浸性、均一性を考える
と10〜500g/m2が最適である。
この様にして得られた二次元ランダムに配向したシー
トにフェノール樹脂、フラン樹脂、あるいは石油系、石
炭系ピッチ等のマトリックスを含浸させた後乾燥する。
その際、マトリックスはアルコール、アセトン、アント
ラセン油等の溶媒に溶解して適正な粘度に調整したもの
を使用する。
次いで、この乾燥したシートを積層して金型へ充填し
100〜500℃の温度で加圧成形してVf(繊維含有量)=5
〜65%、好ましくは10〜55%程度の成形体を得る。その
後、N2ガスなどの不活性ガス雰囲気中で1〜200℃/hの
昇温速度で800〜2500℃まで昇温し、焼成してC/C複合材
を得る。
上記焼成したC/C複合材を適宜、例えば次の3種のマ
トリックスを単独又は組み合わせることにより緻密化処
理を行ない、さらに強度の向上を図るのが良い。
1)樹脂又はピッチによる緻密化処理 所定温度に加熱された槽に上記C/C複合材を載置し、
槽内を真空とした後、樹脂又は溶融ピッチを供給し、焼
成により生じた空隙にマトリックスを含浸する。この後
再度800〜2500℃の温度で焼成する。上記工程を繰り返
すことにより目的のC/C複合材の緻密化処理を行う。
2)CVDによる緻密化処理 誘導加熱コイル等により反応器内に載置した上記C/C
複合材を加熱し、炭化水素類あるいはハロゲン化炭化水
素類の蒸気をH2ガス、Arガス或いはN2ガスと共に反応器
内へ供給し、生成する熱分解炭素で空隙を含浸し、緻密
化する。さらに必要に応じて黒鉛化処理を行うことがで
きる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本
発明はその要旨をこえない限り、下記実施例に限定され
るものではない。
〔実施例〕
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 10mm長に切断したフィラメント数4000のピッチ系炭素
繊維をランダムウェバーにて解繊し、二次元ランダムに
配向した目付200g/m2のシートを得た。このシートへエ
タノールで希釈したフェノール樹脂を含浸させた後乾燥
し、200g/m2の炭素繊維に対し、130g/m2のフェノール樹
脂を含浸したシートを作製した。このシートを金型内へ
積層し、250℃にて加圧成形し、Vf≒50%の成形体を得
た。この成形体を加熱炉で2000℃迄焼成した後、高周波
誘導加熱装置により、550℃に加熱し、ジクロロエチレ
ン蒸気を、窒素ガスをキャリアーガスとして反応容器内
に導入して熱分解炭素により、気孔を充填する緻密化処
理を行った。
次いで、ピッチを含浸後加熱炉で1000℃で焼成する。
さらに同様の含浸−焼成の操作を再度繰り返しその後に
2000℃の熱処理を行って気孔率13%の本発明のC/C複合
材を得た。
このC/C複合材の圧縮強度及び引張強度さらに摩擦係
数を表1に示す。
実施例2 30mm長のピッチ系炭素繊維を用い、実施例1と同様な
方法で気孔率13%のC/C複合材を得た。得られたC/C複合
材の圧縮強度及び引張強度さらに摩擦係数を表1に示
す。
〔発明の効果〕 本発明により短繊維状の炭素繊維が二次元ランダムに
均一に分散した、ブレーキ摺動等の摺動特性が優れかつ
強度的にも充分なC/C複合材を容易に得ることができ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−96364(JP,A) 特開 昭62−241871(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C04B 35/52

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の単繊維からなる短繊維状の炭素繊維
    を乾式又は湿式解繊し、繊維が二次元ランダムに配向し
    たシートを作製し、該シートに樹脂又はピッチを含浸し
    たものを、複数枚積層して成形した後に、焼成、緻密化
    処理して得られる炭素繊維強化炭素複合材。
  2. 【請求項2】複数の単繊維からなる短繊維状の炭素繊維
    を乾式又は湿式解繊し、繊維が二次元ランダムに配向し
    たシートを作製し、該シートに樹脂又はピッチを含浸し
    たものを、複数枚積層して成形した後に、焼成、緻密化
    処理することを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材の製
    造方法。
JP1279527A 1989-10-26 1989-10-26 炭素繊維強化炭素複合材及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2906484B2 (ja)

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JP5352893B2 (ja) * 2008-04-14 2013-11-27 東洋炭素株式会社 炭素繊維炭素複合成形体及び炭素繊維強化炭素複合体材料並びにその製造方法
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