JP2901231B2 - 新規なビリルビン・オキシダーゼを用いた測定法 - Google Patents

新規なビリルビン・オキシダーゼを用いた測定法

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JP2901231B2 JP8189379A JP18937996A JP2901231B2 JP 2901231 B2 JP2901231 B2 JP 2901231B2 JP 8189379 A JP8189379 A JP 8189379A JP 18937996 A JP18937996 A JP 18937996A JP 2901231 B2 JP2901231 B2 JP 2901231B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、新規なビリルビン
・オキシダーゼを用いた測定法および検体中のビリルビ
ンを消去する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ビリルビン・オキシダーゼは、ビリルビ
ンおよび酸素からビリベルジンと水を生成する反応を触
媒する酵素であり、従来より、ミロセシウム属(特開昭
60−12032号)、バチルス属(特開昭61−20
9587号)、スエヒロタケ属(特開昭59−1358
86号)、コプリナス属、トラメテス属、コリオラマ
属、フォリオタ属、プロイロタス属、レンジデス属、フ
シドプシス属(特開昭59−198971号)、ナス
科、バショウ科、ユリ科(特開昭60−78580号)
などが由来する酵素が知られている。 【0003】ビリルビンは、ヘモグロビンの分解によつ
て血中に形成される黄色物質であり、肝臓で作られる胆
汁の主色素である。血清中には抱合ビリルビン及び遊離
ビリルビンが存在し、血清中の抱合ビリルビンの増加か
ら、肝ミクロゾームにおける抱合から十二指腸までのビ
リルビン運搬系の障害をきたしたことから、また血清中
の遊離ビリルビンの増加からは、種々の原因によって生
ずる溶血性貧血等を生じたことを示し、抱合及び/又は
遊離ビリルビンを定量することは臨床的に極めて重要で
ある。さらに、被検体サンプル中のビリルビンレベルを
積極的に低下させるために、ビリルビン・オキシダーゼ
は非常に有用である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記したような従来公
知のビリルビン・オキシダーゼは、基質特異性が低く、
そのために例えば臨床化学分野で使用するには問題があ
った。即ち、上記した公知の微生物由来のビリルビン・
オキシダーゼは、全てビリベルジンにも基質特異性を有
しており、ビリルビンの分析には適していなかった。ま
た、植物由来の酵素は、原料に季節的な要因をはじめと
する種々の制約があり、工業的には有利とは言えない
し、その基質特異性についてもナス科のものは、ビリベ
ルジン、ヘモグロビンには作用しないことを示してい
る、と述べられているが、その他の基質については何も
開示されておらない。このように、公知のビリルビン・
オキシダーゼは、テトラピロール構造を持つ物質あるい
はフエノール系物質に作用するため、臨床検査分野にお
ける血液生化学検査に用いる場合、夾雑する他の組成物
に大きく影響されるという欠点があった。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、これら従
来公知における酵素の欠点のないビリルビン・オキシダ
ーゼにつき、種々の研究をした結果、静岡県駿東郡長泉
町の土壌より分離した不完全菌でペニシリウム属に属す
る菌株M5613株が、ビリルビンおよび酸素からビリ
ルビンと水を生ずる反応を触媒するビリルビン・オキシ
ダーゼを産生し、かつこのビリルビン・オキシダーゼが
ビリルビンに基質特異性を示し、ビリベルジン、カテコ
ールおよびヘミン等には、基質特異性を示さないという
優れた特性を有する酵素であることを見出した。 【0006】本発明は、上記知見に基づいて完成された
ものであって、ビリルビンに基質特異性を有し、少なく
とも、ビリベルジン、カテコールおよびヘミンに基質特
異性を有さず、2分子のビリルビンおよび1分子の酸素
から、2分子のビリベルジンと2分子の水を生ずる酵素
反応を触媒するビリルビン・オキシダーゼの使用法に関
するものである。即ち、本発明は、被検体に、ビリルビ
ンに基質特異性を有し、少なくとも、ビリベルジン、カ
テコールおよびヘミンに基質特異性を有さず、2分子の
ビリルビンおよび1分子の酸素から2分子のビリベルジ
ンと2分子の水を生ずる酵素反応を触媒するペニシリウ
ム属に属する該ビリルビン・オキシダーゼ生産菌を培養
して得ることのできるビリルビン・オキシダーゼを作用
せしめ、被検体中のビリルビンを、ビルベルジンに変換
し、生成するビリベルジンの量または消費される酸素の
量を測定してなる被検体中のビリルビン量の測定法に関
するものである。更に本発明は、検体に、ビリルビンに
基質特異性を有し、少なくとも、ビリベルジン、カテコ
ールおよびヘミンに基質特異性を有さず、2分子のビリ
ルビンおよび1分子の酸素から2分子のビリベルジンと
2分子の水を生ずる酵素反応を触媒するペニシリウム属
に属する該ビリルビン・オキシダーゼ生産菌を培養して
得ることのできるビリルビン・オキシダーゼを作用せし
め、検体中のビリルビンを消去する方法に関するもので
ある。 【0007】本発明の新規なビリルビン・オキシダーゼ
生産菌の分類学的性状は以下の通りである。 I.各培地における生育状態 1.ツァベック寒天培地(Cz) 25℃の場合、生育は普通で、7日間で直径36〜40
mm。菌叢は平坦で綿毛状。淡黄色〔pale yel
low(Methuen 3A3)〕。浸出液は出さな
いか、出しても僅かで無色。拡散性色素は出さない。裏
面は灰黄色〔greyish yellow(4C
5)〕。 【0008】2.酵母エキス添加ツァベック寒天培地
(CYA) 25℃の場合、生育は速く、7日間で直径45〜49m
m。菌叢やや厚く綿毛状。放射状に4〜5条の皺を持
ち、淡赤色〔pale red(9A3)〕−緑灰色
〔greenish grey(27A3)〕が混合し
た状態。周辺部は全緑。浸出液は大粒で淡赤色〔pal
e red(9A3)〕。拡散性色素は淡赤色〔pal
e red(9A3)〕。裏面は紫褐色〔violet
brown(11E8)〕。 【0009】3.麦芽汁寒天培地(HA) 25℃の場合、生育は速く、7日間で直径48〜51m
m。菌叢は平坦で綿毛状。灰緑色〔greyish g
reen(29C3)〕。周辺部は全緑。浸出液および
拡散性色素は出さない。裏面はオリーブ褐色〔oliv
e brown(4D7)〕。 【0010】II. 生理的諸性状 生育し得るpH 1.5〜10.5 最適pH 3.5〜8.5 生育し得る温度 17〜37℃ 最適生育温度 28〜34℃ 【0011】III.顕微鏡下における形態的特徴 有性世代は認められず、分生子により増殖。分生子柄
は、気中菌糸ないし気中菌糸から生じ、比較的長く、1
00〜250×2.0〜2.8μm、壁は滑面ないし僅
かに粗面。分生子形成様式はフィアロフォラ型。ペニシ
リンは単輪生ないし散開型。メトレは広角度に散開、1
1〜15×2.5〜2.8μm、2〜3本輪生、滑面な
いし僅かに粗面。フィアリドはトックリ型、7〜10×
2〜2.5μm、4〜7本輪生、分生子は亜球形ないし
楕円形で僅かに洋梨型が混在、2.3〜3.0×2.0
〜2.5μm、滑面ないし僅かに粗面。 【0012】外生的な分生子を形成することから、M5
613株は不完全菌に属する。分生子形成様式はフィア
ロフォラ型で、フィアリドの先端から分生子を形成する
ことからペニシリウム(Penicillium)属に
属する。そこで、”Thegenus penicil
lium”Academic press.Londo
n p434(1979)および”A manual
of the penicillia”The wil
liams and Wilkins,Baltimo
re,p875(1949)を参照とし、さらに、ペニ
シリウムは単輪生ないし散開状、各培地での生育が速
く、CYAにおいて裏面が著しく紫褐色となる等の特色
から、ペニシリウム・ジャンシネラム(Penicil
liumjanthinellum)およびペニシリウ
ム・シンプリシシウム(Penicillium si
mplicissiumu)が挙げられるが、ペニシリ
ウム・シンプリシシウムは、分生子柄が400〜800
μmと長い、分生子柄の壁が粗面、裏面が紫褐色とはな
らない等から区別でき、M5613株は、ペニシリウム
・ジャンシネラム(P.janthinellum)と
同定された。尚、各培地における生育状態の色の表示は
Kornerup.A.and J.H.Wansch
er.1978.Methuen handbook
ofcolour.3rd ed.Eyre Meth
uen,Londonの表示法に従った。 【0013】なお、本菌株は工業技術院微生物生命工学
技術研究所にペニシリウム ジャンシネラムM5613
(Penicillium janthinellum
M5613)微工研菌第9167号(FERM P−
9167)として寄託されている。そして、本菌株はブ
タペスト条約に基づく寄託に移管され、微工研条寄第1
674号(FERM BP−1674)として寄託され
ている。 【0014】本発明のビリルビン・オキシダーゼを生産
するに当たっては、このビリルビン・オキシダーゼ生産
菌を酵素などを生産する通常の方法で培養する。培養の
形態は、液体培養でも固体培養でもよいが、工業的には
ビリルビン・オキシダーゼ生産菌の細胞をその生産用培
地に接種し、深部通気攪拌培養を行うのが有利である。
ビリルビン・オキシダーゼを培養するための培地組成
は、微生物とくにペニシリウムの培養に通常用いられる
ものが広く使用される。 【0015】窒素源として利用可能な窒素化合物であれ
ばよく、例えばコーン・スチープ・リカー、ペプトン、
カゼイン、大豆粉、酵母エキス、種々の肉エキスなどが
使用される。炭素源としては資化可能な炭素化合物であ
ればよく、例えば糖密、グルコース、シュクロース、デ
キストリンなどが使用される。その他馬鈴薯エキスも好
適な培地成分であり、また食塩、塩化カリウム、硫酸マ
グネシウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム
等の種々の無機塩が必要に応じて使用される。培養温度
は菌が発育し、ビリルビン・オキシダーゼを生産する範
囲内で適宜変更し得るが、20〜37℃、好ましくは2
5〜30℃、特に28℃である。培養時間は、条件によ
つて多少異なるが、通常2〜8日、特に4日程度であ
る。しかしながら、ビリルビン・オキシダーゼが最高力
価に達する時期をみはからって適当な時期に培養を終了
するのは当然のことである。 【0016】培養終了後、該培養物より本酵素を採取す
るには通常の酵素採取手段を用いることができる。な
お、本酵素は、菌体内および培養液相の両方に存在する
が、採取効率等の問題により、通常は、該培養物より菌
体を分別除去した培養液相より得るが、菌体内より酵素
を採取する通常の手段を用いて酵素を採取、培養液相よ
り得たものと合わせて用いてもよい。このようにして得
られた粗酵素液は、さらに公知の蛋白質、酵素などの単
離、精製手段を用いて精製し、精製されたビリルビン・
オキシダーゼが得られる。例えば、粗製のビリルビン・
オキシダーゼ含有液に、アセトン、メタノールなどの有
機溶媒による分別沈澱法、硫安、食塩、硫酸アルミニウ
ムなどによる塩析法などを用い溶液から酵素を沈澱せし
め、粗酵素を回収すればよい。 【0017】次いで、さらに必要に応じて精製するにあ
たって、この沈澱物を、トリス−塩酸緩衝液などの溶媒
に溶解し、これをカルボキシメチル−セルロース、カル
ボキシメチル−デキストランゲル、スルホプロピル−デ
キストランゲルなどのイオン交換樹脂やデキストランゲ
ルやポリアクリルアマイドゲルなどのゲル濾過剤による
吸着クロマトグラフイーを適宜組み合わせて行って精製
し、次いでこれを凍結乾燥等の手法を用い乾燥し、精製
ビリルビン・オキシダーゼを得る。このようにして得ら
れたビリルビン・オキシダーゼの理化学的性質は以下に
述べる通りである。 【0018】(1)活性測定法 基質溶液の調製:非抱合非結合型ビリルビン(和光純薬
社製)6mgを100mlビーカーに取り、5N Na
OH溶液0.5mlで湿らせ、1Mトリス−塩酸緩衝液
10mlを添加して良く混合し、水70mlを加えてp
Hを8.4に調製後、100mlにメスアップする。 【0019】酵素溶液の調整:後述の実施例に基づき得
られたビリルビン・オキシダーゼ凍結乾燥品50mgを
正確に秤り取り、蒸留水65mlで溶解し、37℃に調
整した。 活性測定:基質溶液3mlを小試験管に取り37℃、水
浴中に2分間静置した後、酵素溶液0.1ml添加し、
反応を開始した。次に、正確に10分間、37℃で反応
した後に680nmにおける吸光度を分光光度計を用い
て測定した(A1 )、酵素溶液0.1mlの代わりに水
0.1mlを添加したものを対照として測定した
(A2 )。 【0020】ビリルビン・オキシダーゼ活性(U/m
l) 11.9*1 :ビリベルジン2塩酸塩(シグマ社製、l
ot.43F−8020)8.3mgを1Mトリス−塩
酸緩衝液10mlで溶解し、水70mlを添加して5N
NaOH溶液を用いてpHを8.4に調整し、100
mlにメスアップした。これを0.1Mトリス−塩酸緩
衝液(pH8.4)を用いて2、5、10倍に希釈し、
750〜350nmの全吸収を分光度計(島津製作所社
製、UV−210A)を用いて測定した。図5に示した
ように、2倍に希釈したビリベルジン溶液の680nm
の吸光度は0.73、5倍に希釈したものは0.3、1
0倍に希釈したものは0.155の値を示した。これら
の結果からビリベルジンの1mM溶液の680nmにお
ける吸光度を11.9とした。 【0021】(2)基質特異性:酸素電極計を用いて各
基質に対する特異性を酸素消費速度から検討した。この
時、基質溶液には0.1mMになるようにHgCl2
添加した。基質は、0.1mM、酵素は前述の活性測定
に用いた酵素液0.1mlを用いて行った結果、表1に
示す通り、ビリルビン以外の基質は反応を示さなかっ
た。それ故、本発明のビリルビン・オキシダーゼはビリ
ルビンに特異性が非常に高い。 【0022】 【表1】 【0023】(3)酵素作用:次の反応を触媒する。 ビリルビン + 1/2O2 → ビリベルジン +
2 O 【0024】(4)熱安定性:0.2Mリン酸カリウム
塩緩衝液(pH6.5)0.5mlに前述の酵素溶液
0.5mlを添加したものを40〜80℃各温度で30
分間づつ加熱し、活性測定法に基づいて残存活性を測定
した。その結果は、図1に示す通り50℃まで安定であ
った。 【0025】(5)至適温度:活性測定法における基質
溶液を用いて40〜70℃の各温度における本発明のビ
リルビン・オキシダーゼの活性を測定した結果は、図2
に示す通りで、至適温度は55〜60℃であった。 【0026】(6)pH安定性:前述の酵素溶液0.5
mlに0.2Mの各pH緩衝液を0.5mlづつ添加
し、70℃で30分間加温した後、この反応液を0.1
mlを活性測定法に基づいて残存活性を測定し、pHの
影響をしらべた。その結果は、図3に示す通りであり、
〔図中:緩衝液として酢酸緩衝液(pH4〜6)●−
●、リン酸カリウム塩緩衝液(pH6〜7)△−△、ト
リス−塩酸緩衝液(pH7〜8)○−○を示す〕、本発
明のビリルビン・オキシダーゼのpH安定性はpH4.
0〜4.5付近と認められた。 【0027】(7)至適pH:活性測定法で作成した基
質溶液を5N HClあるいは5N NaOHを用いて
pH7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10に
調整し、これを用いて至適pHの測定を行った。ただ
し、pHの変動によってビリベルジンの吸光度が変化し
ないと仮定した。その結果は、図4に示す通りで、pH
8.5〜9.0に至適pHを有していた。 【0028】(8)阻害および活性化:活性測定法に基
づいて基質溶液に金属イオン、EDTA、界面活性剤を
それぞれ1mM、1mMおよび0.05%添加し、ビリ
ルビン・オキシダーゼの活性を測定して、無添加時の活
性を100としたときの相対活性を求めた。その結果
は、表2に示す通りであって、水銀イオン、鉛イオン、
セチルトリメチルアンモニウムクロライドで著しく活性
化され、銅イオン、コバルトイオンで著しく阻害され
た。 【0029】(9)分子量:500,000±50,0
00(セフアデックスG−200によるゲル濾過法によ
る。分子量マーカ;カタラーゼ、フエリチン及びチログ
ロブリンを使用)。 (10)等電点:焦点電気泳動装置により測定した結果
は、pH4.7±0.5に等電点を有する。 【0030】 【表2】1 ;セチルトリメチルアンモニウムクロリド *2 ;セチルトリメチルアンモニウムブロミド 【0031】(11)Km値:ビリルビン標品(和光純
薬社製)を2、4、6、8、10、15、20mgと
り、活性測定法の基質溶液の調整に基づいて溶解し、前
述の活性測定に用いた酵素溶液0.1mlを用いてKm
値を測定した結果、本測定条件下でビリルビンに対する
Km値は、1.1×10-4Mであった。 以上の諸性質を公知のビリルビン・オキシダーゼと比較
すると、いずれの酵素とも異なることが判る。 【0032】本発明のビリルビン・オキシダーゼを用い
て被検体中のビリルビン量を測定するには、公知のビリ
ルビン測定法が適応可能である。即ち被検体試料中のビ
リルビンを本発明のビリルビン・オキシダーゼの作用に
よりビリルベルジンに変換せしめ、生成するビリベルジ
ン量または反応において消費される酸素量を測定するこ
とによつて、被検体中のビリルビン量を測定することが
きる。 【0033】検体中のビリルビンの濃度を測定する場合
において、用いられる本発明ビリルビン・オキシダーゼ
の量は、ビリルビン・オキシダーゼ活性として、0.0
1〜10単位であるが、測定時間に応じて適宜調節すれ
ばよく、ドデシル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウ
ム、フェリシアン化カリウム等の反応促進物質およびそ
の他緩衝液、酵素の安定化剤などは、必要に応じて加え
ればよい。 【0034】また、検体中の抱合型ビリルビンおよび非
抱合型ビリルビンを分別測定する場合においても公知の
方法に、本発明ビリルビン・オキシダーゼを適用すれば
よく、例えば抱合型ビリルビンはpH6未満で分析を行
うことによつて検出でき、総ビルリビン量は、pH6〜
10で分析を行うことができ、非抱合型ビリルビンは、
総ビリルビン量から抱合型ビリルビン量を減じることに
よつて求められる。 【0035】さらに、本発明ビリルビン・オキシダーゼ
を適宜添加することにより、臨床診断における検体中の
ビリルビン以外の他の物質を測定する系、たとえばグル
コース測定において、グルコース・オキシダーゼ−パー
オキシダーゼを用いる系、コレステロール測定におい
て、コステロール・オキシダーゼ−パーオキシダーゼを
用いる系等において、測定物質であるビリルビンを消去
することができる。 【0036】以下に本発明の実施例および参考例を挙げ
る。ただし、本発明はこれら実施例および参考例に限定
されるものでないことはいうまでもない。 参考例 1 馬鈴薯の皮むき薄切り200gに蒸留水1リットルを添
加し、1時間煮沸後、布で濾過した上清にブドウ糖20
g、酵母エキス1.5g、KH2 PO4 2.0g、Mg
SO4 ・7H2 O 0.5gを添加し、溶解後蒸留水を
加え1リットルにした。本培養液100mlを500m
l三角フラスコに分注し、121℃、20分間加熱滅菌
した。これにペニシリウム・ジャンシネラム M561
3(FERM BP−1674)の保存寒天斜面培地よ
り1白金耳を接種し、28℃にて4日間振とう培養し
た。 【0037】培養液10mlを20分間、3℃、15K
Hzの音波処理を行い菌体を破壊した。これを5回繰り
返し行い50mlの粗酵素液を得た(20u)。これを
20分間、5℃、15,000r.p.m.で遠心分離
した上清を1N塩酸を用いてpH5.0に調整し、20
分間、5℃、15,000r.p.m.で遠心分離し
た。この沈澱を20mMリン酸カリウム塩緩衝液(pH
6.5)50mlで溶解し、20分間、15,000
r.p.m.で遠心分離し、上清を得た(11.3
u)。この5mlを20mMリン酸カリウム塩緩衝液
(pH6.5)で緩衝化したセファデックスG−100
(2.8×60cm)カラムを用いてゲル濾過を行っ
た。これを10回繰り返し、50mlの酵素溶液を得た
(7.2u)。これに100mgのサッカロースを添加
し、常法に基づいて凍結乾燥し、0.018u/mgの
凍結乾燥品を320mg得た。 【0038】実施例 1 前記活性測定法・基質溶液の調製に従って作成した基質
溶液3mlを、3ml容石英セルに取り、10mM H
gCl2 を30μl添加した。これに実施例1により得
たビリルビン・オキシダーゼ凍結乾燥品を50mg正確
に秤り取り、蒸留水6.5mlで溶解したビリルビン・
オキシダーゼ溶液を50μl、及び100μl添加し、
分光光度計(島津製作所社製、UV−210A)にセッ
トし、37℃で680nmにおける吸光度の経時変化を
チャートに描いた(図6)。図6から明らかなように、
50μlの酵素液を使用すると6分でビリルビン・オキ
シダーゼの反応は終了し、100μlの酵素液を使用す
ると、3.5分で反応は終了した。これから本条件下で
は短時間でビリルビンの測定を、ビリベルジンの生成を
測定することで可能となり、またビリルビンの消去も基
質特異性が高いことから他の粗製物に影響を及ぼしにく
い条件で可能となった。 【0039】実施例 2 人血清を0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、
0.6、0.7mlそれぞれ分取し、ここに0.1Mト
リス−塩酸緩衝液を加えて3mlとし、本発明ビリルビ
ン・オキシダーゼ0.1Uを添加し、37℃、30分間
インキュベートし、その反応液について分光光度計(島
津製作所社製、UV−210A)にセットし、37℃で
680nmにおける吸光度を測定した。その結果を図7
に示すが、種々の割合に希釈した血清溶液において極め
て良好な直線性が得られた。 【0040】実施例 3 検量線の作成 (1)試液の調整: 緩衝液 :0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.
4) 酵素反応液:0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.
4)に本発明ビリルビン・オキシダーゼを0.1U/テ
ストの割合で添加して調整した。 (2)標準ビリルビン溶液の調整:非抱合型非結合型ビ
リルビン(和光純薬社製)5.9mgを正確に秤り取
り、5N NaOH溶液0.5mlで湿らせ、1Mトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.4)10mlで溶かした後、
100mlにメスアップしたものを、100μMビリル
ビン溶液とし、これを0.1Mトリス−塩酸緩衝液(p
H8.4)で希釈して、2、4、6、8、10、14μ
Mの標準ビリルビン溶液を調整した。 【0041】(3)上記の標準ビリルビン溶液をそれぞ
れ3mlづつに、上記酵素反応液を添加し、37℃、3
0分間インキュベートし、その反応液について、分光光
度計(島津製作所社製、UV−210A)にセットし、
37℃で680nmにける吸光度を測定した。その結果
を図8に示すが、極めて良好な直線性を示した。 【0042】 【発明の効果】本発明のビリルビン・オキシダーゼはビ
リルビンに基質特異性を有し、肝疾患の診断に有利であ
り、また、臨床診断における検体中のビリルビンが他の
物質の測定における阻害となる場合において、ビリルビ
ンの消去に有用であり、更に活性も非常に高いので屎尿
処理水の脱色への利用が期待される。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のビリルビン・オキシダーゼの熱安定性
を示すものである。 【図2】本発明のビリルビン・オキシダーゼの至適温度
を示すものである。 【図3】本発明のビリルビン・オキシダーゼのpH安定
性を示すものである。 【図4】本発明のビリルビン・オキシダーゼの至適pH
を示すものである。 【図5】ビリベルジンの吸収曲線を示すものである。 【図6】本発明のビリルビン・オキシダーゼの反応経過
を示すものである。 【図7】本発明の酵素を用いて血液試料量と活性の相関
図を示すものである。 【図8】ビリルビンの検量線である。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.被検体に、ビリルビンに基質特異性を有し、少なく
    とも、ビリベルジン、カテコールおよびヘミンに基質特
    異性を有さず、2分子のビリルビンおよび1分子の酸素
    から2分子のビリベルジンと2分子の水を生ずる酵素反
    応を触媒するペニシリウム属に属する該ビリルビン・オ
    キシダーゼ生産菌を培養して得ることのできるビリルビ
    ン・オキシダーゼを作用せしめ、被検体中のビリルビン
    を、ビルベルジンに変換し、生成するビリベルジンの量
    または消費される酸素の量を測定してなる被検体中のビ
    リルビン量の測定法。 2.検体に、ビリルビンに基質特異性を有し、少なくと
    も、ビリベルジン、カテコールおよびヘミンに基質特異
    性を有さず、2分子のビリルビンおよび1分子の酸素か
    ら2分子のビリベルジンと2分子の水を生ずる酵素反応
    を触媒するペニシリウム属に属する該ビリルビン・オキ
    シダーゼ生産菌を培養して得ることのできるビリルビン
    ・オキシダーゼを作用せしめ、検体中のビリルビンを消
    去する方法。
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