JP2898447B2 - 電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼板 - Google Patents

電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼板

Info

Publication number
JP2898447B2
JP2898447B2 JP3219294A JP21929491A JP2898447B2 JP 2898447 B2 JP2898447 B2 JP 2898447B2 JP 3219294 A JP3219294 A JP 3219294A JP 21929491 A JP21929491 A JP 21929491A JP 2898447 B2 JP2898447 B2 JP 2898447B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron beam
less
toughness
beam welding
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3219294A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0539543A (ja
Inventor
幸男 冨田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP3219294A priority Critical patent/JP2898447B2/ja
Publication of JPH0539543A publication Critical patent/JPH0539543A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2898447B2 publication Critical patent/JP2898447B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Welding Or Cutting Using Electron Beams (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子ビーム溶接特性の優
れた圧力容器用鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ボイラー・圧力容器設備の安全性、特に
水圧試験時の安全性に関して十分な配慮がなされ、圧力
容器用鋼板に対しても一定の靱性が必要とされる。その
要求は当然構造物の一部を構成する溶接部に対してもな
される。従来の圧力容器用鋼板の溶接は潜孤溶接(SA
W)が主体である。これらの溶接では板厚が厚くなるに
従って加速度的に積層数が増加していく。たとえば、板
厚100mmの材料では狭開先の施工をしてもSAW溶
接では20パス以上の積層が必要となってくる。それに
伴う施工時間は膨大なものとなる。これらの溶接施工効
率の向上と靱性要求に答えるために、電子ビーム溶接の
適用が考えられるようになってきた。電子ビーム溶接は
従来のアーク溶接(SAW溶接)と比べて、板厚50m
mを超える範囲でコスト的に有利な領域となり、板厚が
厚くなるほどその効果は大きくなる。ただ、電子ビーム
溶接は従来の溶接法と異なって、鋼板そのものを溶融さ
せ接合するものであるため、鋼板の製造に当たってはこ
の溶接部、特に靱性を考慮した成分設計を行う必要があ
る。これまで、圧力容器用鋼板に関する公知文献として
は、特開平2−77557号、特開平2−77561
号、特開平2−77562号及び特開平2−27774
3号公報があるが、さらに一層電子ビーム溶接部靱性の
優れた圧力容器用鋼板が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は以上の
点を鑑みなされたもので、電子ビーム溶接による溶接を
行っても溶接部の低温靱性の良好な電子ビーム溶接特性
の優れた圧力容器用鋼板を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は重量%で、C:
0.13%以上0.16%未満、Si:0.05〜0.
30%、Mn:0.6%以上1.30%未満、P:0.
005%以下、S:0.010%以下、Al:0.00
4%以下、N:0.004〜0.008%、残部Fe、
及び不可避的不純物からなることを特徴とする電子ビー
ム溶接特性の優れた圧力容器用鋼板、及び重量%で、
C:0.13%以上0.16%未満、Si:0.05〜
0.30%、Mn:0.6%以上1.30%未満、P:
0.005%以下、S:0.010%以下、Al:0.
004%以下、N:0.004〜0.008%を基本成
分とし、さらに、Cu≦2.0%、Ni≦4.0%、C
r≦1.0%、Mo≦1.0%、Nb≦0.1%、V≦
0.1%からなる強度改善元素群のうちの1種または2
種以上を含有させ、残部Fe、及び不可避的不純物から
なることを特徴とする電子ビーム溶接特性の優れた圧力
容器用鋼板である。
【0005】
【作用】電子ビーム溶接は従来の溶接法のように溶接部
に別の材料を供給し、溶接部の特性向上を図るのではな
く、鋼板そのものを溶融させ溶接するものである。その
ため、鋼板製造にあたって細粒化などの方法により高靱
性を有する鋼板に調整させるが、これが高温で溶融され
るため靱性の低いものとなってしまう。特開平2−77
557号、特開平2−77561号、特開平2−775
62号及び特開平2−277743号公報で示されてい
る知見は、電子ビーム溶接部の粒内、粒界に析出する粗
大な炭化物、窒化物が電子ビーム溶接部の靱性を低下さ
せるというものである。発明者らは、ここにおいて、電
子ビーム溶接部でさらに良好な靱性を有する鋼材を開発
すべく種々検討した結果、Alを無添加にすることによ
り、電子ビーム溶接部に初析フェライトが析出しやすく
なる。さらに、この初析フェライトが析出サイトとなっ
て、次々にフェライトが析出する。これらの微細なフェ
ライトの析出により、シャルピー破面上の有効結晶粒が
微細化し、大幅に靱性が向上することを知見した。さら
に、靱性の低いものでは、溶接部の靱性を評価するシャ
ルピー試験の破壊の起点付近に凝固偏析に沿ったマイク
ロクラックが発生する。これが靱性を大幅に低下する。
つまり、電子ビーム溶接部の靱性向上のためには、マイ
クロクラックをなくすことが重要で、このためには、凝
固偏析軽減が必要であることを見出したものである。こ
の電子ビーム溶接部の凝固偏析を軽減するためには、M
n,P,Nの含有量をある範囲に収めること、つまり、
これらの効果の重畳作用により著しく電子ビーム溶接部
の靱性が向上することを知見したものである。
【0006】図1(A)〜図1(C)に示すように、M
n量を0.60%以上1.30%未満、P量を0.00
5%以下、N量を40以上80ppm以下の範囲に入れ
ることによりvE_30≧5kgf・mの良靱性が得られ
る。以下に成分の限定理由を述べる。Cは靱性に対して
有害な元素であり、先に述べたように0.16%以上に
なると母材靱性が低下するため0.16%未満とする。
しかし、0.13%未満では強度を確保することが困難
となる。Siは低温靱性、溶接性を低下させる元素なの
で、極力低減させ0.30%を上限とする。しかし、脱
酸上0.05%は必要である。MnはPとの重畳作用に
より、凝固偏析によるマイクロクラックを発生させるた
め、1.30%未満とする。しかし、0.6%未満では
強度を確保することが困難となるため、0.6%を下限
とした。Pは先に述べたように、Mn,Nとの重畳作用
により凝固偏析によるマイクロクラックを発生させるた
め、0.005%以下に低減することが必要である。S
は靱性に有害な元素であり、0.010%以下に限定す
る。Alは電子ビーム溶接部靱性向上のために、重要な
元素で無添加にすることにより、初析フェライトとそれ
よりフェライトを次々に析出させるため、靱性が大幅に
向上する。0.004%を超えて添加するとこの効果が
減少するため、上限を0.004%とする。Cu,N
i,Cr,Mo,Nb及びVは鋼の強度を上昇させると
いう均等的作用を持つもので、必要に応じて1種または
2種以上含有させるが、それぞれCu:2.0%、N
i:4.0%、Cr:1.0%、Mo:1.0%、N
b:0.1%及びV:0.1%の含有上限値を超えて含
有させても、その作用効果が飽和したり、コスト上昇を
招き、経済的でないため、上記の強度改善元素群のそれ
ぞれの成分の含有量を上記の通り定めた。この鋼を溶製
するにあたっては電気炉、転炉のいづれを用いてもよ
い。鋼板とするにあたっては、鍛造、圧延のいづれを用
いてもよい。また鋼板の熱処理は圧延まま、焼きなら
し、焼きならし−焼戻し、あるいは厚手材の場合は加速
冷却を使用することも可能である。
【0007】
【実施例】表1に示す化学成分のうち1〜5は本発明鋼
で、6〜14は比較鋼である。鋼の溶製は転炉により行
ない、常法によりスラブとしたのち、表1に示す板厚に
厚板圧延した。鋼板の熱処理条件は、焼準:910℃空
冷である。表1にこれらの鋼の母材の引張試験、シャル
ピー衝撃試験及び電子ビーム溶接部のシャルピー衝撃試
験を示す。但し、電子ビーム溶接条件は電圧150k
V、電流180mA、速度20cm/min.である。
電子ビーム溶接部のシャルピー試験のノッチ位置は溶接
金属中央である。
【0008】
【表1A】
【0009】
【表1B】
【0010】本発明の鋼1〜5はMn,PとN量を適切
な範囲に入れることにより、それらの重畳効果により良
好な電子ビーム溶接部の低温靱性を有している。母材靱
性も良好である。次に、鋼6はCが高く、母材そして、
特に電子ビーム溶接部の靱性が低い。鋼7はCが低く母
材強度が低い。鋼8,9はPが高く、鋼10はNが高
く、電子ビーム溶接部の靱性が低い。鋼11はSiが高
く、母材、電子ビーム溶接部とも靱性が低い。鋼12は
Mnが低く、鋼13はSが高く、鋼14はAlが高く、
それぞれ電子ビーム溶接部の靱性が低い。
【0011】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によればM
n,PとNの適切な範囲への成分限定することにより、
溶接部の凝固偏析の軽減が図られ、電子ビーム溶接部の
靱性の高い圧力容器用鋼板を経済的に提供するものであ
り、産業上多大な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子ビーム溶接部のシャルピー衝撃試験値に及
ぼすMn量、P量とN量の影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/06 C22C 38/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.13%以上0.16%未満 Si :0.05〜0.30% Mn :0.6%以上1.30%未満 P :0.005%以下 S :0.010%以下 Al :0.004%以下 N :0.004〜0.008% 残部Fe、及び不可避的不純物からなることを特徴とす
    る電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.13%以上0.16%未満 Si :0.05〜0.30% Mn :0.6%以上1.30%未満 P :0.005%以下 S :0.010%以下 Al :0.004%以下 N :0.004〜0.008% を基本成分とし、さらに、 Cu ≦2.0% Ni ≦4.0% Cr ≦1.0% Mo ≦1.0% Nb ≦0.1% V ≦0.1% からなる強度改善元素群のうちの1種または2種以上を
    含有し、残部Fe、及び不可避的不純物からなることを
    特徴とする電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼
    板。
JP3219294A 1991-08-06 1991-08-06 電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼板 Expired - Lifetime JP2898447B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3219294A JP2898447B2 (ja) 1991-08-06 1991-08-06 電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3219294A JP2898447B2 (ja) 1991-08-06 1991-08-06 電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0539543A JPH0539543A (ja) 1993-02-19
JP2898447B2 true JP2898447B2 (ja) 1999-06-02

Family

ID=16733246

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3219294A Expired - Lifetime JP2898447B2 (ja) 1991-08-06 1991-08-06 電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2898447B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2918829B2 (ja) * 1995-11-30 1999-07-12 本田技研工業株式会社 燃料タンクの製造方法、レーザ溶接体及び燃料タンク
JP4739978B2 (ja) * 2006-02-20 2011-08-03 新日本製鐵株式会社 熱処理簡略型高強度低合金ボイラ用鋼管およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0539543A (ja) 1993-02-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005320624A (ja) 大入熱溶接による溶接熱影響部の低温靭性に優れた厚手高強度鋼板
JPH09157787A (ja) 超大入熱溶接熱影響部の靱性に優れた溶接用高張力鋼
JPH0642979B2 (ja) チタン酸化物を含有する溶接・低温用高張力鋼の製造法
KR100709521B1 (ko) 대입열용접의 용접이음매 및 그 용접방법
JP4276576B2 (ja) 大入熱溶接熱影響部靭性に優れた厚手高強度鋼板
JP2001001181A (ja) ガスシールドアーク溶接用ワイヤ
JP2898447B2 (ja) 電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼板
JP3464567B2 (ja) 溶接熱影響部靱性の優れた溶接構造用鋼材
JP3407668B2 (ja) レーザ溶接性に優れた造船用鋼板
JP2703162B2 (ja) 電子ビーム溶接部の靱性に優れた溶接構造用厚鋼板およびその製造方法
JP2889022B2 (ja) 電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器用鋼
JP2891805B2 (ja) 電子ビーム溶接特性の優れた構造用鋼材
JP4192576B2 (ja) マルテンサイト系ステンレス鋼板
JPWO2020036090A1 (ja) 鋼板およびその製造方法
JP3502805B2 (ja) 溶接継手部靭性の優れた鋼材の製造方法
JP3464566B2 (ja) 溶接熱影響部靱性の優れた低温用鋼材
JP3975882B2 (ja) 溶接部の加工性並びに靭性に優れた高耐食性低強度ステンレス鋼とその溶接継手
JP2803839B2 (ja) 電子ビーム溶接特性の優れた圧力容器鋼板
JP7272471B2 (ja) 鋼板
JPH0543977A (ja) 溶接用低温高靱性鋼の製造方法
JPH0534415B2 (ja)
JP3933020B2 (ja) すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性及び靱性に優れたステンレス鋼
JP3616609B2 (ja) 溶接熱影響部靭性の優れた鋼材
JPH0539539A (ja) 電子ビーム溶接特性の優れた構造用鋼板
JPH0539541A (ja) 電子ビーム溶接部靱性の優れた圧力容器用鋼

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19990302