JP2894695B2 - 希土類金属−鉄族金属ターゲットおよびその製造方法 - Google Patents

希土類金属−鉄族金属ターゲットおよびその製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光磁気記録媒体として用いられる希土類金
属−鉄族金属ターゲットおよびその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
最近、ガラスあるいは樹脂基板上にスパッタリング法
を用いて所望組成の希土類金属−鉄族金属系の薄膜を形
成し、これを記録媒体として用いた書き換え可能で高密
度記録が可能な光磁気ディスクの開発が行なわれてい
る。
このスパッタリングに用いられるターゲットの製造方
法としては、従来以下のようなものが提案されていた。
(1)所望組成の希土類金属−鉄族金属合金を真空中ま
たは不活性ガス雰囲気中で溶解した後、同じく真空中あ
るいは不活性ガス中所定の形状に鋳造してターゲットを
製造する方法(日経ニューマテリアル1986年11月24日号
P61)。
(2)所望組成の合金を真空中または、不活性ガス雰囲
気中で、溶解、鋳造してインゴットを作成し、このイン
ゴットを粉砕して得られた粉末を加圧焼結する方法(特
開昭61−91336号)。
(3)希土類金属粉末と鉄族金属粉末を所望組成に混合
し、この混合粉末を液相発現温度未満の温度範囲で加圧
焼結する方法(特開昭61−99640号)。
(4)目標成分よりも鉄族金属量が少ない鉄族金属−希
土類金属粉末を溶解・粉砕法により製造し、前記合金粉
末と鉄族金属粉末とを所望組成に混合した後、成形し、
焼結する方法(特開昭60−230903号)。
しかしながら、前記(1)の製造方法でターゲットを
作成した場合、 (a)鋳造時に添加元素の偏析が生じやすく均質なター
ゲットを得にくい。
(b)希土類金属−鉄族金属系合金は非常に脆性な金属
間化合物を形成するため、鋳造などの組織均質化プロセ
スがとりにくい。このため、鋳造時に生じた巣などの欠
陥を除去することが不可能である。
(c)材質的に脆いため、ターゲット形状に加工する
際、チッピングや割れを生じやすく機械加工が非常に困
難である。またボンディング時およびスパッタ時の熱応
力でターゲットが割れてしまう。
(d)本製造方法によるターゲットをスパッタして作成
した薄膜の組成は、ターゲット組成から7−10at%近く
鉄族金属富側にずれを生じ、薄膜組成の制御が難しい
い。
などの問題点がある。
前記(2)の製造方法でターゲットを作成した場合、
均質なターゲットは製造可能であるが粉末の構成粒子自
体が脆い金属間化合物より成るため前記(1)のプロセ
スで製造したターゲットと同様の問題点がある。
前記(3)の製造方法で作成した場合、 (a)希土類金属は酸素との親和力が強いため、粉末作
成時、粉体の取扱い時および加圧焼結時に希土類金属が
酸化し、低酸素の成形体を得られない場合がある。この
ような成形体をスパッタリング用ターゲットとして使用
した場合、ターゲット中の含有酸素が薄膜の内部にとり
込まれて、希土類金属を選択的に酸化するため薄膜の磁
気特性、特に保磁力Hcが大きく変動する。
(b)スパッタリングの初期において、鉄族金属相より
希土類金属相の部分が優先的にスパッタされ、その後に
鉄族金属相および希土類金属相のスパッタリング速度が
平衡に達するという挙動を示す。このため薄膜の組成が
安定するために長時間のプリスパッタを行なう必要があ
り、ターゲットの使用効率が悪い。
という問題点がある。
前記(4)の製造方法、具体的には(4)の公開特許
公報で実施例として開示されている。鉄族金属−希土類
金属系の合金粉末に1−10重量%程度の鉄族金属を所望
組成になるよう混合し、前記混合粉末を圧粉成形し、次
いで焼結を行なった場合、 (a)薄膜組成が安定するまでのプリスパッタに要する
時間は前記(3)の製造方法によるターゲットと比較し
て短時間となるが、ターゲット組成と薄膜組成間のずれ
が大きく、また薄膜面内で組成変化量も大きい。
(b)混合粉を圧粉成形後、不活性ガス中または、真空
中で、焼結するだけでは、成形体の密度があがらず、タ
ーゲット中に空孔が残存した状態となり、これがスパッ
タリング時の異常放電の原因となること。
(c)機械加工の点から見ると、前記(1)、(2)の
製造方法によるターゲットと比較して改善されてはいる
が、材料中に含有している希土類金属は全て鉄族金属と
の金属間化合物として存在するため、旋盤などで機械加
工する際、割れやチッピングを生じやすい。
などの問題点がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上説明した従来技術の問題点のほとんどを解決した
ターゲットとして特開昭62−70550号に、希土類金属と
鉄族金属との金属間化合物と、鉄族金属相とが焼結によ
って結合した微細な混合組織を有するターゲットが開示
されている。
すなわち、希土類金属粉末と鉄族金属粉末とを所望組
成に混合し、次いで液相発現温度未満の温度で加圧焼結
し希土類金属と鉄族金属からなる成形体を形成し、その
後液相発現温度以上の温度で成形体を短時間加熱するこ
とにより成形体中の希土類金属を金属間化合物に変換
し、上記組織のターゲットを得るものである。
このターゲットによると、金属間化合物に変換された
希土類金属は、単体の場合よりもスパッタリング速度が
低下して鉄族金属単体のスパッタリング速度に近づき、
この結果従来から提起されていた薄膜組成の不安定とい
う問題が解決され、かつターゲット中に存在している鉄
族金属によって、加工性が十分に保証される強度をも具
備することが可能である。
しかるに本発明者の検討によると、特開昭62−70550
号に開示された技術においても以下の問題点を有し、よ
り一層の改善が望まれるところである。
すなわち、 (a)第10回日本応用磁気学会誌 学術講演概要集(19
86,P128〜P129)によれば、ターゲットと薄膜間の組成
ずれは、希土類金属、鉄族金属、希土類金属−鉄族金属
金属間化合物の量比を適正に制御することで改善可能な
ことが報告されている。
しかるに特開昭62−70550号のように熱処理によって
組織制御する方法では、 i)鉄族金属単体周辺の金属間化合物層が異常成長す
る、 ii)特開昭62−70550号公報の第6図のCによると鉄族
金属単体相、金属間化合物相の他に、希土類金属のα相
と希土類金属−鉄族金属金属間化合物相とからなる共晶
合金相が存在しているが、この共晶合金相内の希土類金
属のα相と希土類金属−鉄族金属金属間化合物の晶出量
および形状を制御することが非常に困難である、 iii)組織にムラを生じやすい、 などの欠点がある。したがって、上記のターゲットを用
いてスパッタリングを行なった場合、 i)スパッタ時間が長時間になると膜組成や特性が変動
する、 ii)ターゲット組成が全く同じものでも、熱処理のロッ
トが異なれば膜組成、特性が異なる。いわゆるロット間
のばらつきが大きいという問題点がある。
b)機械的強度の面からすると、鉄族金属周辺に存在す
る脆弱な希土類金属−鉄族金属金属間化合物を薄くする
必要があるが、前述のように異常成長により層厚が厚く
なり好ましくない。
c)希土類金属粉末と鉄族金属粉末の混合物を焼結した
ターゲットは、酸素含有量がもともと高くなりやすい
上、熱処理を行なうので最終製品は高酸素になり易く、
薄膜特性に悪影響を及ぼす。
d)希土類金属と鉄族金属のみからなるターゲットから
得られた薄膜は、耐食性が不十分であり磁気特性の劣化
という問題がある。
本発明は、以上説明した問題点を解決したターゲット
およびその製造方法の提供を目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、希土類金属−鉄族金属からなる共晶合金相
と鉄族金属相とが希土類金属と鉄族金属との金属間化合
物を主体とする固相拡散接合層により結合した組織を有
し、Ti,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種または二種以
上を原子%で15%以下含有し、かつ酸素含有量が1100pp
m以下であることを特徴とする希土類金属−鉄族金属タ
ーゲットである。本発明の製造方法は、希土類金属のα
相と、該希土類金属と鉄族金属とからなる金属間化合物
相とが均一微細に晶出した組織を有する希土類金属−鉄
族金属合金粉末に、鉄族金属粉末ならびにTi,Al,Cu,Cr,
Nb,Ta,PdおよびPtの一種または二種以上を原子%で15%
以下混合したのち、真空または不活性ガス雰囲気下で前
記希土類金属−鉄族金属合金粉末の組織を保持しつつ加
圧焼結することを特徴とする希土類金属−鉄族金属ター
ゲットの製造方法である。
本発明ターゲットの特徴は、第1に希土類金属−鉄族
金属からなる共晶合金相が、極めて均一かつ微細に分散
した希土類金属−鉄族金属金属間化合物晶出相と希土類
金属のα相とから構成されていることである。これは、
アソマイズ法等の急冷凝固処理によって得られた希土類
金属のα相と、該希土類金属と鉄族金属とからなる金属
間化合物相とが均一微細に晶出した組織を有する希土類
金属−鉄族金属合金粉末を一方の原料粉末として用い、
この組織を保持すべく液相発現温度未満で加圧焼結して
いることによる。
本発明ターゲットは、以上うのような均一微細な組織
を有しているため、ターゲットとそれをスパッタリング
した薄膜間の組成ずれを極めて小さくし、さらにスパッ
タリングに先立って行なわれるプリスパッタリングの時
間を短縮することができる。
第10回日本応用磁気学会誌 学術講演概要集(1986,P
128)によれば、複合ターゲット、すなわち希土類金属
単体と鉄族金属単体より構成されるターゲットをスパッ
タした場合、希土類金属より鉄族金属が側方にスパッタ
され易く、その結果、薄膜組成は鉄族金属貧になる。反
対に金属間化合物より構成されるターゲットの場合は、
鉄族金属より希土類金属が側方にスパッタされ易いた
め、薄膜組成が鉄族金属富になると報告されている。こ
れに対し本発明によれば、前述のように希土類金属のα
相と希土類金属−鉄族金属金属間化合物からなる共晶合
金相、さらに固相接合相および鉄族金属相が均一、かつ
微細に分散するため、希土類金属スパッタ粒子と鉄族金
属スパッタ粒子の放出方向の異方性が緩和され、この結
果組成ずれが小さくなるものと思われる。
プリスパッタ時間が短縮される理由としては、 (1)特開昭62−70550号に述べられているような鉄族
金属と希土類金属の間のスパッタリング速度の差と比較
して、鉄族金属と希土類金属−鉄族金属金属間化合物の
間のスパッタリング速度の差の方が小さい、 (2)急冷処理により希土類金属−鉄族金属合金粉末を
作成するため、希土類金属のα相と金属間化合物相が均
一かつ微細に分散している、つまり希土類金属相は細か
く分断された形で晶出しているため、微視的に見ると希
土類金属のスパッタ速度は変わらないにもかかわらず、
希土類金属のα相のスパッタリング速度が金属間化合物
相のスパッタリング速度と等しくなるような効果が得ら
れる、 ことにあるものと考えられる。
本発明ターゲットの第2の特徴は、希土類金属と鉄族
金属との金属化合物を主体とする拡散接合層が極めて薄
いことである。
これは、接合層が液相発現温度未満の加圧焼結による
固相拡散接合層によるものだからである。
このように拡散接合層が薄く、組織にむらを生ずるこ
とがないために、スパッタ時間が長時間となっても安定
した薄膜特性を得ることができ、かつ機械的強度を劣化
させることがないのである。
本発明によれば、この接合層を10μm以下と非常に薄
く制御することが可能である。機械的強度の面から言え
ば、30μm以下に制御することが望まれる。
本発明ターゲットの第3の特徴は、Ti,Al,Cu,Cr,Nb,T
a,PdおよびPtの一種または二種以上を含有していること
である。
前述の如く希土類金属と鉄族金属のみからなるターゲ
ットから得られた薄膜は、耐食性が不十分であり磁気特
性の劣化という問題があるが、本発明ではこれを防止す
るためにTi,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種または二
種以上を含有せしめている。添加量は、あまり多すぎる
と磁気特性に悪影響をおよぼすので15at%以下とする。
本発明ターゲットにおいて、希土類金属には従来から
公知のTb、Gd、Dy、Nd、Sm、Ho、Tm等の1種または2種
以上を用いることができる。その含有量は15at%未満お
よび45at%を越えると光磁気記録媒体としての機能を有
する薄膜を得ることが困難になるので、15〜45at%とす
る必要がある。
一方、鉄族金属についても従来から用いられているF
e、CoおよびNiの1種または2種以上を適用することが
できる。
以上より本発明における金属間化合物とは、たとえば
Fe2Tbのみならず、FeCoTb等のように異種の鉄族金属と
希土類金属との化合物を含む概念であることは言うまで
もない。
次に製造方法について説明する。
本発明においては、まず希土類金属−鉄族金属合金粉
末および鉄族金属粉末が用意される。本発明の特徴は希
土類金属−鉄族金属合金粉末を急冷凝固処理により得る
点であり、この急冷凝固処理により粉末レベルで希土類
金属のα相と金属間化合物との均一、微細化を達成す
る。したがって、組成面からみれば、希土類金属と鉄族
金属との組成が共晶組織を発現する組成範囲内にある必
要がある。
急冷凝固処理の手法としては、合金溶湯から製造する
不活性ガスアトマイズ法、真空アトマイズ法、回転ロー
ル法等、および前記組成範囲内にある電極を用いる回転
電極法等が適用できる。水冷ロール法、回転電極法等に
おいても合金の酸化防止のために雰囲気は真空、あるい
は不活性ガス雰囲気とする必要がある。
なお、第2図にガスアトマイズ後のFe−Tb合金粉末の
ミクロ金属組織写真を示すが、α−TbとFe2Tbが均一微
細に晶出した組織である。
また希土類金属−鉄族金属合金粉末は、純希土類金属
粉と比較して格段に耐酸化性に優れているため、ターゲ
ット材中の含有酸素量を希土類金属粉末と鉄族金属粉末
の混合物を焼結したものと比較して500〜1000ppm以上も
減らすことが可能である。
本発明では、上記希土類金属−鉄族金属合金粉末の他
に、鉄族金属ならびにTi,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの
一種または二種以上を添加する。添加の形態は、鉄族金
属、Ti,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種または二種以
上をそれぞれ単独であるいは相互に合金化して添加す
る、また鉄族金属とTi,Al,Cu等の合金で添加する、等に
より実施される。
原料粉末の平均粒径は1mm以下であることが望まし
い。これは、平均粒径が1mmを越えると成形体中に不均
一部を生じ、これをターゲットして用いた場合、得られ
る薄膜の組成が部分的に不均一となるからである。
以上の原料粉末を混合した後、液相発現温度未満の温
度で加圧焼結を行なう。
加圧焼結の温度を液相発現温度粉末とするのは、液相
発現温度以上の温度にすると、鉄族金属相と希土類金属
−鉄族金属共晶合金相との間の接合層が異常に成長し、
成形体の機械的強度が低下すること、および希土類金属
−鉄族金属からなる共晶合金相に晶出している希土類金
属のα相が消滅してしまうことによる。望ましくは液相
発現温度未満の温度から(液相発現温度未満−100℃)
の範囲内、更に望ましくは液相発現温度未満の温度から
(液相発現温度未満−30°)の範囲内である。なお液相
発現温度の一例を上げると、Tb−Feの場合840℃、Tb−F
e−Coの場合、695℃、Tb−Gd−Feの場合630℃である。
以上の液相発現温度未満の加圧焼結により接合層の極
薄化を達成できるのは前述の通りであるが、さらに、 i)原料粉末レベルで得られている希土類金属のα相と
金属間化合物の量および良好な分散状態の維持、制御が
容易になされる、 ii)組織中にむらを生じさせることがない、 iii)酸素含有量を低レベルに抑制できる、 といった効果が得られ、長時間スパッタ時の薄膜特性の
安定化に寄与するものである。
加圧焼結の手法としては、熱間静水圧プレス(HI
P)、ホットプレス、熱間パック圧延、熱間パック鍛造
等を適用できる。具体的な条件としては熱間静水圧プレ
スの場合、液相発現温度未満から(液相発現温度未満−
30℃)の範囲内かつ不活性ガス圧1000〜2000気圧うで、
2〜3時間保持すると、鉄族金属相と希土類金属−鉄族
金属晶合金相との間の拡散接合層の厚さを、10〜30μm
以内に抑えることが可能で、成形体に密度も97%以上に
達する。
ホットプレスの場合、密度95%以上の成形体を得よう
とする場合、加熱温度を液相発現温度未満から(液相発
現温度未満−10℃)以内、成形圧力150kg/cm2以上で2
時間程度保持することが望ましい。
熱間パック圧延、熱間パック鋳造の場合は、加熱温度
はHIPと同様で良いが、1パスごとの圧下率を10%以内
にして加工する必要がある。
〔実施例〕
第1表に実施例に用いた試料の組成(粉末も含む)を
示す。全試料とも平均粒径0.3mm以下の粉末を使用し
た。粉末の作成方法について述べると本発明では、Tb−
Fe粉末については、溶融塩電解法で製造した70.2at%Tb
−Fe組成の低酸素合金(酸素130ppm)へ目標組成になる
ように、FeまたはTbを加えて、底部に溶融噴射用ノズル
の付いたルツボに装入した。前記ルツボををガスアトマ
イズ装置内に設置した後、装置内を10-3〜10-4torr台ま
で真空に引き、高周波誘導で加熱を行なってルツボ内の
溶解原料を溶解した。溶湯温度が約1200℃に達した段階
で原料は完全に溶解するため、溶湯にArガス圧力を印加
すると同時に噴射用ノズルの弁を開いてガスアトマイズ
を行なった。上記の方法で作成したTb−Fe粉の酸素量
は、平均で1200ppm程度であった。溶解原料としては前
記のようなTb−Fe共晶合金の他、純Tb、純Feを所定量秤
量して用いることも可能であるが、市販の高純度Tbの含
有酸素量が900〜1200ppmであること、原料が完全に溶解
するまでの温度が高く、また溶解温度も長時間となるこ
とから、作成したTb−Fe粉の平均酸素含有量は2200ppm
にも達する。このため、Tb−Fe共晶点組成合金などの希
土類金属−鉄族金属系共晶合金を溶解原料の主体とする
ことが望ましい。実施例で用いたFe、Co、Fe−Co、Fe−
Ti、Fe−Co−Ti等の粉末についてもTb−Fe粉と同様にア
ルゴンガスアトマイズを用いて製造した。その際の粉末
の平均酸素量は、Fe 250ppm、Co 80ppm、Fe−Ti 200pp
m、Fe−Co−Ti 210ppmであった。
上記の希土類金属−鉄族金属、および鉄族金属等それ
ぞれのガスアトマイズ粉を用いて、第1表混合物組成の
欄に示すそれぞれの組成になるよう秤量、添加した後、
V型混合器内に装入し、混合中に粉末が酸化しないよう
に、混合器内を一度真空に引いた後で、Arガスで置換し
た。粉末混合に関しては、可能な限り均一な混合粉末を
作るため、積算回転数で6000回以上回転を加えた。
次に混合粉末を軟鋼製カプセルに充填し、カプセル内
部を10-4torr以上に真空排気した後で、400℃に加熱
し、カプセル全体が400℃に達した後で5時間保持した
状態のまま封入を行なった。
前記カプセルを熱間静水圧プレス装置(HIP)を用い
て、温度685℃、1200気圧、2Hr保持の加圧焼結を実施し
た。
なお、比較例11はTb粉、Fb粉、Co粉をホットプレス装
置で685℃、150kg/cm2で2時間加圧焼結したものであ
る。
焼結を完了した成形体より旋盤と平面研削盤を用いて
外側の鉄皮を除去した後で、直径101mm×厚さ3mmの薄膜
評価用ターゲット、抗折力測定用試験片、および酸素量
分析用試料を加工した。
薄膜評価には、高周波電源を有するマグネトロンタイ
プのスパッタ装置を用いて、0.15mmの板厚を有するコー
ニング社製の7059ガラス上に成膜を行なった。成膜条件
は高周波出力400W、Arガス圧5×10-3torr、ターゲット
とガラス基板間の距離は70mmで、成膜時にはガラス基板
を回転せず、ターゲットとガラス基板を対向させてい
る。
第2表に本発明および比較例のターゲットの含有酸素
量、抗折力および前記ターゲットを用いて成膜した薄膜
の組成を示す。本発明によるターゲットの含有酸素量
は、いずれも1100ppm以下で10kg/cm2以上の良好な抗折
力を有している。
このように良好な抗折力を有している理由は、ターゲ
ット中に存在する鉄族金属相の効果によるものと考えら
れる。
また、薄膜組成の点でも、ターゲット組成に比して鉄
族金属富側に2at%以内しかずれを生ぜず、かつ膜中の
耐食性元素の含有量もターゲット組成とほぼ同程度であ
ることがわかる。
次に、ガラス基板上に形成された薄膜の耐食性を評価
した。評価に用いた試料は、試料No.10(本発明)と試
料No.11(比較例)であり、評価方法は温度65℃、相対
湿度95%の環境下に薄膜が形成された基板を置き、50時
間ごとにガラス基板をとり出し、その磁性を測定するこ
とにより行なった。第1図に結果を示す。
試料No.10は試料時間が長期に渡っても保磁力(Hc)
の変動が小さいことがわかる。それに対し、試料No.11
は短時間から保磁力(Hc)が変動し始め試験時間200Hr
以降、垂直磁化膜ではなくなった。
上記の現象は、Tbが優先的に酸化され、特性がFe側に
移行し始め、最終的にはアモルファス組成をはずれたた
め生じたものと思われる。
〔発明の効果〕 以上説明のように本発明によれば、ターゲット組成と
薄膜組成のずれが小さく、かつ良好な耐食性を有する薄
膜が得られるため、産業に大きな利益を与える。
【図面の簡単な説明】
第1図は、耐食性評価試験の結果を示すグラフ、第2図
は、本発明ターゲットに供する合金粉末のミクロ金属組
織写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/34

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】希土類金属−鉄族金属からなる共晶合金相
    と鉄族金属相とが希土類金属と鉄族金属との金属間化合
    物を主体とする固相拡散接合層により結合した組織を有
    し、Ti,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種または二種以
    上を原子%で15%以下含有し、かつ酸素含有量が1100pp
    m以下であることを特徴とする希土類金属−鉄族金属タ
    ーゲット。
  2. 【請求項2】Ti,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種また
    は二種以上が鉄族金属との合金として鉄族金属相に存在
    することを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の希
    土類金属−鉄族金属ターゲット。
  3. 【請求項3】Ti,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種また
    は二種以上が単体あるいは相互に合金化した粉末として
    焼結されていること特徴とする特許請求の範囲第1項に
    記載の希土類金属−鉄族金属ターゲット。
  4. 【請求項4】希土類金属のα相と、該希土類金属と鉄族
    金属とからなる金属間化合物相とが均一微細に晶出した
    組織を有する希土類金属−鉄族金属合金粉末に、鉄族金
    属粉末ならびにTi,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種ま
    たは二種以上を原子%で15%以下混合したのち、真空ま
    たは不活性ガス雰囲気下で前記希土類金属−鉄族金属合
    金粉末の組織を保持しつつ加圧焼結することを特徴とす
    る希土類金属−鉄族金属ターゲットの製造方法。
  5. 【請求項5】希土類金属のα相と、該希土類金属と鉄族
    金属とからなる金属間化合物相とが均一微細に晶出した
    組織を有する希土類金属−鉄族金属合金粉末に、予めタ
    ーゲットとしてTi,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種ま
    たは二種以上で15原子%以下となるように調整した鉄族
    金属とTi,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種または二週
    以上との合金粉末を混合したのち、真空または不活性ガ
    ス雰囲気下で前記希土類金属−鉄族金属合金粉末の組織
    を保持しつつ加圧焼結することを特徴とする希土類金属
    −鉄族金属ターゲットの製造方法。
  6. 【請求項6】希土類金属のα相と、該希土類金属と鉄族
    金属とからなる金属間化合物相とが均一微細に晶出した
    組織を有する希土類金属−鉄族金属合金粉末に、予めタ
    ーゲットとしてTi,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種ま
    たは二種以上で15原子%以下となるように調整した鉄族
    金属とTi,Al,Cu,Cr,Nb,Ta,PdおよびPtの一種または二種
    以上との合金粉末と、鉄族金属粉末とを混合したのち、
    真空または不活性ガス雰囲気下で前記希土類金属−鉄族
    金属合金粉末の組織を保持しつつ加圧焼結することを特
    徴とする希土類金属−鉄族金属ターゲットの製造方法。
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