JP3076141B2 - 磁性薄膜用ターゲット材とその製造方法、Fe−M−C軟磁性膜とその製造方法、およびこれを用いた磁気ヘッドならびに磁気記録再生装置 - Google Patents

磁性薄膜用ターゲット材とその製造方法、Fe−M−C軟磁性膜とその製造方法、およびこれを用いた磁気ヘッドならびに磁気記録再生装置

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JP3076141B2 JP04119748A JP11974892A JP3076141B2 JP 3076141 B2 JP3076141 B2 JP 3076141B2 JP 04119748 A JP04119748 A JP 04119748A JP 11974892 A JP11974892 A JP 11974892A JP 3076141 B2 JP3076141 B2 JP 3076141B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ヘッド等に用いられ
る磁性薄膜を提供する磁性薄膜用ターゲット材とその製
造方法、Fe−M−C軟磁性膜とその製造方法、および
これを用いた磁気ヘッドならびに磁気記録再生装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録技術の進歩は著しく、磁
気ディスク等の大容量化、あるいはVTR装置の小型軽
量化のために、記録密度の高密度化が進められている。
この高密度の記録のために使用される磁気ヘッドには、
高保磁力を有する記録媒体に十分書き込むことが可能な
記録磁界を発生するものでなければならない。このため
により高い飽和磁束密度を有する磁性膜を磁気ヘッドに
構成することが要求されている。また、磁気ヘッド用の
材料は記録再生効率の向上の点から高透磁率を有するこ
とが必要であり、記録再生特性の安定化のためには磁歪
定数を零近傍に制御することが望ましい。さらに磁気ヘ
ッドの製造プロセスにおいては、信頼性を確保するため
にガラス溶着等を用いることが多いので、加熱処理によ
り特性が劣化しないように、高温における安定性向上も
必要である。
【0003】このような材料としては、従来からFe−
Al−Si系合金(いわゆるセンダスト)やCo系アモ
ルファス合金等が開発されており、磁気ヘッドに適用さ
れている(特開昭60−74110号等参照)。また、
最近では、Fe−N系の多層膜、Co系およびFe系の
変調窒化膜、Co−TaC膜、Fe−M−C膜(MはT
i,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wから選ばれ
た1種または2種以上:以下Mと称する)等、上記条件
を満たす材料の探索がさかんに行われている。これらの
磁性膜のうち、上記Fe−M−C系の組成であって、特
開平2−229406号あるいは特開平3−20444
号等に記載の微結晶組織を有する磁性膜は、保持力か小
さく、透磁率も高いことに加えて、磁気特性が熱的に安
定であるという理由から、将来非常に有望な材料であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したFe−M−C
系の磁性薄膜において、特に炭素量が高い薄膜を得よう
とする場合には、Fe−M合金のターゲットにグラファ
イトのペレットを配置してスパッタリングする方法、あ
るいは炭素を含まないFe−M合金ターゲットを用い、
Ar等の不活性ガス中にメタン(CH4)の混合ガスを
導入し反応性スパッタを行ない得られた膜を加熱処理し
て、微細結晶を析出させ、高飽和磁束密度の薄膜を得る
という方法が知られている。このうち反応性スパッタを
用いる方法は、膜中の炭素濃度の制御が容易に行えると
いう利点を有するものとされていた。しかし、上述した
反応性スパッタはガスとスパッタ粒子の反応速度が律速
となるため、成膜速度は遅くならざるを得ないという問
題がある。
【0005】一方、グラファイトのペレットとして炭素
を配置する方法では、グラファイトが選択的にスパッタ
されやすく、薄膜中の炭素濃度の制御が難しいという問
題がある。また、炭素粉末を単体で混合する方法ではタ
ーゲット母材と炭素の比重の差が大きいため均質なター
ゲットを製造しにくいという問題がある。また、炭素を
単体で添加する場合は、炭素単体のガスの吸着性が高
く、スパッタ中に吸着していたガスが放出して、膜組成
が変動するという問題がある。本発明の目的は、Fe−
M−C系の合金薄膜を通常のスパッタリング法により、
均一な膜が得られる磁性薄膜用ターゲット材とその製造
方法、Fe−M−C軟磁性膜とその製造方法、およびこ
れを用いた磁気ヘッドならびに磁気記録再生装置を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は炭素をグラフ
ァイトのような単体ではなく、炭素を金属との化合物あ
るいは合金状態の粉末として、焼結することによりター
ゲット材組織中に取り込むことによって、炭素単体での
課題であったターゲット母材との比重の差、あるいはガ
ス吸着性を起因とする生成薄膜の組成の変動を抑えこと
が可能であることを見出した。すなわち、本発明は原子
比率で金属M(MはTi、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Mo、Wから選ばれる1種または2種以上)が5〜
20%、炭素が6〜20%、残部Feおよび不可避的不
純物からなる組成を有し、組織中に存在する炭素の75
%以上が金属Mとの化合物粒子として存在するか、また
はこれに加えてFeとの合金粒子として存在することを
特徴とする磁性薄膜用ターゲット材である。ターゲット
材中に存在する遊離炭素は少ないほどよく、組織中に存
在する全炭素量の75%以上が金属Mとの化合物粒子ま
たはこれに加えてFeとの合金粒子としてターゲット組
織に存在することが好ましい。
【0007】また、本発明は原子比率で金属Mが5〜2
0%、炭素が6〜20%、残部Feおよび不可避的不純
物からなる組成を有し、組織が金属Mと金属Mの炭化物
の少なくともいずれかおよびFeとFeの炭化物の少な
くともいずれかからなることを特徴とする磁性薄膜用タ
ーゲット材である。本発明のターゲット材組織において
炭素は金属Mの炭化物あるいはFeの炭化物として存在
するため、炭素単体が添加された時のような遊離炭素と
他の元素で生じていた比重差はほとんどなくなり、生成
する薄膜組成のバラツキ等を防止できる。また、本発明
において、遊離炭素は少ないほど良いが5原子%以下の
遊離炭素を含んでもよい。
【0008】また、本発明の磁性薄膜用ターゲットは金
属Mと炭素との化合物粉末と、Feと炭素の合金または
これに金属Mを固溶している金属合金粉末とを配合する
か、あるいはこれに加えて原子比率で5%以下の炭素粉
末を配合してから焼結することによって得ることができ
る。たとえば、Fe−Ta−C系のターゲットを作成す
る場合、目標のターゲット組成に対して (1)Ta含有量に対して炭素量が当量値より少ない場
合は、TaCとTa量を調整したFe−Ta合金粉末を
混合して製造できる。 (2)Ta含有量に対して、炭素量が当量値より多い場
合はTaC粉末と、C量を調整したFe−C合金粉末を
混合して製造できる。 本願で規定する金属Mはどの元素も酸素と結合しやす
く、金属M単体で使用するのは好ましくなく、金属Mは
炭化物あるいはFeとの合金の状態で使用するのが良
い。本発明では、金属Mおよび炭素を単体で使用せず、
すべて化合物あるいは合金の状態で使用することが可能
であるが、炭素は偏析等の問題がない程度、即ち原子比
率で5%まではターゲットの成分の調整のために添加し
ても良い。本発明において、各粉末を配合した混合物を
圧密化した後に加圧焼結するか、圧密化しながら加圧焼
結を行うことにより、さらに高密度で、内部に空孔など
のほとんどないターゲットを得ることができ、ターゲッ
ト内部の空孔に起因するスパッタ時の異常放電を防止す
ることができる。
【0009】次に本発明の組成の限定理由を述べる。本
発明において、金属Mは生成する薄膜の合金の軟磁気特
性を改善する元素であり、また炭素と結合して微細な炭
化物を析出し軟磁気特性の改善する元素でもある。金属
Mは原子比率で5%未満では、軟磁気特性の改善に効果
が少なく、また、20%を超えると、飽和磁束密度の低
下となるため、5〜20%に限定した。また、炭素は軟
磁気特性の向上と、耐熱性改善のために必要な元素であ
るが、原子比率で6%未満では、軟磁気特性の改善の効
果が少なく、20%を超えると飽和磁束密度の低下にな
るので6〜20%に限定した。膜の耐食性向上などの目
的でFe,Ta,C以外の元素(例えばW,Al,S
i,B,Ga,Ge,Co,Ni,Ir,Pt,Au,
Rh,Ruから選ばれる1種または2種以上)を混合物
に混入してスパッタしても本発明の効果が得られる。
【0010】
【実施例】
(実施例1)純度99.9%、平均粒径3μmのTaC
粉末を、10マイナス3乗torrで1200℃×2時
間の脱ガス処理を行ない、TaC粉末原料を作成した。
また、誘導式真空誘導溶解炉にて、純度99.9%の純
Feをジルコニアルツボを用いて精錬し、炭素粉末を添
加し、1.42重量%の炭素を含む炭素鋼のインゴット
に鋳造した。この炭素鋼のインゴットを表面の表面の酸
化スケールを除去してから、アルゴンガスアトマイズ装
置にて、粉末とし、さらにこの粉末をボールミルで粉砕
して、150メッシュ以下の粉末を採取した。得られた
炭素鋼粉末の炭素含有量は1.33%重量であった。F
e77原子%、Ta9原子%、C14原子%のターゲッ
ト組成、すなわちFe70.55重量%、Ta26.7
0重量%、、C2.75重量%のターゲット組成を目標
に、TaC粉末を28.47重量%、炭素鋼粉末を7
1.50重量%、および炭素量調整のための炭素粉末
0.03重量%をボールミルで24時間混合した後、内
径180mm×深さ11mm熱間静水圧プレス用のカプ
セルに充填した。このカプセルを400℃にて10マイ
ナス6乗torrの減圧雰囲気になるまで脱ガス処理し
た後、封止した。
【0011】これにより、遊離炭素として存在するのは
添加した炭素量分である0.03重量%であり、原子%
にして0.2%程度である。また、炭素量全体の1%が
遊離炭素として存在することになる。封止したカプセル
を1180℃×2.5時間、1200kgf/cm2
熱間静水圧プレスにより圧密化しながら加圧焼結を行
い、その後切削加工により150φ×6mmのターゲッ
ト材を得た。このターゲット材から分析試料を採取し、
ターゲット材表面の外周部および中央部よりそれぞれ2
個所の組成分析を行った。その結果を表1に示す。表1
に示すように、得られたターゲット材はターゲットの位
置に依存する組成変動のほとんどない均一なものである
ことが確認された。
【0012】↓
【表1】
【0013】また、このターゲット材を光学顕微鏡で組
織観察した。ターゲット材表面のエッチング前とエッチ
ング後の金属組織写真をそれぞれ図1および図2に示
す。図1および図2により、このターゲット材はFeの
α固溶体とFe3Cからなるパーライト組織を有する粒
とこの粒相互間にTaC粒の集合域が存在する組織であ
ることが確認できた。このターゲットを高周波を使用す
るRF−マグネトロンスパッタリング装置を用いて、ア
ルミニウム基板10個に成膜し、EPMA装置により基
板毎のTaの組成の変動を評価したところ、Taは2
6.2±0.3wt%という極めて狭い範囲に収まるこ
とが確認された。
【0014】(実施例2)純度99.9%、平均粒径3
μmのNbC粉末を、10マイナス3乗torrで12
00℃×2時間の脱ガス処理を行ない、NbC粉末原料
を作成した。また、誘導式真空誘導溶解炉にて、純度9
9.9%の純Feをジルコニアルツボを用いて精錬し、
炭素粉末を添加し、2.18重量%の炭素を含む炭素鋼
のインゴットに鋳造した。この炭素鋼のインゴットを表
面の表面の酸化スケールを除去してから、アルゴンガス
アトマイズ装置にて、粉末とし、さらにこの粉末をボー
ルミルで粉砕して、150メッシュ以下の粉末を採取し
た。得られた炭素鋼粉末の炭素含有量は2.06%重量
であった。Fe71原子%、Nb11原子%、C18原
子%のターゲット組成、すなわちFe76.19重量
%、Nb19.65重量%、C4.16重量%のターゲ
ット組成を目標に、NbC粉末を22.19重量%、炭
素鋼粉末を77.79重量%、炭素量調整のため炭素粉
末0.02重量%添加して、ボールミルで24時間混合
した後、内径250mm×深さ11mm熱間静水圧プレ
ス用のカプセルに充填した。このカプセルを500℃に
て10マイナス5乗mmHgの減圧雰囲気になるまで脱
ガス処理した後、封止した。
【0015】これにより、遊離炭素として存在するのは
添加した炭素量分である0.02重量%であり、原子%
にして0.1%程度である。また、炭素量全体の0.5
%が遊離炭素として存在することになる。封止したカプ
セルを1180℃×2.5時間、1000kgf/cm
2で熱間静水圧プレスにより圧密化しながら加圧焼結を
行い、その後切削加工により204φ×6mmのターゲ
ットを得た。このターゲットを高周波を使用するRF−
マグネトロンスパッタリング装置を用いて、アルミニウ
ム基板10個に成膜し、EPMA装置により基板毎のN
bの組成は変動を評価したところ、Nbは19.5±
0.3wt%という極めて狭い範囲に収まることが確認
された。
【0016】(実施例3)以下、本発明のターゲット材
により得られる軟磁性膜の磁気特性について説明する
(MとしてはTaを用いた)。図3はターゲット構成と
図中A,B,C各位置の基板対向部分でのFe−Ta−
Cスパッタ膜の(磁場中熱処理後)BHカーブを示した
図、図4はスパッタ時間とスパッタ膜中のFeとTaの
組成比の関係図である。本発明のターゲットを用いると
従来(ペレット法)に比べ、磁気特性のバラツキが改善
されることが図3から、スパッタ膜組成の経時変化が生
じないことが図4からわかる。さらに本発明者らは、こ
れらのターゲットがスパッタ膜の軟磁気特性に及ぼす影
響について知見を得たので以下に図5〜図8を用いて詳
述する。図5はBHカーブ(磁場中熱処理後の困難軸方
向)と比透磁率の周波数特性、図6はマイクロカー効果
を用いた磁区構造の観察図である。図5に示したように
本発明のターゲットを用いると、良好な一軸異方性を有
するFe−Ta−C膜が得られ、従来(ペレット法)の
複合ターゲットでは、保磁力1エステルテッド以下、比
透磁率1000程度の軟磁気特性は得られるものの、良
好な一軸異方性を得にくいことがわかった。また図6に
示したように本発明のターゲットを用いたFe−Ta−
C膜は困難軸と容易軸の差があり、磁壁移動が観察され
たが、従来のそれは磁気的にほぼ等方膜となっているこ
とがわかった。この磁気特性の差を図7、図8を用いて
説明する。
【0017】図7はFe−Ta−C膜の透過電子線回折
パターン(ネガ図)、図8は飛跳原子分布のモデル図
で、1はTa,Cの飛跳分布、2はFeの飛跳分布、1
0はTa,C、20はFeである。図7(a)に示した
ように本発明のターゲットを用いた良好な一軸異方性を
有するFe−Ta−C膜は、TaCがランダム配向で回
折強度が弱い。一方、従来(ペレット法)の複合ターゲ
ットを用いたそれは、図7(b)に示したように膜面内
でTaC(200)とTaC(111)の優先配向が見
られ、その回折強度は比較的強い。このことは、以下の
ように考えられる。つまり、基板上でのTa,Cのマイ
グレーションはほぼ同じ(スパッタ条件、基板温度が等
しいから)であるが、図8(b)からわかるように、従
来(ペレット法)の複合ターゲットを用いた場合は、基
板上で微視的なTa,Cのrich層が生じ、本発明の
ターゲットを用いた場合は、図8(a)に示すように微
視的組成むらが小さい。すなわち、Fe−Ta−C膜の
軟磁性化の要因と考えられるFe微結晶粒間の交換相互
作用が膜内でより均一に働くことで良好な一軸異方性を
得ることができる。ここで原子の飛跳分布についてはc
os則、cos2則、Gauss則等いろいろな法則が
提案されているが、定性的にはこのように本発明のター
ゲットを用いると微視的組成むらなく成膜できることが
わかる。この際、膜の耐食性向上などの目的でFe,T
a,C以外の元素(例えばW,Al,Si,B,Ga,
Ge,Co,Ni,Ir,Pt,Au,Rh,Ruな
ど)を混合物に混入してスパッタしても本発明の効果が
得られる。ただし図9、図10に示すように本発明のタ
ーゲットでも、その構成粒が大きいと上記の良好な特性
は得られないことから、その構成粒径は5mm以下が望
ましい。
【0018】次に成膜時の基板温度が磁気特性に及ぼす
影響について知見を得たので説明する。図11は本発明
のターゲットを用い、基板温度を300℃以下、400
℃としたときのBHカーブ(磁場中熱処理後の困難軸方
向)と比透磁率の周波数特性である。図に示したように
基板温度300℃以下のときは、良好な一軸異方性が得
られるが、基板温度400℃のときは保磁力が大きくな
り、異方性磁界が小さくなる。すなわち成膜時の基板温
度は300℃以下が望ましい。下限としては、スパッタ
時に用いる基板冷却用の水、エアーあるいは液体窒素の
温度、すなわち−200℃である。以上詳述した本発明
のターゲットを用いる成膜法は、可燃性、爆発性ガスを
ほとんど発生しないので安全上の問題はない。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、炭素が均一に分散した
焼結組織のターゲット材を得ることができ、通常のスパ
ッタリング法により均質な磁性膜を作成できる。そのた
め、従来反応性スパッタ等で問題の成膜速度が遅いとい
う問題がなくなり、量産性が極めて向上する。さらに、
本発明のターゲットは炭素が単体として分散するのでは
なく、合金あるいは化合物として存在するため、炭素の
選択的なスパッタリングに起因したスパッタロットごと
の成膜組成の変動の問題もなく、きわめて信頼性の高い
高品質の磁性膜を得ることができる。本発明のターゲッ
ト材は、成膜されるFe−Ta−C軟磁性膜の磁気特性
バラツキ、経時変化を生じさせない効果を奏する。さら
には、良好な一軸異方性を有するFe−Ta−C軟磁性
膜が得られる効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のターゲット材のエッチング前の金属組
織写真である。
【図2】本発明のターゲット材のエッチング後の金属組
織写真である。
【図3】ターゲット構成とBHカーブ図。
【図4】スパッタ時間とスパッタ膜中のFeとTaの組
成比の関係図。
【図5】BHカーブと比透磁率の周波数特性図。
【図6】マイクロカー効果を用いた磁区構造の観察図。
【図7】Fe−Ta−C膜の透過電子線回折パターン
図。
【図8】飛跳原子分布のモデル図。
【図9】本発明のターゲットの構成粒径によるBHカー
ブ差図。
【図10】飛跳原子分布のモデル図。
【図11】BHカーブと比透磁率の周波数特性図。
【符号の説明】
1 Ta,Cの飛跳分布 2 Feの飛跳分布 10 Ta,C 20 Fe
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 10/18 H01F 10/18 (72)発明者 安河内 正也 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所映像メディア研究所 内 (72)発明者 青木 茂夫 茨城県勝田市大字稲田1410番地 株式会 社日立製作所東海工場内 審査官 瀬良 聡機 (56)参考文献 特開 平1−220813(JP,A) 特開 平3−20444(JP,A) 特開 平4−88605(JP,A) 特公 平2−54642(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C22C 38/00 303 G11B 5/31 H01F 10/14 H01F 10/18

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子比率で金属M(MはTi、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Mo、Wから選ばれる1種または
    2種以上)が5〜20%、炭素が6〜20%、残部Fe
    および不可避的不純物からなる組成を有し、組織中に存
    在する炭素の75%以上が金属Mとの化合物粒子として
    存在することを特徴とする磁性薄膜用ターゲット材。
  2. 【請求項2】 原子比率で金属M(MはTi、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Mo、Wから選ばれる1種または
    2種以上)が5〜20%、炭素が6〜20%、残部Fe
    および不可避的不純物からなる組成を有し、組織中に存
    在する炭素の75%以上が、金属Mとの化合物粒子およ
    びFeとの合金粒子として存在することを特徴とする磁
    性薄膜用ターゲット材。
  3. 【請求項3】 原子比率で金属M(MはTi、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Mo、Wから選ばれる1種または
    2種以上)が5〜20%、炭素が6〜20%、残部Fe
    および不可避的不純物からなる組成を有し、組織が金属
    Mと金属Mの炭化物の少なくともいずれか、およびFe
    とFeの炭化物の少なくともいずれかからなることを特
    徴とする磁性薄膜用ターゲット材。
  4. 【請求項4】 原子比率で金属M(MはTi、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Mo、Wから選ばれる1種または
    2種以上)が5〜20%、炭素が6〜20%、残部Fe
    および不可避的不純物からなる組成を有し、遊離炭素が
    原子比率で5%以下であることを特徴とする磁性薄膜用
    ターゲット材。
  5. 【請求項5】 金属X(XはAl、Si、B、Ga、G
    e、Co、Ni、Ir、Pt、Au、Rh、Ruから選
    ばれる1種または2種以上)の元素を含有することを特
    徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の磁
    性薄膜用ターゲット材。
  6. 【請求項6】 金属M(MはTi、Zr、Hf、V、N
    b、Ta、Mo、Wから選ばれる1種または2種以上)
    と炭素との化合物粉末と、Feと炭素の合金またはこれ
    に金属Mを固溶している合金粉末とを配合し焼結するこ
    とを特徴とする磁性薄膜用ターゲット材の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属M(MはTi、Zr、Hf、V、N
    b、Ta、Mo、Wから選ばれる1種または2種以上)
    と炭素との化合物粉末と、Feと炭素の合金またはこれ
    に金属Mを固溶している合金粉末と、5原子%以下の炭
    素粉末とを配合し焼結することを特徴とする磁性薄膜用
    ターゲット材の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属M(MはTi、Zr、Hf、V、N
    b、Ta、Mo、Wから選ばれる1種または2種以上)
    と炭素との化合物の粉末と、Feと炭素との合金または
    これに金属Mを固溶している合金粉末とを配合した混合
    物を圧密化した後に加圧焼結するか、圧密化しながら加
    圧焼結を行うことを特徴とする磁性薄膜用ターゲット材
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 金属M(MはTi、Zr、Hf、V、N
    b、Ta、Mo、Wから選ばれる1種または2種以上)
    と炭素との化合物の粉末と、Feと炭素の合金またはこ
    れに金属Mを固溶している合金粉末と、5原子%以下の
    炭素粉末とを配合した混合物を圧密化した後に加圧焼結
    するか、圧密化しながら加圧焼結を行うことを特徴とす
    る磁性薄膜用ターゲット材の製造方法。
  10. 【請求項10】 金属X(XはAl、Si、B、Ga、
    Ge、Co、Ni、Ir、Pt、Au、Rh、Ruから
    選ばれる1種または2種以上)の元素を混入することを
    特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の
    磁性薄膜用ターゲット材の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし5のいずれかに記載の
    ターゲット材をスパッタして成膜されたことを特徴とす
    るFe−M−C軟磁性膜。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のFe−M−C軟磁
    性膜の成膜時の基板温度が300℃以下であることを特
    徴とするFe−M−C軟磁性膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載のFe−M−C軟磁
    性膜を用いた磁気ヘッド。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の磁気ヘッドを用い
    た磁気記録再生装置。
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