JP2597380B2 - 希土類金属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法および希土類金属−遷移金属ターゲットの製造方法 - Google Patents

希土類金属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法および希土類金属−遷移金属ターゲットの製造方法

Info

Publication number
JP2597380B2
JP2597380B2 JP6883088A JP6883088A JP2597380B2 JP 2597380 B2 JP2597380 B2 JP 2597380B2 JP 6883088 A JP6883088 A JP 6883088A JP 6883088 A JP6883088 A JP 6883088A JP 2597380 B2 JP2597380 B2 JP 2597380B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rare earth
transition metal
earth metal
target
alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP6883088A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01242733A (ja
Inventor
俊一郎 松本
勉 乾
六夫 一安
Original Assignee
日立金属株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日立金属株式会社 filed Critical 日立金属株式会社
Priority to JP6883088A priority Critical patent/JP2597380B2/ja
Publication of JPH01242733A publication Critical patent/JPH01242733A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2597380B2 publication Critical patent/JP2597380B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光磁気記録媒体として用いられる希土類金
属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法および希
土類金属−遷移金属ターゲットの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
最近、ガラスあるいは樹脂基板上にスパッタリング法
を用いて所望組成の希土類金属−遷移金属系の薄膜を形
成し、これを記録媒体として用いた置き換え可能で高密
度記録が可能な光磁気ディスクの開発が行なわれてい
る。
このスパッタリングに用いられるターゲットの製造方
法としては、従来以下のようなものが提案されていた。
(1)所望組成の希土類金属−遷移金属合金を真空中ま
たは不活性ガス雰囲気下で溶解した後、同じく真空中あ
るいは不活性ガス中で所定の形状に鋳造してターゲット
を製造する方法(日経ニューマテリアル1986年11月24日
号P61)。
(2)所望組成の合金を真空中または、不活性ガス雰囲
気中で、溶解、鋳造してインゴットを作成し、このイン
ゴットを粉砕して得られた粉末を加圧焼結する方法(特
開昭61−91336号)。
(3)希土類金属粉末と遷移金属粉末を所望組成に混合
し、この混合粉末を液相発現温度未満の温度範囲で加圧
焼結する方法(特開昭61−99640号)。
(4)目標成分よりも遷移金属量が少ない遷移金属−希
土類金属粉末を溶解・粉砕法により製造し、前記合金粉
末と遷移金属粉末とを所望組成に混合した後、成形し、
焼結する方法(特開昭60−230903号)。
しかしながら、前記(1)の製造方法でターゲットを
作成した場合、 (a)鋳造時に添加元素の偏析が生じやすく均質なター
ゲットを得にくい。
(b)希土類金属−遷移金属系合金は非常に脆性な金属
化合物を形成するため、鋳造などの組織均均質化プロセ
スがとりにくい。このため、鋳造時に生じた巣などの欠
陥を除去することが不可能である。
(c)材質的に脆いため、ターゲット形状に加工する
際、チッピングや割れを生じやすく機械加工が非常に困
難である。またボンディング時およびスパッタ時の熱応
力でターゲットが割れてしまう。
(d)本製造方法によるターゲットをスパッタして作成
した薄膜の組成は、ターゲット組成から7〜10at%近く
遷移金属富側にずれを生じ、薄膜組成の制御が難しい。
などの問題点がある。
前記(2)の製造方法でターゲットを作成した場合、
均質なターゲットは製造可能であるが粉末の構成粒子自
体が脆い金属間化合物より成るため前記(1)のプロセ
スで製造したターゲットと同様の問題点がある。
前記(3)の製造方法で作成した場合、 (a)希土類金属は酸素との親和力が強いため、粉末作
成時、粉体の取扱い時および加圧焼結時に希土類金属が
酸化し、低酸素の成形体を得られない場合がある。この
ような成形体をスパッタリング用ターゲットとして使用
した場合、ターゲット中の含有酸素が薄膜の内部にとり
込まれて、希土類金属を選択的に酸化するため薄膜の磁
気特性、特に保磁力Hcが大きく変動する。
(b)スパッタリングの初期において、遷移金属相より
希土類金属相の部分が優先的にスパッタされ、その後に
遷移金属相および希土類金属相のスパッタリング速度が
平衡に達するという挙動を示す。このため薄膜の組成が
安定するまでに長時間のプリスパッタを行なう必要があ
り、ターゲットの使用効果が悪い。
という問題点がある。
前記(4)の製造方法、具体的には(4)の公開特許
公報で実施例として開示されている、遷移金属−希土類
金属系の合金粉末に1〜10重量%程度の遷移金属を所望
組成になるよう混合し、前記混合粉末を圧粉成形し、次
いで焼結を行なった場合、 (a)薄膜組成が安定するまでのプリスパッタに要する
時間は前記(3)の製造方法によるターゲットと比較し
て短時間となるが、ターゲット組成と薄膜組成間のずれ
が大きく、また薄膜面内で組成変化量も大きい。
(b)混合粉を圧粉成形後、不活性ガス中または、真空
中で、焼結するだけでは、成形体の密度があがらず、タ
ーゲット中に空孔が残存した状態となり、これがスパッ
タリング時の異常放電の原因となること。
(c)機械加工の点から見ると、前記(1)、(2)の
製造方法によるターゲットと比較して改善されてはいる
が、材料中に含有している希土類金属は全て遷移金属と
の金属間化合物として存在するため、旋盤などで機械加
工する際、割れやチッピングを生じやすい。
などの問題点がある。
以上説明した従来技術の問題点を解決しようとしたタ
ーゲットとして特開昭62−70550号に、希土類金属とFe,
Co,Niの一種以上(鉄族金属と記す)との金属間化合物
と、鉄族金属単体とが焼結によって結合した微細な混合
組織を有するターゲットが開示されている。
すなわち、希土類金属粉末と鉄族金属粉末とを所望組
成に混合し、次いで液相発現温度未満の温度で加圧焼結
し希土類金属と鉄族金属からなる成形体を形成し、その
後液相発現温度以上の温度で成形体を短時間加熱するこ
とにより成形体中の希土類金属を金属間化合物に変換
し、上記組織のターゲットを得るものである。
このターゲットによると、金属間化合物に変換された
希土類金属は、単体の場合よりもスパッタリング速度が
低下して鉄族金属単体のスパッタリング速度に近づき、
この結果従来から提起されていた薄膜組成の不安定とい
う問題が解決され、かつターゲット中に存在している鉄
族金属によって、加工性が十分に保証される強度をも具
備することが可能である。
しかるに本発明者の検討によると、特開昭62−70550
号に開示された技術においても以下の問題点を有し、よ
り一層の改善が望まれるとこをである。
すなわち、 (a)第10回日本応用磁気学会誌 学術講演概要集(19
86,P128〜P129)によれば、ターゲットと薄膜間の組成
ずれは、希土類金属、遷移金属、希土類金属−遷移金属
金属間化合物の量比を適正に制御することで改善可能な
ことが報告されている。
しかるに特開昭62−70550号のように熱処理によって
組織制御する方法では、 i)鉄族金属単体周辺の金属間化合物が異常成長する、 ii)特開昭62−70550号公報の第6図のCによると鉄族
金属単体相、金属間化合物相の他に、希土類金属のα相
と希土類金属−鉄族金属金属間化合物相とからなる共晶
合金相が存在しているが、この共晶合金相内の希土類金
属のα相と希土類金属−鉄族金属金属間化合物の晶出量
および形状を制御することが非常に困難である、 iii)組織にムラを生じやすい、 などの欠点がある。したがって、上記のターゲットを用
いてスパッタリングを行なった場合、 i)スパッタ時間が長時間になると膜組成や特性が変動
する、 ii)ターゲット組成が全く同じものでも、熱処理のロッ
トが異なれば膜組成、特性が異なる。いわゆるロット間
のばらつきが大きいという問題点がある。
(b)機械的強度の面からすると、鉄族金属周辺に存在
する脆弱な希土類金属−鉄族金属金属間化合物を薄くす
る必要があるが、前述のように異常成長により層厚が厚
くなり好ましくない。
(c)希土類金属粉末と鉄族金属粉末の混合物を焼結し
たターゲットは、酸素含有量がもともと高くなりやすい
上、熱処理を行なうので最終製品は高酸素になり易く、
薄膜特性に悪影響を及ぼす。
(d)熱処理温度から室温まで冷却する際、成形体にそ
りや曲がりが発生し易い。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明者等は、以上の問題点を解決する手段として、
ガスアトマイズ法等の急冷凝固処理によって得られた希
土類金属のα相と金属間化合物相とが均一かつ微細に晶
出した希土類金属−遷移金属合金粉末と遷移金属粉末と
の混合物を液相発現温度未満で加圧焼結する手法を先に
提案している。
該手法により得られたターゲットは、希土類金属のα
相および該希土類金属と遷移金属との金属間化合物とが
均一微細に分散した共晶合金層と遷移金属単体相とが金
属間化合物を主体とする固相接合層により結合した組織
を有し、ターゲットと薄膜との組成ずれの低減、長時間
スパッタにおける薄膜組成の安定化を達成した。
ところで、希土類金属−遷移金属ターゲットによりス
パッタリングして得られる薄膜を考慮した場合、ターゲ
ット中に含まれる酸素量を低く抑える必要がある。
すなわち、光磁気記録媒体では垂直磁化膜であること
が必要条件となるが、ターゲット中に含まれる酸素量が
多い場合には安定した垂直磁化膜を得ることができず、
いわゆる面内磁化膜に近い挙動を示すことがある。
本発明は以上の事実に鑑み、低酸素含有量の希土類金
属−遷移金属ターゲット等の製造方法を提供せんとする
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は種々検討した結果、希土類金属−遷移金
属系共晶合金を溶解原料の主体とし、次いでガスアトマ
イズ等等の急冷凝固処理を施して得られた希土類金属の
α相と金属間化合物相とが均一かつ微細に晶出した希土
類金属−遷移金属合金粉末と遷移金属との混合物を真空
または不活性ガス雰囲気下において前記混合物の液相発
現温度未満で加圧焼結することにより前記課題を解決す
るに至った。
以下本発明を詳述する。
本発明の特徴は、急冷凝固処理に先立つ溶解用の原料
として希土類金属−遷移金属共晶合金を主体とする点で
ある。
すなわち、溶解原料としては純希土類金属、純遷移金
属を所定量秤量して用いることも可能であるが、例えば
市販の高純度Tbの含有酸素量が900〜1200ppmであるこ
と、原料が完全に溶解する温度が高く溶解時間が長時間
となることから、急冷凝固処理して得られた粉末の酸素
含有量を低く制限することが難しい。
これに対し、本発明のように希土類金属−遷移金属共
晶合金を溶解原料の主体とすれば、 たとえば溶融塩電解法によれば、酸素含有量100〜5
00ppmという低酸素の希土類金属−遷移金属共晶合金の
製造が可能である。
原料が完全に溶解する温度が、純希土類金属、純遷
移金属を混合した場合に比べ低下するため、溶解時間の
短縮化が可能となり、酸素含有量の抑制に寄与する。
したがって、最終的にターゲットとした場合にも低酸
素化が可能となる。
なお、本発明においては溶解原料を希土類金属−遷移
金属共晶合金のみとする場合の他、上記の趣旨に反しな
い範囲で若干量の純希土類金属又は純遷移金属を添加せ
しめて良い。希土類金属−遷移金属共晶合金の組成を、
所望するターゲット組成に合致させるために添加が必要
となる場合がある。
以上の原料を用い溶解した後急冷凝固処理が実施され
る。この急冷凝固処理により粉末レベルで希土類金属の
α相と金属間化合物との均一、微細化を達成する。した
がって、組成面からみれば、希土類金属と遷移金属との
組成が共晶組織を発現する組成範囲内にある必要があ
る。
急冷凝固処理の手法としては、合金溶湯から製造する
不活性ガスアトマイズ法、真空アトマイズ法、回転ロー
ル法等、および合金溶湯から一旦電極を作製し、この電
極を用いる回転電極法等が適用できる。水冷ロール法、
回転電極法等においても合金の酸化防止のために雰囲気
は真空、あるいは不活性ガス雰囲気とする必要がある。
また希土類金属−遷移金属合金粉末は、純希土類金属
粉と比較して格段に耐酸化性に優れているため、ターゲ
ット中の含有酸素量を希土類金属粉末と遷移金属粉末と
混合物を焼結したものと比較して500〜1000ppm以上も減
らすことが可能である。
原料粉末の平均粒径は1mm以下であることが望まし
い。これは、平均粒径が1mmを越えると成形体中に不均
一を生じ、これをターゲットして用いた場合、得られる
薄膜の組成が部分的に不均一となるからである。
以上の原料粉末を混合した後、真空または不活性ガス
雰囲気下において液相発現温度未満の温度で加圧焼結を
行なう。
加圧焼結の温度を液相発現温度未満とするのは、液相
発現温度以上の温度にすると、遷移金属相と希土類金属
−遷移金属共晶合金相との間の接合層が異常に成長し、
成形体の機械的強度が低下すること、および希土類金属
−遷移金属からなる共晶合金相に晶出している希土類金
属のα相が遷移金属と反応して晶出してしまうことによ
る。望ましくは液相発現温度未満の温度から(液相発現
温度未満−100℃)の範囲内、更に望ましくは液相発現
温度未満の温度から(液相発現温度未満−30℃)の範囲
内である。なお液相発現温度の一例を上げると、Tb−Fe
の場合840℃、Tb−Fe−Coの場合、695℃、Tb−Gd−Feの
場合630℃である。
加圧焼結の手法としては、熱間静水圧プレス(HI
P)、ホットプレス、熱間パック圧延、熱間パック鍛造
等を適用できる。具体的な条件としては熱間静水圧プレ
スの場合、液相発現温度未満から(液相発現温度未満−
30℃)の範囲内かつ不活性ガス圧1000〜1500気圧で、2
〜3時間保持すると、遷移金属単体相と希土類金属−遷
移金属共晶合金相との間の拡散接合層の厚さを、10〜30
μm以内に抑えることが可能で、成形体の密度も97%以
上に達する。
ホットプレスの場合、密度95%以上の成形体を得よう
とする場合、加熱温度を液相発現温度未満から(液相発
現温度未満−30℃)以内、成形圧力150kg/cm2以上で2
時間程度保持することが望ましい。
熱間パック圧延、熱間パック鍛造の場合は、加熱温度
はHIPと同様で良いが、1パスごとの圧下率を10%以内
にして加工する必要がある。
以上の製造方法によるターゲット中の酸素含有量を低
く規制することが可能となる。
なお、以下本発明により得られたターゲットの組織に
ついてTb−Fe系を例として説明しておく。
本発明によるターゲットの組織の第1の特徴はにTb−
Fe共晶合金相が、極めて均一かつ微細に分散したFe2Tb
晶出相とα−Tb晶出相とから構成されていることであ
る。これは、アトマイズ法等の急冷凝固処理によって得
られたα−Tb晶出相とFe2Tb晶出相とが均一微細に晶出
した組織の粉末を原料として用い、この組織を保持すべ
く液相発現温度未満で加圧焼結していることによる。
本発明ターゲットは、以上のような均一微細な組織を
有しているため、ターゲットとそれをスパッタリングし
た薄膜間の組成ずれを極めて小さくし、さらにスパッタ
リングに先立って行なわれるプリスパッタリングの時間
を短縮することができる。
第10回日本応用磁気学会誌 学術講演概要集(1986,P
128)によれば、複合ターゲット、すなわち希土類金属
単体と遷移金属単体より構成されるターゲットをスパッ
タした場合、希土類金属より遷移金属が側方にスパッタ
され易く、その結果、薄膜組成は遷移金属貧になる。反
対に金属間化合物より構成されるターゲットの場合は、
遷移金属より希土類金属が側方にスパッタされ易いた
め、薄膜組成が遷移金属富になると報告されている。こ
れに対し本発明によれば、前述のように希土類金属のα
相と希土類金属−遷移金属金属間化合物からなる共晶合
金相、さらに固相接合相および遷移金属単体相が均一、
かつ微細に分散するため、希土類金属スパッタ粒子と遷
移金属スパッタ粒子の放出方向の異方性が緩和され、こ
の結果組成ずれが小さくなるものと思われる。
プリスパッタ時間が短縮される理由としては、 (1)特開昭62−70550号に述べられているような遷移
金属と希土類金属の間のスパッタリング速度の差と比較
して、遷移金属と希土類金属−遷移金属金属間化合物の
間のスパッタリング速度の差の方が小さい、 (2)急冷処理により希土類金属−遷移金属合金粉末を
作成するため、希土類金属のα相と金属間化合物相が均
一かつ微細に分散している、つまり希土類金属相は細か
く分断された形で晶出しているため、微視的に見ると希
土類金属のスパッタ速度は変わらないにもかかわらず、
希土類金属のα相のスパッタリング速度が金属間化合物
相のスパッタリング速度と等しくなるような効果が得ら
れる、 ことにあるものと考えられる。
本発明ターゲットの組織の第2の特徴は、希土類金属
と遷移金属との金属間化合物を主体とする拡散接合層が
極めて薄いことである。
これは、接合層が液相発現温度未満の加圧焼結による
固相拡散接合層によるものだからである。
このように拡散接合層が薄く、組織にむらを生ずるこ
とがないために、スパッタ時間が長時間となっても安定
した薄膜特性を得ることができ、かつ機械的強度を劣化
させることがないのである。
このような組織を有し、かつ酸素含有量を低減せしめ
ることにより、ターゲットと薄膜との組成ずれの低減、
長時間スパッタにおける薄膜組成の安定化を達成し、更
に良好な垂直磁気異方性を示すスパッタ膜が得られるよ
うになる。
本発明において、希土類金属には従来から公知のTb、
Gd、Dy、Nd、Sm、Ho、Tm等の1種または2種以上を用い
ることができる。その含有量は15at%未満および45at%
を越えると光磁気記録媒体としての機能を有する薄膜を
得ることが困難になるので、15〜45at%とする必要があ
る。
一方、遷移金属についても従来から用いられているF
e、CoおよびNiの1種または2種以上を適用することが
できる。
以上より本発明における金属間化合物とは、たとえば
Fe2Tbのみならず、FeCoTb等のように異種の遷移金属と
希土類金属との化合物を含む概念であることは言うまで
もない。
〔実施例〕
第1表に実施例に用いた希土類金属−遷移金属合金原
料および遷移金属の組成および含有酸素量と前記原料を
用いて作成したガスアトマイズ粉の組成と含有酸素量を
示す。次に本発明の粉末の製造方法について述べる。本
発明では、溶融塩電解法で製造した低酸素希土類金属−
遷移金属合金(酸素量100〜300ppm)に対し、目標組成
になるよう希土類金属または遷移金属を加えて、底部に
溶湯噴射用ノズルの付いたルツボに装入した。そして、
前記ルツボをガスアトマイズ装置内に設置した後装置内
を10-2〜10-4torr台まで真空に引き、高周波誘導で加熱
を行なってルツボ内のアトマイズ原料を溶解した。原料
が完全に溶解した段階で、溶湯にArガスで圧力を印加す
ると同時に噴射用ノズルの弁を開いてガスアトマイズを
行なった。
上記の方法で作成した希土類金属−遷移金属合金粉末
の平均酸素量は、希土類金属単体、遷移金属単体を原料
として用いた場合に比して1000ppm以上も低下できるこ
とが判明した。第1表に示した希土類金属−遷移金属合
金粉末を使用して製造したターゲット材の含有酸素量を
第2表に示す。
粉末の焼結には、熱間静水圧プレス(HIP)を用い
た。焼結温度は液相出現温度より20℃低く設定し、圧力
1200気圧で加圧焼結した。
第2表より本発明の希土類金属−遷移金属合金粉末を
使用して製造したターゲット材の含有酸素量は1500ppm
以下と低酸素であるのに対し、比較例では2000ppm以上
と高酸素になることがわかる。
次に本発明および比較例の粉末を用いて製造した焼結
体をターゲットとしてスパッタリングを行ない、薄膜評
価を行なった。
評価では、いずれのターゲットも高周波電源を有する
マグネトロンタイプのスパッタ装置を用いて、0.15mmの
板厚を有するコーニング社製の7059ガラス上に成膜を行
なった。成膜条件は、高周波電力2.54W/cm2、Arガス圧
5×10-3torr、ターゲットとガラス基板間の処理は70mm
で、成膜時にはガラス基板を回転せず、ターゲットとガ
ラス基板を対向させてある。作成した薄膜は、トルクメ
ーターで磁気異方性定数Ku(J/m3)を測定した後、EPMA
で組成を分析した。第1図に第2表に示した試料4(本
発明)を用いて成膜した薄膜のTb量および磁気異方性定
数Kuとスパッタ時間の関係、第2図に試料11(比較例)
を用いた場合の薄膜中のTb量およびKuとスパッタ時間の
関係を示す。
本発明、比較例の両試料とも薄膜中のTb量は約26at%
を示しており、スパッタリング時間が長時間になっても
安定していることがわかる。しかし、磁気異方性定数Ku
の挙動は、本発明が積算スパッタ時間4Hr以降安定し、K
u=1.25J/m3の良好な垂直磁気異方性を示すのに対し、
比較例では全く不安定であり、Kuが著しく低下して面内
磁化膜に近い挙動を示すことがわかった。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によればターゲットの酸
素含有量を低く規制することができ、その結果スパッタ
膜の磁気異方性が良好なものとなり、工業上非常に有益
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明により得られたターゲットをスパッタ
リングした際の積算スパッタ時間と薄膜中のTb量および
磁気異方性定数との関係を示すグラフ、第2図は比較例
により得られたターゲットをスパッタリングした際の積
算スパッタ時間と薄膜中のTb量および磁気異方性定数と
の関係を示すグラフである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】共晶組織を発現する組成範囲内にある希土
    類金属と遷移金属とからなり急冷凝固処理された合金粉
    末と、ターゲット目標組成に対し不足分の遷移金属粉末
    との混合物を、真空または不活性ガス雰囲気下で該混合
    物の液相発現温度未満の温度域で加圧焼結する希土類金
    属−遷移金属ターゲットの製造方法において、急冷凝固
    処理に供される合金の溶解原料を酸素含有量500ppm以下
    の希土類金属−遷移金属共晶合金を主体とすることを特
    徴とする希土類金属−遷移金属ターゲットの製造方法。
  2. 【請求項2】共晶組織を発現する組成範囲内にある希土
    類金属と遷移金属とからなり急冷凝固処理された合金粉
    末と、ターゲット目標組成に対し不足分の遷移金属粉末
    との混合物を、真空または不活性ガス雰囲気下で該混合
    物の液相発現温度未満の温度域で加圧焼結する希土類金
    属−遷移金属ターゲットの製造方法において、急冷凝固
    処理に供される合金の溶解原料を溶融塩電解法により得
    られた希土類金属−遷移金属共晶合金を主体とすること
    を特徴とする希土類金属−遷移金属ターゲットの製造方
    法。
  3. 【請求項3】共晶組織を発現する組成範囲内にある希土
    類金属と遷移金属からなる合金溶湯を急冷凝固処理する
    希土類金属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法
    において、急冷凝固処理に供される合金の溶解原料を酸
    素含有量500ppm以下の希土類金属−遷移金属共晶合金を
    主体とすることを特徴とする希土類金属−遷移金属ター
    ゲット用合金粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】共晶組織を発現する組成範囲内にある希土
    類金属と遷移金属からなる合金溶湯を急冷凝固処理する
    希土類金属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法
    において、急冷凝固処理に供される合金の溶解原料を溶
    融塩電解法により得られた希土類金属−遷移金属共晶合
    金を主体とすることを特徴とする希土類金属−遷移金属
    ターゲット用合金粉末の製造方法。
JP6883088A 1988-03-23 1988-03-23 希土類金属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法および希土類金属−遷移金属ターゲットの製造方法 Expired - Lifetime JP2597380B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6883088A JP2597380B2 (ja) 1988-03-23 1988-03-23 希土類金属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法および希土類金属−遷移金属ターゲットの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6883088A JP2597380B2 (ja) 1988-03-23 1988-03-23 希土類金属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法および希土類金属−遷移金属ターゲットの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01242733A JPH01242733A (ja) 1989-09-27
JP2597380B2 true JP2597380B2 (ja) 1997-04-02

Family

ID=13385012

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6883088A Expired - Lifetime JP2597380B2 (ja) 1988-03-23 1988-03-23 希土類金属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法および希土類金属−遷移金属ターゲットの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2597380B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06184740A (ja) * 1992-12-17 1994-07-05 Hitachi Metals Ltd 光磁気記録媒体用ターゲットおよびその製造方法
JPH0790567A (ja) * 1993-07-30 1995-04-04 Hitachi Metals Ltd 光磁気記録媒体用ターゲット材およびその製造方法
USRE45481E1 (en) 1995-10-12 2015-04-21 Kabushiki Kaisha Toshiba Interconnector line of thin film, sputter target for forming the wiring film and electronic component using the same
KR100312548B1 (ko) 1995-10-12 2001-12-28 니시무로 타이죠 배선막,배선막형성용스퍼터타겟및이를이용한전자부품

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01242733A (ja) 1989-09-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0768612B2 (ja) 希土類金属―鉄族金属ターゲット用合金粉末、希土類金属―鉄族金属ターゲット、およびそれらの製造方法
JP3816595B2 (ja) スパッタリングターゲットの製造方法
KR0129795B1 (ko) 광자기 기록 매체용 타겟 및 그 제조 방법
JP2639609B2 (ja) 永久磁石用合金鋳塊及びその製造法
EP0632471B1 (en) Process of preparing a permanent magnet containing rare earth metal, boron and iron
JPS61139637A (ja) スパツタ用タ−ゲツトとその製造方法
US5690752A (en) Permanent magnet containing rare earth metal, boron and iron
JP2597380B2 (ja) 希土類金属−遷移金属ターゲット用合金粉末の製造方法および希土類金属−遷移金属ターゲットの製造方法
JPS6270550A (ja) タ−ゲツト材
JPS60230903A (ja) 合金タ−ゲツトの製造方法
EP1263003B1 (en) Preparation of a rare earth magnet alloy powder for a bonded magnet and rare earth bonded magnet therewith
JPS63238268A (ja) スパツタリング用タ−ゲツトの製造法
JPH02107762A (ja) 光磁気記録用合金ターゲット
JP2894695B2 (ja) 希土類金属−鉄族金属ターゲットおよびその製造方法
JPH07272914A (ja) 焼結磁石およびその製造方法
JP3525439B2 (ja) ターゲット部材およびその製造方法
JP2001107226A (ja) Co系ターゲットおよびその製造方法
JPH0119448B2 (ja)
JPH0610122A (ja) 磁性薄膜用ターゲット材とその製造方法、Fe−M−C軟磁性膜とその製造方法、およびこれを用いた磁気ヘッドならびに磁気記録再生装置
JP2002226970A (ja) Co系ターゲットおよびその製造方法
US5710384A (en) Magneto-optical recording medium target and manufacture method of same
JPH0768611B2 (ja) スパツタリング用合金タ−ゲツトの製造方法
JPH0119449B2 (ja)
JPH062131A (ja) 光磁気記録媒体用スパッタリングターゲット及びその製造方法
JPS62205556A (ja) 光磁気記録媒体形成用Tb―Fe系焼結スパッタリングターゲット材