JP2893349B2 - 大断面トンネル構造とその施工法 - Google Patents

大断面トンネル構造とその施工法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、地下立体差交路部などに構築する大断面ト
ンネル構造とその施工法に関するものである。
<従来の技術> 既存のシールド機によって大断面トンネルを掘削する
には限度があり、既応の技術としては第9図に示すパイ
プルーフ工法がある。この工法の欠点としては、ルーフ
用のシールド機を何度も発進到達させる必要があり、そ
のために発進到達部用の大規模空間が必要とされる。ま
た、トンネルの径を漸次大きくしたり、逆に小さくする
ことは各シールド機の掘削断面が一定であるところから
不可能である。さらに、パイプルーフトンネル構造は、
トンネル軸方向に対する荷重が弱く、そのためにかなり
オーバーラップして接合する必要がある。
<発明が解決しようとする課題> 本発明は、上記欠点を解消したものであり、その目的
とするところは、大規模な地下発進到達部を必要とせ
ず、1台又は2台(または複数台)の最小限のシールド
機を用いて、大断面トンネルを掘削し、しかもトンネル
軸方向の荷重にはもちろん、ら線状に掘削することによ
り幅方向の荷重にも耐えられる、トンネル断面の径を変
化することのできる大断面トンネル構造とその施工法を
提供せんとする。
<課題を解決するための手段> 本発明は、上記目的に鑑みなされたものであり、その
要旨は、周囲をセグメント、場所打ちコンクリート、推
進管のいずれかの覆工体でら線状に隣接して構築したト
ンネル外殻部と、該外殻内の土砂を掘削して形成したト
ンネル空間部とからなる大断面トンネル構造において、
該大断面のトンネル断面の径が、トンネル軸方向に変化
している大断面トンネル構造にある。上記大断面トンネ
ル外殻部となる覆工体は、場所打ちコンクリートや中実
の鋼棒などにより中実のものでもよいが、通常のシール
ド機の覆工体と同様にチューブ状ものとしてもよい。ま
た、大断面トンネルの断面形状は楕円形、馬蹄形、多角
形などシールド機の軌跡によって各種のものが考えられ
る。
本発明の別の要旨は、シールド機を計画したトンネル
の外周に沿って隣接したら線状に掘進する工程と、該工
程でら線状のトンネル外殻部を覆工する工程と、その
後、外殻の内側の土砂を掘削する工程とからなる大断面
トンネルの施工法において、該施工法が、2連式シール
ド機によって掘進するものであり、既設の覆工部と新設
のシールド機間にシールド機のテール部から遂次、水膨
張性の線状シール材を繰り出しながら介在させる工程を
付加させるものである大断面トンネルの施工法にある。
<作用> 本発明の施工法は、シールド機を計画したトンネル外
周に沿ってら線状に掘削し、覆工体をトンネルの外殻部
として形成する。次いで、この外殻部の内側をシールド
機又はショベルカーなどを用いてベンチカット方式など
で掘削して仕上げる。特に、シールド機を横2台2連式
のもので掘削する場合に、先行した既設のトンネル覆工
部との間で止水性を確保することが難しいが、後行のト
ンネル掘削が既設トンネル覆工部との間に一部掘り残し
を生じさせることにより、外方からの地圧によりシール
ド機を既設トンネルの覆工側に寄せ、さらにこの箇所に
シールド機のテール部から繰り出した水膨張性シール材
を介在させるようにする。
<実施例> 以下に本発明の大断面トンネル構造の一実施例を、ト
ンネル内における車線の分岐部、特に上下3車線を構成
する1個のトンネルを分岐部において一時的に上下5車
線とし、それからさらに上下3車線と上下2車線の独立
した2個のトンネルに分離される場合における、前記分
岐部の大断面トンネルの構造とその施工法に基づいて説
明する。
第5図は、初め左方A−A′断面において上下3車線
(下方3車線は見えない)であったものが、中央B−
B′断面において5車線になり、これが右方で3車線と
2車線に分離していく場合を説明する平面図、第6図は
これを地盤トンネル内で現わした状態の一部破断説明
図。第7図は第5図のC−C′断面の上下線3車線と2
車線の道路又は線路を分岐部から出た状態の概要説明図
であり、第8図は第5図の分岐部(B−B′)断面図で
ある。
このような車線の分岐部は、どうしても大断面の大型
トンネルになるために、これを構築するには現在のシー
ルド機による通常の工法では不可能である。また、トン
ネル自体の構造にも新たな外圧に対処する問題や漏水問
題が生じる。本発明は、シールド機そのものは既存のも
のを用い、これを新たな工法に使用することにより、よ
り強固で防水性が十分が大型トンネルを比較的短時間に
仕上げることができるようにしたものである。
第1図及び第2図は、本発明の大断面トンネル構造の
外殻部1を既存の2連式シールド機2によって掘削して
いく状態を示すものである。まず、2連式シールド機2
を地上において逆立ち状態に設置しておき、反力をとる
ために掘進方向斜め前方の地盤にアンカーを打ち込む。
ついで、シールド機2を所定の深さまで掘進し、ついで
計画したトンネルの外周に沿って、次第に直径を大きく
して四角形の大型トンネルを掘進していくが、この場
合、掘進と同時にシールド機後方にセグメント又は場所
打ちコンクリートを打設して人が通れる最低の大きさ以
上の直径、1.2m以上のチューブ状トンネル覆工体として
の外殻部1を形成していく。この他の覆工体の構築とし
ては、発進部に反力をもたせた掘進ジャッキを備えるこ
とにより、シールド機の掘進にしたがって、ヒューム管
を押し込んで行くこともできる。ただし、シールド機の
仕上り時(昇り)は、セグメント場所打ち又はヒューム
管の押し込みの際に機体のずり落ちの虞れが生じ、これ
を防止するためにシールド機の掘進ジャッキを、シール
ド機と覆工体間における掘削したワンリング分の空間に
おいて、掛替える必要がある。
また、本発明の2連式シールド機2は、第2乃至第4
図に示すように2連トンネルを掘削し、覆工していく2
連トンネルの連接部についてはあまり問題は生じない
が、先行した2連トンネルの覆工体1と後行のシールド
機2の2連トンネルの隣接部分においては、両者間を隔
離することなく密接状態に掘進していく必要があるこ
と、及び両覆工体間を十分に防水しておかなければなら
ないという問題が生じる。そこで、前者の問題を解決す
るために、先行トンネルの覆工体1と後行シールド機2
の掘削について、第4図に示すように、シールド機2を
先行覆工体1に沿って押し当てるためのガイドプレート
4を設けること、及び隣接箇所へ地盤の圧力を与えて先
行覆工体1とシールド機の間を少し掘り残しておくこと
が必要な場合がある。また、後者の各2連の覆工体間の
漏水問題については、第2図及び第3図に示すように、
巻回した公知の水膨張性の線状シール材5をシールド機
2のテール部から繰り出すことにより、各覆工体間に介
在させて対処する。もちろんこの場合、各覆工体に裏込
薬注、又はモルタル等を打ち込み、前記シール材5の周
囲を覆うことにより十分な止水効果を上げるようにする
必要がある。
その他、2連式シールド機の構造は、土砂排出系統な
どが配備された既に知られているものを用いる。
このようにしてトンネルを掘削しながらセグメント、
場所打ちコンクリート又は推進管などのら線状覆工体か
らなるトンネル外殻部1を構築し、その後この外殻部の
内部の全部又は一部は、シールド機で直接掘削するか、
又はパワーシャベルなどを用いたベンチカット方式によ
り掘削し、横26m、縦30m以上の直径からなる大断面のト
ンネル空間3が得られる。このトンネル空間3は、第8
図に示すように、上方をトンネル軸方向に仕切られた換
気ダクト6、下方を排気ダクト、避難路、下水・電気等
の配管7を配し、さらに中央部に上り5車線の通路8と
下り5車線の道路9等を仕切ることができる。
なお、上記実施例ではシールド機を2連式のもの一台
使用したもので説明したが、これを複数台用いてもよ
く、また通常のシールド機一連のものを複数用いてもよ
い。また、ら線状の覆工体は円形、矩形等通常知られて
いるトンネル断面形状が考えられ、またこの断面はチュ
ーブ状の他に中実のものであってもよい。
<発明の効果> 以上述べたように、本発明の大型トンネルの外殻部は
ら線状にしたためにトンネル軸方向はもちろん、軸方向
からの外圧にもら線状の覆工体により十分に強度を保つ
ことができる。特に、トンネル断面を入口部と出口部で
トンネルの径を大小変化することが容易であるために、
本線と支線との合流する分岐部を曲線状にしたり、断面
形状を円形、矩形、楕円など任意のものに選択すること
ができる。
また、本発明工法は地上からシールド機で掘進してい
くので、地下における大空間の発進基地を必要としない
など実用範囲が広い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明工法による大断面トンネルの外殻部の施
工状態説明図、第2図は第1図の縦断面図、第3図は第
2図における先行と後行トンネルの覆工体の断面図、第
4図は先行トンネルの覆工体に沿って掘削する先行シー
ルド機の概念説明図、第5図は本発明である大断面トン
ネル構造に利用する一例としての車線分岐部の平面図、
第6図は第5図が地下にある状態を示す一部破断説明
図、第7図は第5図のC−C′断面を模写した斜視図、
第8図は本発明によって出来た道路の車線分岐部の縦断
面図、第9図は従来の大断面トンネルのパイプルーフ工
法によって出来たトンネルの端面模写図である。 1……トンネルの外殻部、2……2連式シールド機、3
……トンネル空間部、4……ガイド、5……シール材。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周囲をセグメント、場所打ちコンクリー
    ト、推進管のいずれかの覆工体でら線状に隣接して構築
    したトンネル外殻部と、該外殻部の土砂を掘削して形成
    したトンネル空間部とからなる大断面トンネル構造にお
    いて、 該大断面のトンネル断面の径が、トンネル軸方向に変化
    している大断面トンネル構造。
  2. 【請求項2】請求項1記載の大断面のトンネルの断面形
    状が、円形、楕円形、馬蹄形、多角形のいずれかであ
    り、覆工体がチューブ状のものである大断面トンネル構
    造。
  3. 【請求項3】シールド機を計画したトンネルの外周に沿
    って隣接したら線状に掘進する工程と、該工程でら線状
    のトンネル外殻部を覆工する工程と、その後、外殻の内
    側の土砂を掘削する工程とからなる大断面トンネルの施
    工法において、 該施工法が、2連式シールド機によって掘進するもので
    あり、既設の覆工部と新設のシールド機間にシールド機
    のテール部から逐次、水膨張性の線状シール材を繰り出
    しながら介在させる工程を付加させるものである大断面
    トンネルの施工法。
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