JP2846248B2 - 土留壁及びその構築方法 - Google Patents

土留壁及びその構築方法

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JP2846248B2 JP6189951A JP18995194A JP2846248B2 JP 2846248 B2 JP2846248 B2 JP 2846248B2 JP 6189951 A JP6189951 A JP 6189951A JP 18995194 A JP18995194 A JP 18995194A JP 2846248 B2 JP2846248 B2 JP 2846248B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、土留壁及びその構築方
法に関し、特に、土留壁の構築位置に地下埋設物や地上
構造物等が存在するために、地上から土留壁の施工が不
可能な条件下においても施工可能な土留壁及びその構築
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、地下鉄、洞道、共同溝、地下道
路、地下街、地下駐車場等の地下構造物を構築する方法
として開削工法が知られている。 【0003】この開削工法では、掘削領域外周に地上作
業によって土留壁を構築し、この土留壁によって囲まれ
た領域に、適宜路面覆工及び切梁支保工等を設けて周辺
地盤・土留支保工の安定を図りながら、段階的に地下掘
削を行なって、その内容に目的とする地下構造物を構築
して埋め戻しを行なうものであり、市街地における掘削
工事においても、従来から多用されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
市街地においては、電力用及び通信用ケーブル、ガス、
水道等の管路、下水渠等多くの地下埋設物が輻奏し、ま
た、地上構造物及び鉄道等の営業線に近接した工事が増
加するとともに、騒音や振動等の周辺環境への悪影響な
ど、開削工法による地下構造物の施工が著しく困難な状
況となってきている。 【0005】すなわち、従来工法によれば、土留壁を構
築しようとする位置に地下埋設物が存在する場合には、
地下埋設物の防護を行う必要があり、そのため地下埋設
物の埋設深さまで主として人力で掘削し、支障となる地
下埋設物の移設・切回しを行う必要があり、そのための
スペースを確保しなければならなかった。しかも地下埋
設物の種類によってはその管理者が異なるため、移設・
切回しを行なうのに多大な日数を必要とし、工期延長の
原因になるという問題があった。 【0006】また、大深度の土留壁においては、土留壁
を構築するためのスペースが大きく必要となり、更には
既設構造物に近接している場合には、騒音や振動等の影
響が大きく、周囲環境を著しく乱すこととなり、そのた
め近隣住民の反対が強く、施工が困難になるという問題
があった。 【0007】さらに、地上構造物や営業線直下を掘削し
なければならないような場合には、地上からの土留壁の
構築が全く施工できない、という問題があった。 【0008】本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、地下埋設物や地上構造物
等が存在することによって、地上からの土留壁の構築が
不可能であるような条件の地盤においても、周辺環境に
悪影響を与えることなく、安全かつ確実に構築できる土
留壁及びその構築方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、第1の発明に係る土留壁は、地上からの土留壁の施
工が不可能な地盤内に構築される土留壁であって、前記
地盤中に適宜間隔をおいて上下に掘削された複数の横坑
内に適宜厚さの覆工を施したトンネル構造体と、前記上
下のトンネル構造体同士を連結する遮水性構造部材と、
を含むことを特徴としている。 【0010】第2の発明に係る土留壁は、第1の発明に
おいて、前記トンネル構造体は、断面矩形状に構築され
ることを特徴としている。 【0011】第3の発明に係る土留壁は、第1または第
2の発明において、前記下側のトンネル構造体の下部
に、止水体を併設したことを特徴としている。 【0012】第4の発明に係る土留壁は、第1、第2、
第3のいずれかの発明において、前記トンネル構造体の
覆工が解体可能に構築されるとともに、前記トンネル構
造体内から遮水性構造部材面にわたって設けられた壁体
が地下構造物の本体構造として構築されることを特徴と
している。 【0013】第5の発明に係る土留壁の構築方法は、地
上からの施工が不可能な地盤内をシールド掘進機により
適宜間隔をおいて上下複数の横坑を掘削する工程と、前
記横坑内に適宜厚さの覆工を施してトンネル構造体を構
築する工程と、前記トンネル構造体同士を遮水性構造部
材で連結する工程と、を含むことを特徴としている。 【0014】第6の発明に係る土留壁の構築方法は、第
5の発明において、前記地盤内の下側のトンネル構築領
域にシールド掘進機により横坑を掘削し、この横坑内に
適宜厚さの覆工を施して下側のトンネル構造体を構築す
る工程と、前記下側のトンネル構造体内から上側のトン
ネル構造体構築領域上部付近の地盤改良を行う工程と、
前記地盤改良後、上側のトンネル構築領域にシールド掘
進機により横坑を掘削し、この横坑内に適宜厚さの覆工
を施して上側のトンネル構造体を構築する工程と、を含
むことを特徴としている。 【0015】第7の発明に係る土留壁の構築方法は、第
5または第6の発明において、前記トンネル構造体の構
築後、少なくとも前記上側のトンネル構造体上端と地表
面との間の地盤に山留処理を施す工程を含むことを特徴
としている。 【0016】第8の発明に係る土留壁の構築方法は、第
5、第6、第7のいずれかの発明において、前記トンネ
ル構造体の構築後、前記トンネル構造体を作業空間とし
て、トンネル構造体同士を遮水性構造部材で連結するこ
とを特徴としている。 【0017】第9の発明に係る土留壁の構築方法は、第
5、第6、第7、第8のいずれかの発明において、前記
トンネル構造体の構築後、下側のトンネル構造体の内部
を作業空間として、前記下側のトンネル構造体の下部に
止水体を構築する工程を含むことを特徴としている。 【0018】第10の発明に係る土留壁の構築方法は、
第5、第6、第7、第8、第9のいずれかの発明におい
て、前記トンネル構造体同士を遮水性構造部材にて連結
した後、トンネル構造体の覆工の一部を解体する工程
と、前記トンネル構造体内から遮水性構造部材にわたっ
て壁体を構築する工程と、を含むことを特徴としてい
る。 【0019】 【作用】前記構成の第1の発明及び第5の発明に係る土
留壁及びその構築方法にあっては、地上からの土留壁の
施工が不可能な地盤中に適宜間隔をおいて上下に複数の
横坑を掘削し、この横坑内に適宜厚さの覆工を施してト
ンネル構造体を構築し、これら上下のトンネル構造体同
士を遮水性構造部材にて連結し、これらトンネル構造体
及び遮水性構造部材を土留壁として用いることにより、
地表面から作業することなしに土留壁の構築ができ、従
って振動や騒音を防止して周囲環境の悪化を防止すると
共に、土留壁構築のために地表面を掘削して地下埋設物
を切回す必要がなく、従って工期を大幅に短縮すること
ができる。 【0020】また、横坑内に必要厚さの覆工を施すこと
により、作用する外力を安全に支持し、横坑内を各種作
業空間として活用することができる。 【0021】第2の発明に係る土留壁にあっては、横坑
を断面矩形状に掘削形成することにより、掘削断面が小
さくて済む上に、任意の線形を選択することができ、土
被りを小さくすることが可能となる。 【0022】第3の発明に係る土留壁にあっては、下側
のトンネル構造体の下部に止水体を併設することによ
り、必要な根入れ長を確保することができ、掘削床付高
が下側のトンネル構造体底面よりも下になる場合におい
ても、止水体により充分な止水を行うことができる。 【0023】第4および第10の発明に係る土留壁およ
びその構築方法にあっては、トンネル構造体の覆工の一
部を解体してトンネル構造体内から遮水性構造部材面に
わたって地下構造物の本体構造をなす壁体を構築するこ
とにより、地下構造物を構築可能領域ぎりぎりに構築し
て、地下の有効利用を図ることができる。 【0024】第6の発明に係る土留壁の構築方法にあっ
ては、下側のトンネル構造体を構築し、この下側のトン
ネル構造体内より、上側のトンネル構造体構築領域上部
付近の地盤改良を行った後、上側のトンネル構造体を構
築することにより、上側のトンネル構造体の構築時にお
ける地表付近の地盤の陥没を防止し、地下埋設物などの
防護を図ることができる。 【0025】第7の発明に係る土留壁の構築方法にあっ
ては、上側のトンネル構造体上端と地表面との間の地盤
に山留処理を施すことにより、地盤及び地下埋設物を容
易に防護することができ、かつ、安全な開削を行うこと
ができる。 【0026】第8および第9の発明に係る土留壁の構築
方法にあっては、トンネル構造体を作業空間として、遮
水性構造部材や止水体を構築することにより、遮水性構
造部材や止水体の構築のために新たに作業空間を形成す
ることなく、トンネル構造体内の空間を有効に活用して
遮水性構造部材や止水体を構築することができ、それだ
け工期を短縮化することができる。 【0027】 【実施例】以下、本発明の好適な実施例について、図面
を参照しつつ詳細に説明する。 【0028】図1は、本発明の第1の実施例に係る土留
壁を用いて構築した地下構造物を示す図である。 【0029】この地下構造物10は、地下鉄、洞道、共
同溝、地下道路、地下街、地下駐車場等に用いられるも
ので、開削工法により施工されるようになっている。こ
の地下構造物10の構築領域は、例えば、道路下の歩車
道境界線11に接して構築される。又、官民境界線12
付近の歩道下の地中には電力用ケーブルE、通信線T、
ガス管G、水道管W、下水渠等の多数の地下埋設物14
が集中して配設されており、この地下埋設物14の配設
された部分に土留壁を構築しなければならない状況とな
っている。このような状況下においては、地下埋設物1
4を移設しない限り、地表面16からの土留壁の構築は
不可能である。 【0030】そこで、本実施例においては、地表面16
からの土留壁の構築を避け、地下埋設物14の下方に土
留壁18を構築することにより、地下埋設物14の保護
をはかっている。 【0031】すなわち、地下埋設物14の下方地盤にシ
ールド掘進機を用いて矩形状断面の複数、本実施例にお
いては2本の横坑19を上下に間隔をおいて掘削し、こ
れら複数の横坑19に適宜厚さの覆工を施して2本のト
ンネル構造体20を構築し、この2本のトンネル構造体
20同士を遮水性構造部材21にて連結して、このトン
ネル構造体20および遮水性構造部材21を土留壁18
として用いるようにしている。 【0032】前記横坑19の掘削に用いるシールド掘進
機は、例えば、一辺が約3mの略正方形断面の掘進ユニ
ット46(図5,図6参照)を用い、矩形状の横坑19
を掘削することによって掘削土砂量をできるだけ低減す
る効果があり、任意の線形のトンネルを掘削・形成する
ことができる。この掘進ユニット46は、一対のドラム
カッタ47間にこれよりも小径の一対のリングカッタ4
8を配設されたものとなっており、中折れジャッキ49
により先端部を中折れさせて曲線施工を可能にするとと
もに、方向制御も可能なシステムとなっている。また、
トンネル構造体20は、前記シールド掘進機で掘削・形
成された横坑19の坑壁を、一部解体可能な鋼製セグメ
ント22を組立て連結して覆工するものである。即ち、
各トンネル構造体20の対向面部分に位置する鋼製セグ
メント22部分が解体、取り外し可能に設けられてお
り、この対向面部分の鋼製セグメント22を取り外し、
その取り外した開口部分からトンネル構造体20間の地
山に遮水性構造部材21を構築するようにしている。 【0033】この遮水性構造部材21は、BH杭、鋼矢
板、ソイルセメント柱列壁等により形成されるようにな
っている。この遮水性構造部材21の施工に際しては、
トンネル構造体20内の空間を作業空間として活用する
ことにより、作業が容易になし得るようになっている。 【0034】このように、地下埋設物14の下方に間隔
をおいて上下に構築した2本のトンネル構造体20同士
を遮水性構造部材21にて連結し、これらトンネル構造
体20および遮水性構造部材21を土留壁18として用
いることにより、地表面からの土留壁の構築作業を行う
ことなしに、かつ、地下埋設物14の切回し等を行う必
要がなく、大幅な工期の短縮が可能となる。 【0035】また、トンネル構造体20内には、コンク
リート等による内部覆工23が施され、このトンネル構
造体20内の空間を、例えば、避難点検路、換気路、設
備スペース、作業スペース等の各種用途空間として形成
するようにしている。 【0036】更に、この実施例においては、上下に間隔
をおいて構築したトンネル構造体20同士を遮水性構造
部材21により連結し得るようになっていることから、
下側のトンネル構造体20の底面を掘削床付高24より
も下方に位置させて、充分な土留を行ない得るようにし
ている。なお、地下構造物10は、前述のようにして構
築された土留壁18に囲まれた地盤を開削工法により、
地表面16より掘削して、その内部に構築されるように
なっている。また、本実施例においては、地下構造物1
0は下床41、側壁42、上床45からなる一層構造に
形成されている。 【0037】図2に示す第2の実施例においては、トン
ネル構造体20同士を遮水性構造部材21にて連結して
いることで、トンネル構造体20間の間隔をある程度自
由に設定できるため、土留壁18の高さを充分に確保し
て、地下構造物10を下床41、側壁42、中床43、
側壁44および上床45からなる二層構造に形成して、
地下空間を大きく確保するようにしている。また、下側
のトンネル構造体20の下部には、止水体26が併設さ
れ、この止水体26を土留壁18の一部とすることによ
り、下側のトンネル構造体20下方の土留及び止水対策
をはかるようにしている。この止水体26は、BH杭、
鋼矢板、ソイルセメント柱列壁等により、充分な根入れ
長を確保して形成されるようになっている。この止水体
26の施工に際しては、下側のトンネル構造体20内の
空間を作業空間として活用することにより、作業が容易
になし得るようになっている。なお、この場合、止水体
26は、連結構造体17の荷重を支持できるように設計
することも任意である。 【0038】図3に示す第3の実施例においては、地下
の有効利用を図るために、官民境界線12に近接して地
下構造物10を構築した例である。この場合、第1およ
び第2実施例と同様にトンネル構造体20を構築し、官
民境界線12に近接した位置のトンネル構造体20同士
を遮水性構造部材21にて連結して土留壁18を構築し
た後に、鋼製セグメント22の一部分を解体して前記ト
ンネル構造体10の内部に本体構造物を構築するもので
ある。 【0039】なお、本実施例においては、第2の実施例
と同様に、地下構造物10を下床41、側壁42、中床
43、側壁44および上床45からなる二層構造に形成
している。また、止水体26を第2実施例と同様に併設
することができる。 【0040】そして、図4に示す第4の実施例において
は、上側のトンネル構造体20を、図5に示す掘進ユニ
ット46を複数連結して縦長矩形断面の横坑19を掘削
し、この横坑19内に適宜厚さの覆工を施して構築して
いる。下側のトンネル構造体20は、前述の実施例と同
様に、略正方形断面の横坑19をシールド機にて掘削
し、この横坑19内に適宜厚さの覆工を施して構築して
いる。そして、官民境界線12に近接した位置のトンネ
ル構造体20同士を遮水性構造部材21にて連結して土
留壁18を構築するようにしている。この場合、上側の
トンネル構造体20が縦長に形成されて内部空間が上下
方向に広げられているため、この上側のトンネル構造体
20内を作業空間として遮水性構造部材21の構築を行
うことにより、作業を容易にすることが可能となってい
る。その結果、ある程度距離の長い遮水性構造部材21
であっても、比較的容易に構築することができ、それだ
け下側のトンネル構造体20の位置を深くすることがで
き、したがって例えば3層以上の地下構造物10も容易
に構築することが可能となる。 【0041】さらに、地下構造物10は、官民境界線1
2に近接した位置のトンネル構造体20同士を遮水性構
造部材21にて連結して土留壁18を構築した後に、鋼
製セグメント22の一部分を解体して前記トンネル構造
体10の内部に本体構造物を構築することで、官民境界
線12に近接して地下構造物10を構築し、地下の有効
利用を図るようにしている。 【0042】また、地下構造物10は、下床41、側壁
42、中床43a、側壁44a、中床43b、側壁44
b及び上床45からなる三層構造に形成されている。 【0043】次に、主として第2実施例に係る土留壁を
用いた地下構造物の構築方法について、図7〜図11を
中心に説明する。 【0044】まず、図7に示すように、地下構造物10
の構築領域において、官民境界線12付近に配設されて
いる電力用及び通信用ケーブル、ガス、水道等の管路、
下水渠等の地下埋設物14の下方地盤を、矩形のシール
ド掘進機により掘削しつつ、鋼製セグメント22を組立
て連結して、複数の断面矩形状のトンネル構造体20を
上下に間隔をおいて構築する。 【0045】この場合、まず前記地盤内の下側のトンネ
ル構造体構築領域にシールド掘進機により横坑19を掘
削し、この横坑19内に適宜厚さの覆工を施して下側の
トンネル構造体20を構築する。このとき、地表面から
の薬液注入や下側のトンネル構造体20の鋼製セグメン
ト22に設けられた注入孔から薬液29の注入を行うこ
となどにより、掘進前方あるいは掘進後方の上側のトン
ネル構造体構築領域上部付近、即ち地下埋設物14の下
方地盤を地盤改良して、積層上側の横坑19の掘削時に
おける地盤の陥没を防止して、地下埋設物14を防護す
ることが望ましい。 【0046】そして、図8に示すように、前記地盤改良
後、上側のトンネル構造体構築領域に、シールド掘進機
により、横坑19を構築し、この横坑19内に適宜厚さ
の覆工を施して上側のトンネル構造体20を構築する。 【0047】次に、図9に示すように、トンネル構造体
20同士の対向面に設けた鋼製セグメント22を取り外
し、上側のトンネル構造体20からトンネル構造体20
間に遮水性構造部材21の構築を行い、トンネル構造体
20同士を連結して、トンネル構造体20間の土留およ
び止水を行う。 【0048】この場合、上側のトンネル構造体20の底
部より、必要に応じて止水材25を注入し、上側のトン
ネル構造体20の底部の鋼製セグメント22の一部を解
体して、上側のトンネル構造体20内を作業空間として
遮水性構造部材21を構築する。遮水性構造部材21と
しては、作業可能な空間高さに応じて、例えば図12,
図13に示すように、BH杭工法を用いて適宜深さまで
上側のトンネル構造体20の下方地盤を撹拌翼で撹乱
し、応力材(例えばH型鋼27)を継ぎ足しながら建て
込んだ後、モルタルを打設してBH杭28が造成され
る。なお、作業可能であれば、ソイルセメント柱列壁工
法や鋼矢板工法などを用いて遮水性構造部材21を構築
してもよい。いずれにしても、後工程の掘削作業に支障
となる壁面崩壊や漏水が生じないように遮水性構造部材
21を構築する必要がある。 【0049】このように、地下埋設物14の存在にかか
わらず、地下構造物10の構築領域に掘削形成したトン
ネル構造体20同士を遮水性構造部材21で連結一体化
した土留壁18を容易かつ確実に形成することができ、
しかも地表面16から土留杭を打込んだり、掘削を行っ
たりする必要がなく、地下埋設物14の損傷の防止、工
期の短縮化及び振動や騒音等による周辺環境の悪化を防
止することが可能となる。 【0050】次いで、図9に示すように、トンネル構造
体20内にコンクリート等により、内部覆工31を施
し、この内部覆工31により囲まれた空間を、例えば作
業通路、掘削土砂の搬送路、資材搬入路などの各種用途
空間として形成する。 【0051】一方、開削領域においては、路面覆工およ
び土留支保工等による荷重を支持し、土留架構を形成す
るための中間杭30を所定の深さまで、所要本数打設す
る(図8参照)。 【0052】次いで、ライナープレート等の土留板31
を打込んで地下埋設物14や地盤の側方移動を防止しつ
つ、2〜3m程度の掘削を行い、覆工受桁34、覆工桁
33、覆工板32を架設して路面覆工を行う(図9参
照)。 【0053】そして、図10に示すように、土留壁18
を前述のように構築した後、最終掘削深さである掘削床
付高24位置に応じて適宜回数の掘削段階を設け、各掘
削段階毎に腹起し35、切梁36、切梁受桁37等の土
留支保工を架設しながら掘削を行う。 【0054】掘削終了後は、図11に示すように、基礎
コンクリート40を打設し、適宜切梁等の土留支保工を
解体しながら、下床41及び側壁42、中床43および
側壁44、上床45の順に地下構造物10の構築を行
う。 【0055】このようにして、開削工法により掘削され
た空間内に地下構造物10を構築する。この地下構造物
10は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
等により充分な強度をもたせて形成されるようになって
いる。 【0056】そして、図11の状態において、地下構造
物10の上方の土留支保工を解体しつつ、埋め戻しする
ことにより、図2に示すような状態が得られることとな
る。 【0057】図12,図13に、上記実施例における土
留壁及び地下構造物の施工フローを示す。 【0058】なお、上記実施例において、地下構造物1
0は順巻工法で構築する例を述べたが、逆巻工法により
構築することも可能であり、地下構造物10を3層以上
の多層構造としてもよい。 【0059】また、地下の有効利用を図るために、地下
構造物10を官民境界線12に近接して構築する第3、
第4の実施例の場合には、以下のように施工することが
できる。 【0060】すなわち、地下構造物10より上方の地盤
を掘削するときには、上記第2実施例と同様に行うこと
が可能である。そして、下方地盤の掘削に対しては、地
下構造物10の構築範囲の鋼製セグメントを、主桁部を
残して解体し、土留壁18の内部空間を掘削によって生
じる空間と同様に扱うことにより、前記実施例と同様に
施工することができる。この場合、好ましくは、官民境
界線12側のセグメント21を内部覆工23で補強して
おくとよい。 【0061】本発明は、前記実施例に限定されるもので
はなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施
が可能である。 【0062】例えば、前記実施例においては、矩形断面
の横坑を示したが、この例に限らず、円形のシールド掘
進機を用いて上下に複数の円形のトンネル構造体を構築
し、このトンネル構造体同士を遮水性構造部材にて連結
して土留壁として用いるようにしてもよい。 【0063】また、縦長楕円あるいは縦長長円形等のト
ンネル構造体を遮水性構造部材にて連結して土留壁とす
ることも可能である。 【0064】 【発明の効果】以上説明したように、第1の発明及び第
5の発明に係る土留壁及びその構築方法にあっては、地
上からの土留壁の施工が不可能な地盤中に適宜間隔をお
いて上下に複数の横坑を掘削し、この横坑内に適宜厚さ
の覆工を施してトンネル構造体を構築し、これら上下の
トンネル構造体同士を遮水性構造部材にて連結し、これ
らトンネル構造体及び遮水性構造部材を土留壁として用
いることにより、地表面から作業することなしに土留壁
の構築ができ、従って振動や騒音を防止して周囲環境の
悪化を防止すると共に、土留壁構築のために地表面を掘
削して地下埋設物を切回す必要がなく、従って工期を大
幅に短縮することができるという効果がある。 【0065】また、横坑内に必要厚さの覆工を施すこと
により、作用する外力を安全に支持し、横坑内を各種作
業空間として活用することができるという効果がある。 【0066】第2の発明に係る土留壁にあっては、横坑
を断面矩形状に掘削形成することにより、掘削断面が小
さくて済む上に、任意の線形を選択することができ、土
被りを小さくすることができるという効果がある。 【0067】第3の発明に係る土留壁にあっては、下側
のトンネル構造体の下部に止水体を併設することによ
り、必要な根入れ長を確保することができ、掘削床付高
が下側のトンネル構造体底面よりも下になる場合におい
ても、止水体により充分な止水を行うことができるとい
う効果がある。 【0068】第4および第10の発明に係る土留壁およ
びその構築方法にあっては、トンネル構造体の覆工の一
部を解体してトンネル構造体内から遮水性構造部材面に
わたって地下構造物の本体構造をなす壁体を構築するこ
とにより、地下構造物を構築可能領域ぎりぎりに構築し
て、地下の有効利用を図ることができるという効果があ
る。 【0069】第6の発明に係る土留壁の構築方法にあっ
ては、下側のトンネル構造体を構築し、この下側のトン
ネル構造体内より、上側のトンネル構造体構築領域上部
付近の地盤改良を行った後、上側のトンネル構造体を構
築することにより、上側のトンネル構造体の構築時にお
ける地表付近の地盤の陥没を防止し、地下埋設物などの
防護を図ることができるという効果がある。 【0070】第7の発明に係る土留壁の構築方法にあっ
ては、上側のトンネル構造体上端と地表面との間の地盤
に山留処理を施すことにより、地盤及び地下埋設物を容
易に防護することができ、かつ、安全な開削を行うこと
ができるという効果がある。 【0071】第8および第9の発明に係る土留壁の構築
方法にあっては、トンネル構造体を作業空間として、遮
水性構造部材や止水体を構築することにより、遮水性構
造部材や止水体の構築のために新たに作業空間を形成す
ることなく、トンネル構造体内の空間を有効に活用して
遮水性構造部材や止水体を構築することができ、それだ
け工期を短縮化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1の実施例に係る土留壁を用いた地
下構造物を示す断面図である。 【図2】本発明の第2の実施例に係る土留壁を用いた地
下構造物を示す断面図である。 【図3】本発明の第3の実施例に係る土留壁を用いた地
下構造物を示す断面図である。 【図4】本発明の第4の実施例に係る土留壁を用いた地
下構造物を示す断面図である。 【図5】図5は矩形状断面の横坑を掘削する掘進ユニッ
トを示す正面図である。 【図6】その断面図である。 【図7】第2実施例における下側のトンネル構造体を構
築する工程を示す断面図である。 【図8】図7の状態から上側のトンネル構造体を構築す
る工程を示す断面図である。 【図9】図8の状態からトンネル構造体同士を遮水性構
造体で連結して開削を開始する工程を示す断面図であ
る。 【図10】図9の状態から開削終了までの工程を示す断
面図である。 【図11】図10の状態から地下構造物を構築する工程
を示す断面図である。 【図12】トンネル構造体からBH杭用の掘削を行う状
態を示す断面図である。 【図13】図12の状態から鋼材を打ち込む状態を示す
断面図である。 【図14】第2実施例における施工工程図である。 【符号の説明】 10 地下構造物 14 地下埋設物 16 地表面 18 土留壁 19 横坑 20 トンネル構造部材 22 遮水性構造部材
フロントページの続き (72)発明者 舘川 裕次 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田 建設株式会社内 (72)発明者 請川 誠 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田 建設株式会社内 (72)発明者 窪田 敬昭 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田 建設株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E21D 13/00 E21D 17/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 地上からの土留壁の施工が不可能な地盤
    内に構築される土留壁であって、 前記地盤中に適宜間隔をおいて上下に掘削された複数の
    横坑内に適宜厚さの覆工を施したトンネル構造体と、 前記上下のトンネル構造体同士を連結する遮水性構造部
    材と、 を含むことを特徴とする土留壁。 【請求項2】 請求項1において前記トンネル構造体
    は、断面矩形状に構築されることを特徴とする土留壁。 【請求項3】 請求項1または2において、 前記下側のトンネル構造体の下部に、止水体を併設した
    ことを特徴とする土留壁。 【請求項4】 請求項1、2、3のいずれかにおいて、 前記トンネル構造体の覆工が解体可能に構築されるとと
    もに、 前記トンネル構造体内から遮水性構造部材面にわたって
    設けられた壁体が地下構造物の本体構造として構築され
    ることを特徴とする土留壁。 【請求項5】 地上からの施工が不可能な地盤内をシー
    ルド掘進機により適宜間隔をおいて上下複数の横坑を掘
    削する工程と、 前記横坑内に適宜厚さの覆工を施してトンネル構造体を
    構築する工程と、 前記トンネル構造体同士を遮水性構造部材で連結する工
    程と、 を含むことを特徴とする土留壁の構築方法。 【請求項6】 請求項5において、 前記地盤内の下側のトンネル構築領域にシールド掘進機
    により横坑を掘削し、この横坑内に適宜厚さの覆工を施
    して下側のトンネル構造体を構築する工程と、 前記下側のトンネル構造体内から上側のトンネル構造体
    構築領域上部付近の地盤改良を行う工程と、 前記地盤改良後、上側のトンネル構築領域にシールド掘
    進機により横坑を掘削し、この横坑内に適宜厚さの覆工
    を施して上側のトンネル構造体を構築する工程と、 を含むことを特徴とする土留壁の構築方法。 【請求項7】 請求項5または6において、 前記トンネル構造体の構築後、少なくとも前記上側のト
    ンネル構造体上端と地表面との間の地盤に山留処理を施
    す工程を含むことを特徴とする土留壁の構築方法。 【請求坑8】 請求項5、6、7のいずれかにおいて、 前記トンネル構造体の構築後、前記トンネル構造体を作
    業空間として、トンネル構造体同士を遮水性構造部材で
    連結することを特徴とする土留壁の構築方法。 【請求項9】 請求項5、6、7、8のいずれかにおい
    て、 前記トンネル構造体の構築後、下側のトンネル構造体の
    内部を作業空間として、 前記下側のトンネル構造体の下部に止水体を構築する工
    程を含むことを特徴とする土留壁の構築方法。 【請求項10】 請求項5、6、7、8、9のいずれか
    において、 前記トンネル構造体同士を遮水性構造部材にて連結した
    後、トンネル構造体の覆工の一部を解体する工程と、 前記トンネル構造体内から遮水性構造部材にわたって壁
    体を構築する工程と、 を含むことを特徴とする土留壁の構築方法。
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