JP2960316B2 - 土留構造体及びその構築方法 - Google Patents

土留構造体及びその構築方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土留構造体およびその
構築方法に関し、特に、土留壁の構築位置に地下埋設物
や地上構造物等が存在するために、地上から土留壁の施
工が不可能な条件下においても施工可能な土留構造体お
よびその構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、地下鉄、洞道、共同溝、地下道
路、地下街、地下駐車場等の地下構造物を構築する方法
として開削工法が知られている。
【0003】この開削工法では、掘削領域外周に地上作
業によって土留壁を構築し、この土留壁によって囲まれ
た領域に、適宜路面覆工および切梁支保工等を設けて周
辺地盤・土留支保工の安定を図りながら、段階的に地下
掘削を行って、その内空に目的とする地下構造物を構築
して埋め戻しを行うものであり、市街地における掘削工
事においても、従来から多用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
市街地においては、電力用および通信用ケーブル、ガ
ス、水道等の管路、下水渠等多くの地下埋設物が輻輳
し、また、地下構造物および鉄道等の営業線に近接した
工事が増加するとともに、騒音や振動等の周辺環境への
悪影響など、開削工法による地下構造物の施工が著しく
困難な状況になってきている。
【0005】すなわち、従来工法によれば、土留壁を構
築しようとする位置に地下埋設物が存在する場合には、
地下埋設物の防護を行う必要があり、そのため地下埋設
物の埋設深さまで主として人力で掘削し、支障となる地
下埋設物の移設・切回しを行う必要があり、そのための
スペースを確保しなければならなかった。しかも、地下
埋設物の種類によってはその管理者が異なるため、移設
・切回しを行うのに多大な日数を必要とし、工期延長の
原因になるという問題があった。
【0006】また、大深度の土留壁においては、土留壁
を構築するためのスペースが大きく必要となり、さらに
は既設構造物に近接している場合には、騒音や振動等の
影響が大きく、周囲環境を著しく乱すこととなり、その
ため近隣住民の反対が強く、施工が困難になるという問
題があった。
【0007】さらに、地上構造物や営業線直下を掘削し
なければならないような場合には、地上からの土留壁の
構築が全く施工できないという問題があった。
【0008】本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、地下埋設物や地上構造物
等が存在することによって、地上からの土留壁の構築が
不可能であるような条件の地盤においても、安全かつ確
実に土留壁の構築ができ、しかも地上からの開削部分を
皆無もしくは最小限に抑え、周辺環境に悪影響を与える
ことのない土留構造体およびその構築方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、第1の発明に係る土留構造体は、地上からの土留壁
の施工が不可能な地盤内に構築される土留構造体であっ
て、前記地盤中に掘削・覆工して構築したトンネル構造
体にて形成した土留壁と、この土留壁の上部に少なくと
も一端を支持させた上部荷重支持用の上部構造体とを備
え、前記トンネル構造体の覆工が解体可能に構築される
とともに、 前記トンネル構造体に設けられた壁体が地下
構造物の本体構造として構築されることを特徴とする土
留構造体。
【0010】第2の発明に係る土留構造体は、上部構造
体が前記地盤中に複数の鋼管を横方向に連続して挿入し
たパイプルーフにて形成されることを特徴としている。
【0011】第3の発明に係る土留構造体は、上部構造
体が前記地盤中に適宜間隔をおいて横方向に並列して掘
削・覆工された複数のトンネル構造体を連結し、連続し
た内部空間を有する連結構造体にて形成されることを特
徴としている。
【0012】第4の発明に係る土留構造体は、土留壁が
前記地盤中に掘削された縦長断面の横坑内に適宜厚さの
覆工を施したトンネル構造体として構築されることを特
徴としている。
【0013】第5の発明に係る土留構造体は、前記土留
壁が、前記地盤中に適宜間隔をおいて上下方向に積層し
て掘削・覆工された複数のトンネル構造体を連結し、連
続した内部空間を有する連結構造体として形成されるこ
とを特徴としている。
【0014】第6の発明に係る土留構造体は、土留壁が
前記地盤中に適宜間隔をおいて上下に掘削された複数の
横坑内に適宜厚さの覆工を施したトンネル構造体と、前
記上下のトンネル構造体同士を連結する遮水性構造部材
とで構築されることを特徴としている。
【0015】第7の発明に係る土留構造体は、トンネル
構造体が断面矩形状に構築されることを特徴としてい
る。
【0016】第8の発明に係る土留構造体は、前記土留
壁を構成するトンネル構造体の下部に、止水体を併設し
たことを特徴としている。
【0017】
【0018】第の発明に係る土留構造体の構築方法
は、地上からの施工が可能な地盤内に支持杭を打ち込
み、所定深さ開削して土留を行い、開削坑を形成する工
程と、地上からの土留壁の施工が不可能な地盤内に、シ
ールド掘進機により、横坑を掘削し、この横坑内に適宜
厚さの覆工を施してトンネル構造体を構築して、このト
ンネル構造体により土留壁を構築する工程と、前記開削
坑内から前記トンネル構造体の上部に向けて複数の鋼管
を地盤中に横方向に連続して挿入して一端を前記トンネ
ル構造体に固定し、他端を前記支持杭に固定してパイプ
ルーフからなる上部荷重支持用の上部構造体を構築する
工程と、前記土留壁を構成するトンネル構造体の覆工の
一部を解体する工程と、 トンネル構造体の内部に壁体を
構築する工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】第10の発明に係る土留構造体の構築方法
は、地上からの土留壁の施工の不可能な地盤内にシール
ド掘進機により、横坑を掘削し、この横坑内に適宜厚さ
の覆工を施してトンネル構造体を構築し、このトンネル
構造体により土留壁を構築する工程と、前記土留壁の上
部間の地盤中に適宜間隔をおいて横方向に並列して複数
の横坑を掘削し、この横坑内に適宜厚さの覆工を施して
構築された複数のトンネル構造体を連結して連続する内
部空間を有する連結構造体を形成し、この連結構造体の
両端を前記土留壁の上部に固定して上部荷重支持用の上
部構造体を構築する工程と、前記土留壁または上部構造
体を構成するトンネル構造体の覆工の一部を解体する工
程と、 トンネル構造体の内部に壁体を構築する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0020】第12の発明に係る土留構造体の構築方法
は、前記トンネル構造体により土留壁を構築した後、土
留壁を構成するトンネル構造体の内部を作業空間として
トンネル構造体の下部に止水体を構築することを特徴と
している。
【0021】
【0022】第12の発明に係る土留構造体の構築方法
は、請求項10において、前記上部構造体を構成するト
ンネル構造体の内部を作業空間としてトンネル構造体の
下部に 前記地下埋設物の下方地盤に積層して掘削され
た複数の横坑が連続構造体として連結構築されているこ
とを特徴としている。
【0023】
【作用】前記構成の第1の発明に係る土留構造体にあっ
ては、地盤中に掘削・覆工して構築したトンネル構造体
にて土留壁を形成することにより地表面から作業するこ
となしに土留壁の構築ができ、したがって振動や騒音を
防止して周囲環境の悪化を防止するとともに、土留壁構
築のために地表面を掘削して地下埋設物を切回す必要が
なく工期を大幅に短縮することができる。
【0024】また、この土留壁の上部に少なくとも一端
を支持させた上部荷重支持用の上部構造体を設けること
により、この上部構造体が上部荷重を支持している部分
については、路面覆工などの地上施工が不要となり、し
かも上部構造体の構築には必要最小限の開削部分からの
施工を行うことができ、開削部分を最小限に抑え、ある
いは地上施工を全く行うことなく構築できることとな
り、路上などの交通の妨げになることがなく、しかも地
上の静穏さを確保することができる。さらに、トンネル
構造体の一部を解体してトンネル構造体内の壁体を地下
構造物の本体構造として構築することにより、地下構造
物を構築可能領域ぎりぎりに構築して、地下の有効利用
を図ることができる。
【0025】第2の発明に係る土留構造体にあっては、
上部構造体を地盤中に複数の鋼管を横方向に連続したパ
イプルーフにて形成することにより、鋼管の打ち込みの
ための開削を行うだけで上部構造体が構築でき、路面覆
工等の地上施工を大幅に減少させ、しかも容易かつ短期
間で上部構造体の施工を行うことが可能となる。
【0026】第3の発明に係る土留構造体にあっては、
上部構造体を横方向に並設した複数のトンネル構造体を
連結してなる連結構造体にて形成することにより、地上
からの開削を行うことなく上部構造体を構築することが
でき、路面覆工等の施工を行う必要がなく、路上などの
交通の妨げになることがなく、しかも地上の静穏さを十
分に確保することが可能となる。
【0027】第4の発明に係る土留構造体にあっては、
縦長断面の横坑内に適宜厚さの覆工を施したトンネル構
造体にて土留壁を形成することにより、所定深さの土留
壁を容易に形成することができ、しかも横坑内に必要厚
さの覆工を施すことにより、作用する外力を安全に支持
し、横坑内を各種用途空間として活用することができ
る。
【0028】第5の発明に係る土留構造体にあっては、
上部方向の複数のトンネル構造体を連結した連結構造体
により土留壁を形成することにより、作用する外力を安
全に支持し、かつトンネル構造体内の空間を拡大して、
その空間を各種用途空間として活用することができる。
また、積層する複数のトンネル構造体間の距離を調整す
ることにより、構築しようとする地下構造物の高さに応
じて土留壁の深さを容易に変化させることができる。
【0029】第6の発明に係る土留構造体にあっては、
上下に間隔をおいて掘削・覆工された複数のトンネル構
造体同士を遮水性構造部材で連結することにより、トン
ネル構造体の構築を少なくして、工期の短縮化を図ると
ともに、遮水性構造部材により十分な深さの土留壁の構
築が容易に行えることとなる。
【0030】第7の発明に係る土留構造体にあっては、
トンネル構造体を断面矩形上に構築することにより、掘
削断面が小さくて済むうえに、任意の線形を選択するこ
とができ、土被りを小さくすることが可能となる。
【0031】第8の発明に係る土留構造体にあっては、
土留壁を構成するトンネル構造体の下部に止水体を併設
することにより、必要な根入れ長を確保することがで
き、掘削床付高が下側のトンネル構造体底面よりも下に
なる場合においても、止水体により十分な止水を行うこ
とができる。
【0032】
【0033】第の発明に係る土留構造体の構築方法に
あっては、地上からの施工が可能な地盤内に支持杭を打
ち込み、所定深さ開削して土留めを行い、地上からの土
留壁の施工が不可能な地盤内にトンネル構造体を構築
し、前記開削坑内からトンネル構造体の上部に向けて鋼
管を地盤中に打ち込み、パイプルーフからなる上部構造
体を構築することにより、地上からの開削領域を最小限
に抑え、しかもパイプルーフの構築が開削溝から容易に
行うことができ、路面覆工等の地上施工を大幅に減少さ
せて地上の静穏を確保することが可能となる。また、土
留壁の一部を地下構造物の構築領域として地下構造物を
その幅方向において構築可能領域ぎりぎりに構築し、地
下の有効利用を図ることができる。
【0034】第10の発明に係る土留構造体の構築方法
にあっては、土留壁および上部構造体をトンネル構造体
にて構築することにより、地上からの施工を一切行うこ
となく施工ができ、路上などの交通の妨げになることが
なく、しかも地上の静穏を確保しつつ、地上からの土留
壁の施工の不可能な地盤内にも土留壁を構築することが
できる。また、土留壁の一部を地下構造物の構築領域と
して地下構造物をその幅方向において構築可能領域ぎり
ぎりに構築し、地下の有効利用を図ることができる。
【0035】第11の発明に係る土留構造体の構築方法
にあっては、土留壁を構成するトンネル構造体の内部を
作業空間としてトンネル構造体の下部に止水体を構築す
ることにより、止水体の構築のために新たに作業空間を
形成することなく、トンネル構造体内の空間を有効に活
用して止水体を構築することができ、それだけ工期を短
縮することができる。
【0036】
【0037】第12の発明に係る土留構造体の構築方法
にあっては、上部構造体を構成するトンネル本体の内部
を作業空間としてトンネル構造体の下部に上部構造体用
の支持杭を打設することにより、地上からの施工を行う
ことなく支持杭の打設が行え、より一層地上の静穏を確
保することができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について、図面
を参照しつつ詳細に説明する。
【0039】図1は、本発明の第1実施例に係る土留構
造体を用いて構築した地下構造物を示す図である。
【0040】この地下構造物10は、地下鉄、洞道、共
同溝、地下道路、地下街、地下駐車場等に用いられるも
ので、この地下構造物10の構築領域は、たとえば、道
路下の歩車道境界線12に接して構築される。また、官
民境界線14付近の歩道下の地中には、電力用ケーブル
E、通信線T、ガス管G、水道管W、下水渠等の多数の
地下埋設物16が集中して配設されており、この地下埋
設物16の配設された部分に土留壁を構築しなければな
らない状況となっている。このような状況下において
は、地下埋設物16を移設しない限り、地表面18から
の土留壁の構築は不可能である。また、近年の道路は、
交通量が増大しており、しかも沿道住民の静穏な生活環
境を確保する必要があるため、道路を開削することによ
って交通を停止させたり、騒音や振動を発生させること
が困難な状況にある。
【0041】そこで、本実施例においては、地表面18
からの土留壁の構築を避け、地下埋設物16の下方に土
留壁20を構築することにより、地下埋設物16の保護
を図るとともに、この土留壁20の上部に上部荷重支持
用の上部構造体22を構築することにより、地上からの
開削を行うことなく地盤内に地下構造物10を構築し
て、道路の交通を停止させることなく、しかも沿道住民
の静穏な生活環境を確保するようにしている。
【0042】すなわち、地下埋設物16の下方地盤にシ
ールド掘進機を用いて縦長の矩形状断面の複数、本実施
例においては2本の横坑24を上下に適宜の間隔をおい
て積層して掘削し、これら積層された複数の横抗24に
適宜厚さの覆工を施して2本のトンネル構造体26を構
築し、この2本のトンネル構造体26を連結して連続し
た内部空間を有する連結構造体28を構築し、この連結
構造体28を土留壁20として用いるようにしている。
【0043】前記横坑24の掘削に用いるシールド掘進
機は、たとえば、図15および図16に示すように、一
辺が約3メートルのほぼ正方形断面の掘進ユニット30
を2台縦方向に連結したものを用い、縦長の矩形上の横
坑24を掘削することによって、掘削土砂量をできるだ
け低減する効果があり、任意の線形のトンネルを掘削・
形成することができる。この掘進ユニット30は、一対
のドラムカッタ32間にこれよりも小径の一対のリング
カッタ34が配設されたものとなっており、中折れジャ
ッキ36により先端部を中折れさせて曲線施工を可能に
するとともに、方向制御も可能なシステムとなってい
る。また、トンネル構造体26は、前記シールド掘進機
で掘削・形成された横坑24の坑壁を、一部解体可能な
鋼製セグメント38を組み立て連結して覆工するもので
ある。
【0044】これらトンネル構造体28の覆工に用いる
鋼製セグメント38は、その側面に山留用のスライド鋼
板40を備え、このスライド鋼板40を鋼製セグメント
38内から油圧ジャッキ(図示せず)等を用いて積層し
たトンネル構造体26間の地山に圧入して山留めを行え
るようになっている。さらに各トンネル構造体26の対
向面部分に位置する鋼製セグメント38が解体、取り外
し可能に設けられており、この対向面部分の鋼製セグメ
ント38を取り外し、その取り外した開口部分から積層
したトンネル構造体26およびスライド鋼板40に囲ま
れた地山を掘削して、トンネル構造体26同士を連結し
て連続する連結構造体28として構築するようにしてい
る。また、トンネル構造体26同士は、対向する隅角部
42同士がPC鋼棒やH型鋼等の連結部材やコンクリー
ト等(図示せず)により構造的に連結一体化されるよう
になっている。
【0045】このように、地下埋設物16の上下方向に
積層して構築したトンネル構造体26同士を連結構造体
28として連続させて構築し、この連結構造体28を土
留壁20として用いることにより、地表面からの土留壁
の構築作業を行わずに済み、かつ、地下埋設物16の切
回し等を行う必要がなく、大幅な工期の短縮が可能とな
る。
【0046】また、連結構造体28内には、コンクリー
ト等による内部覆工44が施され、この連結構造体28
内の空間を、たとえば、避難点検路、換気路、設備スペ
ース、作業スペース等の各種用途空間として形成するよ
うにしている。
【0047】さらに、この実施例においては掘削床付高
46が積層下側のトンネル構造体26の底面よりも、下
方に位置し、土留壁の根入れが不足するため、積層下側
のトンネル構造体26の下部に、止水体48を併設し
て、土留壁20の一部とすることにより、積層下側のト
ンネル構造体26下方の土留めおよび止水対策を図るよ
うにしている。この止水体48は、BH杭、鋼矢板、ソ
イルセメント柱列壁等により、十分な根入れ長を確保し
て形成されるようになっている。この止水体48の施工
に際しては、トンネル構造体26同士が連結された連結
構造体28内の空間を作業空間として活用することによ
り、作業が容易になし得るようになっている。なお、こ
の場合、止水体48は、連結構造体28の荷重を支持で
きるように設計することも任意である。
【0048】上部構造体22は、前述のようにして構築
した土留壁20の上部位置に相当する地盤中に適宜間隔
をおいて横方向に複数、本実施例においては5本の横坑
50を並列して掘削し、これら並列された5本の横坑5
0に適宜厚さの覆工を施して5本のトンネル構造体52
を構築し、この5本のトンネル構造体52を連結して連
続した空間を有する連結構造体52を構築し、この連結
構造体54の両端を前記土留壁20の上部に固定するこ
とにより、地上からの開削施工を行うことなく構築さ
れ、道路交通を妨げることなく、しかも沿道住民の静穏
な生活環境を確保し得るようにしている。
【0049】この上部構造体22の横坑50の掘削に用
いるシールド掘進機は、掘進ユニット30を横方向に2
台連結したものを用い、横長の矩形上の横坑50を掘削
し得るようになっている。また、トンネル構造体52の
覆工に用いる鋼製セグメント56は、その上下面に山留
め用のスライド鋼板40を備え、このスライド鋼板40
を鋼製セグメント56内から隣り合うトンネル構造体5
2間の地山に圧入して山留めを行い、スライド鋼板40
により山留めを行ったトンネル構造体52間の地山を鋼
製セグメント56の一部を取り外して掘削し、トンネル
構造体52同士を連結して連続する内部空間を有する連
結構造体54として構築するようにしている。また、ト
ンネル構造体52同士は、対向する隅角部58同士がP
C鋼棒やH型鋼等の連結部材やコンクリート等(図示せ
ず)により構造的に連結一体化されるようになってい
る。
【0050】さらに、連結構造体54内には、コンクリ
ート等による内部覆工44が施され、この連結構造体5
4内の空間を、たとえば、避難点検路、換気路、設備ス
ペース、作業スペース等の各種用途空間として形成する
ようにしている。
【0051】そしてさらに、本実施例においては、連結
構造体54内の空間が作業空間として形成されているた
め、この連結構造体54内を作業空間として、連結構造
体54内からトンネル構造体52の下部に支持杭60を
打設し、この支持杭60を土留壁20間の地盤中に打ち
込み、上部構造体22を支持させることにより、地上か
らの支持杭の打ち込み作業を行わずに済むようにしてい
る。なお、本実施例においては、支持杭60は2本設け
られているが、必要に応じ本数を増やすことは任意にな
し得るものである。
【0052】地下構造物10は、前述のようにして構築
された土留壁20および上部構造体22に囲まれた地盤
を、地上からの開削を行うことなく、地中掘削すること
により、その内部に構築されるようになっている。
【0053】図2は、本発明の第2実施例に係る土留構
造体を用いて構築した地下構造物を示す図である。
【0054】本実施例においては、土留壁20は、第1
実施例と同様に、地下6の下方地盤にシールド掘進機を
用いて縦長の矩形状断面の2本の横坑24を適宜間隔を
おいて上下に積層して掘削し、これら積層された複数の
横坑24に適宜厚さの覆工を施して2本のトンネル構造
体26を構築し、この2本のトンネル構造体26を連結
して連続した空間を有する連結構造体28を構築すると
ともに、積層下側のトンネル構造体26の下部に止水体
48を併設して構築されており、これに対し上部構造体
62が地上から開削した開削坑64内から施工される点
で第1実施例と異なるものである。
【0055】すなわち、開削坑64は、地下埋蔵物16
の存在しない車道領域に地上から支持杭66を所定間隔
で打設し、この支持杭66間を地上から開削し、路面覆
工板120を支持杭66の上端に支持させ、土留めを行
いつつ、土留壁20の上部に対応する位置まで掘削形成
されるようになっている。
【0056】そして、開削坑64内から地盤中に複数の
鋼管68を横方向に連続して挿入して鋼管68の挿入先
端部を土留壁20に固定し、挿入基端側を支持杭66に
固定することによりパイプルーフを構築し、このパイプ
ルーフを上部構造体62として上部荷重を支持させ、か
つ土留めを行うようにしている。
【0057】このように、地上より開削を行って上部構
造体62を形成するものであるが、その開削領域は、鋼
管68を打ち込むためのスペースがあれば足りるため、
開削領域を最小限に抑えて路面覆工の施工領域を最小限
にして、交通の妨げになることはなく、しかも地上の静
穏さを確保することが可能となる。
【0058】図3には、土留壁の変形例を示す。
【0059】この土留壁70は地下埋設物16の下方地
盤にシールド掘進機を用いて矩形状断面の2本の横坑7
2を上下に間隔をおいて掘削し、これら複数の横坑72
に適宜厚さの覆工を施して2本のトンネル構造体74を
構築し、この2本のトンネル構造体74同士を遮水性構
造部材76にて連結するとともに、下側のトンネル構造
体74の下部に止水体48を併設して構成されるように
なっている。
【0060】遮水性構造部材76は、BH杭、鋼矢板、
ソイルセメント柱列壁等により形成されるようになって
いる。この遮水性構造部材に76の施工に際しては、た
とえば、上側のトンネル構造体74の空間を作業空間と
して活用することにより、作業が容易になし得るように
なっている。
【0061】このように、地下埋設物16の下方に間隔
をおいて上下に構築した2本のトンネル構造体74同士
を遮水性構造部材76にて連結することにより、遮水性
構造部材76の長さをある程度自由に調整でき、土留壁
70の深さもある程度深くすることが可能となる。
【0062】図4には、土留壁の他の変形例を示す。
【0063】この土留壁80は、地下埋設物16の下方
地盤にシールド掘進機を用いて矩形状の縦長断面の横坑
82を掘削し、該横坑82に適宜厚さの覆工を施してト
ンネル構造体84を構築し、このトンネル構造体84の
下部に止水体48を併設して構成されている。
【0064】このように、構築しようとする地下構造物
の高さがそれほど必要がないときには、1本のトンネル
構造体84の構築を行い、止水体48にて十分な根入れ
長を確保することにより、施工期間の短縮化および工期
の削減が可能となる。
【0065】図5には、地下の有効利用を図るために、
官民境界線14に近接して地下構造物10を構築した例
を示す。
【0066】この場合、第2実施例と同様に、適宜間隔
をおいて上下に積層してトンネル構造体26を構築し、
これらトンネル構造体26同士を連結して連続した内部
空間を有する連続構造体28を構築し、さらに下側のト
ンネル構造体26の下部に止水体48を併設して土留壁
86を構築するとともに、この土留壁86の上部に複数
の鋼管68を横方向に連続させたパイプルーフから構成
される上部構造体62を連結して土留構造体88が構築
されている。また、土留壁86の止水体48は、官民境
界線14に近接した位置に造成されるようになってい
る。
【0067】そして、連結構造体28の官民境界線14
側に内部覆工90を施したのち、トンネル構造体20の
覆工の一部を解体して連結構造体28の内部に前記内部
覆工90を壁体の一部とする地下構造物10を構築する
ようにしている。
【0068】次に、第1実施例に係る土留壁を用いた地
下構造物の構築方法について土留構造体の構築方法とと
もに、図6から図11を中心に説明する。
【0069】まず、図6で示すように、地下構造物10
の構築領域において、官民境界線14付近に配設されて
いる電力用および通信用ケーブル、ガス、水道等の管
路、下水渠等の地下埋設物14の下方地盤を、縦長の矩
形のシールド掘進機により掘削しつつ、鋼製セグメント
38を組み立て連結して、2本の断面縦長の矩形状のト
ンネル構造体26を上下に適宜間隔をおいて積層させて
構築する。
【0070】この場合、まず前記地盤内の積層下側のト
ンネル構造体構築領域にシールド掘進機により横坑24
を掘削し、この横坑24内に適宜厚さの覆工を施して積
層下側のトンネル構造体26を構築する。このとき、地
上からの薬液注入や積層下側のトンネル構造体26の鋼
製セグメント38に設けられた注入孔から薬液92の注
入を行うなどにより、掘進前方あるいは掘進後方の積層
上側のトンネル構造体構築領域上部付近、すなわち地下
埋設物16の下方地盤を地盤改良して、積層上側の横坑
24の掘削時における地盤の陥没を防止し、地下埋設物
16を防護することが望ましい。そして、前記地盤改良
後、積層上側のトンネル構造体構築領域に、シールド掘
進機により、横坑24を構築し、この横坑24内に適宜
厚さの覆工を施して積層上側のトンネル構造体26を構
築する。
【0071】次に、図7に示すように、積層したトンネ
ル構造体26の鋼製セグメント38の側面に設けたスラ
イド鋼板40を、トンネル構造体26内から油圧ジャッ
キ等により、トンネル構造体26間の地山内に圧入して
トンネル構造体26間の山留めを行う。この場合、スラ
イド鋼板40の圧入時に、トンネル構造体26間の地山
に止水材94を注入して止水処理を施すようにしてい
る。また、スライド鋼板40にてトンネル構造体26間
の地山の山留めを行ったのち、トンネル構造体26同士
の対向面に設けた鋼製セグメント38のうち、主桁を残
置させてスキンプレートを取り外し、トンネル構造体2
6およびスライド鋼板40に囲まれた地山の掘削を行
う。この場合、スライド鋼板40により山留めがなされ
ているため、トンネル構造体26間の地山の掘削は安全
に行えることとなる。また、トンネル構造体26間の地
山の掘削終了後、トンネル構造体20の対向する隅角部
42同士を、PC鋼棒やH型鋼等の連結部材にて連結
し、トンネル構造体26同士を深さ方向に構造的に連結
して、連続した内部空間を有する連結構造体28として
構築されるようになっている。
【0072】次に、本実施例においては、地下構造物1
0を築造するための掘削床付高46が、連結構造体28
の底面位置よりも下方に位置し、土留壁の根入れが不足
するため、図8に示すように、連結構造体28の下部
に、十分な根入れ長を有する止水体48を併設して、連
結構造体28下方の土留めおよび止水対策を施した土留
壁20を構築するようにしている。
【0073】この場合、連結構造体28を構成する積層
下側のトンネル構造体26の下部より、必要に応じて止
水材96を注入し、トンネル構造体26の底部の鋼製セ
グメント38の一部を解体して、連結構造体28内を作
業空間として止水体48を造成する。止水体48として
は、作業可能な空間高さに応じて、たとえば図17、1
8に示すように、BH杭工法を用いて適宜深さまでトン
ネル構造体26の下方地盤を撹拌翼で撹拌し、応力材
(たとえばH型鋼98)を継ぎ足しながら建て込んだの
ち、モルタルを打設してBH杭100が造成される。な
お、作業可能であれば、ソイルセメント柱列壁工法や鋼
矢板工法などを用いて止水体48を造成してもよい。い
ずれにしても、後工程の掘削作業作業に支障となる漏
水、ヒービング、ボイリング、底面地盤の膨れ上がり等
が生じない深さまで止水体26を造成する必要がある。
【0074】このように、地下埋設物16の存在に拘わ
らず、地下構造物10の構築領域にトンネル構造体26
同士を連結一体化した連結構造体28からなる土留壁2
0を容易かつ確実に形成することができ、しかも地表面
から土留杭を打ち込んだり、掘削を行ったりする必要が
なく、地下埋設物16の損傷の防止、工期の短縮化およ
び振動や騒音等による周辺環境の悪化を防止することが
可能となる。
【0075】一方、図9に示すように土留壁20の上部
位置に相当する土留壁20間の地盤中において5本の横
長の矩形上の横坑50を適宜間隔をおいて横方向に並列
して掘削し、これら並列された5本の横坑50に適宜厚
さの覆工を施して5本のトンネル構造体52を構築す
る。
【0076】次に、横方向に並設したトンネル構造体5
2の構成セグメント56の上下面に設けたスライド鋼板
40をトンネル構造体52内から油圧ジャッキ等により
トンネル構造体56間の地山内に圧入してトンネル構造
体52間の山留めを行う。なお、この場合においても、
スライド鋼板40の圧入時に、トンネル構造体52間の
地山に止水材(図示せず)を注入して止水処理を施す。
そして、トンネル構造体52同士の対向面に設けた構成
セグメント56のうち、主桁を残置させてスキンプレー
トを取り外し、トンネル構造体52およびスライド鋼板
40に囲まれた地山の掘削を行い、掘削終了後、トンネ
ル構造体52の対向する隅角部58同士をPC鋼棒やH
型鋼等の連結部材にて連結し、トンネル構造体52同士
を横方向に構造的に連結して、連続した連結構造体54
を構築するとともに、この連結構造体54の両端部を土
留壁20の上部に固定して、上部構造体22を構築し、
地下構造物の構築領域上部の上部荷重を支持させ、か
つ、山留めを行うようにしている。
【0077】このように、上部荷重を支持する上部構造
体22をトンネル構造体52により形成することにより
地上からの開削施工を行うことなく上部荷重を支持する
ことができ、しかも道路交通を妨げることなく、さらに
は沿道住民の静穏な生活環境を確保することが可能とな
る。
【0078】ついで、図9に示すように、土留壁20お
よび上部構造体22を構成する各トンネル構造体26内
にコンクリート等により内部覆工44を施し、この内部
覆工44に囲まれた空間を、たとえば作業通路、掘削土
砂の搬送、資材搬入路などの各種用途空間として形成す
る。
【0079】次に、図10に示すように、上部構造体2
2を構成する連結構造体54内を作業空間として、連結
構造体54内からトンネル構造体52の下部に支持杭6
0を打設し、この支持杭60を土留壁20間の地盤中に
打ち込み、上部構造体22を支持させる。このように、
連結構造体54内から支持杭60を打ち込むことによ
り、地上からの支持杭の打ち込み作業を行うことなく、
支持杭の構築が可能となる。
【0080】そして、図11に示すように、土留壁20
および上部構造体22によって囲まれた地中地盤を最終
掘削深さである掘削床付高46に応じて適宜回数の掘削
段階を設け、各掘削段階ごとに腹起こし102、切梁1
04、切梁受桁106等の土留支保工を架設しながら掘
削を行う。
【0081】掘削終了後は、図1に示すように、基礎コ
ンクリート108を打設し、適宜切梁等の土留支保工を
解体しながら、下床110、側壁112および上床11
2の順に地下構造物10の構築を行う。この地下構造物
10は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
等により十分な強度をもたせて構築されるようになって
いる。
【0082】次に、第2実施例に係る土留構造体を用い
た地下構造物の構築方法について、土留構造体の構築方
法とともに、図12から図14を中心に説明する。
【0083】まず、図12に示すように、地下埋設物1
6の下方地盤にシールド掘進機を用いて縦長の矩形状断
面の2本の横坑24を上下に適宜の間隔をおいて積層し
て掘削し、これら掘削された複数の横坑24に適宜厚さ
の覆工を施して2本のトンネル構造体26を構築し、こ
の2本のトンネル構造体26を連結して連続した内部空
間を有する連結構造体28を構築するとともに、この連
結構造体28の下側に位置するトンネル構造体26の下
部に止水体48を併設して土留壁20を構築する。この
土留壁20の構築は、前記第1実施例の場合と同様であ
るため、その構築方法の詳細については説明を省略す
る。
【0084】一方、地下埋設物16の存在しない地上か
らの施工が可能な領域、たとえば、車道領域に地上から
支持杭66を所定間隔で打設する。この支持杭66は、
路面覆工および土留支保工による荷重を支持し、土留架
構を形成するためのもので、掘削床付高46を越える所
定の深さまで、所要本数打設する。
【0085】次いで、地上から支持杭66間にライナー
プレート等の土留板を打ち込んで地下埋設物16や地盤
の側方移動を防止しつつ、支持杭66間の地盤に対し2
〜3m程度の掘削を行い、覆工桁受116、覆工桁11
8、路面覆工板を架設して路面覆工を行う(図14参
照)。
【0086】次に、図13に示すように、支持杭66間
の開削坑64を土留壁20の上部相応位置まで掘削した
のち、開削坑64内から土留壁20の上部に向け、地盤
中に複数の鋼管68を横方向に連続して挿入し、鋼管6
8の挿入先端部を土留壁20に固定し、挿入既端側を支
持杭66に固定することにより連続したパイプルーフを
構築し、このパイプルーフを上部構造体62として形成
し、上部構造体62上方の地盤の上部荷重を支持させ、
かつ、土留めを行う。鋼管68の挿入先端部と土留壁2
0の上部との固定は、たとえば、鋼管68の挿入先端部
を連結構造体28の一部を解体して連結構造体28内に
挿入し、連結構造体28内で固定作業を行うことにより
なし得る。
【0087】このように、本実施例においては、地上よ
り開削を行って上部構造体62を形成するものである
が、その開削領域は、鋼管68を打ち込むためのスペー
スがあれば足りるため、開削領域を最小限に抑えて路面
覆工の施工領域を最小限にすることができ、また、交通
の妨げになることもなく、しかも地上の静穏さを確保す
ることが可能となる。
【0088】そして、上部構造体62の構築後、図14
に示すように、土留壁20および上部構造体62に囲ま
れた地盤内を前記開削坑64を拡張しつつ、最終掘削深
さである掘削床付坑46に応じて適宜回数の掘削段階を
設け、各掘削段階ごとに腹起こし102、切梁104、
切梁受桁106等の土留支保工を架設しながら掘削を行
う。
【0089】掘削終了後は、図2に示すように、基礎コ
ンクリート108を打設し、適宜切梁等の土留支保工を
解体しながら、下床110、側壁112、上床114の
順に地下構造物10の構築を行う。この地下構造物10
は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等に
より十分な強度をもたせて形成されるようになってい
る。そして、地下構造物10の上方の土留支保工を解体
しつつ、埋め戻しすることにより、構築が完了すること
となる。
【0090】本発明は、前記各実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の要所の範囲内において種々の変形実
施が可能である。
【0091】たとえば、前記実施例においては、矩形断
面の横坑を掘削する場合について示したが、この例に限
らず円形のシールド掘進機を用いて複数の円が連結した
状態の縦長のトンネル構造体を構築し、このトンネル構
造体を土留壁あるいは上部構造体として用いるようにし
てもよい。
【0092】また、縦長楕円あるいは縦長長円形等の積
層形成したトンネル構造体を連結して連結構造体とする
ことも可能である。
【0093】さらに、地下構造物を順巻工法で構築する
例を述べたが、逆巻工法により構築することも可能であ
り、地下構造物を2層以上の多層構造とすることも任意
になし得るものである。
【0094】
【発明の効果】前記構成の第1の発明に係る土留構造体
によれば、地盤中に掘削・覆工して構築したトンネル構
造体にて土留壁を形成することにより地表面から作業す
ることなしに土留壁の構築ができ、したがって振動や騒
音を防止して周囲環境の悪化を防止するとともに、土留
壁構築のために地表面を掘削して地下埋設物を切回す必
要がなく工期を大幅に短縮することができるという効果
がある。
【0095】また、この土留壁の上部に少なくとも一端
を支持させた上部荷重支持用の上部構造体を設けること
により、この上部構造体が上部荷重を支持している部分
については、路面覆工などの地上施工が不要となり、し
かも上部構造体の構築には必要最小限の開削部分からの
施工を行うことができ、開削部分を最小限に抑え、ある
いは地上施工を全く行うことなく構築できることとな
り、路上などの交通の妨げになることがなく、しかも地
上の静穏さを確保することができるという効果がある。
さらに、トンネル構造体の一部を解体してトンネル構造
体内の壁体を地下構造物の本体構造として構築すること
により、地下構造物を構築可能領域ぎりぎりに構築し
て、地下の有効利用を図ることができるという効果があ
る。
【0096】第2の発明に係る土留構造体によれば、上
部構造体を地盤中に複数の鋼管を横方向に連続したパイ
プルーフにて形成することにより、鋼管の打ち込みのた
めの開削を行うだけで上部構造体が構築でき、路面覆工
等の地上施工を大幅に減少させ、しかも容易かつ短期間
で上部構造体の施工を行うことが可能となるという効果
がある。
【0097】第3の発明に係る土留構造体によれば、上
部構造体を横方向に並設した複数のトンネル構造体を連
結してなる連結構造体にて形成することにより、地上か
らの開削を行うことなく上部構造体を構築することがで
き、路面覆工等の施工を行う必要がなく、路上などの交
通の妨げになることがなく、しかも地上の静穏さを十分
に確保することが可能となるという効果がある。
【0098】第4の発明に係る土留構造体によれば、縦
長断面の横坑内に適宜厚さの覆工を施したトンネル構造
体にて土留壁を形成することにより、所定深さの土留壁
を容易に形成することができ、しかも横坑内に必要厚さ
の覆工を施すことにより、作用する外力を安全に支持
し、横坑内を各種用途空間として活用することができる
という効果がある。
【0099】第5の発明に係る土留構造体によれば、上
部方向の複数のトンネル構造体を連結した連結構造体に
より土留壁を形成することにより、作用する外力を安全
に支持し、かつトンネル構造体内の空間を拡大して、そ
の空間を各種用途空間として活用することができる。ま
た、積層する複数のトンネル構造体間の距離を調整する
ことにより、構築しようとする地下構造物の高さに応じ
て土留壁の深さを容易に変化させることができるという
効果がある。
【0100】第6の発明に係る土留構造体によれば、上
下に間隔をおいて掘削・覆工された複数のトンネル構造
体同士を遮水性構造部材で連結することにより、トンネ
ル構造体の構築を少なくして、工期の短縮化を図るとと
もに、遮水性構造部材により十分な深さの土留壁の構築
が容易に行えることとなるという効果がある。
【0101】第7の発明に係る土留構造体によれば、ト
ンネル構造体を断面矩形上に構築することにより、掘削
断面が小さくて済むうえに、任意の線形を選択すること
ができ、土被りを小さくすることが可能となるという効
果がある。
【0102】第8の発明に係る土留構造体によれば、土
留壁を構成するトンネル構造体の下部に止水体を併設す
ることにより、必要な根入れ長を確保することができ、
掘削床付高が下側のトンネル構造体底面よりも下になる
場合においても、止水体により十分な止水を行うことが
できるという効果がある。
【0103】
【0104】第の発明に係る土留構造体の構築方法に
よれば、地上からの施工が可能な地盤内に支持杭を打ち
込み、所定深さ開削して土留めを行い、地上からの土留
壁の施工が不可能な地盤内にトンネル構造体を構築し、
前記開削坑内からトンネル構造体の上部に向けて鋼管を
地盤中に打ち込み、パイプルーフからなる上部構造体を
構築することにより、地上からの開削領域を最小限に抑
え、しかもパイプルーフの構築が開削溝から容易に行う
ことができ、路面覆工等の地上施工を大幅に減少させて
地上の静穏を確保することが可能となるという効果があ
る。また、土留壁の一部を地下構造物の構築領域として
地下構造物をその幅方向において構築可能領域ぎりぎり
に構築し、地下の有効利用を図ることができるという効
果がある。
【0105】第10の発明に係る土留構造体の構築方法
によれば、土留壁および上部構造体をトンネル構造体に
て構築することにより、地上からの施工を一切行うこと
なく施工ができ、路上などの交通の妨げになることがな
く、しかも地上の静穏を確保しつつ、地上からの土留壁
の施工の不可能な地盤内にも土留壁を構築することがで
きるという効果がある。また、土留壁の一部を地下構造
物の構築領域として地下構造物をその幅方向において構
築可能領域ぎりぎりに構築し、地下の有効利用を図るこ
とができるという効果がある。
【0106】第11の発明に係る土留構造体の構築方法
によれば、土留壁を構成するトンネル構造体の内部を作
業空間としてトンネル構造体の下部に止水体を構築する
ことにより、止水体の構築のために新たに作業空間を形
成することなく、トンネル構造体内の空間を有効に活用
して止水体を構築することができ、それだけ工期を短縮
することができるという効果がある。
【0107】
【0108】第12の発明に係る土留構造体の構築方法
によれば、上部構造体を構成するトンネル本体の内部を
作業空間としてトンネル構造体の下部に上部構造体用の
支持杭を打設することにより、地上からの施工を行うこ
となく支持杭の打設が行え、より一層地上の静穏を確保
することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る土留構造体を用いた
地下構造物を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る土留構造体を用いた
地下構造物の断面図である。
【図3】前記各実施例における土留壁の変形例を示す断
面図である。
【図4】土留壁の他の変形例を示す断面図である。
【図5】第2実施例に係る土留構造体の土留壁の覆工の
一部を解体して、その解体部分まで地下構造物を広げた
状態を示す断面図である。
【図6】第1実施例に係る土留構造体の構築方法におい
て土留壁の下側のトンネル構造体を構築する状態を示す
断面図である。
【図7】図6の状態から土留壁の上側のトンネル構造体
を構築し、下側のトンネル構造体と連結した状態を示す
断面図である。
【図8】図7の状態から下側のトンネル構造体の下部に
止水体を構築する状態を示す断面図である。
【図9】図8の状態からトンネル構造体により上部構造
体を構築し、各トンネル構造体に内部覆工を施した状態
を示す断面図である。
【図10】図9の状態から上部構造体を構成するトンネ
ル構造体の内部から支持杭を打設した状態を示す断面図
である。
【図11】図10の状態から土留構造体に囲まれた内側
地盤を掘削する状態を示す断面図である。
【図12】第2実施例に係る土留構造体の構築方法にお
いて、地上からの施工が可能な領域において地盤内に支
持杭を打ち込むとともに地上からの施工が不可能な領域
の地盤内にトンネル構造体を構築して土留壁を形成した
状態を示す断面図である。
【図13】図12の状態から支持杭間の地盤の開削を行
い路面覆工を施した後、開削坑内からパイプルーフを形
成する状態を示す断面図である。
【図14】図13の状態から土留構造体内の地盤の掘削
を行った状態を示す断面図である。
【図15】矩形断面の横坑を掘削する掘進ユニットを示
す正面図である。
【図16】図15の側断面図である。
【図17】トンネル構造体からBH杭用の掘削を行う状
態を示す断面図である。
【図18】図17の状態から鋼材を打ち込む状態を示す
断面図である。
【符号の説明】
10 地下構造物 16 地下埋設物 18 地表面 20、70、80、86 土留壁 22、62 上部構造体 24、50、72、82 横坑 26、52、74、84 トンネル構造体 28、54 連結構造体 44 内部覆工 48 止水体 60、66 支持杭 64 開削坑 68 鋼管 76 遮水性構造部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 舘川 裕次 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田 建設株式会社内 (72)発明者 請川 誠 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−309694(JP,A) 特開 平3−84200(JP,A) 特開 平3−122400(JP,A) 特開 昭53−92530(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E21D 13/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地上からの土留壁の施工が不可能な地盤
    内に構築される土留構造体であって、 前記地盤中に掘削・覆工して構築したトンネル構造体に
    て形成した土留壁と、この土留壁の上部に少なくとも一
    端を支持させた上部荷重支持用の上部構造体とを備え、前記トンネル構造体の覆工が解体可能に構築されるとと
    もに、 前記トンネル構造体に設けられた壁体が地下構造物の本
    体構造として構築される ことを特徴とする土留構造体。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記上部構造体は、前記地盤中に複数の鋼管を横方向に
    連続して挿入したパイプルーフにて形成されることを特
    徴とする土留構造体。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記上部構造体は、前記地盤中に適宜間隔をおいて横方
    向に並列して掘削・覆工された複数のトンネル構造体を
    連結し、連続した内部空間を有する連結構造体にて形成
    されることを特徴とする土留構造体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記土留壁は、前記地盤中に掘削された縦長断面の横坑
    内に適宜厚さの覆工を施したトンネル構造体として構築
    されることを特徴とする土留構造体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記土留壁は、前記地盤中に適宜間隔をおいて上下方向
    に積層して掘削・覆工された複数のトンネル構造体を連
    結し、連続した内部空間を有する連結構造体として形成
    されることを特徴とする土留構造体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記土留壁は、前記地盤中に適宜間隔をおいて上下に掘
    削された複数の横坑内に適宜厚さの覆工を施したトンネ
    ル構造体と、前記上下のトンネル構造体同士を連結する
    遮水性構造部材とで構築されることを特徴とする土留構
    造体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかにおいて、 前記トンネル構造体は、断面矩形状に構築されることを
    特徴とする土留構造体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかにおいて、 前記土留壁を構成するトンネル構造体の下部に、止水体
    を併設したことを特徴とする土留構造体。
  9. 【請求項9】 地上からの施工が可能な地盤内に支持杭
    を打ち込み、所定深さ開削して土留を行い、開削坑を形
    成する工程と、 地上からの土留壁の施工が不可能な地盤内に、シールド
    掘進機により、横坑を掘削し、この横坑内に適宜厚さの
    覆工を施してトンネル構造体を構築して、このトンネル
    構造体により土留壁を構築する工程と、 前記開削坑内から前記トンネル構造体の上部に向けて複
    数の鋼管を地盤中に横方向に連続して挿入して一端を前
    記トンネル構造体に固定し、他端を前記支持杭に固定し
    てパイプルーフからなる上部荷重支持用の上部構造体を
    構築する工程と、前記土留壁を構成するトンネル構造体の覆工の一部を解
    体する工程と、 トンネル構造体の内部に壁体を構築する工程と、 を含むことを特徴とする土留構造体の構築方法。
  10. 【請求項10】 地上からの土留壁の施工の不可能な地
    盤内にシールド掘進機により、横坑を掘削し、この横坑
    内に適宜厚さの覆工を施してトンネル構造体を構築し、
    このトンネル構造体により土留壁を構築する工程と、 前記土留壁の上部間の地盤中に適宜間隔をおいて横方向
    に並列して複数の横坑を掘削し、この横坑内に適宜厚さ
    の覆工を施して構築された複数のトンネル構造体を連結
    して連続する内部空間を有する連結構造体を形成し、こ
    の連結構造体の両端を前記土留壁の上部に固定して上部
    荷重支持用の上部構造体を構築する工程と、前記土留壁または上部構造体を構成するトンネル構造体
    の覆工の一部を解体する工程と、 トンネル構造体の内部に壁体を構築する工程と、 を含むことを特徴とする土留構造体の構築方法。
  11. 【請求項11】 請求項または10において、 前記トンネル構造体により土留壁を構築した後、土留壁
    を構成するトンネル構造体の内部を作業空間としてトン
    ネル構造体の下部に止水体を構築することを特徴とする
    土留構造体の構築方法。
  12. 【請求項12】 請求項10において、 前記上部構造体を構成するトンネル構造体の内部を作業
    空間としてトンネル構造体の下部より下方地盤中に上部
    構造体用の支持杭を打設することを特徴とする土留構造
    体の構築方法。
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