JP2880537B2 - 催眠促進剤 - Google Patents

催眠促進剤

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JP2880537B2
JP2880537B2 JP1283189A JP28318989A JP2880537B2 JP 2880537 B2 JP2880537 B2 JP 2880537B2 JP 1283189 A JP1283189 A JP 1283189A JP 28318989 A JP28318989 A JP 28318989A JP 2880537 B2 JP2880537 B2 JP 2880537B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、安全性の高い新規な催眠促進剤に関する。
従来技術 現在、睡眠を促進させる代表的な薬剤として、ベンゾ
ジアゼピン系製剤及びバルビツール酸系製剤が使用され
ており、また生薬としては、カノコソウ,センキュウ,
チャボトケイソウ及びサフランなどが知られている。
発明が解決しようとする課題 従来の睡眠剤は、ある程度の有効性は認められている
が、薬効に個人差が認められ、また強い副作用がある。
更に、睡眠のパターンの上では、非常に重要とされる
逆説睡眠(PS)及び深睡眠期の睡眠を抑制したり、自然
睡眠に伴う夢見を阻害することが認められる。
その上更に、これらの薬剤の中には、運用すると、慢
性中毒症状として、精神機能の低下,特に思考力の減退
及び記憶障害を示し、消化障害,体重減少又は蛋白尿な
どの症状を呈し、更には離脱期の瞻妄などの重い症状を
呈するものもある。
上述のごとく、自然睡眠を誘発し、かつ副作用がない
催眠促進剤は未だ開発されているとは言えない。
従って、本発明者らは、従来の催眠促進剤における問
題点を解決する薬剤につき、鋭意探索及び研究を進めた
結果、シリンジンに満足すべき薬効があることを発見
し、その睡眠効果について定量的な解析を行い、本発明
に到達した。
課題を解決するための手段 本発明の目的は、自然睡眠に近い深睡眠を誘発し、副
作用がない催眠促進剤を提供することである。
本発明による催眠促進剤は、シリンジンを有効成分と
して含有している。
実施例 本発明の催眠促進剤の有効成分であるシリンジンは、
別名エレウテルサイドBとも言い、エレウテロコック
(Eleutherococcus Senticousus)から低級アルコール
によって抽出されるトリテルペノイド系の配糖体[3−
(3',5'−ジメトキシ−4'−ヒドロキシフェニル)−2
−プロペン−1−オール−4'−β−グルコシド]であっ
て、その構造式も判明している既知の化学物質である
(I.I.Brekhman及びI.V.Dardymov(1969)Ann.Rev.Phar
macol.9,419−430)。
エレウテロコックは、植物分類学上、漢方薬の材料と
なる朝鮮人参と同じウコギ科に属する有刺性匍匐植物で
あり、その分布は、北はアムール河の中流、東はサハリ
ンから日本までに及び、南は、朝鮮半島、中国の山西省
及び河北省にまで達し、その境界は朝鮮人参の分布とほ
ぼ一致している。
成長したエレウテロコックは、網状に交錯した地下茎
を有する。エレウテロコックからの抽出液の化学成分
は、エレウテルサイドと呼ばれる7種類の配糖体(A,B,
C,D,E,F,G)、グルコース,フルクトース,多糖類など
の糖類、多量のビタミン及びミネラルの他、非配糖体性
の有機性化合物及び色素を含有している。
生薬としてのエレウテロコックの薬効は、朝鮮人参に
類似した薬理学的性質を有し、毒性及び副作用がなく、
安全で極めて幅広い薬効を示す。中国では、漢方薬とし
て広く用いられ、強精強壮剤として認められている。ソ
ビエトでも保健省薬事審議会によって、東洋の伝統薬に
由来する強壮剤という項目で、1962年に薬局方に収載さ
れ、医療に使用することが承認され、慢性的衰弱性疾
患,外科手術の回復期,結核のような長期感染症などに
対して処方されている。その他の効用としては、スポー
ツマンの耐久力及び集中力の向上、ストレス及び放射線
宿酔などの治療及び予防など、生体の抵抗増強作用が知
られ、更に耐暑,耐寒性の増強、体重増加作用、及び食
欲増進作用など、代謝に及ぼす効果が確認されている。
本発明の催眠促進剤の有効成分であるシリンジンは、
上述の7種の配糖体の内の1種(B)であり、全配糖体
の45%に相当する。シリンジンは、エレウテロコックか
ら低級アルコール類で抽出し、抽出エキスをカラムクロ
マトグラフィーと高速液体クロマトグラフィーに付し、
分離,精製して単離することができる。
シリンジンの性状は、無色針状結晶であって、蒸留
水,メタノールに容易に溶解し、その水溶液は220nmと2
65nmに紫外線吸収を有し、また融点は192℃、元素組成
は、C:54.83%,H:6.50%,O:38.67%である。
生薬としてのエレウテロコックの副作用は、朝鮮人参
より少なく、毒性は朝鮮人参の約1/3程度である。エレ
ウテロコック配糖体(7種混合)のLD50は、マウスの経
口投与で4.7g/kgであり、ヒトに換算すると280g/60kgと
なり、シリンジンのLD50に換算すれば130g/kgとなり、
生薬としてのエレウテロコックのLD50に換算すれば1.8k
g/60kgとなる。
本発明のシリンジンを有効成分とする催眠促進剤は、
経口的,非経口的(例えば、注射等)に投与することが
でき、目的に応じて、結合剤,希釈剤などの一般的に用
いられる賦形剤を用いて製剤化される。散在,錠剤,乳
剤,カプセル剤,顆粒剤などの内服剤用の賦形剤として
は、乳糖,澱粉,デキストリン,リン酸カルシウム,炭
酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム,ステアリン酸マグ
ネシウム,重炭酸ナトリウム,乾燥酵母などを例示する
ことができる。また内服用液剤(エリキシル剤,流エキ
ス剤,シロップ剤などを含む)用の賦形剤としては、蒸
留水,グリセリン,プロピレングリコール,単シロッ
プ,エタノール,脂肪油,エチレングリコール,ポリエ
チレングリコール及びソルビトールなどがある。注射液
用の賦形剤としては、生理食塩水がある。
1回の投与量は、年齢,体重及び症状により適宜増減
するが、有効成分たるシリンジンとして、通常0.23〜2.
3g程度である。
次に、7匹のラットを用いたシリンジンの催眠促進作
用に関する薬理試験について説明する。
[実験動物] Spraque−Dawley系、雄性、日齢60〜70日、体重300〜
350gの7匹のラットを用意した。
[飼育条件] 生物環境調節装置(SCA型,島津製作所製)を用い
て、飼育室を遮音、電気遮蔽LD12:12(明期08:00〜20:0
0)、温度:25±1℃、湿度:60±6%に維持し、水及び
餌は自由摂取とした。
[試験薬剤] シリンジンの試験薬剤は、シリンジン1μmolを100μ
lの生理食塩水に溶解して調整し、対照として生理食塩
水を用意した。
[投与方法] 試験薬剤,及び生理食塩水は、連続注入器(Unital 2
型、Braun 社製)を用いて、カニューレを通じて、ラッ
トの第3脳室内の視床下部から脳幹部にかけての部位に
注入した。試験薬剤及び生理食塩水の投与は、ラットの
活動期である暗期の1時間前から10時間(19:00〜05:0
0)に亙り、10μl/hrの速度で行った。
[測定,観察項目] 実験中、ラットの行動量、大脳皮質表面脳波(EEG)
及び筋電図(EMG)をポリグラフにより連続記録し、睡
眠状態を、覚醒状態(W),徐波睡眠状態(SWS),逆
説睡眠状態(PS)の3段階に分けて四六時中観察し、上
記ポリグラフのデータと上記観察とに基づいて各睡眠期
を判定し、各睡眠期の総量とエピソードの回線及びその
持続時間を測定した。
尚、徐波睡眠(SWS)は、ノンレム(nonrem)睡眠又
はオルト睡眠(oltho−sleep)とも言われ、脳波が徐波
を示す状態を言う。逆説睡眠(PS)は、レム(rem)睡
眠又は賦活睡眠とも言われ、脳波が低振幅速波パターン
を示し,急速眼球運動を伴う睡眠状態を言う。逆説睡眠
は徐波睡眠よりも深い睡眠状態である。
[実験動物の予備処置] ペントパルビタールナトリウム(50mg/kg)の腹腔内
注射による麻酔下で、脳定位固定装置(高橋商店製)に
ラットを固定して、手術を行い、ラットの頭部にカニュ
ーレ,電極などを挿置した。
大脳皮質表面脳波(EEC)記録用には金メッキした脳
波用スクリュウ電極(エムティ技研社製)を、また筋電
図(EMG)記録用にはステンレス製のフック電極を、そ
れぞれ用い、ラットの頭蓋骨に装置した。
また、試験液剤又は生理食塩水を、脳内に直接に投与
するステンレス製のカニューレ(直径0.35mm)は、頭蓋
骨に対し垂直方向から20°の角度傾斜させて,第3脳室
内へ挿入した。更に、このカニューレに脳温度測定用の
温度センサ(銅−コンスタンタン熱電対)を設け、硬膜
下部5.4mmの視床部に設置し、カニューレと共に歯科用
セメントで固定した。
[実験の概要] このようにして手術した7匹のラットは、1週間の回
復期間の間は、それぞれ直径30cm,高さ50cm,の円筒形の
塩化ビニール製の回復用ケージに入れて、前記飼育条件
下において飼育した。
その後、天井部にスリップリングを取り付けた、幅20
cm,奥行き30cm,高さ35cmの睡眠記録用ケージに移した。
最初の5〜7日間は、生理用食塩水を10μl/hrの流速
で、前記のカニューレより脳室内に投与した。
1回の実験は、4日間連続して行い、上記各項目につ
いて記録及び観察を行い、得られたデータをコンピュー
タシステムを用いて統計処理した。統計処理にはstuden
t's testを用い、危険率が5%未満のデータを有効とみ
なした。
[シリンジンの催眠作用に関する実験] 対照データを得るために、7匹のラットに先ず生理食
塩水のみを上記投与態様で4日間投与し(この期間を、
対照期間と称する)、次いで同一のラットに、前記試験
薬剤を上記の投与方法で4日間投与し(この期間を投与
期間と称する)、各実験期間におけるSWS及びPSの各睡
眠量を毎時毎に測定した。
第1図は、投与期間中及び対照期間中の明期及び暗期
における各睡眠状態(SWSとPS)を12時間にわたり積算
した睡眠総量(4日間,7匹の平均値)として示し、急勾
配の曲線はSWSを、緩勾配の曲線はPSを示し、横軸は明
期及び暗期の時刻、縦軸は睡眠総量(分)、実線は投与
期間の値を,点線は対照期間の値を示す。実線及び点線
に交差する垂直方向の線分は4日間の7匹のラットのデ
ータの変化の幅を示している。
第1図から、投与期間における投薬時(暗期)のSWS
の睡眠総量は、300±15分であり、対照期間における投
薬時(暗期)のSWSの睡眠総量が250±10分であることが
明らかである。即ち、暗期全体で睡眠時間の統計学的に
有意な延長(1.2倍)が認められた。一方、休薬時(明
期)ではSWSの睡眠総量に殆ど何等の影響も認められな
かった。
またPS睡眠総量に関しては、明期及び暗期とも有意な
差がなく、シリンジン投与の影響は現れなかった。
従って、シリンジンはPS睡眠には無関係であると同時
に、投与時の暗期における深睡眠の延長に有効であるこ
とが判明した。
次に、SWS及びPSの睡眠総量、各々の睡眠エピソード
の平均回数、及び各々の睡眠エピソードの平均持続時間
について毎時毎に対照期間のデータと投与期間のデータ
とを比較した。第2図は、投与期間におけるSWS及びPS
の各睡眠総量、各々の睡眠エピソードの平均回数、並び
に各々の睡眠エピソードの平均持続時間を、対照期間に
おける対応データに対する増加率で示している。図中、
縦軸は増加率(%)、横軸において、Tはそれぞれの睡
眠総量,Fは睡眠エピソードの平均回数,Duは睡眠エピソ
ードの平均持続時間を示す。棒の上の線分はそれらの変
化範囲を表している。
投与期間のSWSの睡眠総量は、対照期間のそれと比較
して、18±6%となり、有意な増加を示した。投与期間
におけるSWSの睡眠エピソードの平均回数(F)及び持
続時間(Du)は、増加傾向が観察されたが、統計的有意
差は認められなかった。一方、PSに関しては、全てのデ
ータについて殆ど何等の変化も認められなかった。
以上の結果から、シリンジンは投薬時(暗期)の睡眠
量を延長するが、休薬時(明期)の入眠潜時及び覚醒に
ついて悪影響を与えず反跳増加も示さないことが判明し
た。また、この結果からシリンジンは、投与時の覚醒時
間を減少させ、睡眠総量を顕著に増加させる作用を有
し、その変化の内容は、1回の睡眠持続時間の延長、及
びその回数の増加によるものと考えることができる。そ
の効果を経時的に追ってみると、投与期間におけるシリ
ンジンの投与継続時間の初期において睡眠を促進し、投
与中断後の回復も早く、明期におけるSWSの睡眠に影響
を与えないことが認められた。更に、投与を完全に止め
た場合は、対照と全く同様に元に戻ることが判明した。
(第4図参照)更に、PSの睡眠に何等の影響がないこと
は、夢見を阻害する好ましくない作用がないことを意味
し、副作用が少なく,生理的睡眠を誘発する睡眠促進剤
たり得ることが示された。例えば、麻酔剤による睡眠で
は、PSは出現せず、脳波像は連続した徐波を示し、途中
での覚醒は生じないことが知られているが、シリンジン
投与ではPS及び覚醒の出現など生理的睡眠本来の多相性
睡眠パターンが継続していることが確認された。
従って、入眠潜時を短縮し、睡眠総量を増加する緩和
な睡眠修飾効果をもたらすところの長期継続使用可能な
睡眠促進剤であることが判明した。
[シリンジンの脳温度に及ぼす影響] 上記の睡眠作用に関する実験と同時に、温度センサー
による脳温測定に基づき、脳温日周リズムへの修飾作用
を調べた。第3図は、投薬期間の脳温(−●−)と対照
期間の脳温(−○−)の日周リズムを比較するグラフで
あって、横軸は明期及び暗期の時刻、縦軸は脳温(℃)
を示す。○及び●の上下に伸びる直線は、4日間の7匹
のラットの脳温度変化の幅を示している。図中、実線の
矢印は、対照期間の暗期における脳温度の平均値(上方
の矢印の線)と、投与期間の暗期における脳温度の平均
値(下方の矢印の線)である。
それらの平均温度から見て、シリンジンの投与継続時
間(19:00〜05:00)の初期(21:00〜22:00)において約
0.3℃の有意義な低下を示し、この低下傾向は約1時間
継続した。この入眠期の脳温の低下が睡眠を促進し、SW
Sの睡眠総量の増加に結び付き、上記の催眠促進作用の
実験結果を支持するものとなった。この有意義な脳温低
下の持続は、投与期間における休薬時である明期では観
察されなかった。更に、投薬中止後の回復期である1日
目の暗期において、脳温低下傾向は見られず、対照であ
る投与前と同じであった。第5図は、シリンジン1.0μm
olを投与した後の、回復期第1日目の脳温度を対照と比
較したグラフであって、−●−は回復期第1日目の脳温
度を、−○−は対照の脳温度を示す。
更に、シリンジン投与期間中(4日間)、投与中止後
の回復期(4日間)及び対照期間(4日間)の各々につ
いて、明期及び暗期(各4期)の平均脳温を求め、その
結果を第4図に示した。横軸は生理用食塩水投与期間
(対照と表示),試験薬剤投与期間(投与と表示)及び
回復期(回復と表示)における明期と暗期を、縦軸は温
度を示す。棒グラフの上の実線は7匹のラットの変化範
囲を示す。各期間について、暗期の脳温度を比較すれ
ば、対照では37.91℃であるのに対して、投与では37.79
℃となっており、投与中の暗期の脳温度は約0.12℃の低
下を示しているが、統計的には有意ではなかった。しか
し回復期では、暗期の脳温度が37.92℃に上昇し、投与
前の温度に回復し、同時に明期の脳温度も上昇傾向を示
した。
従って、シリンジンの投与による脳温度の低下、その
回復期の脳温度の回復から、離脱後に見られる睡眠の反
跳を暗示するものではないことが認められた。
次に、本発明の催眠促進剤の製造につき、実施例を掲
げて説明する。
[実施例1] 1)シリンジンの分離 エレウテロコック根茎を33%エタノールで抽出した抽
出エキス(森永ラボラトリーズ社製)6.8lを用い、室温
で約2時間減圧濃縮し、エキス中のエタノールを完全に
除去した。濃縮物に蒸留水を500ml加え水抽出を行っ
た。抽出残渣をエチルエーテル(和光純薬社製)500ml
で2度抽出し、脂溶製物質を除去し、水画分を残した。
得られた水画分を室温で約1時間減圧濃縮し、約300ml
の濃縮液を得たこの濃縮液を、蒸留水で平均化したAmbe
rlite XAD−2カラム(1カラムサイズ:直径2.5cm,高
さ76cm,オルガノ社製)に重層した。このカラムを蒸留
水1000mlで洗浄後、25%メタノール溶液(容積比)1000
mlで溶出し、分画約600mlを回収した。この分画を室温
で減圧濃縮し、褐色の残渣物約2.7gを得た。この物質を
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Keiselgel F254,5
cm×7.5cm,、メルク社製)に塗布し、展開溶媒クロロホ
ルム:メタノール:蒸留水=70:30:4で展開すると、Rf
値0.46と0.35とにスポットが認められ、その面積比は約
10:1であった。標準品のTLCからRf値0.46のスポットが
シリンジンを含み、他方がエレウテルサイドDであるこ
とが判明した。
エレウテルサイドDを除去するため、Sephadex LH−2
0カラム(1本形状:直径2.4cm,高さ55cm)に付し、30
%メタノールで溶出した。エレウテルサイドB(シリン
ジン)は、エレウテルサイドDの次に溶出し、分離され
た。エレウテルサイドBを含む溶出液から溶媒を除去
し、濃縮物を蒸留水に再溶解後、メタノール(和光純薬
社製)で再結晶させて、約2gの無色針状結晶を得た。こ
の粗結晶をシリカゲル薄層クロマトグラフィーで確認す
ると、シリンジンであることが判明した。
2)精製 得られた粗結晶2gを200mlの蒸留水に溶解し、その内
の4mlを高速液体クロマトグラフィーに付した。ODSカラ
ム(AM−312,1本形状:直径4.6mm,高さ100mm,山村化学
社製)を用い、50mM燐酸アンモニウム溶液(pH7.0)と
メタノール(関東化学社製)の2溶液の濃度勾配,流速
1ml/minで溶出した。詳述すれば、5分間、燐酸アンモ
ニウム溶液とメタノールの混合比8:2で溶出し、以後混
合比を3:7に直接的に変化させた。溶出液は230nmの紫外
吸収度で連続的に測定し、Rt12.4分に溶出したピーク
(紫外部吸収)の分画を集め、溶媒を減圧除去した後、
シリンジン30mgの純品が得られた。この精製手段を反復
し、粗結晶2gから純品1.5gを得た。
3)製剤化 得られたシリンジン1gを乳糖1400g及びデンプン450g
と共に均一に混合し、ヒドロキシプルピロセルロース水
溶液100gで常法に従い、湿式製粒を行い、乾燥後整粒
し、1包2gに分包されたイ催眠促進剤(シリンジン含量
1mg)約900包を得た。
[実施例2] 実施例1と同様に精製して、純品のシリンジン1.5gを
得た。得られたシリンジン1gを乳糖1400g、結晶セルロ
ース600g及びステアリン酸マグネシウム15gと均一に混
合し、スラッグ打錠機でスラッグとした。これを整粒
し、更に澱粉200g、ステアリン酸マグネシウム15gと混
合し、打錠機にかけ、1錠500mg(シリンジン含量0.3m
g)の催眠促進剤200錠を得た。
[実施例3] 実施例2と同様にして得られたシリンジン1g(純品)
を500mlの精製水に溶解し、単シロップ1000mlを添加混
和した。精製水を加えて全量を1700mlとし、メンブラン
フィルターで濾過した。濾液を常法に従い1びん当たり
30ml充填し(シリンジン含量1.5mg)、加熱殺菌し、シ
ロップ剤ドリンクの催眠促進剤50本を得た。
発明の効果 本発明の効果は下記のとおりである。
(1)副作用がなく、安全な催眠促進剤を提供した。
(2)生理的な自然睡眠に近い深睡眠を誘発する催眠促
進剤を提供した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、投与期間(4日間)における7匹のラットの
明期と暗期のSWS及びPSの各睡眠の平均睡眠時間の1時
間毎の積算(実線)と、対照期間のそれら(点線)とを
比較して示すグラフであって、急勾配のグラフはSWS
を、緩勾配のグラフはPSを示し、実線及び点線の夫々に
交差する垂直方向の線分は、4日間の7匹のラットの睡
眠時間の変化の幅を示しており、 第2図は、投与期間における7匹のラットのSWS及びPS
の各睡眠の平均睡眠総量,各睡眠エピソードの平均回
数,各睡眠エピソードの平均持続時間を、対照期間にお
けるそれらの対応値に対する増加率で示すグラフであっ
て、棒グラフの上の垂直方向の実線は、4日間の7匹の
ラットの変化幅を示しており、 第3図は、投薬期間における7匹のラットの平均脳温度
の日周リズム(−●−)と、対照期間における7匹のラ
ットの平均脳温度の日周リズムとを比較するグラフであ
って、●及び○の上下に垂直方向に伸びる線分は、4日
間の7匹のラットの脳温度の変化幅を示しており、 第4図は、投与期間,回復期,対照期間の夫々における
7匹のラットの明期及び暗期における脳温度の平均値を
求めて比較するグラフであって、棒グラフの上の垂直方
向の線分は、7匹のラットの4日間における変化幅を示
しており、 第5図はシリンジン1.0μmolを投与した後の、回復期第
1日目の脳温度を対照と比較したグラフであって、−●
−は回復期第1日目の脳温度を、−○−は対照の脳温度
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 西独国特許出願公開3126353(DE, A1) Chemical Abstract s,Vol.106,要約番号188903 Chemical Abstract s,Vol.101,要約番号17312 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 31/70 A61K 35/78 CA,REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンジンを有効成分として含有し、徐波
    睡眠(SWS)を特異的に促進し、投与時の暗期における
    深睡眠を延長する作用を有することを特徴とする催眠促
    進剤。
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Chemical Abstracts,Vol.101,要約番号17312
Chemical Abstracts,Vol.106,要約番号188903

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