JP2878933B2 - ポリアミド樹脂組成物および表面光沢性の優れた成形品 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物および表面光沢性の優れた成形品

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JP2878933B2 JP5155458A JP15545893A JP2878933B2 JP 2878933 B2 JP2878933 B2 JP 2878933B2 JP 5155458 A JP5155458 A JP 5155458A JP 15545893 A JP15545893 A JP 15545893A JP 2878933 B2 JP2878933 B2 JP 2878933B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミド樹脂組成物
及びそれの成形品であって、表面光沢性の優れた成形品
に関するものである。さらに詳しくは、自動車の内装、
外装部品、OA家具部品、スポーツレジャー部品等に要
求されている表面光沢性、実使用下における強度剛性、
寸法安定性が優れ、更に、耐熱エージング性、耐光性、
耐変色性、光透過性等の特性が優れたポリアミド樹脂組
成物及びその成形品であって、表面光沢性の優れた成形
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリアミド樹脂は、その優れた機
械物性とガラス繊維等の無機充填剤で補強した際の補強
効果発現性及び優れた着色性、成形加工性を活かして、
内装用又は外装用の構造部材として利用されるようにな
ってきた。
【0003】構造部材に共通して要求される性能として
は、高い表面光沢性、高い強度剛性及び寸法安定性等が
ある。中でも成形品の表面光沢性は、金型のゲート位
置、サイズ、金型形状を含めた金型デザインや成形条件
だけではなく、樹脂の金型内での流動性や固化条件によ
り大きく左右される。特に、ガラス繊維等の無機充填剤
を含有する組成物においては、無機充填剤が成形品表面
上に部分的に浮き上がり、表面光沢性の低下を招きやす
い。この様な光沢性の低い成形品は外観性が悪く、その
ため商品価値が低下するばかりでなく他の材料との摺動
特性も低下する。
【0004】一般に、高い強度剛性と寸法安定性を満足
させるためにガラス繊維等の無機充填剤を樹脂に配合さ
せる方法が知られている。しかし、強度剛性と寸法安定
性を高めようと無機充填剤の配合量を増加すれば逆に成
形品表面の光沢性は低下することが知られている。した
がって、これまでは成形品の光沢性がよく、しかも高い
強度剛性、寸法安定性の優れた成形品を得るためには、
成形品表面に無機充填剤が浮き上がらない限度に配合量
を抑えて、その分材料の強度剛性、寸法安定性の低さは
成形品形状での工夫、例えば、成形品形状の肉厚を増し
たり、リブ補強を施す等の工夫を行って補っていた。
【0005】一方、樹脂材料においてできるだけ無機充
填剤の配合量を増やしつつ表面光沢性を損なわない材料
の開発もされてきている。例えば、特公昭61−608
61号公報、特開昭63−118367号公報、特開平
2−265965号公報、特開平3−269056号公
報、特開平4−77554号公報、特開平4−1492
34号公報等がある。
【0006】この中で特開平2−265965号公報に
開示されているように、ナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン66/6コポリマー等の脂肪族ポリアミドだけの
組み合わせからなるポリアミド樹脂では、吸水により実
際に使用される雰囲気の温度、湿度に強度剛性が大きく
左右されるため、使用される用途は限られていた。
【0007】また、特公昭61−60861号公報、特
開昭63−118367号公報、特開平3−26905
6号公報、特開平4−149234号公報に開示されて
いるように、テレフタル酸やイソフタル酸等の芳香環を
含有するモノマー成分を有するポリアミド樹脂を用いる
ことにより、吸水による強度剛性の低下や寸法安定性を
ある程度改善することは可能である。しかし、これらの
技術においては、無機充填剤を配合した樹脂組成物の流
動性が悪いかまたは金型内での樹脂の固化速度が速いた
め、十分満足した高い表面光沢性の成形品を得ることは
困難であった。これらの樹脂を使い表面光沢性の高い成
形品を得るには、金型温度をできるだけ上げるという方
法があるが、一方では成形タイムサイクルが長くなると
いう問題が新たに生じる。また、金型が大型になるに従
い、均一に金型内全体の温度を高めることは困難になる
し、更にリブ構造等を有する複雑なデザインを有する金
型になると局所的に高い温度領域または低い温度領域の
部分ができ、成形品全体で表面光沢性の高い箇所と低い
箇所が生じる。したがって、成形品表面の全領域におい
て均一に光沢性の高い成形品を得るためには、幅広い金
型温度領域において高い光沢性を発現し得る樹脂組成物
が必要となり、その点についてこれまでの材料では十分
満足されていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】即ち、従来の技術にお
いて、構造材部品に要求される幅広い成形条件における
高い表面光沢性、実使用時における高い強度剛性、寸法
安定性のすべてを同時に満足する樹脂組成物はこれまで
にはなく、本発明の課題はかかる要求性能をすべて満足
する樹脂組成物とそれによる優れた表面光沢性を有する
成形品を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するため鋭意検討した結果、極めて特定の組成成
分と組成比からなる樹脂組成物が金型の幅広い温度領域
において極めて高い表面光沢性を発現し、なおかつ吸水
後の強度剛性の低下も非常に少なく、更に優れた成形時
の寸法安定性を有するということを見出だし、本発明に
到達した。
【0010】即ち、本発明とは、第一の発明が(A)ポ
リアミド成分として、(a)アジピン酸及びヘキサメチレ
ンジアミンから得られるヘキサメチレンアジパミド単位
70〜95重量%、(b)イソフタル酸及びヘキサメチレ
ンジアミンから得られるヘキサメチレンイソフタラミド
単位5〜30重量%、から構成される半芳香族ポリアミ
ドであり、かつ、ポリアミドの硫酸溶液粘度ηrが1.
5〜2.8の範囲にあるポリアミド樹脂30〜95重量
%、(B)ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、タルク、カ
オリン、ウオラストナイト、炭酸カルシウム、チタン酸
カリウムのうちから選ばれる少なくとも1種の無機充填
剤5〜70重量%からなるポリアミド樹脂組成物であ
り、第二の発明が、ポリアミド末端カルボキシル基比率
が65%以上である前記のポリアミドであって、かつそ
のポリアミドに対し銅化合物とヨウ素化合物の混合物及
び/又はマンガン化合物が次式(1)〜(3)を満足する割合
で含有している請求項1記載のポリアミド樹脂組成物で
あり、 (1) 0.5ppm≦銅≦150ppm (2) 20≦ヨウ素/銅≦30(グラム原子比) (3) 0.5ppm≦マンガン≦60ppm 第三の発明が、前記のポリアミド樹脂100重量部中ポ
リフェニレンエーテル樹脂を5〜80重量部含有する請
求項1記載のポリアミド樹脂組成物であり、第四の発明
が、前記のポリアミド樹脂組成物の成形品であって、表
面光沢性の優れた成形品に関するものである。
【0011】以下に発明の内容を詳細に説明する。
【0012】本発明に用いるポリアミドは、アジピン酸
及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレ
ンアジパミド単位(以下N66と称す)とイソフタル酸
及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレ
ンイソフタラミド単位(以下N6Iと称す)とから構成
されている。各成分の構成比は、N66が70〜95重
量%、N6Iが5〜30重量%である。好ましい構成比
は、N66が72〜93重量%、N6Iが7〜28重量
%である。
【0013】N6Iが30重量%より多いと結晶性が大
きく低下するため成形時の金型内冷却時間が長くなり、
生産性が悪くなる。又、耐薬品性を必要とする用途(例
えば自転車ホイールのスポーク部の耐オイル性等)に
は、使用できなくなる。
【0014】N6Iが5重量%より少ないと、吸水後の
実使用下において強度剛性が低下し、また成形時の成形
収縮率が大きく反り変形等の問題が生じる。特に、大型
の成形品になればなるほどわずかな樹脂の成形収縮率の
差で成形品全体が大きく反り、その問題は大きくなる。
N6Iが30重量%より多いと、水による温度調節のさ
れた100℃以下の温度にある金型を使って成形した場
合等、無機充填剤が成形品表面上に浮き上がりやすくな
り、十分表面光沢性の満足された成形品が得られなくな
る。更に、金型内で十分冷却時間を取らなければ成形品
が金型から離型しなくなり、生産性が悪くなる。
【0015】これらのことから、N66に極めて限られ
た範囲のN6I成分を共重合させることにより、特異的
に(1)成形時の収縮率を低減させることが可能となり、
更に(2)水による温度調節のされた金型においても高い
表面光沢性の成形品を得ることが可能という2つの特徴
を同時に兼ね備えるポリアミド樹脂組成物が得られると
いうことは誠に驚くべきことである。この様な事実は、
従来の技術範囲からは全く予想しえなかったことであ
り、本発明により初めて見出だされたことである。
【0016】本発明に用いるポリアミドの分子量は、硫
酸溶液粘度ηr(ポリマー1gに対して95.5%硫酸
100ml、25℃測定)で1.5〜2.8、好ましく
は1.6〜2.7、更に好ましくは、1.7〜2.6で
ある。樹脂成形品表面の光沢性を向上させる方法は、一
方では、金型表面付近の樹脂が固化せずに無機充填剤の
周りを十分覆えるだけの短い時間内に樹脂組成物を金型
内に充填させることによっても達成できる。したがっ
て、流動性の高いポリマー即ち可能な限り分子量の低い
ポリアミドを用いることが好ましい。本発明者らは、当
該ポリアミドであれば、物性低下の損なわれない領域で
あり、かつ表面光沢性も損なわない領域の分子量として
鋭意詳細に検討した結果、ηr=1.5〜2.8のポリ
アミドであれば非常に優れた強度剛性ならびに表面光沢
性を得ることができることを見出だし、分子量範囲を当
該範囲に設定した。ηrが1.5より低いと樹脂組成物
が脆くなり、更に、成形時にシリンダーのノズル先端か
らのドローリングが激しくなり成形できなくなる。ηr
が2.8より高いと樹脂の溶融粘度が高くなり過ぎて成
形時に金型のデザインによっては、部分的に無機充填剤
の浮き上がりが見られ表面光沢性が低下する。
【0017】本発明に用いるポリアミドは、アジピン
酸、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの塩から重
縮合反応することによって得られ、その反応方法として
は公知の溶融重合、固相重合、塊状重合、溶液重合また
はこれらを組み合わせた方法等でよい。また、アジピン
酸クロライド、イソフタル酸クロライドとヘキサメチレ
ンジアミンから溶液重合、界面重合等によっても得るこ
とができる。これらの中で好ましくは、溶融重合もしく
は溶融重合と固相重合の組み合わせによる方法が経済的
にも好ましい。
【0018】本発明に用いられる無機充填剤は、ガラス
繊維、炭素繊維、マイカ、タルク、カオリン、ウオラス
トナイト、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムのうちか
ら選ばれる少なくとも1種の無機充填剤であり、中でも
ガラス繊維単独、ガラス繊維とマイカ、ガラス繊維とカ
オリンまたは焼成カオリン、ガラス繊維とタルクとカオ
リンまたは焼成カオリン、カオリンまたは焼成カオリン
単独、タルク単独、タルクとカオリンまたは焼成カオリ
ン、マイカ単独、ウオラストナイト単独、炭素繊維単
独、ガラス繊維と炭素繊維等の複合系が好ましい。ガラ
ス繊維は、通常熱可塑性樹脂に使用されているものを使
うことができ、繊維径や長さに特に制限はなく、チョッ
プドストランド、ロービング、ミルドファイバーのいず
れを使用してもよい。無機充填剤は、その表面に通常公
知のシラン系カップリング剤を付着させたものを用いて
もよい。無機充填剤の配合量は5〜70重量%であり、
好ましくは10〜65重量%である。5重量%より配合
量が少ないと無機充填剤の補強効果が十分発現されず、
満足された強度剛性が得られない。又、70重量%より
多いと樹脂の流動性が悪くなり、薄肉部への樹脂の充填
が困難となるばかりでなく、更に、いかなる金型におい
ても表面光沢性の良い成形品を得ることが困難となる。
【0019】本発明の組成物は、用途によっては高温雰
囲気下あるいは太陽光線下において使用されることがあ
るため、優れた耐熱エージング性及び耐光性も必要とな
る。その点を考慮し本発明者らは更に検討した結果、本
発明においては、特定の末端基比率を有するポリアミド
樹脂に対して、特定量の銅、よう素、マンガンの各化合
物を組み合わせることにより、従来のポリアミド樹脂材
料に比べ耐熱エージング性及び耐光性の向上だけでなく
樹脂組成物の経時変色の少ない樹脂組成物であるを見出
だした。即ち、従来の銅、よう素、マンガンの各化合物
を配合した公知のポリアミド樹脂組成物では、耐熱エー
ジング性及び耐光性はある程度改良されるものの、吸水
や熱、光劣化等によりポリアミド樹脂が変色するという
問題があった。特に、樹脂を種々の色に着色して使われ
る構造材用途においては、外観色の変色は致命的であ
り、できるだけ変色性の少ない材料が求められている。
【0020】以下、本発明の第二の発明である優れた耐
熱エージング性及び耐光性を有し更に経時変色の少ない
樹脂組成物について説明する。
【0021】本発明において、ポリアミド樹脂のカルボ
キシル基の末端基比率(ポリアミドの末端カルボキシル
基濃度[COOH]と末端アミノ基濃度[NH2]の総
和に対する末端カルボキシル基濃度の割合:{[COO
H]/([COOH]+[NH2])}×100
(%))は、65%以上必要であり、好ましくは70%
以上である。65%より小さいと樹脂成形品の黄緑色変
色が目立つ。ポリアミドの末端カルボキシル基濃度のコ
ントロール方法は、重合開始前のアジピン酸、イソフタ
ル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩水溶液に更に
モノカルボン酸やジカルボン酸を加えるか、または等モ
ル塩水溶液から重合をはじめ重合途中でヘキサメチレン
ジアミン成分を反応系外に除去する方法などがある。ま
た、押出機やニーダー内でポリアミドとモノカルボン酸
やジカルボン酸の化合物を直接反応させてコントロール
することもできる。末端官能基濃度のコントロール用モ
ノカルボン酸、ジカルボン酸としては、CH3(CH2
nCOOH(n=0〜30)、HOOC(CH2nCO
OH(n=0〜30)で示される脂肪族系カルボン酸、
安息香酸、トルイル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等
の芳香族系カルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等のナ
フタレン環を含有するカルボン酸、シクロヘキサン環を
含有するカルボン酸等が挙げられる。
【0022】銅化合物としては、例えば、塩化銅、臭化
銅、ヨウ化銅、リン酸銅、銅アンモニウム錯体、ステア
リン酸銅、モンタン酸銅、アジピン酸銅、イソフタル酸
銅、テレフタル酸銅、安息香酸銅、ピロリン酸銅、酢酸
銅、アンモニア銅等が挙げられる。好ましくは、臭化
銅、ヨウ化銅、酢酸銅である。銅化合物の配合量は、ポ
リアミド樹脂に対して銅元素が0.5ppm以上150
ppm以下になるよう配合され、好ましくは0.7pp
m以上140ppm以下である。0.5ppmより少な
いと十分な耐熱エージング性及び耐光性が得られない。
150ppmより多いと樹脂の吸水による後変色が顕著
になる。
【0023】ヨウ素化合物としては、例えば、ヨウ化カ
リウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化アンモニウムなど
があり、ヨウ素単体でもよい。好ましくは、ヨウ化カリ
ウムである。ヨウ素化合物の配合量は、ポリアミド樹脂
に対してヨウ素元素と銅元素のグラム原子比率([ヨウ
素]/[銅])が20以上30以下になるように配合さ
れ、好ましくは22以上28以下になるよう配合され
る。20より小さくなると十分な耐熱エージング性及び
耐光性が得られず、更に樹脂の吸水による後変色も顕著
になる。30より大きくなると金属に対する腐食、例え
ば重合反応器、押出機、成形機等の金属腐食、成形品内
にインサートされた金属の腐食が起こり易くなる。マン
ガン化合物としては、乳酸マンガン、ピロリン酸マンガ
ンなどがある。その配合量は、ポリアミド樹脂に対して
マンガン元素が0.5ppm以上60ppm以下になる
よう配合され、好ましくは0.7ppm以上55ppm
以下である。0.5ppmより少ないと十分な耐光性が
得られない。60ppmより過剰に入れても特に問題は
ないが、銅化合物とヨウ素化合物の組み合わせにより十
分な耐光性がえられるため、必要以上に入れなくても良
い。
【0024】ポリアミド樹脂中への銅化合物、ヨウ素化
合物、マンガン化合物の配合方法は特に制限はなく、従
来の公知の方法、例えばジカルボン酸およびジアミンの
塩水溶液中にそれぞれの化合物を溶解させてそのままポ
リアミドの重合を行う方法、または、ポリアミドの重合
途中でそれぞれの化合物を添加する方法、一軸または二
軸押出機、ニーダー内で溶融したポリアミド樹脂中に混
練させる方法等で配合される。
【0025】本発明のポリアミド樹脂と無機充填剤から
なる樹脂組成物は、成形品の表面光沢性、実使用下の強
度剛性、寸法安定性のいずれもが従来のポリアミド樹脂
材料に比べ非常に優れているが、本発明者らは更に実使
用下の強度剛性、寸法安定性を向上させるべく鋭意検討
した結果、ある特定量のポリフェニレンエーテル樹脂を
ポリマーアロイ化することにより驚くべきほどそれらの
特性が向上し、しかも成形品の表面光沢性も損なわない
樹脂組成物が得られることを見出だした。
【0026】以下に本発明の第三の発明について詳細に
説明する。
【0027】本発明でいうポリフェニレンエーテル樹脂
とは、下記一般式
【0028】
【化1】
【0029】(式中、R1、R2、R3、R4は、それ
ぞれ水素、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基を表
し、nは重合度を表す。)で表される構造単位からなる
重合体であり、例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4
−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−
1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロ
ピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチ
ル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエー
テル)、ポリ(2,6−ジアリル−1,4フェニレンエ
ーテル)、ポリ(2−メチル−6−アリル−1,4−フ
ェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4
−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジブロモ−
1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−クロロ−6
−ブロモ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,
6−ジフルオロ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2,3,5,6−テトラブロモ−1,4−
フェニレンエーテル)など、あるいはそれらの共重合体
等が挙げられる。
【0030】ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量は、
ポリアミド樹脂100重量部中5〜80重量部であり、
好ましくは10〜75重量部である。5重量部より少な
いと実使用下の強度剛性、寸法安定性の向上効果が小さ
くなり、80重量部より多いと流動性が低下し、それに
伴い成形品表面の光沢性も低下する。また、オイル等の
薬品に対する耐薬品性が低下し使用される用途も限られ
てくる。
【0031】ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド
樹脂とを混合する場合に、マレイン酸をポリスチレンに
グラフトした変性スチレン系重合体及び/又はマレイン
酸をポリフェニレンエーテルにグラフトした変性ポリフ
ェニレンエーテル樹脂を添加すると成形品で問題となる
ウエルド部強度が改良できる。
【0032】変性スチレン系重合体とは、芳香族ビニル
化合物を主成分とする重合体に、ラジカル発生剤の存在
下あるいは非存在下α,β−不飽和カルボン酸、または
その誘導体をグラフトさせた重合体を示す。ここで用い
られる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、ビニル
トルエン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジ
クロロスチレン、トリクロロスチレン、モノブロモスチ
レン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなどであ
り、1種または2種以上で重合される。特に好ましいの
はスチレンである。
【0033】変性ポリフェニレンエーテル樹脂とは、ポ
リフェニレンエーテルにラジカル発生剤の存在下あるい
は非存在下α,β−不飽和カルボン酸、またはその誘導
体をグラフトさせた重合体を示す。
【0034】ラジカル発生剤とは、例えば、ベンゾイル
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5
−ジメチル−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の
パーオキサイド系のラジカル発生剤をさす。
【0035】α,β−不飽和カルボン酸、または、その
誘導体としては、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク
酸、無水コハク酸、ハイミック酸、無水ハイミック酸、
イタコン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水
アコニット酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイ
ン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノエチルエステ
ルの金属塩、フマル酸モノエチルエステル、ビニル安息
香酸、ビニルフマル酸、フマル酸モノエチルエステルの
金属塩、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリ
レート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグシジルエ
ーテル、グリシジルイタコネート、アクリル酸、メタク
リル酸、マレイミドなどが挙げられるが、特に酸無水基
を有する化合物が好ましい。α,β−不飽和カルボン
酸、または、その誘導体のグラフト量は、0.01〜5
0mol%の範囲が好ましい。グラフト量が50mol
%を越えると配合された樹脂が着色、分子量低下、ゲル
化するなどの好ましからぬ結果を招き、0.01mol
%未満の時は、ウエルド部の改善効果が認められない。
【0036】変性スチレン系重合体、あるいは変性スチ
レン系重合体及び変性ポリフェニレンエーテル樹脂を配
合する場合の配合量は、ポリフェニレンエーテル樹脂に
対して1〜50重量%が良い。また、変性ポリフェニレ
ンエーテル樹脂の場合は、1100重量%が良い。
【0037】本発明においてポリアミド樹脂とポリフェ
ニレンエーテル樹脂と無機充填剤からなる樹脂組成物
は、上記特性改良の他驚くべきことに成形品の透明性改
良の効果があることも更に見出した。即ち、ポリカプロ
アミド(Ny6)、ポリヘキサメチレンジアジパミド
(Ny66)、ポリカプロアミドとポリヘキサメチレン
アジパミドの共重合体(Ny66/6)、ポリヘキサメ
チレンアジパミドとポリヘキサメチレンテレフタラミド
の共重合体(Ny66/6T)、ポリヘキサメチレンテ
レフタラミドとポリヘキサメチレンイソフタラミドの共
重合体(Ny6T/6I)等の従来のポリアミドとポリ
フェニレンエーテル樹脂の組成物からなる成形品におい
ては全く光の透過性がなかったが、本発明で得られる樹
脂組成物の成形品は光の透過性が極めて良く無機充填剤
を高濃度に配合しても十分光の透過性は保たれている。
これらのことは、従来のポリアミド樹脂とポリフェニレ
ンエーテル樹脂の組成物における技術からは到底予想も
つかぬことであり、本発明によって初めて明らかにされ
たといえる。したがって、本発明の組成物はタンク類や
ボトル類など、液面を外部から観察したい成形品用途に
おいて非常に好適な材料といえる。
【0038】これらの用途は、光透過性の高い樹脂組成
物も必要だが、当然成形品表面上に無機充填剤が突出す
ると更に光の透過性は低下するため、表面光沢性の高い
樹脂成形品も望まれている。従来の技術では、光の透過
性を重視する場合、非晶性や結晶性の低い樹脂が利用さ
れていたが、耐薬品性が悪くなるという問題があった。
また、耐薬品性を重視する場合は結晶性の樹脂が利用さ
れてきたが、逆に光の透過性が低下し、薄肉成形品でな
いと十分光の透過性が得られず、そのため成形品の強度
剛性が犠牲となっていた。
【0039】本発明の組成物は上記の問題を一挙に解決
したものであり、成形品の表面光沢性、強度剛性、寸法
安定性、耐薬品性及び光の透過性のいずれもが優れた樹
脂組成物である。
【0040】以下本発明の第四の発明について説明す
る。
【0041】本発明でいう表面光沢性の優れた成形品と
は、成形品表面上に無機充填剤の浮き上がりによる白化
現象が目視で認められず、更に成形品表面を光沢計で測
定(JIS、K−7105)した際、50グロス値以上
となる部位の面積が成形品全表面積の90%以上をしめ
る成形品のことをいう。
【0042】本発明の表面の光沢性が高い成形品は、外
観性の要求される成形品、他材料と摺動する部位があ
り、摺動性の要求される成形品等に利用される。
【0043】具体的には、椅子の脚、座、机の脚、キャ
ビン、ワゴンの部品等の家具用品、ノート型パソコンハ
ウジング等のOA分野用品、ドアミラーステイ、ホイー
ルリム、ホイールキャップ、ワイパー、モーターファ
ン、シートロック部品、ギア、ランプハウジング、スポ
イラー、オーナメントカバー、リレーブロック、スライ
ドスイッチ、インヒビタースイッチ、コンビネーション
スイッチレバー、オイルリザーバータンク、フューエル
タンク等の自動車内外装部品、プーリー、ギア、熱風器
ハウジング等の電気分野用品、その他の分野用品とし
て、ホイールリム、ホイールスポーク、サドル、サドル
ポスト、ハンドル、スタンド、荷台等の自転車部品、バ
ルブハウジング、釘、ネジ、ボルト、ボルトナット、タ
ンク、ボトル等の用途がある。
【0044】本発明の樹脂組成物には、必要に応じ本発
明の目的を損なわない範囲において通常のポリアミド樹
脂に添加される酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、
光劣化防止剤、染料、顔料等の着色剤、可塑剤、滑剤、
離型剤、核剤、難燃剤等を添加することもできるし、他
のポリアミド樹脂、他の熱可塑性樹脂をブレンドしても
よい。
【0045】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。なお実施例によって本発明の範囲はなんら限定
されるものではない。
【0046】実施例、比較例中の評価は次の方法で行っ
た。
【0047】(1) 相対粘度(ηr):95.5±0.0
3%硫酸に1.0g/dlの濃度でポリマーを溶解し、
25℃、オストワルド粘度管で測定した。
【0048】(2) 末端カルボキシル基比率:ポリマーを
90%フェノール水溶液に溶解し、1/40Nの塩酸で
滴定して求めたアミノ基濃度(25℃)([NH2])
とポリマーをベンジルアルコールに溶解し、1/10N
のKOHのエチレングリコール溶液で滴定したカルボキ
シル基濃度(指示薬としてフェノールフタレインを使用
した(160℃))([COOH])を使って次式によ
り算出した。 末端カルボキシル基比率={[COOH]/([COO
H]+[NH2])}×100(%) (3) 引張特性:ASTMD638に準じて行った。
【0049】(4) 曲げ特性:ASTMD790に準じて
行った。
【0050】(5) 表面光沢性:130mm×130mm
×厚み3mmの平板成形品、ゲートサイズは無機充填材
の量が33wt%以下の時2mm×3mm、33wt%
より多い場合は6mm×3mm、東芝機械IS150E
射出成形機、シリンダー温度290℃、金型温度80℃
と120℃、射出/冷却サイクル10/20秒、射出圧
力350kg/cm、射出速度50%の成形条件で成形
し、得られた成形品の表面を堀場製ハンディ光沢計IG
320を使いJIS−K7105に基づいて測定した。
【0051】(6) 寸法特性:表面光沢性の評価で得られ
た成形品を使い樹脂の流動方向の寸法を求め、金型寸法
に対する変化量を次式に従い求めた。
【0052】寸法変化率={{(金型寸法)−(成形品
寸法)}/(金型寸法)}×100(%) (7) 吸水平衡条件:23℃、50%RH雰囲気下に成形
品の吸水率が平衡になるまで放置した。
【0053】(8) 吸水率:成形直後の試験片と吸水した
試験片の重量を求め次式により算出した。
【0054】吸水率={((吸水した試験片の重量)−
(成形直後の試験片の重量))/(成形直後の試験片の
重量)}×100(%) (9) 耐熱エージング性:180℃にコントロールされた
オーブン中に成形片(3mm厚み)を入れ、引張強度が
50%の保持率に達するまでの時間を求めた。 (10)耐光性:サンシャインウェザオメーター(63℃、
2時間中18分間シャワーを吹き付けた。光源は、キセ
ノンランプ)内に成形片(3mm厚み)を入れ、300
0時間暴露させた成形片の表面を観察し、クラックの発
生の有無と暴露前の成形品に対する外観色の変色性の大
小を調べた。
【0055】(11)ウエルド部強度:図1に示すウエルド
部強度測定用試験片を用いて、ASTMD638に準じ
て引張強度を求めた。
【0056】(12)透過性:3mm厚みの箱型成形品を成
形し、その中に水を入れて外側から水面が確認できるか
否かを目視判定した。
【0057】実施例及び比較例では、次のポリマー、原
材料を使用した。
【0058】(1) ポリマー ポリヘキサメチレンアジパミド(Ny66):旭化成
工業(株)社製レオナ1300,レオナ1200 ポリヘキサメチレンアジパミドとポリヘキサメチレン
イソフタラミドの共重合体(Ny66/6I):製造例
1に従って作成した。
【0059】ポリヘキサメチレンアジパミドとポリカ
プロアミドの共重合体(Ny66/6)、ポリヘキサメ
チレンアジパミドとポリヘキサメチレンテレフタラミド
の共重合体(Ny66/6T)、ポリヘキサメチレンア
ジパミドとポリヘキサメチレンテレフタラミドとポリヘ
キサメチレンイソフタラミドの共重合体(Ny/66/
6T/6I)、ポリメタキシリレンアジパミド(NyM
XD6):原材料にアジピン酸とヘキサメチレンジアミ
ンの等モル塩、ε−カプロラクタム、イソフタル酸とヘ
キサメチレンジアミンの等モル塩、テレフタル酸とヘキ
サメチレンジアミンの等モル塩、メタキシリレンジアミ
ンとアジピン酸の等モル塩を使い、製造例1と同様にし
て作成した。
【0060】ポリヘキサメチレンイソフタラミドとポ
リヘキサメチレンテレフタラミドの共重合体(Ny6I
/6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(Ny6
I):原材料にイソフタル酸とヘキサメチレンジアミン
の等モル塩、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの
等モル塩を使い、製造例2に従って作成した。
【0061】ポリカプロアミド(Ny6):旭化成工
業(株)社製 ポリフェニレンエーテル(PPE):旭化成工業
(株)社製 無水マレイン酸グラフトポリスチレン(混和剤C
1):製造例3に従って作成した。
【0062】無水マレイン酸グラフトポリフェニレン
エーテル(混和剤C2):製造例4に従って作成した。
【0063】(2) 無機充填剤 ガラス繊維(GF):旭ファイバーガラス社製 03
JA416 タルク:(株)龍森社製 CRS6002 焼成カオリン:ENGELHARD社製 SATIN
TONE W マイカ:レプコ社製 M−400T 炭素繊維(CF):新旭化成カーボンファイバー
(株)Hi−Carbolon A−9000 製造例1 アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩2.0
0Kgとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モ
ル塩0.50Kg及び純水2.5Kgを5Lのオートク
レーブの中に仕込みよく撹拌した。充分N2置換した
後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間
かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気に
よる自然圧で内圧は18Kg/cm2−Gになるが、1
8Kg/cm2−G以上の圧力にならないように水を反
応系外に除去しながらさらに加熱を続けた。さらに2時
間後内温が260℃に到達したら加熱を止め、オートク
レーブの排出バルブを閉止し、約8時間かけて室温まで
冷却した。冷却後オートクレーブを開け、約2kgのポ
リマーを取り出し粉砕した。得られた粉砕ポリマーを1
0Lのエバポレーターに入れ、N2気流下200℃で1
0時間固相重合した。固相重合によって硫酸相対粘度
(ηr:ポリマー1g/95.5%硫酸100ml 2
5℃で測定)は、1.38から2.30になった。
【0064】製造例2 イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩1.
75kgとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等
モル塩0.75kg及び純水2.5kgを5Lのオート
クレーブの中に仕込みよく撹拌した。充分N2置換した
後、撹拌しながら温度を室温から250℃まで約2時間
かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気に
よる自然圧で内圧は25kg/cm2−Gになるが、2
5kg/cm2−G以上の圧力にならないよう水を反応
系外に除去しながらさらに加熱を続けた。さらに2時間
後内温が300℃に到達したら内圧を徐々にさげ、約1
時間かけて常圧までさげた。常圧、内温300℃でさら
に1時間反応させた。その後ヒーターを切り、約8時間
かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開
け、約2kgのポリマーを取り出し粉砕した。得られた
粉砕ポリマーを、N2気流下、100℃で24時間乾燥
した。
【0065】製造例3 ポリスチレン(和光純薬(株)製)104g、無水マレ
イン酸98gをo−ジクロロベンゼン400mlに溶解
し、乾燥窒素気流下120℃に加熱・撹拌した。次にベ
ンゾイルパーオキサイドの50%ジオクチルテレフタレ
ート希釈品(ナイパーBO(日本油脂(株)社製))2
0gをo−ジクロロベンゼン40mlに溶解したものを
ゆっくりと加え、乾燥窒素気流下、120℃で6時間反
応させた。反応終了後さらに500mlのo−ジクロロ
ベンゼンを加え希釈し、アセトン中に投入してポリマー
を析出させた。アセトンで十分に洗浄した後、80℃で
真空乾燥し目的物を得た。ナトリウムメチラートにて無
水マレイン酸のグラフト量を滴定により求めたところ、
ポリスチレンに1.7mol%の無水マレイン酸がグラ
フトしていた。
【0066】製造例4 ポリフェニレンエーテル36.4g、無水マレイン酸2
9.4gをp−キシレン200mlに溶解し、乾燥窒素
気流下、120℃に加熱、撹拌した。この溶液にベンゾ
イルパーオキサイドの50%ジオクチルテレフタレート
希釈品(ナイパーBO(日本油脂(株)社製))5.8
gをp−キシレン50mlに溶解したものをゆっくりと
加え、乾燥窒素気流下、120℃で5時間反応させた。
反応終了後さらに200mlのp−キシレンを加え希釈
し、アセトン中に投入してポリマーを析出させた。アセ
トンで十分に洗浄した後、80℃で真空乾燥し目的物を
得た。ナトリウムメチラートにて無水マレイン酸のグラ
フト量を滴定により求めたところ、ポリフェニレンエー
テルに1.2mol%の無水マレイン酸がグラフトして
いた。
【0067】製造例5 ポリマーと無機充填剤の混練方法は次の方法で行った。
【0068】2軸押出機(Werner社製ZSK2
5)のシリンダー温度を280℃に設定し、スクリュー
回転100rpmでポリマーをホッパーから投入した。
無機充填剤は、シリンダーの途中からフィードした。無
機充填剤が2種以上の場合も、シリンダーの途中からそ
れぞれ単独にフィードした。GF以外の無機充填剤には
予めγ−アミノプロピルトリエトキシシランを1phr
付着させた。ポリマー投入部及び無機充填剤投入部は、
十分N2パージし、押出機紡口の直前部からベント真空
を行った(650mmHg)。吐出量8.0〜10kg
/Hr、樹脂温度290〜315℃であった。得られた
ペレットにモンタン酸ナトリウムを0.13phrブレ
ンドし、成形した。
【0069】実施例1〜13 表1、2に示す組成物からなる成形片を作成し、外観
性、引張物性、曲げ物性、寸法変化率を測定した(表
1、2)。いずれの組成物も金型温度による外観性の依
存性が小さく優れた表面光沢性を有し、かつ吸水による
強度、弾性率の低下及び成形時の成形品寸法変化率が小
さい。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】比較例1〜4、17 表3に示すNy66ポリマーからなる無機充填剤の強化
組成物を同様に作成及び評価した。これらの材料は、金
型温度を上げても本条件の成形では表面光沢性の高い成
形品が得られなかった。また、吸水による強度、弾性率
の低下、寸法変化率も大きい。
【0073】比較例5〜7、10 良外観性材料としてこれまで汎用的に使われてきたNy
6、Ny66/6コポリマー、Ny66/Ny6ブレン
ドポリマーからなるGF強化組成物を作成及び評価し
た。これらの材料は、表面光沢性の高い成形品は得られ
るものの、吸水時の強度、弾性率のいずれもが低い成形
品しかえられなかった(表3、4)。
【0074】
【表3】
【0075】比較例8、9、11、12、14、16 従来の技術で知られている芳香環成分を含有するポリア
ミドからなるGF強化組成物を作成及び評価した。これ
らの材料は、吸水時の強度、弾性率が高く寸法変化率の
小さい成形品が得られるが、表面光沢性が低くさらに光
沢性の金型温度依存性が大きい。この様な材料では、成
形品全体で見た場合の表面光沢性の均一性が不十分であ
り、金型によっては部分的に無機充填剤の浮き上がりに
よる白化現象がおこり、商品価値の低下や他の材料との
摺動性の低下につながる。
【0076】比較例13 Ny6I成分が50wt%のNy66/6Iポリマーを
作成し、同様の方法でGF強化組成物を得た。表4に示
すようにNy6I成分が本発明の範囲を越えると急激に
表面光沢性の低下が起こる。
【0077】比較例15 ηrが3.20のNy66/6IGF強化組成物を作成
した。表4に示すように分子量が高すぎると流動性が低
下し、本成形条件では金型内に充填されなかった。
【0078】
【表4】
【0079】比較例18 相対粘度ηrが1.40のNy66〜6I(80/20
wt%)ポリマーからなる50%GF強化組成物を同様
に作成した。しかし、成形時に成形機のシリンダーノズ
ル先端部からのドローリングが激しく全く成形できなか
った。
【0080】比較例19 相対粘度ηrが2.20のNy66/6I(80/20
wt%)ポリマーからなる75%GF強化組成物を同様
に作成した。しかし、樹脂組成物の流動性がわるく金型
内に充填されず、全く成形品が取れなかった。
【0081】実施例14〜22 製造例1において重合開始まえにヨウ化銅、ヨウ化カリ
ウム、乳酸マンガンの各水溶液をそれぞれ表5に示され
る濃度になるよう配合し、重合を開始した。カルボキシ
ル基比率のコントロール方法は、等モル塩水溶液に更に
アジピン酸を加えて行った。得られたポリマーにGFを
33%製造例5と同様に方法で配合した。得られた組成
物を成形し、引張物性、曲げ物性、外観性、寸法変化
率、耐光性、耐熱エージング性を測定した。結果を表5
に示す。
【0082】
【表5】
【0083】注1)○:クラックの発生なし、△:クラ
ックの発生一部あり、×:クラックの発生大量にあり 注2)◎:変化ほとんどなし、○:変化若干有り、△:
変化かなりあり、×:大きな変化あり 比較例20〜26 上記製法と同様に作成および評価した。結果を表6に示
す。
【0084】
【表6】
【0085】注1)○:クラックの発生なし、△:クラ
ックの発生一部あり、×:クラックの発生大量にあり 注2)◎:変化ほとんどなし、○:変化若干有り、△:
変化かなりあり、×:大きな変化あり 実施例23〜30 製造例1で得られたNy66/6IポリマーとPPEポ
リマーおよび混和剤C1またはC2を表7に示す組成比
にプリブレンドし、製造例5と同様の押出条件でGF強
化組成物を作成した。
【0086】成形後、引張物性、曲げ物性、外観性、寸
法変化率、ウエルド強度、透過性を評価した。結果を表
7に示す。
【0087】比較例27〜29 上記製法と同様に作成および評価した。結果を表7に示
す。
【0088】
【表7】
【0089】注1)ポリアミド樹脂100重量部に対す
る配合量 注2)PPE樹脂に対する配合量 注3)PPE樹脂の代わりにマレイン化PPE樹脂を3
3重量部用いた 注4)樹脂組成物中の配合量 注5)◎:水面がはっきり見える、○:水面が若干見え
る、×:水面が全く見えない 注6)金型温度80℃
【0090】
【発明の効果】本発明において、構造材部品に要求され
る幅広い成形条件における高い表面光沢性、実使用時に
おける高い強度剛性、寸法安定性のいずれの特性も優れ
た樹脂組成物、更には耐光性、耐熱エージング性、透過
性の特性も付与された樹脂組成物及びそれよりなる表面
光沢性の優れた成形品を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例、比較例において使用したウエ
ルド部強度測定用試験片の説明図である。
【符号の説明】 1.ウエルド部 2.スプール 3.ランナー 4.試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−63785(JP,A) 特開 平6−32979(JP,A) 特開 平5−339494(JP,A) 特開 平6−32980(JP,A) 特公 昭45−17549(JP,B1) 米国特許5399306(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 77/00 - 77/12 C08K 3/00 - 3/40 C08K 7/00 - 7/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアミド成分として、(a) アジピ
    ン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメ
    チレンアジパミド単位70〜95重量%、(b) イソフタ
    ル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメ
    チレンイソフタラミド単位5〜30重量%、から構成さ
    れる半芳香族ポリアミドであり、かつポリアミドの硫酸
    溶液粘度ηrが1.5〜2.8の範囲にあるポリアミド
    樹脂30〜95重量%、 (B) ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、タルク、カオリ
    ン、ウオラスナイト、炭酸カルシウム、チタン酸カリウ
    ムのうちから選ばれる少なくとも1種の無機充填剤5〜
    70重量%からなるポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリアミドの末端カルボキシル基比率が
    65%以上である請求項1記載のポリアミドであって、
    かつそのポリアミドに対し銅化合物とヨウ素化合物の混
    合物及び/又はマンガン化合物が次式(1)〜(3)を満足す
    る割合で含有している請求項1記載のポリアミド樹脂組
    成物。 (1) 0.5ppm≦銅≦150ppm (2) 20≦ヨウ素/銅≦30(グラム原子比) (3) 0.5ppm≦マンガン≦60ppm
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリアミド樹脂100重
    量部中ポリフェニレンエーテル樹脂を5〜80重量部含
    有する請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載のポリアミド樹脂組成
    物の成形品であって、表面光沢性の優れた成形品。
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