JP2876295B2 - ベーンポンプ - Google Patents

ベーンポンプ

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JP2876295B2
JP2876295B2 JP21016995A JP21016995A JP2876295B2 JP 2876295 B2 JP2876295 B2 JP 2876295B2 JP 21016995 A JP21016995 A JP 21016995A JP 21016995 A JP21016995 A JP 21016995A JP 2876295 B2 JP2876295 B2 JP 2876295B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ベーンポンプの
改良に関する。
【0002】ポンプ室の内圧の変化に応じて、ポンプの
容量を可変させる機能を備えたベーンポンプとして、例
えば、特開昭55−66686に示されるように、ベー
ンを備えたロータの外周に配されるカムリングと、この
カムリングを収めるケーシング内壁面との間にスプリン
グを設け、このスプリングにより該カムリングを該スプ
リングの設けられている該ケーシングの内壁面に対向す
る内壁面側に向けて押し付けるように付勢する構造のも
のがあった。
【0003】そして、この従来のベーンポンプでは、ポ
ンプ室内の圧力が所定位置まで上昇した場合、前記カム
リングをこの圧力の上昇に応じて前記スプリングの付勢
に抗して該スプリングが設けられている内壁面側に移動
できるようにしてあり、このカムリングの移動によりこ
のカムリングとロータとベーンとで区切られたポンプ室
内の空間の該ロータの回転方向に亙った容積変化を減少
させて、ポンプ室内の圧力が所定値まで上昇した場合に
はこれに応じてポンプの容量を減少させることができる
ものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、前記従来の
ベーンポンプは、前記カムリングを前記ケーシング内で
前記スプリングの付勢に抗して該ケーシングの相対向す
る一方の内壁面から他方の内壁面に向けて移動させるた
めの間隔が該カムリングとケーシングとの間に設けられ
ていることを不可欠とするものであるため、ポンプの小
型化に限界を有するものであった。
【0005】そこでこの発明は、外部からの制御手段を
要することなく、ポンプ室の内圧の変化に応じてポンプ
の容量を可変する機能を備えたベーンポンプをできるだ
け小型に構成できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明ではベーンポンプを、断面円形をなすポン
プ室10cを備えるケーシング10と、このケーシング
10のポンプ室10c内に回転可能に収められ、かつ、
該回転軸線xに対し軸中心線x’を偏心させた偏心軸穴
21を備える円筒体20と、回転軸線yの側から放射方
向に向けて出没自在に設けられた複数のベーン33、3
3…を外周部32aに備え、かつ、該円筒体20の偏心
軸穴21内に回転自在に設けられたロータ30とを備え
た構成とし、そして、前記ロータ30を、前記円筒体2
0の回転軸線xに対する偏心位置に該ロータ30の回転
軸線yを備えて設けると共に、前記円筒体20が、ロー
タ30の回転方向Fと逆方向に回転するように、付勢さ
れているものとし、そしてさらに、前記ロータ30の回
転に伴う前記ポンプ室10cの内圧の変化に伴って、前
記円筒体20が、該円筒体20の偏心軸穴21の軸中心
線x’と前記ロータ30の回転軸線yとが互いに離れた
位置にある側から、該円筒体20の偏心軸穴21の軸中
心線x’と該ロータ30の回転軸線yとが重なり合う位
置にある側に向けて、前記付勢に抗して回動される構成
のものとした。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、
図1ないし図7に基いて説明する。
【0008】なお、図1は、この発明の実施の形態の一
つとされるベーンポンプの構成を理解し易いように、該
ポンプを、該ポンプを構成するロータ30の回転軸線y
に沿った向きで断面にして示しており、また、図2は、
該ポンプを、該ポンプを構成するロータ30の回転軸線
yに直交する向きで断面にして示している。
【0009】また、図3ないし図7は、前記1および図
2において示されるベーンポンプの動作を理解し易いよ
うに、該ポンプを、該ポンプを構成するロータ30の回
転軸線yに直交する向きで断面にして示しており、ここ
で図3は該ポンプを構成する円筒体20が前記ロータ3
0の回転方向Fに向けて回動される前の状態を、また、
図4ないし図6は、該円筒体20が前記ロータ30の回
転方向Fに向けて回動した状態をそれぞれ示しており、
図4に示す状態に対して図5に示す状態において前記円
筒体20の回動角度は大きいものとされ、また、図5に
示す状態に対して図6に示す状態において該円筒体20
の回動角度は大きいものとされている。また、図7は前
記円筒体20の偏心軸穴21の穴壁面21aと前記ロー
タ30のロータ本体32の外周部32a面との間の隙間
Sを該ロータ30の回転方向Fに亙る各位置で略均一と
する位置まで該円筒体20が該回転方向Fに向けて回動
された状態を示している。
【0010】以上の各図に示されるこの発明の実施の形
態の一つとされるベーンポンプは、断面円形をなすポン
プ室10cを備えるケーシング10と、このケーシング
10のポンプ室10c内に回転可能に収められ、かつ、
該回転軸線xに対し軸中心線x’を偏心させた偏心軸穴
21を備える円筒体20と、回転軸線yの側から放射方
向に向けて出没自在に設けられた複数のベーン33、3
3…を外周部32aに備え、かつ、該円筒体20の偏心
軸穴21内に回転自在に設けられたロータ30とを備え
ている。そして、前記ロータ30は、前記円筒体20の
回転軸線xに対する偏心位置に該ロータ30の回転軸線
yを備えて設けてあると共に、前記円筒体20は、ロー
タ30の回転方向Fと逆方向に回転するように、付勢さ
れている。そしてさらに、前記ロータ30の回転に伴う
前記ポンプ室10cの内圧の変化に伴って、前記円筒体
20が、該円筒体20の偏心軸穴21の軸中心線x’と
前記ロータの回転軸線yとが互いに離れた位置にある側
から、該円筒体20の偏心軸穴21の軸中心線x’と該
ロータ30の回転軸線yとが重なり合う位置にある側に
向けて、前記付勢に抗して回動される構成とされてい
る。
【0011】かかる構成よりして、この実施の形態にお
けるベーンポンプでは、前記ロータ30の回転方向Fと
逆方向に回転するように付勢されている前記円筒体20
が、該回転方向Fに回動されていない状態にあっては、
該円筒体20の偏心軸穴21の軸中心線X’と前記ロー
タ30の回転軸線yとを互いに離れさせており、この結
果、該円筒体20の偏心軸穴21の穴壁面21aと前記
ロータ30との間には、該ロータ30の回転方向Fに向
けて徐々に広がり、その後徐々に狭まる隙間Sが形成さ
れ、したがって、ロータ30に設けられた隣り合う一対
のベーン33、33によって仕切られたポンプ空間S’
の容積が該ロータ30の回転方向Fに亙って変化したも
のとされることから、ロータ30の駆動により、流体を
ポンプ室S内に吸い込み、かつ、ポンプ室S外に圧送、
吐出する。
【0012】また、前記ロータ30の回転に伴う前記ポ
ンプ室10cの内圧の変化、すなわち、前記円筒体20
を前記付勢に抗して、該円筒体20の偏心軸穴21の軸
中心線x’と前記ロータ30の回転軸線yとが互いに離
れた位置にある側から、該円筒体20の偏心軸穴21の
軸中心線x’と該ロータ30の回転軸線yとが重なり合
う位置にある側に向けて、回動させるに至るまで前記ポ
ンプ室10cの内圧が高められた場合、該円筒体20は
前記ロータ30の回転方向Fに向けて回動されるに至
り、該円筒体20の偏心軸穴21の穴壁面21aと前記
ロータ30との間の隙間Sは、該ロータ30の回転方向
Fに亙る各位置において均一をなすように変化してゆ
き、これにしたがって、ロータ30に設けられた隣り合
う一対のベーン33、33によって仕切られたポンプ空
間S’の容積も該ロータ30の回転方向に亙って均一な
ものとされていくことから、ロータ30の駆動による流
体の吐出量が次第に減少する。この結果、前記円筒体2
0の前記付勢に抗した前記ロータ30の回転方向Fに向
けた回動により、該円筒体20の偏心軸穴21の軸中心
線x’と前記ロータ30の回転軸線yとが重なり合うよ
うに次第に近付けられてゆくに連れて、該ロータ30の
回転に要する駆動力は、次第に軽減される。
【0013】また、この後、前記ロータ30の回転に伴
う前記ポンプ室10cの内圧が低下した場合、前記円筒
体20は前記付勢により再び前記ロータ30の回転方向
Fと反対の方向に向けて回動され、この結果、該円筒体
20の偏心軸穴21の軸中心線x’と前記ロータ30の
回転軸線yとを互いに離れさせて、該円筒体20の偏心
軸穴21の穴壁面21aと前記ロータ30との間に、該
ロータ30の回転方向Fに向けて徐々に広がり、その後
徐々に狭まる隙間Sを再び形成するに至り、したがっ
て、ロータ30に設けられた隣り合う一対のベーン3
3、33によって仕切られたポンプ空間S’の容積が該
ロータ30の回転方向Fに亙って再び変化したものとさ
れることから、ロータ30の駆動による流体の吐出量は
再び増加され、初期の吐出量に戻される。
【0014】すなわち、この実施の形態におけるベーン
ポンプは、前記ロータ30の回転に伴う前記ポンプ室1
0cの内圧が変化された場合、典型的には該ポンプ室1
0cに連なる吐出口10bからなる吐出される流体の流
量を制限するように、該吐出口10bに連なる配管に設
けられたバルブが閉じられたり、あるいは、絞られたり
した場合に、前記円筒体20をロータ30の回転方向F
に向けて回動させ、そしてこの回動によりロータ30の
駆動による流体の吐出量を減少させ、あるいは該吐出量
を略零として、前記のようにポンプから吐出される流体
の流量が制限される場合にはそれに応じてロ−タ30の
回転に要する駆動力を減少させるように機能するもので
ある。
【0015】例えば、この実施の形態におけるベーンポ
ンプを、自動車のエンジンをロータ30の駆動源とする
パワーステアリング装置などの自動車の油圧制御機器の
油圧回路に用いた場合、このベーンポンプから該パワー
ステアリング装置に圧送されるオイルの流量が制限を受
けると、これに相応して該ベーンポンプのポンプ室10
cの内圧が高められることになるが、この内圧の上昇に
伴った前記円筒体20のロータ30の回転方向Fに向け
た回動を通じてロータ30の駆動によるオイルの吐出量
を減少させて、前記ロータ30を駆動させる前記エンジ
ンの負荷を軽減させることができる。
【0016】この結果、例えば、自動車が高速で走行中
の場合など、前記パワーステアリング装置に圧送される
オイルの流量が制限される場合には、この制限に応じて
前記ベーンポンプ自体のオイルの吐出量を減少させるこ
とができ、こうした場合にもベーンポンプのオイルの吐
出量を変化させない場合に比べて、前記ロータ30を回
転させるためのエンジンの負荷を軽減させることがで
き、該エンジンに無用の負荷が加わることがないように
することができる。
【0017】従ってまた、この実施の形態におけるベー
ンポンプによれば、こうしたパワーステアリング装置を
構成するパワーシリンダなどの油圧装置へのオイルの流
入が止められた状態、すなわち該装置が稼動されていな
い状態においては、該ベーンポンプを構成する前記ロー
タ30の回転にかかわらず、このロータ30を回転させ
る前記エンジンの負荷を軽減した状態で、該ベーンポン
プからのオイルの吐出量を略零とすることが可能とされ
ることから、油圧装置が稼動されていない場合において
ベーンポンプから吐出させるオイルを循環させるいわゆ
るバイパス回路を前記油圧回路内に格別に設ける必要を
生じさせないものである。
【0018】次いで、この発明の実施の形態の一つとさ
れるベーンポンプを、図1ないし図7に基いて詳細に説
明する。
【0019】図1および図2に特に示されるように、こ
の実施の形態に係るベーンポンプは、断面円形をなすポ
ンプ室10cを備えるケーシング10と、このケーシン
グ10のポンプ室10c内に回転可能に収められ、か
つ、該回転軸線xに対して軸中心線x’を偏心させた偏
心軸穴21を備える円筒体20と、この円筒体20の偏
心軸穴21内に回転自在に設けられるロータ30とを主
体に構成されている。
【0020】先ず、前記ケーシング10は、前記ポンプ
室10cに連通する円形状の開口を備えたケーシング本
体11と、このケーシング本体11の該開口をパッキン
10eを間に挟んで液密状態に閉塞する蓋12とを備え
ている。
【0021】この蓋12は、この実施の形態において
は、ボルト10fにより前記ケーシング本体11に固定
される構成とされている。また、この蓋12のケーシン
グ10における内側部には、該ケーシング10の略中央
部に、前記ロータ30のロータ軸31の一端部の収めら
れる穴10dが設けられている。
【0022】また、前記ケーシング本体11は、前記蓋
12の組み付け側と反対の側に前記ロータ30のロータ
軸31の他端部を液密状態に差し入れ、かつ、軸支する
軸受穴10hが開設してあり、また、この軸受穴10h
に軸支される前記ロータ軸31の他端部側の収められる
穴10iを該軸受穴10hと前記ポンプ室10cとの間
に亘って備えている。
【0023】次いで、前記円筒体20は、ベーンポンプ
において一般にカムリングと称される部材に対応する部
材であるが、この実施の形態においては該円筒体20は
前記ケーシング10の断面円形状をなすポンプ室10c
の径と略同径の外径を有し、従って、該ポンプ室10c
の内壁面に沿って該ポンプ室10c内で該円筒体20の
外周円の円心位置に回転軸線xを位置させて回転可能な
構成とされると共に、該回転軸線xに対して軸中心線
x’を偏心させた断面円形状をなす偏心軸穴21を備え
ている。
【0024】この実施の形態においてはまた、前記円筒
体20は前記ケーシング10の前記ポンプ室10c内に
あって、前記ロータ30の回転方向Fと逆方向に向けて
回転するように付勢される構成とされている。
【0025】このように円筒体20を付勢する手段とし
て、この実施の形態においては、一端40aを該円筒体
20に、他端40bを前記ケーシング本体11にそれぞ
れ固定させると共に、該円筒体20の外側に巻き付けら
れるように備えられたコイルスプリング40を用いてい
る。なお、ケーシング本体11の前記蓋12により塞が
れる開口の内周縁部には、このコイルスプリング40の
収まる凹部10gが設けてある。
【0026】また、前記円筒体20と前記ケーシング1
0とには、前記スプリング40により前記ロータ30の
回転方向Fと逆方向に回転するように付勢される該円筒
体20を位置付けるためのストッパ手段がそれぞれ設け
てある。
【0027】このストッパ手段を、この実施の形態にお
いては、前記ケーシング本体11のポンプ室10cに向
けてバネ13cにより常時突き出されるように、該ケー
シング本体11に設けられた穴13a内に出没自在に収
められたストッパ片13bと、このストッパ片13bを
収め入れ、かつ、該ストッパ片13bが係当される段面
22aを備えると共に、前記円筒体20の外側において
該円筒体20の円周方向に沿って設けられた溝22とか
ら構成している。
【0028】すなわち、この円筒体20の溝22は、前
記偏心軸穴21により最も厚肉とされる該円筒体20の
箇所に前記段面22aを備えると共に、この段面22a
側の溝端から前記ロータ30の回転方向Fと逆方向に向
けて条設されており、かつ、他方の溝端側に向けて次第
に溝を浅くするように構成されている。従って、この溝
22は、前記一方の溝端から他方の溝端に向けた溝底面
22bを傾斜状の面としている。
【0029】従って、この実施の形態においては、前記
円筒体20は、前記コイルスプリング40により前記ロ
ータ30の回転方向Fと逆方向に回転されるように付勢
された状態で、前記溝22の段面22aに前記ストッパ
片13bを突き当てた位置より先に回転されないように
位置付けられる。
【0030】その一方で、前記溝22は前記ロータ30
の回転方向Fと逆方向に向けて次第に溝を浅くするよう
に条設されており、かつ、前記ストッパ片13bは前記
穴13a内に出没自在に収められていることから、前記
円筒体20は前記ロータ30の回転方向Fに向けては、
前記コイルスプリング40の付勢に抗して回動可能なも
のとされている。
【0031】次いで、前記ロータ30は、前記円筒体2
0の偏心軸穴21内に回転自在に収められた円盤状のロ
ータ本体32と、このロータ本体32の両面側において
突設される該ロータ本体32の回転軸となるロータ軸3
1とを備えている。
【0032】このロータ30のロータ軸31は、前記ケ
ーシング10の軸受穴10hに軸支される側において、
該軸受穴10hより該ケーシング10の外方にその端部
を突き出させており、この突き出された端部が該ロータ
30の回転駆動源、例えば自動車のエンジンなどによる
回転、駆動力の作用される箇所とされている。
【0033】また、ロータ30のロータ本体32には、
該ロータ本体32の回転軸線yの側から放射方向に向け
て複数のスリット32b、32b…が設けてあり、各ス
リット32b、32b…にそれぞれ、板状をなすベーン
33が収め入れられている。
【0034】また、このロータ30は、前記円筒体20
の回転軸線xに対する偏心位置にロータ30の回転軸線
yを位置させるように前記ケーシング10内に設けられ
ている。
【0035】すなわち、この実施の形態においては、前
記コイルスプリング40によりロータ30の回転方向F
と反対の方向に回転するように付勢された前記円筒体2
0が、前記溝22の段面22aにストッパ片13bを突
き当てて位置付けられた状態においては、前記円筒体2
0の回転軸線xを中心とした両側に、前記ロータ30の
回転軸線yと、前記偏心軸穴21の軸中心線x’とを、
該円筒体20の回転軸線xとの間に略等しい間隔を開け
て位置させる構成とされている。
【0036】従って、この実施の形態におけるベーンポ
ンプでは、前記ストッパ片13bと前記段面22aとが
当接し合っている状態においては、前記ロータ30と前
記円筒体20の偏心軸穴21の穴壁面21aとの間に、
該ストッパ片13bが設けられている側からこのストッ
パ片13bが設けられている側に対向する側に向けて徐
々に広がり、かつ、この対向する側から該ストッパ片1
3bが設けられている側に向けて除々に狭まる隙間Sが
形成される。
【0037】そして、この実施の形態におけるベーンポ
ンプでは、前記ストッパ片13bが設けられている側と
反対の側において、前記ケーシング本体11に前記ポン
プ室10cの内外を連通する吸込口10aと吐出口10
bとが設けてある。
【0038】従って、この実施の形態におけるベーンポ
ンプによれば、適宜の駆動手段による前記ロータ30の
回転駆動によって生じる遠心力により、前記ロータ本体
32のスリット32b内から前記複数のベーン33、3
3…を該ロータ30の回転軸線yの側から放射方向に向
けて、このベーン33の先端が前記円筒体20の偏心軸
穴21の穴壁面21aに接するようにそれぞれ突き出さ
せることができると共に、このようにスリット32b内
から突き出された複数のベーン33、33…の隣り合う
一対のベーン33、33により、前記ロータ本体32の
外周部32a面と前記偏心軸穴21の穴壁面21aとの
間の隙間Sを複数のポンプ空間S’、S’…に区分させ
ることができる。
【0039】そして、このように区分された複数のポン
プ空間S’、S’…の容積は、前記ロータ30の回転方
向Fに亘って変化したものとされることから、前記ロー
タ30の回転に伴って順次に前記吸込口10aから流体
を吸い込み、かつ、この吸い込んだ流体を吐出口10b
から吐き出し、この吐出口10bに連なる配管に流体を
圧送する。
【0040】このようなロータ30の回転に伴って生じ
るポンプ室10cの内圧により前記円筒体20は該ロー
タ30の回転方向Fに向けて回転される力を受けること
になるが、該円筒体20は前記スプリングにより該回転
方向Fと反対の方向に回転されるように付勢されている
ことから、このコイルスプリング40の付勢力を、前記
ポンプ室10cの内圧による前記円筒体20をロータ3
0の回転方向Fに向けて回転させようとする力が上回わ
らない限り、図3に示されるように、前記円筒体20は
前記溝22の段面22aに前記ストッパ片13bと当接
させた状態で位置付けられ続ける。この結果、前記ポン
プ空間S’の容積はロータ30の回転方向Fに亙って変
化したものとされることから、ポンプの吐出量は、ロー
タ30の回転数に応じて略一定のものとされる。
【0041】一方、前記ロータ30が回転駆動されてい
る状態において、前記吐出口10bに連なる配管に設け
られたバルブなどが閉じられたり、絞られたりすること
により、該配管を流れる流体の流量が制限されると、該
ロータ30の回転に伴う前記ポンプ室10cの内圧が高
められることになり、前記円筒体20を該ロータ30の
回転方向Fに向けて回転させる力も次第に大きくなる。
そして、この力が前記コイルスプリング40の付勢力に
上回ると、その力の大きさに応じて図4ないし図6にそ
れぞれ示されるように、前記ロータ30の回転方向Fに
向けて前記円筒体20が回動されるに至り、該円筒体2
0の偏心軸穴21の軸中心線x’と該ロータ30の回転
軸線yとがその位置を近付けていくことになり、この結
果前記ポンプ空間S’のロータ30の回転方向Fに亙っ
た変化率が前記円筒体20の回動前に比べて小さくなる
ことから、ポンプの吐出量は次第に減少される。そし
て、この吐出量の減少に応じて、前記ロータ30の回転
に要する駆動力を前記円筒体20の回動前に比べて軽減
することができる。
【0042】また、前記ポンプ室10cの内圧が更に高
められると、図7に示されるように、前記ロータ30の
回転方向Fに向けて、前記円筒体20の偏心軸穴21の
軸中心線x’と該ロータ30の回転軸線yとを重なり合
わせる位置まで該円筒体20が回動されるに至り、この
結果、前記ポンプ空間S’のロータ30の回転方向Fに
亙っての変化がなくなり、ポンプの吐出量は略零とな
る。これにより、前記ロータ30の回転に要する駆動力
を最小のものとすることができる。
【0043】なお、前記円筒体20のロータ30の回転
方向Fに向けた回動は、前記ストッパ片13bが前記穴
13a内に出没自在に設けられており、かつ、前記溝2
2が傾斜面とされる前記溝底面22bを備えていること
から、スムースになされる。
【0044】この後再び、前記吐出口10bに連なる配
管に設けられたバルブなどが開かれて、該配管に流れる
流体の流量の制限がなくなると、前記ポンプ室10cの
内圧が低下し、該円筒体20を該ロータ30の回転方向
Fに向けて回転させる力が次第に減少する。この力の減
少に応じて、前記コイルスプリング40の付勢により前
記円筒体20は再び前記段面22aに前記ストッパ片1
3bを当接させる側に向けて前記ロータ30の回転方向
Fと反対の方向に回動され、ロータ30の回転方向Fに
亙って前記ポンプ空間S’の容積が再び変化されること
になるので、前記ポンプ室10cの内圧の低下に伴って
ポンプの吐出量が再び増加されることになり、さらに、
前記段面22aに再び前記ストッパ片13bを当接させ
る位置まで前記円筒体20が回動されることにより、ポ
ンプの吐出量は初期の量に戻されることになる。
【0045】なお、この実施の形態におけるベーンポン
プでは、前記円筒体20を前記ロータ30の回転方向F
と反対の方向に回動を開始させるために必要とされる前
記ポンプ室10c内の設定圧力を、前記コイルスプリン
グ40の付勢力の調整により容易に設定、調整し得る特
長を有している。
【0046】
【発明の効果】この発明に係るベーンポンプは、断面円
形をなすポンプ室10cを備えるケーシング10と、こ
のケーシング10のポンプ室10c内に回転可能に収め
られ、かつ、該回転軸線xに対し軸中心線x’を偏心さ
せた偏心軸穴21を備える円筒体20と、回転軸線yの
側から放射方向に向けて出没自在に設けられた複数のベ
ーン33、33…を外周部32aに備え、かつ、該円筒
体20の偏心軸穴21内に回転自在に設けられたロータ
30とを備えた構成とし、そして、前記ロータ30を、
前記円筒体20の回転軸線xに対する偏心位置に該ロー
タ30の回転軸線yを備えて設けると共に、前記円筒体
20が、ロータ30の回転方向Fと逆方向に回転するよ
うに、付勢されていものとし、そしてさらに、前記ロー
タ30の回転に伴う前記ポンプ室10cの内圧の変化に
伴って、前記円筒体20が、該円筒体20の偏心軸穴2
1の軸中心線x’と前記ロータ30の回転軸線yとが互
いに離れた位置にある側から、該円筒体20の偏心軸穴
21の軸中心線x’と該ロータ30の回転軸線yとが重
なり合う位置にある側に向けて、前記付勢に抗して回動
されるものであって、ポンプ室10cの内圧の上昇に伴
うポンプの容量の減少及び内圧の下降に伴うポンプの容
量の増加を、前記付勢に抗した前記円筒体20の該ポン
プ室10c内での回動により達成することができること
から、該円筒体20をケーシング10のポンプ室10c
内に収め入るにあたり、該円筒体20と該ケーシング1
0との間の隙間を最小のものとすることができ、この結
果、ポンプの容量を可変させる機能を備えたベーンポン
プを外部からの制禦手段を要することなくできるだけ小
型に構成することができる。
【0047】また、この発明に係るベーンポンプは、前
記ポンプ室10cの内圧の上昇に伴って前記円筒体20
に加わる前記ロータ30の回転方向Fに向けて該円筒体
20を回転させようとする力が前記付勢力を超えた場合
に、該力の働く向きと同じ前記回転方向Fに円筒体20
を回動させて、無理なく、前記ポンプ室10cの内圧の
上昇量に相応したポンプの容量の減少または増加をなす
ことができる特長を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベーンポンプの縦断面図
【図2】図1におけるA−A線断面図
【図3】図1におけるB−B線断面図
【図4】ベーンポンプの動作説明図
【図5】ベーンポンプの動作説明図
【図6】ベーンポンプの動作説明図
【図7】ベーンポンプの動作説明図
【符号の説明】
10 ケーシング 10c ポンプ室 20 円筒体 21 偏心軸穴 30 ロータ 32a 外周部 33 ベーン x 回転軸線 x’軸中心線 y 回転軸線

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面円形をなすポンプ室を備えるケーシ
    ングと、 このケーシングのポンプ室内に回転可能に収められ、か
    つ、該回転軸線に対し軸中心線を偏心させた偏心軸穴を
    備える円筒体と、 回転軸線の側から放射方向に向けて出没自在に設けられ
    た複数のベーンを外周部に備え、かつ、該円筒体の偏心
    軸穴内に回転自在に設けられたロータとを備えるベーン
    ポンプであって、 前記ロータは、前記円筒体の回転軸線に対する偏心位置
    に該ロータの回転軸線を備えて設けてあると共に、 前記円筒体は、ロータの回転方向と逆方向に回転するよ
    うに、付勢されており、 前記ロータの回転に伴う前記ポンプ室の内圧の変化に伴
    って、前記円筒体が、該円筒体の偏心軸穴の軸中心線と
    前記ロータの回転軸線とが互いに離れた位置にある側か
    ら、該円筒体の偏心軸穴の軸中心線と該ロータの回転軸
    線とが重なり合う位置にある側に向けて、前記付勢に抗
    して回動される構成としてあることを特徴とするベーン
    ポンプ。
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CN103498796B (zh) * 2013-10-08 2015-11-18 天津商业大学 径向旁通变排量的滑片压缩机

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