JP2870602B2 - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents

可変容量型ベーンポンプ

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JP2870602B2 JP11824990A JP11824990A JP2870602B2 JP 2870602 B2 JP2870602 B2 JP 2870602B2 JP 11824990 A JP11824990 A JP 11824990A JP 11824990 A JP11824990 A JP 11824990A JP 2870602 B2 JP2870602 B2 JP 2870602B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば自動車の自動変速機、油圧式パワー
ステアリング装置等のオイル供給用ポンプ等として使用
される可変容量型ベーンポンプに関するものである。
〔従来の技術〕
従来より、この種の可変容量型ベーンポンプとして、
例えば実公昭63−19597号公報に示すものが知られてい
る。
この従来のポンプは、流体吸入路および流体吐出路を
有するポンプハウジングと、このポンプハウジングの内
腔内に設けられたカムリング(揺動リング)と、このカ
ムリング内に設けられて回転駆動されるロータと、この
ロータの外周部に半径方向に進退可能に設けられて半径
方向外端が前記カムリングの内周面に摺接する複数枚の
ベーンとを備えている。カムリングは、その中心が前記
ロータの回転軸線に対して偏心可能となるように前記ポ
ンプハウジングに支持ピンを介して揺動可能に支持され
ているとともに、カムスプリングのばね力によって偏心
量の増加方向に付勢されている。ポンプハウジング内周
面とカムリング外周面との間の空間部分には、制御流体
圧が導入されその制御流体圧によってカムリングを偏心
量の減少方向に付勢するコントロール圧力室が形成され
ている。
そして、この従来のポンプは、上記構成により、ロー
タを回転させて前記カムリングの内周面とロータの外周
面との間に形成されたポンプ室の容積を増減させること
によって、流体を前記流体吸入路を通して前記ポンプ室
に吸入して前記流体吐出路から吐出させることができる
とともに、前記カムリングの偏心量に応じて前記流体吐
出路からの流体の吐出量を変化させることができるよう
になっている。
また、従来のポンプでは、絞り部を有するスプールと
スプール用スプリングとからなる流量制御弁を流体吐出
路に配設し、この流体制御弁によって流体吐出路を通過
する流量に応じた制御流体圧を発生させ、この制御流体
圧をポンプハウジングに形成された制御流体圧導入路を
通して前記コントロール圧力室に導き、その制御流体圧
に応じてカムリングの偏心量を制御して、吐出量が所定
のロータ回転速度までは回転速度に比例して上昇し、所
定の回転速度以上では一定となる吐出量特性(第6図に
示す吐出量特性δ)を得るようにしている。
〔発明が解決しようとする課題〕 上記のように従来のポンプでは、高精度な加工を必要
とするスプールを有した流量制御弁を用いて、カムリン
グの偏心量を制御し、吐出量を制御するようにしたた
め、コストアップとなっていた。
また、用途によっては、吐出量を所定の回転速度まで
は回転速度に比例して上昇させ、所定の回転速度以上で
は段階的に上昇させたり、あるいは吐出量を所定の回転
速度までは回転速度に比例して上昇させ、所定の回転速
度を越えると徐々に下降させたりしたい場合等がある。
しかしながら、従来のポンプの構成では、第6図に示す
吐出量特性δしか得ることができなかったため、上記
のような各種の用途に対応させることができなかった。
そこで、カムリングを電動モータによって駆動し、こ
の電動モータを制御回路によって制御するようにして、
用途に応じた吐出量特性を得ることができるようにした
ものが開発されているが、電動モータや制御回路を必要
とするため、コストアップになるという問題があった。
以上の事情に鑑みて、本発明は、安価な構成で所定の
吐出量特性を得ることができる可変容量型ベーンポンプ
を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明にかかる可変容量型ベーンポンプは、流体吸入
路および流体吐出路を有するポンプハウジングと、この
ポンプハウジングの内腔内に設けられたカムリングと、
このカムリング内に設けられて回転駆動されるロータ
と、このロータの外周部に半径方向に進退可能に設けら
れて半径方向外端が前記カムリングの内周面に摺接する
複数枚のベーンとを備え、前記カムリングは、その中心
が前記ロータの回転軸線に対して偏心可能となるように
前記ポンプハウジングに揺動可能に支持され、かつカム
スプリングのばね力によって偏心量の増加方向に付勢さ
れており、前記ロータの回転によって前記カムリングの
内周面とロータの外周面との間に形成されたポンプ室の
容積が増減することに伴い、流体が前記流体吸入路を通
って前記ポンプ室に吸入されてそのポンプ室から前記流
体吐出路を通って吐出されるとともに、前記カムリング
の偏心量に応じて前記流体吐出路からの流体の吐出量が
変化するように構成された可変容量型ベーンポンプにお
いて、前記ポンプハウジングの内周面と前記カムリング
の外周面との間の空間部分に、流体圧が導入されその流
体圧によって前記カムリングを偏心量の減少方向に付勢
する第1コントロール圧力室と、流体圧が導入されその
流体圧によって前記カムリングを偏心量の増加方向に付
勢する第2コントロール圧力室とが形成され、前記容積
減少過程のポンプ室と前記第1コントロール圧力室とを
連通する流体圧導入路が設けられ、前記ポンプハウジン
グの内側面に前記容積減少過程のポンプ室と前記第2コ
ントロール圧力室とを連通し前記カムリングとで絞り部
を構成する連通溝が形成され、前記第2コントロール圧
力室に前記流体吐出路が開口して、前記ポンプ室内の流
体が前記第2コントロール圧力室に一旦導かれてから前
記流体吐出路を通って吐出されるように構成されたもの
である。
上記構成においては、連通溝のカムリング揺動方向に
直交する断面の面積をカムリング揺動方向に変化させる
ように構成してもよい。
〔作用〕
上記構成によれば、絞り部が流路抵抗となって絞り部
の前後で差圧が生じ、第2コントロール圧力室には絞り
部後の低流体圧が導入され、第1コントロール圧力室に
は絞り部前の高流体圧が導入される。このため、カムリ
ングには、上記高低流体圧間の差圧がカムスプリングの
ばね力に対抗して作用することとなる。
上記差圧は、絞り部を通過する流量(吐出量と一致)
と絞り部の流路断面積とに応じて変化する。また、吐出
量は、ロータ回転速度とカムリング偏心量とに応じて変
化する。このため、絞り部を構成する連通溝の流路断面
積(カムリング揺動方向に直交する断面の面積)をカム
リング揺動方向に一定値とし、かつ吐出量が所定値にな
ったときの差圧とカムスプリングのばね力とがバランス
するようにしておけば、ロータ回転速度が上昇して吐出
量が所定値を越えると、差圧がカムスプリングのばね力
に打勝って、カムリングの偏心量が減少し、吐出量の増
加が抑制されるようになる。したがって、吐出量が所定
の回転速度までは回転速度に比例して上昇し、所定の回
転速度以上では徐々に上昇する吐出量特性を得ることが
できる。
特に、連通溝の流路断面積をカムリング揺動方向に変
化させるように構成すれば、カムリングの揺動に伴って
絞り部の流路断面積が変化し、差圧が変化し、これに伴
ってカムリングの偏心量が変化するため、連通溝の流路
断面積の変化の仕方によって種々の吐出量特性を得るこ
とができる。
〔実施例〕
第1図ないし第3図は、本発明にかかる可変容量型ベ
ーンポンプの一実施例を示している。
この可変容量型ベーンポンプは、ポンプハウジング1
と環状のカムリング2とロータ3とを備えている。
ポンプハウジング1は連通側ハウジング1aとカバー側
ハウジング1bとからなり、連通側ハウジング1aの中央部
には一端がが開口された円柱状の凹部が形成され、この
凹部はその一端開口部がカバー側ハウジング1bによって
閉塞されてハウジング内腔1cを構成している。また、通
路側ハウジング1aには流体吸入路11および流体吐出路12
が貫通形成され、これら流体吸入路11および流体吐出路
12の各一端はそれぞれ通路側ハウジング1aの外周フラン
ジ部に開口して吸入口11aおよび吐出口12aを形成してい
る。一方、流体吸入路11および流体吐出路12の各他端
は、後述する容積増加過程のポンプ室6および第2コン
トロール圧力室92にそれぞれ開口している。
カムリング2は、円形の内周面21を有し、上記ハウジ
ング内腔1c内に設けられている。カムリング2の各側面
は、それぞれハウジング内腔1cの各側面(ポンプハウジ
ング内側面)13,14に密接されている。
ロータ3は、カムリング2の円形内周面21よりも小径
に形成され、カムリング2の円形内周面21内に設けら
れ、かつ両側面がそれぞれポンプハウジング内側面13,1
4に密接されている。また、このロータ3は、カバー側
ハウジング1bに挿通されたロータ駆動軸3aが連結され
て、このロータ駆動軸3aの軸線αを中心として第1図の
矢印C方向に回転するようになっている。
ロータ3の外周部には、複数個のベーン溝31が放射状
に形成されている。各ベーン溝31はロータ外周面32に開
口し、各ベーン溝31にはベーン4がロータ半径方向に進
退可能に嵌め込まれている。
ロータ3の両側面にはそれぞれ環状の溝33,33が形成
され、ポンプハウジング内側面14側に形成された溝33に
はガイドリング35が配設されている。
上記ベーン4は、ガイドリング35とロータ3の回転に
伴う遠心力とによってロータ半径方向外方に付勢され、
半径方向外端がカムリング2の円形内周面21に常に押し
当てられて円形内周面21を摺接するように構成されてい
る。
カムリング2の外周面22とハウジング内腔1cの周面
(ポンプハウジング内周面)15とには、互いに対向する
半円状の凹部23a,18がそれぞれ形成されている。これら
の凹部23a,18間には円柱形のピボットローラ23がその外
周面を各凹部23a,18の内周面に当接させた状態で設けら
れて、カムリング2は、ポンプハウジング1によって、
ピボットローァ23の中心O2を揺動中心として第1図の矢
印A,B方向に揺動可能に支持されている。これにより、
カムリング2は、その中心(円形内周面21の中心)O3
ロータ3の回転軸線αに対して偏心可能となっている。
なお、カムリング2の揺動中心O2からロータ3の回転軸
線αまでの距離と揺動中心O2からカムリング2の中心O3
までの距離とは等しくなるように設定されている。
中心O3と揺動中心O2とを通る中心線βを境とするカム
リング2の一方側部分には、スプリング受座24が形成さ
れている。このスプリング受座24には、カムリング2を
偏心量の増加方向(第1図の矢印B方向)に付勢するカ
ムスプリング25のばね力が掛かり、これにより、カムリ
ング2は最大偏心位置に押圧されている。
カムリング外周面22の揺動中心O2と略反対側の部分
(面)22aは、揺動中心O2を中心とする円弧面に形成さ
れている。この面22aとポンプハウジング内周面15との
間にはシール部材5が介在され、このシール部材5とピ
ボットローラ23とによってカムリング外周面22とポンプ
ハウジング内周面15との間の空間部分が仕切られて2分
割されている。そして、2分割された空間部分の一方側
(カムリング偏心側)には第1コントロール圧力室91が
設けられ、他方側には第2コントロール圧力室92が設け
られている。
上記第1および第2コントロール圧力室91,92にはそ
れぞれ後述するように流体圧が導かれ、第1コントロー
ル圧力室91は導入された流体圧によってカムリング2を
偏心量の減少方向に付勢し、第2コントロール圧力室92
は導入された流体圧によってカムリング2を偏心量の増
加方向に付勢するようになっている。
上記シール部材5は、第5図に示すように、全体とし
て略三日月形に形成されている。また、このシール部材
5は、内周面(カムリング外周面22側の面)51が上記カ
ムリング外周面22の円弧状部分22aに沿った円弧面に形
成され、外周面(ポンプハウジング円周面15側の面)52
がポンプハウジング1の円形内周面15に沿った円弧面に
形成されている。さらに、このシール部材5は、両側面
がそれぞれポンプハウジング内側面13,14に密接されて
いる。
カムリング外周面22のシール部材5両端部に対応する
位置にはそれぞれ耳部22b,22cが突設され、上記カムリ
ング外周面22の円弧状部分22aは、上記各耳部22b,22c位
置まで形成されてシール部材5の両端よりも外側に延長
されている。これにより、シール部材5の両端部がカム
リング2の最大偏心状態(第3図の実線状態)および最
小偏心状態(第3図の二点鎖線状態)のいずれの状態に
おいても上記円弧状部分22aよりも外側にはみ出さない
ようにされている。
ポンプハウジング内周面15の、上記カムリング偏心側
の耳部22bの端面22dと対向する部分には、最大偏心状態
で耳部22bの端面22dが当接してカムリング2の動きを止
めるストッパ面15aが形成されている。このストッパ面1
5aは、上記耳部22bの端面(カムリング2のストッパ面
当接部)22dとカムリング揺動中心O2とを結ぶ線γに対
してカムリング偏心量増加側に静摩擦角以上の角度θ
で傾斜している。また、耳部22bの端面22dも、線γに対
してθの角度で傾斜し、ストッパ面15aに沿うように
されている。
上記ピボットローラ23は、両側面がそれぞれポンプハ
ウジング内側面13,14に密接または埋め込まれた状態で
設けられている。このため、ピボットローラ23はシール
作用が与えられ、このピボットローラ23によって第1コ
ントロール圧力室91と第2コントロール圧力室92との間
が確実にシールされている。
上記カムリング2の内周面21とロータ3の外周面32と
ポンプハウジング内側面13,14とで囲まれた空間部分は
上記ベーン4によって複数個に分割されて、その空間部
分に複数個のポンプ室6が形成されている。各ポンプ室
6は、カムリング2の中心O3がロータ3の回転軸線αに
対して偏心していることにより、ロータ3の回転に伴っ
て容積が増減するようになっている。
ポンプハウジング内側面13には、第4図にも示すよう
に、容積減少過程のポンプ室6位置から第2コントロー
ル圧力室92位置まで延びる連通溝7が形成され、この連
通溝7によって容積減少過程のポンプ室6と第2コント
ロール圧力室92とが連通されている。この連通溝7は、
幅および深さが一定にされ、流路断面積(カムリング揺
動方向に直交する断面の面積と一致)がカムリング揺動
方向に一定になるように形成されている。カムリング2
の側面の連通溝7を覆う部分には内周部分を残して凹部
27が形成されて、その残されたカムリング内周部分と連
通溝7とで流路抵抗となる絞り部73が構成されている。
また、カムリング2の、ピボットローラ23よりも第1コ
ントロール圧力室91側の部分には、容積減少過程のポン
プ室6と第1コントロール圧力室91とを連通する流体圧
導入路95bが形成されている。この流体圧導入路95bは、
ポンプハウジング内側面13,14のいずれか一方または両
方に溝を形成することで構成してもよい。
なお、21cはポンプ室6の容積減少に伴う急激な圧力
変動を防止するためのカムリング内周面21に形成された
側溝であり、95は容積減少過程のポンプ室6内の流体を
連通溝7および流体圧導入路95bに導くためにポンプハ
ウジング内側面13に形成された吐出用溝である。
上記構成において、第1図の状態(カムリング2が最
大に偏心した状態)から、ロータ3を矢印C方向に回転
させると、各ポンプ室6も容積の増減を繰り返しながら
矢印C方向に回転移動する。そして、各ポンプ室6は、
容積増加過程において吸入口11aから流体吸入路11を通
してオイル等の流体を吸入し、容積減少過程において上
記吸入した流体を流体圧導入路95bおよび連通溝7に向
けて吐出する。流体圧導入路95bに向けて吐出された流
体はその流体圧導入路95bを通って第1コントロール圧
力室91に導入され、連通溝7に向けて吐出された流体は
その連通溝7を通って第2コントロール圧力室92に導か
れた後、流体吐出路12に導かれて吐出口12aから吐出さ
れる。
上記連通溝7には絞り部73が設けているために、絞り
部73が流路抵抗となって絞り部73の前後で差圧が生じ、
第2コントロール圧力室92には絞り部73後の低流体圧P2
が導入され、第1コントロール圧力室91には絞り部73前
の高流体圧P1が導入される。これにより、カムリング2
には、偏心量の増加方向に作用するカムスプリング25の
ばね力Fの他に、高流体圧P1が偏心量の減少方向に作用
し、低流体圧P2が偏心量の増加方向に作用するようにな
る。つまり、カムリング2には、高流体圧P1と抵抗流体
圧P2との差圧ΔP(=P1−P2)がカムスプリング25のば
ね力Fに対抗して作用するようになる。
上記差圧ΔPは、絞り部73を通過する流量(吐出量の
一致)Qの2乗に比例して増加し、絞り部73の流路断面
積aの2乗に反比例して減少する。また、吐出量Qは、
ロータ3の回転速度Nおよびカムリング2の偏心量eに
比例して増加する。つまり、次式の関係が成立する。
ΔP∝Q2/a2、Q∝e・N このことから、ロータ回転速度Nが低いときは、吐出
量Qが少なく、差圧ΔPも小さくなる。したがって、こ
の場合は、差圧ΔPよりもカムスプリング25のばね力F
が勝り、カムリング2は最大偏心位置に保持される。こ
の結果、ロータ回転速度Nが低いときは、ロータ回転速
度Nに比例して吐出量Qが増加するようになる。
一方、ロータ回転速度Nが高くなると、吐出量Qが増
加し、差圧ΔPも大きくなる。ここで、吐出量Qが所定
量Q0になったときの差圧ΔPとカムスプリング25のばね
力Fとがバランスするように設定されているとすると、
ロータ回転速度Nが高くなって、吐出量Qが所定量Q0
越えると、差圧ΔPがカムスプリング25のばね力Fに打
ち勝って、カムリング2が偏心量eの減少方向に揺動す
るようになる。これにより、カムリング2の偏心量eが
減少し、押しのけ容積が減って、吐出量Qの増加が抑制
される。このため、ロータ回転速度Nが高いときは、吐
出量Qが徐々に増加するようになる。
すなわち、このポンプの構成によれば、第6図に二点
鎖線δで示すように、ロータ回転速度Nが低いときに
はロータ回転速度Nに比例して吐出量Qを増加させ、ロ
ータ回転速度Nが高いときには吐出量Qを徐々に増加さ
せることができる。しかも、スプール等を有する流量制
御弁を用いずに、ポンプハウジング1やカムリング2等
の連通溝7や流体圧導入路95bが形成するだけで、第6
図に示すような吐出量特性δを得ることができるた
め、安価に構成することができる。
さらに、このポンプの特徴として、連通溝7をポンプ
ハウジング内側面13に形成しているため、このようにす
る代りにカムリング2にその内周面21から外周面22に貫
通する連通孔を形成した場合と比べて、各ベーン4の外
方端部が摺接するカムリング内周面21に加工を施す必要
がなくなり、ベーン4とカムリング内周面21との間の摺
動抵抗の低減やベーン4の耐久性向上を図ることができ
る。
また、このポンプの構成では、カムリング外周面22の
カムリング揺動中心O2と略反対側の部分22aをカムリン
グ揺動中心O2を中心とする円弧面に形成し、この面22a
とポンプハウジング内周面15との間にシール部材5を介
在させ、このシール部材5を全体として略三日月形に形
成している。そして、シール部材5の内周面51を上記カ
ムリング外周面22の円弧状部分に沿った円弧面に形成す
る一方、シール部材5の外周面52をポンプハウジング1
の円形内周面15に沿った円弧面に形成している。このた
め、シール部材5とカムリング外周面22、シール部材5
とポンプハウジング内周面15の他、シール部材5とポン
プハウジング内側面13,14とがそれぞれ長い距離に亘っ
て接触するようになり、第1コントロール圧力室91と第
2コントロール圧力室92との間をシール部材5によって
確実にシールすることができる。
さらに、このポンプの構成では、カムリング外周面22
の円弧状部分22aをシール部材5の両端よりも外側に延
長するようにしている。このため、カムリング2の最大
偏心状態および最小偏心状態のいずれの状態においても
シール部材5の両端部がはみ出すことがなくなり、カム
リング2が揺動したときに、シール部材5の両端部がカ
ムリング外周面22の円弧状部分22aとポンプハウジング
内周面15との間に噛み込まれることがなくなり、簡単な
構造でシール部材5を確実に固定することができる。
また、このポンプの構成のように、シール部材5の両
端部に対応するカムリング外周面22位置にそれぞれ耳部
22b,22cを突設し、カムリング外周面22の円弧状部分22a
を上記各耳部22b,22c位置まで形成してシール部材5の
両端部よりも外側に延長するようにすれば、カムリング
偏心側の耳部22bの端面22dをストッパ面15aに当接する
ストッパ面当接部として利用することができる。
しかも、このポンプの構成では、ストッパ面15aを耳
部22bの端面22dとカムリング2の揺動中心O2とを結ぶ線
γに対してカムリング偏心量増加側に静摩擦角以上の角
度θで傾斜させている。このため、カムリング2が最
大偏心状態になって、カムリング2の耳部22bがカムス
プリング25のばね力でストッパ面15aに押し付けられる
ようになると、カムスプリング25による押付け力の分力
でピボットローラ23に向かって生じてカムリング2に作
用するようになり、この力が耳部22bの端面22dとストッ
パ面15aとの間に生じる摩擦力よりも勝って、カムリン
グ2がピボットローラ23に押圧され、ピボットローラ23
とカムリング2の半円状凹部23a内周面との間のシール
性が高められるようになる。
第7図(a),(b)は、別の実施例の連通溝7aの形
状を示している。なお、連通溝7a形状以外は、前記実施
例と同様に構成されている。
この実施例の連通溝7aは、幅が一定で、深さがポンプ
室6側から第2コントロール圧力室92側に向かうに従っ
て徐々に浅くなるように形成されている。このため、連
通溝7aの流路断面積は、カムリング揺動方向の偏心量減
少側に向かうに従って徐々に小さくなる。
この構成によれば、カムリング2が揺動して、絞り部
73の位置がカムリング揺動方向に移動すると、絞り部73
の流路断面積aが変化する。すなわち、カムリング偏心
量eが減少するに従って、絞り部73の流路断面積aに徐
々に小さくなる。このため、カムリング2の偏心量減少
方向に揺動すると、前記実施例の連通溝7と比較して、
ローラ回転速度Nが同じ回転速度であっても、絞り部73
の流路断面積aが小さくなり、差圧ΔPが大きくなっ
て、カムリング偏心量eがますます小さくなり、吐出量
Qが少なくなる。この結果、第6図に実線δまたは二
点鎖線δで示すように、高回転速度域では吐出量Qが
一定またはロータ回転速度Nに伴って徐々に下降する吐
出量特性が得られる。
第8図(a),(b)は、さらに別の連通溝7bが形状
を示している。この連通溝7bは、深さが一定で、幅がポ
ンプ室6側から第2コントロール圧力室92側に向かうに
従って徐々に狭くなるように形成されている。このた
め、第7図に示した連通溝7aと同様に、連通溝7bの流路
断面積はカムリング揺動方向の偏心量減少側に向かうに
従って徐々に小さくなる。このようにしても、カムリン
グ偏心量eが減少するに従って、絞り部73の流路断面積
aが徐々に小さくなるため、第6図に実線δまたは二
点鎖線δで示すような吐出量特性を得ることができ
る。
第9図(a),(b)に示す連通溝7cは、幅がポンプ
室6側から第2コントロール圧力室92側に向かうに従っ
て段階的に狭くなるように形成されている。このため、
連通溝7cの流路断面積は、カムリング揺動方向の偏心量
減少側に向かうに従って段階的に小さくなる。このよう
にすれば、第6図に実線δまたは破線δで示すよう
に、高回転速度域では吐出量Qがロータ回転速度Nに伴
って段階的に下降または上昇する吐出量特性が得られ
る。
第10図(a),(b)に示す連通溝7dは、幅がポンプ
室6側から第2コントロール圧力室92側に向かうに従っ
て段階的に浅くなるように形成されている。このため、
第9図に示した連通溝7cと同様に、連通溝7dの流路断面
積はカムリング揺動方向の偏心量減少側に向かうに従っ
て段階的に小さくなる。したがって、第6図に実線δ
または破線δで示すような吐出量特性を得ることがで
きる。
上記各例で示したように、連通溝7a,7b,7c,7dをその
流路断面積がカムリング揺動方向に変化するように構成
すれば、カムリング2の揺動に伴って絞り部73の流路断
面積が変化し、絞り部73と流路抵抗が変化して、吐出量
Qが連通溝7a,7b,7c,7dの流路断面積の変化に応じた量
に制御される。このため、連通溝7a,7b,7c,7dの流路断
面積のカムリング揺動方向に種々変化させることによっ
て、種々の吐出量特性を得ることができる。例えば、第
7図に示した連通溝7aとは逆に、深さがポンプ室6側か
ら第2コントロール圧力室92側に向かうに従って徐々に
深くなるように形成すれば、第6図に実線δで示すよ
うな吐出量特性を得ることもできる。
なお、連通溝7,7a,7b,7c,7dは、カバー側ハウジング1
b側のポンプハウジング内側面14にも設けるようにして
もよいし、ポンプハウジング内側面14にのみ設けるよう
にしてもよい。シール部材5は、円柱形のものでよく、
略三日月に限定されない。
〔発明の効果〕
本発明にかかる可変容量型ベーンポンプは、吐出量に
応じて変化する絞り部前後の差圧によってカムリングの
偏心量を制御するように構成したため、スプール等を有
する流量制御弁を用いなくとも、従来と同等の吐出量特
性を安価な構成で得ることができる。
しかも、連通溝をポンプハウジング内側面に形成した
ため、各ベーンの外方端部が摺動するカムリング内周面
に加工を施す必要がなくなり、ベーンとカムリング内周
面との間の摺動抵抗の低減やベーンの耐久性の向上を図
ることができる。
特に、連通溝のカムリング揺動方向に直交する断面の
面積をカムリング揺動方向に変化させるように構成すれ
ば、カムリングの揺動に伴って絞り部の流路断面積が変
化し、差圧が変化するため、連通溝の流路断面積の変化
の仕方によって種々の吐出量特性を得ることができる。
したがって、安価な構成で各種の用途に応じたポンプを
構成することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる可変容量型ベーンポンプの一実
施例をカバー側ハウジングを除いて示す正面図、第2図
は第1図のII−II線断面図、第3図は第1図の要部拡大
図、第4図は第1図のIV−IV線断面図、第5図はシール
部材を示す斜視図、第6図はロータの回転速度と吐出量
との関係を示すグラフ、第7図(a),(b)〜第10図
(a),(b)は連通溝の別例を示す平面図および断面
図である。 1……ポンプハウジング、1c……ポンプハウジングの内
腔、2……カムリング、3……ロータ、4……ベーン、
6……ポンプ室、7,7a,7b,7c,7d……連通溝、11……流
体吸入路、12……流体吐出路、15……ポンプハウジング
内周面、21……カムリングの内周面、22……カムリング
外周面、25……カムスプリング、32……ロータ外周面、
73……絞り部、91……第1コントロール圧力室、92……
第2コントロール圧力室、95b……流体圧導入路、O3
…カムリングの中心、α……ロータの回転軸線。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体吸入路および流体吐出路を有するポン
    プハウジングと、このポンプハウジングの内腔内に設け
    られたカムリングと、このカムリング内に設けられて回
    転駆動されるロータと、このロータの外周部に半径方向
    に進退可能に設けられて半径方向外端が前記カムリング
    の内周面に摺接する複数枚のベーンとを備え、前記カム
    リングは、その中心が前記ロータの回転軸線に対して偏
    心可能となるように前記ポンプハウジングに揺動可能に
    支持され、かつカムスプリングのばね力によって偏心量
    の増加方向に付勢されており、前記ロータの回転によっ
    て前記カムリングの内周面とロータの外周面との間に形
    成されたポンプ室の容積が増減することに伴い、流体が
    前記流体吸入路を通って前記ポンプ室に吸入されてその
    ポンプ室から前記流体吐出路を通って吐出されるととも
    に、前記カムリングの偏心量に応じて前記流体吐出路か
    らの流体の吐出量が変化するように構成された可変容量
    型ベーンポンプにおいて、前記ポンプハウジングの内周
    面と前記カムリングの外周面との間の空間部分に、流体
    圧が導入されその流体圧によって前記カムリングを偏心
    量の減少方向に付勢する第1コントロール圧力室と、流
    体圧が導入されその流体圧によって前記カムリングを偏
    心量の増加方向に付勢する第2コントロール圧力室とが
    形成され、前記容積減少過程のポンプ室と前記第1コン
    トロール圧力室とを連通する流体圧導入路が設けられ、
    前記ポンプハウジングの内側面に前記容積減少過程のポ
    ンプ室と前記第2コントロール圧力室とを連通し前記カ
    ムリングとで絞り部を構成する連通溝が形成され、前記
    第2コントロール圧力室に前記流体吐出路が開口して、
    前記ポンプ室内の流体が前記第2コントロール圧力室に
    一旦導かれてから前記流体吐出路を通って吐出されるよ
    うに構成されていることを特徴とする可変容量型ベーン
    ポンプ。
  2. 【請求項2】連通溝のカムリング揺動方向に直交する断
    面の面積がカムリング揺動方向に変化するように構成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の可変容量型ベ
    ーンポンプ。
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