JP2867285B2 - ベーンポンプ - Google Patents

ベーンポンプ

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    • F01C21/0818Vane tracking; control therefor
    • F01C21/0854Vane tracking; control therefor by fluid means
    • F01C21/0872Vane tracking; control therefor by fluid means the fluid being other than the working fluid

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両のパワーステアリング装置等に用いら
れるベーンポンプに関するものである。
〔従来の技術〕
ベーンポンプは一般に、内周にほぼ楕円形のカム面を
有するカムリングと、カムリング内で回転するロータ
と、ロータの外周側に円周方向等間隔で形成されたスリ
ット内に進退動可能に挿入された多数枚のベーンと、カ
ムリングおよびロータを両側から挾持するプレートとを
備えており、ロータの回転に伴って各ベーンがカムリン
グに摺接し、隣接する2枚のベーン間に形成されるポン
プ室の容積を増減させることにより、オイルの吸込・吐
出を行うようになっている。
このようなベーンポンプでは、各ベーンをロータのス
リットから押し出してカムリングの内面に確実に接触さ
せるために、各スリットの内周側にこのポンプから吐出
されたオイルを導入するようになっている。そして、従
来は、両プレートのロータに接する面上に、同一円周上
に位置する4個の円弧状溝を形成し、そのうちの2つの
溝に直接吐出油を導入し、それらの間の2つの溝には、
上記溝と連通する細い通路を介して吐出油を導入するよ
うになっている。
上記ベーンポンプでは、始動時に遠心力によって僅か
に飛び出したベーンが吐出行程に入った時にカムに当た
って逆に押し込まれ、そのベーンが挿入されているスリ
ットの内部のオイルを押し出す。押し出されたオイルは
上記細い通路を通ってポンプの吐出側に送り出される。
この時、細い通路を流出する抵抗のためスリット内周側
のオイルの圧力が上昇し、まだ十分に飛び出していない
隣接するベーンを押し出す。これを繰り返すことにより
最終的にすべてのベーンが完全に飛び出してカムリング
に当接して吐出を始める。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来のベーンポンプでは、両プレートに形成され
ている円弧状溝を接続する通路が十分に細くないと低回
転時にベーン内部側の油圧が上昇せず始動性が悪くな
り、また、その通路を細くすると、高回転時に流出抵抗
が大きくなり、動力損失の増大、油温の上昇等を招くと
いう問題があった。
本発明は上記欠点を除くためになされたもので、始動
性が良く、しかも高回転時にも動力損失の少ないベーン
ポンプを提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係るベーンポンプは、内面にカムが形成され
たカムリングと、このカムリング内で回転するロータ
と、このロータの外周に円周方向等間隔で形成されたス
リット内に進退動可能に挿入されたベーンと、カムリン
グおよびロータを両側から挾持するプレートとを備え、
両プレートのロータ側の面上に、上記各スリットの内周
側端部に連通する複数の円弧状溝を形成し、これら円弧
状溝内に吐出油を導入して上記ベーンを押し出すように
したものであって、さらに、上記ロータの端面の、各ベ
ーンが後退したときにこれらベーンによって遮断される
位置に環状溝を形成し、ベーンがロータの外周側に移動
したときに上記各円弧状溝を連通可能にしたものであ
る。
また、第2の発明に係るベーンポンプは、内面にカム
が形成されたカムリングと、のカムリング内で回転する
ロータと、このロータの外周に円周方向等間隔で形成さ
れたスリット内に進退動可能に挿入されたベーンと、カ
ムリングおよびロータを両側から挾持するプレートとを
備え、両プレートのロータ側の面上に、上記各スリット
の内周側端部に連通する複数の円弧状溝と、これら円弧
状溝を接続する通路とを形成し、各円弧状溝内に吐出油
を導入して上記ベーンを押し出すようにしたものであっ
て、さらに、上記ロータの端面の、各ベーンが後退した
ときにこれらベーンによって遮断される位置に環状溝を
形成し、ベーンがロータの外周側に移動したときに上記
各円弧状溝を連通可能にしたものである。
〔作用〕
本発明に係るベーンポンプでは、ベーンを押し出すた
めの油圧を導入する円弧状溝をロータに形成した環状溝
によって連通し、しかも始動時にはその環状溝を遮断し
ておくことにより、円弧状溝内の油圧を上昇させやすく
して始動性を向上させる。
また、第2の発明に係るベーンポンプでは、上記円弧
状溝をプレートに形成した通路によって接続するとも
に、ロータに環状溝を設けたので、通常の回転時には円
弧状溝間を接続する通路の断面積が大きくなり動力損失
が低減する。
〔実施例〕
以下図示実施例により本発明を説明する。第1図は本
発明の一実施例に係るベーンポンプの縦断面図、第2図
はそのII−II線に沿う断面図であり、ほぼ、円筒状のフ
ロントボディ(2)と皿状のリアボディ(4)とを突き
合せて成るポンプボディ(6)内に、ポンプカートリッ
ジ(8)が収容されている。
フロントボディ(2)の小径筒部(2a)からポンプボ
ディ(6)内に、入力軸(10)が挿入され、ベアリング
(12),(14)によって回転自在に支持されている。な
お、(16)はオイルシールである。入力軸(10)はポン
プボディ(6)内先端部(10a)には、ロータ(18)が
スプラインにより連結されて回転駆動されるようになっ
ている。ロータ(18)には円周方向等間隔に、半径方向
のスリットが形成され、各スリット内にベーン(20)が
出没可能に嵌挿されている。ロータ(18)の外周側に
は、ほぼ楕円形の内周カム面を有するカムリング(22)
が配設されている。
これらロータ(18)およびカムリング(22)は、フロ
ントボディ(2)内に配置されたプレッシャプレート
(24)とリアボディ(4)とによって挾持されており、
リアボディ(4)、カムリング(22)およびプレッシャ
プレート(24)は、ピン(26)によって回転方向の位置
決めがされている。
フロントボディ(2)およびリアボディ(4)には、
吸込ポート(2b)および吸込通路(2c),(4a)が設け
られており、これら通路(2c),(4a)を経て、隣接す
る2枚のベーン(20)によって形成される各ポンプ室内
に吸込まれたオイルは、プレッシャプレート(24)に設
けられた吐出通路(24a)を経てフロントボディ(2)
底部の吐出室(2d)内に吐出される。
プレッシャプレート(24)のロータ(18)側の面上に
は、ロータ(18)に形成された各スリット(15)の内周
側端部に向かい合う位置に、4つに分割された円弧状の
溝(24b)が形成され、一方、リアボディ(4)のロー
タ(18)側の面上にも、上記円弧状溝(24b)と対応す
る位置に円弧状溝(4b)が形成されている。プレッシャ
プレート(24)の円弧状溝(24b)は貫通穴(24c)を介
して上記突出室(2d)に連通している。また、ロータ
(18)の両端面上には、上記円弧状溝(4b),(24b)
の外周寄りの部分と向かい合う位置に環状溝(18a)が
形成されている。これら環状溝(18a)は、第2図から
明らかなように、ベーン(20)が挿入されている各スリ
ット(15)の内周寄りの部分を横切っており、ベーン
(20)が内周側に後退しているときにはそのベーン(2
0)によって遮断され、ベーン(20)が外周側に飛び出
しているときには、分割されている円弧状溝(4b),
(24b)を接続するようになっている。なお、ロータ(1
8)に形成された環状溝(18a)の断面積は、従来プレー
ト(プレッシャプレートおよびリアボディ)に形成され
ていた円弧状溝を接続する細い通路よりも大きいものと
する。
以上の構成に係るベーンポンプでは、始動開始前に
は、ベーン(20)がスリット(15)の内部側に後退して
上記環状溝(18a)を遮断しており(第4図実線の位
置)、ロータ(18)が回転を始めると、ベーン(20)は
遠心力によって若干飛び出し(第3図中央のベーン)、
吐出行程に達したときにカムリング(22)内面に当たっ
て逆に押し込まれる(第3図右側のベーン)。ベーン
(20)が押し込まれることによって、そのベーン(20)
の挿入されているスリット(15)の内部側のオイルが押
し出され、円弧状の溝(4b),(24b)を経て隣接する
スリット(15)内のベーン(20)を押し上げてカムリン
グ(22)に当接させる。第3図の右側のベーン(20)が
押し込まれて、同図中央のベーン(20)が押し出される
と、両ベーン(20)がともにカムリング(22)に当接
し、これら2枚のベーン(20)間のポンプ室が密閉さ
れ、以降ポンプの吐出作用が行なわれる。
このように、押し込まれたベーン(20)によって押し
出されたスリット(15)内部側のオイルはすべて隣接す
るベーン(20)を押し出すために使われるのでベーンポ
ンプの始動性を向上させることができる。そして、この
ベーンポンプが高速で回転する場合には、吐出領域にあ
る円弧状溝(4b),(24b)から、従来より大きい断面
積を持つ環状溝(18a)を経て他の円弧状溝(4b),(2
4b)へ流出するため、オイルの抵抗が小さくなり動力損
失は減少する。また、油温の上昇を抑えてオイルの劣化
を防止することもできる。
第5図および第6図は第2の実施例を示すものであ
り、上記実施例と同一の部分には同一の符号を付してそ
の説明は省略する。この実施例では従来の構成と同様
に、4つの円弧状溝(4b),(24b)をそれぞれ接続す
る細い通路(4b),(24b)を有しており、それに加え
て上記実施例と同様の環状溝(18a)がロータ(18)の
両面に形成されている。
この実施例では、始動時には、環状溝(18a)がベー
ン(20)によって遮断され、円弧状溝(4b),(24b)
がそれぞれ細い通路(4c),(24d)によって接続され
ているので、従来のベーンポンプと同様の構成である
が、通常の作動時には、ベーン(20)が押し出されて環
状溝(18a)も連通するので、円弧状溝(4b),(24b)
間を連通する通路の断面積が大きくなり動力損失を低下
させることができる。また、細い通路(4c),(24d)
の断面積を従来より小さくしても断面積の大きい環状溝
(18a)により動力損失を減少させることができ、その
結果始動性も向上させることが可能となる。なお、環状
溝(18a)は、ベーン(20)の後退時にベーンによって
完全に遮断されるものに限らず、一部に連通部を残して
大半が遮断されるものであっても良い。また、第7図に
示すように、環状溝(18a)をロータ(18)の一方の面
だけに形成し、円弧上溝(4b),(24b)を接続する通
路(4c),(24d)もいずれか一方(この例では(24
d))だけに設けるようにしても良い。
〔発明の効果〕
以上述べたように本発明によれば、ベーンポンプの始
動性を向上させることができ、また、高速回転時の動力
損失を減少させ、油温の上昇を抑えてオイルの劣化を防
止することができる。しかもこのベーンポンプは、極く
低速からオイルの吐出を始めるので、使用回転数の範囲
を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係るベーンポンプの縦断面
図、第2図は第1図のII−II線に沿う断面図、第3図は
始動時を説明する図、第4図は第3図のIV−IV線に沿う
断面図、第5図および第6図は第2の実施例の第3図お
よび第4図に対応する図、第7図は第3の実施例の第4
図に対応する図である。 (4)……プレート(リアボディ) (4b)……円弧状溝 (4c)……円弧状溝を接続する通路 (15)……スリット (18)……ロータ (18a)……環状溝 (20)……ベーン (22)……カムリング (24)……プレート(プレッシャプレート) (24b)……円弧状溝 (24d)……円弧状溝を接続する通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F04C 2/30 - 2/352 F04C 18/30 - 18/352

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内面にカムが形成されたカムリングと、こ
    のカムリング内で回転するロータと、このロータの外周
    に円周方向等間隔で形成されたスリット内に進退動可能
    に挿入されたベーンと、カムリングおよびロータを両側
    から挾持するプレートとを備え、両プレートのロータ側
    の面上に、上記各スリットの内周側端部に連通する複数
    の円弧状溝を形成し、これら円弧状溝内に吐出油を導入
    して上記ベーンを押し出すようにしたベーンポンプにお
    いて、上記ロータの端面の、各ベーンが後退したときに
    これらベーンによって遮断される位置に環状溝を形成
    し、ベーンがロータの外周側に移動したときに上記各円
    弧状溝を連通可能にしたことを特徴とするベーンポン
    プ。
  2. 【請求項2】内面にカムが形成されたカムリングと、こ
    のカムリング内で回転するロータと、このロータの外周
    に円周方向等間隔で形成されたスリット内に進退動可能
    に挿入されたベーンと、カムリングおよびロータを両側
    から挾持するプレートとを備え、両プレートのロータ側
    の面上に、上記各スリットの内周側端部に連通する複数
    の円弧状溝と、これら円弧状溝を接続する通路とを形成
    し、各円弧状溝内に吐出油を導入して上記ベーンを押し
    出すようにしたベーンポンプにおいて、上記ロータの端
    面の、各ベーンが後退したときにこれらベーンによって
    遮断される位置に環状溝を形成し、ベーンがロータの外
    周側に移動したときに上記各円弧状溝を連通可能にした
    ことを特徴とするベーンポンプ。
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