JP2872487B2 - 磁性トナー - Google Patents

磁性トナー

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JP2872487B2
JP2872487B2 JP4161758A JP16175892A JP2872487B2 JP 2872487 B2 JP2872487 B2 JP 2872487B2 JP 4161758 A JP4161758 A JP 4161758A JP 16175892 A JP16175892 A JP 16175892A JP 2872487 B2 JP2872487 B2 JP 2872487B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真法、静電記録法
などに用いられるトナーに関し、特に絶縁性の磁性トナ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来電子写真法としては米国特許第2,
297,691号明細書、特公昭42−23910号公
報(米国特許第3,666,363号明細書)及び特公
昭43−24748号公報(米国特許第4,071,3
61号明細書)等に記載されている如く、多数の方法が
知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々
の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該
潜像をトナーで現像を行なって可視像とし、必要に応じ
て、紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧
力等により定着し、複写物を得るものである。
【0003】静電潜像をトナーを用いて可視像化する現
像方法も種々知られている。例えば米国特許第2,87
4,063号明細書に記載されている磁気ブラシ法、同
第2,618,552号明細書に記載されているカスケ
ード現像法及び同第2,221,776号明細書に記載
されているパウダークラウド法、ファーブラシ現像法、
液体現像法等、多数の現像法が知られている。
【0004】これらの現像法において、特にトナー及び
キャリアを主体とする現像剤を用いる磁気ブラシ法、カ
スケード法、液体現像法などが広く実用化されている。
これらの方法は、いずれも比較的安定に良画像の得られ
る優れた方法であるが、反面キャリアの劣化、トナーと
キャリアの混合比の変動という2成分現像剤にまつわる
共通の欠点を有する。
【0005】かかる欠点を回避するため、トナーのみよ
りなる1成分現像剤を用いる現像方法が各種提案されて
いるが、中でも、磁性を有するトナー粒子より成る現像
剤を用いる方法に優れたものが多い。
【0006】米国特許第3,909,258号明細書に
は電気的に導電性を有する磁性トナーを用いて現像する
方法が提案されている。これは内部に磁性を有する円筒
状の導電性スリーブ上に導電性磁性トナーを支持し、こ
れを静電像に接触せしめ現像するものである。この際、
現像部において、記録体表面とスリーブ表面の間にトナ
ー粒子により導電路が形成され、この導電路を経てスリ
ーブよりトナー粒子によりに電荷が導かれ、静電像と画
像部との間のクーロン力によりトナー粒子が画像部に付
着して現像される。この導電性磁性トナーを用いる現像
方法は従来の2成分現像方法にまつわる問題点を回避し
た優れた方法であるが、反面トナーが導電性であるた
め、現像した画像を、記録体から普通紙などの最終的な
支持部材へ静電的に転写することが困難であるという欠
点を有している。
【0007】静電的に転写をすることが可能な高抵抗の
磁性トナーを用いる現像方法として、トナー粒子の誘電
分極を利用した現像方法がある。しかし、かかる方法は
本質的に現像速度が遅い、現像画像の濃度が十分に得ら
れない等の欠点を有しており、実用上困難である。
【0008】高抵抗の磁性トナーを用いるその他の現像
方法として、トナー粒子相互の摩擦、トナー粒子とスリ
ーブ等との摩擦等によりトナー粒子を摩擦帯電し、これ
を静電像保持部材に接触して現像する方法が知られてい
る。しかしこれらの方法は、トナー粒子と摩擦部材との
接触回数が少なく摩擦帯電が不十分となり易い、帯電し
たトナー粒子はスリーブとの間のクーロン力が強まりス
リーブ上で凝集し易い、等の欠点を有しており、実用上
困難であった。
【0009】ところが、特開昭55−18656号公報
等において、上述の欠点を除去した新規な現像方法が提
案された。これはスリーブ上に磁性トナーをきわめて薄
く塗布し、これを摩擦帯電し、次いでこれを静電像にき
わめて近接して現像するものである。この方法は、磁性
トナーをスリーブ上にきわめて薄く塗布することにより
スリーブとトナーの接触する機会を増し、十分な摩擦帯
電を可能にしたこと、磁力によってトナーを支持し、か
つ磁石とトナーを相対的に移動させることによりトナー
粒子相互の凝集をとくとともにスリーブと十分に摩擦せ
しめていること、トナーを磁力によって支持し、またこ
れを静電像に接することなく対向させて現像することに
より地カブリを防止していること等によって優れた画像
が得られるものである。
【0010】また、このような現像方法に用いられる現
像器は簡単な構成で非常に小さくできることが特徴であ
る。そのため例えば高速機では感光体のまわりに余裕が
できるため、他の色の現像器をいくつか配置しワンタッ
チで色の変更をしたり、アナログ光と同時にレーザー光
を用いページや文字の書き込みを複写と同時にできるな
どが容易になるというような利点がでてくる。
【0011】しかしながら、このような現像方式はシン
プルで軽く小さい現像器という特徴のため逆に、この方
式に使われるトナーは従来トナー以上により帯電状態が
環境安定性に優れていないと全体として優れた画像性、
耐久性、安定性を得られない。すなわち、かかるトナー
の性能がシステムの性能にそのまま反映される場合が多
いということである。
【0012】さらに複写機はより高速化の方向にも進ん
でいるため、トナーは高解像と高速現像、高耐久などを
高度に満足しなければならなくなってきている。
【0013】これらの厳しい要求に応えるためトナーの
研究開発が鋭意行なわれている。
【0014】磁性トナーに使われる材料のなかで特に磁
性体は磁性トナー全体に対して重量で20〜70重量%
含有されているため磁性トナーの性能を大きく左右す
る。
【0015】近年、複写機が高速化の方向に進んでいる
ことや高解像性、細線再現性、ベタ黒、高解像濃度など
を満足させるためにトナーの粒径を小粒径化することが
試みられている。
【0016】このような状況下、磁性粉をより均一に結
着樹脂中に分散させないと、高解像と高速現像、高耐久
などを充分に満足させることはできないばかりか、低温
低湿環境下ではトナー帯電量の適度なコントロールがし
にくくなり、トナー帯電量の過度の上昇による画像濃度
低下やバックグラウンドの汚れが発生することが多い。
【0017】また、帯電量の過度の上昇を抑える方法の
1つとして、磁性体を増加させる方法があるが、この方
法では、定着性が悪化する方向であり、今後のさらなる
高速機への対応を考慮した場合、対症療法的手段にすぎ
ない。
【0018】以上のことから、従来の技術では、今後の
高速現像に適した高解像と高耐久を満たしたトナーの開
発に際して大きな妨げとなっていた。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、トナ
ー粒子間、トナーとスリーブの如きトナー担持体との間
の摩擦帯電量が安定で、かつ摩擦帯電量分布がシャープ
で均一であり、使用する現像システムに適した帯電量に
コントロールできる磁性トナーの提供にある。
【0020】さらに他の目的は、デジタルな潜像に忠実
な現像を行なわしめるドット間の濃度差を大きくするこ
とが可能であり、ドットの縁部がシャープに再現される
磁性トナーを提供することにある。
【0021】さらに他の目的は、トナーを長期にわたり
連続使用した際にも初期の性能を維持する磁性トナーを
提供することにある。
【0022】さらに他の目的は、ポスト帯電を含む画像
形成プロセスにおいてもカブリ、反転カブリの少ない磁
性トナーを提供することにある。
【0023】さらに他の目的は、温度、湿度の変化に影
響を受けない安定した画像を再現する磁性トナーを提供
することにある。
【0024】さらに他の目的は、長期間の保存でも初期
の特性を維持する保存安定性の優れた磁性トナーを提供
することにある。
【0025】さらに他の目的は、トナーを小粒径化した
際の弊害であるトナーのチャージアップを防止し、最適
な流動性を付与させる磁性トナーを提供することにあ
る。
【0026】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明において
は、少なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄を含有する磁性ト
ナーにおいて、磁性トナーの断面写真上における磁性酸
化鉄の個数分布の変化係数(A)と該磁性トナーに使用
した磁性酸化鉄の個数分布の変化係数(B)との差が4
0以下であることを特徴とする磁性トナーに関する。
【0027】以下、本発明の磁性トナーを詳細に説明す
る。
【0028】本発明の磁性トナーにおいては磁性トナー
中での磁性酸化鉄の分散状態を目視で観察することによ
り、磁性酸化鉄の分散状態の定量的な評価をすることが
できる。そして、(A)と(B)の変化係数の差を40
以下とすることにより、結着樹脂中での磁性酸化鉄の分
散状態が良好な磁性トナーを提供することができる。
【0029】その結果、解像力にすぐれた高品位画像を
環境条件に左右されることなく長期にわたり安定して提
供することができる。また、本発明では、スリーブ上の
トナーコート量を安定化させ、トナーコート層が過剰に
厚くなり、トナーコートムラが発生せず、長期にわたっ
て均一なトナーコート量を得ることができる。
【0030】磁性トナーの断面写真上における磁性酸化
鉄の個数分布の変化係数(A)は、次の方法により求め
ることができる。まず、磁性トナーを樹脂で固めた後、
磁性トナーの断面をミクロトームで切断し、10枚の薄
片を作製し、その薄片について透過型電子顕微鏡TEM
を用いて断面写真を撮影する。
【0031】断面写真を3万倍に引き延ばし、10枚の
断面写真から磁性酸化鉄について任意の300個を、デ
ジタイザにより、粒径を測定し個数分布の変化係数
(A)を計算する。
【0032】ここで、個数分布の変化係数は、S/D1
×100により定義する。
【0033】S :断面写真上における磁性酸化鉄の個
数分布の標準偏差 D1:断面写真上における磁性酸化鉄の個数平均粒径
(μm) また、磁性トナーIに用いた磁性酸化鉄の個数分布の変
化係数(B)は次の手順により計算する。
【0034】まず、磁性酸化鉄の透過型電子顕微鏡TE
Mにより得られた3万倍の写真から任意の300個を、
デジタイザにより、粒径を測定し(A)と同様な手順で
個数分布の変化係数を計算し、(A)と(B)の差が4
0以下となるように、磁性トナーの製造条件を設定す
る。
【0035】ここで、磁性酸化鉄の結着樹脂中への分散
状態が良好でない場合、TEMによる断面写真上の磁性
酸化鉄が凝集気味となるため、測定された粒度分布はブ
ロードとなるため、個数分布の変化係数の値(A)は大
きくなる。
【0036】従って、用いた磁性酸化鉄の個数分布の変
化係数(B)と磁性トナーの断面写真上での磁性酸化鉄
の個数分布の変化係数(A)との差が広がれば広がるほ
ど結着樹脂中での磁性酸化鉄の分散状態が悪いことにな
る。
【0037】上記での両者の変化係数の差(A)−
(B)が40を超えた場合、磁性トナー断面写真上での
磁性酸化鉄の凝集具合がひどくなり、低温低湿環境下に
て耐久中に画像濃度低下の発生や画質の劣化が発生する
ことがある。
【0038】結着樹脂中への磁性酸化鉄の分散状態は、
おもに混練機の軸構成や混練時における単位時間あたり
の混練物の混練機からの吐出量を変更することによりコ
ントロールすることができる。
【0039】本発明において担持体上の単位面積当たり
のトナー層の電荷量及びトナー層の重量はいわゆる吸引
式ファラデーケージ法を使用して求めた。この吸引式フ
ァラデーケー法は、その外筒をトナー担持体に押しつけ
て担持体上の一定面積上のすべてのトナーを吸引し内筒
のフィルターに採取したフィルターの重量増加分よりト
ナー担持体上の単位面積当たりのトナー層の重量を計算
することができる。それと同時に外部から静電的にシー
ルドされた内筒に蓄積された電荷量を測定することによ
ってトナー担持体上の単位面積当たりの電荷量を求める
ことができる方法である。
【0040】本発明において、解像力の測定は次の方法
によって行なった。すなわち、線幅および間隔の等しい
5本の細線より成るパターンで、1mmの間に、2.
8、3.2、3.6、4.0、4.5、5.0、5.
6、6.3、7.1、8.0、9.0、10.0本ある
ように描かれているオリジナル画像をつくる。この12
種類の線画像を有するオリジナル原稿を適正なる複写条
件でコピーした画像を、拡大鏡にて観察し、細線間が明
確に分離している画像の本数(本/mm)をもって解像
力の値とする。この数字が大きいほど、解像力が高いこ
とを示す。
【0041】本発明に用いる磁性酸化鉄は、主にマグネ
タイトが使用され、主に次の手順により製造される。
【0042】硫酸鉄(FeSO4 )を苛性ソーダ(Na
OH)で中和しFe(OH)2 を得、アルカリ調整を行
い、蒸気と空気により酸化しマグネタイトのスラリーを
得る。その後乾燥、解砕しマグネタイト粉体を得る。
【0043】トナーの結着樹脂としては、スチレン及び
その置換体の共重合体;スチレン−アクリル酸メチル共
重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレ
ン−アクリル酸n−ブチル共重合体等のスチレンとアク
リル酸エステルとの共重合体;スチレン−メタクリル酸
メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合
体、スチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体等のス
チレンとメタクリル酸エステルとの共重合体;スチレン
とアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとの多
元共重合体;その他スチレン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、スチレン−ビニルメチルケト
ン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共
重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のス
チレンと他のビニル系モノマーとのスチレン系共重合
体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレ
ート、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、エ
ポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、
フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、石油
樹脂、塩素化パラフィン、等が単独または混合して使用
できる。
【0044】本発明においては、必要に応じて荷電制御
剤を使用することもでき、従来公知の負あるいは正の荷
電制御剤が用いられる。
【0045】今日、当該分野で知られている荷電制御剤
としては、以下のものがあげられる。
【0046】トナーを負荷電性に制御するものとして下
記物質がある。
【0047】例えば有機金属錯体、キレート化合物が有
効で前述したようなモノアゾ金属錯体、アセチルアセト
ン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダ
イカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイ
ドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及
びその金属塩、無水物、エステル類。ビスフェノール等
のフェノール誘導体類。
【0048】トナーを正荷電性に制御するものとして下
記物質がある。
【0049】ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性
物。トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ
−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウ
ムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、
及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム
塩及びこれらのレーキ顔料。トリフェニルメタン染料及
びこれらのレーキ顔料。(レーキ化剤としては、りんタ
ングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモ
リブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェ
リシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金
属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサ
イド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガ
ノスズオキサイド。ジブチルスズボレート、ジオクチル
スズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジ
オルガノスズボレート。これらを単独であるいは2種類
以上組み合わせて用いることができる。これらのなかで
も、ニグロシン系、四級アンモニウム塩の如き荷電制御
剤が特に好ましく用いられる。
【0050】本発明のトナーにおいては、帯電安定性、
現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を添
加することが好ましい。
【0051】本発明に用いられるシリカ微粉末は、BE
T法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2 /g
以上(特に50〜400m2 /g)の範囲内のものが良
好な結果を与える。トナー100重量部に対してシリカ
微粉体0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜5重量
部使用するのが良い。
【0052】又本発明に用いられるシリカ微粉末は、必
要に応じて、疎水化、帯電性コントロールなどの目的で
シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコ
ーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップ
リング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その
他の有機ケイ素化合物等の処理剤で併用して処理されて
いることも好ましい。
【0053】他の添加剤としては、例えば、テフロン、
ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンなどの滑剤、
あるいは、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロ
ンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが
好ましい。あるいは例えば酸化チタン、酸化アルミニウ
ム等の流動性付与剤、中でも特に疎水性のものが好まし
い。ケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラッ
ク、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付
与剤、または逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像
性向上剤として少量用いることもできる。
【0054】また、熱ロール定着時の離型性を良くする
目的で低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレ
ン、マイクロクリスタンワックス、カルナバワックス、
サゾールワックス、パラフィンワックス等のワックス状
物質をバインダー樹脂100重量%に対し0.5〜10
重量%程度をトナーに加えることも本発明の好ましい形
態の1つである。
【0055】本発明の磁性トナー中には、鉄、コバル
ト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属のアル
ミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜
鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、
カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステ
ン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物等の
磁性材料を併用してもよい。
【0056】これらの強磁性体は平均粒子が0.1〜2
μm、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好ま
しく、トナー中に含有させる量としては樹脂成分100
重量部に対し約20〜200重量部、特に好ましくは樹
脂成分100重量部に対し40〜150重量部が良い。
【0057】また、10Kエルステッド印加での磁気特
性が抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜
200emu/g、残留磁化2〜20emu/gのもの
が望ましい。
【0058】本発明のトナーに使用しうる着色剤として
は任意の適当な顔料または染料があげられる。トナー着
色剤は周知であって、例えば顔料としてカーボンブラッ
ク、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトー
ルイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリ
ザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、イン
ダンスレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃
度を維持するのに必要充分な量が用いられ、樹脂100
重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは2〜10
重量部の添加量がよい。また、同様の目的で、さらに染
料が用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系
染料、キサンテン系染料、メチン系染料等があり樹脂1
00重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは
0.3〜3重量部の添加量が良い。
【0059】本発明に係る磁性トナーを作製するには結
着樹脂、金属塩ないしは金属錯体、着色剤としての顔
料、または染料、磁性体、必要に応じて荷電制御剤、そ
の他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の
混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、
エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及
び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめた中に金属化合
物、顔料、染料、磁性体を分散または溶解せしめ、冷却
固化後粉砕及び分級を行なって本発明に係るところのト
ナーを得ることができる。さらに必要に応じ所望の添加
剤をヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合し本
発明に係る磁性トナーを得ることができる。
【0060】
【実施例】実施例1 スチレン−ブチルアクリレート−マレイン酸モノブチル 100重量部 −ジビニルベンゼン共重合体 磁性酸化鉄 90重量部 (平均粒径0.15μm,個数分布の変化係数(B)27) 負荷電性荷電制御剤 2重量部 低分子量ポリプロピレン 3重量部 上記材料をブレンダーでよく混合した後、110℃に設
定した2軸混練押出機にて単位時間あたりの吐出量が、
40kg/Hの条件にて混練した。得られた混練物を冷
却し、カッターミルにて粗粉砕した後、ジェット気流を
用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉を
分級して体積平均粒径8.11μmの磁性トナーを得
た。この磁性トナーを樹脂で固め、ミクロトームにて切
断し10枚の薄片を作製し、その薄片について断面写真
を撮影し、10枚の断面写真から任意の300個の磁性
体について、デジタイザにて個数分布を測定し、その変
化係数(A)を計算したところ、35であった。従っ
て、(A)と(B)との差は8である。
【0061】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した。この磁性トナーを市販の
複写機キヤノン製NP−8582RFに適用して、低温
低湿(15℃、10%)の環境条件にて、画出しを行な
った。画出し試験結果を表1に示す。表1から明らかな
ように、初期画像、100000枚耐久画像ともに画像
濃度が高く、鮮明で、解像性に優れた高品質なものであ
った。また、スリーブ上帯電量、スリーブ上トナーコー
ト量も初期、100000枚耐久後も安定していた。
【0062】実施例2 実施例1の磁性酸化鉄の代わりに平均粒径0.18μ
m、個数分布の変化係数(B)22である磁性酸化鉄を
用いる以外は実施例1と同様の材料を用い、100℃に
設定した2軸混練押出機にて単位時間あたりの吐出量が
70kg/Hの条件にて混練した。次に実施例1と同様
の方法によって、体積平均粒径8.04μmの磁性トナ
ーを得た。この磁性トナーを樹脂で固め、実施例1と同
様の方法によりミクロトームにて切断し断面写真を撮影
し、断面写真上の任意の300個の磁性体について、デ
ジタイザにて個数分布を測定し、その変化係数(A)を
計算したところ、28であった。(A)と(B)との差
は6である。
【0063】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、市販の複写機キヤノン
製NP−6060に適用して、実施例1と同様な評価を
行なった。
【0064】その結果は、表1から明らかなように、初
期画像、100000枚耐久画像ともに画像濃度が高
く、鮮明で、解像性に優れた高品質なものであった。ま
た、スリーブ上帯電量、スリーブ上トナーコート量も初
期、100000枚耐久後も安定していた。
【0065】実施例3 実施例1の磁性酸化鉄の代わりに平均粒径0.23μ
m、個数分布の変化係数(B)28である磁性酸化鉄を
用いる以外は実施例1と同様の材料を用い、120℃に
設定した2軸混練押出機にて単位時間あたりの吐出量が
56kg/Hの条件にて混練した。次に実施例1と同様
の方法によって、体積平均粒径8.26μmの磁性トナ
ーを得た。この磁性トナーを樹脂で固め、実施例1と同
様の方法によりミクロトームにて切断し断面写真を撮影
し、断面写真上の任意の300個の磁性体について、デ
ジタイザにて個数分布を測定し、その変化係数(A)を
計算したところ、31であった。(A)と(B)との差
は3である。
【0066】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、市販の複写機キヤノン
製NP−8582RFに適用して、実施例1と同様な評
価を行なった。
【0067】その結果は、表1から明らかなように、初
期画像、100000枚耐久画像ともに画像濃度が高
く、鮮明で、解像性に優れた高品質なものであった。ま
た、スリーブ上帯電量、スリーブ上トナーコート量も初
期、100000枚耐久後も安定していた。
【0068】実施例4 スチレン−ブチルアクリレート−ジビニルベンゼン共重合体 100重量部 磁性酸化鉄 80重量部 (平均粒径0.22μm,個数分布の変化係数(B)31) 負荷電性荷電制御剤 2重量部 低分子量ポリプロピレン 3重量部 上記材料を実施例1と同様の方法によって、体積平均粒
径8.09μmの磁性トナーを得た。この磁性トナーを
樹脂で固め、実施例1と同様の方法によりミクロトーム
にて切断し断面写真を撮影し、断面写真上の任意の30
0個の磁性体について、デジタイザにて個数分布を測定
し、その変化係数(A)を計算したところ、38であっ
た。(A)と(B)との差は7である。
【0069】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、市販の複写機キヤノン
製NP−6060に適用して、実施例1と同様な評価を
行なった。
【0070】その結果は、表1から明らかなように、初
期画像、100000枚耐久画像ともに画像濃度が高
く、鮮明で、解像性に優れた高品質なものであった。ま
た、スリーブ上帯電量、スリーブ上トナーコート量も初
期、100000枚耐久後も安定していた。
【0071】実施例5 ポリエステル系樹脂 100重量部 磁性酸化鉄 80重量部 (平均粒径0.22μm,個数分布の変化係数(B)31) 負荷電性荷電制御剤 2重量部 低分子量ポリプロピレン 3重量部 上記材料を実施例1と同様の方法によって、体積平均粒
径8.24μmの磁性トナーを得た。この磁性トナーを
樹脂で固め、実施例1と同様の方法によりミクロトーム
にて切断し断面写真を撮影し、断面写真上の任意の30
0個の磁性体について、デジタイザにて個数分布を測定
し、その変化係数(A)を計算したところ、38であっ
た。(A)と(B)との差は7である。
【0072】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、実施例1と同様な評価
を行なった。その結果は、表1から明らかなように、初
期画像、100000枚耐久画像ともに画像濃度が高
く、鮮明で、解像性に優れた高品質なものであった。ま
た、スリーブ上帯電量、スリーブ上トナーコート量も初
期、100000枚耐久後も安定していた。
【0073】実施例6 スチレン−ブチル−アクリレート−マレイン酸モノブチル 80重量部 −ジビニルベンゼン共重合体 ポリエステル系樹脂 20重量部 磁性酸化鉄 80重量部 (平均粒径0.22μm,個数分布の変化係数(B)31) 負荷電性荷電制御剤 2重量部 低分子量ポリプロピレン 3重量部 上記材料を実施例1と同様の方法によって、体積平均粒
径8.31μmの磁性トナーを得た。この磁性トナーを
樹脂で固め、実施例1と同様の方法によりミクロトーム
にて切断し断面写真を撮影し、断面写真上の任意の30
0個の磁性体について、デジタイザにて個数分布を測定
し、その変化係数(A)を計算したところ、35であっ
た。(A)と(B)との差は4であった。
【0074】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、市販の複写機キヤノン
製NP−6060に適用して、実施例1と同様な評価を
行なった。その結果は、表1から明らかなように、初期
画像、100000枚耐久画像ともに画像濃度が高く、
鮮明で、解像性に優れた高品質なものであった。また、
スリーブ上帯電量、スリーブ上トナーコート量も初期、
100000枚耐久後も安定していた。
【0075】比較例1 スチレン−ブチル−アクリレート−マレイン酸モノブチル 100重量部 −ジビニルベンゼン共重合体 磁性酸化鉄 80重量部 (平均粒径0.15μm,個数分布の変化係数(B)27) 負荷電性荷電制御剤 2重量部 低分子量ポリプロピレン 3重量部 上記材料をブレンダーでよく混合した後、140℃に設
定した2軸混練押出機にて単位時間あたりの吐出量が、
90kg/Hの条件にて混練した。得られた混練物を冷
却し、カッターミルにて粗粉砕した後、ジェット気流を
用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉を
分級して体積平均粒径8.01μmの磁性トナーを得
た。この磁性トナーを樹脂で固め、実施例1と同様の方
法によりミクロトームにて切断し断面写真を撮影し、断
面写真上の任意の300個の磁性体について、デジタイ
ザにて個数分布を測定し、その変化係数(A)を計算し
たところ、71であった。(A)と(B)との差は44
である。
【0076】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、実施例1と同様な評価
を行なった。初期画像は良好であったが、耐久中に50
00枚付近から画像濃度低下が発生したため耐久を中止
した。また、耐久中5000枚時のスリーブ上トナー帯
電量は、20.7μC/gであった。
【0077】比較例2 スチレン−ブチルアクリレート−ジビニルベンゼン共重合体 100重量部 磁性酸化鉄 90重量部 (平均粒径0.19μm,個数分布の変化係数(B)23) 負荷電性荷電制御剤 2重量部 低分子量ポリプロピレン 3重量部 上記材料をブレンダーでよく混合した後、130℃に設
定した2軸混練押出機にて単位時間あたりの吐出量が、
100kg/Hの条件にて混練した。得られた混練物を
冷却し、カッターミルにて粗粉砕した後、ジェット気流
を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉
を分級して体積平均粒径8.23μmの磁性トナーを得
た。この磁性トナーを樹脂で固め、実施例1と同様の方
法によりミクロトームにて切断し断面写真を撮影し、断
面写真上の任意の300個の磁性体について、デジタイ
ザにて個数分布を測定し、その変化係数(A)を計算し
たところ、65であった。(A)と(B)との差は42
である。
【0078】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、実施例1と同様な評価
を行なった。初期画像は良好であったが、耐久中に30
00枚付近から画像濃度低下が発生したため耐久を中止
した。また、耐久中3000枚時のスリーブ上トナー帯
電量は、19.8μC/gであった。
【0079】比較例3 ポリエステル系樹脂 100重量部 磁性酸化鉄 80重量部 (平均粒径0.22μm,個数分布の変化係数(B)31) 負荷電性荷電制御剤 2重量部 低分子量ポリプロピレン 3重量部 上記材料をブレンダーでよく混合した後、120℃に設
定した2軸混練押出機にて単位時間あたりの吐出量が、
110kg/Hの条件にて混練した。得られた混練物を
冷却し、カッターミルにて粗粉砕した後、ジェット気流
を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉
を分級して体積平均粒径8.31μmの磁性トナーを得
た。この磁性トナーを樹脂で固め、実施例1と同様の方
法によりミクロトームにて切断し断面写真を撮影し、断
面写真上の任意の300個の磁性体について、デジタイ
ザにて個数分布を測定し、その変化係数(A)を計算し
たところ、78であった。(A)と(B)との差は47
である。
【0080】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、実施例1と同様な評価
を行なった。初期画像は良好であったが、耐久中に60
00枚付近から画像濃度低下が発生したため耐久を中止
した。また、耐久中6000枚時のスリーブ上トナー帯
電量は、19.1μC/gであった。
【0081】比較例4 スチレン−ブチル−アクリレート−マレイン酸モノブチル 80重量部 −ジビニルベンゼン共重合体 ポリエステル系樹脂 20重量部 磁性酸化鉄 80重量部 (平均粒径0.22μm,個数分布の変化係数(B)31) 負荷電性荷電制御剤 2重量部 低分子量ポリプロピレン 3重量部 上記材料をブレンダーでよく混合した後、110℃に設
定した2軸混練押出機にて単位時間あたりの吐出量が、
120kg/Hの条件にて混練した。得られた混練物を
冷却し、カッターミルにて粗粉砕した後、ジェット気流
を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉
を分級して体積平均粒径8.08μmの磁性トナーを得
た。この磁性トナーを樹脂で固め、実施例1と同様の方
法によりミクロトームにて切断し断面写真を撮影し、断
面写真上の任意の300個の磁性体について、デジタイ
ザにて個数分布を測定し、その変化係数(A)を計算し
たところ、81であった。(A)と(B)との差は50
である。
【0082】次に、得られた黒色微粉体の磁性トナー1
00重量部に負荷電性疎水性乾式コロイダルシリカ(B
ET比表面積300m2 /g)0.6重量部を加え、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、実施例1と同様な評価
を行なった。初期画像は良好であったが、耐久中に20
00枚付近から画像濃度低下が発生したため耐久を中止
した。また、耐久中2000枚時のスリーブ上トナー帯
電量は、19.5μC/gであった。
【0083】
【表1】
【0084】
【発明の効果】本発明の磁性トナーにおいては、磁性ト
ナー中での磁性体の分散状態を目視で観察することによ
り、磁性トナー中での磁性体分散状態の定量的な評価を
することができる。そして、磁性トナーの断面写真上に
おける磁性体の個数分布の変化係数(A)と該磁性トナ
ーに使用した磁性体の個数分布の変化係数(B)との差
を40以下とすることにより、結着樹脂中での磁性体分
散状態が良好な磁性トナーを得ることができる。その結
果、トナー帯電量が安定化し、耐久性、解像力に優れた
画像を長期にわたり安定して提供することができる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 9/083

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄を含有
    する磁性トナーにおいて、磁性トナーの断面写真上にお
    ける磁性酸化鉄の個数分布の変化係数(A)と該磁性ト
    ナーに使用した磁性酸化鉄の個数分布の変化係数(B)
    との差が40以下であることを特徴とする磁性トナー。
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