JP2870734B2 - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物

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JP2870734B2
JP2870734B2 JP2411826A JP41182690A JP2870734B2 JP 2870734 B2 JP2870734 B2 JP 2870734B2 JP 2411826 A JP2411826 A JP 2411826A JP 41182690 A JP41182690 A JP 41182690A JP 2870734 B2 JP2870734 B2 JP 2870734B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム弾性を必要とする
用途に適した塩化ビニル系樹脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より塩化ビニル樹脂のゴム弾性を改
良する方法には、例えばベンゾイルパーオキサイド、ジ
クミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド等の
有機過酸化物、例えば1,4-テトラメチレンジアミン、1,
6-ヘキサメチレンジアミン等のジアミン系化合物、例え
ば硫黄、テトラメチルチュウラムジスルフィド、トリア
ジンジチオール等の硫黄系化合物等による塩化ビニル樹
脂の架橋、ジアリルフタレート、架橋性ポリウレタンま
たはエポキシ樹脂等の成分架橋による方法、さらには予
め重合時に架橋した架橋塩化ビニル樹脂または塩化ビニ
ル樹脂と相溶性の良い架橋NBR、架橋ポリウレタン等
を塩化ビニル樹脂にブレンドする方法、水酸基のような
反応性基を有する塩化ビニル樹脂を用いジイソシアネー
ト等により架橋体とする方法などがある。
【0003】これらの方法において、塩化ビニル樹脂に
架橋を行う場合は、容易にゴム状弾性体を得ることが可
能であるが、反面問題点としては、(1) 熱安定性に劣り
着色しやすい(2) 架橋剤の残留物により臭気が残る(3)
架橋度を高くすると所定の硬度にするのに多量の可塑剤
を要する、等の問題がある。
【0004】反応性可塑剤を用いた場合は、ラジカル反
応系であることが多いため、前述と同じ問題が起こる。
【0005】架橋塩化ビニル樹脂または架橋NBR等を
塩化ビニル樹脂にブレンドする場合は、(1) 塩化ビニル
樹脂へのそれらの分散性に関係し、引張強度、伸度等の
物性の低下が著しい(2) 硬度の調整のため多量の可塑剤
を要する(3) 反発弾性の低下(4) 多量に添加すると成型
性が悪くなる(5) 高い温度または日光に当たる箇所で長
時間使用すると、劣化し、初期の性能を保持できなくな
る、等の問題がある。
【0006】さらに水酸基のような反応性基を有する塩
化ビニル樹脂を用いジイソシアネート等により架橋体と
する方法では、反応性に劣るため、所望の弾性にするこ
とが難しい。
【0007】近年、塩化ビニル樹脂とポリウレタンとの
複合が注目され、様々な方法が提起されている。例え
ば、ポリウレタンを塩化ビニルモノマー(VCM)に溶
解し、VCMの重合により塩化ビニル樹脂とポリウレタ
ンとの複合体を得る方法、ポリオールの存在下VCMの
重合により水酸基含有塩化ビニル樹脂を製造し、これの
ウレタン化反応により得る方法、さらには塩化ビニル樹
脂に、ポリオール、イソシアネート、触媒等を含浸させ
反応して得る方法等がある。
【0008】しかしながら、これらの方法で得た塩化ビ
ニル樹脂とポリウレタンとの複合体は、ゴム弾性に劣
り、ゴム弾性を必要とする用途には適さない。この様な
複合体の製造方法に於いて、トリイソシアネートを用い
ウレタン架橋体を造ると加工性に劣るものとなる。
【0009】また、一般的に用いられる塩化ビニル樹脂
とポリウレタンとの複合方法として、ロールまたはバン
バリーミキサーに於いて、塩化ビニル樹脂と高度な弾性
を有するポリウレタンエラストマーをポリマーブレンド
して得る方法がある。
【0010】この方法により得た複合体は、反発弾性に
優れるものの圧縮永久歪に劣るため改良が望まれてい
る。
【0011】我々は、最近の検討の結果、この様な問題
点を解決する方法として、塩化ビニル樹脂、水酸基2個
以上を有し、且つ分子量が 300以上10,000以下のポリマ
ーポリオール及びイソシアネート基3個以上を有する化
合物を剪断力下、加熱溶融混合してなる塩化ビニル系樹
脂組成物であって、該組成物のテトラヒドロフラン(T
HF)不溶分が5〜55重量%である塩化ビニル系樹脂組
成物を提案した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この組成物により、従
来の塩化ビニル系エラストマーの問題点は解決され、十
分なゴム弾性体が得られたが、架橋ゴムと同等のゴム弾
性を与えるためには、さらに、より高度なウレタン架橋
体を生成せしめなければならない。
【0013】しかしながら、高度なウレタン架橋体を生
成するために、THF不溶分を増加させると可塑化しな
い組成物となってしまう。
【0014】一方、上述のTHF不溶分をもつ組成物で
あっても、成形品の表面平滑性が悪い場合があった。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述のよ
うな現状に鑑み、より高度なウレタン架橋体を生成させ
る場合のゲル化溶融性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物
について検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0016】すなわち、本発明は塩化ビニル樹脂 100重
量部に対し、可塑剤5〜100 重量部を加え、ドライアッ
プさせて得る塩ビ系樹脂組成物、水酸基2個以上を有
し、且つ分子量が 300以上10.000以下のポリマーポリオ
ール及びイソシアネート基3個以上を有する化合物とを
剪断力下、加熱溶融混合していなる塩化ビニル系樹脂組
成物であって、該組成物のテトラヒドロフラン(TH
F)不溶分が5〜60重量%である塩化ビニル系樹脂組成
物に関するものである。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いる塩化ビニル樹脂は、通常用いられる重合方法によ
り得られるもので良い。例えば、懸濁重合法、塊状重合
法、溶液重合法および乳化重合法などがある。
【0018】なお、本発明でいう塩化ビニル樹脂とは、
塩化ビニルの単独重合体及び塩化ビニル単量体と共重合
可能な単量体との共重合塩化ビニル樹脂をさす。また、
塩化ビニル樹脂の重合度は、 800〜8,000 好ましくは、
1,000〜5,000 の範囲のものが使用される。
【0019】塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体と
しては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペン
テン-1、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、
アクリロニトリル、塩化ビニリデン、シアン化ビニリデ
ン、アルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエス
テル類、アリールエーテル類、ジアルキルマレイン酸
類、フマル酸エステル類、N−ビニルピロリドン、ビニ
ルピリジン、ビニルシラン類、アクリル酸アルキルエス
テル類、メタクリル酸アルキルエステル類等を挙げるこ
とができる。
【0020】さらに塩化ビニル樹脂はエチレン−酢酸ビ
ニル−塩化ビニルグラフトポリマー、塩化ビニル−ウレ
タンコポリマー等のグラフト重合体であっても良い。た
だし、塩化ビニル樹脂はこれらに限定されるものではな
い。又、これらの重合体の重合時にジビニルベンゼン等
のジビニル化合物を添加して得られる架橋塩化ビニル樹
脂も用いられる。
【0021】架橋塩化ビニル樹脂は、テトラヒドロフラ
ン(THF)不溶分が、重量百分率で 0.1〜25重量%の
範囲のものであり、これを単独または未架橋塩化ビニル
樹脂とのブレンドで用いる。
【0022】本発明で用いる可塑剤は、通常塩化ビニル
樹脂に添加されるもので良く、特に制限は受けない。こ
の様な可塑剤としては、例えば、フタル酸ジ−n−ブチ
ル、フタル酸ジ-2- エチルヘキシル(DOP)、フタル
酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル
酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブ
チルベンジル、イソフタル酸ジ-2- エチルヘキシル等の
フタル酸系可塑剤、アジピン酸ジ-2- エチルヘキシル
(DOA)、アジピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジ
イソデシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ-2- エ
チルヘキシル等の脂肪族エステル系可塑剤、トリメリッ
ト酸トリオクチル、トリメリット酸トリデシル等のトリ
メリット酸系可塑剤、ピロメリット酸テトラオクチル等
のピロメリット酸系可塑剤、リン酸トリブチル、リン酸
トリ-2- エチルヘキシル、リン酸2-エチルヘキシルジフ
ェニル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル系可塑
剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキ
シ系可塑剤及びアジピン酸またはセバシン酸とグリコー
ルとを縮合重合して得られる平均分子量 500〜10,000の
高分子可塑剤などが挙げられ、これらの1種または2種
以上が使用される。
【0023】本発明に於いては、可塑剤をあらかじめ塩
化ビニル樹脂に添加した後、ドライアップするが、この
際の可塑剤の量は、5〜100 重量部である。5重量部未
満では、塩化ビニル樹脂のゲル化溶融性の改善に至ら
ず、 100重量部を超えると後で混合するウレタン成分と
の混和性が悪化し、好ましく無い。
【0024】本発明で用いるポリマーポリオールとは、
水酸基2個以上を有し、且つ分子量300以上10,000以
下、好ましくは、 1,000以上 5,000以下のものである。
この様なポリマーポリオールは例えば、炭素数4〜10の
脂肪族系ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族系グリコ
ール及び/またはエポキシ基を開環重合して得られる繰
り返し単位が5以下のグリコールとの縮合重合により得
ることができる。
【0025】尚、本発明でいう分子量とは、数平均分子
量を示し、これは、ゲルパーミエイション・クロマトグ
ラフィー(GPC)などによって測定可能である。
【0026】ポリマーポリオールの製造に用いられる炭
素数2〜10の脂肪族系グリコールとは、例えば、1,2-エ
タンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオ
ール、ブテンジオール、3-メチル-1,5- ペンタンジオー
ル、1,6-ヘキサンジオール、1,10- デカメチレンジオー
ル、2,5-ジメチル-2.5- ヘキサンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙
げられる。
【0027】一方エポキシ基を有する化合物としては、
例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフ
ラン(THF)等の環状エーテルが挙げられる。これら
を開環重合して繰り返し単位が5以下のグリコールとし
たものも、本発明のグリコールとして好適に用いられ
る。これらのうち1種または2種以上が使用される。
【0028】ポリマーポリオールの製造に用いられる炭
素数4〜10の脂肪族系ジカルボン酸としては、例えばコ
ハク酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上が
使用される。
【0029】このようなポリマーポリオールとしては、
日本ポリウレタン(株)より商品名ニッポランとして市
販されている。
【0030】ポリマーポリオールの添加量は、塩化ビニ
ル樹脂 100重量部に対し、10〜180 重量部が好ましい。
10重量部未満では、ゴム弾性の改良に至らず、 180重量
部をこえると、加工が出来なくなる。
【0031】本発明で用いる3個以上のイソシアネート
基を有する化合物とは、例えば、2,4-及び2,6-トリレン
ジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシ
アネート、1-クロロフェニレン-2,4- ジイソシアネー
ト、1,5-ナフタレンジイソシアネート、メチレンビスフ
ェニレン-4,4'-ジイソシアネート、m−及びp−キシレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート、4,4'- メチレンビスシク
ロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の
ジイソシアネートの3量体、1,6,11- ウンデカントリイ
ソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、4-
イソシアネートメチル-1,8- オクタメチルジイソシアネ
ート等のトリイソシアネート類、もしくは、ポリフェニ
ルメタンポリイソシアネート等の多官能イソシアネート
類が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用され
る。また、上記のジイソシアネート類を併用することも
可能である。
【0032】ただし、全イソシアネートのNCO基モル
数に対するトリイソシアネートのNCO基モル数は0.25
以上が望ましい。0.25未満では、架橋密度の不足により
十分な性能を発揮出来ない。
【0033】又、NCO/OH比は、 0.3〜1.3 の範囲
が好ましい。 0.3未満では、イソシアネートにトリイソ
シアネートのみを用いても架橋密度の不足により十分な
性能を発揮出来ない。 1.3を越えると、加工が出来な
い。
【0034】本発明に於いて、メチルメタクリレート−
アルキルアクリレート共重合体を塩化ビニル樹脂のゲル
化溶融性改良剤として用いることも出来る。メチルメタ
クリレート−アルキルアクリレート共重合体としては、
一般的な乳化重合で得られるもので良く、例えば特開昭
57-109812 、特開昭57-74347に例示される様な方法で行
えば良い。その共重合体の成分比は、メチルメタクリレ
ート50〜95重量%、アルキルアクリレート5〜50重量%
であり、且つ得られる共重合体の分子量は、例えば、こ
の共重合体 0.1gをクロロホルム 100ccに溶解した時の
溶液の25℃での還元粘度により評価され、一般に、値が
小さい程分子量が低く、塩化ビニル樹脂への分散性が良
く、逆にこの値が大きい程分子量が高く、分子鎖のから
まりによるゴム弾性の付与につながるとされている。本
発明で用いるメチルメタクリレート−アルキルアクリレ
ート共重合体の最適な還元粘度の値は、1〜10である。
【0035】アルキルアクリレートとしては、アルキル
基の部分の炭素数が1〜10のものが好ましいが、例えば
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、イソブチルアクリレート、2-エチルヘキ
シルアクリレート等が挙げられるがこれらに限定される
ものではない。またこれらのうち1種または2種以上が
メチルメタクリレートと共重合される。
【0036】この様にして得られるメチルメタクリレー
ト−アルキルアクリレート共重合体の添加量は、塩化ビ
ニル樹脂 100重量部に対して、 0.1〜30重量部が好まし
い。0.1重量部未満では、塩化ビニル樹脂のゲル化溶融
性の改良には至らず、30重量部を超えると塩化ビニル樹
脂の特徴の1つである低価格が失われるため好ましくな
い。
【0037】特に、高度なゴム弾性を必要とし、用いる
塩化ビニル樹脂の重合度が高い場合、組成物中のウレタ
ン架橋体重量分率が高い場合には、この樹脂の添加は、
重要である。
【0038】本発明の組成物を調製する際、触媒を使用
してもよい。触媒を用いなくとも反応は進行するが、触
媒を使用した方が均一な反応が進行し好ましい。この様
な触媒としては、一般的なウレタン化反応に用いられる
触媒であればよく、例えば、トリエチルアミン、トリエ
チレンジアミン、N−メチルモルホリン等のアミン系触
媒、テトラメチル錫、テトラオクチル錫、ジメチルジオ
クチル錫、トリエチル錫塩化物、ジブチル錫ジアセテー
ト、ジブチル錫ジラウレート等の錫系触媒などを挙げる
ことができる。
【0039】本発明において、塩化ビニル樹脂に安定剤
も加えることができる。安定剤としては、例えば、ステ
アリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バ
リウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カドミウムな
どの金属石鹸系安定剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化
アマニ油などのエポキシ系安定剤などが挙げられる。
【0040】さらに必要に応じて通常用いられる紫外線
吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、加工助剤及び充填剤
等を配合することもできる。ただし、本発明において、
錫系安定剤を使用すると、エステル系ポリマーポリオー
ルの加水分解触媒となるので使用を避けたほうが良い。
【0041】本発明の組成物は、例えば、ロール成型
機、二軸混練儀、押出機、バンバリーミキサー等の樹脂
の剪断溶融可能な混練機において行われる。また、可塑
剤含浸塩化ビニル樹脂の調製方法としては、ヘンシェル
ミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー等のド
ライアップ可能なミキサーを用いて行う。
【0042】さらに詳しくは、まず可塑剤含浸塩化ビニ
ル樹脂の調製方法としては、例えば、ヘンシェルミキサ
ーに、塩化ビニル樹脂及び必要に応じて通常用いられる
熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、加
工助剤及び充填剤等を加え、加熱攪拌しながら、これに
可塑剤を投入する。そして、さらに加熱攪拌を、樹脂温
度が、 120℃となるまで続け、可塑剤含浸塩化ビニル樹
脂を調製する。
【0043】次に、本発明の組成物を製造するために
は、例えば、バンバリーミキサーを例にすると、まずケ
ーシング温度 100〜200 ℃の温度下、先に調製した可塑
剤含浸塩化ビニル樹脂を加え混合する。次ぎに予め50〜
80℃に保温しておいたポリオール、イソシアネート、触
媒それに必要に応じてさらに可塑剤を計量混合し、バン
バリーミキサーの投入口より仕込む。剪断力をかけなが
ら、 100〜200 ℃の温度とし、さらに加熱混合を続け塩
化ビニル樹脂の溶融及びウレタン化反応を行い、3〜60
分間後取り出す。このようにして得られた樹脂組成物は
ロール成型機に掛けシート化することができる。
【0044】本発明の組成物のTHF不溶分は、5〜60
重量%であることが必要である。不溶分が5重量%未満
であると、十分な圧縮永久歪が与えられず、60重量%を
越えると、成型加工が困難になる。
【0045】このTHF不溶分の測定方法は、以下の通
りである。即ち、厚さ1.0±0.1mm のロールシートを 1.
0〜1.5mm 角に裁断し、 1.0g計量する。これを 300cc
のビーカーに入れ200 mlTHF中スターラーにて2時間
攪拌する。試料は、THFにより膨潤するが 300メッシ
ュのふるいにて濾過した後、これをガラス棒等で擂り潰
し、濾過物をさらに 200mlのTHF中スターラーにて4
時間攪拌する。この溶液を予め計量しておいた濾紙を通
して不溶分を分離し、不溶分及び濾紙をシャーレに乗せ
40℃のオーブンにて5時間乾燥した後、重量を測定す
る。この方法により得られた不溶分重量によりTHF不
溶分重量%を測定する。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳述する
が、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0047】参考例1 特開昭57-74347に例示される方法に従い、メチルメタク
リレートとn−ブチルアクリレートの共重合を行った。
この時の、共重合体の組成比は、メチルメタクリレート
90%、n−ブチルアクリレート10%であり、且つ得られ
た共重合体 0.1gをクロロホルム 100ccに溶解した時の
溶液の25℃での還元粘度は、 3.3であった。
【0048】参考例2 参考例1と同様の方法にて、連鎖移動剤量を減量して、
メチルメタクリレートとn−ブチルアクリレートの共重
合を行った。この時の、共重合体の組成比は、メチルメ
タクリレート90%、n−ブチルアクリレート10%であ
り、且つ得られた共重合体 0.1gをクロロホルム 100cc
に溶解した時の溶液の25℃での還元粘度は7.6であっ
た。
【0049】参考例3 ヘンシェルミキサーに、懸濁重合法により得られた塩化
ビニル樹脂(東ソー(株)製、商品名リューロンE-280
0、平均重合度2800)を 1.4kg、安定剤として、ステア
リン酸バリウム28g、ステアリン酸亜鉛14g、アミン捕
捉剤として日産フェロ有機化学(株)製、商品名BP-33
1、21g及びフタル酸ジブチル(DBP) 700gを仕込
み、加熱攪拌を続けた。そして、 120℃にてドライアッ
プを完了することにより、可塑剤含浸塩化ビニル樹脂を
調製した。
【0050】参考例4 ヘンシェルミキサーに、通常の懸濁重合法にて得られる
平均重合度 4,200の塩化ビニル樹脂1kg、安定剤とし
て、ステアリン酸バリウム20g、ステアリン酸亜鉛10
g、アミン捕捉剤として日産フェロ有機化学(株)製、
商品名BP-331、15g及びフタル酸ジブチル(DBP)1
kgを仕込み、加熱攪拌を続けた。そして、 120℃にてド
ライアップを完了することにより、可塑剤含浸塩化ビニ
ル樹脂を調製した。
【0051】実施例1 内容積1700cc、ケーシング温度 150℃のバンバリーミキ
サーに参考例3で調製した可塑剤含浸塩化ビニル樹脂 6
18gを仕込み一定回転速度で攪拌した。又これとは別
に、予め70℃に保温しておいたポリマーポリオール(日
本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4067、数平
均分子量2,000 ) 720gとこれにヘキサメチレンジイソ
シアネートの3量体(日本ポリウレタン(株)製、商品
名コロネートHX) 121g(NCO/OH比=1)触媒と
してジブチル錫ジラウレート0.07gを仕込み、1分間混
合した後バンバリーミキサー投入口より流し入れた。反
応及び混合時間はこれより15分間行った。
【0052】反応終了後、得られた複合体をロール成型
機にかけシートしたのち、JIS K 6301圧縮永久歪用に厚
みが、 12.70±0.13mmとなる様に、プレス成型した。続
いて得られたプレス板の圧縮永久歪(JIS K 6301)及び
JIS A 型硬度(JIS K 6301)の測定を行った。更にTH
F不溶分重量%を測定した。
【0053】また、これとは別に、この物の押出成型に
よりシート状物を成型し、これの外観の表面平滑性を肉
眼で観測し、以下の様に評価した。 ○:優れている ×:表面が荒れ凹凸が激しく、光沢がない 結果を、表1に示す。
【0054】実施例2 実施例1に於いて、参考例1で製造したメチルメタリレ
ートとn−ブチルアクリレートの共重合体8gを加えた
他は、すべて実施例1と同様に製造し、評価した。結果
を、表1に示す。
【0055】実施例3 実施例1に於いて、参考例2で製造したメチルアクレリ
ートとn−ブチルアクリレートの共重合体8gを加えた
他は、すべて実施例1と同様に製造し、評価した。結果
を、表1に示す。
【0056】実施例4 実施例1で用いたバンバリーミキサーに参考例4で調製
した可塑剤含浸塩化ビニル樹脂1022.5gを仕込み一定回
転速度で攪拌した。又これとは別に、予め70℃に保温し
ておいたポリマーポリオール(日本ポリウレタン(株)
製、商品名ニッポラン4067、数平均分子量2,000 ) 400
gとこれにヘキサメチレンジイソシアネートの3量体
(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)6
7.2g(NCO/OH比=1)触媒としてジブチル錫ジ
ウラレート0.04gを仕込み、1分間混合した後バンバリ
ーミキサー投入口より流し入れた。製造及び評価は実施
例1と同様に行なった。結果を、表1に示す。
【0057】比較例1 実施例1で用いたバンバリーミキサーに懸濁重合法によ
り得られた塩化ビニル樹脂(東ソー(株)製、商品名リ
ューロンE-2800、平均重合度2800)を 400g、安定剤と
して、ステアリン酸バリウム8g、ステアリン酸亜鉛4
g、アミン捕捉剤として日産フェロ有機化学(株)製、
商品名BP-331、6gを仕込み一定回転速度で攪拌した。
又これとは別に、予め70℃に保温しておいたポリマーポ
リオール(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラ
ン4067、数平均分子量2,000 ) 720gとフタル酸ジブチ
ル(DBP) 200gを混合し、これにヘキサメチレンジ
イソシアネートの3量体(日本ポリウレタン(株)製、
商品名コロネートHX) 121g(NCO/OH比=1)触
媒としてジブチル錫ジラウレート0.07gを仕込み、1分
間混合した後バンバリーミキサー投入口より流し入れ
た。製造は、実施例1と同様の方法で行ったが、反応終
了後バンバリーミキサーより取り出された組成物は、混
練されておらず成型加工が困難な材料であった。
【0058】比較例2 実施例1で用いたバンバリーミキサーに通常の懸濁重合
法ににて得られる平均重合度 4,200の塩化ビニル樹脂 5
00g、安定剤として、ステアリン酸バリウム10g、ステ
アリン酸亜鉛5g、アミン捕捉剤として日産フェロ有機
化学(株)製、商品名BP-331、 7.5gを仕込み及びフタ
ル酸ジブチル(DBP)1kgを仕込み一定回転速度で攪
拌した。又これとは別に、予め70℃に保温しておいたポ
リマーポリオール(日本ポリウレタン(株)製、商品名
ニッポラン4067、数平均分子量2,000 ) 400gとフタル
酸ジブチル(DBP) 500gを混合し、これにヘキサメ
チレンジイソシアネートの3量体(日本ポリウレタン
(株)製、商品名コロネートHX)67.2g(NCO/OH
比=1)触媒としてジブチル錫ジウラレート0.04gを仕
込み、1分間混合した後バンバリーミキサー投入口より
流し入れた。製造及び評価は実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
により得られたゴム弾性を有する塩化ビニル樹脂複合体
は、表面平滑性に優れ、成型性も容易である。さらに高
反発弾性、圧縮永久歪が少ないことが特徴である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル樹脂 100重量部に対し、可塑
    剤5〜100重量部を加え、ドライアップさせて得る塩ビ
    系樹脂組成物、水酸基2個以上を有し、且つ分子量が 3
    00以上10.000以下のポリマーポリオールとイソシアネー
    ト基3個以上を有する化合物とを剪断力下、加熱溶融混
    合してなる塩化ビニル系樹脂組成物であって、該組成物
    のテトラヒドロフラン不溶分が5〜60重量%である塩化
    ビニル系樹脂組成物。
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