JP2869552B2 - 水性グロスペイント組成物 - Google Patents

水性グロスペイント組成物

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JP2869552B2
JP2869552B2 JP12986292A JP12986292A JP2869552B2 JP 2869552 B2 JP2869552 B2 JP 2869552B2 JP 12986292 A JP12986292 A JP 12986292A JP 12986292 A JP12986292 A JP 12986292A JP 2869552 B2 JP2869552 B2 JP 2869552B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた耐水性及び光沢
性を有する皮膜を与えることのできる水性グロスペイン
ト組成物に関する。特に、この水性グロスペイント組成
物は、耐水性と光沢性、特に鮮明な映像を写すことがで
きる光沢性(仮りに「鮮映性」という。)に優れた塗膜
を与えることができるので、マスチック、弾性塗装材等
のトップコーティングに適するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、水性樹脂塗料は、溶剤系の塗料
に較べて、溶剤の揮散が少ないために、低公害性、安全
性、省資源性等の点で優れていて、種々の分野で用いら
れており、かつ今後さらに用途の拡大が期待されてい
る。
【0003】しかし、グロスペイントの分野において
は、水性系のものは溶剤系のものに較べて、塗膜の光沢
性(特に鮮映性)及び耐水性に劣るなどの欠点があるた
め、現在でも有機溶剤の放散を伴なう溶剤系のものが多
く用いられている。水性系のグロスペイントの上記の欠
点を改良するために、たとえば粒子径が微細である樹脂
水性分散液を使用する方法、或いは水溶性樹脂をブレン
ドする方法等が試みられているが、前者の方法は一般に
乳化剤が多量に用いられるために塗膜の耐水性が劣る
し、後者の方法は常温乾燥では耐水性の充分な塗膜が得
られないので、いずれも充分に満足のいくものでなく、
一般には使用されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光沢性、特
に鮮映性及び耐水性に優れた塗膜を与えることのできる
水性グロスペイント組成物を提供しようとするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の水性グロスペイ
ント組成物は、(A)アルド基若しくはケト基を含有
するカルボニル基含有不飽和単量体0.3〜20重量%
と、エチレン性不飽和カルボン酸0〜10重量%と、
アクリル酸若しくはメタクリル酸の炭素数1〜10の
アルキルエステル、ビニル芳香族化合物、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、飽和カルボン酸ビニルエス
テル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ブタ
ジエン及びエチレンよりなる群から選ばれた少なくとも
1種の不飽和単量体55〜99.7重量%と、前記
〜の不飽和単量体以外の他の不飽和単量体0〜15重
量%との単量体混合物の乳化重合によって得られたカル
ボニル基含有共重合体樹脂水性分散液、(B)顔料、
(C)(イ)アルド基若しくはケト基を含有するカルボ
ニル基含有不飽和単量体1〜30重量%と、(ロ)エチ
レン性不飽和カルボン酸10〜65重量%と、(ハ)ア
クリル酸若しくはメタクリル酸の炭素数1〜10のアル
キルエステル、ビニル芳香族化合物、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ブタ
ジエン及びエチレンよりなる群から選ばれた少なくとも
1種の不飽和単量体5〜89重量%と、(ニ)前記
(イ)〜(ハ)の各単量体以外の他の不飽和単量体0〜
50重量%との単量体混合物の溶液重合によって得られ
たカルボニル基含有共重合体樹脂、及び(D)分子中に
少なくとも2個のヒドラジノ基(−NHNH2 )を有す
るヒドラジン誘導体を含有してなり、前記の(C)カル
ボニル基含有共重合体樹脂の含有量が前記の(B)顔料
に対して0.1〜10重量%であり、前記の(B)顔料
の濃度が全不揮発分量に対して15〜60重量%である
ことを特徴とする組成物である。
【0006】本明細書に記載する「アルド基若しくはケ
ト基を含有するカルボニル基含有共重合体樹脂」とは、
アルド基若しくはケト基を含有し、したがってそのアル
ド基若しくはケト基にもとづくカルボニル基を含有する
共重合体樹脂をいうのであり、同様に本明細書に記載す
る「アルド基若しくはケト基を含有するカルボニル基含
有不飽和単量体」とは、アルド基若しくはケト基を含有
し、したがってそのアルド基若しくはケト基にもとづく
カルボニル基を含有する不飽和単量体をいうのである。
【0007】本発明における(A)カルボニル基含有共
重合体樹脂水性分散液は、前記したように、アルド基
若しくはケト基を含有するカルボニル基含有不飽和単量
体0.3〜20重量%と、エチレン性不飽和カルボン
酸0〜10重量%と、アクリル酸若しくはメタクリル
酸の炭素数1〜10のアルキルエステル、ビニル芳香族
化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、飽和
カルボン酸ビニルエステル、ハロゲン化ビニル、ハロゲ
ン化ビニリデン、ブタジエン及びエチレンよりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の不飽和単量体55〜99.
7重量%と、前記〜の不飽和単量体以外の他の不
飽和単量体0〜15重量%との単量体混合物の乳化重合
によって得られた共重合体樹脂の水性分散液である。こ
の種の共重合体樹脂水性分散液は、たとえば特公昭58
−20991号、同61−6861号、特開昭57−3
850号及び同58−96643号の各公報に記載され
ていて公知である。
【0008】本発明における(B)顔料は、有機系顔料
及び無機系顔料のいずれであってもよく、またその両顔
料を併用することもできるし、体質顔料や着色顔料のい
ずれをも使用できるし、さらにその両者を併用すること
もできる。その顔料の具体例としては、炭酸カルシウ
ム、クレー、タルク、マイカ粉、バライト、微粉末シリ
カ、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウ
ム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの無機系体質
顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、カーボンブラ
ック、黒色酸化鉄、黄土、黄色酸化鉄、チタン黄、ベン
ガラ、酸化鉄粉、群青、酸化クロムなどの無機系着色顔
料;ハンザイエロー、パーマネントイエロー、パーマネ
ントレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニング
リーンなどの有機系着色顔料等があげられる。
【0009】これらの顔料は、(A)樹脂水性分散液に
直接に添加することができるが、分散剤として後述する
(C)アルド基若しくはケト基を含有するカルボニル基
含有共重合体樹脂の水性液を使用して顔料ペーストにし
てから添加することができるし、さらには他の顔料分散
剤や増粘剤等を用いた顔料ペーストにして添加するのが
一般的である。
【0010】本発明において使用される(C)アルド基
若しくはケト基を含有するカルボニル基含有共重合体樹
脂を、前記の(イ)〜(ニ)の不飽和単量体混合物の共
重合による製造方法について以下において主として詳述
するが、ここでは同時に、前記の〜の単量体の乳化
重合によって本発明で使用する(A)樹脂水性分散液を
製造する場合のことについても、多少の言及をすること
がある。
【0011】前記の(C)カルボニル基含有共重合体樹
脂製造用の前記の(イ)アルド基若しくはケト基を含有
するカルボニル基含有不飽和単量体としては、たとえば
アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルス
チロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキル
ケトン(たとえばビニルメチルケトン、ビニルエチルケ
トン、ビニルブチルケトンなど)、一般式
【0012】
【化1】
【0013】(式中、R1 はH又はCH3 、R2 はH又
は炭素数1〜3個のアルキル基、R3 は炭素数1〜3個
のアルキル基、R4 は炭素数1〜4個のアルキル基を示
す。)で表わされるアクリル(又はメタクリル)オキシ
アルキルプロペナール、ジアセトンアクリレート、アセ
トニルアクリレート、ジアセトンメタクリレート、2−
ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、
ブタンジオール−1,4−アクリレートアセチルアセテ
ート等があげられる。特に好ましいその(イ)単量体は
ジアセトンアクリルアミド、アクロレイン及びビニルメ
チルケトンである。これらの単量体は2種以上を併用し
てもよい。
【0014】(イ)アルド基若しくはケト基を含有する
カルボニル基含有不飽和単量体の量は、共重合させる
(イ)〜(ニ)の不飽和単量体混合物の全量中1〜30
重量%、好ましくは3〜15重量%である。(イ)不飽
和単量体の使用量が少なすぎると、生成共重合体樹脂中
のアルド基若しくはケト基の含有量が少なくなり、
(D)ヒドラジン誘導体による架橋構造密度が低下し、
製品グロスペイント組成物塗膜の耐水性が低下してく
る。また、(イ)不飽和単量体の使用量が多くなりすぎ
ると、生成共重合体樹脂が、(ロ)不飽和単量体の含有
量の少ないものとなり、アルカリ添加によっても可溶化
が不充分となるし、顔料との親和性も低下し、顔料の分
散性が悪くなる。
【0015】なお、本発明における(A)樹脂水性分散
液を製造するための前記のアルド基若しくはケト基を
含有するカルボニル基含有不飽和単量体としても、前記
した(イ)単量体用のものと同様の単量体が使用され
る。
【0016】また、(C)カルボニル基含有共重合体樹
脂製造用の前記の(ロ)エチレン性不飽和カルボン酸
は、モノカルボン酸であっても、多カルボン酸であって
もよいが、好ましくは3〜5個の炭素原子を有するモノ
オレフィン性不飽和カルボン酸である。特に、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。エチレン性
不飽和カルボン酸の量は、(イ)〜(ニ)の全単量体混
合物中10〜65重量%、好ましくは20〜50重量%
である。同単量体の量が少なすぎると、製品の水性グロ
スペイント組成物の顔料の分散性及び貯蔵安定性が悪く
なる。また、同単量体の量が多くなりすぎると、相対的
に単量体(イ)の量が少なくなり、製品のグロスペイン
ト組成物の塗膜の耐水性が低下してくるし、顔料との親
和性も悪くなる。
【0017】なお、本発明における(A)カルボニル基
含有共重合体樹脂水性分散液を製造するための前記の
エチレン性不飽和カルボン酸としても、前記した(ロ)
不飽和単量体用のものと同様の単量体が使用される。
【0018】また、前記の(ハ)不飽和単量体として
は、前記した種々の単量体から選定されるものが使用さ
れるが、その使用量は、(イ)〜(ニ)の全単量体混合
物中5〜89重量%、好ましくは30〜70重量%であ
る。その量が少なすぎると、製品の水性グロスペイント
組成物塗膜の耐水性が低下してくる。その理由は、必ず
しも明確でないが、多分、生成共重合体樹脂が(A)樹
脂水性分散液の樹脂や顔料との親和性が悪くなるためで
はないか、と推測される。また、その量が多すぎると、
相対的に生成共重合体樹脂中の(イ)単量体や(ロ)単
量体の含有量が低下するため、水性グロスペイント用組
成物の固化皮膜の耐水性が低下したり、顔料の分散性が
悪くなる。
【0019】さらに、前記の(ニ)不飽和単量体として
は、前記の(イ)〜(ハ)の各不飽和単量体以外の単量
体が使用されるが、この(ニ)不飽和単量体の使用量
は、(イ)〜(ニ)の全単量体混合物に対して0〜50
重量%の範囲であり、この(ニ)不飽和単量体は必須成
分ではない。その(ニ)不飽和単量体の具体例として
は、たとえばモノオレフィン性不飽和カルボン酸アミド
(たとえばアクリルアミド、メタクリルアミド、イタコ
ン酸アミドなど)、モノオレフィン性不飽和カルボン酸
アミドのN−アルキル及び/又はN−アルキロール誘導
体(たとえばN−メチルアクリルアミド、N−イソブチ
ルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N
−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルア
クリルアミド)、モノオレフィン性不飽和スルホン酸
(たとえばビニルスルホン酸、メチルアクリルアミドプ
ロパンスルホン酸など)等があげられる。これらの
(ニ)不飽和単量体は2種以上を併用して共重合させる
ことができる。
【0020】なお、本発明における(A)カルボニル基
含有共重合体樹脂水性分散液を製造するための前記した
不飽和単量体としても、前記した(ニ)不飽和単量体
と同様の単量体が適宜に使用できる。
【0021】 本発明で使用する前記した両カルボニル
基含有共重合体樹脂を製造するための重合、すなわち
(C)アルド基若しくはケト基を含有するカルボニル基
含有共重合体樹脂を得るための前記の(イ)〜(ニ)の
不飽和単量体混合物の重合は溶液重合で行い、(A)カ
ルボニル基含有共重合体樹脂水性分散液を得るための前
記した〜の不飽和単量体混合物の重合は、乳化重合
により行。」
【0022】その溶液重合に用いられる溶媒は、特に限
定されないが、生成共重合体樹脂の溶解性及び水との混
合性の点から水溶性若しくは親水性の溶剤が好ましい。
その具体例としては、1〜4個の炭素原子を有するモノ
アルコール類、たとえばメチルアルコール、エチルアル
コール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、イソブチルアルコール及びt−ブチルアルコール;
エチレングリコール及びその誘導体、たとえばエチレン
グリコールモノメチルエーテル、同モノエチルエーテ
ル、同モノプロピルエーテル、同モノブチルエーテル;
ジエチレングリコール及びその誘導体、たとえばジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、同モノエチルエー
テル、同モノプロピルエーテル、同モノブチルエーテ
ル;その他1,4−ジオキサンなどがあげられる。ま
た、水を重合溶媒として用いてもよい。これらの溶剤は
1種類を用いてもよいし、2種以上を適宜に併用しても
よい。その溶剤は、一般には沸点200℃以下のものが
重合後の留去、或いは乾燥スピードの点で好ましい。
【0023】溶液重合用の重合開始剤の具体例として
は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニト
リルなどのアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、
ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド
などの有機過酸化物系開始剤;アゾ系化合物;その他過
酸化水素、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物系開
始剤等が使用できる。これらの開始剤は溶媒への溶解度
等に応じて適宜に1種類を単独で使用してもよいし、2
種以上を適宜に併用することもできる。また、これらの
開始剤に、ロンガリット、L−アスコルビン酸、有機ア
ミンなどの還元剤を併用してレドックス開始剤として用
いてもよい。
【0024】また、その乳化重合には乳化剤を使用して
水溶性の重合開始剤により重合を行なわせる方法や、ソ
ープフリー重合により重合を行なわせる方法等が用いら
れる。その乳化剤としては、各種のアニオン性、カチオ
ン性及びノニオン性の乳化剤、さらには高分子乳化剤が
あげられる。特に好ましい乳化剤は、特開昭64−48
801号公報に記載されているカルボニル基含有高分子
乳化剤である。
【0025】乳化重合において用いる重合開始剤は、過
硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの
無機過酸化物が好ましい。これらの無機過酸化物には、
前記したような還元剤を併用してレドックス開始剤とし
て用いてもよい。
【0026】乳化重合における単量体の供給方法は、種
々の方法を用いることができる。たとえば一括仕込法、
モノマー添加法、エマルジョン添加法等の種々の方法を
用いることができる。また、添加する単量体の組成を逐
次に変化させるシード重合法、又はパワーフイド重合法
等も用いることができる。
【0027】また、乳化重合の際には、連鎖移動剤を用
て、所望の皮膜物性を得るために分子量を調整すること
ができる。その連鎖移動剤としては、たとえば各種のメ
ルカプタン類、α−メチルスチレン、ハロゲン化アルキ
ル、アルコール類などがあげられる。その使用量は、全
単量体に対して0.03〜5重量%である。
【0028】次に、本発明で用いられる(D)分子中に
少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジンとし
ては、たとえば2〜10個、特に4〜6個の炭素原子を
有するジカルボン酸ジヒドラジド(たとえば蓚酸ジヒド
ラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジ
ド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジ
ド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジ
ド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジ
ド)、2〜4個の炭素原子を有する脂肪族水溶性ジヒド
ラジン(たとえばエチレン−1,2−ジヒドラジン、プ
ロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−
ジヒドラジンなど)があげられる。
【0029】また、一般式
【0030】
【化2】
【0031】〔式中、Xは水素原子又はカルボキシル基
であり、Yは水素原子又はメチル基であり、Aはアクリ
ルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステル又は無水マレイン酸の各単位であ
り、Bはアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル又は無水マレイン酸
と共重合可能な単量体の単位である。また、k、m及び
nは下記の各式 2モル%≦k≦100モル% 0モル%≦(m+n)≦98モル% (k+m+n)=100モル% を満足する数を示す。〕で表わされるポリマーも、その
ヒドラジン誘導体として使用できる。かかるポリマー
は、たとえば特開昭55−6535号公報に詳述されて
いる。
【0032】本発明の水性グロスペイント組成物は、以
上詳述した(A)成分〜(D)成分の各成分を含有して
なるものであるが、(A)成分と(B)成分の量比は、
{(A)成分の不揮発分重量}/{(A)成分の不揮発
分重量+(B)成分の重量}比が15〜65%、好まし
くは30〜60%になる割合である。(A)成分量が少
なすぎると光沢性に優れた塗膜が得られなくなるし、逆
に(A)成分量が多すぎると塗膜の隠ぺい性が不足して
くる。
【0033】また、(B)成分(顔料)の使用量は、グ
ロスペイント組成物の全不揮発分量に対する顔料濃度
(PWC)で15〜60重量%である。PWCが低すぎ
ると塗膜の光沢性が優れているが、隠ぺい性が不足する
し、PWCが高すぎると、塗膜の光沢性が低下し、グロ
スペイントとして適さなくなる。
【0034】また、(C)成分は、顔料分散剤としての
作用をすると同時に、グロスペイント組成物の塗膜の乾
燥後は、(D)成分と反応して架橋結合を生じ、塗膜の
耐水性を向上せしめる作用をする。そのために、(C)
成分は、通常の顔料分散剤と異なり、これを多量に添加
しても乾燥塗膜の耐水性の低下が少ないので、通常の顔
料分散剤を用いる場合の顔料に対する分散剤の添加量
(通常、0.1〜2重量%程度)よりも多量に添加する
ことができる。そして、(C)成分を比較的に多量に添
加すると、(C)成分は顔料分散剤としての作用のほか
にバインダーとしての作用をさせることができるばかり
でなく、光沢性、特に鮮映性に優れた塗膜が得られる。
【0035】(C)成分の使用割合は、(B)成分に対
して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%
である。その使用割合が少なすぎると充分な顔料の分散
効果が得られないし、塗膜の光沢性、鮮映性及び塗料の
貯蔵安定性が低下してくる。また、その使用量が多すぎ
ると、それに見合う効果の向上が得られないばかりでな
く、耐水性が低下する。
【0036】(D)成分の使用割合は、ヒドラジン誘導
体のヒドラジノ基に対する(A)成分及び(C)成分中
に含まれるアルド基若しくはケト基にもづく全カルボニ
ル基のモル比、すなわち(>C=O)/(−NHN
2 )モル比で、好ましくは0.2〜5.0、より好ま
しくは0.3〜2.0になる割合である。(D)成分の
割合が少なすぎると、(A)成分及び(C)成分の各樹
脂相互間の架橋が不充分となるため塗膜の耐水性が低下
してくる。また、その割合が多すぎても、それに見合う
だけの耐水性の向上が得られないばかりでなく、塗膜が
もろいものとなったりする。
【0037】(D)成分の添加は、グロスペイント製造
工程のうちの、(A)成分の重合工程及び(C)成分の
重合工程以外であれば、いつでもよいが、一般的には
(A)成分、又は(C)成分のカルボキシル基が中和さ
れた状態のものに添加するのが、グロスペイント組成物
の貯蔵安定性の点から好ましい。
【0038】本発明の水性グロスペイント組成物には、
前記した(A)成分〜(C)成分のほかに、この種のグ
ロスペイントに配合されることのある各種の添加剤、た
とえば増粘剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤等を適宜に配
合することができる。
【0039】本発明の水性グロスペイント組成物は、塗
膜の耐水性、光沢性、鮮映性に優れているので、弾性塗
材等のトップコーティングに適するものである。
【0040】
【実施例】以下に、共重合体樹脂合成例、樹脂水性分散
液調製例、実施例及び比較例をあげて詳述する。これら
の例において記載の「部」は重量部を、また「%」は重
量%をそれぞれ意味する。
【0041】共重合体樹脂合成例1 温度調節器、いかり型攪拌器、還流冷却器、供給容器、
温度計及び窒素導入管を備えた反応容器内にイソプロパ
ノール100部を装入した。
【0042】別に、下記の単量体等の混合物を用意し
た。 イソプロパノール 100部 アクリル酸メチル 45部 アクリル酸ブチル 10部 アクリル酸 35部 ジアセトンアクリルアミド 10部 アゾビスイソブチロニトリル 4部
【0043】前記のイソプロパノール100部を装入し
た反応容器内を窒素ガスで置換したのち、80℃に昇温
してから、前記の単量体等の混合物を2時間かけて徐々
に添加しながら同温度に2時間保って反応させた。
【0044】その反応終了後、反応生成物に10%水酸
化ナトリウム水溶液198部及び水350部を加えたの
ち、20mmHg及び湯浴温度80℃の減圧下の加熱に
より、イソプロパノールと水の混合物500部を留去し
て、カルボニル基含有共重合体樹脂の水溶液350部を
得た。この樹脂水溶液は、PH8.5、不揮発分含量3
2%の透明な溶液であった。
【0045】共重合体樹脂合成例2〜6 反応容器に供給する単量体等の混合物を表1に示すよう
に変更し、そのほかは合成例1と同様にして反応させ、
同様の後処理をして表1に示す各共重合体樹脂水溶液を
得た。
【0046】
【表1】
【0047】共重合体樹脂水性分散液調製例1 温度調節器、いかり型攪拌器、還流冷却器、供給容器、
温度計及び窒素導入管を備えた反応容器内に、下記の混
合物からなる乳化剤水溶液を装入した。
【0048】 水 200部 エチレンオキシド20モル付加p−ノニルフエノールの 硫酸半エステル塩(「アニオン性乳化剤A」という)の 35%水溶液 5部 エチレンオキシド25モル付加p−ノニルフェノールの 20%水溶液 20部
【0049】別に、供給物I及び供給物IIとして、下
記のものをそれぞれ用意した。 供給物I: 水 200部 前記のアニオン性乳化剤Aの35%水溶液 25部 アクリル酸 5部 ジアセトンアクリルアミド 14部 アクリル酸ブチル 205部 スチレン 242部 供給物II:水85部中に過硫酸カリウム2.5部を溶
解した水溶液
【0050】前記の乳化剤水溶液を装入した反応容器内
を窒素ガス置換したのち、前記の供給物Iの10%を加
え、その混合物を90℃に加熱した。次いで、供給物I
Iの10%を加えたのち、同温度を保持しながら残りの
供給物I及び供給物IIを3〜3.5時間かけて一様に
並行して徐々に供給して重合させた。その供給終了後さ
らに1.5時間90℃に保持して乳化重合させた。
【0051】乳化重合終了後、28%アンモニア水を加
えてPH8に調整し、共重合体樹脂水性分散液を得た。
この共重合体樹脂の造膜温度は25℃であった。
【0052】共重合体樹脂水性分散液調製例2 供給物Iの単量体組成を表2に示すように変更し、その
ほかは調製例1と同様にして共重合体樹脂水性分散液を
調製した。
【0053】
【表2】
【0054】実施例1 合成例1で得られたカルボニル基含有共重合体樹脂水溶
液3.1部、水50部、28%アンモニア水0.2部、
消泡剤(サンノプコ株式会社商品名 SNデフォーマー
315)2部、2%ヒドロキシエチルセルロース水溶液
10部、及び酸化チタン100部をディスパーで混合
し、顔料ペーストを調製した。
【0055】得られた顔料ペーストに共重合体樹脂水性
分散液調製例1で得られた水性樹脂分散液210部、ベ
ンジルアルコール15部、及び20%アジピン酸ジヒド
ラジド水溶液5部を混合して水性グロスペイントとし
た。この水性グロスペイントの顔料濃度(PWC)は5
0%であった。この水性グロスペイントについて下記の
貯蔵安定性、塗膜光沢、塗膜耐水性、塗膜耐アルカリ
性、塗膜耐候性及び塗膜の隠ぺい性の各試験をした。
【0056】(a)貯蔵安定性 グロスペイントを40℃で保存し、2週間後の粘度(K
U値)を測定して、粘度変化を調べた。
【0057】(b)塗膜光沢 塗料をガラス板に湿潤厚さ150μmに塗布し、20
℃、65%RHで48時間乾燥後、60°鏡面光沢
(%)を測定した。
【0058】(c)塗膜耐水性 塗料をフレキシブル板(150×70mm)に刷毛で2
回塗りした後、20℃、65%RHで7日間乾燥させて
試験片とした。この試験片を7日間水中に浸漬後、取出
して乾燥して60°鏡面光沢(%)を測定し、水浸漬後
の光沢の保持率を測定した。また、同様の水浸漬後の塗
膜のブリスターの発生状態を目視により、さらに塗膜の
軟化状態を指触により調べ、それぞれ下記の基準で評価
した。
【0059】ブリスターの発生状態 ○・・・ ブリスターの発生が全く認められない。 なお、ブリスターが発生した場合は、日本塗料検査協会
の基準により判定する(後記の表10参照)。
【0060】軟化状態 水又はアルカリ水溶液から取出した直後の塗膜を爪で引
っかいて、ハガレ等を観察し、下記の基準で評価する。 ○・・・ 基材界面からのハガレ又は塗膜中間層での凝集破
壊が認められない。 △・・・ ハガレ又は凝集破壊が若干認められる。 ×・・・ ハガレ又は凝集破壊が起きている。
【0061】(d)塗膜の耐アルカリ性 水の代りに飽和石灰水溶液を用い、そのほかは(c)塗
膜耐水性試験と同様の浸漬試験をし、同様の基準で評価
した。
【0062】(e)塗膜の耐候性 (c)塗膜耐水性試験の場合と同様の方法で作成した試
験片を3か月間屋外に放置したのち、(c)塗膜耐水性
試験と同様の試験をし、光沢保持率を測定した。
【0063】(f)塗膜の隠ぺい性 JIS規格 K−5660号の方法により測定し、隠ぺ
い率0.95以上を○と評価し、それ未満を×と評価し
た。
【0064】これらのグロスペイントの組成等を表3に
まとめて記載し、またそのグロスペイントの物性試験結
果を表7にまとめて記載した。
【0065】実施例2〜5 比較例1〜9 グロスペイントの組成を表3〜表6にそれぞれ示すよう
に変更し、そのほかは実施例1に準じて各種のグロスペ
イントを調製し、得られた各グロスペイントについて実
施例1の場合と同様の試験を行なった結果を表7〜表9
にまとめて記載した。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】表3〜表6 *1・・・ サンノプコ株式会社商品名 SNデフォーマー
315
【0071】
【表7】
【0072】
【表8】
【0073】
【表9】
【0074】
【表10】
【0075】表7〜9から明らかなように、各実施例の
グロスペイントは、比較例1〜9のグロスペイントと較
べて、塗膜の光沢性、塗膜の耐水性、耐アルカリ性、及
び耐候性がバランスよく優れている。
【0076】
【発明の効果】本発明の水性グロスペイント組成物は、
貯蔵安定性に優れ、耐水性、耐アルカリ性、光沢性及び
耐候性がバランスよく優れた塗膜を与えることができ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 131/00 C09D 131/00 133/06 133/06 133/18 133/18 147/00 147/00 (72)発明者 青木 正博 三重県四日市市川尻町1000番地 三菱油 化バーディッシェ株式会社内 (72)発明者 塚本 健夫 三重県四日市市川尻町1000番地 三菱油 化バーディッシェ株式会社内 (72)発明者 松田 充弘 大阪府茨木市平田2−4−16 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 5/00 C09D 5/02 C09D 133/00 - 133/22 C09D 125/00 - 125/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アルド基若しくはケト基を含有
    するカルボニル基含有不飽和単量体0.3〜20重量%
    と、エチレン性不飽和カルボン酸0〜10重量%と、
    アクリル酸若しくはメタクリル酸の炭素数1〜10の
    アルキルエステル、ビニル芳香族化合物、アクリロニト
    リル、メタクリロニトリル、飽和カルボン酸ビニルエス
    テル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ブタ
    ジエン及びエチレンよりなる群から選ばれた少なくとも
    1種の不飽和単量体55〜99.7重量%と、前記
    〜の不飽和単量体以外の他の不飽和単量体0〜15重
    量%との単量体混合物の乳化重合によって得られたカル
    ボニル基含有共重合体樹脂水性分散液、(B)顔料、
    (C)(イ)アルド基若しくはケト基を含有するカルボ
    ニル基含有不飽和単量体1〜30重量%と、(ロ)エチ
    レン性不飽和カルボン酸10〜65重量%と、(ハ)ア
    クリル酸若しくはメタクリル酸の炭素数1〜10のアル
    キルエステル、ビニル芳香族化合物、アクリロニトリ
    ル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
    ニル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ブタ
    ジエン及びエチレンよりなる群から選ばれた少なくとも
    1種の不飽和単量体5〜89重量%と、(ニ)前記
    (イ)〜(ハ)の各単量体以外の他の不飽和単量体0〜
    50重量%との単量体混合物の溶液重合によって得られ
    たカルボニル基含有共重合体樹脂、及び(D)分子中に
    少なくとも2個のヒドラジノ基(−NHNH2 )を有す
    るヒドラジン誘導体を含有してなり、前記の(C)カル
    ボニル基含有共重合体樹脂の含有量が前記の(B)顔料
    に対して0.1〜10重量%であり、前記の(B)顔料
    の濃度が全不揮発分量に対して15〜60重量%である
    ことを特徴とする水性グロスペイント組成物。
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