JP2869434B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高速、高密度記録が可能で磁界変調方式に
好適な光磁気記録媒体に関するものである。
〔従来の技術〕
光磁気記録媒体は垂直磁気記録と磁気光学効果(カー
効果等)を利用するもので、従来の光記録媒体と同様に
レーザ光を用いて情報の記録、再生を行うため記録容量
が大きく、その上書き換えが可能である。さらにヘッド
と媒体が非接触で記録再生を行うことができ、塵埃の影
響を受けないため安定性にも優れている。このため光磁
気記録媒体は、現在盛んに研究されており、文書情報フ
ァイル、ビデオ・静止画ファイル、コンピュータ用メモ
リ等への利用あるいはフロッピーディスク、ハードディ
スクの代替が期待され、近い将来の商品化段階を迎える
に至っている。
このような光磁気記録媒体の記録層として、遷移金属
(Fe、Cc)と希土類金属(Tb、Dy、Gd、Ho、Er等)とを
組合せた非晶質(アモルファス)磁性合金膜が種々提案
されている。遷移金属と希土類金属とをそれぞれ1種以
上組み合せ、スパッタ法や蒸着法で基板上に作製した磁
性合金膜は、補償組成付近で非晶質の垂直磁化膜(膜面
と垂直な方向に磁化容易軸を有する磁化膜)となり、光
磁気記録媒体に応用する事が可能となる。
一方、光磁気記録媒体における情報の記録、消去を行
う方法としては、現在のところ光変調方式が主流となっ
ている。この光変調方式によれば、記録、消去は、変調
した情報信号を半導体レーザに入力し、そのレーザパル
ス光を光磁気記録媒体の記録層に照射して加熱すると同
時に、その部分に記録又は消去方向に外部磁界を印加し
て行われる。この方式では、既に情報が記録されている
場合には、それを消去した後、新しい情報を記録する。
また、消去の方法には一般に1セクター毎連続して消去
する方法と、2本のレーザビームが近接して照射できる
ように2つのヘッドを近接配置し、先行するヘッドで消
去する方法とがある。前者の方法は消去から記録迄の待
時間が必要となる。また、後者の方法は消去用と記録用
の電磁石又は磁石を近接して配置する必要があるが、こ
れら電磁石又は磁石はそのサイズ、あるいは互いの磁界
の影響等により近接配置できる距離に制限があり、その
ため消去されない領域ができる。すなわち、第2図に模
式的に示すようにAの領域で消去されBの領域で記録さ
れるものとすると、光磁気記録媒体が1回転して再びA
の領域に戻った時、消去レーザ光は次のトラックを照射
するか、又はオフとなる(オフされない情報記録された
A領域部分の情報が消されてしまう)。従って、AB間は
消去できない領域となる。
以上のような理由により光変調方式に代わってオーバ
ライト(重ね書き)可能な磁界変調方式が注目されてい
る。この方式は、第3図に示すように浮上型磁気ヘッド
21に変調した情報信号を入力して励磁し、同時にレーザ
光22を連続的にあるいはチャンネルクロックと同期させ
て照射するもので、現行の磁気ディスクと同様にオーバ
ライトが可能、すなわち消去が不用である。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記従来技術には以下に述べるような
課題があった。
情報処理の高速書、ハードディスク等の代替の見地か
らすると、光磁気記録媒体への記録速度はハードディス
クと同等以上でかつ高密度で記録がなされ、そのうえオ
ーバライト可能な磁界変調方式に適合することが望まれ
る。そのためには、ディスク回転数3600rpm、線速22.6m
/秒、記録周波数10MHz以上、記録レーザパワー(媒体
面)10mW以下で記録でき、しかも記録ビット(記録磁
区)サイズ1μm以下でかつ記録ビットの形状がシャー
プであることが必要とされる。ところが、従来の光磁気
記録媒体では上記のような条件を満たしたものはなく、
より一層特性が向上した光磁気記録媒体の実現が望まれ
ていた。
本発明はこのような従来技術の課題に鑑み、上述の情
報処理の高速化、ハードディスク等の代替にも十分対処
しうるような高速、高密度記録可能でかつ磁界変調方式
に適合する光磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
上記目的を達成するため、本発明によれば、基板上に
誘電層を介して光磁気記録層を設け、さらにその上に断
熱層を設けてなる光磁気記録媒体において、前記断熱層
の膜厚を400〜1000Åとし、その上に膜厚が200〜600Å
で、熱伝導率が0.2cal/cm・s・℃以上の熱吸収層を設
け、さらに、前記誘電層の屈折率を2.1以上としたこと
を特徴とする光磁気記録媒体が提供される。
光磁気記録媒体上に磁界変調方式で光磁気記録を行っ
たときの記録ビットの形状は第4図のようになる。図中
31は光磁気記録媒体、32は記録レーザ光、33は記録ビッ
ト、33′はビット尾、34は100℃の熱等温線、35は70℃
の熱等温線である。今、光磁気記録媒体31が図中の矢印
Pのように右方向へ移動し、領域Cで記録レーザ光32が
連続照射され、光磁気記録媒体31が磁界のオン時刻
(t1)からオフ時刻(t2)までの時間中に図中のt1から
t2迄多動したとする。またこの光磁気記録媒体31の記録
開始温度を150℃とする。この場合、150℃、100℃、70
℃の熱等温線はそれぞれ33,34,35のようになり、33が記
録ビットとなる。C′の領域は記録磁界オフ時に媒体温
度が高いので記録されず、消去方向に磁化される。光磁
気記録媒体31における熱等温線はその熱伝導率により定
まり、記録ビットの形状は磁性膜の熱磁気特性及び磁気
ヘッドの周波数特性(磁界の立ち上り、下り)によって
影響される。
磁界変調方式による光磁気記録において高密度に記録
を行うためには記録ビット長が1μm以下で、かつビッ
ト形状がシャープでビット後端の尾(第4図の33′)の
長さが短かくなければならない。記録ビット長が長い場
合には高密度化の妨げとなるし、記録ビット後端の尾が
長くてその形状が乱れている場合にはノイズが大きく再
生C/Nが劣化する。
以上の事に鑑み、本発明者は鋭意研究した結果、光磁
気記録媒体の層構成を基板、誘電層、光磁気記録層、断
熱層、熱吸収層、の順に積層した構造とし、かつ断熱層
の膜厚並びに熱吸収層の膜厚及び熱伝導率を特定な値に
設定すると共に誘電層の屈折率を2.1以上と規定するこ
とにより、前述の目標値、目標特性を達しうることを見
い出した。
以下本発明を図面により更に詳述する。
第1図は本発明による光磁気記録媒体の層構成例を示
す断面図であり、図中1は基板を示し、該基板1上に誘
電層2、光磁気記録層3、断熱層(保護層)4、熱吸収
層(ヒートシンク層)5が順次積層された構成となって
いる。そして必要に応じて有機保護層又は接合層6が形
成される。
先ず、基板1の材料としてはポリカーボネート、メチ
ルメタクリレート、ポリオレフィン、エポキシ樹脂等の
プラスチック、あるいはガラス等が使用可能である。基
板1にはあらかじめガイドトラック、プリフォーマット
を形成してもよい。また、基板1のレーザ光入射面をH2
O、O2の侵入防止のために誘電層、疎水性、耐ガス性層
(例えばフッ素樹脂層)等で被覆してもよい。
誘電層2は基板外部からH2O、O2が侵入して記録層3
の磁気特性が劣化するのを防止するとともに、光の多重
反射により磁気光学効果(カー回転角θ)をエンハン
スメントする役割を行う。ここでこのような役割を果た
すために最適な誘電層2の特性について考察してみる。
第5図は、第6図のような媒体構成としたときの誘電層
膜厚と吸収率A及び反射率Rとの関係を示すグラフであ
る。第6図中、61はガラス基板、62はSiXNY誘電層(屈
折率2.3)、63はTbDyFeCo磁性層、64はSiXNY保護層、65
はレーザ光である。磁性層63の膜厚は一定(700Å)と
なっている。第5図において誘電層62の膜厚600〜700Å
付近で吸収率Åが最大となり、この付近の膜厚で使用す
れば記録感度が改良できることがわかる。また、第7図
は誘電層膜厚とカー回転角θとの関係を示すグラフで
ある。この図から、吸収率Aが最大となる膜厚付近では
多重反射(エンハンスメント)効果によりカー回転角θ
も増大することがわかる。さらに第8図は誘電層に使
用する誘電体の屈折率と吸収率A及び反射率Rとの関係
を示すものである。この図からは、屈折率nが2.5〜2.7
で吸収率Aが最大となることがわかる。以上のことよ
り、本発明の光磁気記録媒体の誘電層2では、屈折率n
が2.1以上の材料を膜厚500〜800Åで使用する。また、
熱伝導による熱損失という観点から誘電層2の熱伝導率
は0.1cal/cm・s・℃以下であるのが好ましい。このよ
うな材料としては、具体的にはSiXNY、AlN、SiO、AlO
N、AlSiN、ZnS、AlSiNO等が好ましく使用される。成膜
方法としてはスパッタ法、蒸着法、イオンプレーティン
グ法等が使用される。
次に記録層3について説明すると、この記録層3に
は、少なくとも1種以上の希土類金属(Tb,Dy,Gd,Ho,Er
等)と少なくとも1種以上の遷移金属よりなり、膜面と
垂直な方向に磁化容易軸を持つ非晶質磁性合金膜が使用
される。該磁性合金膜は希土類金属の濃度が補償組成
(室温における磁性合金膜中の希土類金属の磁気モーメ
ントをMRE、遷移金属の磁気モーメントをMTEとしたと
き、|MRE−MTE|=0となる組成)の近傍でかつ希土類金
属リッチ(優位)のものを使用する。補償組成に対して
希土類金属リッチの磁性合金膜は遷移金属リッチのもの
に比べて、一般に室温における保磁力Hcが大きく、保磁
力Hcの温度特性曲線の勾配が大きく、しかも飽和磁化Ms
の値が小さい傾向を示す。なお、磁性合金膜における希
土類金属の濃度z(atom%)は、補償組成での濃度をzo
(atom%)としたとき、zo<z<zo+4であるのが好ま
しい。zの値が大きくなりすぎると室温での保磁力Hc及
びカー回転角θが急激に低下し、光磁気記録媒体の記
録層に適さなくなる。
ここで一例として第9図及び第10図にそれぞれ希土類
金属リッチの磁性合金膜(Tb12・4Dy12・5Fe66・8Co
8・3)と遷移金属リッチの磁性合金膜(Gd12・1Tb
11・7Fe67・8Co8・4)の保持力Hcとカー回転角θ
の温度依存を示す。第9図に示す希土類金属リッチのTb
DyFeCo磁性合金膜はキュリー温度Tcが168℃と低く、ま
たキュリー温度Tc近傍において保磁力Hcの温度特性曲線
が大きい勾配で直線的に変化している。このような磁性
合金膜は記録ビットと非記録部の領域の保磁力Hcの差が
大きくデジタル的に変化しているので、磁界変調方式で
形成された記録ビットの長さは短く、ビットの尾は短
く、しかもその形状はシャープとなる。一方、第10図に
示す遷移金属リッチのGdTbFeCo磁性合金膜はキュリー温
度Tcが236℃と高く、保磁力Hcの温度特性曲線はキュリ
ー温度Tc付近で勾配が小さく、しかも長く裾を引いてい
る。このような磁性合金膜は記録ビットと非記録部の領
域の保持力Hcの差が小さく、記録ビットの尾は長く、ビ
ット形状は第11図のようにシャープでなく乱れる。また
記録ビットのサイズも不揃いとなり、磁性合金膜組成の
小さい変動を受けやすくなり、望ましくない。このよう
に、キュリー温度Tc付近での保磁力Hcの勾配値は大きい
ほど良く、しかも長く裾を引かず直線的に変化している
ものが好ましい。保磁力Hcの温度特性の良否はキュリー
温度Tcから50℃低い温度(Tc−50℃)における保磁力を
Hc50としたとき、このHc50を50℃で割った勾配値Hc50/5
0(Oe/℃)で評価できる。本発明の磁性合金膜の勾配値
Hc50/50は20以上であるのが好ましい。ちなみに第9図
のTbDyFeCo磁性合金膜では、Hc50>2500 Oe、勾配値Hc
50/50>50(Oe/℃)であり、第10図のGdTbFeCo磁性合金
膜ではHc50≒200 Oe、勾配値Hc50/50≒4(Oe/℃)であ
る。
また飽和磁化Msに関しても希土類金属リツチの磁性合
金膜は以下に述べるように遷移金属リッチのものに比べ
て良い特性を示す。第12図は希土類金属リッチと遷移金
属リッチの各磁性合金膜の飽和磁化の温度依存性を示す
グラフ、第13図は記録ビット周囲の磁化分布及び記録ビ
ットの内部の浮遊磁界分布を示すグラフである。また第
14図は記録時のビット形成のモデル図である。第14図
中、71は光磁気記録媒体、72は基板、73は磁性合金膜、
74は記録レーザ光である。第12図に示すように遷移金属
リッチの磁性合金膜の飽和磁化Msは温度が上昇してもあ
まり減少せず、キュリー温度Tc付近で急激に減少する傾
向をみせる。一方、希土類金属リッチの磁性合金膜の飽
和磁化Msは温度の上昇に応じて直線的に減少する傾向を
みせる。遷移金属リッチの磁性合金膜における上記傾向
は、第13図に示されるように希土類金属リッチの磁性合
金に比べ、記録ビットの周辺に飽和磁化Msが残留磁化Mr
として大きく残存していることによるものである。これ
は記録過程及び消去過程に悪い影響をもたらす。すなわ
ち、記録過程においては、第14図に示すように残留磁化
Mrによる反磁界Hdがレーザ光照射記録部に外部磁界Hex
と同方向に作用し、記録ビットが拡大するので、微小記
録ビットの記録が困難となる。一方、消去過程では、反
磁界Hdが逆方向に作用するので記録時より2Hd大きい外
部磁界が必要となる。記録時と消去時とで外部磁界の大
きさを周波数10MHzの速さで変化させることは困難であ
るので、遷移金属リッチの磁性合金膜は特に磁界変調方
式には適さない。希土類金属リッチの磁性合金膜では上
記のような不都合はなく、微小記録ビットでの記録が容
易であり、また磁界変調方式にも適合する。また、本発
明の磁性合金膜の飽和磁化Msの大きさは出来るだけ小さ
く、150Gauss以下、より好ましくは100Gauss以下である
のが望ましい。
一方、磁性合金膜の膜厚は記録感度すなわち記録レー
ザパワーと大きく関係する。第15図に磁性合金膜の膜厚
tと記録開始最小レーザパワーPm(ビット長1μm、第
2次高周波最小値)との関係をグラフで示す。また、第
16図に磁性合金膜の膜厚tと吸収率A及び反射率Rとの
関係をグラフで示す。第15図から分かるように、記録開
始最小レーザパワーPmは膜厚300Åで最小となり、それ
より薄くなっても厚くなっても該パワーPmは増大する。
これは、該パワーPmは (ΔTはキュリー温度Tcと室温との温度差、tは膜厚、
Aは吸収率、Rは反射率、Tは透過率)なる関係式に従
って変化し、かつ、第16図に示されるように膜厚が300
Åより小さくなると吸収率Aが急激に低下するためであ
る。以上の事より記録層3の膜厚は300〜600Åであるの
が好ましい。
また、記録層3には耐食性の向上のためにAl、Ti、C
r、Zr、Ni、In、W、Cu等の少なくとも1種以上を含有
させてもよく、さらに磁気光学特性の向上のためにSm、
Nd、Pr、Ce、Pt、Au、Nb、Eu、Y、Bi等の少なくとも1
種以上を含有させてもよい。
本発明の光磁気記録媒体の記録層3に適用出来る非晶
質磁性合金膜としては(Tb100-xDyx)z(Fe100-yCoy
100-z〔0<x<100,3<y<20,望ましくは50<x<10
0,3<y<10であり、zは補償組成をzoとするときzo<
z<zo+4である。〕、(Gd100-xDyx)z(Fe100-yC
oy100-z〔0<x<100、0<y<10であり、zは補償
組成をzoするときzo<z<zo+4である〕等が挙げられ
るが、これに限定されるものではなく上記の条件を満足
するものであれば適用可能である。
断熱層4は記録時にレーザ照射により記録層3に発生
した熱を拡散させないで該記録層3内に集める役割をす
るとともに、大気中の水、酸素により記録層3が酸化、
腐食するのを防止する役割を行う。このため、断熱層4
の熱伝導率は誘電層2の熱伝導率より小さいことが望ま
しく、熱伝導率が5×102cal/cm・s・℃以下の誘電材
料が好ましく用いられる。そして、そのような誘電材料
としては、SiXNY、SiO2、SiO、ZrO2、SiZrN等が最適で
ある。更にTi、Pt、Cr、Nd、Mn等を添加しても良い。そ
して断熱層4は誘電層形成と同様の成膜法により400〜1
000Åの膜厚に形成される。
熱吸収層5は断熱層4での熱拡散を防止する作用を行
う。すなわち、記録時にレーザ照射により記録層3に発
生した熱は、熱伝導率の小さい断熱層4に伝導し、その
断熱層4の熱が熱吸収層5に伝導することにより、断熱
層4での熱拡散が防止される。その結果、第17図(a)
に示すように記録ビット後端の尾引きが短く、そのビッ
ト形状もシャープでレーザスポット径に忠実となる。一
方、熱吸収層5の無い場合には断熱層4での熱拡散が起
り、第17図(b)に示すように記録ビット後端の尾引き
は長く、その形状はレーザスポット径より細くなる。上
記作用のため、熱吸収層5には熱伝導率が0.2cal/cm・
s・℃と良い材料が使用される。このような材料として
はAl、Pt、Au、Rh、Cu、Ag、Cr等又はこれらの合金が最
適である。成膜法としてはスパッタ法、蒸着法等の方法
が使用され、200〜600Åの膜厚に形成される。熱吸収層
5の膜厚が600Åより大きくなると熱吸収層5の横方向
に熱拡散が起こるため、強い記録レーザパワーが必要と
なり好ましくなく、また200Åより薄いと上記のような
使用をなし得なくなる。
熱吸収層5の上には必要に応じて有機保護層あるいは
接合層5が設けられるが、有機保護層は熱吸収層5を保
護し、接合層は両面記録タイプの媒体における接合を行
う。これら有機保護層あるいは接合層5は紫外線硬化樹
脂(UVレジン)、熱可塑性樹脂、プラズマ重合樹脂等を
用いてスピナー塗布法等の方法で1μm〜100μmの膜
厚に成膜される。
また、上記において2枚のディスクを貼合せた両面記
録タイプの光磁気ディスクとするときには、そのディス
クの端部を誘電材あるいはプラスチックで接合するのが
好ましい。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例をあげるが、本発明はこれら実
施例に限定されるものではない。
実施例1 外径130mm、内径15mm、厚さ1.2mmのガラス板を基板と
して用い、RFマグネトロンスパッタ装置において該基板
上に誘電層としてSiXNY膜(屈折率n=2.3、熱伝導率0.
04cal/cm・s・℃)をスパッタ法により32Å/分の成膜
速度で700Åの膜厚に形成した。次に、同スパッタ装置
において誘電層上に記録層としてTb12・4Dy12・5Fe
66・8Co8・3磁性膜をスパッタ法により40Å/分の成
膜速度で400Åの膜厚に形成した。この記録層の磁気特
性はキュリー温度Tc=168℃、保磁力Hc=3.7kOe、飽和
磁化Ms=108Gaussであった。次に、その上に、同じくス
パッタ法により断熱層としてSiXNY膜(熱伝導率0.04cal
/cm・s・℃)を40Å/分の成膜速度で形成した。最後
に熱吸収層上にスピンコートにてUVレンジ(大日精化
(株)製のUDAL−39(K))を30μmの膜厚に被着させ
た後、紫外線照射により硬化させて、有機保護層を形成
し、光磁気記録媒体を得た。
実施例2〜6 各層の材料として各々表−1及び表−2に示すものを
用い、実施例1と同様にして各層が表−3に示す膜厚の
光磁気記録媒体を得た。記録層の磁気特性は表−2に示
す通りで、誘電層、断熱層、熱吸収層の屈折率あるいは
熱伝導率は表−3に示す通りであった。なお、エポキシ
レンジは熱ローラで塗布して形成した。
比較例 基板材料としてポリカーボネートを用いて、該基板上
に上記と同様にして表−1及び表−2に示す材料で表−
3に示す膜厚で誘電層、記録層、断熱層を形成し、熱吸
収層は設けないで、断熱層上に有機保護層を形成して、
光磁気記録媒体を得た。
以上のようにして作製した各光磁気記録媒体の記録再
生特性の評価を下記の条件で行った。
・磁気ヘッドの有機保護層上の浮上量 2〜4(μm) ・記録周波数 15(MHz) ・線速 22(m/s) ・媒体の回転数 3600(rpm) ・記録レーザ波長 780(nm) ・記録レーザパワー(媒体面) 4〜10(mW) ・レーザスポット径 約1(μm) ・バイアス磁界 ±200〜300(Oe) ・再生レーザ波長 780(nm) ・再生レーザパワー 2(mW) なお、記録の際レーザ光はチャンネルクロック30MHz
に同期させてパルス発生させ、磁気ヘッドは15MHzの周
波数で情報信号を変調した。上記の特性評価結果を表−
4に示す。
同表に示されるように、本実施例の光磁気記録媒体は記
録レーザパワーが80mW以下、記録ビット長0.8μm、記
録ビット形状はシャープで尾引きが小さく、さらに再生
C/Nが50dB以上の高速、高密度可能でしかも磁界変調方
式に適合するものであった。これに対し熱吸収層のない
比較例の光磁気記録媒体は記録レーザパワーは7mW以下
であるが、記録ビット長は1.1μm、その形状も乱れが
あり尾引きは大で、さらに再生C/Nが40dBと劣ってい
た。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように、本発明によれば、断熱層
上に熱吸収層を設けたので、断熱層での熱拡散が防止さ
れ、記録ビット長が短く、ビット形状がシャープで尾引
きの短いものとなり、高速、高密度記録が可能で、しか
も磁界変調欲式に適合した光磁気記録媒体が提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る光磁気記録媒体の構成を示す断面
図、第2図は光変調方式の欠点を示す説明図、第3図は
磁界変調方式に用いる浮上型磁気ヘッドと光磁気記録媒
体との位置関係を示す図、第4図は磁界変調方式による
記録ビットの説明図、第5図は誘電層の膜厚と吸収率A
及び反射率Rとの関係を示すグラフ、第6図は第5図の
データの測定に使用した光磁気記録媒体の構成を示す断
面図、第7図は誘電層の膜厚とカー回転角θ及び反射
率Rとの関係を示すグラフ、第8図は誘電層の屈折率と
吸収率A及び反射率Rとの関係を示すグラフ、第9図は
希土類金属リッチの一例の磁性合金膜におけるカー回転
角θ及び保磁力Hcの温度依存性を示すグラフ、第10図
は遷移金属リッチの一例の磁性合金膜におけるカー回転
角θ及び保磁力Hcの温度依存性を示すグラフ、第11図
は遷移金属リッチの磁性合金膜の記録ビット形状を示す
図、第12図は希土類金属リッチと遷移金属リッチの磁性
合金膜の飽和磁化の温度依存性を示す図、第13図は希土
類金属リッチと遷移金属リッチの磁性合金膜における記
録ビット周囲の磁化分布及びビット内部の浮遊磁界分布
を示すグラフ、第14図は記録時のモデルを示す図、第15
図は磁性合金膜の膜厚と記録開始最小レーザパワーとの
関係を示すグラフ、第16図は磁性合金膜の膜厚と吸収率
A及び反射率Rとの関係を示す図、第17図は熱吸収層を
設けた光磁気記録媒体と熱吸収層の無い光磁気記録媒体
の記録ビット形状を比較して示す図である。 1……基板 2……誘電層 3……光磁気記録層 4……断熱層 5……熱吸収層 6……有機保護層又は接合層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に誘電層を介して光磁気記録層を設
    け、さらにその上に断熱層を設けてなる光磁気記録媒体
    において、前記断熱層の膜厚を400〜1000Åとし、その
    上に膜厚が200〜600Åで、熱伝導率が0.2cal/cm・s・
    ℃以上の熱吸収層を設け、さらに、前記誘電層の屈折率
    を2.1以上としたことを特徴とする光磁気記録媒体。
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