JP2000207702A - 垂直磁気記録装置、記録方法、及び垂直磁気記録媒体 - Google Patents
垂直磁気記録装置、記録方法、及び垂直磁気記録媒体Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い信号分解性能、記録光マージン、及び、
安定な記録磁区の形成が可能な熱磁気記録による垂直磁
気記録方法を提供する。 【解決手段】 垂直磁気記録膜の広い範囲に記録光11
を照射し、記録磁気ヘッド14の形状によって、垂直磁
気記録膜に形成される記録磁区13の形状を決定する。
加熱領域12の形状によらず、直線状で安定な磁区形状
が得られるので、再生時の信号分解性能が向上すると共
に、記録光のマージンが向上する。
安定な記録磁区の形成が可能な熱磁気記録による垂直磁
気記録方法を提供する。 【解決手段】 垂直磁気記録膜の広い範囲に記録光11
を照射し、記録磁気ヘッド14の形状によって、垂直磁
気記録膜に形成される記録磁区13の形状を決定する。
加熱領域12の形状によらず、直線状で安定な磁区形状
が得られるので、再生時の信号分解性能が向上すると共
に、記録光のマージンが向上する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報記録に用いる
垂直磁気記録装置及び記録方法、並びに垂直磁気記録媒
体に関する。
垂直磁気記録装置及び記録方法、並びに垂直磁気記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体では、近年目覚ましい記録
密度の増加が得られている。従来の「長手磁気記録」媒
体では、記録密度が高まるにつれて「熱緩和現象」の問
題がおこることが指摘されている。これは互いに向き合
った記録磁区どうしの反発により、磁化の熱運動をきっ
かけとして磁気記録が消失する現象であり、高密度記録
では避けて通れない現象である。
密度の増加が得られている。従来の「長手磁気記録」媒
体では、記録密度が高まるにつれて「熱緩和現象」の問
題がおこることが指摘されている。これは互いに向き合
った記録磁区どうしの反発により、磁化の熱運動をきっ
かけとして磁気記録が消失する現象であり、高密度記録
では避けて通れない現象である。
【0003】長手方向磁気記録とは異なり、磁化が基板
面に垂直に向く「垂直磁気記録」媒体では、隣り合った
磁区が互いに安定化させるように働くので、より高密度
記録に適している。従来から、CoCr等の磁気材料を
用い、結晶の配向性を制御することで、垂直磁気異方性
を有する磁性膜が作製されている。
面に垂直に向く「垂直磁気記録」媒体では、隣り合った
磁区が互いに安定化させるように働くので、より高密度
記録に適している。従来から、CoCr等の磁気材料を
用い、結晶の配向性を制御することで、垂直磁気異方性
を有する磁性膜が作製されている。
【0004】垂直磁気記録膜では、外部磁界によって既
に記録した磁区の形状が不安定になるという問題が知ら
れている。これは、一つには記録に用いる微小面積の磁
気ヘッドに外部磁界の磁束が集中するため、ヘッドと媒
体との間で強い磁界となってしまうことに起因してい
る。また、記録膜のもつ磁化が大きく、膜中に磁壁移動
の核となる反転磁区があることもこの現象の一因であ
る。
に記録した磁区の形状が不安定になるという問題が知ら
れている。これは、一つには記録に用いる微小面積の磁
気ヘッドに外部磁界の磁束が集中するため、ヘッドと媒
体との間で強い磁界となってしまうことに起因してい
る。また、記録膜のもつ磁化が大きく、膜中に磁壁移動
の核となる反転磁区があることもこの現象の一因であ
る。
【0005】上記問題を解決するために、従来の光磁気
ディスクで用いられているような熱磁気記録を用いた記
録方法が提案されている。熱磁気記録方法では、室温で
大きな保磁力を持った磁性膜に対し局所的にレーザー光
で加熱し、温度が上がり保磁力の低下した部分にのみ記
録を行う。この方法では、記録磁界が弱くて済み、かつ
記録磁区形状が加熱領域によって決定されるので、磁束
が微小面積に集中するような磁気ヘッドを必要とせず、
外部磁界による外乱を受けにくい。またこの方法で用い
られる媒体は、室温での保磁力が大きいので、磁界中で
も記録磁区が安定して存在し、再生信号の低下を生じな
い利点がある。再生は、従来の磁気記録媒体と同様に、
MRヘッド、GMRヘッド等により媒体の発生する磁束
を検出することで行うことができる。
ディスクで用いられているような熱磁気記録を用いた記
録方法が提案されている。熱磁気記録方法では、室温で
大きな保磁力を持った磁性膜に対し局所的にレーザー光
で加熱し、温度が上がり保磁力の低下した部分にのみ記
録を行う。この方法では、記録磁界が弱くて済み、かつ
記録磁区形状が加熱領域によって決定されるので、磁束
が微小面積に集中するような磁気ヘッドを必要とせず、
外部磁界による外乱を受けにくい。またこの方法で用い
られる媒体は、室温での保磁力が大きいので、磁界中で
も記録磁区が安定して存在し、再生信号の低下を生じな
い利点がある。再生は、従来の磁気記録媒体と同様に、
MRヘッド、GMRヘッド等により媒体の発生する磁束
を検出することで行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の垂直磁気記録で
は、磁気ディスクの記録磁区の形状は四角、すなわち磁
区間の磁壁形状は直線であった。しかし、上記熱磁気記
録方法を採用すると、記録磁区の形状が三日月型に、つ
まり、磁区間の磁壁形状が円弧状になるという問題があ
る。これは、熱磁気記録では、記録磁区形状が加熱され
た後の冷却時の温度分布に沿って決定されることによっ
て生ずる。磁区長が短くなったときに、このように記録
磁区が曲線であると、磁壁位置があいまいになり、再生
分解能を著しく低下させてしまう。
は、磁気ディスクの記録磁区の形状は四角、すなわち磁
区間の磁壁形状は直線であった。しかし、上記熱磁気記
録方法を採用すると、記録磁区の形状が三日月型に、つ
まり、磁区間の磁壁形状が円弧状になるという問題があ
る。これは、熱磁気記録では、記録磁区形状が加熱され
た後の冷却時の温度分布に沿って決定されることによっ
て生ずる。磁区長が短くなったときに、このように記録
磁区が曲線であると、磁壁位置があいまいになり、再生
分解能を著しく低下させてしまう。
【0007】また、熱磁気記録では、記録光強度の増加
に伴って記録磁区形状が広がるため、適当な記録磁区幅
にするためには、記録光強度の厳密な制御が必要であ
る。しかし、記録光強度は、媒体のキュリー温度、熱伝
導率の変化あるいは環境温度の変化に合わせて調整する
必要があるので、厳密な制御を行うことは実際には困難
であった。
に伴って記録磁区形状が広がるため、適当な記録磁区幅
にするためには、記録光強度の厳密な制御が必要であ
る。しかし、記録光強度は、媒体のキュリー温度、熱伝
導率の変化あるいは環境温度の変化に合わせて調整する
必要があるので、厳密な制御を行うことは実際には困難
であった。
【0008】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、
記録磁区の形状が冷却時の媒体の温度分布によって決定
されないため再生分解性能が高い垂直磁気記録装置及び
記録方法、並びに、垂直磁気記録媒体を提供することを
目的とする。
記録磁区の形状が冷却時の媒体の温度分布によって決定
されないため再生分解性能が高い垂直磁気記録装置及び
記録方法、並びに、垂直磁気記録媒体を提供することを
目的とする。
【0009】本発明は、更に、垂直磁気記録装置及び記
録方法における記録光のパワーマージンを向上すること
をも目的とする。
録方法における記録光のパワーマージンを向上すること
をも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の垂直磁気記録装置は、スライダーに搭載し
た記録ヘッドから、情報に応じた磁界方向を持つ記録磁
界を加えることによって垂直磁化膜に磁気記録を行う垂
直磁気記録装置において、記録位置近傍を加熱するため
の光を照射する光照射手段を有し、少なくとも記録トラ
ック方向に隣接する記録磁区境界の形状を前記記録ヘッ
ドの形状により決定することを特徴とする。
に、本発明の垂直磁気記録装置は、スライダーに搭載し
た記録ヘッドから、情報に応じた磁界方向を持つ記録磁
界を加えることによって垂直磁化膜に磁気記録を行う垂
直磁気記録装置において、記録位置近傍を加熱するため
の光を照射する光照射手段を有し、少なくとも記録トラ
ック方向に隣接する記録磁区境界の形状を前記記録ヘッ
ドの形状により決定することを特徴とする。
【0011】また、本発明の記録方法は、上記垂直磁気
記録装置を用いる記録方法であって、垂直磁化膜の室温
における保磁力より小さな記録磁界強度を印加し、前記
光照射手段を用いて前記垂直磁化膜を加熱し、前記記録
磁界強度により記録可能となるまで前記垂直磁化膜の保
磁力を低下させることを特徴とする。
記録装置を用いる記録方法であって、垂直磁化膜の室温
における保磁力より小さな記録磁界強度を印加し、前記
光照射手段を用いて前記垂直磁化膜を加熱し、前記記録
磁界強度により記録可能となるまで前記垂直磁化膜の保
磁力を低下させることを特徴とする。
【0012】また、本発明の垂直磁化記録媒体は、上記
垂直磁気記録装置を用いて記録を行う垂直磁気記録媒体
であって、前記垂直磁化膜が、少なくとも室温で互いに
交換結合した、キュリー温度Tc1を持つ第1記録層、
及び、キュリー温度Tc1より高いキュリー温度Tc2
を持つ第2記録層を含み、温度Tc1における第2記録
層の保磁力は室温における第1記録層の保磁力よりも小
さいことを特徴とする。
垂直磁気記録装置を用いて記録を行う垂直磁気記録媒体
であって、前記垂直磁化膜が、少なくとも室温で互いに
交換結合した、キュリー温度Tc1を持つ第1記録層、
及び、キュリー温度Tc1より高いキュリー温度Tc2
を持つ第2記録層を含み、温度Tc1における第2記録
層の保磁力は室温における第1記録層の保磁力よりも小
さいことを特徴とする。
【0013】本発明の垂直磁化記録装置及び記録方法並
びに垂直磁気記録媒体によれば、記録ヘッドによって直
線状の磁区形状が得られるので、安定な磁区形状が得ら
れると共に、再生時の信号分解性能が向上し、且つ、記
録光の強度のマージンが向上する。
びに垂直磁気記録媒体によれば、記録ヘッドによって直
線状の磁区形状が得られるので、安定な磁区形状が得ら
れると共に、再生時の信号分解性能が向上し、且つ、記
録光の強度のマージンが向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施形態例に
基づいて更に詳細に説明する。本発明の熱磁気記録の状
況を図1に示し、また、比較のために従来の熱磁気記録
の状況を図2に示した。従来の熱磁気記録方法では、従
来の光ディスクの記録と同様に、媒体上に記録光11を
照射することで、垂直磁気記録膜の一部をそのキュリー
温度以上に加熱して加熱領域12とする。同時に、情報
に応じて変調された記録磁界を、記録領域を含む広い範
囲に加えることによって、加熱された部分に情報に応じ
た磁化方向を記録する。このとき、記録磁区13の形状
は垂直磁化膜の温度分布によって決定される。媒体上で
の熱拡散の影響があるので、この場合の温度分布は一般
に記録トラックに沿った方向に長軸を有する楕円型とな
る。この傾向は、媒体の回転速度が速くなるに従って著
しい。従って、隣接トラックに影響を与えない磁区幅で
記録を行った場合には、記録トラック上で磁区13の形
状は三日月型となり、磁区境界の磁壁は円弧状となって
しまう。この場合、読出しにあたって検出ヘッドが感ず
る単一の磁壁は、円弧の先端部から終端部までの距離
(以下遷移幅と呼ぶ)にまたがるので、磁壁が直線状の
場合に比して検出ヘッドの分解能が著しく低下する。ま
た、記録磁区13の幅は記録光強度によって変化するの
で、隣接トラックに影響を与えず、かつ充分に広い磁区
幅がとれるような記録光強度となるように制御する必要
がある。
基づいて更に詳細に説明する。本発明の熱磁気記録の状
況を図1に示し、また、比較のために従来の熱磁気記録
の状況を図2に示した。従来の熱磁気記録方法では、従
来の光ディスクの記録と同様に、媒体上に記録光11を
照射することで、垂直磁気記録膜の一部をそのキュリー
温度以上に加熱して加熱領域12とする。同時に、情報
に応じて変調された記録磁界を、記録領域を含む広い範
囲に加えることによって、加熱された部分に情報に応じ
た磁化方向を記録する。このとき、記録磁区13の形状
は垂直磁化膜の温度分布によって決定される。媒体上で
の熱拡散の影響があるので、この場合の温度分布は一般
に記録トラックに沿った方向に長軸を有する楕円型とな
る。この傾向は、媒体の回転速度が速くなるに従って著
しい。従って、隣接トラックに影響を与えない磁区幅で
記録を行った場合には、記録トラック上で磁区13の形
状は三日月型となり、磁区境界の磁壁は円弧状となって
しまう。この場合、読出しにあたって検出ヘッドが感ず
る単一の磁壁は、円弧の先端部から終端部までの距離
(以下遷移幅と呼ぶ)にまたがるので、磁壁が直線状の
場合に比して検出ヘッドの分解能が著しく低下する。ま
た、記録磁区13の幅は記録光強度によって変化するの
で、隣接トラックに影響を与えず、かつ充分に広い磁区
幅がとれるような記録光強度となるように制御する必要
がある。
【0015】本発明では、図1に示すように、磁気記録
ヘッド14により記録磁区13の境界形状を決定すると
共に、記録領域の近傍を加熱する手段を有している。本
発明では、従来の記録が磁界を広い範囲に加え、記録光
11の大きさ及び強度で記録磁区を決定していたとは異
なり、記録光11を広い範囲に加えて大きな加熱領域1
2を形成し、磁気記録ヘッド14により記録磁界を加え
る範囲によって記録磁区13を決定するものである。こ
のため、記録された磁壁形状は温度分布によらず、通常
の磁気ディスクと同様に直線状になり、温度分布により
磁区を決定する場合のような遷移幅を生じない。これに
よって、再生分解能が著しく向上する。ここで、図1に
示すように、記録磁区13の幅も磁気ヘッド14の幅で
決定されるようにすれば、記録光強度の厳密な制御が不
要となる。
ヘッド14により記録磁区13の境界形状を決定すると
共に、記録領域の近傍を加熱する手段を有している。本
発明では、従来の記録が磁界を広い範囲に加え、記録光
11の大きさ及び強度で記録磁区を決定していたとは異
なり、記録光11を広い範囲に加えて大きな加熱領域1
2を形成し、磁気記録ヘッド14により記録磁界を加え
る範囲によって記録磁区13を決定するものである。こ
のため、記録された磁壁形状は温度分布によらず、通常
の磁気ディスクと同様に直線状になり、温度分布により
磁区を決定する場合のような遷移幅を生じない。これに
よって、再生分解能が著しく向上する。ここで、図1に
示すように、記録磁区13の幅も磁気ヘッド14の幅で
決定されるようにすれば、記録光強度の厳密な制御が不
要となる。
【0016】本発明において、記録される加熱領域12
の幅を記録ヘッド14の幅以下に絞り込めば、記録磁区
13の幅を記録光11により調整することも可能であ
る。この様子を図3に示した。この場合には、記録ヘッ
ド14の幅を微細加工により小さくする必要が無いとい
う利点がある。このとき、トラック方向に隣接する他の
記録磁区との境界の磁壁形状はほぼ直線を保っているの
で、分解能の低下はない。
の幅を記録ヘッド14の幅以下に絞り込めば、記録磁区
13の幅を記録光11により調整することも可能であ
る。この様子を図3に示した。この場合には、記録ヘッ
ド14の幅を微細加工により小さくする必要が無いとい
う利点がある。このとき、トラック方向に隣接する他の
記録磁区との境界の磁壁形状はほぼ直線を保っているの
で、分解能の低下はない。
【0017】本発明においては、レーザー、ダイオード
等の光で記録部分を加熱することでHcを低下させる熱
磁気記録という手法を採用する。微小部分を加熱できる
という観点からはレーザーを用いるのが特に好ましい。
レーザーの波長としては、680nm又は650nmと
いった通常の光ディスクに現在用いられているものが挙
げられる。短いレーザー波長を採用すると、ビームの集
光スポットが小さくなるので、記録位置以外の磁区をな
るべく加熱しないという意味では有利である。
等の光で記録部分を加熱することでHcを低下させる熱
磁気記録という手法を採用する。微小部分を加熱できる
という観点からはレーザーを用いるのが特に好ましい。
レーザーの波長としては、680nm又は650nmと
いった通常の光ディスクに現在用いられているものが挙
げられる。短いレーザー波長を採用すると、ビームの集
光スポットが小さくなるので、記録位置以外の磁区をな
るべく加熱しないという意味では有利である。
【0018】記録磁界は、高速で変調する必要があり、
一般には媒体上を浮上して又は接触しながら動くスライ
ダーに搭載した磁気ヘッドにより発生する。記録光は、
スライダーに対物レンズを搭載して媒体上に照射しても
良く、或いは、対物レンズをスライダーとは独立に設
け、その透過光をスライダーに開けた穴を通して照射し
ても良い。基板が透明な場合には、基板側より照射する
ことも可能である。ただし記録光をスライダー側から照
射する方が、基板の両面側に記録して記録容量を高める
観点からは好ましい。
一般には媒体上を浮上して又は接触しながら動くスライ
ダーに搭載した磁気ヘッドにより発生する。記録光は、
スライダーに対物レンズを搭載して媒体上に照射しても
良く、或いは、対物レンズをスライダーとは独立に設
け、その透過光をスライダーに開けた穴を通して照射し
ても良い。基板が透明な場合には、基板側より照射する
ことも可能である。ただし記録光をスライダー側から照
射する方が、基板の両面側に記録して記録容量を高める
観点からは好ましい。
【0019】スライダー側から光を照射する場合には、
記録用磁気ヘッドがあるため、記録光は磁気ヘッドの直
上から照射するのが困難となる。考えられる一つの方法
としては、スライダー上の磁気ヘッドと離れた位置から
記録位置に向けて斜めに照射する方法である。この場合
には、光は媒体面上に完全には集光されないが、加熱領
域を極端に制限する必要がないので問題は無い。特に、
光を出射する位置を磁気ヘッドに対し記録トラック方向
に配置していれば、光スポットの拡がりはトラック方向
になり、近接するトラックへの影響が小さくてすむ。今
一つの方法は、磁気ヘッドを囲む円環状の開口より光を
照射する方法である。記録光を直上から集光させ、記録
磁気ヘッドを集光点近傍に配置する方法もある。この場
合は、反射光を利用してサーボ信号を得ることが可能に
なる。
記録用磁気ヘッドがあるため、記録光は磁気ヘッドの直
上から照射するのが困難となる。考えられる一つの方法
としては、スライダー上の磁気ヘッドと離れた位置から
記録位置に向けて斜めに照射する方法である。この場合
には、光は媒体面上に完全には集光されないが、加熱領
域を極端に制限する必要がないので問題は無い。特に、
光を出射する位置を磁気ヘッドに対し記録トラック方向
に配置していれば、光スポットの拡がりはトラック方向
になり、近接するトラックへの影響が小さくてすむ。今
一つの方法は、磁気ヘッドを囲む円環状の開口より光を
照射する方法である。記録光を直上から集光させ、記録
磁気ヘッドを集光点近傍に配置する方法もある。この場
合は、反射光を利用してサーボ信号を得ることが可能に
なる。
【0020】上記いずれの方法を採用しても、記録光は
微小領域に集光する必要はなく、記録トラックに対して
完全に位置合わせをする必要もない。最終的には、記録
磁界が加わる領域のみが記録されるので、記録を行うト
ラックに隣接するトラックにまたがって照射してもよ
い。ただし、磁気ヘッドで記録後に記録が不安定になる
ような高い温度範囲まで昇温しないような配置にする必
要がある。
微小領域に集光する必要はなく、記録トラックに対して
完全に位置合わせをする必要もない。最終的には、記録
磁界が加わる領域のみが記録されるので、記録を行うト
ラックに隣接するトラックにまたがって照射してもよ
い。ただし、磁気ヘッドで記録後に記録が不安定になる
ような高い温度範囲まで昇温しないような配置にする必
要がある。
【0021】磁気ヘッド14は、単磁極ヘッド又はリン
グヘッドが使用可能であるが、磁界を狭い面積に集中で
きる単磁極ヘッドが好ましく用いられる。従来は、単磁
極ヘッドではヘッドが外部磁界の磁束を集中して記録磁
区を不安定にするという問題があった。しかし、本発明
では、室温における垂直磁化膜の保磁力を記録磁界に比
して大きくとれるので、このような不安定性は生じな
い。
グヘッドが使用可能であるが、磁界を狭い面積に集中で
きる単磁極ヘッドが好ましく用いられる。従来は、単磁
極ヘッドではヘッドが外部磁界の磁束を集中して記録磁
区を不安定にするという問題があった。しかし、本発明
では、室温における垂直磁化膜の保磁力を記録磁界に比
して大きくとれるので、このような不安定性は生じな
い。
【0022】従来の光ディスクにおいては、記録光と再
生光に強度を変えた同じ光源からの光を用いるため、記
録光に歪みが入っていると、再生光にも当然に歪みがあ
り、再生特性が劣化するという問題があった。本発明で
は、光を記録にのみ用いるため、歪んだ光であっても再
生特性に影響はない。
生光に強度を変えた同じ光源からの光を用いるため、記
録光に歪みが入っていると、再生光にも当然に歪みがあ
り、再生特性が劣化するという問題があった。本発明で
は、光を記録にのみ用いるため、歪んだ光であっても再
生特性に影響はない。
【0023】記録光11は、連続光でも良いが、記録ク
ロックに合わせてパルス状に照射することが好ましく、
この場合、強い記録磁界のみを用いることができ、ま
た、記録光パワーマージンが向上する利点がある。記録
光のパルス幅は、記録クロックのパルス幅の50%以下
であることが好ましい。また、パルス照射と媒体の温度
上昇とに時間差があるため、記録磁界のクロックとパル
ス照射のタイミングとを最適なものとなるように調整す
ることが好ましい。
ロックに合わせてパルス状に照射することが好ましく、
この場合、強い記録磁界のみを用いることができ、ま
た、記録光パワーマージンが向上する利点がある。記録
光のパルス幅は、記録クロックのパルス幅の50%以下
であることが好ましい。また、パルス照射と媒体の温度
上昇とに時間差があるため、記録磁界のクロックとパル
ス照射のタイミングとを最適なものとなるように調整す
ることが好ましい。
【0024】基板上にトラックに沿った溝が設けられる
ことは、隣接トラックへの熱干渉をなるべく防止する上
で好ましい。溝は深い方が熱干渉防止の効果は大きく、
また、記録トラックの信号をなるべく大きくとるために
は幅が狭い方が良い。ただし、浮上型スライダーの空気
流を乱さない様にすることが必要である。このような溝
を形成する方法としては、射出成形法、紫外線硬化樹脂
を塗布した基板を型に押しつけたまま硬化させるフォト
ポリマー法、イオンエッチング法等がある。
ことは、隣接トラックへの熱干渉をなるべく防止する上
で好ましい。溝は深い方が熱干渉防止の効果は大きく、
また、記録トラックの信号をなるべく大きくとるために
は幅が狭い方が良い。ただし、浮上型スライダーの空気
流を乱さない様にすることが必要である。このような溝
を形成する方法としては、射出成形法、紫外線硬化樹脂
を塗布した基板を型に押しつけたまま硬化させるフォト
ポリマー法、イオンエッチング法等がある。
【0025】媒体上に、ヘッドをトラックに追随させる
ためのサーボ情報が記録されていることも好ましい形態
である。サーボ情報は、磁性層に磁区として記録されて
いてもよいし、基板上に凹凸状に設けられていても良
い。特に記録光が追随するための反射率変動を起こすよ
うなサーボ情報が設けらていても良い。このようなサー
ボ情報は、ピット状でもよいし連続した溝状であっても
良い。基板を樹脂により形成する場合には、射出成形等
により基板の形成と同時にサーボ情報を設けることが可
能である。
ためのサーボ情報が記録されていることも好ましい形態
である。サーボ情報は、磁性層に磁区として記録されて
いてもよいし、基板上に凹凸状に設けられていても良
い。特に記録光が追随するための反射率変動を起こすよ
うなサーボ情報が設けらていても良い。このようなサー
ボ情報は、ピット状でもよいし連続した溝状であっても
良い。基板を樹脂により形成する場合には、射出成形等
により基板の形成と同時にサーボ情報を設けることが可
能である。
【0026】本発明で用いられる垂直磁化膜は、加熱す
ることにより室温時よりも保磁力が低下する。しかし、
単一の垂直磁化膜を用いた場合には、以下のような問題
が発生する。まず、温度に対して保磁力が急激に変化す
るので、記録ヘッド付近の磁束分布のため記録光のパワ
ーが変動すると、記録磁区幅が若干変化するという問題
である。また、垂直磁化膜としては、保磁力及び垂直磁
気異方性が高く、且つ、磁区の安定な膜が好ましいので
あるが、磁気異方性が高い膜を用いると、保磁力が低下
し、磁気ヘッドにより記録可能となるまで低下する温度
が、膜材料のキュリー温度近傍になってしまう問題であ
る。垂直磁化膜がキュリー温度にまで達してしまうと、
その領域の記録磁区が全て消磁されてしまうので、最高
到達温度をキュリー温度以下にすることが好ましい。こ
のため、記録可能温度とキュリー温度との間のパワーマ
ージンが著しく小さくなり、記録光制御が難しくなる。
ることにより室温時よりも保磁力が低下する。しかし、
単一の垂直磁化膜を用いた場合には、以下のような問題
が発生する。まず、温度に対して保磁力が急激に変化す
るので、記録ヘッド付近の磁束分布のため記録光のパワ
ーが変動すると、記録磁区幅が若干変化するという問題
である。また、垂直磁化膜としては、保磁力及び垂直磁
気異方性が高く、且つ、磁区の安定な膜が好ましいので
あるが、磁気異方性が高い膜を用いると、保磁力が低下
し、磁気ヘッドにより記録可能となるまで低下する温度
が、膜材料のキュリー温度近傍になってしまう問題であ
る。垂直磁化膜がキュリー温度にまで達してしまうと、
その領域の記録磁区が全て消磁されてしまうので、最高
到達温度をキュリー温度以下にすることが好ましい。こ
のため、記録可能温度とキュリー温度との間のパワーマ
ージンが著しく小さくなり、記録光制御が難しくなる。
【0027】上記のような問題を解決するため、異なる
キュリー温度を有し、室温で互いに交換結合した2層以
上の磁性膜からなる垂直磁化膜を用いることが好まし
い。このような例を図4に示した。同図の例では、垂直
磁化膜が、基板20上に順次に形成された、キュリー温
度Tc1を持つ第1記録層21と、そのキュリー温度T
c1よりも高いキュリー温度Tc2を持つ第2記録層2
2とを有し、温度Tc1における第2記録層22の保磁
力は、室温における第1記録層21の保磁力よりも小さ
い。なお、第1記録層21と第2記録層22の形成の順
序は逆にしてもよい。この膜構成による合成保磁力を図
5に示した。第1及び第2記録層の合成保磁力は、その
ときの温度での保持力の大きい膜の保磁力によってほぼ
決定される。第1記録層21と第2記録層22のキュリ
ー温度Tc1、Tc2の差を充分に確保すると、パワー
変動が生じても周囲の磁区が消磁される恐れがない。ま
た、Tc1近傍での温度に対する第2記録層22の保磁
力の変動を小さいものとすれば、パワー変動があっても
記録磁区幅が安定となる。ここで、第2記録層22はT
c1付近でも記録磁区を保持可能な程度の保磁力を持っ
ている必要がある。
キュリー温度を有し、室温で互いに交換結合した2層以
上の磁性膜からなる垂直磁化膜を用いることが好まし
い。このような例を図4に示した。同図の例では、垂直
磁化膜が、基板20上に順次に形成された、キュリー温
度Tc1を持つ第1記録層21と、そのキュリー温度T
c1よりも高いキュリー温度Tc2を持つ第2記録層2
2とを有し、温度Tc1における第2記録層22の保磁
力は、室温における第1記録層21の保磁力よりも小さ
い。なお、第1記録層21と第2記録層22の形成の順
序は逆にしてもよい。この膜構成による合成保磁力を図
5に示した。第1及び第2記録層の合成保磁力は、その
ときの温度での保持力の大きい膜の保磁力によってほぼ
決定される。第1記録層21と第2記録層22のキュリ
ー温度Tc1、Tc2の差を充分に確保すると、パワー
変動が生じても周囲の磁区が消磁される恐れがない。ま
た、Tc1近傍での温度に対する第2記録層22の保磁
力の変動を小さいものとすれば、パワー変動があっても
記録磁区幅が安定となる。ここで、第2記録層22はT
c1付近でも記録磁区を保持可能な程度の保磁力を持っ
ている必要がある。
【0028】上記層構成を採用した垂直磁化膜における
保磁力の様子を図6に示した。室温においては、同図
(a)に示すように、保磁力の大きい第1記録層21の
ために、第1記録層21と交換結合した第2記録層22
の保磁力も大きくなる。従って磁区は、両層とも安定に
存在する。記録時には、同図(b)に示すように、第1
記録層21のキュリー温度Tc1を越えるまで、或い
は、キュリー温度Tc1の近傍まで加熱を行う。このと
き、保磁力は第2記録層22単独の保磁力となるので、
小さい保磁力が得られる。温度が低下してTc1以下に
なったとき、同図(c)に示すように、第1記録層21
の磁化が現れ、交換結合力により第2記録層22の磁化
方向が第1記録層21に転写される。すなわち、Tc1
以上に加熱された領域で、かつ磁気ヘッドによる記録磁
界が加わった領域のみに、記録ヘッドによるデータが記
録される。
保磁力の様子を図6に示した。室温においては、同図
(a)に示すように、保磁力の大きい第1記録層21の
ために、第1記録層21と交換結合した第2記録層22
の保磁力も大きくなる。従って磁区は、両層とも安定に
存在する。記録時には、同図(b)に示すように、第1
記録層21のキュリー温度Tc1を越えるまで、或い
は、キュリー温度Tc1の近傍まで加熱を行う。このと
き、保磁力は第2記録層22単独の保磁力となるので、
小さい保磁力が得られる。温度が低下してTc1以下に
なったとき、同図(c)に示すように、第1記録層21
の磁化が現れ、交換結合力により第2記録層22の磁化
方向が第1記録層21に転写される。すなわち、Tc1
以上に加熱された領域で、かつ磁気ヘッドによる記録磁
界が加わった領域のみに、記録ヘッドによるデータが記
録される。
【0029】希土類遷移金属膜では、高い磁化を持った
膜は一般に高いキュリー温度を有する。従って、単一の
垂直磁化膜で再生に充分な磁束を発生させる磁性膜で
は、キュリー温度が高く且つ大きな記録光強度が必要と
なる。しかし、上記の多層構成を採用すると、Tc1を
変えることにより、必要な記録光強度を任意に変化させ
ることが可能である。さらに、高いキュリー温度を有す
る第2記録層によって大きな磁束を発生させることがで
きる。この場合、第1記録層の磁化を小さくしておけ
ば、交換結合力により高い垂直磁気異方性が得られる。
膜は一般に高いキュリー温度を有する。従って、単一の
垂直磁化膜で再生に充分な磁束を発生させる磁性膜で
は、キュリー温度が高く且つ大きな記録光強度が必要と
なる。しかし、上記の多層構成を採用すると、Tc1を
変えることにより、必要な記録光強度を任意に変化させ
ることが可能である。さらに、高いキュリー温度を有す
る第2記録層によって大きな磁束を発生させることがで
きる。この場合、第1記録層の磁化を小さくしておけ
ば、交換結合力により高い垂直磁気異方性が得られる。
【0030】従来方式では、加熱領域の温度分布により
磁区形状が決定されるため、Tc1以上に達する温度領
域の全てで記録が成されるので、上記多層構成を採用し
ても記録パワーマージンの増加は無い。つまり、記録パ
ワーマージンの増加は、磁気ヘッドにより磁区形状が決
定される本発明の記録方式と組み合わせて初めて得られ
るものである。
磁区形状が決定されるため、Tc1以上に達する温度領
域の全てで記録が成されるので、上記多層構成を採用し
ても記録パワーマージンの増加は無い。つまり、記録パ
ワーマージンの増加は、磁気ヘッドにより磁区形状が決
定される本発明の記録方式と組み合わせて初めて得られ
るものである。
【0031】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明の記録媒体に用いられる基板20としては、ディス
ク状媒体として用いる場合には、通常のハードディスク
で用いられる円盤状のアルミ合金、ガラスあるいはアモ
ルファスカーボン等の基板が用いられる。さらに、ポリ
カーボネート、PMMA等の樹脂基板も使用することが
できる。この場合には、基板を射出成形で作製すること
により、表面に凹凸状のアドレス情報等を埋め込むこと
が可能である。基板の厚みとしては0.3mm〜2mm
程度が好ましく用いられる。別の形態として、フロッピ
ー(登録商標)ディスクのように、PET等による円盤
状のフィルムを用いることもできる。また、同様のフィ
ルムによりテープ状の媒体、あるいはカード状としても
用いることも可能である。
発明の記録媒体に用いられる基板20としては、ディス
ク状媒体として用いる場合には、通常のハードディスク
で用いられる円盤状のアルミ合金、ガラスあるいはアモ
ルファスカーボン等の基板が用いられる。さらに、ポリ
カーボネート、PMMA等の樹脂基板も使用することが
できる。この場合には、基板を射出成形で作製すること
により、表面に凹凸状のアドレス情報等を埋め込むこと
が可能である。基板の厚みとしては0.3mm〜2mm
程度が好ましく用いられる。別の形態として、フロッピ
ー(登録商標)ディスクのように、PET等による円盤
状のフィルムを用いることもできる。また、同様のフィ
ルムによりテープ状の媒体、あるいはカード状としても
用いることも可能である。
【0032】第1記録層21に用いられる膜は、垂直磁
気異方性が大きく、微小な磁区が安定して存在可能なも
のが必要である。このためには、保磁力Hcが5kOe
(エルステッド)以上であることが好ましい。さらに好
ましくは7kOe以上である。第1記録層21の膜厚
は、20nm〜200nmであることが好ましいが、さ
らに好ましくは30nm〜200nmであり、特に好ま
しくは30nm〜150nmである。第1記録層21が
薄すぎると、第2記録層22の反磁界に耐えられなくな
り、垂直磁気異方性が低下する。また厚過ぎると、全体
の磁化が増大することで垂直磁気異方性が低下する上
に、熱磁気記録の際には記録に要する光強度が増加して
しまう。また、第1記録層21のMsは250emu/
cc以下であることが好ましい。Msが大き過ぎると垂
直磁気異方性が低下する。Msは、さらに好ましくは2
00emu/cc以下であり、特に好ましくは150e
mu/cc以下である。キュリー温度Tc1が高いと、
記録レーザー光が過大となってしまうが、逆に低いと高
温での耐久性が悪くなる。適度なキュリー温度Tc1は 80℃≦Tc1≦300℃ であり、さらに好ましくは 100℃≦Tc1≦250℃ であり、特に好ましくは 120℃≦Tc1≦250℃ である。
気異方性が大きく、微小な磁区が安定して存在可能なも
のが必要である。このためには、保磁力Hcが5kOe
(エルステッド)以上であることが好ましい。さらに好
ましくは7kOe以上である。第1記録層21の膜厚
は、20nm〜200nmであることが好ましいが、さ
らに好ましくは30nm〜200nmであり、特に好ま
しくは30nm〜150nmである。第1記録層21が
薄すぎると、第2記録層22の反磁界に耐えられなくな
り、垂直磁気異方性が低下する。また厚過ぎると、全体
の磁化が増大することで垂直磁気異方性が低下する上
に、熱磁気記録の際には記録に要する光強度が増加して
しまう。また、第1記録層21のMsは250emu/
cc以下であることが好ましい。Msが大き過ぎると垂
直磁気異方性が低下する。Msは、さらに好ましくは2
00emu/cc以下であり、特に好ましくは150e
mu/cc以下である。キュリー温度Tc1が高いと、
記録レーザー光が過大となってしまうが、逆に低いと高
温での耐久性が悪くなる。適度なキュリー温度Tc1は 80℃≦Tc1≦300℃ であり、さらに好ましくは 100℃≦Tc1≦250℃ であり、特に好ましくは 120℃≦Tc1≦250℃ である。
【0033】用いられる膜としては、特に希土類と遷移
金属の合金が好ましい。希土類遷移金属はフェリ磁性体
であるため、補償組成近傍を用いることにより室温での
磁化を小さくすることができる上に、室温成膜で容易に
高い垂直磁気異方性及び大きな保磁力を得ることができ
る。例えば、TbFe、TbCo、TbFeCo、Dy
Fe、DyCo、DyFeCo、GdTbFe、GdD
yFe、GdTbFeCo、GdDyFeCo等が用い
られる。記録に磁界のみを用いる場合には、Hcは5k
Oe以下であることが好ましいが、熱磁気記録を行う場
合には保磁力の制限は無い。この場合には、特に垂直磁
気異方性の高いTbFeCoを用いるのが好ましい。第
1記録層に希土類遷移金属を用いる場合には、希土類金
属の組成は室温での補償組成から5%以内であることが
好ましい。例えば、TbFeCoでは、Tb23原子%
が補償組成であるため、Tb組成が18〜28原子%の
範囲にあることが好ましい。FeとCoの比率はFe
100-xCoxとしたとき 0≦X≦30 であることが好ましい。
金属の合金が好ましい。希土類遷移金属はフェリ磁性体
であるため、補償組成近傍を用いることにより室温での
磁化を小さくすることができる上に、室温成膜で容易に
高い垂直磁気異方性及び大きな保磁力を得ることができ
る。例えば、TbFe、TbCo、TbFeCo、Dy
Fe、DyCo、DyFeCo、GdTbFe、GdD
yFe、GdTbFeCo、GdDyFeCo等が用い
られる。記録に磁界のみを用いる場合には、Hcは5k
Oe以下であることが好ましいが、熱磁気記録を行う場
合には保磁力の制限は無い。この場合には、特に垂直磁
気異方性の高いTbFeCoを用いるのが好ましい。第
1記録層に希土類遷移金属を用いる場合には、希土類金
属の組成は室温での補償組成から5%以内であることが
好ましい。例えば、TbFeCoでは、Tb23原子%
が補償組成であるため、Tb組成が18〜28原子%の
範囲にあることが好ましい。FeとCoの比率はFe
100-xCoxとしたとき 0≦X≦30 であることが好ましい。
【0034】第2記録層22の膜厚は10nm〜100
nmであることが好ましいが、さらに好ましくは20n
m〜100nmであり、特に好ましくは20nm〜80
nmである。第2記録層22が薄すぎると、交換結合力
により第1記録層21に転写させることができなくなる
上に、漏洩磁束強度が低下し再生信号が弱くなる。ま
た、厚過ぎると、交換結合の影響が弱くなり垂直磁気異
方性が低下する。第2記録層22のMsは、室温におい
て100emu/cc〜400emu/ccであること
が好ましい。Msが小さ過ぎると再生信号強度が小さく
なり、逆に大き過ぎると垂直磁気異方性が低下する。M
sは、さらに好ましくは150emu/cc〜400e
mu/ccであり、特に好ましくは150emu/cc
〜350emu/ccである。
nmであることが好ましいが、さらに好ましくは20n
m〜100nmであり、特に好ましくは20nm〜80
nmである。第2記録層22が薄すぎると、交換結合力
により第1記録層21に転写させることができなくなる
上に、漏洩磁束強度が低下し再生信号が弱くなる。ま
た、厚過ぎると、交換結合の影響が弱くなり垂直磁気異
方性が低下する。第2記録層22のMsは、室温におい
て100emu/cc〜400emu/ccであること
が好ましい。Msが小さ過ぎると再生信号強度が小さく
なり、逆に大き過ぎると垂直磁気異方性が低下する。M
sは、さらに好ましくは150emu/cc〜400e
mu/ccであり、特に好ましくは150emu/cc
〜350emu/ccである。
【0035】先に述べたように、第2記録層22のキュ
リー温度Tc2は第1記録層21のキュリー温度Tc1
よりも高いことが好ましい。Tc2は300℃以上であ
ることが好ましい。パワーマージンをとるためには、T
c1とTc2の差が100℃以上であることが好まし
い。一般に、保磁力の温度変化は補償温度の近傍におい
て最も大きい。従って、Tc1において保磁力の温度変
化を小さくするためには、Tc1が第2記録層22の補
償温度から50℃以上離れていることが好ましい。また
記録を行うためには、Tc1において第2記録層22の
保磁力が5kOe以下であることが好ましい。さらに好
ましくは4kOe以下である。ただし、記録磁区を安定
に保持するためには、500Oe以上の保磁力があるこ
とが好ましい。さらに好ましくは1kOe以上である。
リー温度Tc2は第1記録層21のキュリー温度Tc1
よりも高いことが好ましい。Tc2は300℃以上であ
ることが好ましい。パワーマージンをとるためには、T
c1とTc2の差が100℃以上であることが好まし
い。一般に、保磁力の温度変化は補償温度の近傍におい
て最も大きい。従って、Tc1において保磁力の温度変
化を小さくするためには、Tc1が第2記録層22の補
償温度から50℃以上離れていることが好ましい。また
記録を行うためには、Tc1において第2記録層22の
保磁力が5kOe以下であることが好ましい。さらに好
ましくは4kOe以下である。ただし、記録磁区を安定
に保持するためには、500Oe以上の保磁力があるこ
とが好ましい。さらに好ましくは1kOe以上である。
【0036】第2記録層22に用いられる膜は磁化が大
きく再生出力が大きく取れるものが好ましいが、磁化が
大きすぎると、やはり垂直磁気異方性の低下が起きる。
また、第2記録層22は第1記録層21と強く交換結合
を行うものである必要がある。
きく再生出力が大きく取れるものが好ましいが、磁化が
大きすぎると、やはり垂直磁気異方性の低下が起きる。
また、第2記録層22は第1記録層21と強く交換結合
を行うものである必要がある。
【0037】第2記録層22に用いられる膜としては、
CoCr、MnBi、PtCo、PtやPdとCoの多
層膜、またはGdFe、GdCo、GdFeCo、Gd
DyFeCo、GdTbFeCo、TbFeCo、Tb
DyFeCo等の希土類遷移金属合金が用いられる。希
土類遷移金属の中でも軽希土類と呼ばれるNd、Prを
用いた、NdFeCo、NdFe、NdCo、PrFe
Co、PrFe、PrCo等を用いることもできる。あ
るいはこれらにGd、Tb、Dyを混入させることもで
きる。
CoCr、MnBi、PtCo、PtやPdとCoの多
層膜、またはGdFe、GdCo、GdFeCo、Gd
DyFeCo、GdTbFeCo、TbFeCo、Tb
DyFeCo等の希土類遷移金属合金が用いられる。希
土類遷移金属の中でも軽希土類と呼ばれるNd、Prを
用いた、NdFeCo、NdFe、NdCo、PrFe
Co、PrFe、PrCo等を用いることもできる。あ
るいはこれらにGd、Tb、Dyを混入させることもで
きる。
【0038】第1記録層21との交換結合の強さから
は、希土類遷移金属合金を用いることが好ましい。特に
希土類金属としてGdを含有した合金、例えばGdFe
Coは、保磁力が小さくなりかつキュリー温度が高いの
で好ましい。ただし、保磁力を上げるためには、Tbあ
るいはDyを希土類金属全体の3%以上含有するのが好
ましい。さらに好ましくは5%以上である。Tbあるい
はDyの含有量が多すぎると、保磁力が上がりすぎるの
で、50原子%以下であることが好ましい。さらに好ま
しくは40%以下である。第2記録層22にフェリ磁性
の希土類遷移金属合金を用いると、補償組成付近ではM
sが小さくなるので、希土類金属の組成は室温での補償
組成から3%以上離れていることが好ましい。例えば、
GdFeCoでは、Gd26原子%が補償組成であるた
め、Gd組成が29原子%以上、又は、23原子%以下
であることが好ましい。ただし、希土類組成が補償組成
より少ないと、熱磁気記録の記録温度において磁化が大
き過ぎて、記録に必要な磁界が著しく大きくなる可能性
がある。これに対して、希土類組成が補償組成より少な
い場合には、記録時に補償温度に近くなるので、磁化が
小さくなり記録磁界を低減できる。従って、第2記録層
22は室温において希土類金属優勢の組成をとることが
好ましい。希土類遷移金属合金は一般にFeとCoの比
率が1:1のときに最大のMsをとる。従って、充分な
Msを得るためには、FeとCoの比率はFe100-xC
oxとしたとき 20≦X≦80 であることが好ましい。さらに好ましくは 30≦X≦70 である。
は、希土類遷移金属合金を用いることが好ましい。特に
希土類金属としてGdを含有した合金、例えばGdFe
Coは、保磁力が小さくなりかつキュリー温度が高いの
で好ましい。ただし、保磁力を上げるためには、Tbあ
るいはDyを希土類金属全体の3%以上含有するのが好
ましい。さらに好ましくは5%以上である。Tbあるい
はDyの含有量が多すぎると、保磁力が上がりすぎるの
で、50原子%以下であることが好ましい。さらに好ま
しくは40%以下である。第2記録層22にフェリ磁性
の希土類遷移金属合金を用いると、補償組成付近ではM
sが小さくなるので、希土類金属の組成は室温での補償
組成から3%以上離れていることが好ましい。例えば、
GdFeCoでは、Gd26原子%が補償組成であるた
め、Gd組成が29原子%以上、又は、23原子%以下
であることが好ましい。ただし、希土類組成が補償組成
より少ないと、熱磁気記録の記録温度において磁化が大
き過ぎて、記録に必要な磁界が著しく大きくなる可能性
がある。これに対して、希土類組成が補償組成より少な
い場合には、記録時に補償温度に近くなるので、磁化が
小さくなり記録磁界を低減できる。従って、第2記録層
22は室温において希土類金属優勢の組成をとることが
好ましい。希土類遷移金属合金は一般にFeとCoの比
率が1:1のときに最大のMsをとる。従って、充分な
Msを得るためには、FeとCoの比率はFe100-xC
oxとしたとき 20≦X≦80 であることが好ましい。さらに好ましくは 30≦X≦70 である。
【0039】第1記録層21及び第2記録層22に希土
類遷移金属合金を用いると、室温でのスパッタリングに
よって高い垂直磁気異方性が容易に得られるため、樹脂
基板の使用が可能になるといった利点がある。また希土
類遷移金属合金はアモルファスであるので、従来の磁気
記録媒体にあった結晶粒界に伴う磁区境界の乱れが無
く、非常に低ノイズの媒体となりうる。希土類遷移金属
合金には、Ti、Cr、Si、Ta、Pt等の非磁性元
素を5原子%以下程度混入させることで耐酸化性の向上
や、保磁力の調整を行うことができる。
類遷移金属合金を用いると、室温でのスパッタリングに
よって高い垂直磁気異方性が容易に得られるため、樹脂
基板の使用が可能になるといった利点がある。また希土
類遷移金属合金はアモルファスであるので、従来の磁気
記録媒体にあった結晶粒界に伴う磁区境界の乱れが無
く、非常に低ノイズの媒体となりうる。希土類遷移金属
合金には、Ti、Cr、Si、Ta、Pt等の非磁性元
素を5原子%以下程度混入させることで耐酸化性の向上
や、保磁力の調整を行うことができる。
【0040】第2記録層22に希土類遷移金属合金を用
いる場合には、希土類金属は非常に酸化し易いため、表
面をSiN、AlN、水素化カーボン(C:H)等の誘
電体、ないしAl、Ti、Cr等の金属による保護層を
設けて保護することが好ましい。水素化カーボンは磁気
ヘッドの滑り改善の効果もあるので、酸化防止のための
SiN等の層の上にさらに水素化カーボンを設けるのも
好ましい構成である。記録に光照射による熱磁気記録を
用いるので、保護層は光反射率が低いものであること
が、記録光のエネルギー利用効率を高める上で好まし
い。特に、保護層を誘電体とし、膜厚を光干渉効果ある
いは光吸収により記録光の反射率が低下するように設定
することにより、反射率を著しく低下させることが可能
である。この場合には、膜厚は保護層の屈折率に従い適
当に設定されうる。信号強度の観点からは、保護層の膜
厚を厚くできないので、薄い膜厚でも反射率を低下でき
るよう保護膜の複素屈折率 n*=n−ik における減衰係数kは0.1以上であることが好まし
い。さらに好ましくは0.2以上である。通常の光記録
においては、kが大きいと再生時に信号が低下してしま
うが、本発明では再生に磁束を用いるのでそのような問
題は生じない。充分な保護効果を考慮すると、保護層の
膜厚は10nm以上であることが好ましい。しかし、保
護層の膜厚が厚過ぎると、記録層と磁気ヘッドとの距離
が離れて信号強度が低下するため、この膜厚は100n
m以下であることが好ましい。保護層の有無に関わらず
最表面には磁気ヘッドを滑らせるためのフッ素系樹脂等
による潤滑剤を塗布しておくことが好ましい。
いる場合には、希土類金属は非常に酸化し易いため、表
面をSiN、AlN、水素化カーボン(C:H)等の誘
電体、ないしAl、Ti、Cr等の金属による保護層を
設けて保護することが好ましい。水素化カーボンは磁気
ヘッドの滑り改善の効果もあるので、酸化防止のための
SiN等の層の上にさらに水素化カーボンを設けるのも
好ましい構成である。記録に光照射による熱磁気記録を
用いるので、保護層は光反射率が低いものであること
が、記録光のエネルギー利用効率を高める上で好まし
い。特に、保護層を誘電体とし、膜厚を光干渉効果ある
いは光吸収により記録光の反射率が低下するように設定
することにより、反射率を著しく低下させることが可能
である。この場合には、膜厚は保護層の屈折率に従い適
当に設定されうる。信号強度の観点からは、保護層の膜
厚を厚くできないので、薄い膜厚でも反射率を低下でき
るよう保護膜の複素屈折率 n*=n−ik における減衰係数kは0.1以上であることが好まし
い。さらに好ましくは0.2以上である。通常の光記録
においては、kが大きいと再生時に信号が低下してしま
うが、本発明では再生に磁束を用いるのでそのような問
題は生じない。充分な保護効果を考慮すると、保護層の
膜厚は10nm以上であることが好ましい。しかし、保
護層の膜厚が厚過ぎると、記録層と磁気ヘッドとの距離
が離れて信号強度が低下するため、この膜厚は100n
m以下であることが好ましい。保護層の有無に関わらず
最表面には磁気ヘッドを滑らせるためのフッ素系樹脂等
による潤滑剤を塗布しておくことが好ましい。
【0041】垂直磁化膜と基板との間に軟磁性層を設け
ると、磁束がこの軟磁性層を通過することから、再生時
の磁束強度を強めることができる。また、単磁極ヘッド
との組み合わせで強い記録磁界を得ることができる。軟
磁性層は、垂直磁化膜に直接接して設けても良いが、垂
直磁化膜の垂直磁気異方性の低下を避けるため、間に非
磁性層を介在させることが好ましい。軟磁性層は、F
e、Co、Ni若しくはそれらの合金、又はそれらにA
l、Si、B等を添加した材料から形成する。この場
合、透磁率が10以上であるものが好ましく用いられ
る。特に好ましくは、FeNi合金、FeAlSi合金
である。膜厚は10nm〜100nmであることが好ま
しい。
ると、磁束がこの軟磁性層を通過することから、再生時
の磁束強度を強めることができる。また、単磁極ヘッド
との組み合わせで強い記録磁界を得ることができる。軟
磁性層は、垂直磁化膜に直接接して設けても良いが、垂
直磁化膜の垂直磁気異方性の低下を避けるため、間に非
磁性層を介在させることが好ましい。軟磁性層は、F
e、Co、Ni若しくはそれらの合金、又はそれらにA
l、Si、B等を添加した材料から形成する。この場
合、透磁率が10以上であるものが好ましく用いられ
る。特に好ましくは、FeNi合金、FeAlSi合金
である。膜厚は10nm〜100nmであることが好ま
しい。
【0042】磁性膜と基板との間に基板との密着性を高
めるため、或いは、基板からの水分拡散を防止するため
に下引き層を設けるのは好ましい構成である。下引き層
は、SiN、AlN、SiO2、SiO、TiO2、Ta
2O5等の誘電体や、Al、Cr、Ti等の金属が用いら
れる。金属を用いた場合には、膜厚を変えることで記録
光の感度調整にも用いることができる。この場合、磁性
膜の下に誘電体を挟んで金属を設けるのが特に好まし
い。
めるため、或いは、基板からの水分拡散を防止するため
に下引き層を設けるのは好ましい構成である。下引き層
は、SiN、AlN、SiO2、SiO、TiO2、Ta
2O5等の誘電体や、Al、Cr、Ti等の金属が用いら
れる。金属を用いた場合には、膜厚を変えることで記録
光の感度調整にも用いることができる。この場合、磁性
膜の下に誘電体を挟んで金属を設けるのが特に好まし
い。
【0043】垂直磁化膜は、第1記録層と第2記録層の
2層のみとは限らず、交互に数層重ねることも可能であ
る。すなわち、第2記録層/第1記録層/第2記録層/
第1記録層/第2記録層/第1記録層/・・といった多
層構造も考えられる。第1記録層と第2記録層の積層数
には、基本的には制限は無いが、総膜厚が厚くなること
や生産性を考えると、各層が10層以下であることが好
ましい。各層を複数設ける場合に、全体の総膜厚を余り
厚くしないためには、各層の膜厚が50nm以下である
ことが好ましい。
2層のみとは限らず、交互に数層重ねることも可能であ
る。すなわち、第2記録層/第1記録層/第2記録層/
第1記録層/第2記録層/第1記録層/・・といった多
層構造も考えられる。第1記録層と第2記録層の積層数
には、基本的には制限は無いが、総膜厚が厚くなること
や生産性を考えると、各層が10層以下であることが好
ましい。各層を複数設ける場合に、全体の総膜厚を余り
厚くしないためには、各層の膜厚が50nm以下である
ことが好ましい。
【0044】希土類遷移金属合金の作製には、スパッタ
リングを用いるのが好ましい。スパッタリングターゲッ
トには、希土類遷移金属合金のターゲットを用いること
ができ、回転型のスパッタリング装置の場合には、希土
類金属と遷移金属とを別々のターゲットでスパッタし基
板上で混合させるといった手法も採用できる。この場合
には、組成の変更が容易であるといった利点がある。第
1記録層と第2記録層とを多数設ける場合には、各々の
ターゲットを一つのチャンバー内に用意し、基板を回転
させながら交互に成膜する方法を用いることができる。
リングを用いるのが好ましい。スパッタリングターゲッ
トには、希土類遷移金属合金のターゲットを用いること
ができ、回転型のスパッタリング装置の場合には、希土
類金属と遷移金属とを別々のターゲットでスパッタし基
板上で混合させるといった手法も採用できる。この場合
には、組成の変更が容易であるといった利点がある。第
1記録層と第2記録層とを多数設ける場合には、各々の
ターゲットを一つのチャンバー内に用意し、基板を回転
させながら交互に成膜する方法を用いることができる。
【0045】特に浮上型ヘッドを用いる場合には、膜表
面の荒らさが重要である。膜表面の平均荒さ(Ra)は
2nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは
1.5nm以下である。ただし滑らか過ぎる表面はヘッ
ドの吸着をもたらすので、従来のハードディスク同様に
テキスチャリングにより基板表面に制御された凹凸を導
入することもできる。
面の荒らさが重要である。膜表面の平均荒さ(Ra)は
2nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは
1.5nm以下である。ただし滑らか過ぎる表面はヘッ
ドの吸着をもたらすので、従来のハードディスク同様に
テキスチャリングにより基板表面に制御された凹凸を導
入することもできる。
【0046】
【実施例】以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。 (実施例1)図7に本発明の記録方法に用いられるヘッ
ドの一例を示す。サスペンションアーム43に支持され
た浮上型スライダー40に、記録ヘッド41及び再生ヘ
ッド42を搭載する。記録ヘッド41には、記録光44
を集光する対物レンズ45を付属させる。ディスク回転
のため高温領域は光スポットの若干後方に発生するので
記録ヘッド41は、対物レンズ45によるレーザ集光点
の後方に配置する。このスライダー40を用い、記録領
域を記録光44で照射しながら記録を行う。記録光44
をなすレーザーは空中を伝わらせるか、光ファイバーな
いし導波路にスライダーに導かれる。ヘッド自身に対物
レンズを設けても良い。再生はGMR等の再生ヘッドに
より、従来の磁気ディスクと同様に磁束を検出しながら
実施する。
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。 (実施例1)図7に本発明の記録方法に用いられるヘッ
ドの一例を示す。サスペンションアーム43に支持され
た浮上型スライダー40に、記録ヘッド41及び再生ヘ
ッド42を搭載する。記録ヘッド41には、記録光44
を集光する対物レンズ45を付属させる。ディスク回転
のため高温領域は光スポットの若干後方に発生するので
記録ヘッド41は、対物レンズ45によるレーザ集光点
の後方に配置する。このスライダー40を用い、記録領
域を記録光44で照射しながら記録を行う。記録光44
をなすレーザーは空中を伝わらせるか、光ファイバーな
いし導波路にスライダーに導かれる。ヘッド自身に対物
レンズを設けても良い。再生はGMR等の再生ヘッドに
より、従来の磁気ディスクと同様に磁束を検出しながら
実施する。
【0047】(実施例2)本発明の記録媒体の一例を図
8に示す。基板30には射出成形したポリカーボネート
を用い、表面にはトラック追随用の溝及びアドレス情報
を示すピットを凹凸で形成する。その上にAl98Ti2放熱
層31を30nm、Si3N4下引層32を30nmこの順
に設ける。さらに、その上にTb22(Fe95Co5)77
第1記録層33を60nm、(Gd90Tb10)30(Fe
70Co30)70第2記録層34を60nm設ける。その上
に、保護層35として水素化カーボンを20nm設け、
最後にフッ素樹脂による液体潤滑剤36を3nm設け
る。水素化カーボンは水素含有量を15%にすることで
減衰定数k=0.2になる。この組成において、室温で
の第1記録層33のMsは遷移金属優勢で50emu/ccで
あり保磁力は17kOe、第2記録層34のMsは希土
類金属優勢で280emu/ccである。第1記録層33のキ
ュリー温度Tc1は185℃である。Tc1における第
2記録層34の保磁力は1.5kOeである。第2記録
層34の補償温度は250℃であり、キュリー温度Tc
2は300℃以上である。
8に示す。基板30には射出成形したポリカーボネート
を用い、表面にはトラック追随用の溝及びアドレス情報
を示すピットを凹凸で形成する。その上にAl98Ti2放熱
層31を30nm、Si3N4下引層32を30nmこの順
に設ける。さらに、その上にTb22(Fe95Co5)77
第1記録層33を60nm、(Gd90Tb10)30(Fe
70Co30)70第2記録層34を60nm設ける。その上
に、保護層35として水素化カーボンを20nm設け、
最後にフッ素樹脂による液体潤滑剤36を3nm設け
る。水素化カーボンは水素含有量を15%にすることで
減衰定数k=0.2になる。この組成において、室温で
の第1記録層33のMsは遷移金属優勢で50emu/ccで
あり保磁力は17kOe、第2記録層34のMsは希土
類金属優勢で280emu/ccである。第1記録層33のキ
ュリー温度Tc1は185℃である。Tc1における第
2記録層34の保磁力は1.5kOeである。第2記録
層34の補償温度は250℃であり、キュリー温度Tc
2は300℃以上である。
【0048】表面の溝により、実施例1に記載のヘッド
を用いて光サーボをかけることができる。記録時には1
85℃以上に加熱しながら記録磁界を1.5kOe以上
加えれば記録が行える。
を用いて光サーボをかけることができる。記録時には1
85℃以上に加熱しながら記録磁界を1.5kOe以上
加えれば記録が行える。
【0049】(実施例3)NiPメッキを施したAl基
板を用い、表面にテキスチャリングを行う。その上にSi
3N4下引き層を30nm設ける。さらにその上にDy24
(Fe80Co10)7 7第1記録層を30nm、(Gd80D
y20)20(Fe70Co30)68第2記録層を70nm設け
る。この上に、AlN保護層を70nm、水素化カーボ
ンを20nm設け、最後にフッ素樹脂による液体潤滑剤
を3nm設ける。この組成において、室温での第1記録
層のMsは遷移金属優勢で40emu/ccであり、保磁力は
12kOe、第2記録層のMsは遷移金属優勢で320
emu/ccである。第1磁性層のキュリー温度Tc1は16
0℃である。Tc1における第2記録層の保磁力は2.
5kOeである。第2記録層の補償温度は室温以下であ
り、キュリー温度Tc2は300℃以上である。
板を用い、表面にテキスチャリングを行う。その上にSi
3N4下引き層を30nm設ける。さらにその上にDy24
(Fe80Co10)7 7第1記録層を30nm、(Gd80D
y20)20(Fe70Co30)68第2記録層を70nm設け
る。この上に、AlN保護層を70nm、水素化カーボ
ンを20nm設け、最後にフッ素樹脂による液体潤滑剤
を3nm設ける。この組成において、室温での第1記録
層のMsは遷移金属優勢で40emu/ccであり、保磁力は
12kOe、第2記録層のMsは遷移金属優勢で320
emu/ccである。第1磁性層のキュリー温度Tc1は16
0℃である。Tc1における第2記録層の保磁力は2.
5kOeである。第2記録層の補償温度は室温以下であ
り、キュリー温度Tc2は300℃以上である。
【0050】記録時には160℃以上に加熱しながら記
録磁界を2.5kOe以上加えれば記録が行える。
録磁界を2.5kOe以上加えれば記録が行える。
【0051】(実施例4)ポリカーボネート基板上にAl
98Ti2を30nm、Si3N4を30nm設ける。この上にTb22(F
e90Co10)によりなる第1記録層、Gd30(Fe70Co30)より
なる第2記録層を各30nmずつ、2組設ける。つまり
(Gd90Tb10)30(Fe70Co30)70/Tb22(Fe95Co5) 78/(Gd90T
b10)30(Fe70Co30)70/Tb22(Fe95Co5)/基板という構成で
ある(ここでは、保護膜等を省略した)。
98Ti2を30nm、Si3N4を30nm設ける。この上にTb22(F
e90Co10)によりなる第1記録層、Gd30(Fe70Co30)より
なる第2記録層を各30nmずつ、2組設ける。つまり
(Gd90Tb10)30(Fe70Co30)70/Tb22(Fe95Co5) 78/(Gd90T
b10)30(Fe70Co30)70/Tb22(Fe95Co5)/基板という構成で
ある(ここでは、保護膜等を省略した)。
【0052】その上にSi3N4を20nm、水素化カーボ
ン膜を10nm設け、最後にフッ素系樹脂による液体潤
滑剤を3nm設ける。この構成では、合計の磁化は実施
例1と同じであるが、実施例1よりもさらに垂直磁気異
方性が高く、磁区が安定した状態が得られる。
ン膜を10nm設け、最後にフッ素系樹脂による液体潤
滑剤を3nm設ける。この構成では、合計の磁化は実施
例1と同じであるが、実施例1よりもさらに垂直磁気異
方性が高く、磁区が安定した状態が得られる。
【0053】(実施例5)射出成形されたポリカーボネ
ート基板上にAlを20nm、Ta2O5を30nm設ける。
この上に(Tb80Dy20)20(Fe90Co30)77よりなる垂直磁化
膜を80nm設ける。この上にTiNを10nm設け、
最後にフッ素系樹脂による液体潤滑剤を3nm設ける。
この組成において垂直磁化膜は遷移金属優勢でMsは1
80emu/ccであり保磁力は8kOeである。垂直磁化膜
のキュリー温度は260℃である。150℃まで昇温し
たときの保磁力は3.1kOeとなり、これ以上の記録
磁界により記録可能である。
ート基板上にAlを20nm、Ta2O5を30nm設ける。
この上に(Tb80Dy20)20(Fe90Co30)77よりなる垂直磁化
膜を80nm設ける。この上にTiNを10nm設け、
最後にフッ素系樹脂による液体潤滑剤を3nm設ける。
この組成において垂直磁化膜は遷移金属優勢でMsは1
80emu/ccであり保磁力は8kOeである。垂直磁化膜
のキュリー温度は260℃である。150℃まで昇温し
たときの保磁力は3.1kOeとなり、これ以上の記録
磁界により記録可能である。
【0054】(実施例6)NiPメッキを施したAl基
板を用い、表面にテキスチャリングを行う。この上に軟
磁性膜であるNi50Fe50を30nm、Si3N4を20
nm設ける。さらに、その上にDy24(Fe80Co20)
77第1記録層を30nm、(Gd90Tb10)32(Fe30
Co70)68第2記録層を70nm設ける。この上にAl
N保護層を70nm、水素化カーボンを20nm設け、
最後にフッ素樹脂による液体潤滑剤を3nm設ける。こ
の組成において、第1記録層のMsは希土類金属優勢で
40emu/ccであり、保磁力は12kOe、第2記録層の
Msは希土類金属優勢で320emu/ccで保磁力は単層の
状態で150Oeである。軟磁性膜のために漏洩磁界が
強く発生し再生信号が大きくなる。
板を用い、表面にテキスチャリングを行う。この上に軟
磁性膜であるNi50Fe50を30nm、Si3N4を20
nm設ける。さらに、その上にDy24(Fe80Co20)
77第1記録層を30nm、(Gd90Tb10)32(Fe30
Co70)68第2記録層を70nm設ける。この上にAl
N保護層を70nm、水素化カーボンを20nm設け、
最後にフッ素樹脂による液体潤滑剤を3nm設ける。こ
の組成において、第1記録層のMsは希土類金属優勢で
40emu/ccであり、保磁力は12kOe、第2記録層の
Msは希土類金属優勢で320emu/ccで保磁力は単層の
状態で150Oeである。軟磁性膜のために漏洩磁界が
強く発生し再生信号が大きくなる。
【0055】以上、本発明をその好適な実施形態例及び
実施例に基づいて説明したが、本発明の記録再生装置及
び方法並びに記録媒体は、上記実施形態例及び実施例の
構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例及
び実施例の構成から種々の修正及び変更を施したものも
も、本発明の範囲に含まれる。
実施例に基づいて説明したが、本発明の記録再生装置及
び方法並びに記録媒体は、上記実施形態例及び実施例の
構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例及
び実施例の構成から種々の修正及び変更を施したものも
も、本発明の範囲に含まれる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の垂直磁気
記録装置、記録方法、及び垂直磁気記録媒体によれば、
高い信号分解能、記録光強度マージン、及び、安定な記
録磁区の形成を可能とする熱磁気記録が得られる。
記録装置、記録方法、及び垂直磁気記録媒体によれば、
高い信号分解能、記録光強度マージン、及び、安定な記
録磁区の形成を可能とする熱磁気記録が得られる。
【図1】本発明の一実施形態例の熱磁気記録方法による
記録の状況を示す模式的平面図。
記録の状況を示す模式的平面図。
【図2】従来の熱磁気記録方法による記録の状況を示す
模式的平面図。
模式的平面図。
【図3】本発明の別の実施形態例による熱磁気記録方法
による記録の状況を示す模式的平面図。
による記録の状況を示す模式的平面図。
【図4】本発明の一実施形態例の記録媒体の構成を示す
断面図。
断面図。
【図5】図5の記録媒体における合成保磁力の温度変化
を示すグラフ。
を示すグラフ。
【図6】(a)〜(c)は夫々、図4の記録媒体におけ
る記録時の保磁力の変化を示す断面図。
る記録時の保磁力の変化を示す断面図。
【図7】本発明の一実施形態例の記録再生装置の断面
図。
図。
【図8】本発明の一実施形態例の記録媒体の断面図。
11:記録光 12:加熱領域 13:記録磁区 14:記録ヘッド 20:基板 21:第1記録層 22:第2記録層 30:基板 31:放熱層 32:下引き層 33:第1記録層 34:第2記録層 35:保護層 36:潤滑剤 40:スライダー 41:記録ヘッド 42:再生ヘッド 43:サスペンション 44:記録光 45:対物レンズ
Claims (4)
- 【請求項1】 スライダーに搭載した記録ヘッドから、
情報に応じた磁界方向を持つ記録磁界を加えることによ
って垂直磁化膜に磁気記録を行う垂直磁気記録装置にお
いて、 記録位置近傍を加熱するための光を照射する光照射手段
を有し、少なくとも記録トラック方向に隣接する記録磁
区境界の形状を前記記録ヘッドの形状により決定するこ
とを特徴とする垂直磁気記録装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載の垂直磁気記録装置を用
いる記録方法であって、垂直磁化膜の室温における保磁
力より小さな記録磁界強度を印加し、前記光照射手段を
用いて前記垂直磁化膜を加熱し、前記記録磁界強度によ
り記録可能となるまで前記垂直磁化膜の保磁力を低下さ
せることを特徴とする垂直磁気記録媒体の記録方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の垂直磁気記録装置を用
いて記録を行う垂直磁気記録媒体であって、前記垂直磁
化膜が、少なくとも室温で互いに交換結合した、キュリ
ー温度Tc1を持つ第1記録層、及び、キュリー温度T
c1より高いキュリー温度Tc2を持つ第2記録層を含
み、温度Tc1における第2記録層の保磁力は室温にお
ける第1記録層の保磁力よりも小さいことを特徴とする
垂直磁気記録媒体。 - 【請求項4】 請求項3に記載の垂直磁気記録媒体を用
いて、記録時の温度をTc1以上かつTc2以下とする
ことを特徴とする、請求項2に記載の垂直磁気記録媒体
の記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11002478A JP2000207702A (ja) | 1999-01-08 | 1999-01-08 | 垂直磁気記録装置、記録方法、及び垂直磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11002478A JP2000207702A (ja) | 1999-01-08 | 1999-01-08 | 垂直磁気記録装置、記録方法、及び垂直磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000207702A true JP2000207702A (ja) | 2000-07-28 |
Family
ID=11530464
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11002478A Pending JP2000207702A (ja) | 1999-01-08 | 1999-01-08 | 垂直磁気記録装置、記録方法、及び垂直磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000207702A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002027713A1 (fr) * | 2000-09-25 | 2002-04-04 | Hitachi Maxell, Ltd. | Support d'enregistrement d'informations, appareil d'enregistrement d'informations et procede d'enregistrement |
CN100395819C (zh) * | 2004-02-27 | 2008-06-18 | Tdk股份有限公司 | 磁记录再现装置及磁记录介质 |
JP2009176414A (ja) * | 2009-03-27 | 2009-08-06 | Panasonic Corp | 磁気記録方法及び磁気記録装置 |
JP2010027195A (ja) * | 2008-07-22 | 2010-02-04 | Tdk Corp | 熱アシスト薄膜磁気ヘッド及び熱アシスト磁気記録方法 |
-
1999
- 1999-01-08 JP JP11002478A patent/JP2000207702A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002027713A1 (fr) * | 2000-09-25 | 2002-04-04 | Hitachi Maxell, Ltd. | Support d'enregistrement d'informations, appareil d'enregistrement d'informations et procede d'enregistrement |
US7352658B2 (en) | 2000-09-25 | 2008-04-01 | Hitachi Maxell, Ltd. | Method for recording information data to a recording medium by irradiation with a light beam and application of a magnetic field |
CN100395819C (zh) * | 2004-02-27 | 2008-06-18 | Tdk股份有限公司 | 磁记录再现装置及磁记录介质 |
JP2010027195A (ja) * | 2008-07-22 | 2010-02-04 | Tdk Corp | 熱アシスト薄膜磁気ヘッド及び熱アシスト磁気記録方法 |
US7948710B2 (en) | 2008-07-22 | 2011-05-24 | Tdk Corporation | Heat-assisted thin-film magnetic head and heat-assisted magnetic recording method |
JP2009176414A (ja) * | 2009-03-27 | 2009-08-06 | Panasonic Corp | 磁気記録方法及び磁気記録装置 |
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