JP2000113444A - 垂直磁気記録媒体及びその記録方法 - Google Patents

垂直磁気記録媒体及びその記録方法

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JP2000113444A
JP2000113444A JP10281095A JP28109598A JP2000113444A JP 2000113444 A JP2000113444 A JP 2000113444A JP 10281095 A JP10281095 A JP 10281095A JP 28109598 A JP28109598 A JP 28109598A JP 2000113444 A JP2000113444 A JP 2000113444A
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recording
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recording layer
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JP10281095A
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Toshifumi Kawano
敏史 川野
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いS/N比と高い磁区安定性とを有する垂
直磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 基板上に少なくとも垂直磁化膜であり互
いに交換結合した記録層及び再生層をこの順に有し、室
温において前記記録層の単位体積あたりの磁化は、前記
再生層の単位体積あたりの磁化よりも小さい垂直磁気記
録媒体、及び、この媒体の記録を行う場所を局所的に加
熱すると共に外部磁場を加えて前記外部磁場方向に加熱
部分の磁化を向けることにより記録を行う記録方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は情報記録に用いる垂
直磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】情報に応じた方向をもつ外部磁場を加え
ながら情報の記録を行ない、かつ記録磁区が発生する磁
束を検出することにより記録された情報の再生を行なう
磁気記録媒体は、近年目覚ましい記録密度の増加が得ら
れている。磁気記録の方式として、磁化が基板面に対し
て平行に向く「長手磁気記録」と垂直に向く「垂直磁気
記録」とが知られている。従来の「長手磁気記録」では
記録密度が高まるにつれ、「熱緩和現象」の問題がおこ
ることが指摘されている。これは互いに向き合った記録
磁区どうしの反発により磁化の熱運動をきっかけとして
記録が消失する減少であり、高密度化を行っていくと避
けて通れない現象である。
【0003】これに対し「垂直磁気記録」では、隣り合
った磁区が互いに安定化させるように働くのでより高密
度記録に向くといわれている。従来、CoCr等の材料
を用い、結晶の配向性を制御することで垂直磁気異方性
を有する磁性膜が作製されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の垂直磁
化膜の問題は、外部磁界に対し記録した磁区の形状が不
安定になることである。これは記録膜のもつ磁化が大き
く、膜中に磁壁移動の核となる反転磁区を生じてしまう
ためであると思われる。さらに膜自体が結晶性であるこ
とから、結晶粒界に伴うノイズがSN比を制限する要因
となっている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決するためになされたもので、磁性層を多層化して磁化
の大きい層の下に磁化の小さい層を設けることで、信号
出力を維持しながら大きな磁気異方性を得ることを可能
としたものである。
【0006】即ち、本発明の要旨は、情報に応じた方向
を持つ外部磁場を加えながら記録を行い、かつ記録磁区
が発生する磁束を検出することにより記録の再生を行う
垂直磁気記録媒体において、基板上に少なくとも垂直磁
化膜であり互いに交換結合した記録層及び再生層をこの
順に有し、室温において前記記録層の単位体積あたりの
磁化は、室温において前記再生層の単位体積あたりの磁
化よりも小さいことを特徴とする垂直磁気記録媒体に存
する。また、本発明の他の要旨は、上記の媒体の記録を
行なう場所を局所的に加熱すると共に外部磁場を加え
て、前記外部磁場方向に加熱部分の磁化を向けることに
より記録を行うことを特徴とする垂直磁気記録媒体の記
録方法に存する。なお、本発明において「記録層」、
「再生層」とは便宜上の名称であって、記録層のみに情
報を記録するものではないことを含め「記録」や「再
生」に絶対的な意味はない。
【0007】
【作用】磁気記録媒体における再生信号強度は磁性層か
ら外部への漏洩磁束が大きいほど強くなる。漏洩磁束は
磁性層の持つ磁化Msが大きいほど強い。一方垂直磁化
膜における垂直磁気異方性K⊥は一軸異方性KuとMsを
用いて、
【0008】
【数1】K⊥=Ku-2πMs2
【0009】で表せる。従って、磁化Msが大きければ
大きいほど垂直磁気異方性は低下する。これは内部に磁
区を反転させようとする反磁界が発生するためである
(図2)。従って、強い再生信号を得ることと、磁区を
安定に存在させることは相反する現象である。従来の垂
直磁気記録膜で記録磁区が不安定であったのはこのため
である。
【0010】これに対し本発明では図1に示すように磁
性層を少なくとも再生層と記録層の2層膜とし、記録層
の磁化を再生層の磁化よりも小さいものとする。このと
き記録層は磁化が小さいため高い垂直磁気異方性を有
し、記録磁区が安定して存在できる。一方再生層は、磁
化が大きいので単独では磁区が不安定であるが、磁区の
安定した記録層との交換結合力により再生層の磁区も安
定化する(図3)。
【0011】記録層の磁化が小さい場合一般に保磁力H
cも大きくなる。大きなHcは磁壁の移動を止める効果
があり記録磁区の安定化に寄与する。従って、記録層の
保磁力Hcが再生層の保磁力Hcよりも大きいことが好
ましい。しかし、あまりに大きなHcを持つと通常の磁
気ヘッドのみでは記録が不可能になってしまう。
【0012】この場合はレーザー、ダイオード等で記録
部分を加熱することでHcを低下させる熱磁気記録とい
う手法をとることが好ましい。微小部分を加熱できると
いう点からレーザーを用いるのが特に好ましい。レーザ
ーを用いる場合、磁気ヘッドとレーザーの出射機構を両
方備えることでヘッド構造が複雑となるが、大きなHc
の媒体が使用可能であるので磁区が非常に安定となるこ
とや、記録磁区のトラック幅が磁気ヘッド幅ではなく加
熱された熱分布で制限されるので磁気ヘッド自身の微細
加工が不要となるといった長所が挙げられる。レーザー
の波長は現在680nmあるいは650nmといった通
常の光ディスクに用いられているものが挙げられるが、
短い波長の方がビームの集光スポットが小さくなるの
で、狭い記録トラックでも記録パワーの制御が容易とな
る。レーザーは通常対物レンズにより媒体上に集光され
るのであるが、通常は媒体と磁気ヘッド間の間隔が非常
に短いため、例えば浮上ヘッドの場合では浮上高を焦点
距離とするように光学系を調整しておくことが好まし
い。熱磁気記録を用いることにより、記録に要する磁界
強度も小さくて済むようになるという利点がある。
【0013】外部磁界により情報を記録する熱磁気記録
については、従来より光磁気記録媒体の磁界変調記録方
式として知られている。しかし、この方式では情報再生
に光の偏光回転(カー回転)を用いるため再生信号強度
が弱い上、再生可能な磁区サイズが光の集光スポット径
により制限されるという問題があった。これに対し本発
明の媒体では、トラック幅が容易に制御できるという光
磁気記録媒体の長所をそのままに、磁気ヘッドにより光
スポットサイズによらず高密度の再生が可能となる。
尚、記録については光スポットによらず記録磁界の反転
により微小なマークが記録可能である。熱磁気記録を用
いる場合は、例えば記録磁気ヘッドのコイルの中央を中
空状になし、その中を記録光を通過させるという手段が
考えられる。
【0014】熱磁気記録の場合、再生層に直接書き込み
を実施すると垂直磁気異方性が低いためSN比が低下す
る可能性がある。従って記録層のキュリー温度を再生層
より低くしておくことでまず記録層に記録を行い、それ
を交換結合力により再生層に転写することで高SN比が
得られる。この場合は再生層の保磁力を交換結合力によ
る転写が可能となる程度に小さいものとしておく必要が
ある。もちろん保磁力が充分小さい場合は、加熱を用い
ない従来の垂直磁気記録と同様の方法をとることも可能
である。
【0015】媒体にヘッドがトラックを追随するための
サーボ情報が記録されていることは好ましい形態であ
る。サーボ情報は磁性層に磁区として記録されていても
よいし、基板上に凹凸状に設けられていても良い。熱磁
気記録の場合、特に記録光が追随するための反射率変動
を起こすようなサーボ情報が設けられていることが好ま
しい。このようなサーボ情報はピット状でもよいし連続
した溝状であっても良い。基板を樹脂により形成する場
合、射出成形等により基板の形成と同時にサーボ情報を
設けることが可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明に用いられる基板としては、ディスク状媒
体として用いる場合は通常のハードディスクで用いられ
る円盤状のアルミ合金、ガラスあるいはアモルファスカ
ーボン等の基板が用いられる。さらにポリカーボネー
ト、PMMA、等の樹脂基板も使用することができる。
この場合は基板を射出成形で作製することにより表面に
凹凸状のアドレス情報等を埋め込むことが可能である。
基板の厚みとしては0.3mm〜2mm程度が好ましく
用いられる。別の形態としてフロッピーディスクで使用
されるポリエチレンテレフタレート等による円盤状のフ
ィルムを用いることもできる。また同様のフィルムによ
りテープ状の媒体、あるいはカード状としても用いるこ
とも可能である。
【0017】記録層に用いられる膜は、垂直磁気異方性
が大きく微小な磁区が安定して存在可能なものが必要で
ある。このためには保磁力Hcは2kOe以上であるこ
とが好ましい。さらに好ましくは3kOe以上である。
記録層の膜厚は通常20nm、好ましくは30nm以上
であり、また通常200nm以下、好ましくは150n
m以下である。記録層が薄すぎる場合は再生層の反磁界
に耐えられなくなり、垂直磁気異方性が低下する。また
厚すぎると全体の磁化が増大することで垂直磁気異方性
が低下する上、熱磁気記録の際には記録に要する光強度
が増加してしまう。また記録層の磁化Msは250em
u/cc以下であることが好ましい。Msが大き過ぎれ
ば垂直磁気異方性が低下する。さらに好ましくは200
emu/cc以下であり、特に好ましくは150emu
/cc以下である。
【0018】熱磁気記録を用いる場合、記録層の垂直磁
化膜のキュリー温度が高いと記録レーザー光が過大とな
ってしまうが低いと高温での耐久性が悪くなる。適度な
キュリー温度Tc1は通常100℃以上、好ましくは1
20℃以上、さらに好ましくは140℃以上であり、ま
た通常350℃以下、好ましくは300℃以下である。
【0019】記録層に用いられる膜としては特に希土類
と遷移金属との合金が好ましい。上記合金はフェリ磁性
体であるため、補償組成近傍を用いることにより室温で
の磁化を小さくすることができる上、室温成膜で容易に
高い垂直磁気異方性、大きな保磁力を得ることができ
る。例えばTbFe、TbCo、TbFeCo、DyF
e、DyCo、DyFeCo、GdTbFe、GdDy
Fe、GdTbFeCo、GdDyFeCo等である。
記録に磁界のみを用いる場合は保磁力Hcは5kOe以
下であることが好ましいが、熱磁気記録を行う場合は保
磁力の制限は無い。この場合特に垂直磁気異方性の高い
TbFeCoを用いるのが好ましい。記録層に希土類と
遷移金属との合金を用いる場合、希土類金属の組成は室
温での補償組成から5%以内であることが好ましい。例
えばTbFeCoの場合Tb23原子%が補償組成であ
るため、Tb組成が18〜28原子%の範囲にあること
が好ましい。FeとCoの比率はFe100-x Cox とし
たとき
【0020】
【数2】0≦X≦30
【0021】であることが好ましい。再生層の膜厚は通
常10nm以上、好ましくは20nm以上であり、また
通常100nm以下、好ましくは80nm以下である。
再生層が薄すぎる場合は漏洩磁束強度が低下し再生信号
が弱くなる。また厚すぎると交換結合の影響が弱くなり
垂直磁気異方性が低下する。また再生層の磁化Msは室
温において通常100emu/cc以上好ましくは15
0emu/cc以上であり、また通常400emu/c
c以下、好ましくは350emu/cc以下である。M
sが小さすぎれば再生信号強度が小さくなり、大きすぎ
れば垂直磁気異方性が低下する。いずれにせよ、再生層
の磁化は記録層の磁化よりも大きくする。また、その保
磁力は記録層の保磁力よりも小さいのが好ましい。
【0022】記録に熱磁気記録を用いる場合、再生層の
キュリー温度Tc2は記録層のキュリー温度Tc1より
高いことが好ましい。通常Tc2は300℃以上700
℃以下である。加熱により記録層との交換結合力が無く
なった際に(すなわち温度Tc1において)再生層の保
磁力が5kOe以下であることが好ましい。さらに好ま
しくは3kOe以下である。こういった状態では加熱さ
れた際Tc1以上において再生層の磁化は記録磁界の方
向を向く。さらに温度の低下に伴い記録層の磁化が現れ
ると、再生層との交換結合力が記録層の磁区形成を補助
するため、低記録磁界での記録が可能になる。
【0023】再生層に用いられる膜は磁化が大きく再生
出力が大きく取れるものが好ましいが、磁化が大きすぎ
ると、やはり垂直磁気異方性の低下が起きる。また再生
層は記録層と強く交換結合を行うものである必要があ
る。再生層に用いられる膜としては、CoCr、MnB
i、PtCo、PtやPdとCoの多層膜、またはGd
Fe、GdCo、GdFeCo、GdDyFeCo、G
dTbFeCo、TbFeCo、TbDyFeCo等の
希土類と遷移金属との合金が用いられる。このような希
土類遷移金属合金の中でも軽希土類と呼ばれるNd、P
rを用いた、NdFeCo、NdFe、NdCo、Pr
FeCo、PrFe、PrCo等を用いることもでき
る。あるいはこれらにGd、Tb、Dyを混入させるこ
ともできる。記録層との交換結合の強さから希土類と遷
移金属との合金を用いることが好ましい。特に希土類金
属としてGdを含有した合金は保磁力が小さくなり好ま
しい。ただし垂直磁気異方性を挙げるためにTbあるい
はDyを希土類金属全体の30原子%以下含有するのも
好ましい組成である。再生層にフェリ磁性の希土類遷移
金属合金を用いる場合、補償組成付近では磁化Msが小
さくなるので、希土類金属の組成は室温での補償組成か
ら3%以上離れていることが好ましい。であることが好
ましい。例えばGdFeCoの場合Gd26原子%が補
償組成であるため、Gd組成が29原子%以上かないし
は23原子%以下であることが好ましい。ただし希土類
組成が補償組成より少ない場合、熱磁気記録の記録温度
において磁化が大き過ぎて、記録に必要な磁界が著しく
大きくなる可能性がある。これに対し希土類組成が補償
組成より少ない場合は、記録時に補償温度に近くなるの
で磁化が小さくなり記録磁界を低減できる。従って再生
層は室温において希土類金属優勢の組成をとることが好
ましい。希土類遷移金属合金は一般にFeとCoの比率
が1:1のときに最大のMsをとる。従って充分なMs
を得るためにはFeとCoの比率はFe100-x Cox
したとき、xとしては20以上、特に30以上が好まし
く、さらに80以下、特に70以下が好ましい。
【0024】記録層並びに再生層に希土類遷移金属合金
を用いた場合室温でのスパッタリングによって高い垂直
磁気異方性が容易に得られるため、樹脂基板の使用が可
能となるといった長所がある。また通常希土類遷移金属
合金はアモルファスであるので、従来の磁気記録媒体に
あった結晶粒界に伴う磁区境界の乱れが無く、非常に低
ノイズの媒体となりうる。希土類遷移金属合金には、T
i、Cr、Si、Ta、Pt等の非磁性元素を5原子%
以下程度混入させることで耐酸化性の向上や、保磁力の
調整を行うことができる。
【0025】再生層に希土類遷移金属合金を用いる場
合、希土類金属が非常に酸化し易いため、表面をSi
N、AlN、水素化カーボン(C:H)等の誘電体、な
いしAl、Ti、Cr等の金属による保護層を設け保護
することが好ましい。水素化カーボンは磁気ヘッドの滑
り改善の効果もあるので酸化防止のためのSiN等の層
の上にさらに水素化カーボンを設けるのも好ましい構成
である。記録に熱磁気記録を用いる場合、保護層は光反
射率が低いものであることが記録光のエネルギー利用効
率を高める上で好ましい。特に保護層を誘電体として膜
厚を光干渉効果により記録光の反射率が低下するように
設定することにより、反射率を著しく低下させることが
可能である。この場合膜厚は保護層の屈折率に従い適当
に設定されうる。充分な保護効果を考慮すると、保護層
の膜厚は10nm以上であつことが好ましいが、保護層
の膜厚が厚過ぎると記録層と磁気ヘッドとの距離が離れ
て信号強度が低下するため、200nm以下であること
が好ましい。保護層の有無に関わらず最表面には磁気ヘ
ッドを滑らせるためのフッ素系樹脂等による潤滑剤を塗
布しておくことが好ましい。
【0026】記録層の再生層と逆側に軟磁性層を設ける
と、磁束がこの層を通過することにより再生に用いる漏
洩磁束強度を強めることができる。軟磁性層は記録層に
直接接して設けても良いが、記録層の垂直磁気異方性の
低下を避けるため間に非磁性層を介することが好まし
い。軟磁性層はFe、Co、Niあるいはそれらの合金
で透磁率が10以上であるものが好ましく用いられる。
膜厚は10nm以上、100nm以下であることが好ま
しい。
【0027】磁性膜と基板の間に基板との密着性を高め
たり、基板からの水分拡散を防止するための下引き層を
設けるのは好ましい構成である。下引き層はSiN、A
lN、SiO2 、SiO、TiO2 、Ta2 5 等の誘
電体やAl、Cr、Ti等の金属が用いられる。金属を
用いた場合膜厚を変えることで記録光の感度調整にも用
いることができる。磁性膜の下に誘電体を挟んで金属を
設けるのが特に好ましい。
【0028】磁性層は再生層と記録層の2層のみとは限
らず、記録層の再生層とは逆側に記録層よりも磁化の大
きい第2再生層をさらに設けることもありうる。この場
合再生層と第2再生層は全く同じものである必要はなく
組成ないし膜厚が異なっていても良い。同様に再生層の
記録層とは逆側に再生層よりも磁化の小さい第2記録層
を設けることもありうる。この場合、記録層と第2記録
層は全く同じものである必要は無く組成ないし膜厚が異
なっていても良い。
【0029】こういった構成をさらに進展させて、図4
に示す様な第1記録層/第1再生層/第2記録層/第2
再生層/第3記録層/第3再生層/・・といった多層構
造も考えられる。記録層と再生層の積層数には基本的に
制限は無いが、総膜厚が厚くなることや生産性を考える
と各層が10層以下であることが好ましい。この様に磁
化の大きい層(再生層)と小さい層(記録層)を多数積
層させるのは高い垂直磁気異方性と大きな漏洩磁束を両
立させる点で好ましい構成である。特に再生層が複数あ
ることにより、全ての層の磁化の総和が同じであって
も、厚い再生層を一つだけ設けるよりも薄い再生層を数
層に分けて設ける方が垂直磁気異方性が高くなる。層が
厚い場合、再生層中のの記録層から離れた位置では交換
結合力が弱まり、垂直磁気異方性が低下するためであ
る。各層が複数有る場合全体の総膜厚を余り厚くしない
ため各層の膜厚は50nm以下であることが好ましい。
【0030】希土類遷移金属合金の作製にはスパッタリ
ングを用いるのが好ましい。スパッタリングターゲット
には希土類遷移金属合金のターゲットを用いても良い
し、回転型のスパッタリング装置の場合は希土類金属と
遷移金属を別々のターゲットでスパッタし基板上で混合
させるといった手法も取れる。この場合は組成の変更が
容易であるといった長所がある。記録層と再生層を多数
設ける場合は、各々のターゲットを一つのチャンバー内
に用意し、基板を回転させながら交互に成膜する方法を
用いることができる。
【0031】特に浮上型ヘッドを用いる場合媒体表面の
荒らさは重要である。膜表面の平均荒さ(Ra)は2n
m以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.5
nm以下である。ただし滑らか過ぎる表面はヘッドの吸
着をもたらすので、従来のハードディスク同様にテキス
チャリングにより基板表面に制御された凹凸を導入する
こともできる。
【0032】
【実施例】以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。
【0033】実施例1 本発明の一形態を図5に示す。基板には射出成形によっ
て製造されたポリカーボネートを用い、表面にはトラッ
ク追随用の溝及びアドレス情報を示すピットを凹凸で形
成する。その上にAl98Ti2 からなる放熱層を30nm、
Si3N4 からなる下引層を30nmこの順に設ける。さら
にその上に記録層としてTb22(Fe90Co1077を6
0nm、再生層としてGd30(Fe70Co3070を60
nm設ける。この上に保護層としてSi3N4 を70nm、
水素化カーボン膜を20nm設け、最後にフッ素樹脂に
よる液体潤滑剤を3nm設ける。この組成において記録
層のMsは遷移金属優勢で50emu/ccであり保磁力は1
7kOe、再生層のMsは希土類金属優勢で280emu/
ccで保磁力は単層の状態で0である。
【0034】実施例2 NiPメッキを施したAl基板を用い、表面にテキスチ
ャリングを行う。その上にSi3N4 を30nm設ける。さ
らにその上に記録層Dy24(Fe80Co2077を30n
m、再生層(Gd80Dy2032(Fe70Co3068を7
0nm設ける。この上に保護層としてAlNを70n
m、水素化カーボンを20nm設け、最後にフッ素樹脂
による液体潤滑剤を3nm設ける。この組成において記
録層のMsは希土類金属優勢で40emu/ccであり保磁力
は12kOe、再生層のMsは希土類金属優勢で320
emu/ccで保磁力は単層の状態で150Oeである。
【0035】実施例3 ポリカーボネート基板上に放熱層としてAl98Ti2 を30
nm、下引層としてSi 3N4 を30nm設ける。この上にTb22
(Fe90Co10 )によりなる記録層、Gd30(Fe70Co3 0)よりな
る再生層を各30nmずつ、2組設ける。即ち、順に、
【0036】
【数3】Gd30(Fe70Co30)70/Tb22(Fe90Co10)/Gd30(Fe70C
o30)70/Tb22(Fe90Co10)/基板
【0037】という順番で構成される(ここで保護膜等
は省略してある)。その上にSi3N4 からなる保護層を7
0nm、水素化カーボン膜を20nm設け、最後にフッ
素系樹脂による液体潤滑剤を3nm設ける。この層構成
を図6に示す。この構成では合計の磁化は実施例1と同
じであるが、実施例1よりもさらに垂直磁気異方性が高
く、磁区が安定した状態が得られる。
【0038】実施例4 射出成形によって得られたポリカーボネート基板上にAl
を20nm、Ta2O5 からなる放熱層を30nm設ける。
この上に(Tb80Dy20)23(Fe90Co10)77よりなる記録層を5
0nm、フェロ磁性体であるNd20(Fe70Co30)よりなる再
生層を50nm設ける。この上にSi3N4 からなる保護層
を60nm設け、最後にフッ素系樹脂による液体潤滑剤
を3nm設ける。この組成において記録層は遷移金属優
勢でMsは20emu/ccであり保磁力は22kOe、再生
層のMsは310emu/ccで保磁力は単層の状態で0であ
る。
【0039】実施例5 NiPメッキを施したAl基板を用い、表面にテキスチ
ャリングを行う。この上に軟磁性膜であるNi70Fe30
を30nm、Si3N4 を20nm設ける。さらにその上に
記録層としてDy24(Fe80Co2077を30nm、再
生層として(Gd90Tb1032(Fe30Co7068を7
0nm設ける。この上にAlNからなる保護層を70n
m、水素化カーボン膜を20nm設け、最後にフッ素樹
脂による液体潤滑剤を3nm設ける。この組成において
記録層のMsは希土類金属優勢で40emu/ccであり保磁
力は12kOe、再生層のMsは希土類金属優勢で32
0emu/ccで保磁力は単層の状態で150Oeである。軟
磁性膜のために漏洩磁界が強く発生し再生信号が大きく
なる。
【0040】実施例6 図7は本発明の記録方法に使用される記録再生系の一例
を示す模式的断面図である。サスペンション1によって
支持された浮上型ヘッド2には、記録ヘッドを構成する
記録コイル3及び再生ヘッド4が搭載され、記録コイル
の中央に設けられた貫通孔5よりレーザー光6が照射さ
れる。レーザー光6は空中を伝播するかあるいは光ファ
イバーないし導波路により浮上ヘッドに導かれる。レー
ザー光6を集光するための対物レンズ7は、浮上ヘッド
と独立に設けられているが、浮上ヘッド自身に対物レン
ズがそなえられていても良い。
【0041】浮上ヘッド2はサスペンション1によって
垂直磁気記録媒体8の方向(図7では下方)に押し付け
られ、一方、媒体の走向によってヘッドと媒体との間に
空気が流れ込み浮力を生じる結果媒体から所定の距離を
保つ。情報の再生は、媒体の磁区を再生ヘッド4で読み
とることによって行なう。また、情報の記録は貫通孔5
を介して媒体の記録すべき部分にレーザー光6を照射し
て加熱すると共に、記録コイルによって所定の方向の外
部磁場を印加することによって行われる。媒体として
は、実施例1〜5に示したようなものを使用する。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、高いSN比と磁区の高
安定性を兼ね備えた垂直磁気記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の媒体の基本構成を示す模式的断面
図。
【図2】 従来の媒体において反磁界の生じる様子を示
す模式図。
【図3】 本発明の媒体において、記録層との交換結合
力により再生層の磁区が安定する様子を示す模式図。
【図4】 本発明の媒体の一実施例を示す模式的断面
図。
【図5】 本発明の媒体の他の一実施例を示す模式的断
面図。
【図6】 本発明の媒体のさらに他の一実施例を示す模
式的断面図。
【図7】 本発明の記録方法に使用される記録再生系の
一例を示す模式的断面図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】情報に応じた方向を持つ外部磁場を加えな
    がら記録を行い、かつ記録磁区が発生する磁束を検出す
    ることにより記録の再生を行う垂直磁気記録媒体におい
    て、基板上に少なくとも垂直磁化膜であり互いに交換結
    合した記録層及び再生層をこの順に有し、室温において
    前記記録層の単位体積あたりの磁化は、前記再生層の単
    位体積あたりの磁化よりも小さいことを特徴とする垂直
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】前記記録層は希土類金属と遷移金属の合金
    である請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】前記再生層は希土類金属と遷移金属の合金
    である請求項1又は2に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】再生層と記録層の両方あるいはいずれかが
    複数設けられている請求項1乃至3のいずれか1つに記
    載の垂直磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】記録層の保磁力が再生層の保磁力よりも大
    きい請求項1乃至4のいずれか1つに記載の垂直磁気記
    録媒体。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれか1つに記載の垂
    直磁気記録媒体への記録方法であって、該垂直磁気記録
    媒体の記録を行う場所を局所的に加熱すると共に外部磁
    場を加えて、前記外部磁場方向に加熱部分の磁化を向け
    ることにより記録を行うことを特徴とする垂直磁気記録
    媒体の記録方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6893746B1 (en) 1999-10-29 2005-05-17 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium with high thermal stability, method for producing the same, and magnetic recording apparatus

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