JP2000339788A - 光磁気記録媒体及びその再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体及びその再生方法

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JP2000339788A
JP2000339788A JP11144632A JP14463299A JP2000339788A JP 2000339788 A JP2000339788 A JP 2000339788A JP 11144632 A JP11144632 A JP 11144632A JP 14463299 A JP14463299 A JP 14463299A JP 2000339788 A JP2000339788 A JP 2000339788A
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Toshifumi Kawano
敏史 川野
Akio Okamuro
昭男 岡室
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再生信号の分解能を著しく高めることのでき
る光磁気記録媒体及びその再生方法並びに再生装置を提
供する。 【解決手段】 基板上に、ともに希土類金属と遷移金属
の合金よりなる記録層及び再生層を有し、記録層には情
報に応じた磁化方向が記録され、室温以上において記録
層の磁化方向が再生層に転写される温度領域が存在する
光磁気記録媒体であって、該記録層と該再生層のあいだ
に、室温以上の所定温度で記録層と再生層の交換結合を
実質的に遮断するか、或いは温度によらず常に記録層と
再生層の交換結合を実質的に遮断する切断層を設け、か
つ該記録層と該再生層のあいだに、記録層よりもキュリ
ー温度の低い制御層を設ける光磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は情報記録に用いる光
磁気記録媒体及びその再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録媒体は、高密度、低コストの
書換え可能な情報記録媒体として実用化されている。特
に希土類元素と遷移金属のアモルファス合金の記録層を
用いた媒体は非常に優れた特性を示している。光磁気デ
ィスクは非常に大容量の記録媒体であるが、社会の情報
量の増大に伴いさらなる大容量化が望まれている。光デ
ィスクの記録密度の限界は通常の場合、その再生光のス
ポットの大きさで決まってしまう。スポットの大きさは
レーザーの波長が短いほど小さくすることができるた
め、レーザーの短波長化の検討が進められているが、困
難を伴っておりまた短波長レーザーの使用は高コストの
要因となる。
【0003】一方、レーザーの波長によって決定される
以上の分解能を色々な工夫によって得ようとする、いわ
ゆる超解像技術の試みが近年行われている。そのひとつ
として、光磁気ディスクにおいて多層膜間の交換結合力
を用いた超解像(Magnetically induced super resoluti
on、以下MSR)方式が報告されている。本方式は、基
本的に、情報を記録する層(記録層)と情報を再生する
層(再生層)とからなり、記録は記録層に対して行い、
再生時に記録層の磁化方向を再生層に転写して読み出
す。通常、媒体の加熱温度によって再生層への転写状態
がコントロールされる。
【0004】本方式によれば、再生光スポット内に温度
分布があるのを利用し、この温度分布により再生層の磁
区を変形させることで再生信号の波形干渉を軽減できる
ため、高密度の記録情報を品質よく再生することができ
る。MSR方式の形態としては様々なものあるが、その
ひとつとして本発明者らは特開平7−147029号に
おいて、保磁力の小さい再生層、キュリー温度の低い切
断層、さらにキュリー温度が高く保磁力が大きい記録層
の互いに交換結合した3層からなる媒体を用いる「反転
型MSR」と呼ばれる方式を提案している。
【0005】反転型MSR方式では、再生光スポット内
の低温部で再生層と記録層とが切断層を通して交換結合
される。このとき再生層の副格子磁化の方向と記録層の
副格子磁化の方向が一致する。一方、高温部では切断層
の温度がキュリー温度を超えてしまうため再生層と記録
層との交換結合が切断される。このため再生層と記録層
の関係は静磁結合が支配的になり、再生層の磁化方向と
記録層の磁化方向とが一致する。
【0006】従って、再生層と記録層がともに遷移金属
磁化優勢(TMリッチ)であれば、再生層と記録層の磁
化方向は常に同じになる。しかし、再生層が希土類金属
磁化優勢(REリッチ)かつ記録層がTMリッチと相違
するときには、再生層と記録層の副格子磁化方向を一致
させた場合と、再生層と記録層の磁化方向を一致させた
場合とでは、再生層の磁化状態は逆になる。
【0007】すなわち、再生光を照射し媒体が加熱され
るとまず低温部で記録層との交換結合により再生層の磁
化があらわれ、さらに加熱され高温になり交換結合が切
れると再生層の磁化は反転する。高密度の垂直磁気記録
においては、この反転した磁化が反転していない隣接マ
ークと信号を強め合う働きをするため、高い分解能が実
現できるのである。
【0008】反転型MSR方式ではさらに、磁気ディス
クと同様、マーク(磁区)の中心部ではなくマークの端
部(磁区の境界部)において信号強度が最大となるた
め、信号のピーク位置を検出することでマーク端部が容
易に検出できる。このため、安価な磁気ディスクの信号
検出系回路をそのまま利用してマーク長変調記録信号の
再生ができるというコスト的な長所がある。
【0009】一方、MSR方式のひとつとして、特開平
8−221818号のような、再生層として、低温では
面内磁化を有し高温になり磁化が低下するにつれて垂直
磁化膜となるような再生層を用い、記録層と再生層の間
に非磁性の遮断層を設け、静磁結合力だけで記録層の磁
化方向を再生層に転写する「静磁結合CAD」と呼ばれ
る方式も提案されている。
【0010】静磁結合CAD方式では、高温でのみ記録
層の磁化が再生層に転写され信号が読み出せる。低温で
記録層磁化方向の転写が行われず面内磁化膜なので、い
わゆる低温マスクが生成され隣接トラックとの信号干渉
(クロストーク)を小さくすることができる点で優れ
る。さて、静磁結合を利用しないMSR方式として、再
生層として低温では面内磁化を有し高温になり磁化が低
下するにつれて垂直磁化膜となるような再生層を用い、
かつ、再生層と記録層とを交換結合させて磁化方向を再
生層に転写する「交換結合CAD」と呼ばれる方式もあ
る。
【0011】しかし交換結合CAD方式では、再生層を
高温で垂直磁化膜になるような組成とした場合、記録層
との強い交換結合のため、低温で完全に面内磁化膜とす
ることが困難となってしまう。そして、面内磁化領域と
垂直磁化領域の境界がぼやけ、再生信号の分解能が低下
してしまう。どうしても再生層を低温で面内磁化膜にし
ようとすると膜厚をかなり厚くする必要があり、媒体製
造コストの上昇並びに記録感度の低下をもたらす。従っ
て、静磁結合を利用したMSR方式のほうが再生分解能
の点で優れている。しかしながら、上記「反転型MS
R」においても「静磁結合型CAD」においても、かな
りの再生分解能の向上はあるが、さらなる高密度記録を
考えた場合には未だ不十分であり、分解能をより向上さ
せる必要があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】分解能をより向上する
方法として、「ダブルマスク」という方式がある。この
方法は、再生層の磁化が一様に一方向を向き、情報を含
んだ信号が検出されない領域、即ちマスク領域を、再生
層が低温のときと高温のときの両方で発生させるように
するものである。すなわち、再生層が両マスク発生温度
の中間の温度領域にあるときのみ、情報を含んだ信号が
検出される。
【0013】ダブルマスク方式では、アパーチャー、即
ち記録層の磁化が転写される領域を非常に小さくできる
ため、再生分解能の向上が著しい。具体的には、交換結
合した3層膜を用いた方式が知られている。しかし、従
来の方法ではこのマスクを得るのに300Oeを越える
大きな再生磁界を与えなければならず、ドライブにとっ
ては大きな負担となっていた。そこで、本発明では上記
問題点に鑑み、反転型MSRや静磁結合CAD等の静磁
結合を用いたMSR媒体について、高温マスクを用いて
さらに分解能を向上させることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、基板
に、ともに希土類金属と遷移金属の合金よりなる記録層
及び再生層を有し、記録層には情報に応じた磁化方向が
記録され、室温以上において記録層の磁化方向が再生層
に転写される温度領域が存在する光磁気記録媒体であっ
て、
【0015】該記録層と該再生層のあいだに、室温以上
の所定温度で記録層と再生層の交換結合を実質的に遮断
するか、或いは温度によらず常に記録層と再生層の交換
結合を実質的に遮断する切断層を設け、かつ該記録層と
該切断層のあいだに、記録層よりもキュリー温度の低い
垂直磁化膜よりなる制御層を設けることを特徴とする光
磁気記録媒体に存する。なお、本願において室温とは代
表的には25℃程度を言う。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、反転型MSRや静磁結
合CADなど、静磁結合により再生層に磁化方向が転写
される媒体(以下、静磁結合型MSRと称する。)であ
って、再生光スポットの高温領域で静磁結合を切断する
ことによりマスクを生成し、前述のダブルマスクに近い
状態を形成させることで再生分解能を著しく向上させる
ものである。
【0017】すなわち、再生光スポット内の所定温度以
上の領域で静磁結合によって再生層に磁区が転写されて
いる状態で、特に高温のスポット中心部で高温マスクを
生成させる。高温マスクは、記録層と再生層との静磁結
合力を極端に低下させるか、或いは静磁結合力の方向を
記録層の磁区によらない一方向に揃えることにより生成
させ、実質的に再生信号に影響しないようにする。
【0018】このことにより再生スポット内の信号再生
領域を狭くして、再生分解能を著しく向上させることが
可能となる。上記高温マスク生成の原理は、従来からあ
る交換結合した3層膜を用いるフロントアパーチャーデ
ィテクション方式(FAD方式)に一見似ているが、F
AD方式が交換結合力の温度変化を用いるのに対し、本
発明では静磁結合力の温度変化を用いるという特徴があ
る。
【0019】そしてこの特徴によって、静磁結合型MS
R媒体の優れた特質と高い再生分解能を兼ね備えた媒体
が実現できる。本原理を反転型MSR方式に用いた場合
は、前述した磁化反転に伴う信号の強め合いによる分解
能の向上と、本原理による高温マスクの生成の効果の複
合作用により、非常に高い分解能での再生が可能とな
る。さらに、前述した、マーク端の信号ピークによる検
出が可能という反転型MSRの特徴も維持される。 ま
た本原理を静磁結合CADに用いた場合は前述した面内
磁化膜による低温マスクと、本原理による高温マスクと
の複合作用によりダブルマスクとなるので、高温マスク
のみの単なるFADよりも分解能が上がる。さらに、低
クロストークというCADの特徴も維持される。
【0020】さて、大きな再生信号を得るには、記録層
の磁化方向が転写される温度範囲(アパーチャーを生成
する温度範囲)においては静磁結合が充分に大きく、転
写されない温度範囲(マスクを生成する温度範囲)では
静磁結合が充分に小さいことが望ましい。すなわち、静
磁結合力の温度変化が急峻であることが望まれる。この
目的のために、本発明においては、切断層と記録層の間
に記録層より低キュリー温度の制御層を挿入するのであ
る。制御層はそのキュリー温度より充分に低温において
は比較的大きな磁化を有し、再生層との静磁結合により
磁化転写に支配的な役割を果たす。一方、制御層のキュ
リー温度近傍では、制御層の磁化は急激に減少するため
再生層への静磁結合力が低下する。このとき記録層の磁
化は残っているため記録層と再生層は静磁結合している
が、制御層の膜厚が充分厚ければ再生層との距離が遠い
ため、再生層に磁化方向の転写ができなくなる程度に静
磁結合を弱めることができる。また、この温度領域にお
いて記録層の磁化を制御層の磁化に比べ充分小さくして
おけば、より静磁結合力低下の効果が大きい。このよう
にして、再生層の磁区の収縮力によって、あるいは適当
な強度の再生磁界を印加することによって再生層の磁化
方向を一方向に向け高温マスクとすることが可能とな
る。
【0021】以下、静磁結合CADを例にして図面を用
いて本発明を説明する。従来の静磁結合CAD用光磁気
記録媒体の構成は図2に示す通り、基本的に再生層1、
切断層2、記録層4よりなる。例えば、再生層を室温で
希土類金属磁化優勢(REリッチ)、切断層を非磁性層
又は常磁性層とし、記録層を室温で遷移金属磁化優勢
(TMリッチ)あるいは補償組成付近の組成としてお
く。再生層と記録層の間の交換結合は、切断層の存在に
よって温度にかかわらず常に遮断されている。
【0022】さて、室温において再生層1は、面内磁化
膜であり記録層の記録磁区を転写せず再生に寄与する信
号を発生しないが、再生光スポット12が照射され昇温
されると再生層の磁化は減少し、ある遷移温度Tpで垂
直磁化膜となり静磁結合力5によって、記録層4の磁化
方向が転写され、高温領域7では再生層1に記録磁区が
あらわれる。温度上昇にともない、TMリッチである記
録層4の磁化が増大するため、昇温するほど強い静磁結
合が得られる。従って、高温領域7の全てにわたって再
生層1には、記録方向磁区6a、消去方向磁区6b、記
録方向磁区6cの順に記録磁区があらわれる。例えば光
変調記録においては、記録時に、全ての磁化を一旦同一
方向に揃え(消去)、その後逆方向の磁化のみを記録す
るため、便宜上、前者の方向を消去方向磁区、後者の方
向を記録方向磁区と呼ぶ。図では、上向き矢印の磁区を
記録方向磁区、下向き矢印の磁区を消去方向磁区として
いる。再生光スポット12内で記録磁区があらわれてい
る領域、即ちアパーチャー8の領域で再生信号が発生す
る。このため、記録方向磁区6cを再生しようとして
も、再生信号に消去方向磁区6bからの再生信号も含ま
れてしまう。同様に、消去方向磁区6bを再生するとき
にも、再生信号には記録方向磁区6aからの再生信号が
含まれる。このため再生分解能が低くなってしまう。
【0023】これに対して、本発明の光磁気記録媒体の
一実施形態である図1においては、記録層4と切断層2
のあいだに、記録層4よりもキュリー温度の低い制御層
3を設ける。記録層と制御層はともに垂直磁化膜であ
り、互いに静磁結合又は交換結合しており、制御層が記
録層の磁化方向を転写する。両者が結合力の強い交換結
合を行っていることが好ましい。この場合制御層は室温
でTMリッチあるいは補償組成付近の組成であることが
好ましく、より好ましくはTMリッチである。さらに、
より強い静磁結合力を得るためにTMリッチで室温で記
録層よりも大きな磁化を有していることが特に好まし
い。
【0024】本媒体に再生光スポット12が照射され昇
温されると、図1と同様に再生層の遷移温度Tp以上で
再生層に記録層の磁化方向が転写され、高温領域7では
再生層1に記録磁区があらわれる。しかし、温度がさら
に上がり、制御層のキュリー温度Tcc付近に達する
と、制御層の磁化が急激に減少する。このため静磁結合
力5が減少して再生層に磁化方向を転写することが不可
能になる。このとき再生層の磁化が充分に小さければ、
磁区収縮によって再生層磁化は消去方向に揃い、高温マ
スク9を生成する。弱い再生磁界を消去方向に加えて磁
区収縮を補助することも可能である。このときアパーチ
ャー8を図のように非常に小さくすることができる。
【0025】高温マスク9の領域は常に消去方向の磁区
であるため、記録方向磁区6cを再生しようとするとき
も、消去方向磁区6bを再生しようとするときもそれら
磁区からの再生信号に常に一定の大きさの消去方向磁区
の再生信号が加わるだけであるから、その影響は差し引
くことができる。従ってアパーチャー8からの再生信号
だけを得ることができ、分解能は大きく向上する。上記
のことから、再生層に記録層の磁化方向が転写される領
域(アパーチャー)を形成するためには下記式を満たす
ことが条件となる。 Tcc > Tp (1)
【0026】図から明らかなように、高温マスク9が形
成されない状態(図2)と比べ、高温マスクが形成され
た状態(図1)ではアパーチャー8の幅が著しく狭くな
り、高分解能が実現できることが分かる。なお、図2の
ように制御層がない従来の媒体でも、記録層はそのキュ
リー温度付近では磁化が著しく低下するため、記録層の
組成によっては、高温マスクを生成させることが原理的
に可能である。しかしこの場合は、再生時に記録層の温
度をキュリー温度付近まで上げてしまうため、わずかな
再生パワー変動あるいは環境温度変動によって媒体温度
は記録層のキュリー温度を越えてしまい、記録磁区自体
が消失してしまう。たとえキュリー温度を越えない場合
でも、連続再生耐久性が著しく悪化してしまう。
【0027】本発明の構成によれば、記録層のキュリー
温度よりかなり低い温度で静磁結合力を変化させること
ができる。このため記録層の記録磁区の安定性を確保し
た上で高温マスクを生成することができ、広い再生パワ
ーマージンが得られるのである。さて、静磁結合は再生
層の磁化Mrと記録層の磁化Mwの積に比例する。そし
て、MrとMwの積の値がある値以下になり、静磁結合
力が所定値以下になったときマスクが生成される。図1
に示す媒体は制御層のキュリー温度Tcc付近で、ある
程度の温度範囲にわたって制御層の磁化が低下し、静磁
結合力が低下する。従って、キュリー温度より低い温度
で、再生層にマスクが生成される。ところで、記録層の
磁化Mwは温度の他に組成中の希土類金属の量の変動に
より大きく変化する。ただし、Mwが0となる温度、即
ちキュリー温度は組成が多少変動してもあまり変化しな
い。つまり、キュリー温度から離れるほど組成によるM
w変動は大きくなる。従って図1に示す媒体は、制御層
の組成が変動したときにMwも変動し、マスクの生成温
度も変化しやすい傾向があり、媒体間あるいは同一媒体
内での再生光感度にばらつきが生じる可能性がある。
【0028】本発明において好ましくは、制御層と切断
層の間にバイアス層を挿入することで、このばらつきを
抑えることができる。図3に本発明の光磁気記録媒体の
別の形態を示す。この場合、制御層3と切断層2の間に
さらにバイアス層11が挿入されている。バイアス層1
1は制御層3と交換結合しており低保磁力、高キュリー
温度の膜である。媒体が制御層のキュリー温度付近に達
するとその交換結合が切れ、このとき磁区の縮小によ
り、あるいは再生磁界によりバイアス層11の磁化は一
方向を向き高温マスクを形成する。この結果、磁化が一
方向に揃ったバイアス層との静磁結合力により、再生層
も同様に磁化が一方向に揃いマスクを生成する。
【0029】本媒体は、制御層のキュリー温度Tccに
ごく近い温度でマスクが生成される。前記説明のごと
く、キュリー温度付近では組成変動によるMwの変化は
あまりないため、マスクの生成温度も変化しにくい。こ
のため、再生光感度のばらつきが小さくマスクの形状変
動も小さいという利点がある。この場合再生層との静磁
結合はバイアス層の磁化により行われるため、バイアス
層は室温でTMリッチであることが好ましいが、制御層
に関してはTMリッチである必要は無い。
【0030】こういった媒体に記録を行う方法として
は、磁界を一定とし光パルスに記録情報を載せる光変調
方式と光のパワーを一定とし磁界方向に記録情報を載せ
る磁界変調方式の二通りがある。本発明はいずれの記録
方式への適用も可能である。静磁結合型CADの光磁気
記録媒体の再生信号波形の模式図を図4に示す。図4
(a)は本発明の媒体、図4(b)は従来の媒体に関
し、いずれも波形の山側が記録方向磁区を再生したと
き、谷側が消去方向磁区を再生したときのものである。
従来の媒体は図4(b)のように両者は対称の波形を示
すが、本発明の媒体による再生信号波形は、高温マスク
の生成により図4(a)のように非対称な形状となる。
ただし再生分解能限界付近では高調波がカットされて歪
みがとれるため、図4(b)の波形に近づく。さて、本
発明の媒体に一見似たものとして、特開平10−255
344に記録層、面内磁化層、中間層、及び再生層から
なり面内磁化層のキュリー温度が、再生層が面内磁化状
態から垂直磁化状態になる温度近傍にある媒体が記載さ
れている。しかし、この媒体は、面内磁化層により、低
温でマスクを生成するものであって本発明の高温マスク
を生成するという目的、マスク生成の過程とも全く異な
るものである。
【0031】以下反転型MSR、ならびに静磁結合CA
Dを例として媒体各層の特性についてさらに詳細に説明
する。ただし、これらに限らず静磁結合を用いる媒体で
あれば本発明を適用できる。本発明において再生層は希
土類金属磁化優勢の組成が好ましい。このとき、反転型
MSRにおいては、交換結合力による再生層磁化と静磁
結合力による再生層磁化の方向とが逆になる。また静磁
結合CADにおいては、低温で面内磁化膜であり高温で
磁化の減少により垂直磁化膜に移行する。
【0032】静磁結合により磁化方向が転写されるため
に、再生層の保磁力は少なくとも記録層より小さいこと
が好ましい。好ましい保磁力は室温において0〜500
Oeである。さらに好ましくは0〜300Oeである。
こういった再生層に用いられる物質としては、GdFe
Co、GdCo、GdFe、GdDyFe、GdDyC
o、GdDyFeCo、GdTbFe、GdTbCo、
GdTbFeCo、DyFeCo、DyCo、TbC
o、TbFeCo、TbDyFeCo、TbDyCo等
の希土類と遷移金属の合金が挙げられる。
【0033】中でも、Gdを含有する合金を用いるのが
キュリー温度や保磁力の点から好ましい。特に好ましい
のはGdFeCoやGdFeである。キュリー温度は、
250℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは
300℃以上である。再生層の光入射側にPtCoや、
PtとCoの超格子等の磁性体を再生層に積層させるこ
ともできる。再生層の垂直磁気異方性を大きくするに
は、磁性層にある程度の膜応力をもたせて逆磁歪効果に
よる異方性を発生させるのが好ましい。再生層の膜厚
は、薄い方が磁化が垂直に立ちやすく好ましい。
【0034】しかし、膜厚が薄いと、漏洩磁束が小さく
なり、静磁結合力が減少したり、再生光が透過してしま
い再生信号が劣化するので、10nm以上とし、100
nm以下とするのが好ましい。さらに好ましくは、15
nm以上とし、70nm以下とする。特に好ましくは2
0nm以上とし、60nm以下とする。静磁結合CAD
の場合、低温マスク生成のため再生層の磁化が面内から
垂直に移行する温度Tpは室温より充分高いことが望ま
しく、Tpは100℃以上が好ましい。さらに好ましく
は120℃以上である。ただし、先に述べたように制御
層のキュリー温度Tccより低くする必要があるため、
好ましくは250℃以下である。さらに好ましくは22
0℃以下である。GdFeCoを再生層に用いる場合、
原子比で、 Gdx (FeY Co100-Y 100-X としたとき、Xについて好ましくは27≦X≦35であ
り、さらに好ましくは28≦X≦33である。またYに
ついて好ましくは70≦Y≦100であり、さらに好ま
しくは75≦Y≦95である。
【0035】再生層と記録層の間には交換結合を切断す
るための切断層を設ける。切断層は媒体の温度上昇に伴
い、あるいは温度にかかわらず交換結合力を実質的に切
断するものである。反転型MSRにおいてはキュリー温
度が記録層、再生層より低い層であり、キュリー温度を
越える高温において交換結合を遮断する。静磁結合CA
Dでは全ての温度領域において交換結合を遮断するよう
に、主に非磁性ないし常磁性の膜を用いる。
【0036】反転型MSRにおいて切断層は、キュリー
温度が再生層や記録層と比べて小さいものを用いる。切
断層のキュリー温度Tc2は、90〜180℃程度が好
ましい。Tc2が低いと交換結合し磁区が転写された領
域からの信号が小さくなり、高いと高い再生パワーを必
要とし、またこのため、再生パワーで記録されないよう
感度を下げるので必然的に高い記録パワーを必要とする
ようになる。ある程度の大きさのアパーチャーを確保す
るためTc2は制御層のキュリー温度Tccより低いこ
とが好ましく、さらに好ましくは30℃以上低いことで
ある。切断層は垂直磁気異方性が高く、再生層の磁化に
強い力を発生させるものが好ましい。
【0037】切断層に用いられる物質としては、TbF
e、TbFeCo、DyFeCo、DyFe、TbDy
FeCo等の希土類と遷移金属の合金が好ましい。膜厚
は2nm以上とし、30nm以下とすることが好まし
い。薄いと交換結合の遮断が十分に行われにくくなり、
厚いと静磁結合の磁束が届きにくくなる。静磁結合CA
Dにおいて、切断層は金属、誘電体等の少なくとも再生
層に磁化方向が転写される温度で非磁性又は常磁性のも
のが好ましく用いられる。例えばAl、Ta、Cr、T
i、W、Si、Pt、Cu、Tb、Gd、Dy、Si3
4 、AlN、TiN、カーボン、水素化カーボン等で
ある。これらの混合物であってもかわまない。ただし透
磁率の高いもの、例えばFe、Ni等は磁束を透過せ
ず、静磁結合を低下させるため好ましくない。
【0038】膜厚は1nm以上とし、30nm以下とす
ることが好ましい。さらに好ましくは2nm以上とし2
0nm以下とする。薄いと交換結合の遮断が十分に行わ
れにくくなり、厚いと静磁結合の磁束が届きにくくな
る。制御層は記録層よりもキュリー温度の低い層とす
る。ただし、先に述べたようにアパーチャーを確保する
ためにキュリー温度はある程度以上の高温であるのが望
ましい。好ましいキュリー温度Tccは140℃以上で
ある。さらに好ましくは160℃以上である。アパーチ
ャーを充分確保するためTpとTccの温度差は20℃
以上とすることが好ましい。さらに好ましくは30℃以
上である。
【0039】また、再生パワーマージンを広げるために
はTccと、記録層のキュリー温度Tcwの差を充分と
る必要があり、その差が20℃以上であることが好まし
い。さらに好ましくは40℃以上である。制御層は垂直
磁化膜であり、これを形成する物質としては、TbFe
Co、TbCo、TbFe、DyFeCo、TbDyF
eCo、GdTbFe、GdDyFe、GdDyFeC
o、GdTbFeCo、GdFeCo、GdFe等の希
土類−遷移金属合金が好ましく用いられる。特に好まし
くはTbFeCo、DyFeCoまたはGdFeあるい
はこれらの合金である。中でもキュリー温度が低く調整
でき、大きな遷移金属磁化を有していても垂直磁気異方
性の高いTbFeCo、DyFeCo、あるいはこれら
の合金が好ましい。バイアス層が無い場合、制御層は室
温でTMリッチであることが好ましい。
【0040】制御層の膜厚は10nm以上とし、100
nm以下とすることが好ましく、さらに好ましくは20
nm以上とし、70nm以下とする。特に好ましくは2
5nm以上とし、60nm以下とする。制御層は記録層
と交換結合していることが好ましい。制御層が厚いと記
録感度が悪くなりやすく、記録層から制御層への磁化方
向転写も行われにくくなる。一方、制御層が薄いと、制
御層の発生する静磁結合力が小さくなり、Tcc近辺で
の静磁結合の変化が小さくなってしまう。
【0041】制御層にTbFeCoを用いる場合、原子
比で、 TbX (FeY Co100-Y 100-X としたとき、Xについて好ましくは18≦X≦25であ
り、さらに好ましくは19≦X≦24である。またYに
ついて好ましくは80≦Y≦100であり、さらに好ま
しくは85≦Y≦95である。
【0042】制御層にDyFeCoを用いる場合、原子
比で、 DyX (FeY Co100-Y 100-X としたとき、Xについて好ましくは18≦X≦25であ
り、さらに好ましくは19≦X≦24である。またYに
ついて好ましくは60≦Y≦95であり、さらに好まし
くは70≦Y≦90である。
【0043】記録層は単独の膜でも良いし、複数の膜か
らなっていても良い。各記録膜は再生光による加熱で劣
化しない大きさのキュリー温度を有していることが必要
である。記録層が保磁力の低い膜(例えばGdFeC
o)と保磁力の高い膜(例えばTbFeCo)との組み
合わせである場合、高保磁力膜に記録すれば交換結合力
により低保磁力膜に転写される。記録層が高い垂直磁気
異方性を持つことも、安定に記録磁区を保持するために
好ましい。
【0044】記録層は垂直磁化膜であり、これを形成す
る物質としては、少なくとも一つの記録膜が高い保磁力
を持ち、記録を安定に蓄え得ることが好ましい。この高
保磁力膜としてはTbFeCo、TbCo、DyFeC
o、TbDyFeCo、GdTbFe、GdTbFeC
o等が好ましく用いられる。中でもTbFeCoが垂直
磁気異方性が高く、保磁力が大きいので特に好ましい。
保磁力は5kOe以上であることが好ましい。高保磁力
膜以外の膜は、高保磁力膜と交換結合していれば、単独
で保磁力が小さいものでもかまわない。例えばGdF
e、GdFeCo、GdCoである。
【0045】記録層の膜厚は20nm以上、100nm
以下であることが好ましく、さらに好ましくは25nm
以上、70nm以下である。記録層が薄いと安定して制
御層に磁区方向を転写しにくくなる。また、厚いと感度
及び生産性が悪くなりやすい。記録層のキュリー温度が
低いと、再生のパワーマージンが狭くなるので、200
℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは250
℃以上である。ただし、高過ぎれば記録に要するレーザ
ーパワーが非常に大きくなってしまうので350℃以下
であることが好ましい。
【0046】記録層にTbFeCoを用いる場合、原子
比で、 TbX (FeY Co100-Y 100-X としたとき、Xについて好ましくは20≦X≦26であ
り、さらに好ましくは21≦X≦25である。またYに
ついて好ましくは60≦Y≦90であり、さらに好まし
くは65≦Y≦85である。
【0047】高温マスクの形成には、制御層の磁化が低
下したとき、記録層からの再生層への静磁結合力が充分
弱くなる必要がある。このため、記録層が室温でほぼ補
償組成であるか、わずかにREリッチである組成が好ま
しい。バイアス層を設ける場合、Tcc以上でマスク生
成を行うためにバイアス層は保磁力を低くするのが望ま
しい。保磁力はTccにおいて300Oe以下であるこ
とが好ましい。このため、GdFe、GdFeCo、G
dCo等が好ましく用いられる。キュリー温度は制御層
より高い必要がある。好ましくは200℃以上、さらに
好ましくは250℃以上である。強い静磁結合力を発生
するためにバイアス層は室温でTMリッチであることが
好ましい。
【0048】以上の磁性層は、希土類金属と遷移金属の
合金を用いた場合、非常に酸化しやすいため、磁性層の
両側に保護膜を着けた態様をとることが好ましい。保護
膜としては、酸化Si、酸化Al、酸化Ta、酸化T
i、窒化Si、窒化Al、炭化Siなどの単体あるいは
それらの混合物が好ましく用いられる。保護膜の膜厚は
50nm〜150nm程度が好ましい。基板側の保護膜
を作製後、表面をプラズマエッチングすることで磁性層
の磁気異方性を向上させることができる。
【0049】磁性層の記録層側に直接あるいは保護層を
介して、放熱層としてAl、Cu、Au、Ag等の単
体、あるいはそれを主体とした合金よりなる高熱伝導物
質を設けることは、再生時の熱分布を安定させるうえで
望ましい構成である。放熱層の膜厚は10nm〜100
nm程度が好ましい。静磁結合力をより確実に発生させ
るため、記録層の再生層とは反対の側に透磁率が記録層
よりも大きい層、例えばFe、Ni、Co、FeNi、
AlSiFe等を直接あるいは非磁性層を介して10〜
50nm程度設けても良い。こういった層の効果により
記録層の漏洩磁束がより効率的に発生し再生層と結合す
る。記録層と直接接すると記録層の垂直磁気異方性が低
下するので非磁性層を介することが好ましい。
【0050】本発明の媒体を再生するにあたっては、制
御層の温度がそのキュリー温度以上となるよう加熱しな
がら再生する。その際、再生磁界を高温マスク形成を補
助する方向に加えておくことが高温マスクを安定化する
上で好ましい。再生磁界の大きさは、弱過ぎれば効果が
無いが、強過ぎれば静磁結合力による転写を阻害してし
まう。好ましくは300Oe以下であり、10Oe以下
である。さらに好ましくは50Oe以上、250Oe以
下である。
【0051】光変調記録においては消去方向磁区に比べ
て記録方向磁区の面積が小さい。光変調記録では、通
常、一旦記録した磁区を消去する際には、DC光を照射
した記録方向磁区幅以上の消去を行うためである。従っ
て、記録方向磁区を消去側に反転させてマスクを生成す
るのが容易である。よって、消去方向に再生磁界を加え
ることが好ましい。磁界変調記録においてはいずれの方
向の磁区もほぼ同一面積であるため、再生磁界をどちら
側に加えても良い。本発明はランド記録及びグルーブ記
録のいずれに用いることも可能であるし、ランドとグル
ーブの両方に記録する方式に用いることも可能である。
【0052】
【実施例】以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。 実施例1 反転型MSR方式の光磁気記録媒体を作製するためスパ
ッタリング装置に0.85μmのトラックピッチの案内
溝を持ったポリカーボネート基板を導入し、5×10-5
Pa以下の真空度まで排気を行った。この後、保護層と
して基板上に反応性スパッタリングを用い厚さ80nm
の酸化Taを形成した。次に酸化Ta上に、Gd33(F
80Co2067よりなる厚さ30nmの再生層、Tb21
Fe80よりなる厚さ10nmの切断層、Dy21(Fe80
Co2079よりなる厚さ30nmの制御層、Tb22(F
80Co2076よりなる厚さ50nmの記録層を設け
た。最後にSiNよりなる厚さ50nmの保護層を設け
た。
【0053】再生層、切断層、制御層、記録層のキュリ
ー温度を測定したところ、各々300℃以上、120
℃、190℃、270℃であった。再生層は室温におい
ては希土類金属磁化が優勢で保磁力はほぼ零であった。
切断層は室温において遷移金属磁化が優勢で保磁力は8
kOeであった。制御層は室温で遷移金属磁化優勢で保
磁力は4kOeであった。記録層は室温で遷移金属磁化
が優勢で、保磁力は14kOeであった。
【0054】このようにして作製したディスクを波長6
80nmのレーザー光源と、開口数0.55のピックア
ップを有する評価機を用いてCNR(Career t
oNoise Ratio,CN比)を測定した。記録
条件は線速8m/sにおいて周波数10.53MHzで
記録光を変調させて記録を行った。これは、各マーク長
0.38μmに相当する。記録前には8mWの消去パワ
ーの光を照射しつつ消去方向に300Oeの磁界を加え
て予め消去を行った。再生時には再生磁界として150
Oeを消去方向に加えながら、再生パワーを変化させて
再生した。
【0055】図5にCNRの再生パワー依存性のグラフ
を示す。再生パワーPrが1.2mWまではMSRでな
い通常の再生となり、1.4mW以上では超解像の効果
が現れMSR再生となった。さらに、Prを2.8mW
以上とすると高温マスクが現れ、CNRが急激に増加し
た。CNRは最大で49.5dBが得られた。この領域
では再生信号波形が図4(a)のように非対称になり、
高温マスクの生成が確認された。CNRが45dB以上
となるパワーとして定義したパワーマージンWは、3.
3mW±15%と十分に広かった。
【0056】実施例2 静磁結合CAD方式を用いた光磁気記録媒体を作製する
ためスパッタリング装置に0.85μmのトラックピッ
チの案内溝を持ったポリカーボネート基板を導入し、5
×10-5Pa以下の真空度まで排気を行った。この後、
保護層として基板上に反応性スパッタリングを用い厚さ
80nmの酸化Taを形成した。次に酸化Ta上に、G
29(Fe80Co2071よりなる厚さ30nmの再生
層、Gdよりなる厚さ5nmの切断層、Tb20(Fe90
Co1078よりなる厚さ30nmの制御層、Tb23(F
80Co2077よりなる厚さ60nmの記録層を設け
た。次にSi3 4 よりなる厚さ30nmの保護層を設
け、最後にAl98Ta2 による厚さ20nmの放熱層を
設けた。
【0057】再生層、制御層、記録層のキュリー温度を
測定したところ、各々300℃以上、200℃、270
℃であった。再生層は室温においては希土類金属磁化が
優勢で面内磁化膜であった。制御層は室温で遷移金属磁
化優勢で保磁力は7kOeであった。記録層は室温で遷
移金属磁化が優勢で保磁力は18kOeであった。再生
層が面内磁化膜から垂直磁化膜に移行する温度は140
℃であった。このようにして作製したディスクを、再生
磁界の大きさを100Oeとした以外は実施例1と同条
件で記録し評価した。
【0058】図6にCNRの再生パワー依存性のグラフ
を示す。再生パワーPrが低いところでは再生層が面内
磁化膜であるため信号がほとんど得られないが、Prの
増加とともに信号が増加し、Prを2.6mW以上とす
ると高温マスクが現れ、CNRが急激に増加した。CN
Rは最大で47.5dBが得られた。この領域では波形
が図4(a)と同様に非対称になり、高温マスクの生成
が確認された。再生パワーマージンWは3.1mW±1
6%であった。また、このディスクを、Prを3.2m
Wと固定し再生磁界を変化させながら再生した結果を図
7に示す。図7において正の磁界方向が消去磁界の方向
である。図から明らかなように、再生磁界が消去磁界方
向で300Oe以下のときに特に高いCNRが得られて
いる。
【0059】比較例1 制御層を設けない以外は実施例2と同様にディスクを作
製した。このディスクを実施例2と同様に光変調記録を
行い評価したところ、図6に示すように再生パワーPr
が3.4mW以上で高温マスクによるCNRの増加が観
察されたものの、Pr3.6mWでは記録層の記録磁区
が劣化したことにより早くもCNRが低下し、再生パワ
ーマージンが不十分であった。Pr3.4mWにおいて
もディスク内での信号がやや不均一であった。最大のC
NRは46.0dBであった。なお、Prが3.4mW
より低いところでは波形は対称のままであり、高温マス
クが生成されない通常のCADであった。再生パワーマ
ージンWは3.5mW±3%と非常に狭かった。
【0060】実施例3 切断層を厚さ10nmのSi3 4 、制御層を厚さ40
nmのGd20Fe80とした以外は、実施例2にと同様に
してディスクを作製した。制御層のキュリー温度を測定
したところ、210℃であった。室温で遷移金属磁化優
勢で保磁力はほぼ零であった。このようにして作製した
ディスクを実施例2と同様に評価を行った。図8にCN
Rの再生パワー依存性のグラフを示す。再生パワーPr
が低いところでは再生層が面内磁化膜であるため信号が
ほとんど得られないが、Prの増加とともに信号が増加
し、Prを2.8mW以上とすると高温マスクが現れ、
CNRが急激に増加した。CNRは最大46.5dBが
得られた。この領域では波形が図4(a)と同様に非対
称になり、高温マスクの生成が確認された。再生パワー
マージンWは3.4mW±12%であった。
【0061】実施例4 静磁結合CAD方式の光磁気記録媒体を作製するためス
パッタリング装置に0.85μmのトラックピッチの案
内溝を持ったポリカーボネート基板を導入し、5×10
-5Pa以下の真空度まで排気を行った。この後、保護層
として基板上に反応性スパッタリングを用い厚さ80n
mのSi3 4 を形成した。次にSi34 上に、Gd
29(Fe80Co2071よりなる厚さ30nmの再生層、
Gdよりなる厚さ5nmの切断層、Gd20(Fe80Co
2080よりなる厚さ30nmのバイアス層、Tb23(F
90Co1078よりなる厚さ5nmの制御層、Tb
23(Fe80Co2077よりなる厚さ60nmの記録層を
設けた。次にSi3 4 よりなる厚さ30nmの保護層
を設け、最後にAl98Ta2 による厚さ20nmの放熱
層を設けた。
【0062】再生層、バイアス層、制御層、記録層のキ
ュリー温度を測定したところ、各々300℃以上、30
0℃以上、200℃、270℃であった。再生層は室温
においては希土類金属磁化が優勢で面内磁化膜であっ
た。バイアス層は室温では遷移金属磁化が優勢で保磁力
は零であった。制御層は室温で遷移金属磁化優勢で保磁
力は7kOeであった。記録層は室温で遷移金属磁化が
優勢で保磁力は18kOeであった。
【0063】再生層が面内磁化膜から垂直磁化膜に移行
する温度は140℃であった。このようにして作製した
ディスクを、再生磁界の大きさを200Oeとした以外
は実施例1と同条件で記録し評価した。図9にCNRの
再生パワー依存性のグラフを示す。再生パワーPrが低
いところでは再生層が面内磁化膜であるため信号がほと
んど得られないが、Prの増加とともに信号が増加し、
Prを2.8mW以上とすると高温マスクが現れ、CN
Rが急激に増加した。CNRは最大48.8dBが得ら
れた。この領域では波形が図4(a)と同様に非対称に
なり、高温マスクの生成が確認された。再生パワーマー
ジンは3.3mW±15%であった。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、静磁結合を用いた磁気
誘導超解像光磁気記録媒体において、記録層と再生層の
間に切断層を設け、さらに切断層と記録層の間に低キュ
リー温度の制御層を挿入することで、高温部の静磁結合
を遮断し、高温マスクの生成を行うことにより、反転型
MSRや静磁結合CAD等の各々の特徴を損なわずに、
幅広い再生パワーにおいてCNRを増加させ、分解能を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の静磁結合超解像媒体の機構説明
【図2】従来の静磁結合超解像媒体の機構説明図
【図3】本発明の他の一例の静磁結合超解像媒体の機構
説明図
【図4】(a)本発明の媒体による再生信号波形と
(b)従来の媒体による再生信号波形を示す模式図
【図5】実施例1におけるCNRの再生パワー依存性
【図6】実施例2及び比較例1におけるCNRの再生パ
ワー依存性
【図7】実施例2におけるCNRの再生磁界依存性
【図8】実施例3におけるCNRの再生パワー依存性
【図9】実施例4におけるCNRの再生パワー依存性
【符号の説明】
1 再生層 2 切断層 3 制御層 4 記録層 5 静磁結合力 6 記録磁区 6a 記録方向磁区 6b 消去方向磁区 6c 記録方向磁区 7 高温領域 8 アパーチャー 9 高温マスク 10 外部磁界 11 バイアス層 12 再生光スポット

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、ともに希土類金属と遷移金属
    の合金よりなる記録層及び再生層を有し、記録層には情
    報に応じた磁化方向が記録され、室温以上において記録
    層の磁化方向が再生層に転写される温度領域が存在する
    光磁気記録媒体であって、 該記録層と該再生層のあいだに、室温以上の所定温度で
    記録層と再生層の交換結合を実質的に遮断するか或いは
    温度によらず常に記録層と再生層の交換結合を実質的に
    遮断する切断層を設け、かつ該記録層と該切断層のあい
    だに、記録層よりもキュリー温度の低い垂直磁化膜より
    なる制御層を設けることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 室温以上の温度において、静磁結合によ
    り該記録層の磁化方向が該再生層に転写される請求項1
    に記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 該制御層が室温において遷移金属磁化優
    勢である請求項1又は2に記載の光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 該再生層が室温において希土類金属磁化
    優勢である請求項1乃至3のいずれかに記載の光磁気記
    録媒体。
  5. 【請求項5】 該切断層が非磁性体又は常磁性体よりな
    る請求項1乃至4のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 該切断層が該制御層よりキュリー温度の
    低い磁性体よりなる請求項1乃至5のいずれかに記載の
    光磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 該再生層が室温で面内磁化膜であり、室
    温以上の所定の温度で垂直磁化膜となる請求項1乃至6
    のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 該再生層が垂直磁化膜となる温度が該制
    御層のキュリー温度より低い請求項1乃至7のいずれか
    に記載の光磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 該制御層と該切断層の間に制御層よりも
    キュリー温度の高いバイアス層を設ける請求項1乃至8
    のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 該バイアス層が室温で遷移金属磁化優
    勢である請求項9に記載の光磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    光磁気記録媒体に光を照射して再生する方法であって、
    制御層の温度がそのキュリー温度以上となるよう加熱し
    ながら再生することを特徴とする光磁気記録媒体の再生
    方法。
  12. 【請求項12】 300Oe以下の磁界を加えながら再
    生を行う請求項11に記載の光磁気記録媒体の再生方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002035540A1 (fr) * 2000-10-26 2002-05-02 Fujitsu Limited Support d'enregistrement magneto-optique, procede de reproduction et dispositif correspondant
US7050361B2 (en) 2001-03-27 2006-05-23 Fujitsu Limited Magneto-optical storage medium and optical disk drive

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