JP2001176140A - 光磁気記録媒体及びその記録再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体及びその記録再生方法

Info

Publication number
JP2001176140A
JP2001176140A JP36890699A JP36890699A JP2001176140A JP 2001176140 A JP2001176140 A JP 2001176140A JP 36890699 A JP36890699 A JP 36890699A JP 36890699 A JP36890699 A JP 36890699A JP 2001176140 A JP2001176140 A JP 2001176140A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
recording
magnetization
reproducing
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP36890699A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshifumi Kawano
敏史 川野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP36890699A priority Critical patent/JP2001176140A/ja
Priority to US09/565,555 priority patent/US6430116B1/en
Publication of JP2001176140A publication Critical patent/JP2001176140A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 再生時の記録層から再生層への良好な転写性
と、低記録磁界での記録とを両立させ、かつ再生分解能
が高く再生特性と記録特性がともに優れた光磁気記録媒
体、特に磁界変調記録方式に適した光磁気記録媒体とそ
の記録再生方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも記録層、切断層、及び再生層
をこの順に有し、記録層には情報に応じた磁化方向が記
録され、切断層は、室温以上の所定温度で記録層と再生
層との交換結合を実質的に遮断するか、或いは温度によ
らず常に記録層と再生層との交換結合を実質的に遮断
し、室温以上に記録層の磁化方向が再生層に転写される
温度領域が存在する光磁気記録媒体であって、記録層に
接して、記録層より低いキュリー温度を有するとともに
室温で記録層の磁化と反対の磁化方向を有する磁化制御
層を設ける光磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は情報記録に用いる光
磁気記録媒体及びその記録再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録媒体は、情報を磁性層に磁化
方向として記録する媒体である。高密度かつ低コストの
書換え可能な媒体であり、コンピューターの外部記憶装
置や音楽用記録再生装置などのための情報記録媒体とし
て用いられている。中でも希土類金属と遷移金属のアモ
ルファス合金の記録層を用いた光磁気記録媒体は非常に
優れた特性を示している。現在でも非常に大きな記録容
量を有する光磁気ディスクが実用化されているが、社会
の情報量の増大に伴いさらなる大容量化が望まれてい
る。
【0003】光磁気ディスクの記録密度の限界は通常の
場合、その再生光のスポットの大きさで決まってしま
う。スポットの大きさはレーザーの波長が短いほど小さ
くすることができるため、レーザーの短波長化の検討が
進められているが、困難を伴っておりまた短波長レーザ
ーの使用は高コストの要因となる。一方、レーザーの波
長によって決定される以上の分解能を色々な工夫によっ
て得ようとする、いわゆる超解像技術の試みが近年行わ
れている。そのひとつとして、光磁気ディスクにおいて
多層の磁性層同士の交換結合力を用いた超解像(Magnet
ically induced super resolution 、以下、MSRとも
称する。)が報告されている。
【0004】本方式は、基本的に、情報を記録した層
(記録層)と情報を再生する層(再生層)とからなり、
記録は記録層に対して行い、再生時に記録層の磁化方向
を再生層に転写して読み出す。通常、記録層などの磁性
層の加熱温度によって再生層への転写状態がコントロー
ルされる。本方式によれば、再生光スポット内に温度分
布があるのを利用し、この温度分布により再生層の磁区
を変形させることで再生信号の波形干渉を軽減できるた
め、高密度の記録情報を品質よく再生することができ
る。MSR方式には、静磁結合を利用するもの、交換結
合を利用するもの、などがある。静磁結合を用いたMS
R方式のひとつとして、本発明者らは特開平7−147
029号において、保磁力の小さい再生層、キュリー温
度の低い切断層、さらにキュリー温度が高く保磁力が大
きい記録層の互いに交換結合した3層からなる媒体を用
いる「反転型MSR」と呼ばれる方式を提案している。
反転型MSR方式では、再生光スポット内の低温部で再
生層と記録層とが切断層を通して交換結合される。この
とき再生層の副格子磁化の方向と記録層の副格子磁化の
方向が一致する。
【0005】一方、高温部では切断層の温度がキュリー
温度を超えてしまうため再生層と記録層との交換結合が
切断される。このため再生層と記録層の関係は静磁結合
が支配的になり、再生層の磁化方向と記録層の磁化方向
とが一致する。ここで、再生層と記録層がいずれも遷移
金属と希土類金属の合金からなるとする。希土類金属と
遷移金属の磁化がちょうど打ち消しあうような組成は補
償組成と呼ばれ、これより遷移金属が多い組成を遷移金
属磁化優勢(transition metalrich 、以下、TMリッ
チとも称する。)、希土類金属が多い組成を希土類金属
磁化優勢(rare earth rich 、以下、REリッチとも称
する。)と呼ぶ。従って、再生層と記録層がともにTM
リッチであれば、再生層と記録層の磁化方向は常に同じ
になる。
【0006】しかし、再生層がREリッチ、記録層がT
Mリッチといったように優勢磁化が相違するときには、
再生層と記録層の副格子磁化方向を一致させた場合と、
再生層と記録層の磁化方向を一致させた場合とでは、再
生層の磁化状態は逆になる。すなわち、再生光を照射し
媒体が加熱されるとまず低温部で記録層との交換結合に
より再生層の磁化があらわれ、さらに加熱され高温にな
り交換結合が切れると再生層の磁化は反転する。高密度
の垂直磁気記録においては、この反転した磁化が反転し
ていない隣接マークと信号を強め合う働きをするため、
高い分解能が実現できるのである。反転型MSR方式で
はさらに、磁気ディスクと同様、マーク(磁区)の中心
部ではなくマークの端部(磁区の境界部)において信号
強度が最大となるため、信号のピーク位置を検出するこ
とでマーク端部が容易に検出できる。このため、安価な
磁気ディスクの信号検出系回路をそのまま利用してマー
ク長変調記録信号の再生ができるというコスト的な長所
がある。
【0007】また、静磁結合を用いたMSR方式の他の
方式として、特開平8−221818号のような、再生
層として、低温では面内磁化を有し高温になり磁化が小
さくなるにつれて垂直磁化膜となるような再生層を用
い、記録層と再生層の間に非磁性の遮断層を設け、静磁
結合力だけで記録層の磁化方向を再生層に転写する「静
磁結合CAD」と呼ばれる方式も提案されている。静磁
結合CAD方式では、高温でのみ記録層の磁化が再生層
に転写され、信号が読み出せる。低温で記録層磁化方向
の転写が行われず面内磁化膜なので、いわゆる低温マス
クが生成され隣接トラックとの信号干渉(クロストー
ク)を小さくすることができる点で優れる。
【0008】一方、静磁結合を用いず交換結合のみを利
用するMSR方式として、再生層として低温では面内磁
化を有し高温になり磁化が低下するにつれて垂直磁化膜
となるような再生層を用い、かつ、再生層と記録層とを
交換結合させて磁化方向を再生層に転写する「交換結合
CAD」と呼ばれる方式もある。しかし交換結合CAD
方式では、再生層を高温で垂直磁化膜になるような組成
とした場合、記録層との強い交換結合のため、低温で完
全に面内磁化膜とすることが困難となってしまう。そし
て、面内磁化領域と垂直磁化領域の境界がぼやけ、再生
信号の分解能が低下してしまう。どうしても再生層を低
温で面内磁化膜にしようとすると膜厚をかなり厚くする
必要があり、媒体製造コストの上昇並びに記録感度の低
下をもたらす。従って、静磁結合を利用したMSR方式
のほうが再生分解能の点で優れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した「反転型MS
R」や「静磁結合型CAD」のように静磁結合を利用し
て再生層に記録層の磁化方向を転写する方式(以下、静
磁結合型MSRと総称する。)においては、好適に再生
を行うためには、静磁結合の源たる、記録層から再生層
に及ぼされる漏洩磁界を大きくする必要がある。このた
めには記録層及び再生層の磁化を大きくすればよい。と
ころがこのような再生に適した組成を用いると、新たな
問題が発生することが分かった。反転型MSR方式で、
再生層がREリッチ、記録層がTMリッチである媒体を
例に説明する。記録層の希土類金属と遷移金属の組成比
を、補償組成から、大きくTMリッチ側とすることで、
記録層の磁化を大きくすることができる。ところが記録
層の磁化を大きくすると、記録時に、記録層に記録され
た磁化が、意図しない方向へ磁化反転を起こしやすくな
ってしまうのである。
【0010】すなわち、記録層の磁化が一様な方向に揃
っている領域では、記録層表面磁子からの磁束は、記録
層内部で反磁界を形成する。反磁界は、反転磁化を形成
しようとする力としてまわりに働く。従って、記録時に
記録層の一部が加熱昇温され保磁力が低下すると、周囲
の昇温されていない記録層からの強い反磁界が及び、磁
化反転を起こしやすくなる。このため、記録時に、外部
磁界が加わっていない場合、あるいは外部磁界が加わっ
ていてもそれに逆らって、意図しない方向へ磁化が向い
てしまう。記録層に大きな磁化を与えるほど、同時にこ
の反磁界が増大し、記録時にこのような磁化反転が起こ
りやすくなる。このため記録/消去時に、反磁界に打ち
勝つように、大きな記録/消去磁界が必要となってしま
うのである。これは反転型MSR方式に限らず、いずれ
のMSR方式でも問題となる。ところで、光磁気記録媒
体の記録方式には光変調記録方式と磁界変調記録方式と
がある。
【0011】前者は、通常、一旦消去を行い磁化を一方
向に揃えたのち、逆向きの記録磁界を印可して、照射す
る光の強度を変えて記録を行う方式である。後者は、光
強度を一定又はパルス状とし、記録磁界を変化(反転)
させることで記録を行う方式である。反磁界による磁化
反転は、特に磁界変調記録方式には極めて不都合であ
る。なぜならば、記録を正確に行うためには、上述のよ
うに、記録磁界を反磁界よりも大きくする必要がある
が、記録磁界を大きくすると高速で磁界を変化(反転)
させにくくなるため、高速で情報を記録することは困難
である。高速記録を行う場合には、磁界強度は弱いもの
にならざるを得ず、このとき特に反磁界による磁化反転
の影響が問題になってくる。
【0012】光変調記録方式においては、一旦一方向に
消去した領域に記録磁区を形成する際には周囲からの反
磁界は都合がよいが、過度に大きな反磁界が存在する
と、消去を一様に行うのが困難になるという問題が生じ
る。反磁界を低下させるには、記録層の磁化を小さなも
のにすればよく、従来の媒体では補償組成近傍の組成が
良いとされてきた。しかし、これでは再生時の漏洩磁界
も低下するため、静磁結合を用いた方式の原理上、再生
特性に悪影響を及ぼしてしまう。具体的には再生層への
磁化方向の転写が十分に行われない。すなわち従来、静
磁結合を用いたMSR方式においては、再生時の記録層
から再生層への良好な転写性と、記録時の記録磁界の低
減とを両立するのが困難であった。さらに静磁結合CA
D方式においては、我々の検討によれば、強い静磁結合
力を得ようとすると再生分解能特性が低下しやすいとい
う問題があることも分かった。静磁結合力が強いがゆえ
に漏洩磁界も大きいため、面内磁化のはずの再生層の低
温部に若干の垂直方向の磁化転写が起こってしまい、低
温マスク領域が良好に形成できず、結果として再生分解
能が低下するのである。これにより短い磁区の正確な再
生が困難となり、特に高密度記録を行う際に問題とな
る。本発明はこれら問題点を解決し、再生時の記録層か
ら再生層への良好な転写性と、低記録磁界での記録とを
両立させ、かつ再生分解能が高く再生特性と記録特性が
ともに優れた光磁気記録媒体、特に磁界変調記録方式に
適した光磁気記録媒体とその記録再生方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、検討の結
果、低温においてのみ記録層の磁化を打ち消す特性を持
った磁化制御層を設けることで、低記録磁界での記録と
再生層への良好な転写性と高い再生分解能とを両立でき
ることを見いだし本発明に至った。
【0014】本発明の要旨は、少なくとも記録層、切断
層、及び再生層をこの順に有し、記録層には情報に応じ
た磁化方向が記録され、切断層は、室温以上の所定温度
で記録層と再生層との交換結合を実質的に遮断するか、
或いは温度によらず常に記録層と再生層との交換結合を
実質的に遮断し、室温以上で記録層の磁化方向が再生層
に転写される温度領域が存在する光磁気記録媒体であっ
て、記録層に接して、記録層より低いキュリー温度を有
するとともに室温で記録層の磁化と反対の磁化方向を有
する磁化制御層を設けることを特徴とする光磁気記録媒
体に存する。
【0015】また、本発明の別の要旨は、このような光
磁気記録媒体を用い、磁界変調記録を行うことを特徴と
する記録再生方法に存する。さらに本発明の別の要旨
は、このような光磁気記録媒体を用い、再生時に、少な
くとも記録層を、磁化制御層のキュリー温度以上かつ記
録層のキュリー温度以下に加熱しながら再生することを
特徴とする記録再生方法に存する。なお、室温とは通
常、25℃を言う。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。静時結合型MSR媒体において、記録層の磁化が
発生する磁界が小さければ再生時に再生層への転写が不
完全になる。一方、記録層の磁化が発生する磁界が大き
ければ記録時/消去時に大きな磁界が必要となり、また
再生分解能が低下する。本発明は、両者において、記録
層の磁界発生部分の温度が異なることに着目し、低温に
おいてのみ記録層の磁化を打ち消す特性を持った磁化制
御層を設けることで、室温での磁界を小さくし高温での
磁界を大きくし、低記録磁界での記録と再生層への良好
な転写性と高い再生分解能とを両立するものである。特
に本媒体は磁界変調記録方式に適する。記録/消去時に
おいて問題となる反磁界は、加熱昇温された領域そのも
のからではなく、周囲の室温領域から与えられる。従っ
て、室温での磁界を抑制すれば、記録/消去磁界の低減
が可能となる。
【0017】また静磁結合CAD方式においては、低温
での漏洩磁界を抑制することで面内磁化膜である再生層
への垂直方向の磁化転写を抑えることができ、低温マス
ク領域が良好に形成でき、再生分解能が向上する。従っ
て、短いマークの記録再生において高いCNRが得られ
る。一方、再生時の記録層磁化の再生層への転写は、室
温よりかなり高温で行われるので、この温度における磁
界が強くなるように設定すればよい。本発明では、この
特性を実現するために、記録層に接して、室温において
記録層の磁化と反対の磁化方向の磁化を有する磁化制御
層を設ける。記録層の発生する磁界と磁化制御層の発生
する磁界が打ち消しあうため、室温において漏洩磁界及
び反磁界を小さくすることができる。
【0018】さらに、磁化制御層のキュリー温度を記録
層のキュリー温度より低くする。キュリー温度を越える
と磁化制御層の磁化は完全に消失し、記録層の発生する
漏洩磁界による静磁結合力がそのまま再生層に加わる。
こういった一連の働きによって、室温での低反磁界と再
生温度での高静磁結合力の両方を満足することができ
る。
【0019】以下、図面を用いて本発明をさらに詳細に
説明する。図2は、従来の静磁結合CAD方式MSRの
機構を説明するための図である。再生層1、切断層2、
記録層3よりなる。例えば、再生層を室温で希土類金属
磁化優勢(REリッチ)、切断層を非磁性層又は常磁性
層とし、記録層を室温で遷移金属磁化優勢(TMリッ
チ)としておく。再生層と記録層の間の交換結合は、切
断層の存在によって温度にかかわらず常に遮断されてい
る。
【0020】さて、室温において再生層1は面内磁化膜
であり、記録層3の記録磁区を転写せず再生に寄与する
信号を発生しないが、図示しない再生光スポットが照射
され昇温されると再生層1の磁化は減少し、ある遷移温
度Tpで垂直磁化膜となり静磁結合力5によって、記録
層3の磁化方向が転写され、再生層1に記録磁区があら
われる。このとき、静磁結合力5が小さいと再生層1へ
の磁化の転写が十分に行われず、再生特性が悪化する。
【0021】一方、記録時には、記録層3は、図示しな
い記録光スポットが照射され昇温されるとその領域では
保磁力が低下し、図示しない外部記録磁界の方向に磁化
され記録が行われる。このとき、周囲の室温近傍の記録
層からの反磁界6が働くため、磁化の方向が反転しない
ようにするためには、外部記録磁界を反磁界より大きく
する必要がある。これに対して本発明の静磁結合CAD
用光磁気記録媒体の一実施形態である図1においては、
記録層3の切断層2とは逆側に、記録層より低いキュリ
ー温度を有するとともに室温で記録層の磁化と反対の磁
化方向を有する磁化制御層4を設ける。図1(a)は低
温時(室温時)、(b)は高温時(再生時)を示す。こ
こで、記録層には両表面に磁子が発生し、記録層が多層
膜からなる場合は各記録膜間にも磁子が発生するが、記
録層自身の反磁界6にはこれら多層膜の全ての磁子から
の磁界が影響する。
【0022】従って、図1のように記録層磁化を打ち消
す方向の磁化制御層4を設けることで、室温では、
(a)に示すように各々からの反磁界6、7は打ち消し
合い、総和として小さくすることができる。なお、記録
/消去時の反磁界はその大部分が記録/消去部の周囲の
室温部分より発生するので、室温における磁化を小さく
する。ここで、室温において記録層3と磁化制御層4の
磁化方向を逆向きにするために、記録層3が室温で遷移
金属磁化優勢の場合は、磁化制御層4を希土類金属磁化
優勢とし、記録層3が室温で希土類金属磁化優勢の場合
は、磁化制御層4を遷移金属磁化優勢とする。記録層3
にどちらの方向の磁化が記録されていても磁化制御層4
がその磁化を打ち消すようにするため、記録層3と磁化
制御層4は交換結合していることが好ましい。
【0023】一方、静磁結合力5が必要なのは、室温よ
りかなり高い(代表的には100℃〜200℃)再生温
度付近である。従って、磁化制御層4のキュリー温度を
この近傍より低く、すなわち記録層のキュリー温度より
低くしておけば、再生時には磁化制御層4の影響が無く
なり、磁化の打ち消し合いの無い、記録層単独による強
い静磁結合を得ることができる。ここで、磁化制御層4
を、記録層3の切断層2とは逆側に設けておけば、記録
層3と再生層1の距離が近くなり静磁結合がより強力に
なる。これは、磁界の強度が距離の二乗に反比例するこ
とを考えればよく理解できる。
【0024】なお、同じ理由で、記録層が多層膜からな
る場合にも、切断層から最も離れた記録膜の、切断層と
は逆側に磁化制御層を設けるのが好ましい。室温で記録
層3が遷移金属磁化優勢であり磁化制御層4が希土類金
属磁化優勢である組み合わせは、温度を上げるに従って
磁化制御層4は補償温度に近づくので、磁化制御層はキ
ュリー温度以下であっても磁化が減少し、かつ記録層3
は補償温度より離れるので磁化は増大するため、好まし
い。このように本発明を静磁結合CADに用いた場合、
高温での静磁結合力が強く、かつ制御層のキュリー温度
以下の低温で静磁結合力が急激に減少するので、高温で
の転写性を悪化させずに、低温での記録層から再生層へ
の磁化転写を抑制する効果がある。この結果、高温での
転写性を確保しつつ、良好な低温マスク領域が形成で
き、従来より高い再生分解能が得られる。
【0025】本発明の光磁気記録媒体は、光変調記録方
式及び磁界変調記録方式のいずれに用いても良好な記録
特性を示すが、低磁界記録を可能にするという点で、磁
界変調記録方式に用いると特に効果が大きい。また、再
生時には、記録層の最高到達温度が、磁化制御層のキュ
リー温度Tcc以上、かつ記録層のキュリー温度Tcw
以下とする。これにより、再生時には磁化制御層の影響
がなくなり、記録層と再生層による強い静磁結合を得る
ことができる。以上の説明においては、再生層が有する
磁化の影響を無視している。
【0026】反転型MSR、静磁結合CADなどの静磁
結合型MSRは、室温において再生層の磁化が大きく、
記録層の磁化方向を転写していないことが多い。この場
合、再生層の磁化は、一方向を向いているか、ランダム
な方向を向いた消磁状態であるか、あるいは面内磁化と
なっている。いずれの場合においても記録層の記録部分
には大きな磁界を与えず、記録磁界依存性への影響は小
さい。ただし、再生層が室温において記録層磁化と対応
した磁化方向を持つ場合は、再生層の磁化が多少は記録
磁界依存性に影響するため、好ましくは、磁化制御層
は、室温において再生層及び記録層の生じる磁界の総和
と反対の磁化方向を有するものとする。
【0027】以下反転型MSR、ならびに静磁結合CA
Dを例として媒体各層の特性についてさらに詳細に説明
する。ただし、これらに限らず静磁結合を用いる媒体で
あれば本発明を適用できる。また、超解像効果をもたら
す媒体である必要もない。本発明において再生層は希土
類金属磁化優勢の組成が好ましい。このとき、反転型M
SRにおいては、交換結合力による再生層磁化と静磁結
合力による再生層磁化の方向とが逆になる。また静磁結
合CADにおいては、低温で面内磁化膜であり高温で磁
化の減少により垂直磁化膜に移行する。静磁結合CAD
において、再生層が垂直磁化膜となる遷移温度をTpと
すると、低温マスクを充分に生成させるためには、遷移
温度Tpをある程度以上高温にしておく必要がある。T
pは120℃以上であることが好ましく、より好ましく
は140℃以上である。
【0028】こういった再生層に用いられる物質として
は、GdFeCo、GdCo、GdFe、GdDyF
e、GdDyCo、GdDyFeCo、GdTbFe、
GdTbCo、GdTbFeCo、DyFeCo、Dy
Co、TbCo、TbFeCo、TbDyFeCo、T
bDyCo等の希土類と遷移金属の合金が挙げられる。
中でも、Gdを含有する合金を用いるのがキュリー温度
や保磁力の点から好ましい。特に好ましいのはGdFe
CoやGdFeである。キュリー温度は、250℃以上
であることが好ましい。さらに好ましくは300℃以上
である。また、再生層のキュリー温度は、通常450℃
以下とする。
【0029】再生層の光入射側に積層して、PtCo
や、PtとCoの超格子等の磁性体を設けることもでき
る。再生層の垂直磁気異方性を大きくするには、磁性層
にある程度の膜応力をもたせて逆磁歪効果による異方性
を発生させるのが好ましい。再生層の膜厚は、薄い方が
磁化が垂直に立ちやすく好ましい。このため、膜厚は好
ましくは100nm以下とする。より好ましくは70n
m以下とし、特に好ましくは60nm以下とする。
【0030】しかし、膜厚が薄すぎると、漏洩磁束が小
さくなり、静磁結合力が減少したり、再生光が透過して
しまい再生信号が劣化するので、膜厚は10nm以上が
好ましく、より好ましくは15nm以上とし、特に好ま
しくは20nm以上とする。静磁結合により磁化方向が
転写されるために、再生層の保磁力は少なくとも記録層
より小さいことが好ましい。好ましい保磁力は室温にお
いて0〜500Oeである。さらに好ましくは0〜30
0Oeである。
【0031】GdFeCoを再生層に用いる場合、Gd
X (FeY Co100-Y )100-X (原子比、以下も同
様。)とすると、Xについて好ましくは27≦X≦35
であり、さらに好ましくは28≦X≦33である。また
Yについて好ましくは70≦Y≦100であり、さらに
好ましくは75≦Y≦95である。再生層の磁化は、室
温で250emu/cc以上であることが好ましい。
【0032】また、反転型MSRでは切断層のキュリー
温度Tcsにおいて、静磁結合CADでは再生層の磁化
が面内から垂直に移行する温度Tpにおいて、再生層の
磁化は100emu/cc以上300emu/cc以下であることが
好ましい。再生層と記録層の間には交換結合を切断する
ための切断層を設ける。切断層は媒体の温度上昇に伴
い、あるいは温度にかかわらず交換結合力を実質的に切
断するものである。反転型MSRにおいてはキュリー温
度が記録層、再生層より低い層であり、キュリー温度を
越える高温において交換結合を遮断する。静磁結合CA
Dでは全ての温度領域において交換結合を遮断するよう
に、主に非磁性ないし常磁性の膜を用いる。
【0033】反転型MSRにおいて切断層は、キュリー
温度が再生層や記録層と比べて小さいものを用いる。切
断層のキュリー温度Tcsは、90〜180℃程度が好
ましい。Tcsが低いと、交換結合し磁区が転写された
領域からの信号が小さくなり、一方、Tcsが高いと高
い再生パワーを必要とし、またこのため、再生パワーで
記録されないよう感度を下げるので必然的に高い記録パ
ワーを必要とするようになる。 切断層は、垂直磁気異
方性が高く、再生層の磁化に強い力を発生させるものが
好ましい。
【0034】切断層に用いられる物質としては、TbF
e、TbFeCo、DyFeCo、DyFe、TbDy
FeCo等の希土類と遷移金属の合金が好ましい。膜厚
は2nm以上とし、30nm以下とすることが好まし
い。薄いと交換結合の遮断が十分に行われにくくなり、
厚いと静磁結合の磁束が届きにくくなる。静磁結合CA
Dにおいて、切断層は金属、誘電体等の少なくとも再生
層に磁化方向が転写される温度で非磁性又は常磁性のも
のが好ましく用いられる。例えばAl、Ta、Cr、T
i、W、Si、Pt、Cu、Tb、Gd、Dy、Zn
S、Si3 N4 などの窒化Si、AlN、TiN、カー
ボン、水素化カーボン等である。これらの混合物であっ
てもかわまない。ただし透磁率の高いもの、例えばF
e、Ni等は記録層から再生層への磁束透過を妨げ、静
磁結合を低下させるため好ましくない。
【0035】記録層は記録を蓄えている層であるから、
再生光による加熱で劣化しない程度に高いキュリー温度
を有し、かつ微小磁区を安定に保持可能であることが必
要である。記録層は、再生光による加熱で劣化しない大
きさのキュリー温度を有していることが必要である。ま
た、記録層が高い垂直磁気異方性を持つことも、安定に
記録磁区を保持するために好ましい。記録層は単独の膜
でも良いが、複数の記録膜することも好ましい形態であ
る。複数の記録膜からなる場合は、各記録膜は再生光に
よる加熱で劣化しない大きさのキュリー温度を有してい
ることが必要であり、また、高い垂直磁気異方性を持つ
ことが安定に記録磁区を保持するために好ましい。
【0036】また、各記録膜は互いに交換結合している
のが好ましい。保磁力の低い膜(例えば、GdFeC
o)と保磁力の高い膜(例えば、TbFeCo)との組
み合わせである場合、高保磁力膜に記録すれば交換結合
力により低保磁力膜に転写される。記録膜の積層のしか
たとしては、再生層に近い順に第1記録膜、第2記録膜
・・・とした場合、第1記録膜に静磁結合に使用したい
磁化方向を持つ層を配することが好ましい。
【0037】再生層との距離が最も近い層が最も効率的
に静磁結合力を及ぼすからである。第1記録膜として磁
化の大きな層を設け、第2記録膜として第1記録膜より
磁化は小さいが保磁力が大きい層を設けることで、強い
静磁結合力を保ちつつ微小磁区を安定に記録できる。反
転型MSRであれば、希土類金属磁化優勢である再生層
に対しては、反対の遷移金属優勢磁化の磁化を結合させ
たいため、第1記録膜が室温で遷移金属磁化優勢である
ことが好ましい。静磁結合CADでは、記録層が希土類
金属磁化優勢でも遷移金属磁化優勢でもよいが、希土類
金属磁化優勢の場合は、高温で再生すると磁化が低下し
てしまうという問題があるため、記録層は、室温で遷移
金属磁化優勢であることが好ましい。
【0038】なお、記録層が複数の記録膜よりなる場
合、記録層の磁化方向とは、記録層が全体として再生層
に及ぼす静磁結合力の方向から導かれる磁化方向を示す
こととする。例えば、REリッチの再生層に対して磁化
方向を転写した際、再生層と記録層の副格子磁化が揃っ
ている場合は記録層はREリッチ、逆になった場合はT
Mリッチであると判断できる。記録層中の記録膜の数は
3層以上でも良いが、生産上の簡便さから2層以下であ
ることが好ましい。 記録層を形成する物質としては、
少なくとも一つの記録膜が高い保磁力を持ち、記録を安
定に蓄え得ることが好ましい。この高保磁力膜としては
TbFeCo、TbCo、DyFeCo、TbDyFe
Co、GdTbFe、GdTbFeCo等が好ましく用
いられる。
【0039】中でもTbFeCoが垂直磁気異方性が高
く、保磁力が大きいので特に好ましい。保磁力は5kO
e以上であることが好ましい。高保磁力膜以外の膜は、
高保磁力膜と交換結合していれば、単独で保磁力が小さ
いものでもかまわない。例えばGdFe、GdFeC
o、GdCoである。記録層が薄いと安定して制御層に
磁区方向を転写しにくくなるため、記録層の膜厚は20
nm以上が好ましく、さらに好ましくは25nm以上で
ある。一方、記録層が厚いと感度及び生産性が悪くなり
やすいため、記録層の膜厚は100nm以下が好まし
く、さらに好ましくは70nm以下である。記録層が複
数の記録膜からなる場合は、各々の記録膜の膜厚を上記
範囲とするのが好ましい。
【0040】記録層のキュリー温度Tcwが低いと、再
生のパワーマージンが無くなるか狭くなるので、200
℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは250
℃以上である。ただし、高過ぎれば記録に要するレーザ
ーパワーが非常に大きくなってしまうので350℃以下
であることが好ましい。記録層が複数の記録膜からなる
場合は、最も低いキュリー温度の記録膜のキュリー温度
を上記範囲とする。なお本発明で単に「記録層のキュリ
ー温度Tcw」と呼ぶときは、この最も低いキュリー温
度を指す。記録層を、高キュリー温度の低保磁力膜を第
1記録膜とし、それよりも低キュリー温度の高保磁力膜
を第2記録膜とする組み合わせとするときは、再生時
に、第2記録膜のキュリー温度付近まで温度が上がって
も第1記録膜の磁化が低下せずに強い静磁結合を得るこ
とができるので特に好ましい形態である。この場合、具
体的には、第1記録膜としてGdFeCo、第2記録膜
としてTbFeCoが好ましく用いられる。記録層を単
層とする場合は、同様の理由でTbFeCoを用いるこ
とが好ましい。各々の記録膜の磁化があまり大きすぎる
場合、垂直磁気異方性の低下によって再生信号特性が低
下する。従って、記録層に極端に補償組成から離れた組
成を用いることは好ましくない。
【0041】このため、記録層中の希土類金属を18原
子%以上とすることが好ましく、より好ましくは19原
子%以上、特に好ましくは20原子%以上とする。ある
いは記録層中の希土類金属を32%原子以下とすること
が好ましく、より好ましくは31原子%以下、特に好ま
しくは30原子%以下とする。なお、本明細書中では組
成に全て原子%を用いる。記録層における高保磁力の記
録膜としてTbFeCoを用いる場合、FeCo中のC
oの比率は10原子%以上40原子%以下であること
が、適切なキュリー温度を得る上で好ましい。記録層の
磁化が大きすぎると、隣接して磁化制御層を設けても補
償しきれなくなるおそれがあるため、記録層の磁化は室
温で250emu/cc以下であることが好ましい。さらに好
ましくは200emu/cc以下である。また室温での記録層
の磁化が小さすぎると高温においても静磁結合力が小さ
くなるので,50emu/cc以上であることが好ましい。さ
らに好ましくは100emu/cc以上である。
【0042】本発明では記録層に接して磁化制御層を設
ける。好ましくは、記録層の切断層とは逆側に磁化制御
層を設ける。磁化制御層は、記録層よりもキュリー温度
の低い層である。記録層が複数の記録膜よりなる場合、
記録膜の中でも最も低いキュリー温度より低いものとす
る。ただし、磁化の温度変化を充分確保するために、あ
る程度以上の高温である必要がある。好ましい磁化制御
層のキュリー温度Tccは120℃以上である。さらに
好ましくは140℃以上である。また、再生パワーマー
ジンを広げるためには、Tccと記録層の最低キュリー
温度Tcwとの差を充分とる必要があり、TccがTc
wより20℃以上低温であることが好ましい。さらに好
ましくは40℃以上低温である。再生層を室温で希土類
金属磁化優勢とした静磁結合CAD媒体の場合、温度が
上がるにつれて再生層の磁化は低下する。従って、磁化
制御層のキュリー温度Tccが高すぎると、Tccにお
ける再生層の磁化低下のため静磁結合が弱くなり、再生
信号が低下する。このため静磁結合CADではTccが
250℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは
230℃以下である。特に好ましくは200℃以下であ
る。
【0043】なお、磁化制御層も複数層からなってもよ
い。磁化制御層の磁化は再生層に磁化方向を転写する際
に充分小さくなっていることが好ましい。このため反転
型MSRでは、Tccは切断層のキュリー温度Tcsよ
り低いことが好ましい。静磁結合CADでは、Tccは
再生層が垂直磁化膜になる遷移温度Tpより低いことが
好ましい。磁化制御層の磁化は、室温において記録層の
磁化を打ち消す方向、すなわち記録層の磁化方向と反対
の磁化方向とする。磁化制御層は記録層と交換結合して
おり、各記録磁化方向に対応して磁化制御層もそれを打
ち消す磁化方向を有していることが好ましい。前述のよ
うに、記録層は室温においてTMリッチが好ましいか
ら、磁化制御層はREリッチであることが好ましい。
【0044】磁化制御層はその組成と膜厚の調整によ
り、記録層の磁化を打ち消すことができ、最適な記録磁
界依存性を得られるように調整される。室温において、
記録層と磁化制御層の磁化の総和は150emu/cc以下で
あることが好ましい。さらに好ましくは100emu/cc以
下である。磁化制御層に用いられる材料としては、Tb
FeCo、TbCo、TbFe、DyFeCo、TbD
yFeCo、GdTbFe、GdDyFe、GdDyF
eCo、GdTbFeCo、GdFeCo、GdFe等
が挙げられる。特に好ましくはTbFeCo、DyFe
CoまたはGdFe、あるいはこれらの合金である。中
でも保磁力が小さく、記録層から磁化の転写が容易に行
われるGdFe、DyFeCo、あるいはこれらの合金
が好ましい。
【0045】磁化制御層組成を、希土類金属をRとし
て、RX (FeY Co100-Y )100-Xと表すと、Xにつ
いては好ましくは23≦X≦35であり、さらに好まし
くは25≦X≦33である。またYについては好ましく
は60≦Y≦100であり,さらに好ましくは70≦Y
≦100である。また、希土類元素Rは、Gd、Tb、
Dyより選ばれる一種類以上の元素よりなることが好ま
しい。磁化制御層は記録層と交換結合していることが好
ましい。磁化制御層が薄すぎると、磁化制御層の発生す
る磁界が小さくなり、記録層の磁化を打ち消しきれなく
なる。従って膜厚は10nm以上が好ましく、さらに好
ましくは20nm以上、特に好ましくは25nm以上で
ある。
【0046】一方、磁化制御層が厚すぎると記録感度が
悪くなるうえ、記録層から磁化制御層への磁化方向転写
が困難になるため、膜厚は100nm以下が好ましく、
さらに好ましくは70nm以下、特に好ましくは60n
m以下である。なお、以上述べた再生層、切断層、記録
層、磁化制御層などの各磁性層に、Si、Al、Pt、
Ti、Cr、Ta等の添加物を10%以下添加すること
で、キュリー温度を低下調整することも可能である。ま
た、希土類金属と遷移金属の合金からなる磁性層は非常
に酸化しやすいため、磁性層の両側に保護層を設けた態
様をとることが、酸化を防ぐうえで好ましい。
【0047】保護層の材料としては、酸化Si、酸化A
l、酸化Ta、酸化Ti、窒化Si、窒化Al、炭化S
iなどの単体、あるいはそれらの混合物を好ましく用い
ることができる。保護層の膜厚は10nm〜150nm
程度が好ましい。また、保護層の表面をプラズマエッチ
ングし、そののち磁性層を設けることにより、磁性層の
磁気異方性を向上させることができる。磁性層の記録層
側に直接あるいは保護層を介して、放熱層としてAl、
Cu、Au、Ag等の単体、あるいはこれらを主体とし
た合金よりなる高熱伝導物質を設けることは、再生時の
熱分布を安定させるうえで望ましい構成である。放熱層
の膜厚は10nm〜100nm程度が好ましい。静磁結
合力をより確実に発生させるため、磁化制御層の記録層
とは反対の側に、直接あるいは非磁性層を介して、透磁
率が記録層よりも大きい層を設けることが好ましい。材
料としては例えば、Fe、Ni、Co、FeNi、Al
SiFe等が挙げられる。膜厚は、10〜50nm程度
が好ましい。こういった層を設けることにより、記録層
の漏洩磁束がより効率的に発生し、再生層との静磁結合
力が増す。 記録層や磁化制御層と直接接すると垂直磁
気異方性が低下するため、非磁性層を介して設けること
が好ましい。基板としては、ポリカーボネート、アクリ
ル、ポリオレフィンなどの樹脂、あるいはガラス、アル
ミニウム等の金属を用いることができる。基板を介して
記録再生光を照射する場合は、基板を記録再生光に対し
て透明とする必要がある。
【0048】なお、本発明の光磁気記録媒体は、例え
ば、基板、保護層、磁性層、保護層、放熱層の順に積層
して基板を介して記録再生光を照射しても良いし、例え
ば、基板、放熱層、保護層、磁性層、保護層の順に積層
して、基板とは反対の側(膜面側)から記録再生光を照
射しても良い。いずれの場合においても、再生層の方が
記録層に対してより光入射側に存在するように積層す
る。いずれの場合にも最上層にさらに、空気との直接接
触を防いだり、異物や記録再生ヘッドとの接触による傷
を防ぐため、紫外線や熱硬化型樹脂層を1μmから数百
μmの厚さで設けるのが好ましい。あるいは、硬度の高
い誘電体保護層を設けたり、その上にさらに樹脂層を設
ける場合もある。
【0049】さらにまた、基板側入射の場合の基板/保
護層間もしくは基板とは反対側の入射の場合の保護層上
に、半透明膜である、極めて薄い金属又は半導体からな
る層を設けて、記録層に入射する光エネルギー量を制御
することも可能である。いずれの場合も、記録再生光と
しては半導体レーザーやガスレーザーなどのレーザー光
が通常用いられ、その波長は400〜800nmが用い
られることが多い。基板側から光を入射し記録する場合
は、通常、光ヘッドを基板側に、浮上型磁気ヘッドを膜
面側に配置する。膜面側から光を入射し記録する場合
は、光出射孔を備えた浮上型磁気ヘッドを膜面側に配置
することが好ましい。また、本発明の光磁気記録媒体
は、様々な記録フォーマットに適用でき、特に限定され
ない。例えば、基板上に螺旋状又は同心円状に溝を設
け、この溝に沿って記録を行う場合には、溝内に記録す
るグルーブ記録、溝と溝の間に記録するランド記録、両
方に記録するランド&グルーブ記録のいずれにも適用す
ることができる。
【0050】
【実施例】以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。光磁気記録媒体を作製
するための基板としては、ポリカーボネートからなる、
厚さ1.2mmの基板を用いた。基板上には、射出成形
により、トラックピッチが0.85μmの案内溝が螺旋
状に設けられている。以下の実施例においては、作製し
た光磁気記録媒体に基板側から記録再生光を照射し、グ
ルーブ記録を行った。
【0051】なお、光変調記録は以下のように行った。
波長680nm、開口数0.55の光ヘッドを載せた評
価機を用い、線速8m/sで周波数10.53MHzで
記録光を変調させて記録を行った。これは、記録マーク
長0.38μmでの記録に相当する。0.38μmは超
解像記録での評価に適した、十分に短いマーク長であ
る。記録前に8mWの消去パワーで消去方向に300O
eの磁界を加えて消去した。また、磁界変調記録は以下
のように行った。波長680nm、開口数0.55の光
ヘッドと浮上型磁界ヘッドを載せた評価機を用い、線速
8m/sで周波数10.53MHzで記録磁界を変調さ
せつつ、7mWの連続記録光を照射して記録を行った。
再生は、波長680nm、開口数0.55の光学系によ
り行った。
【0052】(実施例1:反転型MSR媒体)スパッタ
リング装置に基板を導入し、5×10-5Pa以下の真空
度まで排気を行った。この後、反応性スパッタリングを
用い、基板上に保護層として酸化Taを厚さ80nm形
成した。次に、酸化Ta上に、Gd33(Fe80Co20)
67よりなる厚さ30nmの再生層、Tb21(Fe92Co
8 )79よりなる厚さ10nmの切断層、Tb20(Fe80
Co20)80よりなる厚さ50nmの記録層、Dy28(F
e88Co12)72よりなる厚さ30nmの磁化制御層を設
けた。最後に窒化Siよりなる厚さ50nmの保護層を
設けた。
【0053】再生層、切断層、記録層、磁化制御層のキ
ュリー温度を測定したところ、各々300℃以上、18
0℃、270℃、160℃であった。再生層は室温にお
いては希土類金属磁化が優勢であり、保磁力はほぼ零で
あった。切断層は室温において遷移金属磁化が優勢であ
り、保磁力は8kOeであった。記録層は室温で遷移金
属磁化が優勢であり、保磁力は7kOeであった。磁化
制御層は室温で希土類金属磁化優勢であり、保磁力は3
kOeであった。再生層、記録層、磁化制御層の、室温
での体積磁化率Msを測定したところ、各々330emu/
cc、170emu/cc、260emu/ccであった。記録層と磁
化制御層の積層の合計磁化は、室温で、遷移金属磁化優
勢で70emu/ccであり、十分小さかった。
【0054】このようにして作製したディスクに対し
て、光変調記録を行ったのち再生しCNR(CN比)を
測定した。再生パワーPrが1.5mWのときは、超解
像再生ではなく通常の再生であり、CNRは28dBで
あった。Prが2.6mW以上で超解像の効果が現れ、
Prが3.0mWでCNRは最大となり49.2dBが
得られた。なお、超解像の現れるPr=2.6mWで
は、記録層は切断層のキュリー温度である180℃以上
に加熱されている。
【0055】次に、記録パワーは最大のCNRが得られ
るように設定して、記録磁界強度を変化させながら記録
し、再生信号のCNRの変化を測定した。図3にCNR
の記録磁界依存性のグラフを示す。消去磁界方向を+と
し、記録磁界方向を−としている。記録方向磁界でCN
Rが最大値より1dB以内になる磁界強度をHw1とす
ると、Hw1は−50Oeであった。すなわち、低い記
録方向磁界でCNRが飽和している。また、消去方向磁
界でCNRが0dBとなる磁界強度をHw2とすると、
Hw2は140Oeであった。すなわち、低い消去方向
磁界でCNRが下がりきっており、低い消去方向磁界で
記録が行われなくなることを示している。
【0056】磁界変調方式で記録を行うには、記録層の
磁化が正確に記録磁界方向を向かなければならない。こ
のため、低記録方向磁界でCNRが飽和することと、低
消去方向磁界でCNRが下がりきる(すなわち記録され
ない)ことが必要であるが、このディスクはこれを十分
に満たしている。次に、このディスクに磁界変調記録を
行ったのち再生しCNRを測定した。図4にCNRの記
録磁界依存性のグラフを示す。150Oeという低い記
録磁界でCNRが飽和しており、低記録磁界で記録が行
えることが分かった。
【0057】(比較例1:反転型MSR媒体)磁化制御
層を設けず、かつ記録層の組成をTbX (Fe80Co2
0)100-X とした以外は実施例1と同様にディスクを作
製した。Tb量Xは20原子%から27原子%まで変化
させた。記録層は、室温でTb量Xが24原子%付近が
補償組成であり、それ以下は遷移金属磁化優勢、それ以
上は希土類金属磁化優勢であった。このようにして作製
したディスクを実施例1と同様に光変調記録での評価を
行った。結果を表−1に示す。Hw1、Hw2がともに
低く、かつ高いCNRが得られるものは無かった。
【0058】
【表1】
【0059】次に、このディスクに磁界変調記録を行っ
たのち再生しCNRを測定した。図5にCNRの記録磁
界依存性のグラフを示す。低磁界で記録可能であり、か
つ高いCNRを得ることのできるものは無かった。
【0060】(比較例2:反転型MSR媒体)磁化制御
層の組成をDy20(Fe88Co12)80とした以外は実施
例1と同様にディスクを作製した。磁化制御層のキュリ
ー温度は160℃であり、室温において遷移金属磁化優
勢であり、保磁力は5kOe磁化は180emu/ccであっ
た。このディスクを実施例1と同様に光変調記録を行
い、評価した。Hw1は120Oe、Hw2は480O
eであり、Hw1、Hw2がともに非常に高かった。ま
た、実施例1と同様に磁界変調記録を行った結果、記録
磁界400Oe以下ではCNRは飽和しなかった。すな
わち、低記録磁界では十分な記録が行えなかった。
【0061】(実施例2:静磁結合CAD媒体)スパッ
タリング装置に基板を導入し、5×10-5Pa以下の真
空度まで排気を行った。この後、反応性スパッタリング
を用い、基板上に保護層として酸化Taを厚さ80nm
形成した。次に、酸化Ta上に、Gd31(Fe80Co2
0)69よりなる厚さ30nmの再生層、Gdよりなる厚
さ5nmの切断層、Tb21(Fe80Co20)79よりなる
厚さ50nmの記録層、Gd32Fe68よりなる厚さ40
nmの磁化制御層を設けた。次に窒化Siよりなる厚さ
30nmの保護層を設け、最後にAl98Ta2 による厚
さ20nmの放熱層を設けた。
【0062】再生層、記録層、磁化制御層のキュリー温
度を測定したところ、各々300℃以上、270℃、2
10℃であった。再生層は室温においては希土類金属磁
化が優勢であり、面内磁化膜であった。記録層は室温で
遷移金属磁化優勢であり、保磁力は8kOeであった。
磁化制御層は室温で希土類金属磁化が優勢であり、保磁
力はほぼ零であった。再生層が垂直磁化膜に移行する温
度は210℃であった。再生層、記録層、磁化制御層の
室温での体積磁化率Msを測定したところ、各々350
emu/cc、180emu/cc、230emu/ccであった。記録層
と磁化制御層の積層の合計磁化は希土類金属磁化優勢で
40emu/ccであり、十分小さかった。このようにして作
製したディスクに対して、光変調記録を行ったのち再生
しCNR(CN比)を測定した。再生パワーPrが1.
5mWのときは、全体が低温マスクとなり、CNRは1
1dBであった。Prが2.8mW以上で超解像の効果
が現れ、Prが3.3mWでCNRは最大となり48.
5dBが得られた。
【0063】次に、記録パワーは最大のCNRが得られ
るように設定して、記録磁界強度を変化させながら記録
し、再生信号のCNRの変化を測定した。図6にCNR
の記録磁界依存性のグラフを示す。消去磁界方向を+と
し、記録磁界方向を−としている。Hw1は−100O
e、Hw2は80Oeであり、ともに十分小さかった。
次に、このディスクに磁界変調記録を行ったのち再生し
CNRを測定した。図7にCNRの記録磁界依存性のグ
ラフを示す。80Oeという低い記録磁界でCNRが飽
和しており、低記録磁界で記録が行えることが分かっ
た。
【0064】(比較例3:静磁結合CAD媒体)磁化制
御層を設けない以外は、実施例2と同様にディスクを作
製した。このディスクを、実施例2と同様に光変調記録
を行い評価したところ、Hw1は40Oeであり、Hw
2は280Oeであり、ともに高かった。再生パワーP
rが1.5mWのときは全体が低温マスクとなりCNR
は18dBであった。Prが3.1mWでCNRは最大
となり44.8dBであった。また、実施例2と同様に
磁界変調記録を行った結果、記録磁界300Oe以下で
はCNRは飽和しなかった。すなわち、低記録磁界では
十分な記録が行えなかった。
【0065】(比較例4:静磁結合CAD媒体)磁化制
御層の組成をGd22Fe78とした以外は、実施例2と同
様にディスクを作製した。磁化制御層のキュリー温度は
210℃であり、室温において遷移金属磁化優勢であ
り、磁化は120emu/ccであった。このディスクに、実
施例2と同様に光変調記録を行い評価した。Hw1は1
20Oe、Hw2は450Oeであり、ともに高かっ
た。再生パワーPrが1.5mWのときは全体が低温マ
スクとなりCNRは24dBであった。Prが3.3m
WでCNRは最大となり43.3dBであった。また、
実施例2と同様に磁界変調記録を行った結果、記録磁界
400Oe以下ではCNRは飽和しなかった。すなわ
ち、低記録磁界では十分な記録が行えなかった。
【0066】(実施例3:記録層が多層の静磁結合CA
D媒体)スパッタリング装置に基板を導入し、5×10
-5Pa以下の真空度まで排気を行った。この後、反応性
スパッタリングを用い、基板上に保護層として窒化Si
を厚さ80nm形成した。次に、窒化Si上に、Gd30
(Fe80Co20)70よりなる厚さ30nmの再生層、Z
nSよりなる厚さ5nmの切断層、Gd20(Fe80Co
20)80よりなる厚さ30nmの第1記録層、Tb23(F
e80Co20)77よりなる厚さ50nmの第2記録層、
(Gd30Dy70)29(Fe97Co3 )71よりなる厚さ3
0nmの磁化制御層を設けた。次に窒化Siよりなる厚
さ30nmの保護層を設け、最後にAl98Ta2 による
厚さ20nmの放熱層を設けた。
【0067】再生層、第1記録層、第2記録層、磁化制
御層のキュリー温度を測定したところ、各々300℃以
上、300℃以上、270℃、150℃であった。再生
層は室温においては希土類金属磁化が優勢であり、面内
磁化膜であった。第1記録層は室温では遷移金属磁化が
優勢であり、保磁力は0であった。第2記録層は室温で
ほぼ補償組成であった。磁化制御層は室温で希土類金属
優勢であり保磁力は1.5kOeであった。再生層が垂
直磁化膜に移行する温度は170℃であった。再生層、
第1記録層、磁化制御層の室温での体積磁化率Msを測
定したところ、各々270emu/cc、160emu/cc、17
0emu/ccであった。第2記録層は保磁力が大きすぎてM
sの測定が不能であった。 このようにして作製したデ
ィスクに対して、光変調記録を行ったのち再生しCNR
(CN比)を測定した。再生パワーPrが1.5mWの
ときは、全体が低温マスクとなり、CNRは9dBであ
った。Prが2.8mW以上で超解像の効果が現れ、P
rが3.3mWでCNRは最大となり49.8dBが得
られた。
【0068】次に、記録パワーは最大のCNRが得られ
るように設定して、記録磁界強度を変化させながら記録
し、再生信号のCNRの変化を測定した。Hw1は−5
0Oe、Hw2は80Oeであり、ともに十分小さかっ
た。次に、このディスクに磁界変調記録を行ったのち再
生しCNRを測定した。80Oeという低い記録磁界で
CNRが飽和しており、低記録磁界で記録が行えること
が分かった。
【0069】(実施例4:静磁結合CAD媒体)基板上
に切断層を積層するまでは実施例2と同様に作製した
後、Tb21(Fe 80Co2079よりなる厚さ50nmの
記録層、Tb32Fe68よりなる厚さ20nmの磁化制御
層をこの順に設けた。次にSi34よりなる厚さ30n
mの保護層を設け、最後にAl98Ta2による厚さ20
nmの放熱層を設けた。再生層、記録層、磁化制御層の
キュリー温度を測定したところ、各々300℃以上、2
70℃、150℃であった。即ち磁化制御層のキュリー
温度が実施例2に比べて低い。再生層は室温においては
希土類金属磁化が優勢であり、面内磁化膜であった。記
録層は室温で遷移金属磁化優勢であり、保磁力は8kO
eであった。磁化制御層は室温で希土類金属磁化が優勢
であり、保磁力はほぼ零であった。再生層が垂直磁化膜
に移行する温度は210℃であった。再生層、記録層、
磁化制御層の室温での体積磁化率Msを測定したとこ
ろ、各々350emu/cc、180emu/cc、240emu/ccで
あった。記録層と磁化制御層の積層の合計磁化は希土類
金属磁化優勢で40emu/ccであり、十分小さかった。こ
のようにして作製したディスクに対して、光変調記録を
行ったのち再生しCNR(CN比)を測定した。再生パ
ワーPrが1.5mWのときは全体が低温マスクとな
り、CNRは9dBであった。Prが2.9mW以上で
超解像の効果が現れ、Prが3.4mWでCNRは最大
となり49.9dBが得られた。
【0070】(実施例5:静磁結合CAD媒体)基板上
に切断層を積層するまでは実施例2と同様に作製した
後、Tb32Fe68よりなる厚さ20nmの磁化制御層、
Tb21(Fe80Co2079よりなる厚さ50nmの記録
層、をこの順に設けた。即ち磁化制御層を記録層の再生
層側に設けた。次にSi34よりなる厚さ30nmの保
護層を設け、最後にAl98Ta2による厚さ20nmの
放熱層を設けた。再生層、記録層、磁化制御層のキュリ
ー温度を測定したところ、各々300℃以上、270
℃、150℃であった。再生層は室温においては希土類
金属磁化が優勢であり、面内磁化膜であった。記録層は
室温で遷移金属磁化優勢であり、保磁力は8kOeであ
った。磁化制御層は室温で希土類金属磁化が優勢であ
り、保磁力はほぼ零であった。再生層が垂直磁化膜に移
行する温度は210℃であり、十分小さかった。再生
層、記録層、磁化制御層の室温での体積磁化率Msを測
定したところ、各々350emu/cc、180emu/cc、24
0emu/ccであった。記録層と磁化制御層の積層の合計磁
化は希土類金属磁化優勢で40emu/ccであった。このよ
うにして作製したディスクに対して、光変調記録を行っ
たのち再生しCNR(CN比)を測定した。再生パワー
Prが1.5mWのときは全体が低温マスクとなり、C
NRは10dBであった。Prが2.8mW以上で超解
像の効果が現れ、Prが3.3mWでCNRは最大とな
り48.9dBが得られた。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、静磁結合を用いた磁気
誘導超解像光磁気記録媒体において、低温での反磁界を
抑制すると共に、高温で強い静磁結合力を得ることを可
能とした。これにより、再生時の記録層から再生層への
良好な転写性と、低記録磁界での記録とを両立させ、再
生特性と記録特性がともに優れた光磁気記録媒体が得ら
れる。さらに、静磁結合CAD方式の媒体において、低
温での再生層への磁区転写を抑制し、再生分解能を向上
させ、ひいては短い記録マークの再生信号特性の改善さ
れた、高密度記録が良好に行える光磁気記録媒体が得ら
れる。本媒体は弱い記録/消去磁界での記録が可能であ
り、特に磁界変調記録方式での記録に適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静磁結合CAD用光磁気記録媒体の一
実施形態
【図2】従来の静磁結合CAD方式MSRの機構を説明
するための図
【図3】実施例1における光変調記録でのCNRの記録
磁界依存性
【図4】実施例1における磁界変調記録でのCNRの記
録磁界依存性
【図5】比較例1における磁界変調記録でのCNRの記
録磁界依存性
【図6】実施例2における光変調記録でのCNRの記録
磁界依存性
【図7】実施例2における磁界変調記録でのCNRの記
録磁界依存性
【符号の説明】
1 再生層 2 切断層 3 記録層 4 磁化制御層 5 静磁結合力(漏洩磁界) 6 記録層の発生する反磁界 7 磁化制御層の発生する反磁界
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 526 G11B 11/105 526J 586 586K

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも記録層、切断層、及び再生層
    をこの順に有し、 記録層には情報に応じた磁化方向が記録され、 切断層は、室温以上の所定温度で記録層と再生層との交
    換結合を実質的に遮断するか、或いは温度によらず常に
    記録層と再生層との交換結合を実質的に遮断し、 室温以上に記録層の磁化方向が再生層に転写される温度
    領域が存在する光磁気記録媒体であって、 記録層に接して、記録層より低いキュリー温度を有する
    とともに室温で記録層の磁化と反対の磁化方向を有する
    磁化制御層を設けることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 記録層の切断層とは逆側に磁化制御層を
    設ける請求項1に記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 室温以上に、静磁結合により記録層の磁
    化方向が再生層に転写される温度領域が存在する請求項
    1又は2に記載の光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 再生層、記録層、及び磁化制御層がとも
    に希土類金属と遷移金属の合金よりなり、記録層が室温
    において遷移金属磁化優勢であり、磁化制御層が室温に
    おいて希土類金属磁化優勢である請求項1乃至3のいず
    れかに記載の光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 再生層が室温において希土類金属磁化優
    勢である請求項4に記載の光磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 切断層が非磁性体又は常磁性体よりなる
    請求項1乃至5のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 切断層が、磁化制御層よりキュリー温度
    の低い磁性体よりなる請求項1乃至5のいずれかに記載
    の光磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 再生層が室温で面内磁化膜であり、室温
    以上の所定の温度で垂直磁化膜となる請求項1乃至7の
    いずれかに記載の光磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 再生層が垂直磁化膜となる温度が磁化制
    御層のキュリー温度以上である請求項8に記載の光磁気
    記録媒体。
  10. 【請求項10】 磁化制御層の記録層とは反対の側に、
    直接あるいは非磁性層を介して、透磁率が記録層よりも
    大きい層を設ける請求項1乃至9のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    光磁気記録媒体を用い、磁界変調記録を行うことを特徴
    とする記録再生方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    光磁気記録媒体を用い、再生時に、少なくとも記録層
    を、磁化制御層のキュリー温度以上かつ記録層のキュリ
    ー温度以下に加熱しながら再生することを特徴とする記
    録再生方法。
JP36890699A 1999-05-11 1999-12-27 光磁気記録媒体及びその記録再生方法 Pending JP2001176140A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36890699A JP2001176140A (ja) 1999-10-04 1999-12-27 光磁気記録媒体及びその記録再生方法
US09/565,555 US6430116B1 (en) 1999-05-11 2000-05-05 Magneto-optical storage medium having first and second recording layers

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-282876 1999-10-04
JP28287699 1999-10-04
JP36890699A JP2001176140A (ja) 1999-10-04 1999-12-27 光磁気記録媒体及びその記録再生方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001176140A true JP2001176140A (ja) 2001-06-29

Family

ID=26554818

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36890699A Pending JP2001176140A (ja) 1999-05-11 1999-12-27 光磁気記録媒体及びその記録再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001176140A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004017317A1 (ja) * 2002-08-13 2004-02-26 Fujitsu Limited 光磁気記録媒体及び光磁気記憶装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004017317A1 (ja) * 2002-08-13 2004-02-26 Fujitsu Limited 光磁気記録媒体及び光磁気記憶装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6117544A (en) Magneto-optical recording medium
JP3568787B2 (ja) 光磁気記録媒体及び再生装置
JP3626050B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその記録方法
US6430116B1 (en) Magneto-optical storage medium having first and second recording layers
JP3093340B2 (ja) 光磁気記録媒体
US6844083B2 (en) Magneto-optical recording medium possessing a magnetic assist layer
JPH07230637A (ja) 光磁気記録媒体および該媒体を用いた情報記録再生方法
JP2001176140A (ja) 光磁気記録媒体及びその記録再生方法
JP2000132879A (ja) 光磁気記録媒体
JP3570922B2 (ja) 光磁気記録媒体
JP2000339788A (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP3075048B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP3570921B2 (ja) 光磁気記録媒体を用いた情報の記録方法
JP3592399B2 (ja) 光磁気記録媒体
JPH11238264A (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP2770836B2 (ja) 光磁気記録媒体の製造方法
JP3756052B2 (ja) 光磁気記録媒体の再生方法
JP2815034B2 (ja) 光磁気記録媒体の製造方法
JP3516865B2 (ja) 光磁気記録媒体及び再生装置
JP3355759B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP2000322783A (ja) 光磁気記録媒体及びその記録方法並びに記録再生装置
JPH09293285A (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JPH08241544A (ja) 光磁気媒体
JP2003272262A (ja) 光磁気記録媒体
JP2000149349A (ja) 光磁気記録の再生方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050329

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050405

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050726