JP2868528B2 - カルボン酸の製造方法 - Google Patents

カルボン酸の製造方法

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JP2868528B2 JP1072038A JP7203889A JP2868528B2 JP 2868528 B2 JP2868528 B2 JP 2868528B2 JP 1072038 A JP1072038 A JP 1072038A JP 7203889 A JP7203889 A JP 7203889A JP 2868528 B2 JP2868528 B2 JP 2868528B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の概要] カルボニル化によるアルコール(たとえばメタノー
ル)からのカルボン酸(たとえば酢酸)の製造方法につ
き開示する。この方法は炭素、好ましくは大表面積の炭
素に支持されたロジウムおよびニッケルからなる触媒を
用いる。開示する方法は水素およびハロゲン化物促進剤
の存在下に行なわれ、極めて緩和な条件下(1〜50気
圧、150〜300℃)でカルボン酸の高収率をもたらす。
[産業上の利用分野] 本発明は一般にカルボン酸の製造に関し、特に不均質
触媒の存在下にアルコールをカルボニル化してn個の炭
素原子を有するアルコールからn+1個の炭素原子を有
するカルボン酸を製造する方法に関するものである。本
発明の好適実施態様は、メタノールのカルボニル化によ
る酢酸の製造である。
[従来の技術] メタノールのカルボニル化は古くから知られている。
1953年以来の長きにわたり、レッペはジャスタス・リー
ビッヒ・アナーレン・ヘミー(1953)第582巻,第1項
に鉄、コバルトおよびニッケルのカルボニルがハロゲン
化物促進剤の存在下に250〜270℃の温度かつ200〜350バ
ールの範囲の圧力にて酢酸へのメタノールのカルボニル
化を触媒することを開示している。
その後、ハルコンはメタノールのカルボニル化が酢酸
ニッケル/テトラフェニル錫/沃化メチル系により比較
的緩和な条件(35バールかつ150℃)の下で触媒される
ことを報告しており、さらに他の特許は有機アミンもし
くはホスフィンを液体反応媒体中に混入すればニッケル
カルボニルもしくはニッケル化合物が30バール程度の低
い圧力にて沃化物の存在下に有効な触媒となることを開
示している。ハルコンは、その刊行物において水素が触
媒を安定化させると主張している。最近、英国特許第20
89803号には、三価の有機−燐もしくは有機−窒素と沃
化物とで促進されたモリブデン・タングステン促進ニッ
ケル触媒が液相(33バール、185℃)にてメタノールか
らの酢酸の高収率をもたらすことが開示されている。こ
こでも、水素は反応を阻害せずかつ触媒を安定化しうる
ことが報告されている。さらに、支持された触媒成分を
用いる気相操作の可能性についても記載されている。さ
らにハルコンは、ドイツ特許第3335595号において、モ
リブデン/ニッケル/沃化リチウム/沃化物触媒成分を
用いて83バールの圧力でメタノール/酢酸メチルから酢
酸を高収率で製造することを開示している。米国特許第
4,426,537号には、ランタン塩が液相におけるニッケル
触媒の効果的促進剤となることが示されている。最後に
モンサント特許からは、ロジウムのカルボニル錯体が極
めて緩和な条件(35バール、180℃)の下で沃化物促進
剤の存在下にメタノールカルボニル化につき極めて活性
であることが周知されている。上記の事実から得られる
結論は、ニッケル触媒およびロジウム触媒の両者がレッ
ペにより報告されたよりも緩和な条件にてメタノールの
均質液相カルボニル化につき活性であることが公知であ
り、さらにニッケル触媒を用いれば水素の存在が許容さ
れかつしばしば触媒を安定化する意味で有利な作用を示
しうるという点である。しかしながら、触媒の分離およ
び循環という問題を排除するなど多くの理由から、不均
質触媒を用いる気相での操作が好ましい。
多くの支持ニッケル触媒が気相反応につき報告されて
いる。活性炭支持体上での202〜345℃の温度かつ約14kg
cm-2の圧力におけるアセチルへの高メタノール変換がヨ
ーロッパ特許第0069514号(トーヨー・エンジニアリン
グ社)に報告されている。しかしながら、一酸化炭素供
給物における多量の水素は望ましくないと言われる。ド
イツ特許第3,323,654号には、活性炭上のニッケルがた
とえばバラジウムおよびバラジウム/銅のような促進剤
と一緒になってメタノールカルボニル化につき280〜310
℃の温度にて有利な活性触媒となることが報告されてい
る。フジモト等は活性炭上のニッケルにつき徹底的に研
究して金属充填および反応条件につき報告し[Ind.Che
m.Prod.Res.Dev.、(1983)、第22巻、第436頁:同(19
82)、第21巻、第429頁]、かつ炭素支持体上のニッケ
ルの特徴につき報告し[炭素支持触媒の接触特性、ACS
シリーズ、第328巻(1987)]、さらに水素をガス供給
物中に導入した際の活性および酢酸生成の増加について
も報告している[ケミストリー・レターズ(1987)、第
895頁]。
さらに、支持ロジウム触媒も広範に研究されている。
ゼオライト支持体は、 [Rh(NH35Cl]Cl2と共にY−型[ジャーナル・カタ
リシス(1979)、第59巻、第53頁]およびNa−X型ゼオ
ライトの両者につき効果的な触媒となることが示されて
おり、ここで反応速度は均質反応の速度と同様であるこ
とが判明した。さらに、第四アンモニウム塩を含有する
陰イオン交換樹脂に結合した金属カルボニルMn(CO)m
(X)p -2[ここでM=Rh、Co、Ru、Os、IrもしくはFe;
X=アニオン、ハライド、ハイドライドもしくはアルキ
ルである]も効果的なカルボニル化触媒であることが、
米国特許第4,328,125号に示されている。
同様に、スチレンジビニルベンゼン共重合体でのRhCl
(CO)(PPh32のリガンド交換により形成されるマト
リックス結合したロジウム(I)錯体がカルボニル化に
対し活性であることもザレル等によりジャーナル・キャ
タリシス(1975)、第40巻、第255頁に示されており、
ただし緩和な条件(20barg、95℃)の下で低変換率(20
%)である。モンサント社は、支持ロジウム触媒におけ
る極めて多数の改質剤(第IB、IIIB、IVB、VB、VIB、VI
II族、並びにランタニドおよびアクチニド族の金属)を
検討している。支持体は主として活性炭であり、かつ工
程条件は一般に低圧(1気圧)である[たとえば米国特
許第3,717,670号;ヨーロッパ特許第120631号;英国特
許第1,233,121号および英国特許第1,277,242号参照]。
ニッケルは改質剤であると記載されているが[米国特許
第3,717,670号および米国特許第1,277,242号]、その使
用については強調されておらず、また水素による活性化
についても記載がない。支持ロジウム触媒の使用は周知
されておりかつニッケルはその改質剤として使用されて
いるが、ロジウム単独もしくはロジウム/ニッケル含有
の触媒につき水素の活性化作用は観察されていないと結
論される。水素は幾つかの従来技術[たとえばフジモト
等、Ind.Chem.Prod.Res.Dev.上記]に支持ニッケル触媒
を活性化すると開示されているのに対し、他の刊行物
[たとえばヨーロッパ特許第0069514号]には著量の水
素が悪影響を及ぼすとも開示されている。
[発明の要点] 今回、或る種の炭素支持ロジウム触媒が極めて緩和な
操作条件下で一酸化炭素と水素との混合物を用いるメタ
ノールから酢酸への変換に関し活性であることを突き止
めた。
したがって本発明は、n個の炭素原子を有するアルコ
ールからn+1個の炭素原子を有するカルボン酸を製造
するに際し、高温および高圧にて、アルコールを、炭素
担体上に担持されたロジウムとニッケルとからなる触媒
およびハロゲンもしくはハロゲン化合物促進剤の存在下
に、CO:H2のモル比が5:1〜1:4の範囲である一酸化炭素
と水素との気体混合物と接触させることを特徴とするカ
ルボン酸の製造方法を提供する。
n個の炭素原子を有するアルコールに関し、これは好
適には1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アルコールと
することができ、たとえばメタノール、エタノール、プ
ロパノールおよびイソプロパノール、ブタノール、ペン
タノール並びにヘキサノールを包含し、さらにたとえば
デカノールのような高級アルコールおよびその異性体型
も包含する。好適アルコールはメタノールであり、これ
から酢酸が得られる。メタノールは実質的に純粋であっ
てもよく、或いは一般的にこれに伴う不純物、たとえば
水およびエタノールを含有することもできる。多価アル
コールも使用することができ、さらに芳香族ヒドロキシ
ル含有化合物、たとえばフェノールも使用することがで
きる。
アルコールを一酸化炭素と水素(これらは別々に供給
しても予備混合してもよい)の気体混合物と接触させ
る。しかしながら、本発明による方法の利点は、メタン
含有ガス混合物の水蒸気リフォミングまたは部分酸化の
ような方法により得られる一酸化炭素と水素との気体混
合物を、一酸化炭素と水素とのモル比の調整を行ないま
たは行なわずに使用しうることである。メタノールのカ
ルボニル化による酢酸の工業生産においては一酸化炭素
が水素と一緒に生成され、次いで一酸化炭素がカルボニ
ル化に用いるため水素から分離される。したがって、混
合物を使用する設備は、分離工程を排除することにより
相当な経済的利益をもたらす。この種の混合物はたとえ
ばメタン、窒素および二酸化炭素のような少量の不純物
を含有することができ、これらは本発明の方法で許容す
ることができる。一酸化炭素は1〜95容量%の水素を含
むことができる。好ましくは一酸化炭素の水素含有量
は、一酸化炭素と水素とのモル比が10:1〜1:4の範囲と
なるようにする。
本発明の特徴は、触媒が炭素支持体上のロジウムとニ
ッケルとの両者から構成されることにある。ロジウムと
ニッケルとを一緒に水素の存在下で用いれば、予想外の
相乗作用が得られる。特に、ロジウムとニッケルとの両
者を存在させた触媒の活性は、ニッケルおよびロジウム
の個々の成分の作用効果よりも大である。すなわち、炭
素支持されたニッケル/ロジウム触媒は、たとえば極め
て緩和な操作条件下におけるメタノールから酢酸への変
換に関し高い活性および選択性を示すことができる。
反応の際の正確な金属の形態は正確には知られていな
いが、これら金属は少なくとも部分的にカルボニル化さ
れると思われる。したがって、これら金属は元素状で或
いは化合物(たとえばその塩)として用いることができ
る。炭素支持体としては、好適には任意の活性化された
或いは活性化されてない大表面積の炭素もしくは大表面
積のグラファイトを用いることができる。好適支持体は
大表面積の活性炭である。この種の物質の例は、500m2g
-1以上の表面積を有する大表面積の炭素である。
好適には触媒は、支持体に金属の可溶性化合物(たと
えば塩)の溶液(好適には水溶液)を含浸させ、溶剤を
除去しかつ得られた組成物を乾燥して製造することがで
きる。本発明の方法に使用する前に、好適には高められ
た温度、好ましくは約100〜650℃の範囲、典型的には約
400℃の温度にて還元ガス(たとえば水素)と接触させ
て触媒を活性化することが好ましい。
好適には、触媒は0.05〜10重量%のニッケルと0.1〜
7%のロジウムとで構成することができる。ニッケル対
ロジウムの重量比は好適には0.05:〜10:1の範囲とする
ことができる。
促進剤としてはハロゲンもしくはハロゲン化合物のい
ずれかが使用され、たとえばハロゲン化水素、ハロゲン
化アルキルもしくはアリール、金属ハロゲン化物または
ハロゲン化アンモニウム、ホスホニウム、アルソニウム
もしくはスチボニウムとすることができる。ハロゲン成
分として沃素を含有する促進剤が好適である。好ましく
は、促進剤は沃化アルキル、たとえば沃化メチルであ
る。
この方法は、高められた温度および圧力で操作させ
る。好適には、温度は150〜300℃の範囲とすることがで
き、かつ圧力は1〜50気圧の範囲とすることができる。
この方法はバッチ式または連続式のいずれでも操作で
き、好ましくは連続式であってアルコールは液相もしく
は気相とすることができる。連続操作のための液体空時
速度は好適には1.1〜5の範囲とすることができ、かつ
気体と液体とのベーパー比は好適には1:5〜100:1の範囲
としうるが、それより高いまたは低い比も用いることが
できる。
[実施例] 以下、実施例および比較試験により本発明の方法をさ
らに説明する。
実施例A:触媒製造 触媒の製造に支持体として用いた活性炭は高微孔質の
炭素であって市販されている[サットクリフ・スピーク
マン社;AC610]。これは1600〜1800m2/gのBET表面積と
0.74cm3g-1の微孔容積と0.82cm3g-1の全気孔容積とを有
する。
(i)上記活性炭に硝酸ニッケルの水溶液を含浸させか
つ空気オーブン内で110℃にて24時間乾燥することによ
り、ニッケル/ロジウム/活性炭触媒を作成した。次い
で、この触媒を水素流の下で400℃にて3時間活性化さ
せ、次いで冷却しかつ微量の酸素および水の不純物を含
有する窒素を流した。次いで、硝酸ロジウム溶液として
のロジウムを上記で得られた物質に含浸させ、かつ触媒
を空気オーブン内で110℃にて24時間乾燥させた。この
触媒をその場で使用前に大気圧下で水素流の下に280℃
にて1時間活性化させた。
(ii)活性炭上のニッケル触媒を上記(i)と同様に作
成したが、ただしロジウム含浸工程を省略した。
(iii)活性炭上のロジウム触媒を上記(i)と同様に
作成したが、ただしニッケル含浸工程を省略した。
実施例1 加圧条件下にて固定触媒床の流過型反応器を用いた。
メタノールと沃化メチルとを混合し、加圧ポンプで供給
し、予備加熱炉にて熱流入ガスと接触させ、次いで混合
蒸気を反応炉内の2mlの触媒床に供給した。次いで、生
成物を減圧弁を介してオンラインのガスクロマトグラフ
に供給した。
触媒(2.5%b.w.Ni/1%b.w.Rh)(2ml;0.836g)を反
応管に入れた。触媒をその場で活性化させた後、水素流
(GHSV2、400h−l)の下で280℃での1時間にわたる反
応に使用した。次いで、反応管を180℃まで冷却しかつ
反応体を加えた。1:2のCO:H2のガス供給比、9bargの全
圧力、100:19:1のガス供給物:メタノール:沃化メチル
の比、および188℃の床温度にて第1表に示す変換率が
得られた。
比較試験1 2.5%Ni/1%Rh/活性炭触媒の代りに活性炭上の2.5%N
i触媒を用いる以外は実施例1を反復した。得られた変
換率を第1表に示す。
比較試験2 2.5%Ni/1%Rh/活性炭触媒の代りに活性炭上の1%RH
触媒を用いた以外は実施例1を反復した。得られた変換
率を第1表に示す。
比較試験1および2は、触媒が必須成分を欠くため本
発明によらないものである。これらは比較の目的でここ
に含ませた。
表中に示した結果は、活性炭支持したNi/Rh触媒が酢
酸へのメタノールカルボニル化につき緩和な条件下で極
めて活性であることを示している。さらに、これらは2
成分金属触媒の活性が個々の触媒の活性合計と等しくな
いので、RhとNiとの間の相乗作用が存在することをも示
している。この相乗作用は、個々の金属触媒の活性合計
に比較してメタン生成を低下させかつ酢酸に対する選択
性を増大させるよう作用する。
実施例3および4 ガス供給物における水素の比率を変化させた以外は実
施例1を反復した。得られた結果を第2表に示す。
比較試験3 水素を供給物から省略した以外は実施例1を反復し
た。得られた結果を第2表に示す。
これは、水素が存在しないため本発明によらない例で
ある。これは比較の目的でのみ含ませた。
第2表に示した結果から見られるように、水素はメタ
ンに対する選択性を殆んど変化させることなく酢酸生成
につきロジウム含有触媒を活性化する。比較試験4並び
に実施例5および6 ガス供給物における種々異なる比率の水素を用いて実
施例2を反復した。その結果を第3表に示す。
比較試験4は水素が存在しないため本発明によらない
例である。これは比較の目的でのみここに含ませた。
第3表に示した結果から見られるように、水素はロジ
ウム/活性炭触媒を活性化するが、ニッケル/ロジウム
/活性炭触媒で観察された程度に達せず、特に1:2のCO:
H2では大して満足しえない結果をもたらす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 53/00 - 53/128 C07C 51/12 C07B 61/00 300

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】n個の炭素原子を有するアルコールからn
    +1個の炭素原子を有するカルボン酸を製造するに際
    し、高温および高圧にて、アルコールを、炭素担体上に
    担持されたロジウムとニッケルとからなる触媒およびハ
    ロゲンもしくはハロゲン化合物促進剤の存在下に、CO:H
    2のモル比が5:1〜1:4の範囲である一酸化炭素と水素と
    の気体混合物と接触させることを特徴とするカルボン酸
    の製造方法。
  2. 【請求項2】触媒が0.05:1〜10:1の範囲のニッケル対ロ
    ジウムの重量比を有するものである請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】触媒が0.05〜10重量%のニッケルを含有す
    る請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】触媒が0.1〜7%のロジウムを含有する請
    求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 【請求項5】n個の炭素原子を有するアルコールがメタ
    ノールであり、かつn+1個の炭素原子を有するカルボ
    ン酸が酢酸である請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】気体混合物における一酸化炭素と水素との
    モル比が4:1〜1:2の範囲である請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】150〜300℃の範囲の温度かつ1〜50気圧の
    範囲の圧力にて行う請求項1記載の方法。
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