JP2868328B2 - 大口径炭化珪素単結晶インゴットの作製方法および種結晶用炭化珪素単結晶 - Google Patents

大口径炭化珪素単結晶インゴットの作製方法および種結晶用炭化珪素単結晶

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JP2868328B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大口径炭化珪素単結晶イ
ンゴット、特に6H形(Hは六方晶系、6は原子積層が
6層で一周期となる結晶構造を意味する。)大口径炭化
珪素単結晶(以下6H−SiCと記する。)インゴッ
ト、および4H形(Hは六方晶系、4は原子積層が4層
で一周期となる結晶構造を意味する。)大口径炭化珪素
単結晶(以下4H−SiCと記する。)インゴットの作
製方法およびこれに用いる種結晶用炭化珪素単結晶に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】炭化珪素単結晶は物理的、化学的に安定
であり、しかも放射線に耐えられる素材であるため、耐
環境性半導体材料としての応用が期待されている。また
禁制帯幅が大きいことから、短波長の発光ダイオード材
料として利用されている。実際に、6H−SiCは室温
で約3.0eVの禁制帯幅をもち青色発光ダイオード用
材料となっており、4H−SiCは約3.2eVの禁制
帯幅をもち紫色発光ダイオード用材料となっている。炭
化珪素単結晶インゴットから取出したウェハ上にデバイ
スを作製する際に、このウェハ面積が大きいほどコスト
低下を図ることが可能なため、より大面積のウェハを取
出せる大口径炭化珪素単結晶インゴットが求められてい
る。
【0003】特開平2−30699号公報には、炭化珪
素単結晶基板より小さな開口部を有する黒鉛製仕切板
を、基板と0.1〜2mmの間隔を開け坩堝内に取付け
ることで、多結晶の発生を抑制し断面積の大きな良質の
炭化珪素単結晶を成長させる方法が開示されている。し
かしながらこの方法では、良質小型の単結晶は成長でき
るものの、多結晶発生を防止するために取付けられた仕
切板の開口部のサイズが基板単結晶より小さいため、成
長単結晶が仕切板に至る時点での結晶径はこの開口部よ
り小さくなる点や、仕切板への多結晶の付着により口径
拡大成長が抑えられる点などにより、大口径化は図り難
い。
【0004】真空 第30巻 第11号(1987)p
886には、単結晶基板取付け位置を原料結晶に近づけ
多結晶発生位置と段差をつけることで、単結晶口径の拡
大が回りの多結晶により妨げ難くした方法が記載されて
いる。この方法では、多結晶付着が少ない成長初期に
は、発生する多結晶の高さが成長する単結晶の高さに至
らず口径拡大が図られるが、回りの多結晶が単結晶の高
さに到達すると口径拡大が妨げられてしまう。この方法
で得られる単結晶は元の単結晶基板の大きさに依存し、
口径拡大率が約1.4倍と低いものである。また特に大
口径4H−SiC単結晶の成長法についての報告は見当
らない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、口径、高さ
共に大きい大口径炭化珪素単結晶インゴットを小さな炭
化珪素単結晶基板から作製する方法、特に、大口径6H
−SiC単結晶インゴットおよび大口径4H−SiC単
結晶インゴットを作製する方法を提供することを目的と
する。さらに本発明は、これらの大口径炭化珪素単結晶
を作製するために用いる種結晶用炭化珪素単結晶を提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決しようとするための手段】上記諸目的は、
渦巻成長のスパイラルステップを有する(0001)成
【外5】 ファセット面または(000)成長ファセット面をす
る炭化珪素単結晶を黒鉛製坩堝蓋の中心に種結晶として
配置し、前記炭化珪素単結晶の口径の1〜3倍の大きさ
の開口部を有する黒鉛製仕切板を前記炭化珪素単結晶の
側面に位置するように取付けた黒鉛製坩堝に炭化珪素原
料粉末を挿入し、不活性気体雰囲気中にて炭化珪素原料
を加熱昇華させ、前記炭化珪素単結晶を炭化珪素原料よ
り低温にして炭化珪素単結晶を成長させることを特徴と
する大口径炭化珪素単結晶インゴットの作製方法により
達成される。
【0007】特に本発明は、種結晶として螺旋転位に基
づく渦巻成長のスパイラルステップ
【外6】 を有する(0001)成長ファセット面または(000
)成長ファセット面を有する6H−SiC単結晶を用
い、大口径6H−SiC単結晶インゴットを作製するこ
と、または種結晶として螺旋転位に基づく渦巻成長のス
パイラルステップ
【外7】 を有する(000)成長ファセット面を有する4H−
SiC単結晶を用い、大口径4H−SiCインゴットを
作製することを示すものである。
【0008】
【外8】 または上記諸目的は、(0001)成長ファセット面ま
たは(000)成長ファセット面上に渦巻成長のスパ
イラルステップを有する炭化珪素単結晶であることを特
徴とする種結晶用炭化珪素単結晶によっても達成され
る。
【0009】なお、明細書中において述べる「炭化珪素
単結晶の口径」とは、炭化珪素単結晶の成長操作におい
て、該炭化珪素単結晶を黒鉛製仕切板の開口部内に通
し、該炭化珪素単結晶の側面に黒鉛製仕切板を実際に位
置させた際に、該黒鉛製仕切板の存在する高さにおける
炭化珪素単結晶の断面の口径を指すものである。
【0010】
【作用】以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、特開平2−30699号公報に示された坩堝と
同様の構成を有する単結晶成長装置であり、例えばこの
ような構成の単結晶成長装置を用いて、本発明による大
口径炭化珪素単結晶インゴットの作製に必要とされる螺
旋転位に基づく渦巻成長のスパイラルステップを有する
(0001)成長ファセット面または
【外9】 (000)成長ファセット面を有する炭化珪素単結
晶、特に螺旋転位に基づく渦巻成長のスパイラルステッ
プを有する(0001)成長ファセット面または
【外10】 (000)成長ファセット面を有する6H−SiC単
位結晶、または螺旋転位に基づく渦巻成長のスパイラル
ステップを有する(000)成長ファセット面を有す
る4H−SiC単結晶を作製することができる。
【0011】図1に示す単結晶成長装置において、坩堝
1は黒鉛製であり、この黒鉛製の坩堝1の上端近傍に
は、中央部に開口部を有しかつ外周面が坩堝1の内周面
に嵌合する仕切板2が取付けられている。この仕切板2
は、坩堝1の上端開口部を覆う黒鉛製の坩堝蓋3の下面
に坩堝蓋3と平行に平板状に加工した炭化珪素単結晶基
板4を取付けた際、この炭化珪素単結晶基板4との間隔
が0.1〜2.0mmであるように配置される。また仕
切板2の中央の開口部は炭化珪素単結晶基板4よりも多
少小さくする。さらに坩堝1の側面は黒鉛製の断熱用フ
ェルト5で、また坩堝1ないし坩堝蓋3の上下部は同じ
く黒鉛製の断熱用フェルト6で覆われている。このうち
坩堝1の下部に配置した断熱用フェルト6の中心部には
直径2〜4mmの光路7が設けられており、この部分よ
り、二色温度計等を用いて常時坩堝1下部の温度が測定
できるようにしてある。この坩堝1下部の温度を原料温
度をみなす。また、坩堝蓋3の上部に配置した断熱用フ
ェルト6にあらかじめ同様の光路を設け坩堝蓋3の温度
を測定し、これを種結晶の温度とみなす。結晶育成に先
立ち、これらの坩堝系(坩堝1、坩堝蓋3、断熱用フェ
ルト5,6など)は不純物を取除き純化する目的で、前
もって真空中にて結晶成長温度以上で空焼きを行なって
おくことが望ましい。坩堝1内には、予め酸による洗浄
と真空中での空焼きにより純化した粉末上の炭化珪素原
料8を準備する。加熱は例えば高周波誘導加熱法により
行い、黒鉛製坩堝1を発熱体とし黒鉛製断熱用フェルト
5,6により断熱する。単結晶基板4としては、結晶c
軸に対し垂直な
【外11】 (0001)面または(000)面が、あるいは垂直
に近い面を出しとものを用いる。また基板の大きさとし
ては、小さくとも口径10mm程度あればよい。
【0012】以上のような装置を用いて、本発明による
大口径炭化珪素単結晶インゴットの種結晶となり得る6
H形および4H形の炭化珪素単結晶を作り分けるには、
以下の方法によって行なう。すなわち、6H形は単結晶
基板4として6H−SiC
【外12】 の(0001)面または(000)面がそれに近い面
を使用し、基板温度を2450〜2280℃、より好ま
しくは2400〜2300℃に設定して成長させること
により作製する。また、4H形は単結晶基板4として6
H−SiCの
【外13】 (000)面がそれに近い面を使用し、基板温度を2
280〜2100℃、より好ましくは2250〜215
0℃に設定して成長させることにより作製する。どちら
の場合も高さ方向(c軸方向)の成長速度を平均0.5
〜1.2mm/hとなるように雰囲気圧力、原料温度を
設定する。この方法により6H形の単結晶は9割以上の
確率で、また4H形の単結晶は8割以上の確率で成長で
きる。図1において符号9は、このような成長により得
られた炭化珪素単結晶であり、(0001)面またはそ
れに近い面を使用した場合は、先端部に基板4とほぼ平
【外14】 に(0001)成長ファセット面が現れ、(000)
面またはそれに近い面を使用した場合は、先端部に基板
4とほぼ平行に(000)成長ファセット面が現れ
る。これらの面上には特有の模様がみられ、これをノマ
ルスキー微分干渉顕微鏡で観察することにより、螺旋転
位に基づく渦巻成長のスパイラルステップの存在が確め
られる。なお図1において符号10は仕切板2に付着し
た多結晶を示すものである。
【0013】本発明の大口径炭化珪素単結晶インゴット
の作製方法は、例えば上記の方法により作製した炭化珪
素単結晶9、すなわち渦巻成長のスパイラルステップを
【外15】 する(0001)成長ファセット面または(000)
成長ファセット面を有する炭化珪素単結晶を種結晶とし
て結晶成長を行なう。
【0014】図2は、上記の方法により作製した炭化珪
素単結晶9を種結晶として、大口径炭化珪素単結晶イン
ゴットを作製するために用いられる単結晶成長装置の一
例を示すものである。図2に示す単結晶成長装置におい
て、坩堝11は黒鉛製である。この黒鉛製の坩堝12の
上端近傍には、中央部に開口部を有しかつ外周面が坩堝
11の内周面に嵌合する仕切板12が取付けられてい
る。この仕切板12の取付け位置は、坩堝11の上端開
口部を覆う黒鉛製の坩堝蓋13の下面に種結晶となる上
記炭化珪素単結晶9を取付けた際、この炭化珪素単結晶
9の側面に位置するように、仕切板12の上面が例えば
坩堝蓋13の下面より0.5〜4mm程度下方に位置す
る高さとする。また、仕切板12の厚さとしては、特に
限定されるものではないが、通常0.5mm〜2mm程
度のものとされる。仕切板12の厚さがこれよりも薄い
ものあるいは厚いものであっても十分に機能するが、そ
の厚さが極端に薄いものであると仕切板12の加工性お
よび強度等の面から問題が生じる虞れがあり、一方、仕
切板12の厚さが極端に厚いものであると、例えば、そ
の仕切板12が存在するかなりの厚さにおいて炭化珪素
単結晶の側面方向(ab軸方向)への口径拡大が十分に
なされず、得られる炭化珪素単結晶において有効に利用
される部位が少なり生産性の面からあまり適当でないな
どといった問題が生じる虞れがある。なおこの例におい
ては仕切板12は坩堝11内周面に直接的に取付けられ
ているが、坩堝蓋13の下面より高さ調節可能な黒鉛
製取付け具(図示せず)を立設し、これに仕切板12を
固定して該仕切板12の外周面を坩堝11の内周面に嵌
合させて配置することも可能であり、このような構成と
すれば坩堝蓋13の下面と仕切板12との間隔を炭化珪
素単結晶9の大きさ等に応じて自在に調節することが可
能となる。
【0015】ここで、仕切板2の中央の開口部の大きさ
は、種結晶となる炭化珪素単結晶9の口径の1〜3倍、
より好ましくは1.5〜2.5倍程度とする。すなわ
ち、開口部の大きさが炭化珪素単結晶9の3倍を越える
と昇華した炭化珪素原料気体が種結晶用炭化珪素単結晶
9の側面に集中し難くなるために良質の炭化珪素単結晶
が成長し難くなったり、目的以外の結晶多形や多結晶が
発生しやすくなるためである。なお、本発明においては
該炭化珪素単結晶9を仕切板12の開口部内に通し、炭
化珪素単結晶9の側面に仕切板12を位置させるため
に、開口部の大きさは、最小でも種結晶となる炭化珪素
単結晶9の口径と同じ大きさは必要である。
【0016】図2に示す単結晶成長装置において、炭化
珪素原料粉末18、断熱用フェルト15,16、温度測
定用光路17については、図1に示す単結晶成長装置に
おける炭化珪素原料粉末8、断熱用フェルト5,6、温
度測定用光路7とそれぞれ同様のものである。また坩堝
蓋13は、図1で示す単結晶成長装置における坩堝蓋3
と別のものを用い、坩堝蓋3上に成長した種結晶用炭化
珪素単結晶9をこの坩堝蓋3より切離し、別途用意した
坩堝蓋13にこの炭化珪素単結晶9を取付けることも可
能であるが、好ましくは、種結晶作製に用いた図1の単
結晶装置の坩堝蓋3を、該坩堝蓋3上に成長した種結晶
用炭化珪素単結晶9が付随した状態で、そのまま図2に
示す単結晶成長装置における坩堝蓋13として用い、図
示するように口径拡大用の坩堝11の上部に取付ける。
【0017】種結晶として図1に示す単結晶成長装置に
より上記のごとき昇華法で作製し
【外16】 た(0001)成長ファセット面または(000)成
長ファセット面を有する単結晶を用いるのは、次の理由
による。この面には螺旋転位に基づく渦巻成長のスパイ
ラルステップが数多く存在し、これが成長時に結晶の積
層の記憶(多形の情報)をc軸方向に伝えていく役割を
する。このため比較的低過飽和の成長条件においては、
6H形のスパイラルステップを高密度に含む(000
1)成長フ
【外17】 ァセット面または(000)成長ファセット面を有す
る炭化珪単結晶からは6H形単一の炭化珪素単結晶が成
長し、4H形のスパイラルステップを高密度
【外18】 に含む(000)成長ファセット面を有する炭化珪素
単結晶からは4H形単一の炭化珪素単結晶が成長する。
一方、このような高密度のスパイラルステップ
【外19】 を含まない(0001)面または(000)面や研磨
面などでは、上記のような効果は生じない。また結晶側
面方向には積層の記憶をそのまま引継いでいく口径拡大
成長が可能であるためである。
【0018】もちろん、本発明の大口径炭化珪素単結晶
インゴットの作製方法において、種結晶としては、渦巻
成長のスパイラルステップを高密度に含む(0001)
【外20】 成長ファセット面(000)成長ファセット面を有す
る炭化珪素単結晶であればいずれの方法によって得られ
たものであっても用いることができ、図1に示すような
単結晶成長装置を用いて上記のごとき昇華法で作製した
炭化珪素単結晶に何ら限定されるものではない。
【0019】本発明に関わる大口径炭化珪素単結晶イン
ゴットの作製において、結晶育成に先立ち、図1に示す
装置におけると同様に、図2に示す装置においても坩堝
系(坩堝11、坩堝蓋13、断熱用フェルト15,16
など)は不純物を取除き純化する目的で、前もって真空
中にて結晶成長温度以上で空焼きを行なっておくことが
望ましい。
【0020】本発明に関わる大口径炭化珪素単結晶イン
ゴットの作製において、加熱は例えば高周波誘導加熱法
により行い、真空ポンプなどの真空排気装置(図示せ
ず)により脱気して系内を真空とし、炭化珪素原料温度
を2000℃程度まで上昇させる。その後、Arなどの
不活性気体を流入させながら系内雰囲気圧力を約600
Torr程度に保ち、目標温度より50℃程度低温まで
上昇させる。なお、系内雰囲気圧力をこのように約60
0Torr程度に保つのは炭化珪素粉末原料18が単結
晶成長開始前に昇華するのを妨げるためである。この温
度に到達したら、不活性ガス雰囲気圧力を徐々に減少さ
せる。減圧は30〜120分程度かけて行ない、系内の
雰囲気圧力を1〜50Torr、より好ましくは5〜2
0Torr、炭化珪素原料温度を2150〜2500
℃、より好ましくは2200〜2400℃に設定して炭
化珪素単結晶の成長を開始する。なお単結晶成長時の炭
化珪素原料温度が2150℃よりも低いと6H形、4H
形以外の結晶多形や多結晶が発生しやすく、一方、炭化
珪素原料温度が2500℃よりも高いと熱エッチングな
どにより良質の単結晶が得られ難くなる。単結晶成長時
の雰囲気圧力と原料温度の関係はc軸方向成長速度が平
均0.3〜1.0mm/h、より好ましくは0.4〜
0.8mm/hとなるように選ぶ。また種結晶温度は炭
化珪素原料温度よりも低い温度、具体的には例え40
〜120℃程度、より好ましくは50〜80℃程度低く
なるように設定する。
【0021】本発明による大口径炭化珪素単結晶インゴ
ットの作製は、このようにして行なわれるが、その単結
晶成長において、種結晶となった炭化珪素単結晶9は、
最初高さ方向(c軸方向)には成長せず、主に側面方向
(ab軸方向)に口径拡大して成長していく。前述した
仕切板12の開口部の大きさは、この初期の拡大口径を
決定する。その後単結晶はc軸方向に成長していくと共
に、さらに口径を拡大して成長していく。このとき、炭
化珪素原料温度に比べ種結晶温度が低い程口径拡大は顕
著になるが、この種結晶温度が著しく低い場合には多結
晶の発生や周りの多結晶(仕切板12あるいは坩堝11
内周面上などに成長した多結晶)との付着が起り適当で
はない。
【0022】なお図2において、符号21はこのような
成長により得られる大口径炭化珪素単結晶インゴットを
示すものであり、また符号20は仕切板12上に付着し
た多結晶を示すものである。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。 実施例1 口径約12mmの6H−SiC単結晶基板を用い、図1
に示すような単結晶成長装置において、仕切板2の開口
部を口径10mmとして、炭化珪素原料温度を2400
℃、基板温度を2340℃、雰囲気圧力を20Torr
として(0001)研磨面上に単結晶成長を行ない、口
径9mm、高さ6mmの小型の6H−SiC単結晶を得
た。成長速度はc軸方向に平均で約0.8mm/hであ
った。この単結晶には(0001)成長ファセット面が
現れており、その面上に渦巻成長の模様が見られ高密度
のスパイラルステップが確認された。なお、結晶多形の
同定はラマン散乱測定などにより行なった。次にこの小
型の6H−SiC単結晶を種結晶として用い、図2に示
すような構成を有する単結晶成長装置により、単結晶の
大口径化、大型化を図った。坩堝11内に配置される仕
切板12の位置を坩堝蓋13(図1における坩堝蓋3を
そのまま用いた。)の底面より2mm離したものとし、
仕切板12の開口部の口径をこの種結晶となる6H−S
iC単結晶の口径の2倍の大きさの18mmとし、炭化
珪素原料温度を2340℃、種結晶とした6H−SiC
単結晶温度を2260℃、雰囲気圧力を10Torrと
して単結晶成長を行なったところ、最大部で口径30m
m、高さ18mmの大口径6H−SiC単結晶インゴッ
トが得られた。成長速度はc軸方向に平均で約0.6m
m/hであった。結晶多形の同定はインゴット内部の様
子も調べるためにウェハ形状に切断したものをラマン散
乱測定などにより行なったが、完全な単一の6H形であ
った。元の単結晶基板と本発明により作製した大口径単
結晶インゴットの口径を比較すると、口径拡大率は2.
5倍であった。また種結晶としたSiC単結晶と比較し
た場合は3倍以上となっていた。このような単結晶成長
を多数回行なったが、成長中も常時炭化珪素原料等の温
度を測定しているために、作製される結晶の結晶、結
晶性の再現性は良好であった。
【0024】実施例2 口径約12mmの6H−SiC単結晶基板を用い、図1
に示すような単結晶成長装置において、仕切板2の開口
部を口径10mmとして、炭化珪素原料温度を2400
℃、基板温度を2340℃、雰囲気圧力を20Torr
として(000
【外21】 )研磨面上に単結晶成長を行ない、口径9mm、高さ
6mmの小型の6H−S iC単結晶を得た。成長速度はc軸方向に平均で約0.
8mm/hであった。
【外22】 この単結晶には(000)成長ファセット面が現れて
おり、その面上に渦巻成長の模様が見られ高密度のスパ
イラルステップが確認された。なお、結晶多形の同定は
ラマン散乱測定などにより行なった。次にこの小型の6
H−SiC単結晶を種結晶として用い、図2に示すよう
な構成を有する単結晶成長装置により、単結晶の大口径
化、大型化を図った。坩堝11内に配置される仕切板1
2の位置を坩堝蓋13(図1における坩堝蓋3をそのま
ま用いた。)の底面より2mm離したものとし、仕切板
12の開口部の口径をこの種結晶となる6H−SiC単
結晶の口径の2倍の大きさの18mmとし、炭化珪素原
料温度を2340℃、種結晶とした6H−SiC単結晶
温度を2260℃、雰囲気圧力を10Torrとして単
結晶成長を行なったところ、最大部で口径30mm、高
さ18mmの大口径6H−SiC単結晶インゴットが得
られた。成長速度はc軸方向に平均で約0.6mm/h
であった。結晶多形の同定はインゴット内部の様子も調
べるためにウェハ形状に切断したものをラマン散乱測定
などにより行なったが、完全な単一の6H形であった。
元の単結晶基板と本発明により作製した大口径単結晶イ
ンゴットの口径を比較すると、口径拡大率は2.5倍で
あった。また種結晶としたSiC単結晶と比較した場合
は3倍以上となっていた。このような単結晶成長を多数
回行なったが、成長中も常時炭化珪素原料等の温度を測
定しているために、作製される結晶の結晶、結晶性の
再現性は良好であった。
【0025】実施例3 口径約12mmの6H−SiC単結晶基板を用い、図1
に示すような単結晶成長装置において、仕切板2の開口
部を口径10mmとして、炭化珪素原料温度を
【外23】 2300℃、基板温度を2240℃、雰囲気圧力を5T
orrとして(000)研磨面上に単結晶成長を行な
い、口径9mm、高さ6mmの小型の4H−SiC単結
晶を得た。成長速度はc軸方向に平均で約0.8mm/
hであった。この
【外24】 単結晶には(000)成長ファセット面が現れてお
り、その面上に渦巻成長の模様が見られ高密度のスパイ
ラルステップが確認された。なお、結晶多形の同定はラ
マン散乱測定などにより行なった。次にこの小型の4H
−SiC単結晶を種結晶として用い、図2に示すような
構成を有する単結晶成長装置により、単結晶の大口径
化、大型化を図った。坩堝11内に配置される仕切板1
2の位置を坩堝蓋13(図1における坩堝蓋3をそのま
ま用いた。)の底面より2mm離したものとし、仕切板
12の開口部の口径をこの種結晶となる6H−SiC単
結晶の口径の2倍の大きさの18mmとし、炭化珪素原
料温度を2340℃、種結晶とした4H−SiC単結晶
温度を2260℃、雰囲気圧力を10Torrと実施例
1および実施例2と全く同じ温度、圧力条件で単結晶成
長を行なったところ、最大部で口径30mm、高さ18
mmの大口径4H−SiC単結晶インゴットが得られ
た。成長速度はc軸方向に平均で約0.6mm/hであ
った。結晶多形の同定はインゴット内部の様子も調べる
ためにウェハ形状に切断したものをラマン散乱測定など
により行なったが、完全な単一の4H形であった。元の
単結晶基板と本発明により作製した大口径単結晶インゴ
ットの口径を比較すると、口径拡大率は2.5倍であっ
た。また種結晶としたSiC単結晶と比較した場合は3
倍以上となっていた。このような単結晶成長を多数回行
なったが、成長中も常時炭化珪素原料等の温度を測定し
ているために、作製される結晶の結晶、結晶性の再現
性は良好であった。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、渦巻成長の
スパイラルステップを有する
【外25】 (0001)成長ファセット面または(000)成長
ファセット面を有する炭化珪素単結晶を黒鉛製坩堝蓋の
中心に種結晶として配置し、前記炭化珪素単結晶の口径
の1〜3倍の大きさの開口部を有する黒鉛製仕切板を前
記炭化珪素単結晶の側面に位置するように取付けた黒鉛
製坩堝に炭化珪素原料粉末を挿入し、不活性気体雰囲気
中にて炭化珪素原料を加熱昇華させ、前記炭化珪素単結
晶を炭化珪素原料より低温にして炭化珪素単結晶を成長
させることを特徴とする大口径炭化珪素単結晶インゴッ
トの作製方法であるから、比較的簡単な装置を用いて所
望の結晶構造をもつ大口径炭化珪素単結晶インゴットを
容易に作製することができ、炭化珪素単結晶を用いた青
色発光ダイオードあるいは紫色発光ダイオードなどの各
種応用面に有用な6H形の大面積炭化珪素単結晶ウェハ
および4H形の大面積炭化珪素単結晶ウェハの供給を可
能とし、これらの製品コストの低下を可能とするもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の大口径炭化珪素単結晶インゴット
の作製方法において必要とされる種結晶用炭化珪素単結
晶を得るために用いられる単結晶成長装置の一例の構造
を模式的に示す断面図であり、
【図2】は、本発明の大口径炭化珪素単結晶インゴット
の作製方法において用いられる単結晶成長装置の一例の
構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1,11…坩堝、 2,12…仕切板、 3,13
…坩堝蓋、4…炭化珪素単結晶基板、 5,6,1
5,16…断熱用フェルト、7,17…温度測定用光
路、 8,18…炭化珪素原料粉末、9…炭化珪素単
結晶、 10,20…多結晶、21…大口径炭化珪素
単結晶インゴット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 雄一郎 神奈川県 川崎市 中原区 井田1618番 地 新日本製鐵株式会社 第1技術研究 所内 (56)参考文献 特開 平4−16597(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 1/00 - 35/00 H01L 21/203

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 渦巻成長のスパイラルステップを有する
    (0001)成長 【外1】 ファセット面または(000)成長ファセット面を有
    する炭化珪素単結晶を黒鉛製坩堝蓋の中心に種結晶とし
    て配置し、前記炭化珪素単結晶の口径の1〜3倍の大き
    さの開口部を有する黒鉛製仕切板を前記炭化珪素単結晶
    の側面に位置するように取付けた黒鉛製坩堝に炭化珪素
    原料粉末を挿入し、不活性気体雰囲気中にて炭化珪素原
    料を加熱昇華させ、前記炭化珪素単結晶を炭化珪素原料
    より低温にして炭化珪素単結晶を成長させることを特徴
    とする大口径炭化珪素単結晶インゴットの作製方法。
  2. 【請求項2】 種結晶として(0001)成長ファセッ
    ト面または 【外2】 (000)成長ファセット面を有する6H−SiC単
    結晶を用い、大口径6H−SiC単結晶インゴットを作
    製する請求項1に記載の大口径炭化珪素単結晶インゴッ
    トの作製方法。
  3. 【請求項3】 【外3】 種結晶として(000)成長ファセット面を有する4
    H−SiC単結晶を用い、大口径4H−SiCインゴッ
    トを作製する請求項1に記載の大口径炭化珪素単結晶イ
    ンゴットの作製方法。
  4. 【請求項4】 【外4】 (0001)成長ファセット面または(000)成長
    ファセット面上に渦巻成長のスパイラルステップを有す
    る炭化珪素単結晶であることを特徴とする種結晶用炭化
    珪素単結晶。
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