JP2863962B2 - イオン打ち込み装置 - Google Patents

イオン打ち込み装置

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JP2863962B2
JP2863962B2 JP4090734A JP9073492A JP2863962B2 JP 2863962 B2 JP2863962 B2 JP 2863962B2 JP 4090734 A JP4090734 A JP 4090734A JP 9073492 A JP9073492 A JP 9073492A JP 2863962 B2 JP2863962 B2 JP 2863962B2
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  • Electron Sources, Ion Sources (AREA)
  • Particle Accelerators (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波線形イオン加速
器を利用したイオン打ち込み装置に係り、特に大電流領
域で高エネルギーイオンビームを発生させることに好適
なイオン打ち込み装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のRFQ(Radio Frequency Quadru
pole; 高周波四重極)イオン加速器を使用したイオン打
ち込み装置は、特開昭60−121656号公報に開示されてい
る。この従来技術は数100keV〜数MeVの領域の高エネル
ギーイオンの打ち込みが、可能となる特徴を持ってい
る。
【0003】図3は従来技術の構成を示すブロック図で
ある。
【0004】本図に示すように従来のイオン打ち込み装
置の基本構成は、真空中の処理対象となる材料に打ち込
むイオンを発生するイオン源1、このイオン源1から引
き出されたイオンを質量分離するための質量分離器6、
この質量分離器6からの出射イオンを入射して高周波電
圧で加速するRFQ加速器3、このRFQ加速器3から
の出射イオンを処理対象となる材料に打ち込むためのイ
オン打ち込み室4で構成されている。
【0005】また、RFQ加速器3へ入射するイオンビ
ームを収束する目的で質量分離器6とRFQ加速器3と
の間に四重極レンズ2を設置した従来例は、例えばニュ
ークリアー・インストルメンツ・アンド・メソッズ・イ
ン・フィジックス・リサーチ、ビー50(1990)第
478頁から第480頁(Nucl. Instrum. Methods,B5
0(1990)pp478-480)に開示されている。
【0006】以上に挙げた様に従来技術は何れも、イオ
ン源1から引き出された種々のイオンを含むビームから
必要とするイオンを選別するために、扇型の質量分離器
6が使われている。
【0007】一方、RFQ加速器3へ入射するイオンビ
ームを収束する目的で質量分離器6とRFQ加速器3と
の間に四重極レンズ2を設置する場合には、ニュークリ
アー・インストルメンツ・アンド・メソッズ・イン・フ
ィジックス・リサーチ、ビー37/38(1989)第
94頁から第97頁(Nucl. Instrum. Methods, B37/38
(1989)pp94-97)に示されるように、従来はいずれも静電
型四重極レンズを使用している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術はRFQ
加速器を用いているので、高エネルギーイオンの打ち込
みは可能であるが、イオン源1から引き出されたイオン
ビームを最大限に利用しておらず、イオン源1からイオ
ン打ち込み室4迄のビーム輸送中に電流値が半分以下に
なり大電流が得られないという問題点がある。その理由
として、図3に示した例ではイオン源1から引き出され
たイオンビームを扇型質量分離器6で質量分離を行って
いるが、扇型質量分離器6は弱収束レンズ作用を利用し
ているので透過率が低いことがあげられる。また、質量
分離器6とRFQ加速器3との間に静電型の四重極レン
ズを設置した例では、静電型の四重極レンズがビーム中
に取り込んだ電子を離脱させ、そのため空間電荷による
ビーム拡がりを抑えることができず、イオンビームをR
FQ加速器3の入射口に十分に収束させることができな
いからである。
【0009】本発明の目的は、大電流領域において高エ
ネルギーイオンビームを発生させることにある。
【0010】上記目的は、種々のイオンを含むビームを
発生するイオン源と、該イオン源の次に配置され種々の
イオンを含むビームを質量分離しかつ収する多重極レン
ズと、該多重極レンズからのイオンビームを高周波電界
により所定のエネルギーレベルまで加速する高周波加速
器と、該高周波加速器からのイオンビームを処理の対象
となる材料に打ち込むイオン打ち込み室とを備えたこと
により達成される。
【0011】上記目的は、種々のイオンを含むビームを
発生するイオン源と、イオン源からの種々のイオンを含
むビームを質量分離しかつ収束する磁場型四重極レンズ
と、磁場型四重極レンズからのイオンビームを高周波電
界により所定のエネルギーレベルまで加速する高周波加
速器と、高周波加速器からのイオンビームを処理の対象
となる材料に打ち込むイオン打ち込み室とを備えたこと
により達成される。
【0012】上記目的は、磁場型四重極レンズを三段以
上用いたことにより達成される。
【0013】上記目的は、種々のイオンを含むビームを
発生するイオン源と、イオン源からの種々のイオンを含
むビームを質量分離しかつ収束する磁場型四重極レンズ
と、四重極電極の向かい合った面を波状に形成した四重
極粒子加速器を用い磁場型四重極レンズからのイオンビ
ームを高周波電界により所定のエネルギーレベルまで加
速する高周波加速器と、高周波加速器からのイオンビー
ムを処理の対象となる材料に打ち込むイオン打ち込み室
とを備えたことにより達成される。
【0014】上記目的は、種々のイオンを含むビームを
発生するイオン源と、イオン源からの種々のイオンを含
むビームを質量分離しかつ収束する磁場型四重極レンズ
と、四重極電極の向かい合った面を波状に形成した四重
極粒子加速器を用い高周波共振回路を加速管の外部に配
置し前記磁場型四重極レンズからのイオンビームを高周
波電界により所定のエネルギーレベルまで加速する高周
波加速器と、高周波加速器からのイオンビームを処理の
対象となる材料に打ち込むイオン打ち込み室とを備えた
ことにより達成される。
【0015】上記目的は、高周波加速器とイオン打ち込
み室との間に、処理対象となる材料へのイオン打ち込み
角度が可変である磁場型分析器を用いたビーム偏向器を
配置したことにより達成される。
【0016】
【0017】
【作用】本発明は上記目的を達成するために、多重極レ
ンズの質量分離機能及び収束機能を利用したものであ
る。
【0018】多重極レンズのうちの四重極レンズは、静
電場或いは磁場によって荷電粒子ビームを収束する目的
で使用するものであるが、更に、必要とするイオンを選
別する機能も合わせ持っている。ビームの収束特性は、
通常の扇型質量分離器と同様に粒子の質量、速度、電荷
数によって決定される。そのため所望のイオンを収束さ
せた場合には、他のイオンは全く異なる軌道を通って発
散するから扇型質量分離器と同様の質量分離機能も合わ
せ持っていることになる。
【0019】四重極レンズはビームを直進させながら、
しかも強収束レンズのため短距離でビームを質量分離で
きるため、透過率がほぼ100%でビームを通過させる
ことができる。従って従来の、弱収束レンズ作用を利用
している扇型質量分離器に比べて2倍以上の透過率があ
るので、質量分離及びレンズ収束の双方の機能を維持し
たままで、ビーム電流値を2倍以上にして、更に装置全
体を単純でしかもコンパクトな大きさにすることができ
る。
【0020】扇型質量分離器はビーム通過許容範囲(ア
クセプタンス)が狭いために、イオン源の引き出し面積
をあまり大きくとれなかったが、四重極レンズを使用す
ることで、イオン源の引き出し面積を更に拡大すること
ができ、RFQ加速器に入射するビーム電流値を従来に
比べて5倍程度向上させて、数十ミリアンペアの桁にす
ることが可能となる。
【0021】次に、磁場型の四重極レンズは静電型の四
重極レンズに比べて、ビーム中に取り込んだ電子を殆ど
離脱させることがない。そのため、空間電荷によるビー
ム拡がりを最大限に抑えることができるため、数十ミリ
アンペアの桁の大電流イオンビームをRFQの入射口に
十分に収束させることができる。これは、静電場の荷電
粒子に作用する力が、電界強度をE、粒子の電荷をqと
した場合にqEで決まるのに対して、磁場(磁束密度:
B)の場合は速度vに比例してqvBで作用するため
に、ビーム中に取り込んだ低速の電子は外場が生じた場
合にもビーム中から離脱することはないことになる。
【0022】そして、三段以上の四重極レンズは二段以
下の四重極レンズに比べて自由度が大きく、任意の距離
に任意の像倍率でビームを縦横同倍率で収束できる。そ
れによって、RFQの入射口の径が変化した場合にも、
レンズからRFQ加速器までの距離を変化させることな
く最適な入射ビーム条件を得ることができるので、種々
のイオンで数十ミリアンペアの桁の大電流領域の高エネ
ルギーイオンビームを発生させることができる。
【0023】さらに、RFQ加速器は高周波加速器の中
で最も単位長さ当たりの加速効率が良く、高周波共振回
路を加速管の外に設置したRFQ加速器は、加速器から
の出射エネルギーを可変にすることができる。従ってこ
れらによって、装置の全体寸法をコンパクトにすること
ができ、しかも種々のイオンでミリアンペアから数十ミ
リアンペアの桁の大電流領域で、数百keVから数Me
Vまでの任意のエネルギーで高エネルギーイオンビーム
を発生させることができる。また、ビーム偏向器に磁場
型を用いることにより、磁場型の四重極レンズと同様に
ビーム中に取り込んだ電子を殆ど離脱させることがな
く、空間電荷によるビーム発散を最大限に抑制し、十分
に収束させることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図を用いて説明す
る。
【0025】第1実施例 図1は本発明の第1実施例の構成を示すブロック図であ
る。
【0026】図に示すように本装置は、イオン源1とR
FQ加速器3の間に四重極レンズ2を配置し、数十ミリ
アンペアの桁の大電流領域で高エネルギーイオンビーム
を発生させるイオン打ち込み装置である。
【0027】イオン源1はマイクロ波放電型の多価イオ
ン源で、円筒形のプラズマ室の外周には八極の永久磁石
を配置して多極磁場を形成し、更に軸方向にはソレノイ
ドコイルによってミラー磁場を形成する。以上の磁場中
のマイクロ波放電によって引き出し電極からは30mA/cm
以上の高密度のイオンビームが引き出せる。最大で直径
10mmの引き出し孔から30mAのアルゴンイオンビームが引
き出せた。
【0028】四重極レンズ2は三段型の磁気四重極レン
ズで、レンズ長が110mmの単レンズを三個使用する。励
磁電流は最大70Aであり、直径10mmのRFQ入射口に、
十数ミリアンペアのアルゴンの1価から3価までのイオ
ンビームが収束できる。更にイオン源の引き出し面積を
拡大すれば、数十ミリアンペアの電流値を確保すること
ができる。
【0029】RFQ加速器3は高周波共振回路を加速管
の外に設置した外部共振回路型のRFQ加速器で、全長
2.3mのRFQ電極を使用する。共振回路は容量可変コン
デンサ及びインダクタンス可変コイルで構成する。10MH
zから30MHzの領域で共振する回路を形成して、0.5MeVか
ら4MeVの領域の高エネルギーイオンビームを得ることが
できる。RFQ加速器3に入力する高周波電力としては
最大で50kWが必要となる。
【0030】打ち込み室4は、シリコン半導体ウエハに
打ち込む場合は回転円盤上にウエハを十数枚搭載可能と
し、また産業用部材等の単品処理の場合は少なくとも三
軸以上の回転軸をもつターゲットホルダが設置できる規
模の構造とする。これにより、半導体ウエハや産業用部
材等への高エネルギー打ち込みが、従来の200keV以下の
大電流中エネルギーイオン打ち込み装置と同等の高スル
ープットで実現可能となる。
【0031】第2実施例 図2は本発明の第2実施例の構成を示すブロック図であ
る。
【0032】本実施例はイオンビームを偏向してから処
理対象材に打ち込むイオン打ち込み装置である。本実施
例の構成は、第1実施例と同様にイオン源1とRFQ加
速器3の間に四重極レンズ2を設け、数十ミリアンペア
の桁の大電流領域の高エネルギーイオンビームを発生さ
せ、更に加速ビームを偏向器5で偏向させてから処理対
象材に打ち込むイオン打ち込み装置である。このように
構成することで、処理対象材への打ち込み角度を制御す
ることができると共に、ビームをスキャンすることで大
面積の処理対象材の処理も可能となる。更にこの偏向器
5は、微量ではあるが加速ビーム中に含まれる低エネル
ギービームを除去するための速度フィルターとしても作
用し、処理対象材に打ち込むビームの純度を向上させる
ことができる。
【0033】また、第1実施例、第2実施例において、
打込み室4に設置する処理対象材としては、シリコン、
ガリウム・ヒ素、インジウム・リンの半導体材料から、
鋼、ステンレス鋼の種々の金属材料、アルミナ、窒化ホ
ウ素のセラミックス材料、その他、ガラス材料、有機材
料、様々な素材への適用が可能である。更に処理対象材
の形状としては、半導体ウエハのように平面形状のもの
から、歯車、エンジン部品等のような複雑な形状のもの
まで、幅広い表面処理分野に適用することができる。
【0034】以上述べたように本実施例によれば、イオ
ン源から引き出されたイオンビームを最大限に利用し、
ビーム輸送中の電流値の減少を最小限に抑えることがで
きるため、従来の約5倍程度である数十ミリアンペアの
桁の大電流領域で、数百keVから数MeVまでの任意
のエネルギーの高エネルギーイオンビームを発生させる
ことができる。
【0035】更に直線ビームで質量分離と収束を同時に
行うため、装置を直線状のシンプルな構成とすることが
できると共に、装置全体の寸法を従来に比べてよりコン
パクトにすることができる。
【0036】そして、半導体装置の生産工程にMeV桁
のイオンビームが利用できるようになるばかりではな
く、金属、セラミックス等の材料表層改質を短時間で行
える大量生産に適したイオン処理装置が実現できる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、イオン源と高周波加速
器との間に多重極レンズを配置することにより、多重極
レンズはイオン源からのイオンビームを収束させかつ質
量分離を行い、RFQ加速器に入射するビーム電流値を
大きくし、RFQ加速器により加速して大電流領域にお
いて高エネルギーイオンビームを発生させることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成を示すブロック図で
ある。
【図2】本発明の第2実施例の構成を示すブロック図で
ある。
【図3】従来技術の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 イオン源 2 四重極レンズ 3 RFQ加速器 4 打ち込み室 5 偏向器。 6 質量分離器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 登木口 克己 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 作道 訓之 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−121656(JP,A) 特開 昭62−241248(JP,A) 特公 昭59−8949(JP,B2) 特公 昭59−13151(JP,B2)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 種々のイオンを含むビームを発生するイ
    オン源と、該イオン源の次に配置され種々のイオンを含
    むビームを質量分離しかつ収束する多重極レンズと、該
    多重極レンズからのイオンビームを高周波電界により所
    定のエネルギーレベルまで加速する高周波加速器と、該
    高周波加速器からのイオンビームを処理の対象となる材
    料に打ち込むイオン打ち込み室とを備えたことを特徴と
    するイオン打ち込み装置。
  2. 【請求項2】 種々のイオンを含むビームを発生するイ
    オン源と、該イオン源からの種々のイオンを含むビーム
    を質量分離しかつ収束する磁場型四重極レンズと、該磁
    場型四重極レンズからのイオンビームを高周波電界によ
    り所定のエネルギーレベルまで加速する高周波加速器
    と、該高周波加速器からのイオンビームを処理の対象と
    なる材料に打ち込むイオン打ち込み室とを備えたことを
    特徴とするイオン打ち込み装置。
  3. 【請求項3】 前記磁場型四重極レンズを三段以上用い
    たことを特徴とする請求項2に記載のイオン打ち込み装
    置。
  4. 【請求項4】 種々のイオンを含むビームを発生するイ
    オン源と、該イオン源からの種々のイオンを含むビーム
    を質量分離しかつ収束する磁場型四重極レンズと、四重
    極電極の向かい合った面を波状に形成した四重極粒子加
    速器を用い前記磁場型四重極レンズからのイオンビーム
    を高周波電界により所定のエネルギーレベルまで加速す
    る高周波加速器と、該高周波加速器からのイオンビーム
    を処理の対象となる材料に打ち込むイオン打ち込み室と
    を備えたことを特徴とするイオン打ち込み装置。
  5. 【請求項5】 種々のイオンを含むビームを発生するイ
    オン源と、該イオン源からの種々のイオンを含むビーム
    を質量分離しかつ収束する磁場型四重極レンズと、四重
    極電極の向かい合った面を波状に形成した四重極粒子加
    速器を用い高周波共振回路を加速管の外部に配置し前記
    磁場型四重極レンズからのイオンビームを高周波電界に
    より所定のエネルギーレベルまで加速する高周波加速器
    と、高周波加速器からのイオンビームを処理の対象とな
    る材料に打ち込むイオン打ち込み室とを備えたことを特
    徴とするイオン打ち込み装置。
  6. 【請求項6】 前記高周波加速器と前記イオン打ち込み
    室との間に、前記処理対象となる材料へのイオン打ち込
    み角度が可変である磁場型分析器を用いたビーム偏向器
    を配置したことを特徴とする請求項1、請求項2、請求
    項4、請求項5のうち何れかの請求項に記載のイオン打
    ち込み装置。
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