JP2862455B2 - 有機非線形光学材料 - Google Patents

有機非線形光学材料

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JP2862455B2 JP8303693A JP8303693A JP2862455B2 JP 2862455 B2 JP2862455 B2 JP 2862455B2 JP 8303693 A JP8303693 A JP 8303693A JP 8303693 A JP8303693 A JP 8303693A JP 2862455 B2 JP2862455 B2 JP 2862455B2
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尚子 荒井
良之 東垣
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Consejo Superior de Investigaciones Cientificas CSIC
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光コンピュータや光通
信などの広範な分野で光制御素子等として用いられる非
線形光学材料に関し、更に詳しくは室温で安定で、光損
傷強度に優れ、かつSHG活性が大きく、結晶性の良好
な有機非線形光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】非線形光学材料は、光周波数変換素子、
光シャッター、またEO変換器等として従来より実用化
されている。現在、非線形光学材料としてはリン酸二水
素カリウム(KDP)、ニオブ酸リチウム等の無機の強
誘電性結晶が用いられている。しかしながら、最近では
有機結晶の持つ非線形光学定数の大きさ、及び非線形光
学応答の速さ等が注目され、有機二次非線形光学材料を
中心に精力的に開発が進められている。
【0003】二次効果用の有機非線形光学材料としては
2−メチル−4−ニトロアニリン(MNA)、3−メチ
ル−4−ニトロピリジン−オキサイド(POM)等が開
発されており、MNAの二次非線形定数はKDPの50
倍にも達する。
【0004】このように強い非線形効果を示す有機化合
物は、一般にπ電子共役鎖を挟んで電子受容基及び電子
供与基を有していることは広く知られている。また二次
の非線形光学材料は反転対称心のない結晶を構成しなけ
ればならないことも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】有機非線形光学材料は
分子一個が光非線形性の起源を担っているので、非対称
中心の分子はSHG(第2次高調波発生)活性を原理的
には有する。SHG活性分子を結晶化して光学素子とし
て利用する場合、結晶全体としてSHG活性を失うこと
にしばしば遭遇する。従って、有機材料が非線形光学素
子として利用できるかどうかは、実際に分子素材を合成
し、結晶化し、光非線形性を評価しなければならない。
【0006】有機化合物の分子レベルでの光非線形性
(超分子分極率β)は、分子軌道計算から推定すること
ができるが、分子一個の光非線形性を高めるには、長い
共役系に電子供与性と受容性の置換基を導入すればよ
い。例えば、分子レベルで大きな超分子分極率βの値を
持つスチルベン系分子は、代表的な有機非線形光学材料
のひとつであった。しかし、ACSシリーズの文献によ
ると、この種の素材は結晶状態で対称中心を持ち、結晶
としてSHG不活性になる場合が多かった。
【0007】波長変換素子としての利用を考えると、分
子状態又は結晶状態での透光性が重要な因子となる。例
えば、スチルベン系材料は可視光領域で光吸収スペクト
ルのピークを示す例が多い。スチルベン骨格は共役系が
長いので、強い電子受容性置換基(ニトロ基等)及び供
与性置換基(ジメチルアミノ基、アミノ基等)を共役系
分子の端に導入すると可視光領域に光吸収を示すと予測
される。従って、電子受容性または供与性の置換基の強
さを弱め、スチルベン骨格における置換基の導入位置を
選び、結晶として中心対称性を持たない分子素材を見い
だすことが課題である。このことは、今回検討したスチ
レン系材料においても同様にいえる。
【0008】また、従来の無機非線形光学材料の融点
は、1000℃程度で素子としても熱的に安定である。
しかし、高温成長のため不純物拡散が生じ、光損傷強度
が低い状況がある。他方、有機材料の融点は、一般的に
100℃程度であり、位相整合条件をきめる屈折率の温
度係数が大きく、波長変換素子としての使用温度許容性
が低い傾向がある。
【0009】そこで、本発明では、高いSHG活性を持
ち、熱安定性の優れた有機非線形光学材料を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、2,5位に
メトキシ基、及びβ位にシアノ基及びチエニル基を導入
したスチレン誘導体からなることを特徴とする有機非線
形光学材料により達成することができる。
【0011】スチレン系化合物は、ベンゼン系、ピリジ
ン系非線形光学材料より長いπ電子共役系を特徴として
有している。従って、公知である非線形定数と透光性の
トレードオフの関係を考慮すると、非常に大きな電子受
容性(ニトロ基)及び電子供与性(ジメチルアミノ基、
アミノ基)の置換基を共役系の端に同時に導入すること
を避けることが重要である。電子受容性の置換基として
ニトロ基又はチエニル基をスチレン共役系の中央部付近
に導入した下記構造式(II)で表される(β−シア
ノ)(β′−ニトロ)スチレン、及び(III)で表わ
される(β−シアノ)(β′−2−チエニル)スチレン
の各分子種について、分子軌道計算(PPP法)により
分子一個の光非線形性と極大吸収波長を見積ったとこ
ろ、チエニル基を導入した分子種(III)の方が超分
子分極率βが3倍と大きいため、電子受容性置換基とし
てチエニル基で検討した。電子供与性置換基としては、
メトキシ基を選び、導入する置換基の位置を検討した。
なお、置換基のサイズ、回転的自由度、剛性を考慮し、
置換基の選定理由とした。
【0012】これによって、結晶状態で光学的非線形を
示す上記素材を見いだすに至った。また、上記スチレン
誘導体は、高いSHG活性を持つことから、第2次高調
波発生用材料としても有用である。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【作用】 下記構造式(I)で表わされる2,5−ジメ
トキシ−(β−シアノ)(β′−2−チエニル)スチレ
ンは、極大吸収波長λmax が382nm(1,4−ジオ
キサン中)である。これは、青色光の波長領域に大きな
吸収を持たず、また、粉末法によるSHG強度は尿素比
で2倍であり、課題解決のための充分な非線形光学特性
を有している。
【0016】
【化3】
【0017】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0018】本発明に係る、2,5−ジメトキシ−(β
−シアノ)(β′−2−チエニル)スチレンを次のよう
に合成した。
【0019】2,5−ジメトキシベンズアルデヒド2.
7g(0.016mol)をエタノール150mlに溶
解した後、チオフェン−2−アセトニトリル2.0g
(0.016mol)を加えた。その中に、ナトリウム
エチラート0.7gを溶かしたエタノール溶液10ml
を滴下した。
【0020】この溶液を室温で6時間撹拌した後、生成
した沈澱物をろ過し、メタノール洗浄して、目的とする
前記構造式(I)で表わされる化合物、2,5−ジメト
キシ(β−シアノ)(β′−2−チエニル)スチレンを
得た。
【0021】収率は、68%であった。また、極大吸収
波長は、382nm(1,4−ジオキサン中)であり、
融点は、DSCの測定より88℃であった。
【0022】これは、MAP(文献;J.L.Ouda
r and R.Hierle,J.Appl.Phy
s.,48(1977)2699)の融点69℃よりも
高い。 次に、得られた微粉末結晶にNd:YAGレー
ザ(波長=1.064μm)を照射すると第2高調波
(SHG)が発生し、入射光の1/2の波長(532n
m)の緑色光が観測された。このSHG強度は尿素比で
2倍と、SHG効率は尿素よりも強いことが確認でき
た。
【0023】また、ノーマルヘキサンからの再結晶操作
により容易に板状の結晶が得られ、これを種結晶として
単結晶もつくることができた。
【0024】
【比較例】本発明者らは、チエニル基を持ち、α位のフ
ェニル基の2位又は4位にメトキシ基を導入した下記構
造式(IV)で表わされる2−メトキシ−(β−シア
ノ)(β′−2−チエニル)スチレン、又は下記構造式
(V)で表わされる4−メトキシ−(β−シアノ)
(β′−2−チエニル)スチレン及びなにも導入しない
下記構造式(III)で表わされる(β−シアノ)
(β′−2−チエニル)スチレンを持つ各分子種を合成
し結晶を得た。
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】しかしながら、これらの化合物について粉
末法による評価を行なった結果、SHG不活性であっ
た。
【0029】
【発明の効果】本発明に係る、2,5−ジメトキシ−
(β−シアノ)(β′−2−チエニル)スチレンからな
る有機非線形光学材料は、融点が88℃と高く熱的に安
定である。さらに、吸収端が短波長側にあり高いSHG
活性を示すことから、非線形光学素子として広範な分野
で用いることができる。
【0030】また、このような光非線形性、透光性、位
相整合条件の温度許容性に優れた有機材料を用いること
により、高価な無機非線形光学材料に代えて、これと同
等の特性を持つ有機非線形光学材料を低価格で提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】2,5−ジメトキシ−(β−シアノ)(β′−
2−チエニル)スチレンの1,4−ジオキサン中におけ
る、波長と吸光度の関係を示したものである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2,5位にメトキシ基、及びβ位にシア
    ノ基及びチエニル基を導入したスチレン誘導体からなる
    ことを特徴とする有機非線形光学材料。
  2. 【請求項2】 2,5位にメトキシ基、及びβ位にシア
    ノ基及びチエニル基を導入したスチレン誘導体からなる
    ことを特徴とする第2次高調波発生用材料。
JP8303693A 1993-04-09 1993-04-09 有機非線形光学材料 Expired - Lifetime JP2862455B2 (ja)

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