JP2786781B2 - 有機非線形光学材料 - Google Patents

有機非線形光学材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機非線形光学材料に
関する。詳しくは、光コンピュ−タや光通信等の広い分
野で光制御素子等として用いられ、室温で安定で、光損
傷強度に優れ、SHG(第2高調波発生)活性が大き
く、結晶性の良好な有機非線形光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】非線形光学材料は、光周波数変換素子、
光シャッタ−、またEO変換器等として従来より実用化
されている。現在、非線形光学材料としてはリン酸二水
素カリウム(KDP)、ニオブ酸リチウム(LN)等の
無機強誘電性結晶が用いられている。最近では有機結晶
の持つ非線形光学効果の大きさ及び非線形光学応答の速
さ等が注目され、二次非線形光学材料を中心に精力的に
開発が進められている。二次効果用の有機非線形光学材
料としては、MNA(2−メチル−4−ニトロアニリ
ン,文献:G.F.Lipscomb A.F.Gar
ito R.S.Narang,J.Chem.Phy
s.,75(3)1509−1516,1981)、P
OM(3−メチル−4−ニトロピリジン−オキサイド,
文献:J.Zyss D.S.Chemla,J.Ch
em.Phys.,74(9)4800−4811,1
981)等が開発されており、MNAの二次非線形定数
はKDPの50倍にも達する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】有機非線形光学材料は
分子一個が光非線形性の起源を担っているので、非対称
中心の分子はSHG(第2次高調波発生)活性を原理的
には有するが、SHG活性分子を結晶化して光学素子と
して利用する場合、結晶全体としてSHG活性を失うこ
とにしばしば遭遇する。従って、有機材料が非線形光学
素子として利用できるかどうかは、実際に分子素材を合
成し、結晶化し、光非線形性を評価しなければならな
い。
【0004】分子一個の光非線形性を高めるには、長い
共役系に電子供与性と受容性の置換基を導入すればよ
い。有機化合物の分子レベルでの光非線形性(超分子分
極率β)は、分子軌道計算から推定することができる
が、その殆どは結晶状態で対称中心を持ち、結晶として
SHG不活性になるという問題点をもっている。
【0005】波長変換素子としての利用を考えると、分
子状態または結晶状態での透光性が重要な因子と成る
が、有機材料の場合、可視域に吸収をもつ場合が多い。
例えば、一般的によく知られているMNAは、358n
mに最大吸収波長をもつが、SH光の波長を考慮した場
合、更に短波長まで透過波長領域が広がっている必要が
ある。
【0006】また、非線形光学素子へ用いることを考慮
すると、耐候性の点で融点は高い方が望ましい。しかし
有機材料の融点は一般的に低く、たとえば、MAP(文
献;J.L.Oudar and R.Hierle,
J.Appl.Phys.,48(7)2699−27
04,1977)は融点が69℃と低く、この点におい
ても重要な課題となっている。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明は、以上の点を考
慮してなされたものであり、2ーメルカプト−1−(4
−ニトロフェニル)イミダゾールより成る有機非線形光
学材料を提供することで、前記課題を解決するものであ
る。
【0008】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説
明する。
【0009】
【実施例】
(1)2ーメルカプト−1−(4−ニトロフェニル)イ
ミダゾールの合成 2ーメルカプトイミダゾール5.15g、1−フルオロ
−4−ニトロベンゼン7.26g、炭酸カリウム7.1
1gをそれぞれ秤り取り、N,N−ジメチルホルムアル
デヒド27.07gの入った三角フラスコ中に入れる。
スターラーで撹拌しながら、90℃の湯浴中で4時間反
応させる。反応終了後、反応液を氷の入った容器に流し
込んで冷却し、沈澱を充分生成させる。その後、沈澱を
濾過分離し、純水で沈澱を洗浄する。この沈澱を300
mlのメタノールに溶解し再結晶操作を行い、目的であ
る2ーメルカプト−1−(4−ニトロフェニル)イミダ
ゾールを得た。収率は、14.3%であった。
【0010】(2)2メルカプト−1−(4−ニトロ
フェニル)イミダゾールの評価 得られた本発明材料を液体クロマトグラフィーで純度を
測定したところ、97.8%であった。極大吸収波長
は、312nm(1,4−ジオキサン中)であり(図
1)、融点は、DSCの測定より204℃であった。次
に、得られた微粉末結晶にNd:YAGレーザ(波長=
1.064μm)を照射すると第2高調波が発生し、入
射光の1/2の波長(532nm)の緑色光が観測され
た。このSHG強度は尿素比で6.5倍と、SHG効率
は尿素よりも強いことが確認できた。
【0011】また本発明材料は、溶液法や熔融法での単
結晶作製や、ガラスファイバーのコア部分にも単結晶を
作製することができ、これにより高効率な非線形光学素
子が作製できた
【0012】
【発明の効果】本発明の2メルカプト−1−(4−ニ
トロフェニル)イミダゾールより成る有機非線形光学材
料は、融点が204℃と高く熱的に安定であり、耐候性
に優れている。さらに、吸収端が短波長側にあり、高い
SHG活性を示すことから、高効率な非線形光学素子と
して広範な分野で用いることができる。
【0013】また、このような光非線形性、透光性、熱
的安定性に優れた有機材料を用いることにより、高価な
無機非線形光学材料の特性を低価格で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2ーメルカプト−1−(4−ニトロフェニル)
イミダゾールの1,4−ジオキサン中における、波長と
吸光度の関係を示したものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造式(化1) 【化1】 で表される2ーメルカプト−1−(4−ニトロフェニ
    ル)イミダゾールから成る有機非線形光学材料。
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