JP2852680B2 - 肌焼鋼の浸炭熱処理方法 - Google Patents
肌焼鋼の浸炭熱処理方法Info
- Publication number
- JP2852680B2 JP2852680B2 JP1318590A JP1318590A JP2852680B2 JP 2852680 B2 JP2852680 B2 JP 2852680B2 JP 1318590 A JP1318590 A JP 1318590A JP 1318590 A JP1318590 A JP 1318590A JP 2852680 B2 JP2852680 B2 JP 2852680B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carburizing
- heat treatment
- temperature
- steel
- treatment method
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は表面に浸炭処理を施される肌焼鋼の浸炭熱処
理方法に関する。
理方法に関する。
(従来の技術) 例えば機械構造用材料あるいは自動車、建設機械等の
シャフトや歯車材として用いられる肌焼鋼は、冷間鍛造
加工性を得るために炭化物の球状化焼なまし処理を行
い、また該肌焼鋼は部分形状に成形後、疲れ強さと耐摩
耗性を向上させる目的で浸炭焼入処理が行われる。この
浸炭焼入処理は通常850〜950℃の温度で行われるが、最
近では浸炭生産性を高めるために1000℃に到る高温でな
されることがある。この際、しばしばオーステナイト粒
の粗大化が生じることがある。
シャフトや歯車材として用いられる肌焼鋼は、冷間鍛造
加工性を得るために炭化物の球状化焼なまし処理を行
い、また該肌焼鋼は部分形状に成形後、疲れ強さと耐摩
耗性を向上させる目的で浸炭焼入処理が行われる。この
浸炭焼入処理は通常850〜950℃の温度で行われるが、最
近では浸炭生産性を高めるために1000℃に到る高温でな
されることがある。この際、しばしばオーステナイト粒
の粗大化が生じることがある。
オーステナイト粗大化粒の発生は浸炭焼入時の焼入歪
みの原因となったり、或いは靭性を劣化させる等の懸念
がある。オーステナイト粗大化粒は浸炭処理温度が高く
なると発生し易くなるため、その防止方法として浸炭処
理温度を低下させることが考えられる。この場合には浸
炭処理時間が長くなることを避けることができず、生産
性の低下を招くことが必至である。
みの原因となったり、或いは靭性を劣化させる等の懸念
がある。オーステナイト粗大化粒は浸炭処理温度が高く
なると発生し易くなるため、その防止方法として浸炭処
理温度を低下させることが考えられる。この場合には浸
炭処理時間が長くなることを避けることができず、生産
性の低下を招くことが必至である。
ところで、オーステナイト粒3の粗大化防止には、例
えば特開昭59−123714号公報、特公昭57−15657号公報
にみられるようにAlNやNb炭窒化物を析出させこれを利
用することでオーステナイト粒の粗大化を防止する方法
が提案されている。しかし、このような析出物の利用だ
けではオーステナイト粗大化粒の発生を完全には阻止で
きず前記肌焼鋼の問題が散見される。
えば特開昭59−123714号公報、特公昭57−15657号公報
にみられるようにAlNやNb炭窒化物を析出させこれを利
用することでオーステナイト粒の粗大化を防止する方法
が提案されている。しかし、このような析出物の利用だ
けではオーステナイト粗大化粒の発生を完全には阻止で
きず前記肌焼鋼の問題が散見される。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、肌焼鋼の浸炭焼入熱処理時にオーステナイ
ト粒が粗大化するのを完全に阻止し、焼入歪みや靭性劣
化がなく、また耐摩耗性、耐疲労性の優れた肌焼鋼を得
ることを目的とする。
ト粒が粗大化するのを完全に阻止し、焼入歪みや靭性劣
化がなく、また耐摩耗性、耐疲労性の優れた肌焼鋼を得
ることを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨は、肌焼鋼を850〜1000℃の温度で浸炭
処理を行い、その後焼入れする熱処理方法において、浸
炭処理温度まで加熱する際、700℃以上の温度範囲での
加熱速度を1.5℃/秒以下または15℃/秒以上で加熱す
ることを特徴とする肌焼鋼の浸炭熱処理方法にある。
処理を行い、その後焼入れする熱処理方法において、浸
炭処理温度まで加熱する際、700℃以上の温度範囲での
加熱速度を1.5℃/秒以下または15℃/秒以上で加熱す
ることを特徴とする肌焼鋼の浸炭熱処理方法にある。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者達は肌焼鋼について、浸炭熱処理での加熱・
冷却実験を種々行い研究を重ね、次のことを見出した。
冷却実験を種々行い研究を重ね、次のことを見出した。
炭素含有鋼を加熱した場合、A1点を越えてからフェラ
イトからオーステナイトへの変態が始まる。この変態の
核はフェライト粒界あるいはフェライトと炭化物の界面
で生成し成長していくが、変態が終了した時のオーステ
ナイト粒径は変態進行過程の加熱速度に依存する。ま
た、その後の浸炭処理における高温での保定時にオース
テナイト粒は成長するが、この際、オーステナイト粒が
細かく不安定な状態であれば粒の以上な粗大化が起こ
る。つまり浸炭処理時の異常粗大粒の発生防止には加熱
速度が重要な要因となることを究明した。
イトからオーステナイトへの変態が始まる。この変態の
核はフェライト粒界あるいはフェライトと炭化物の界面
で生成し成長していくが、変態が終了した時のオーステ
ナイト粒径は変態進行過程の加熱速度に依存する。ま
た、その後の浸炭処理における高温での保定時にオース
テナイト粒は成長するが、この際、オーステナイト粒が
細かく不安定な状態であれば粒の以上な粗大化が起こ
る。つまり浸炭処理時の異常粗大粒の発生防止には加熱
速度が重要な要因となることを究明した。
第1図にはフェライトからオーステナイトへ変態する
温度域の加熱速度を0.1〜20℃/秒とし、900℃で1時間
保定した後のオーステナイト粒粗大化率と加熱速度の関
係を示す。なお、オーステナイト粒粗大化率は結晶粒度
番号6以上の結晶粒の率を示す。
温度域の加熱速度を0.1〜20℃/秒とし、900℃で1時間
保定した後のオーステナイト粒粗大化率と加熱速度の関
係を示す。なお、オーステナイト粒粗大化率は結晶粒度
番号6以上の結晶粒の率を示す。
この試験で用いた肌焼鋼の鋼成分は重量%でC:0.23
%,Si:0.25%,Mn:0.58%,P:0.007%,C:0.005%,Al:0.03
8%,N:0.0032%、残部が鉄および不可避的不純物からな
る。
%,Si:0.25%,Mn:0.58%,P:0.007%,C:0.005%,Al:0.03
8%,N:0.0032%、残部が鉄および不可避的不純物からな
る。
この図から判るように、浸炭処理加熱時の加熱速度を
1.5℃/秒以下または15℃/秒以上とするとオーステナ
イト粒の粗大化が防止される。従来では約2℃/秒の加
熱速度となっており、粗大化粒が発生し易いことがわか
る。
1.5℃/秒以下または15℃/秒以上とするとオーステナ
イト粒の粗大化が防止される。従来では約2℃/秒の加
熱速度となっており、粗大化粒が発生し易いことがわか
る。
加熱速度が1.5℃/秒超〜15℃/秒未満ではフェライ
ト殻の変態により生成したオーステナイト粒が微細でし
かも不安定な状態となり、浸炭処理温度での保定時に一
部の粒の粗大化が起こる。このような理由から加熱速度
を1.5℃/秒以下または15℃/秒以上とする。
ト殻の変態により生成したオーステナイト粒が微細でし
かも不安定な状態となり、浸炭処理温度での保定時に一
部の粒の粗大化が起こる。このような理由から加熱速度
を1.5℃/秒以下または15℃/秒以上とする。
また加熱速度を限定する温度域を700℃以上としたの
は、粗大化粒の発生はフェライトからオーステナイトへ
の変態に関係しているが、700℃未満の温度域では本発
明対象の肌焼鋼では変態がないためである。
は、粗大化粒の発生はフェライトからオーステナイトへ
の変態に関係しているが、700℃未満の温度域では本発
明対象の肌焼鋼では変態がないためである。
浸炭処理温度を850〜1000℃としているのは、該浸炭
処理が850℃以上1000℃以下の温度で行われるからであ
る。
処理が850℃以上1000℃以下の温度で行われるからであ
る。
本発明が適用される鋼は、炭素鋼および低合金鋼であ
って鋼成分が限定されるものではないが、例えばC:0.05
〜0.40%,Si:1.8%以下,Mn:0.15〜1.8%以下,Al:0.1%
以下を含む炭素鋼、或いは更に必要に応じてNb,Ti,Mo,C
r,Ni,V,Bの1種または2種以上を合計で3%以下含む鋼
である。
って鋼成分が限定されるものではないが、例えばC:0.05
〜0.40%,Si:1.8%以下,Mn:0.15〜1.8%以下,Al:0.1%
以下を含む炭素鋼、或いは更に必要に応じてNb,Ti,Mo,C
r,Ni,V,Bの1種または2種以上を合計で3%以下含む鋼
である。
(実施例) 次に、実施例について述べる。
第1表に示す化学成分の鋼を供試材とした。
これら供試材は鋼スラブを、仕上温度850℃,巻取温
度600℃で熱間圧延し、次いで、680℃×16時間の球状化
処理を施した。その後、前記同表の加熱条件で加熱し86
0×60分間浸炭処理を行った。該浸炭処理はCポテンシ
ャル0.9%の雰囲気中で行い、その後に油中に焼入れ
た。
度600℃で熱間圧延し、次いで、680℃×16時間の球状化
処理を施した。その後、前記同表の加熱条件で加熱し86
0×60分間浸炭処理を行った。該浸炭処理はCポテンシ
ャル0.9%の雰囲気中で行い、その後に油中に焼入れ
た。
処理後に供試材のオーステナイト粒度を測定し、その
粗大化率を同表に示す。
粗大化率を同表に示す。
この結果に認められるように本発明によると、浸炭処
理時にオーステナイト結晶粒は粗大化が防止されること
が実証された。
理時にオーステナイト結晶粒は粗大化が防止されること
が実証された。
(発明の効果) 本発明は以上のように、肌焼鋼を浸炭熱処理において
結晶粒の粗大化がなく、もって焼入歪みや靭性劣化がな
く、耐摩耗性、耐疲労性の優れた肌焼鋼が得られる。
結晶粒の粗大化がなく、もって焼入歪みや靭性劣化がな
く、耐摩耗性、耐疲労性の優れた肌焼鋼が得られる。
第1図は本発明における実験例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 8/20 - 8/22 C21D 6/00
Claims (1)
- 【請求項1】肌焼鋼を850〜1000℃の温度で浸炭処理を
行い、その後焼入れする熱処理方法において、浸炭処理
温度まで加熱する際、700℃以上の温度範囲での加熱速
度を1.5℃/秒以下または15℃/秒以上で加熱すること
を特徴とする肌焼鋼の浸炭熱処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1318590A JP2852680B2 (ja) | 1990-01-23 | 1990-01-23 | 肌焼鋼の浸炭熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1318590A JP2852680B2 (ja) | 1990-01-23 | 1990-01-23 | 肌焼鋼の浸炭熱処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03219063A JPH03219063A (ja) | 1991-09-26 |
JP2852680B2 true JP2852680B2 (ja) | 1999-02-03 |
Family
ID=11826119
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1318590A Expired - Fee Related JP2852680B2 (ja) | 1990-01-23 | 1990-01-23 | 肌焼鋼の浸炭熱処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2852680B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010024492A (ja) * | 2008-07-18 | 2010-02-04 | Ntn Corp | 鋼の熱処理方法、機械部品の製造方法および機械部品 |
WO2016159391A1 (ja) * | 2015-03-31 | 2016-10-06 | 新日鐵住金株式会社 | 肌焼鋼部品 |
-
1990
- 1990-01-23 JP JP1318590A patent/JP2852680B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03219063A (ja) | 1991-09-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPWO2011049006A1 (ja) | 高周波焼入れ用鋼及び高周波焼入れ鋼部品の製造方法 | |
JPH0892690A (ja) | 耐疲労特性に優れた浸炭部品およびその製造方法 | |
JP3738004B2 (ja) | 冷間加工性と浸炭時の粗大粒防止特性に優れた肌焼用鋼材とその製造方法 | |
JP3738003B2 (ja) | 冷間加工性と浸炭時の粗大粒防止特性に優れた肌焼用鋼材およびその製造方法 | |
JP2000129347A (ja) | 高強度部品の製造方法 | |
JP2716301B2 (ja) | 結晶粒度安定化肌焼用鋼の製造方法 | |
JP3015924B2 (ja) | 強靱鋼の製造方法 | |
JP2852680B2 (ja) | 肌焼鋼の浸炭熱処理方法 | |
JP3329210B2 (ja) | 肌焼鋼の製造方法及びその方法により製造された肌焼鋼 | |
JP2003201513A (ja) | 高強度肌焼鋼 | |
JP3467929B2 (ja) | 高周波焼入れ用高靱性熱間鍛造非調質鋼 | |
JP4149576B2 (ja) | 高温浸炭用鋼の製造方法および該方法により得られる高温浸炭用鋼材 | |
JP6752624B2 (ja) | 浸炭用鋼の製造方法 | |
JPH07310118A (ja) | 冷間加工に適した肌焼鋼の製造方法 | |
JP2767254B2 (ja) | Cr−Mo肌焼鋼の製造方法 | |
JP2005163168A (ja) | 熱間鍛造後の焼きならしの省略可能な高温浸炭鋼の製造方法 | |
JP2002146438A (ja) | 冷間加工性および結晶粒度特性に優れる肌焼鋼の製造方法 | |
JP2021055118A (ja) | 肌焼鋼の簡略球状化焼なまし方法 | |
JPS5816024A (ja) | 高温浸炭用はだ焼鋼の製造方法 | |
JP3587441B2 (ja) | 高温浸炭用鋼 | |
WO2021065713A1 (ja) | 肌焼鋼の球状化焼なまし方法 | |
JP5287183B2 (ja) | 浸炭用鋼の製造方法 | |
JP3024245B2 (ja) | 冷間加工に適した肌焼鋼の製造方法 | |
JPH07207423A (ja) | 肌焼鋼部品の製造方法 | |
JPH0568526B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |