JP2848615B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP2848615B2 JP63301895A JP30189588A JP2848615B2 JP 2848615 B2 JP2848615 B2 JP 2848615B2 JP 63301895 A JP63301895 A JP 63301895A JP 30189588 A JP30189588 A JP 30189588A JP 2848615 B2 JP2848615 B2 JP 2848615B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は発光素子に関し、より詳細には、2重ヘテ
ロ結合構造を有す発光素子に関する。
〈従来の技術〉 半導体レーザは、共振器を構成した半導体のpn接合に
電流を流すことにより少数キャリアを注入励起し、その
再結合発光を利用してレーザ発振を得る素子であり、発
光素子として利用されている。
従来、発光素子として用いられている2重ヘテロ結合
構造を有する半導体レーザは、例えば、第4図Aおよび
Bの構造概略図およびエネルギー図に示すように、活性
領域となるn型、p型またはノンドープ型のGaAs活性層
1と、それより禁止帯幅が大きく、かつ活性層1を両側
から挟持するn型およびp型のAlGaAsクラッド層2およ
び3からなり、n型クラッド層側に負電極(図示せず)
を、p型クラッド層側に正電極(図示せず)が設けられ
ている。
この半導体レーザに順バイアス方向に電圧を印加する
とp−n接合を隔てて互いに相手側に少数キャリアとし
て、自由電子および正孔が注入し、p−n接合付近の活
性層で、自由電子と正孔が再結合して発光する。この2
重ヘテロ結合では、発光する活性層が、それより禁止帯
幅の大きいクラッド層で挟持されているので、両側から
注入された自由電子と正孔は、ポテンシャル障壁のため
に薄い活性層中に閉じ込められ、室温での発振特性を良
好にして少ない電流で高い励起密度を得ることができ
る。
〈発明が解決しようとする課題〉 しかしながら、活性層とクラッド層との界面には、前
述の例で示せば、各層のAl成分含有率の差により活性層
への電流注入効率を妨げる障壁(バリアー)が形成され
る(参考、T.Ando;J.Phys.Soc.Jpn.51(1982)3900)。
例えば、ノンドープ型のGaAs(活性層)とn型のAl0.3G
a0.7As(クラッド層)との接合面近傍の電子伝導帯エネ
ルギーでは、第5図に示すように、Al0.3Ga0.7Asの伝導
帯が上昇し、GaAsの伝導帯が下降して接合面を境にして
約300meVのエネルギー差(バリアー)4が生じる。その
ために、クラッド層から活性層に向かって注入される電
子は、そのバリアーを越えなければならず、一部のキャ
リアーは反射されて電流注入効率が低下し、発光効率も
低下する。
この発明は上述の背景に基づきなされたものであり、
その目的とするところは、従来の2重ヘテロ接合構造の
半導体レーザでの問題を解消して活性層への電流注入効
率の良好な発光素子を提供することである。
〈問題点を解決するための手段〉 上記課題は、この発明による半導体発光素子により解
決される。
すなわち、この発明の半導体発光素子は、活性領域と
なる活性層の両面を、それより禁止帯幅の大きいn型お
よびp型のクラッド層で各々接合した2重ヘテロ結合構
造を有する半導体発光素子であって、前記少なくとも一
方のクラッド層と前記活性層との間にクラッド中間層を
設け、そのクラッド中間層は、厚み方向で組成比を変化
させて、前記クラッド中間層の厚み方向両端の界面にお
ける伝導帯レベルを、それぞれ隣接する前記クラッド層
及び前記活性層の伝導帯レベルと等しくし、前記活性層
への電流注入効率を妨げる障壁をなくすようにした(請
求項1)。
この発明の好ましい態様において、活性層が厚み方向
に変化したキャリア濃度を示し、活性層のキャリア濃度
が界面でクラッド中間層と一致させることができる(請
求項2)。
この発明を以下に、より詳細に説明する。
この発明において活性層およびクラッド層の材質とし
て、種々の半導体材料を用いることができ、ヘテロ結合
部で伝導帯エネルギーに障壁が生じるものであればよ
い。そのようなものとして、例えば、Ga(Al)As
(P)、In(Ga)(Al)P、InAs、In(Ga)Sb、AlSbな
どの2元素以上のIII−V族、Pb(Cd)Te、Hg(Cd)T
e、ZnCdSなどのII−VI族、Sn(Pb)Te、GeTeなどのIV−
VI族の半導体がある。
本願明細書では、AlGaAs/GaAs系について具体的に説
明する。第3図は、この発明によるGaAs系の半導体発光
素子の概略断面図を示す。
この例示した態様では、 (イ)活性領域となるn型、p型またはノンドープ型の
AlyGa(1-y)As活性層1(式中、0.45>y≧0)と、 (ロ)それより禁止帯幅の大きくかつそれを両側から挟
持する、実質的に一定のAl含有率を有するn型のAlx1Ga
(1-x1)Asクラッド・バルク層2aおよびp型のAlzGa(1-z)
Asクラッド・バルク層3a(式中、1>x1>y、1>z>
y)と、 (ハ)活性層と接合するn型クラッド層の境界におい
て、Al含有率がx1からyに変化するn型のAlx2Ga
(1-x2k)Asクラッド・中間層2b(式中、x1>x2>y)
と、 からなる。クラッド・中間層2bにおけるAl含有率変化
は、活性層とクラッド層との界面における活性層への電
流注入効率を妨げる障壁4を低減させるように設定され
る。つまり、第1図,第2図並びに第6図から明らかな
ように、界面における格子定数が一致するので、障壁4
はなくなる。
クラッド・中間層2bの厚みは、使用材料、所望の特性
などに応じて適宜選択することができるが、好ましく
は、約100原子層以上である。
図示されていないが、n型クラッド層側に負電極を、
p型クラッド層側に正電極が設けられる。
この例示した態様において、活性層の厚み方向にキャ
リア濃度が、連続的に、または、第6図に示すように段
階的に変化し、活性層の接合界面のキャリア濃度を各々
のクラッド層のキャリア濃度と一致する。
上述した説明では、n型クラッド層に、伝導帯エネル
ギー障壁を低減させる中間層を設けたが、価電子帯エネ
ルギーに障壁(差)がある場合、第6図に示すようにp
型クラッド層に、障壁を低減させる中間層を設けること
ができる。
この発明による半導体発光素子の寸法、形状、より具
体的な構造は、使用材料、使用目的、所望の特性などに
応じて適宜選択することができる。
〈作用〉 上記の様な構成を有するこの発明では、以下の様に作
用すると考えられる。
第3図に示すGaAs系の半導体発光素子のエネルギー準
位の第2図を参照しながら、この発明の発光素子の機能
・作用を説明する。
Al成分の含有率が一定であるn型のAlx1Ga(1-x1)Asク
ラッド・バルク層2aは、伝導帯レベルAを示し、活性層
と接合するn型クラッド層の境界のn型のAlx2Ga(1-x2)
Asクラッド・中間層2bは、Al含有率がx2がバルク層のx1
から活性層のAlyGa(1-y)As(y=0)まで変化して、Al
成分が連続的にまたは段階的に減少するために、クラッ
ド・中間層の伝導帯レベルBは、クラッド・バルク層の
伝導帯レベルAおよび活性層の伝導帯レベルCと凹凸な
く連続的に繋がり、従来の2重ヘテロ結合半導体レーザ
の接合部分に見られたエネルギー差(バリアー)が生じ
ない。したがって、クラッド・バルク層から活性層に向
かって注入される電子は、接合部で抵抗を受けることな
く活性層に到達することができる。
この発明の好ましい態様において、活性層の厚み方向
にキャリア濃度を、連続的にまたは段階的に変化させ、
活性層の接合界面のキャリア濃度を各々のクラッド層の
キャリア濃度と一致させる。従って、例えば、第1図の
エネルギー準位図に示すように、活性層の伝導帯及び価
電子帯に勾配が生じる。低印加電圧時には、活性層領域
の伝導帯Ecの左端に電子が集まり、他方、価電子帯Evの
右側に正孔は遍在するために、バンドギャップのエネル
ギー差の少ない斜め電子・正孔の再結合が起こり、すな
わち、一種のトンネル遷移を起こす。そのために、低印
加電圧時には発光波長を長波長にシフトする。印加電圧
を増して行くと、活性層領域の伝導帯Ecの右側にも電子
が充満し、他方、正孔も価電子帯の左側に多数存在する
ようになり、GaAsバンドギャップ間の直接遷移が強く起
こり、高印加電圧時には、低波長側にシフトする。
〈発明の効果〉 上記の構成および作用を有するこの発明は、以下の効
果を有する。
(1)半導体発光素子の2重ヘテロ接合構造における活
性層への電流注入効率を改善し、発光効率を大幅に高め
ることができる。
(2)この発明の好ましい態様において、活性層のキャ
リア濃度に勾配を設けたために、低印加電圧時では、長
波長の光が発光し、高印加電圧時では、高エネルギー側
にシフトして低波長の光が発光して、印加電流の変化に
より発光波長を制御することができる。
〈実施例〉 この発明を、以下の例を参照して、具体的に説明す
る。
実施例1 AlGaAs/GaAs半導体レーザをこの発明に基づいて作成
する。
基板上に、キャリア濃度1×1018cm-3のn型Al0.3Ga
0.7As層(約1μm厚さ)をクラッド・バルク層として
積層し、次いで、Al成分を徐々に減少させるようにn型
Alx2Ga(1-x2)As層(0.3>x2>0、約0.1μm厚さ、キャ
リア濃度1×1018cm-3)をクラッド・中間層として積層
する。さらに、キャリア濃度1×1018cm-3のn型から同
一キャリア濃度のp型までほぼ直線状に変化させて厚み
約400ÅのGaAs活性層を積層し、次いでキャリア濃度1
×1018cm-3のp型Al0.3Ga0.7As層(約1μm厚さ)をク
ラッド層として積層する。
得られた積層ウエファーのn型およびp型クラッド層
の各表面にオーミック金属を蒸着し、熱処理後に、約40
0μm角にへき開し、n型に負極、p型に正極を設けて
この発明による発光素子を調整する。
得られた発光素子については、発光特性を評価する。
負極と正極に直流バイアスを印加し、印加電圧を0Vから
約1Vまで上昇させるにつれてLED発光し、発光中心波長
が常温で印加電圧により880nmから860nm(±2nm)まで
変化する。印加電圧を約1Vより高くすると、通常のレー
ザモード発振に移行する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による発光素子の活性層近傍のエネル
ギーバンド図であり、第2図はこの発明により発光素子
の機能を説明するための活性層近傍のエネルギーバンド
図であり、第3図はこの発明による発光素子の概略図で
あり、第4図AおよびBは従来の発光素子の構造概略図
およびエネルギー図であり、第5図は従来の接合部近傍
に生じる伝導帯エネルギー(障壁)を説明するための図
であり、第6図はの発明による変形例のエネルギーバン
ド図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性領域となる活性層の両面を、それより
    禁止帯幅の大きさn型およびp型のクラッド層で各々接
    合した2重ヘテロ結合構造を有する半導体発光素子であ
    って、 前記少なくとも一方のクラッド層と前記活性層との間に
    クラッド中間層を設け、 そのクラッド中間層は、厚み方向で組成比を変化させ
    て、前記クラッド中間層の厚み方向両端の界面における
    伝導帯レベルを、それぞれ隣接する前記クラッド層及び
    前記活性層の伝導帯レベルと等しくし、前記活性層への
    電流注入効率を妨げる障壁をなくすようにしたことを特
    徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】前記活性層が厚み方向に変化したキャリア
    濃度を示し、前記活性層のキャリア濃度が界面で前記ク
    ラッド中間層と一致することを特徴とする請求項1に記
    載の半導体発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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