JP2840013B2 - トラクションコントロール装置および方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車両の発進
時や急加速時に駆動輪が空転するのを抑制するトラクシ
ョンコントロール装置および方法に関し、特にエンジン
のガバナを制御してエンジン出力回転数を調整すること
により駆動輪の空転を抑制するようにしたトラクション
コントロール装置および方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年自動車においては、駆動輪の空転傾
向時にエンジンの動力損失をできるだけ少なくするとと
もに、駆動輪の駆動力をより効果的に路面に伝えて車両
の推進を効果的に行うようにするために、駆動輪の駆動
力を調整するトラクションコントロール（以下、ＴＲＣ
ともいう）システムが開発されている。

【０００３】このようなＴＲＣシステムとして、例えば
図３に示すようなＡＢＳ／ＴＲＣシステムがあり、この
ＡＢＳ／ＴＲＣシステムは、制動時に制動車輪のロック
を防止するためにブレーキ力を調整するアンチスキッド
ブレーキ制御（以下、ＡＢＳともいう）システムとＴＲ
Ｃとが一体的に組み込まれているシステムである。

【０００４】図３に示すように、このＡＢＳ／ＴＲＣシ
ステムは、非駆動輪である左右の前輪１,２の車輪速度
を検出する車輪速センサ３,４、前輪１,２のブレーキ圧
力を調整するモジュレータ５、前輪１,２に制動力を発
生するブレーキアクチュエータ６、駆動輪である左右の
後輪７,８の車輪速度を検出する車輪速センサ９,１０、
後輪７,８のブレーキ圧力をそれぞれ調整するモジュレ
ータ１１,１２、後輪７,８にそれぞれ制動力を発生する
ブレーキアクチュエータ１３,１４、ブレーキペダル１
５によって開閉制御されるデュアルブレーキバルブ１
６、トラクションコントロール時に開いてエアタンク１
７内の圧縮空気を、左右の後輪７,８のモジュレータ１
１,１２へそれぞれ送給する電磁弁からなるトラクショ
ン電磁バルブ（以下、ＴＲＣバルブともいう）１８,１
９、エンジン２０の回転数の下限値を変更設定するメカ
ニカルガバナのガバナリンクを作動するガバナアクチュ
エータであるメカニカルガバナ制御用モータ（以下、単
にモータともいう）２１、各モジュレータ５,１１,１
２、各ＴＲＣバルブ１８,１９およびモータ２１を制御
するトラクションコントロール用電子制御装置であるＡ
ＢＳ／ＴＲＣコントロールユニット（以下、ＡＢＳ／Ｔ
ＲＣ ＥＣＵともいう）２２を備えている。

【０００５】なお、図中、２３はアクセルペダルであ
り、この例ではＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２がアクセル
位置を検出するためにポテンショ等の電気的接続がなさ
れている。３５はエキゾーストブレーキカットリレー、
２７はバッテリ電源、２８はセーフティリレー、３６は
ブレーキ圧力スイッチである。このＡＢＳ／ＴＲＣシス
テムでは、運転者がエキゾーストブレーキスイッチ（不
図示）を操作するとともにアクセルペダル２３を解放し
たときに、エンジンブレーキが作動するようになってい
るが、このエンジンブレーキはＡＢＳ中ではエキゾース
トブレーキカットリレー３５によりカットされて作動し
ないようになっている。また、セーフティリレー２８に
よりＡＢＳ／ＴＲＣシステムの異常時にモジュレータ
５,１１,１２、ＴＲＣバルブ１８,１９、モータ２１等
のコンポーネントへの電源を遮断して、それらのコンポ
ーネントが誤作動するのを防止している。

【０００６】また、ブレーキ圧力スイッチ３６は、ブレ
ーキペダル１５が踏み込まれてブレーキ圧がモジュレー
タ５に供給されたときにオンしてブレーキオン状態を検
出する。

【０００７】このように構成されたＡＢＳ／ＴＲＣシス
テムにおいては、車両発進時や急加速時等の車両の推進
力増大中に、ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２は各車輪速セ
ンサ３,４,９,１０からの車輪速信号に基づいて演算
し、その演算結果により駆動輪である後輪７,８が空転
傾向にあると判断すると、このＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ
２２は、空転傾向にある後輪７,８に対応するモジュレ
ータ１１,１２およびＴＲＣバルブ１８,１９に制御信号
を出力するとともに、ガバナリンクを作動するモータ２
１に制御信号を出力する。

【０００８】ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２からの制御信
号によりＴＲＣバルブ１８,１９がオンして開き、エア
タンク１７から圧縮空気が、ＴＲＣバルブ１８,１９、
ダブルチェックバルブ２４,２５およびモジュレータ１
１,１２を通してブレーキアクチュエータ１３,１４に供
給され、空転傾向にある後輪７,８が制動される。この
後輪７,８の制動により、空転傾向にある後輪７,８の空
転傾向が解消されるように後輪７,８の回転駆動力が抑
制される。このように、ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２
は、駆動輪の空転傾向時にこの空転傾向が解消するよう
にトラクションコントロールを行う。

【０００９】一方、ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２からの
モータ駆動信号によりモータ２１が回転駆動すると共
に、そのモータ２１に内蔵されている、ガバナアクチュ
エータ駆動位置センサであるモータ駆動位置センサ（不
図示）からの駆動位置信号がＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２
２にフィ−ドバックされることにより、エンジン２０の
メカニカルガバナのガバナリンクの位置が調整され、エ
ンジン２０が減速制御される。このエンジン２０の減速
により、後輪７,８の回転駆動力が抑制され、その結果
空転傾向にある後輪７,８の空転傾向が解消されるよう
になる。また、後輪７,８の制動によるＴＲＣ時にも、
エンジン２０の減速制御が行われて、後輪７,８の制動
によるＴＲＣ時にエンストを起こさないようにエンジン
２０の回転数の下限値を少し大きなＴＲＣ時の下限値に
変更調整する。

【００１０】このようにして、ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ
２２は、駆動輪である後輪７,８の空転傾向時にこの空
転傾向が解消するように、制動によるＴＲＣおよびエン
ジン制御によるＴＲＣを行う。また、ＡＢＳ／ＴＲＣ
ＥＣＵ２２は、ＴＲＣを行っているときはトラクション
パイロットランプ２６を点灯して運転者にＴＲＣが行わ
れていることを知らせるようになっている。なお、ＡＢ
Ｓ／ＴＲＣ システムによるＡＢＳは、本発明に直接関
係ないので、その説明は省略する。

【００１１】また、メカニカルガバナの代わりに電子ガ
バナが搭載されている車両もある。図４に示すようにこ
の電子ガバナ搭載車は、メカニカルガバナのモータ２１
が設けられていなく、代わりに電子ガバナ用電子制御装
置（以下、電子ガバナ用ＥＣＵともいう）３７が設けら
れており、この電子ガバナ用ＥＣＵ３７はＡＢＳ／ＴＲ
Ｃ ＥＣＵ２２に接続されているとともに、エンジン２
０内に設けられた図示しない電子ガバナに接続されてい
る。そして、ＴＲＣ開始条件となったとき、ＡＢＳ／Ｔ
ＲＣ ＥＣＵ２２が電子ガバナ用ＥＣＵ３７に電子ガバ
ナ制御信号を出力するとともに、電子ガバナ用ＥＣＵ３
７から電子ガバナにアクセル位置信号が出力され、この
アクセル位置信号に基づいて電子ガバナはエンジン回転
数を制御するようになっている。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
な従来のエンジン制御によるＴＲＣシステムにおいて
は、メカニカルガバナによるエンジン回転数制御と電子
ガバナによるエンジン回転数制御とでその制御方法が異
なる。このため、ＴＲＣ ＥＣＵはメカニカルガバナ制
御用と電子ガバナ制御用との２種類必要となるばかりで
なく、メカニカルガバナ搭載車に誤って電子ガバナ用Ｔ
ＲＣ ＥＣＵを装着したり、あるいは逆に電子ガバナ搭
載車に誤ってメカニカルガバナ用ＴＲＣ ＥＣＵを装着
したりしてしまうという問題ががある。

【００１３】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、トラクションコントロー
ル用電子制御装置をメカニカルガバナ制御用と電子ガバ
ナ制御用とで共通にすることにより、トラクションコン
トロール用電子制御装置の種類を削減でき、しかもトラ
クションコントロール用電子制御装置の誤装着を防止で
きるトラクションコントロール方法を提供することであ
る。

【００１４】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項１の発明は、エンジンの回転数を調整する
ガバナと、車両の駆動輪に空転傾向が発生しているかを
判断し、該駆動輪に空転傾向が発生していると判断した
とき、前記ガバナを制御するトラクションコントロール
用電子制御装置とを少なくとも備え、車両の駆動輪の空
転傾向発生時、前記ガバナを制御してエンジン回転数を
調整することにより空転傾向にある駆動輪の回転駆動力
を空転傾向が解消するように調整するトラクションコン
トロール装置において、前記トラクションコントロール
用電子制御装置内にそれぞれ内蔵されたメカニカルガバ
ナ制御用プログラムおよび電子ガバナ制御用プログラム
と、メカニカルガバナ制御用ガバナアクチュエータが接
続されているかを検知するメカニカルガバナ制御用ガバ
ナアクチュエータ接続検知手段と、ガバナアクチュエー
タ駆動位置センサが接続されているかを検知するガバナ
アクチュエータ駆動位置センサ接続検知手段と、前記メ
カニカルガバナ制御用ガバナアクチュエータ接続検知手
段からのチェック信号およびガバナアクチュエータ駆動
位置センサ接続検知手段からのチェック信号に基づいて
前記メカニカルガバナ制御用プログラムおよび前記電子
ガバナ制御用プログラムのいずれか一つを選択するプロ
グラム選択制御手段とからなることを特徴としている。

【００１５】また請求項２の発明は、前記メカニカルガ
バナ制御用ガバナアクチュエータおよび前記ガバナアク
チュエータ駆動位置センサのいずれか一つの未装着、前
記電子ガバナ用電子制御装置の異常、および前記電子ガ
バナ用電子制御装置の未装着の警報を発する警報手段を
備えていることを特徴としている。

【００１６】更に請求項３の発明は、車両の駆動輪の空
転傾向発生時、ガバナを制御してエンジン回転数を調整
することにより空転傾向にある駆動輪の回転駆動力を空
転傾向が解消するように調整するトラクションコントロ
ール方法において、ガバナを制御するトラクションコン
トロール用電子制御装置内にメカニカルガバナ制御用プ
ログラムおよび電子ガバナ制御用プログラムを内蔵し、
メカニカルガバナ制御用ガバナアクチュエータの接続お
よびガバナアクチュエータ駆動位置センサの接続がとも
に検知されたときは前記メカニカルガバナ制御用プログ
ラムを選択し、前記メカニカルガバナ制御用ガバナアク
チュエータの接続および前記ガバナアクチュエータ駆動
位置センサの接続がともに検知されないときは前記電子
ガバナ制御用プログラムを選択し、選択した制御用プロ
グラムにしたがってトラクションコントロールを行うこ
とを特徴としている。

【００１７】更に請求項４の発明は、前記メカニカルガ
バナ制御用ガバナアクチュエータの接続および前記ガバ
ナアクチュエータ駆動位置センサの接続のいずれか一つ
の接続が検知されないときは、警報を発することを特徴
としている。

【００１８】更に請求項５の発明は、前記メカニカルガ
バナ制御用ガバナアクチュエータの接続および前記ガバ
ナアクチュエータ駆動位置センサの接続がともに検知さ
れないときは、電子ガバナ用電子制御装置をチェック
し、該電子ガバナ用電子制御装置の異常または該電子ガ
バナ用電子制御装置の未装着が検知されたとき、警報を
発することを特徴としている。

【００１９】

【作用】このように構成された本発明においては、メカ
ニカルガバナ制御用ガバナアクチュエータの接続および
ガバナアクチュエータ駆動位置センサの接続がともに検
知された場合、車両にはメカニカルガバナが搭載されて
いることになる。したがって、この場合にはトラクショ
ンコントロール用電子制御装置は内蔵されているメカニ
カルガバナ制御用プログラムを選択し、このメカニカル
ガバナ制御用プログラムにしたがってメカニカルガバナ
制御用ガバナアクチュエータを制御してメカニカルガバ
ナを調整することによりトラクションコントロールを行
う。

【００２０】また、メカニカルガバナ制御用ガバナアク
チュエータの接続およびガバナアクチュエータ駆動位置
センサの接続がともに検知されない場合、車両には電子
ガバナが搭載されている可能性が高い。したがって、こ
の場合にはトラクションコントロール用電子制御装置は
内蔵されている電子ガバナ制御用プログラムを選択し、
この電子ガバナ制御用プログラムにしたがって電子ガバ
ナ用電子制御装置を制御して電子ガバナを制御すること
によりトラクションコントロールを行う。

【００２１】その場合、請求項２および５の発明におい
ては、電子ガバナ用電子制御装置がチェックされ、電子
ガバナ用電子制御装置が異常であるとき、あるいは電子
ガバナ用電子制御装置が装着されていないときは、警報
が発せられる。

【００２２】更に、請求項２および４の発明において
は、メカニカルガバナ制御用ガバナアクチュエータの接
続およびガバナアクチュエータ駆動位置センサの接続の
いずれか一つの接続が検知されないときは、メカニカル
ガバナ制御用ガバナアクチュエータおよびガバナアクチ
ュエータ駆動位置センサのいずれか一つの配線が不良で
あるかまたはメカニカルガバナ制御用ガバナアクチュエ
ータおよびガバナアクチュエータ駆動位置センサのいず
れか一つが装着されていないかのいずれかであるので、
警報が発せられる。

【００２３】このように一種類のトラクションコントロ
ール用電子制御装置により、メカニカルガバナと電子ガ
バナとのいずれにも対応することができるようになる。
これにより、トラクションコントロール用の電子制御装
置の種類を削減できる。また本発明においては、配線不
良、部品の未装着、および電子ガバナ用電子制御装置の
異常または未装着を確実に検知できるようになる。

【００２４】

【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。図１は、本発明にかかるトラクションコントロール
装置の一実施例を概略的に示す構成図である。なお、本
実施例で使用されるＡＢＳ／ＴＲＣシステムは前述の従
来のＡＢＳ／ＴＲＣシステムと同じであるので、この従
来のＡＢＳ／ＴＲＣシステムと同じ符号を用いて、本実
施例を説明する。

【００２５】図１に示すように本実施例においては、Ａ
ＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２内に、メカニカルガバナ制御
用プログラム３８と電子ガバナ制御用プログラム３９と
の二つの制御プログラムが内蔵されている。また、ＡＢ
Ｓ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２内には、メカニカルガバナ制御
用ガバナアクチュエータ接続検知手段４０、ガバナアク
チュエータ駆動位置センサ接続検知手段４１、電子ガバ
ナ通信チェック手段４３、およびプログラム選択制御手
段４２が設けられている。更に、警報ランプ等の警報手
段４４が、プログラム選択制御手段４２および電子ガバ
ナ通信チェック手段４３に接続されて設けられている。

【００２６】このように構成されたＡＢＳ／ＴＲＣ Ｅ
ＣＵ２２においては、このＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２
が車両に搭載されて所定の結線が行われた後、ＡＢＳ／
ＴＲＣ ＥＣＵ２２のメカニカルガバナ制御用ガバナア
クチュエータ接続検知手段４０によりメカニカルガバナ
制御用モータ２１が接続されているか否かのチェックが
行われるとともに、ガバナアクチュエータ駆動位置セン
サ接続検知手段４１によりガバナアクチュエータ駆動位
置センサ（不図示）が接続されているか否かのチェック
が行われ、それぞれそれらのチェック結果がプログラム
選択制御手段４２に送給されるようにしている。

【００２７】メカニカルガバナ制御用ガバナアクチュエ
ータの接続検知は、例えばガバナアクチュエータがモー
タの場合には、モータの正逆回転に用いられるＨブリッ
ジ回路に流れる電流を検出したり、モータ端子間電圧を
測定することで行われる。

【００２８】また、モータを駆動した結果を、モータと
機械的に連結された位置センサの出力信号の変動として
検出して接続検知することもできる。ガバナアクチュエ
ータ駆動位置センサの接続検知は、センサ入力電圧が所
定範囲内にあるか否かで行える。

【００２９】そして、プログラム選択制御手段４２は、
これらのチェック結果、メカニカルガバナ制御用モータ
２１およびガバナアクチュエータ駆動位置センサが接続
されていると判断したときは、メカニカルガバナが搭載
されているとして、内蔵しているメカニカルガバナ制御
用プログラム３８を選択するようにしている。そして、
ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２が、選択したメカニカルガ
バナ制御用プログラム３８に基づいてメカニカルガバナ
制御用モータ２１を制御してメカニカルガバナを調整す
ることにより、トラクションコントロールをより正確に
行うようにしている。

【００３０】また、プログラム選択制御手段４２は、チ
ェック結果、メカニカルガバナ制御用モータ２１および
ガバナアクチュエータ駆動位置センサがともに接続され
ていないと判断したときは、電子ガバナが搭載されてい
るとして、内蔵している電子ガバナ制御用プログラム３
９を選択するようにしている。そして、ＡＢＳ／ＴＲＣ
ＥＣＵ２２が、選択した電子ガバナ制御用プログラム
３９に基づいて電子ガバナ用電子制御装置を制御して電
子ガバナを調整することにより、トラクションコントロ
ールをより正確に行うようにしている。

【００３１】更に、本実施例においては、電子ガバナ制
御用プログラム３９が選択されたときは、電子ガバナ通
信チェック手段４３が電子ガバナ用ＥＣＵ３７に通信チ
ェック信号を出力し、電子ガバナ用ＥＣＵ３７の異常あ
るいは電子ガバナ用ＥＣＵ３７の未装着をチェックする
ようにしている。チェックの方法としては、電子ガバナ
ＥＣＵ３７から所定の信号をＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２
２に送信して接続を識別したり、ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣ
Ｕ２２から所定のプロトコルを出力し、電子ガバナＥＣ
Ｕ３７から返信を待つことで接続を検知したりすること
ができる。ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２をオープンコレ
クタ的に構成し、電子ガバナＥＣＵ３７側で通信ライン
を抵抗でプルアップしておくことでも、断線識別は可能
であり、検知可能である。そして、このチェック結果、
電子ガバナ通信チェック手段４３は電子ガバナ用ＥＣＵ
３７の異常あるいは電子ガバナ用ＥＣＵ３７の未装着を
検知すると、警報手段４４である例えば警報ランプを点
灯することにより、警報するようにしている。

【００３２】更に、本実施例においては、メカニカルガ
バナ制御用ガバナアクチュエータ接続検知手段４０から
のチェック信号およびガバナアクチュエータ駆動位置セ
ンサ接続検知手段４１からのチェック信号により、プロ
グラム選択制御手段４２はメカニカルガバナ制御用モー
タ２１およびガバナアクチュエータ駆動位置センサのい
ずれか一つが接続されていないと判断したときは、メカ
ニカルガバナ制御用モータ２１およびガバナアクチュエ
ータ駆動位置センサのいずれか一つの配線が不良である
か、またはメカニカルガバナ制御用モータ２１およびガ
バナアクチュエータ駆動位置センサのいずれか一つが装
着されていないかのいずれかであるので、配線不良また
は部品の装着不完全であるとして、警報手段４４の警報
ランプを点灯することにより、警報するようにしてい
る。

【００３３】図２は、本実施例の各処理のフローを示す
図である。図２に示すように、ステップＳＴ１において
メカニカルガバナ制御用モータ２１が接続されている否
かが判断され、メカニカルガバナ制御用モータ２１が接
続されていると判断されると、ステップＳＴ２において
ガバナアクチュエータ駆動位置センサが接続されている
否かが判断される。ステップＳＴ１においてメカニカル
ガバナ制御用モータ２１が接続されていないと判断され
ると、ステップＳＴ３においてフラグがセットされた
後、ステップＳＴ２に移行する。

【００３４】ステップＳＴ２においてガバナアクチュエ
ータ駆動位置センサが接続されていると判断されると、
ステップＳＴ４においてフラグがセットされているか否
かが判断される。フラグがセットされていないと判断さ
れると、メカニカルガバナ制御用モータ２１およびガバ
ナアクチュエータ駆動位置センサがともに接続されてい
ることになり、ステップＳＴ５においてメカニカルガバ
ナ制御用プログラムが選択される。これにより、メカニ
カルガバナの制御が行われる。ステップＳＴ４において
フラグがセットされていると判断されると、ガバナアク
チュエータ駆動位置センサが接続されているがメカニカ
ルガバナ制御用モータ２１が接続されていないことにな
り、ステップＳＴ６において警報ランプが点灯され、警
報が行われる。

【００３５】ステップＳＴ２においてガバナアクチュエ
ータ駆動位置センサが接続されていないと判断される
と、ステップＳＴ７においてフラグがセットされている
か否かが判断される。フラグがセットされていると判断
されると、メカニカルガバナ制御用モータ２１およびガ
バナアクチュエータ駆動位置センサがともに接続されて
いないことになり、ステップＳＴ８において電子ガバナ
制御用プログラムが選択される。そして、ステップＳＴ
９においてＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２から通信チェッ
ク信号が出力された後、ステップＳＴ１０において通信
が正常であるか否かが判断される。通信が正常であると
判断されると、正常の電子ガバナ用電子制御装置が搭載
されていることになり、選択された電子ガバナ制御用プ
ログラムに基づいて電子ガバナ制御装置の制御が行われ
る。

【００３６】ステップＳＴ１０において通信が正常でな
いと判断されると、ＡＢＳ／ＴＲＣＥＣＵ２２と電子ガ
バナ用ＥＣＵ３７との配線不良か、異常の電子ガバナ用
電子制御装置が搭載されているか、あるいは電子ガバナ
用電子制御装置が搭載されていないことになり、ステッ
プＳＴ６に移行して警報が行われる。また、ステップＳ
Ｔ７においてフラグがセットされていないと判断される
と、メカニカルガバナ制御用モータ２１が接続されてい
るがガバナアクチュエータ駆動位置センサが接続されて
いないことになり、ステップＳＴ６に移行し、警報が行
われる。

【００３７】このように本実施例においては、一種類の
ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ２２により、メカニカルガバナ
と電子ガバナとのいずれにも対応することができるよう
になる。したがって、トラクションコントロール用の電
子制御装置の種類を削減できるとともに、これによりコ
ストを低減できる。しかも、一種類のＡＢＳ／ＴＲＣＥ
ＣＵ２２を装着するだけであるので、トラクションコン
トロール用の電子制御装置の誤装着が生じることはな
い。また本実施例においては、配線不良、部品の未装
着、および電子ガバナ用電子制御装置の異常または未装
着を確実に検知できるようになる。

【００３８】なお、本発明は、エンジン回転数を制御す
るガバナの制御によるＴＲＣを行うものであれば、どの
ようなＴＲＣシステムにも適用することができる。ま
た、前述の実施例では、ＡＢＳシステムとＴＲＣシステ
ムが一緒に組み込まれている場合について説明している
が、本発明は、ＴＲＣシステムがＡＢＳシステムと独立
した形で設けられている場合あるいはＴＲＣのみが設け
られている場合にも適用できる。

【００３９】更に、前述の実施例では、ガバナアクチュ
エータがモータ２１である場合について説明している
が、本発明は、ガバナアクチュエータが電磁弁とエアシ
リンダとから構成される場合など、電気的に制御される
ものであればどのようなガバナアクチュエータにも適用
できる。

【００４０】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のトラクションコントロール装置および方法によれば、
一種類のトラクションコントロール用電子制御装置によ
り、メカニカルガバナと電子ガバナとのいずれにも対応
することができるようになるので、トラクションコント
ロール用の電子制御装置の種類を削減できるとともに、
これによりコストを低減できる。しかも、これによりト
ラクションコントロール用の電子制御装置の誤装着を確
実に防止できる。また本発明によれば、配線不良、部品
の未装着、および電子ガバナ用電子制御装置の異常また
は未装着を確実に検知できるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明にかかるトラクションコントロール装
置の一実施例を概略的に示す構成図である。

【図２】 この実施例における処理のフローを説明する
図である。

【図３】 従来のＡＢＳ／ＴＲＣシステムの一例を示す
図である。

【図４】 従来のＡＢＳ／ＴＲＣシステムの他の例を示
す図である。

【符号の説明】

１,２…左右の前輪（非駆動輪）、３,４.９,１０……車
輪速センサ、７,８…左右の後輪（駆動輪）、１８,１９
…トラクション電磁バルブ（ＴＲＣバルブ）、２０…エ
ンジン、２１…メカニカルガバナ制御用モータ（ガバナ
アクチュエータ）、２２…ＡＢＳ／ＴＲＣコントロール
ユニット（ＡＢＳ／ＴＲＣ ＥＣＵ；トラクションコン
トロール用電子制御装置）、３７…電子ガバナ用電子制
御装置（電子ガバナ用ＥＣＵ）、３８…メカニカルガバ
ナ制御用プログラム、３９…電子ガバナ制御用プログラ
ム、４０…メカニカルガバナ制御用ガバナアクチュエー
タ接続検知手段、４１…ガバナアクチュエータ駆動位置
センサ接続検知手段、４２…プログラム選択制御手段、
４３…電子ガバナ通信チェック手段、４４…警報手段

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンの回転数を調整するガバナと、
   車両の駆動輪に空転傾向が発生しているかを判断し、該
   駆動輪に空転傾向が発生していると判断したとき、前記
   ガバナを制御するトラクションコントロール用電子制御
   装置とを少なくとも備え、車両の駆動輪の空転傾向発生
   時、前記ガバナを制御してエンジン回転数を調整するこ
   とにより空転傾向にある駆動輪の回転駆動力を空転傾向
   が解消するように調整するトラクションコントロール装
   置において、 前記トラクションコントロール用電子制御装置内にそれ
   ぞれ内蔵されたメカニカルガバナ制御用プログラムおよ
   び電子ガバナ制御用プログラムと、メカニカルガバナ制
   御用ガバナアクチュエータが接続されているかを検知す
   るメカニカルガバナ制御用ガバナアクチュエータ接続検
   知手段と、ガバナアクチュエータ駆動位置センサが接続
   されているかを検知するガバナアクチュエータ駆動位置
   センサ接続検知手段と、前記メカニカルガバナ制御用ガ
   バナアクチュエータ接続検知手段からのチェック信号お
   よびガバナアクチュエータ駆動位置センサ接続検知手段
   からのチェック信号に基づいて前記メカニカルガバナ制
   御用プログラムおよび前記電子ガバナ制御用プログラム
   のいずれか一つを選択するプログラム選択制御手段とか
   らなることを特徴とするトラクションコントロール装
   置。
2. 【請求項２】 前記メカニカルガバナ制御用ガバナアク
   チュエータおよび前記ガバナアクチュエータ駆動位置セ
   ンサのいずれか一つの未装着、前記電子ガバナ用電子制
   御装置の異常、および前記電子ガバナ用電子制御装置の
   未装着の警報を発する警報手段を備えていることを特徴
   とする請求項１記載のトラクションコントロール装置。
3. 【請求項３】 車両の駆動輪の空転傾向発生時、ガバナ
   を制御してエンジン回転数を調整することにより空転傾
   向にある駆動輪の回転駆動力を空転傾向が解消するよう
   に調整するトラクションコントロール方法において、 ガバナを制御するトラクションコントロール用電子制御
   装置内にメカニカルガバナ制御用プログラムおよび電子
   ガバナ制御用プログラムを内蔵し、メカニカルガバナ制
   御用ガバナアクチュエータの接続およびガバナアクチュ
   エータ駆動位置センサの接続がともに検知されたときは
   前記メカニカルガバナ制御用プログラムを選択し、前記
   メカニカルガバナ制御用ガバナアクチュエータの接続お
   よび前記ガバナアクチュエータ駆動位置センサの接続が
   ともに検知されないときは前記電子ガバナ制御用プログ
   ラムを選択し、選択した制御用プログラムにしたがって
   トラクションコントロールを行うことを特徴とするトラ
   クションコントロール方法。
4. 【請求項４】 前記メカニカルガバナ制御用ガバナアク
   チュエータの接続および前記ガバナアクチュエータ駆動
   位置センサの接続のいずれか一つの接続が検知されない
   ときは、警報を発することを特徴とする請求項３記載の
   トラクションコントロール方法。
5. 【請求項５】 前記メカニカルガバナ制御用ガバナアク
   チュエータの接続および前記ガバナアクチュエータ駆動
   位置センサの接続がともに検知されないときは、電子ガ
   バナ用電子制御装置をチェックし該電子ガバナ用電子制
   御装置の異常または該電子ガバナ用電子制御装置の未装
   着が検知されたとき、警報を発することを特徴とする請
   求項３または４記載のトラクションコントロール方法。