JP2829877B2 - 施釉アルミナ磁器 - Google Patents

施釉アルミナ磁器

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、施釉アルミナ磁器に関し、特に、電気電子
工業で絶縁部材として用いられるメタライズ用施釉アル
ミナ磁器に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、メタライズ用施釉アルミナ磁器の釉薬成分とし
ては、(Na,K)2Oが0.3モル、CaOが0.7モルの計1モル
に対し、Al2O3が1.0〜1.5モル、SiO2が10〜15モルの割
合で配合された組成のものが一般に用いられている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
施釉アルミナ磁器に要求される特性の一つに、表面抵
抗率がある。従来の施釉アルミナ磁器のMo−Mnメタライ
ズ前の表面抵抗率は、25℃、相対湿度RH50%において、
通常1×1012Ω/□以上であるが、メタライズをかけた
後は1×1012未満に低下するという問題点があった。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記問題点の原因が釉薬中に含まれる
アルカリ元素に関係すると考え、実験を行なった結果、
以下に述べるような発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、MgOが0〜0.5モル、CaOが0.5〜
1.0モルからなるアルカリ土類酸化物成分1モルに対
し、Al2O3が1.0〜1.5モル、SiO2が10〜15モルの割合で
配合され、かつ、不純物のアルカリ成分の含有量が1%
以下である釉薬が施釉されていることを特徴とする施釉
アルミナ磁器である。
本発明に用いる釉薬の原料は、アルカリ成分を含まな
いものを用いることが肝要であるが、逆に釉薬全体のア
ルカリ成分含有量が1%以上にならなければ、どのよう
な原料を用いてもよい。
一般には、カオリン、珪石、CaCO3、Mg(OH)など
からなる生釉を用いるか、Al2O3、SiO2、CaO及びMgOの
混合物が用いられる。もちろん、それらを一度溶融し、
ガラスフリットとしたものでもよい。上記の組成範囲か
らはずれた場合、後のメタライズ焼成のときに釉が失透
したり、下方へ垂れるので好ましくない。
このような釉薬原料をアルミナ磁器に塗布する方法
は、慣用の方法でよい。例えば水などの分散媒を用いて
スラリーとし、スプレーや刷毛を用いて塗布する方法が
挙げられる。釉薬塗布を完了した磁器を釉焼きする方法
も慣用の方法が用いられる。すなわち、電気炉やガス炉
を用い、1300〜1500℃で1〜10時間焼成を行う。
以上のようにして、本発明の施釉アルミナ磁器が得ら
れる。
〔作用〕
従来の施釉アルミナ磁器の表面抵抗率がMo−Mnメタラ
イズ後に低下する原因については、詳細は不明である
が、おそらくメタライズ時の還元雰囲気と釉薬中のアル
カリ成分との作用であると考えられる。すなわち、Mo−
MnメタライズはH2−N2雰囲気中で、1300〜1500℃に加熱
して行なわれるが、このとき釉薬中のアルカリ成分が還
元され、蒸発して気相となり、冷却時に釉表面や円筒状
アルミナ磁器の内表面(通常無釉)に凝縮するのでない
かと思われる。アルカリ成分と空気中の湿気の作用によ
り、表面抵抗率が低下することはよく知られている。
本発明の施釉アルミナ磁器の場合、蒸発すべきアルカ
リ成分が実質的に存在しないため、上述したようなこと
が起こらず、表面抵抗率の低下がないものと考えられ
る。
〔実施例〕
以下、実施例及び比較例によって本発明の効果を示す
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例1〜3、比較例1〜3 カオリン(共立窯業社、ニュージーランドカオリン、
強熱減量:13.6%、Al2O3:35.2%、SiO2:50.7%、Fe2O3:
0.19%、Na2O:0.07%、TiO2:0.06%、CaO,MgO,K2O:trac
e)と珪石粉(共立窯業社、SP−20)、CaCO3(国産化学
社、試薬)及びMgO(国産化学社、試薬)を用い、第1
表に示す組成の釉薬になるよう配合した。
外形50mmφ、内径40mmφ、高さ50mmの92%アルミナ磁
器(日本セラテック社、A−921)に施釉した。焼成は
電気が炉中1450℃で2時間行なった。
この施釉磁器の25℃、50%RHにおける表面抵抗率を測
定した後、Mo−Mnメタライズペースト((株)アサヒ化
学研究所製、MA−1200)を両端面に塗布し、H2/N2=3/1
のガス中1500℃で1時間メタライズ焼成を行ない、メタ
ライズ処理後の表面抵抗率を測定した。
結果を第1表に示す。
比較例4〜6 従来組成の釉薬として、実施例1のカオリンに代えて
長石粉(特殊精礦(株)、SS−300、SiO2:67.6%、Al2O
3:17.9%、K2O:9.74%、Na2O:3.30%、Fe2O3:0.07%)
を用いた他は同じ原料で、第1表の組成配合で、同様の
測定を行なった。
結果を第1表に示す。
実施例5〜7、比較例7〜8 実施例2の組成の釉薬スラリーに、炭酸アルカリ(Na
KCO3)を加えて、第2表のアルカリ量になるようにした
以外は実施例2と同様に行なった。
得られた施釉アルミナ磁器の表面抵抗率を第2表に示
す。
〔発明の効果〕 本発明は、メタライズ用施釉アルミナ磁器の釉薬とし
て、アルカリ土類酸化物、アルミナ及びシリカよりな
り、かつ、不純物としてのアルカリ成分の含有量を1%
以下にしたことにより、メタライズ処理によって表面抵
抗率の低下の無い優れた施釉アルミナ磁器が得られる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】MgOが0〜0.5モル、CaOが0.5〜1.0モルか
    らなるアルカリ土類酸化物成分1モルに対し、Al2O3
    1.0〜1.5モル、SiO2が10〜15モルの割合で配合され、か
    つ、不純物のアルカリ成分の含有量が1%以下である釉
    薬が施釉されていることを特徴とする施釉アルミナ磁
    器。
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