JP2826726B2 - 光記録媒体の製造方法 - Google Patents

光記録媒体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光記録媒体の製造方法に関する。 〔従来の技術〕 従来の光記録媒体は、垂直磁気記録層に集光したレー
ザー光を照射することにより磁化反転を起こさせ情報を
記録する方法、あるいは記録層にレーザー光を照射し、
記録層の結晶構造を変化させる(結晶から非晶質又はそ
の逆、あるいは六方晶か立方晶又はその逆等)つまり相
変態により情報を記録する方法、あるいは記録層にレー
ザー光を照射することにより穴を開ける。またはバブル
を形成するなどの記録部分の形状を変化させ情報を記録
する方法がある。 特に従来の光磁気記録媒体は、基板に案内溝のついた
プラスチック基板(PC、PMMA、エポキシ樹脂等)を使用
することが多い。これは射出成型が可能であり、安価で
大量生産ができるためである。しかしプラスチック基板
は吸湿性、ガス透過度が高く光磁気記録層であるGdTbF
e、TbFeCo、GdTbFeCo、DyFeCo、NdDyFeCo、NdDyGdFeCoT
i等の希土類遷移金属合金膜が容易におかされてしま
い、磁気特性の劣化が激しい。そこで、プラスチック基
板と光磁気記録層の間にSiO2、SiO等の酸化物誘電体膜
を一層設けることにより基板側からの耐食性の向上をは
かった。しかし、これら誘電体は酸化物であるため、遊
離酸素が光磁気記録層を酸化させてしまうために保護効
果は十分でなかった。そして次に考えられたのが、窒化
シリコン、窒化アルミニウム、流下亜鉛等の非酸化物系
誘電体膜をプラスチック基板上に成膜することであっ
た。しかしこれら非酸化物系誘電体膜は基板との密着力
がなく、又は密着力はあってもすぐクラックが発生する
など実用的でなかった。 そこで本発明者は鋭意研究の結果、特願昭60−89452
で示しているごとく、窒化アルミニウムと窒化シリコン
の複合膜が光磁気記録層の完璧な保護膜となり得ること
を示した。そして、さらなる研究の結果、本発明者は窒
化アルミニウムと窒化シリコンの複合膜のうちでも詳細
に実験を進めることで、光記録媒体構造の違いにより保
護効果に差異が生じ、許容できる窒化アルミニウムと窒
化シリコンの組成比も変わることを発見した。 〔発明が解決しようとする問題点〕 そこで、本発明は、本発明者が特願昭60−89452で示
した窒化アルミニウムと窒化シリコンの複合膜のうちで
も、さらに保護効果のすぐれた完全無欠の光記録媒体を
提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、AlとSiとに対するAlの比率yが下記の式の
範囲である、AlとSiとの合金、または、AlとSiとを焼結
したものをターゲットとしてスパッタリングすることに
より、透明基板上に複合誘電体膜を形成する工程と、前
記複合誘電体膜上に光記録膜を形成する工程と、を有す
ることを特徴とする。 0<y≦95mol% 〔作用〕 本発明の上記構成によれば、貼り合せ構造を有する光
記録媒体において、窒化アルミニウムと窒化シリコンの
複合誘電体膜でも屈折率が2.15以下1.70以上のもので、
しかも窒化アルミニウムと窒化シリコンの成分比が次式
で示される範囲内で、より一層の保護効果がある。 (窒化アルハニウム)x(窒化シリコン)100−x 0<x≦95mol% これは、屈折率が2.15より大きい複合誘電体膜という
のはアルミニウムあるいはシリコンが窒素と十分に反応
していないということであり、未反応のアルミニウムや
シリコンが膜中に存在することになる。そのため耐候性
試験(加速試験)中に光学定数が変わってしまうことに
なるため光記録媒体の経時変化を生ぜしめることにな
る。又、屈折率が1.70未満であるというのは複合誘電体
膜の密度が疎(ポーラス)になった状態のことであり保
護膜としての効果が劣るため光記録層の劣化を生ぜしめ
ることになる。そのため屈折率は2.15以下1.70以上であ
る必要が出てくるのである。さらに窒化アルミニウムの
成分が95mol%を超えると耐候性試験(加速試験)中に
膜にクラックが生じ、又窒化シリコンが100mol%になる
と2P(phot polymer)液による貼り合せ時に膜ウキを生
ぜしめることになる。これは窒化シリコンはプラスチッ
ク基板に対して密着力がなく、ピンホール中に2P液が入
り込むからである。 以下に本発明の効果を実施例をもとにし、具体的に詳
述する。 〔実施例1〕 第1図は、本発明における光磁気記録媒体の断面図で
あり、1は溝付きPC基板で溝ピッチ1.6μm、溝幅0.8μ
m溝深さ600Åのものである。このPC基板の溝側に窒化
アルミニウムと窒化シリコンの複合誘電体膜1000Åを形
成したのが2である。そして、その上に3として光磁気
記録層NaDyGdFeCoTi膜400Åを成膜し、さらに2と同じ
窒化アルミニウムと窒化シリコンの複合誘電体膜1000Å
を4として成膜した。そしてこのようにしてできた情報
の記録層が設けられた光透過性基板7と6である溝無し
PC基板とを2P(photo polymer)樹脂5により密着貼り
合せした。 成膜方法はスパッタ法を用いた。窒化アルミニウムと
窒化シリコンの複合誘電体膜を成膜するにあたり、ター
ゲットはAlとSiの合金あるいは焼結ターゲットを用い
た。これはAlとSiの比率によっては合金化できないとき
は焼結ターゲットを用いたからである。そして、スパッ
タ条件として、Ar圧2.5mTorr、N2分圧0.5mTorrの反応性
RFマグネトロンスパッタをおこなった。Powerは、500W
一定とした。用いたAlとSiターゲットの比を次に示す。 Al:Si= 0.1:99.9mol% Al:Si= 2:98 mol% Al:Si= 10:90 mol% Al:Si= 20:80 mol% Al:Si= 30:70 mol% Al:Si= 60:40 mol% Al:Si= 80:20 mol% Al:Si= 90:10 mol% Al:Si= 95: 5 mol% Al:Si=95.1:4.9 mol% Al:Si= 96: 4 mol% Al:Si= 98: 2 mol% そして、これらのターゲットを用いた複合誘電体膜を
作成し、貼り合せし、60℃90%RHの恒温恒湿槽中で加速
試験を1000hrおこない、クラック発生の有無を見た。当
然ながら、貼り合せ前にクラックはない。結果はAl:Si
=95.1:4.9mol%、96:4mol%、98:2mol%のものにクラ
ックが発生した。さらに窒化シリコン100%誘電体のも
ので第1図と同じ媒体を作り加速試験をした。そして、
この媒体にはクラックが発生したことにより、窒化アル
ミニウムと窒化シリコンの混合比は、次式で示す範囲内
が良いことになる。 (窒化アルミニウム)x(窒化シリコン)100−x 0<x≦95mol% ここで、成膜した複合誘電体膜、誘電体膜の屈折率は
2.0一定のものである。 次に、媒体のBit Error Rate(BER)の変化を加速試
験中にみたものが第2図である。加速試験条件は60℃90
%RHである。縦軸はBER(ビット長1.0μmでみたも
の)、横軸は加速試験時間である。8が本発明媒体によ
るもので窒化アルミニウムと窒化シリコンの複合誘電体
膜を用いたものでAlとSiのターゲット比は前述したもの
のうち、Alが0.1、2、10、20、30、60、80、90、95mol
%のものである。10は誘電体膜に窒化シリコンのみを用
いた媒体。9は窒化アルミニウムと窒化シリコンの複合
誘電体膜のものであるが、AlとSiのターゲット比率が前
述のもののうち、Alが95.1、96、98のものを使用した媒
体である。この図よりわかるように本発明による媒体は
5000時間の加速試験後もBERに変化がなく長時間(50年
以上)の信頼性を保証できるものである。又、窒化アル
ミニウムと窒化シリコンの複合誘電体膜の媒体のうちで
も、Alの比率が95mol%を超したもの9は200hr後からク
ラックが発生しだし使用できなくなる。さらに窒化シリ
コンのみを使用した媒体10は100hr後からクラックが発
生しはじめる。 以上述べたごとく、本発明による媒体は長期の信頼性
を保証(50年以上)できることがいえる。 尚、複合誘電体膜のAlとSiとの組成比をICP(プラズ
マ発光分析)で分析したところ、ターゲットのAlとSiと
の比と同じ組成比であった。 〔実施例2〕 次に、実施例1の媒体構造と全く同じ基板のみをPMMA
に変えたものを作成し評価した。媒体構造の断面図を第
3図に示す。11と12がPMMA基板であり、その他は全く実
施例1と同じである。この媒体を実施例1と同様60℃90
%RHの加速試験をおこなったのが、第4図で、縦軸がBE
R、横軸が経過時間である。13が本発明による媒体でAl
が0.1〜95mol%のものである。4000hrを超すあたりから
BERの増加が見られるようになる。14はAlが95mol%を超
した媒体で100hrぐらいからクラックが発生し始め、15
の窒化シリコンの媒体では60hrぐらいからクラックがで
はじめた。これらは実施例1の媒体より劣化が早いが、
基板にPMMAを用いたためである。しかしながらPMMA基板
を用いても、本発明による媒体は40年の長期信頼性を保
証できる。十分実用に耐えうる媒体であることがわか
る。 〔実施例3〕 次に窒化アルミニウムと窒化シリコンの複合誘電体膜
の成膜条件を変えて屈折率をパラメータとした本発明媒
体を作成した。構造、膜厚、基板等は全て実施例1と同
じで、複合誘電体膜の屈折率のみがちがう。AlとSiのタ
ーゲットはAlが20mol%のものを用い、屈折力はAr圧、N
2分圧を変えることにより調整した。各種屈折率は複合
誘電体膜を用意した媒体を、60℃90%RHの加速試験をお
こなった結果が第5図である。第5図に示したのは、媒
体の基板側より見たカー回転角の経時変化図である。横
軸は経過時間、縦軸は経過時間tに対するカー回転角θ
kr(t)と成膜直後のカー回転角θkr(0)の比を示し
ている。25はAlが20mol%、Siが80mol%のターゲットを
用いて作成したAlSiN複合誘電体膜の屈折率nが2.15、
2.01、1.90、1.85、1.80、1.70の媒体で、26はnが2.24
の媒体で、27はnが2.31の媒体、28はnが1.69、1.65の
媒体で、29は1.63、1.60の媒体である。この図からわか
るように、本発明による屈折率が2.15以下1.70以上の媒
体では経時変化が全くなく5000hr経過しても全く変動が
ない。一方、屈折率が2.15より大きい媒体26、27では、
加速試験初期(10〜30hr)に変化し、その後一定してい
る。これは屈折率2.15より大きい誘電体膜は未反応のAl
やSiを含んでいるため、加速試験中に未反応成分が安定
な酸化物等へ変化していくことを示している。その結果
θkr(t)が変化するものであり、媒体の記録再生特性
(C/N)に重大な変化をきたす。又、屈折率が1.70より
小さい媒体28、29では、加速試験後100hr程度から変化
が生じ、徐々に変化していき最後はθkr(t)が0に近
づいていく。これは屈折率1.70より小さい誘電体膜は膜
質が密でない、つまり疎であるため、加速試験中に水分
や酸素が侵入してくることを示している。その結果、光
磁気記録層の劣化を進行させθkr(t)が変化するもの
である。これもまた、媒体の記録再生特性(C/N)に重
大な変化をきたす。 次に第6図に示すのは、媒体の保磁力の経時変化図で
ある。横軸は経過時間、縦軸は経過時間tに対する保磁
力Hc(t)と成膜直後の保磁力Hc(0)の比を示してい
る。30は屈折率nが2.15、2.01、1.90、1.85、1.80、1.
70及び2.24、2.31の媒体で、31はnが1.69、1.65の媒体
で、32は1.63、1.60の媒体である。この図から屈折率n
が1.70より小さい媒体の保磁力が時間とともに変化する
のがわかる。これは、上述した誘電体膜の膜質が疎であ
るために光磁気記録層の劣化によるものである(光磁気
記録層は遷移金属richの組成)。一方、nが1.70以上の
媒体の保磁力は長時間にわたり変化がない。しかしnが
2.15より大きい媒体は第5図の方から保護膜としては適
さない。そして、当然のことながら、ここに示した全て
の媒体には5000hr経過後もクラックの発生はなかった。 尚、本実施例3に示した複合誘電体膜はAl20Si80のタ
ーゲットを用いて屈折率を変え実験をおこなったもので
あるが、同様の実験をAl0.1Si99.9、Al2Si98、Al10S
i90、Al20Si80、Sl30Si70、Al60Si40、Al80Si20、Al90S
i10、Al95Si5mol%のターゲットを用いておこなった
所、実施例2と全く同様の結果が得られた。つまり屈折
率nが1.70以上2.15以下の複合誘電体膜が保護膜に最も
適している。 以上、本発明について実施例を詳述したが、本効果は
基板がPC、PMMA以外にエポキシ樹脂、TPX等の他のプラ
スチック基板、ガラス基板等でも何らさしつかえない。
又、貼り合せ方法も2P法による紫外線硬化樹脂を用い
ず、粘着剤等による貼り合せ法、エアーサンドイッチ構
造による貼り合せ法でも有効である。さらに本実施例で
用いた光記録層はNdDyGdFeCoTi膜であるが、TbFeCo、Gd
TbFeCo等の光磁気記録膜でも有効である。さらに光磁気
記録媒体だけでなく、相変態型光記録媒体にも有効であ
る。又、本実施例に用いた複合誘電体膜の方法は、Alと
Siの合金(焼結)ターゲットによる窒素反応スパッタで
あるが、AlターゲットとSiターゲットによる同時反応ス
パッタ法や、窒化アルミニウムと窒化シリコンの焼結タ
ーゲットを用いてもよく。又蒸着法による成膜でも何ら
さしつかえない。 〔発明の効果〕 本発明の光記録媒体の製造方法によれば、透明基板と
の密着力が良く、かつクラックの発生しない複合誘電体
膜を有する光記録媒体を製造することができるという優
れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】 第1図はPC基板を用いた本発明による光磁気記録媒体の
断面図である。 第2図はPC基板を用いた場合のBERの加速試験状態での
経時変化図である。 第3図はPMMA基板を用いた本発明による光磁気記録媒体
の断面図である。 第4図はPMMA基板を用いた場合のBERの加速試験状態で
の経時変化図である。 第5図は、各種屈折率の複合誘電体膜を用いた媒体で
の、加速試験状態のカー回転角経時変化図である。 第6図は、各種屈折率の複合誘電体膜を用いた媒体で
の、加速試験状態の保磁力経時変化図である。 1…溝付PC基板 2…窒化アルミニウムと窒化シリコンの複合誘電体膜10
00Å 3…光磁気記録層NdDyGdFeCoTi膜400Å 4…窒化アルミニウムと窒化シリコンの複合誘電体膜10
00Å 5…2P(photo polymer)樹脂 6…溝無しPC基板 7…情報の記録層が設けられた光透過性基板 8…本発明によるAlが0.1、2:10、20:30、60、80、90、
95mol%ターゲットを使用した媒体 9…Alが95.1、96、98mol%ターゲットを使用した媒体 10…誘電体膜に窒化シリコンのみを用いた媒体 11…溝付PMMA基板 12…溝無しPMMA基板 13…本発明によるAlが0.1〜95mol%ターゲットを使用し
た媒体 14…Alが95mol%を超した媒体 15…窒化シリコンの媒体 25……Alが20mol%、Siが80mol%のターゲットを用いて
作成したAlSiN複合誘電体膜の屈折率nが、2.15、2.0
1、1.90、1.85、1.80、1.70の媒体 26…nが2.24の媒体 27…nが1.63、1.60の媒体 28…nが1.69、1.65の媒体 29…nは1.63、1.60の媒体 30…屈折率nが2.15、2.01、1.90、1.85、1.80、1.70、
及び2.24、2.31の媒体 31…nが1.69、1.65の媒体 32…nが1.63、1.60の媒体

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.AlとSiとに対するAlの比率yが下記の式の範囲であ
    る、AlとSiとの合金、または、AlとSiとを焼結したもの
    をターゲットとしてスパッタリングすることにより、透
    明基板上に複合誘電体膜を形成する工程と、 前記複合誘電体膜上に光記録膜を形成する工程と、 を有することを特徴とする光記録媒体の製造方法。 0<y≦95mol%
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