JP2826557B2 - 複合材料 - Google Patents

複合材料

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JP2826557B2
JP2826557B2 JP5034401A JP3440193A JP2826557B2 JP 2826557 B2 JP2826557 B2 JP 2826557B2 JP 5034401 A JP5034401 A JP 5034401A JP 3440193 A JP3440193 A JP 3440193A JP 2826557 B2 JP2826557 B2 JP 2826557B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、IC等の電子部品のプ
リント配線基板等の電気絶縁材料、その他各種のエンジ
ニアリングプラスチック等として好適に利用することが
できる優れた耐熱性、電気絶縁性、誘電特性、熱伝導
性、機械的特性等を有する複合材料に関する。
【0002】
【技術背景】ポリエーテルイミドは、耐熱性、電気絶縁
性、機械的特性等において優れた性質を有することか
ら、エンジニアリングプラスチックとして多くの用途に
利用されている。さらに、その優れた耐熱性、電気絶縁
性により、IC等の電子部品プリント配線基板等の電気
絶縁材料として利用されている例も多い。
【0003】しかし、ポリエーテルイミドのような縮合
系の芳香族系耐熱性高分子においては、一般にその誘電
率が比較的高いため、高密度・多層集積用あるいは高速
度・高周波回路用の絶縁材料としては、その性能に限界
がある。一方、ポリフェニレンオキシド(以下、「ポリ
フェニレンエーテル」と記すこともある)は、このポリ
エーテルイミドと比較すると、耐熱性には劣るが、誘電
率が低く、電気的特性は優れている。
【0004】これら性質の異なる2種もしくはそれ以上
のポリマーをブレンドすることにより、それぞれのポリ
マーの特性を併せ持つポリマーブレンドの設計が盛んに
行われている。ただし、多くのポリマーは非相溶系であ
り、非相溶系のポリマーブレンドの場合、特に機械的特
性において問題がある。
【0005】従来、上記したような特性を有するポリエ
ーテルイミドに、上記したような特性を有するポリフェ
ニレンエーテルを混合したポリマーブレンドは知られて
いる(特開昭59−500723号公報、特開平2−3
446号公報、同3−502107号公報等参照)。し
かし、このポリマーブレンドは、相溶性の面で問題があ
り、機械的特性を満足するものではない。
【0006】本発明者らは、このような問題を解決する
ために、耐熱性や機械的特性等に優れたポリエーテルイ
ミドと、比較的低い誘電率を有する電気的特性に優れた
ポリフェニレンエーテルとを、スチレン系共重合体また
はジビニル系化合物とともにブレンドして、ポリエーテ
ルイミドとポリフェニレンエーテルとが本来有している
優れた耐熱性、機械的特性、電気絶縁性、誘電特性、成
形性等をそのまま保持し、しかも相溶性に優れたポリマ
ー組成物が得られることを見い出し、「ポリマー組成物
およびその製造方法」および「ポリマー組成物およびそ
の製法」として別途提案している(特願平3−3584
59号、同3−358460号参照)。
【0007】ところで、前述のIC等の電子部品のプリ
ント配線基板等の電気絶縁材料においては、上記のよう
な耐熱性、機械的特性、電気絶縁性、誘電特性、成形性
等の諸特性の他に、使用時に発生する熱を放散させるた
めに熱伝導率が大きい材料が好ましい。しかしながら、
一般にポリマーは熱伝導率が小さく、ポリマー同士のブ
レンドのみではこれを改善することは困難であり、上記
の本発明者らによる別途提案のものでも、熱伝導率につ
いては未だ不充分である。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のポリエーテルイミド、
ポリフェニレンエーテル、およびスチレン系共重合体も
しくはジビニル系化合物とのポリマーブレンドにおける
熱伝導特性の問題を解決するとともに、耐熱性や機械的
特性等に優れ、かつ電気絶縁性や誘電特性および熱伝導
性にも優れた複合材料を提供することを目的とする。
【0009】
【目的を達成するための手段】本発明者らは、ポリエー
テルイミド、ポリフェニレンオキシド、およびスチレン
−無水マレイン酸共重合体もしくはジビニル系化合物と
のポリマーブレンド組成物に、フィラー、特にウィスカ
ーや単繊維状の無機充填材を、シラン系のカップリング
剤とともに混合したところ、前記目的を達成し得る複合
材料が得られることを見い出し、本発明の複合材料を提
案するに至った。
【0010】すなわち、本発明の複合材料は、化3の一
般式Aで表されるポリエーテルイミド、化4の一般式B
で表されるポリフェニレンオキシド、シラン系カップリ
ング剤、フィラー、およびスチレン−無水マレイン酸
重合体もしくはジビニル系化合物を緊密に混合してなる
ものであることを特徴とする。
【0011】
【化3】一般式A: 式中、Rを表し、Rを表し、nは1以上の整数を表す。
【0012】
【化4】一般式B: 式中、X〜Xは水素またはメチル基を表し、nは1
以上の整数を表す。
【0013】また、本発明の複合材料は、上記のフィラ
ーとして、ウィスカーまたは単繊維状無機充填材を使用
することが好ましい。
【0014】本発明の複合材料に使用される一般式Aの
ポリエーテルイミドは、その性能、製造、コスト等の面
で好ましい具体例として、化5の構造式で示されるもの
が挙げられる。
【0015】
【化5】 式中nは1以上、好ましくは10〜1000の整数を表
す。
【0016】また、一般式Bのポリフェニレンオキシド
は、その性能、製造、コスト等の面で好ましい具体例と
して、化6の構造式で示されるものが挙げられる。
【0017】
【化6】 式中nは1以上、好ましくは10〜1000の整数を表
す。
【0018】さらに、本発明では、スチレン−無水マレ
イン酸共重合体もしくはジビニル系化合物が使用され
このジビニル系化合物としては、化7の一般式Cで
表されるものが挙げられる。
【0019】
【化7】 一般式C: HC=ZC−R3−CZ=CH 式中、Rから選択し、Zは水素又はメチル基を表す。
【0020】上記一般式Cで表されるジビニル系化合物
の中でも性能、製造、コストの面で好ましい具体例とし
ては、化8の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリ
ル、化9の2,6−ナフタレンジメタクリレート等が挙
げられる。
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】加えて、本発明で使用されるシラン系カッ
プリング剤は、その性能、製造、コスト等の面で好まし
い具体例として、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ
ス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(ア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げら
れる。なかでも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが
好ましい。
【0024】さらに、本発明で使用されるフィラーは、
その性能、製造、コスト等の面で好ましい具体例とし
て、ガラス、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸
化ベリリウム、酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケ
イ素、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、チタン酸
カリウム等の無機充填材が挙げられる。なかでも、炭化
ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸カリ
ウム、ガラス、酸化ベリリウム、窒化アルミニウムが好
ましい。
【0025】これらのフィラーは、パウダー、ウィスカ
ー、繊維等、任意の形状のものを使用することができる
が、特にウィスカーや単繊維状のものが、機械的特性、
熱特性などの特性を向上するためには好ましい物性を有
している。なお、ウィスカーや単繊維状のものをフィラ
ーとして用いる場合は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化
アルミニウム、チタン酸カリウムが特に適している。
【0026】ウィスカー形状として用いる場合は、短す
ぎたり、細すぎると、ウィスカー形状の有する特性が発
揮されず、逆に長すぎたり、太すぎると、ブレンド時に
ウィスカー形状が壊れてしまい、後述するように予めシ
ラン系カップリング剤で表面処理したものを使用する場
合には処理していない面が増え、物性の低下が起こるこ
ともあるため、長さ範囲は5〜50μm、直径範囲は
0.1〜1.8μmのものが適しており、さらに好まし
くは長さ範囲が20〜40μm、直径範囲が0.3〜
0.9μmのものである。また、単繊維状として用いる
場合も、短すぎたり、細すぎると、複合材料としたとき
の機械的強度が低下し、逆に長すぎたり、太すぎると、
ウィスカー形状における場合と同様の物性の低下が起こ
ることがあるため、長さ範囲は2000〜4000μ
m、直径範囲は4〜15μmのものが適しており、さら
に好ましくは長さ範囲が2000〜2500μm、直径
範囲が8〜11μmのものである。
【0027】本発明をさらに詳しく説明すると、化5の
構造式を含め化3の一般式Aで表されるポリエーテルイ
ミドを5〜95重量部と、化6の構造式を含め化4の一
般式Bで表されるポリフェニレンオキシドを10〜80
重量部と、スチレン−無水マレイン酸共重合体もしくは
前述のジビニル系化合物より選ばれた少なくとも1種を
1〜10重量部と、前述のシラン系カップリング剤より
選ばれた少なくとも1種を0.01〜5重量部と、前述
のフィラーより選ばれた少なくとも1種を10〜60重
量部とを、緊密に混合することによって得られる複合材
料である。
【0028】この複合材料において、ポリエーテルイミ
ドの量が少ないと、機械的強度、耐熱性等は低下する
が、誘電率が低くなり、電気的特性は向上する。逆に、
ポリエーテルイミドの量が多いと、機械的強度、耐熱性
等は向上するが、誘電率が高くなり、電気的特性は低下
する。また、ポリフェニレンオキシドの量が少ないと、
機械的強度、耐熱性等は向上するが、誘電率が高くな
り、電気的特性は低下する。逆に、ポリフェニレンオキ
シドの量が多いと、機械的強度、耐熱性等は低下する
が、誘電率が低くなり、電気的特性は向上する。さら
に、フィラーの量が少ないと、誘電率が低くなり、電気
的特性は向上するが、熱伝導率が低くなり、熱伝導性は
低下する。逆に、フィラーの量が多いと、誘電率が高く
なり、電気的特性は低下するが、熱伝導率が高くなり、
熱伝導性は向上する。
【0029】このように、ポリエーテルイミド、ポリフ
ェニレンオキシド、およびフィラーは、それぞれ相反す
る性質を有するため、これらの混合比率を、上記した範
囲内において、適宜調節することにより、任意の誘電
率、耐熱性、機械的強度、あるいは熱伝導率を有する本
発明の複合材料を得ることができる。
【0030】また、スチレン−無水マレイン酸共重合体
もしくはジビニル系化合物の配合量は、少なすぎると、
ポリエーテルイミドとポリフェニレンオキシドの相溶性
が低下して、機械的強度が低下してしまい、逆に多すぎ
ると、耐熱性が低下するばかりでなく、ポリエーテルイ
ミドとポリフェニレンオキシドの相溶性、機械的強度が
低下することがあるため、本発明の複合材料では、上記
した範囲とするものである。
【0031】そして、シラン系カップリング剤の配合量
は、少なすぎると、ポリマーとフィラーの界面の親和
性、接合性が低下し、機械的強度が低下してしまい、逆
に多すぎても、それ以上の効果は得られないばかりか、
ポリマーの相溶性を低下させる場合もあるので、本発明
の複合材料では、上記した範囲とするものである。
【0032】本発明の複合材料は、以上の成分以外の成
分、例えば、その他の充填剤、熱安定化剤、難燃剤、着
色剤、補強剤等を添加することができる。
【0033】本発明の複合材料は、当業者には周知の製
造方法、例えば、加熱溶融下で混練するなどの方法(加
熱溶融ブレンド法)や、溶剤に溶解させて混練する方法
(溶液ブレンド法)等で製造することができる。ただ
し、溶液ブレンド法は、低温でブレンドできるため、高
価な設備を必要としない反面、工程が煩雑で、しかも収
率が低い等の問題がある。一方、加熱溶融ブレンド法
は、高温が必要で、押出機等の高価な設備を必要とする
が、工程が単純で、しかもほぼ100%の収率が得られ
る等、生産性、経済性に優れる。したがって、本発明の
複合材料は、加熱溶融ブレンド法によることが好まし
い。
【0034】加熱溶融ブレンド法による場合、上記した
ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、スチレ
−無水マレイン酸共重合体あるいはジビニル系化合
物、シラン系カップリング剤、およびフィラーは、これ
らの成分を一度に加熱溶融混練してもよいが、任意の順
序で加熱溶融混練することもできる。また、シラン系カ
ップリング剤は、上記のように直接添加してもよいが、
シラン系カップリング剤で予めフィラーを表面処理して
使用することもできる。
【0035】このシラン系カップリング剤でフィラーを
表面処理する方法は、当業者には周知の方法を用いるこ
とができる。すなわち、水または約0.01〜0.1重
量%濃度の酢酸水100重量部に対し、約0.1〜5重
量部のシラン系カップリング剤を溶解させ、その溶液中
に約10重量部のフィラーを投入し、適当時間攪拌した
後、濾過、乾燥することによってシラン系カップリング
剤で表面処理されたフィラーを得ることができる。ある
いは、上記によって得られたシラン系カップリング剤の
溶液を、スプレー等を用いることにより、フィラーに均
一に散布した後、乾燥することによってもシラン系カッ
プリング剤で表面処理されたフィラーを得ることができ
る。
【0036】また、シラン系カップリング剤とフィラ
ー、あるいはシラン系カップリング剤で表面処理された
フィラーは、上記のとおり、ポリエーテルイミド、ポリ
フェニレンオキシド、およびスチレン−無水マレイン酸
共重合体もしくはジビニル系化合物のポリマー成分と同
時に、あるいはその前後に混練してもよいが、予めポリ
エーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、およびスチ
レン−無水マレイン酸共重合体もしくはジビニル系化合
物を混練することにより得られたポリマーブレンド組成
物と混練することもできる。
【0037】本発明の複合材料の製造に使用される混合
機としては、加熱機能と混合機能を備えた従来の混練ミ
キサーや、一軸あるいは二軸のスクリュー押出機等を挙
げることができる。
【0038】好ましい混練条件は、例えば、混練ミキサ
ーを使用する場合においては、ローター回転数約10〜
200rpm、好ましくは約30〜100rpm、温度
約200〜400℃、好ましくは約250〜350℃の
範囲、混練時間約1〜60分、好ましくは約2〜30分
である。ローター回転数が約10rpm未満であって
も、約200rpmを超えても、良好なブレンド物ない
しは複合材料は得られない。温度が約200℃未満では
ポリエーテルイミドが溶融せず、約400℃を超えると
成分の分解を引き起こすので好ましくない。混練時間が
約1分未満では十分な混合が行われず、約60分を超え
て混練を続けてもそれ以上の効果は得られない。
【0039】さらに、上記の各成分の酸化による劣化を
防ぐために、混練は、不活性ガス雰囲気下で行うことが
好ましい。不活性ガスの好ましい具体例としては、窒素
ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
【0040】以上のようにして混練した複合材料は、目
的に応じて、成形機により、ペレット、フィルム、その
他の適宜の形状に成形できる。
【0041】
【作用】本発明においては、本来、相溶性の悪いポリエ
ーテルイミドとポリフェニレンオキシドとが、スチレン
−無水マレイン酸共重合体もしくはジビニル系化合物の
介在により、良好な相溶性を示し、さらにシラン系カッ
プリング剤を使用することにより、フィラーとこれらポ
リマー成分との界面が良好な親和性、接合性を示し、こ
れらの結果、緊密な混合状態が得られ、機械的特性に優
れた複合材料となる。
【0042】しかも、このスチレン−無水マレイン酸
重合体もしくはジビニル系化合物、およびシラン系カッ
プリング剤は、ポリエーテルイミドおよびポリフェニレ
ンオキシドのそれぞれが本来有している耐熱性、成形加
工性、電気的特性、機械的特性等、およびフィラーが本
来有している熱伝導性、その他の優れた特性を阻害しな
い。
【0043】加えて、上記のフィラーとしてウィスカー
または単繊維状の無機充填材を使用する場合には、耐熱
性、成形加工性、相溶性、フィラーとポリマー成分との
親和性や接合性を損なうことなく、機械的特性、熱伝導
性などを向上させることができる。
【0044】以上により、本発明の複合材料は、ポリエ
ーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、およびフィラ
ーが本来有している優れた諸特性をそのまま保持し、し
かも緊密なポリマーブレンドとなっているために、近年
のエンジニアリングプラスチックあるいは複合材料に要
求される様々な優れた特性を備えたものとなる。
【0045】
【実施例】まず、比較のために、実施例1〜および比
較例1〜8で使用したポリエーテルイミドおよびポリフ
ェニレンオキシドの物性値を表1に示し、各種フィラー
のパウダー形状における熱伝導率および誘電率を表2に
示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】実施例1 0.1重量%濃度の酢酸水溶液100重量部にγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン1重量部を溶解させ、そ
の溶液100重量部に対し、120℃で2〜3時間真空
乾燥を行った窒化アルミニウム10重量部を加え、室温
で10〜60分攪拌後、濾過し、水およびメタノールで
十分洗浄を行った後、80℃で2〜3時間真空乾燥を行
うことにより、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
で表面処理された窒化アルミニウムを得た。
【0049】次に、化5の構造式で表されるポリエーテ
ルイミド〔米国ゼネラル・エレクトリック社製商品名
“Ultem 1000”〕8g、化6の構造式で表さ
れるポリフェニレンオキシド〔ポリ(2,6−ジメチル
−p−フェニレンオキサイド)〕8g、および2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジアリル1gを、ラボプラスト
ミルミキサー〔東洋精機(株)社製商品名“ラボプラス
トミル30C150型”〕を用い、窒素雰囲気下、30
0℃、50rpmで3分間加熱溶融ブレンドを行った。
さらに、上記のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン
で表面処理を施した窒化アルミニウム4gを加え、窒素
雰囲気下、300℃、50rpmで3分間加熱溶融混合
を行った。
【0050】実施例22,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル を2,6−ナ
フタレンジメタクリレートに変えた以外は、実施例1と
同様の方法により加熱溶融混合を行った。
【0051】比較例1 化5の構造式で表されるポリエーテルイミド〔米国ゼネ
ラル・エレクトリック製商品名“Ultem 100
0”〕10g、化6の構造式で表されるポリフェニレン
オキシド〔ポリ(2,6−ジメチル−p−フェニレンオ
キサイド)〕10gを、ラボプラストミルミキサー〔東
洋精機(株)製商品名“ラポプラストミル30C150
型”〕を用いて、窒素雰囲気下、300℃、50rpm
で3分間加熱溶融ブレンドを行った。
【0052】比較例2 ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシドととも
に、エポキシ変性スチレン−スチレン共重合体〔東亜合
成化学工業(株)製商品名“RESEDA GP−50
0”〕1gを使用した以外は、比較例1と同様の方法に
より加熱溶融混合を行った。
【0053】比較例3 ポリエーテルイミドを8g、ポリフェニレンオキシドを
8gとした以外は、比較例2と同様の方法により加熱溶
融混合を行った後、さらに窒化アルミニウム4gを加え
て、窒素雰囲気下、300℃、50rpmで3分間加熱
溶融混合を行った。
【0054】比較例4 ポリエーテルイミドを6g、ポリフェニレンオキシドを
6g、窒化アルミニウムを8gとした以外は、比較例3
と同様の方法により加熱溶融混合を行った。
【0055】以上の実施例1〜および比較例1〜4に
おいて得られた複合材料について、示差走査熱量計〔S
EIKO電子工業(株)製商品名“DSC−100”〕
によりガラス転移温度を測定した。
【0056】また、得られた複合材料を真空プレス〔柴
山科学器械製作所社製商品名“真空プレス VP−5
0”〕により250〜300℃で、直径約40mm、厚
さ約1mmの円盤状に成形し、得られた成形品について
1MHzの周波数において、誘電率、誘電正接の測定を
行った。同試料についてシュレーダー法による熱伝導率
の測定をも行った。
【0057】さらに、得られた複合材料を、小型射出成
形機を用いて、250〜350℃で、長さ20mm、大
径4mmφ、小径1mmφのダンベル状に成形し、米国
Custom Scientific Instrum
ents社製商品名“MINI MAX TENSIL
E TESTER CS−183”を用いて、引張弾性
率、引張強度、伸びを測定した。以上の結果を表3〜表
7に示した。
【0058】また、得られた複合材料のポリマー成分の
相溶性を、示差走査型電子顕微鏡により評価したとこ
ろ、実施例1〜で得られた複合材料は、ドメインの直
径が1μm以下で均一に分散(実施例)、あるいは1
〜3μmの範囲でかなり均一に分散(実施例)してお
り、相溶性は極めて良好であった。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】つぎに、ィスカー形状または単繊維状に
おける各種フィラーの熱伝導率および誘電率を表8に示
す。
【0062】
【表5】
【0063】実施例3(元の実施例15) 水100重量部にγ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン1重量部を溶解させ、その溶液100重量部に対し、
120℃で2〜3時間真空乾燥を行った炭化ケイ素ウィ
スカー(長さ30μm,直径0.3μm)10重量部を
加え、室温で10〜60分攪拌後、濾過し、水およびメ
タノールで十分に洗浄を行った後、80℃で2〜3時間
乾燥を行うことにより、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシランで表面処理された炭化ケイ素ウィスカーを得
た。
【0064】次に、化5の構造式で表されるポリエーテ
ルイミド〔米国ゼネラル・エレクトリック社製商品名
“Ultem 1000”〕8g、化6の構造式で表さ
れるポリフェニレンオキシド〔米国ゼネラル・エレクト
リック社製商品名“ソリル”〕8g、およびスチレン
無水マレイン酸共重合体〔東亜合成化学工業(株)製商
品名“RESEDA GP−500”〕1gを、ラボプ
ラストミルミキサー〔東洋精機(株)社製商品名“ラボ
プラストミル 30C150型”〕を用い、窒素雰囲気
下、300℃、50rpmで3分間加熱溶融ブレンドを
行った。さらに、上記のγ−アミノプロピルトリエトキ
シシランで表面処理を施した炭化ケイ素ウィスカー4g
を加えて、窒素雰囲気下、300℃、50rpmで3分
間加熱溶融混合を行った。
【0065】比較例5 ポリエーテルイミド〔米国ゼネラル・エレクトリック社
製商品名“Ultem1000”〕10g、ポリフェニ
レンオキシド〔米国ゼネラル・エレクトリック社製商品
名“ノリル”〕10gを、ラボプラストミルミキサー
〔東洋精機(株)社製商品名“ラボプラストミル 30
C150型”〕を用いて、窒素雰囲気下、300℃、5
0rpmで3分間加熱溶融混合を行った。
【0066】比較例6 ポリエーテルイミド10gとポリフェニレンオキシド1
0gにエポキシ変性スチレン−スチレン共重合体〔東亞
合成化学工業(株)製商品名“RESEDAGP−50
0”〕1gを加えた以外は、比較例5と同様の方法によ
り加熱溶融混合を行った。
【0067】比較例7 ポリエーテルイミド10gを8gに、ポリフェニレンオ
キシド10gを8gに変え、エポキシ変性スチレン−ス
チレン共重合体1gを加えた以外は、比較例5と同様の
方法により加熱溶融混合を行った。この後さらに、シラ
ン系カップリング剤で表面処理を施していない炭化ケイ
素ウィスカー4gを加えて、窒素雰囲気下、300℃、
50rpmで3分間加熱溶融混合を行った。
【0068】比較例8 ポリエーテルイミド10gを6gに、ポリフェニレンオ
キシド10gを6gに変え、エポキシ変性スチレン−ス
チレン共重合体1gを加えた以外は、比較例5と同様の
方法により加熱溶融混合を行った。この後さらに、シラ
ン系カップリング剤で表面処理を施していない炭化ケイ
素ウィスカー8gを加えて、窒素雰囲気下、300℃、
50rpmで3分間加熱溶融混合を行った。
【0069】以上の実施例および比較例5〜8におい
て得られた複合材料について、実施例1〜および比較
例1〜4で得られた複合材料についての場合と同様にし
てガラス転移温度を測定し、誘電率、誘電正接の制定を
行い、引張弾性率、引張強度、伸びを測定した。以上の
結果を表9〜13に示した。
【0070】また、実施例および比較例5〜8で得ら
れた複合材料のポリマー成分の相溶性をも、実施例1〜
および比較例1〜4で得られた複合材料についての場
合と同様にして評価したところ、実施例で得られた複
合材料は、いずれもドメインの直径が1〜3μm以下で
均一に分散しており、相溶性は極めて良好であった。
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【発明の効果】本発明の複合材料は、ポリエーテルイミ
ドとポリフェニレンオキシドの相溶性に優れ、なおかつ
ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシドのポリマ
ー成分とフィラーとの界面の親和性、接合性に優れ、そ
れに伴い機械的特性が向上しているものである。また、
耐熱性に関しては、ポリエーテルイミドの優れた耐熱性
をそのまま保持することができる。さらに、フィラーの
存在により、ポリエーテルイミドとポリフェニレンオキ
シドのポリマーブレンド物の熱伝導率よりも高い熱伝導
率を持ち、熱伝導性が大幅に向上する。このフィラーと
してウィスカーまたは単繊維状の無機充填材を使用すれ
ば、複合材料としたときに機械的特性、熱特性が大幅に
向上する。そして、本発明によれば、ポリエーテルイミ
ド、ポリフェニレンオキシド、スチレン−無水マレイン
共重合体もしくはジビニル系化合物、シラン系カップ
リング剤、およびフィラーを任意の割合で混合すること
ができ、目的に応じて所定の誘電特性、熱伝導性を有す
る耐熱性、相溶性、接合性に優れた複合材料を得ること
ができる。
フロントページの続き (72)発明者 渡▲邉▼ 郁恵 埼玉県春日部中央一丁目53番7号 ロイ ヤルハイツ602号 (72)発明者 室井 和幸 埼玉県越谷市大沢2856−1 センチュリ ーマンション嵯峨108号 (72)発明者 吉澤 隆 千葉県野田市岩名1−69−28 (56)参考文献 特開 平2−3446(JP,A) 特開 平5−32880(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式Aで表されるポリエーテルイミド
    5〜95重量部、一般式Bで表されるポリフェニレンオ
    キシド10〜80重量部、シラン系カップリング剤0.
    01〜5重量部、フィラー10〜60重量部、および
    チレン−無水マレイン酸共重合体もしくはジビニル系化
    合物1〜10重量部からなることを特徴とする複合材
    料。 【化1】一般式A: 式中、R1は を表し、R2は を表し、nは1以上の整数を表す。 【化2】一般式B: 式中、X〜Xは水素またはメチル基を表し、nは1
    以上の整数を表す。
  2. 【請求項2】 フィラーが、ウィスカーまたは単繊維状
    の無機充填材であることを特徴とする請求項1に記載の
    複合材料。
  3. 【請求項3】 フィラーが、シラン系カップリング剤で
    予め表面処理されていることを特徴とする請求項1,2
    に記載の複合材料。
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