JP2826283B2 - 足場板支持構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、足場板を用いて容易に
仮設床を形成でき、かつその上での作業の安全性を高め
うる足場板支持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】階段設置スペース等として床開口部を設
けた建築中の階上の床体の前記床開口部上で作業するた
めにいわゆる仮設床が設けられることが多々ある。

【０００３】このような仮設床は、従来、階下の床から
足場を組上げて形成している。又床開口部からの墜落事
故を防ぐため、手すり、安全ネットなどの安全対策を施
している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な従来のものにあっては、階下の床から足場を組上げる
ため、仮設床の形成に時間と手間が掛り、手すり、安全
ネット等の設置作業も必要となるため、煩雑な作業を余
儀なくされている。

【０００５】本発明は、複数の孔部が穿設された足場板
の一端又は両端を支持する支持部材は下の足場板からな
り、かつ架設された足場板の孔部に前記下の足場板の側
面に当接しうるピン材を挿入してなることを基本とし
て、簡単な作業で労力を要することなく短時間のうちに
仮設床を形成でき、しかもその上での作業の安全性を高
めうる足場板支持構造の提供を目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 本願発明 は、複数の孔部
が穿設された足場板を架設するとともに、この足場板の
一端又は両端を支持する支持部材は下の足場板からな
り、かつこの下の足場板の側面に近い位置にある前記架
設された足場板の孔部に、足場板の下面をこえて垂下し
前記下の足場板の側面に当接しうるピン材を挿入してな
る足場板支持構造である。

【０００７】

【作用】 請求項１の発明によれば、足場板の一端又は両
端を支持する支持部材として下の足場板を用い、しかも
下の足場板の側面に近い位置にある孔部に、この足場板
の下面をこえて垂下し前記下の足場板の側面に当接しう
るピン材を挿入する。従って、前記ピン材によって足場
板の位置ずれを防止し安全性を確実に確保しつつ、仮設
床を複数の足場板と下の足場板とにより簡単かつ短時間
で形成しうる。なお足場板の孔部は、その上で作業を行
う際の滑り止めにもなる。

【０００８】 又請求項２の発明によれば、前記足場板の
孔部と前記下の足場板の孔部とを位置合わせしてピン材
を挿入する。従って、足場板と下の足場板とをピン接合
するため、足場板の位置ずれを確実に防ぎ、安全性を高
めうるとともに、足場板に接合される下の足場板によっ
て、強度に優れた仮設床を、ピン材の挿入という簡単な
作業で容易に形成できる。又前記下の足場板は、足場板
の一端又は両端を支持するため、この足場板を効率よく
架設しうるとともに、足場板の複数の孔部は、その上で
作業をするときの滑り止めにもなる。

【０００９】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。図１〜３において本発明の足場板支持構造は、本実
施例では床開口部Ａを設けた建築中の床体Ｆに並べて配
することにより前記床開口部Ａを略閉じうる仮設床１を
形成するための複数の足場板２…を支持する構造であ
る。又本実施例では前記足場板２…の一端は、支持部材
をなす下の足場板３により支持され、建築用部材Ｂをな
すこの下の足場板３を、足場板支持金具４を用いて支持
する。

【００１０】 前記床体Ｆは、図１に示すように本実施例
では階上、階下の壁パネル２０Ａ、２０Ｂ間に配されか
つ家屋架構体Ｃをなす胴差状の支持部材である梁材２１
の立片２１Ａに接合される床パネル２２…を用いて形成
されるとともに、直角に配される壁パネル２０Ａ…、２
０Ｂ…がなすコーナ部に床パネル２２が配されない平面
矩形の前記床開口部Ａを設けている。

【００１１】 前記足場板支持金具４は、前記床開口部Ａ
の一辺に沿う前記梁材２１の立片２１Ａに取付けられる
とともに、足場板支持金具４は、図３に示すように前記
立片２１Ａに形成した穴部Ｄ１、Ｄ２に着脱自在に係合
する上の係止金物５と、下の係止金物６とが設けられ上
下にのびる角パイプ状の基軸部７、およびこの基軸部７
の上端から前記上、下の係止金物５、６とは異なる向き
に水平に外にのび前記下の足場板３を支持する角パイプ
状の腕部９を具える。

【００１２】 又前記上の係止金物５は、前記基軸部７内
を上下に昇降しうる昇降体２３から基軸部７とは離れる
内向きに突出する水平な横片１０と、その先端に設けた
上向きの立片１１とからなるＬ字状をなすとともに、前
記昇降体２３の下方に配されかつこの昇降体２３を上方
に付勢するバネ２４によって、上の係止金物５は昇降自
在に設けられている。

【００１３】 又前記下の係止金物６は、基軸部７に近い
根元部６Ａ下面に、係止用の溝状の切欠部１２が形成さ
れた水平な短尺の丸棒からなる。

【００１４】 さらに前記腕部９の外端には、角パイプ状
の垂直な端金物２５が固着されるとともに、その内部に
下部が昇降自在に挿入される昇降部材２６の上端に、内
方に水平に張出して前記下の足場板３を腕部９との間で
挟持する押え具１３を固着している。

【００１５】 又前記昇降部材２６下端から垂下するネジ
軸２７を、前記端金物２５下端の下方においてこの端金
物２５に可回転に取付けられるナット状部材２９に螺着
し、かつ端金物２５内部に昇降部材２６を上方に付勢す
るバネ３０を配しているため、前記ナット状部材２９に
突設された棒状の把手３１を手掛かりとしてこのナット
状部材２９を回動させることにより、前記押え具１３を
上下に位置替えしてこの押え具１３と腕部９との間の距
離を調整でき、前記下の足場板３の厚さの変化に対応し
うる。

【００１６】 なお前記腕部９と基軸部７の下部との間に
は、斜めの補強用の継ぎ金物３２が架け渡され、垂直方
向の強度を高めている。

【００１７】 このように足場板支持金具４は、上、下の
係止金物５、６を前記穴部Ｄ１、Ｄ２に係合することに
より、ボルト、ナットを用いずに容易に家屋架構体Ｃ
（梁材２１）に取付けうるとともに、上の係止金物５を
昇降自在としているため、図３に一点鎖線で示すように
この上の係止金物５を押下げた状態でかつ足場板支持金
具４を傾けることなく穴部Ｄ１に上の係止金物５を挿入
でき、足場板支持金具４の取付作業を簡単かつ便宜とす
る。

【００１８】 なお上の係止金物５を、より容易に押下げ
るために、図３に二点鎖線で示すように、前記昇降体２
３から基軸部７の外に突出するつまみ状の突具３３を設
けてもよい。

【００１９】 又前記下の係止金物６に形成した前記切欠
部１２は、前記立片２１Ａを嵌入しうるため、足場板支
持金具４を取付けた状態で確実に支持させることが出来
る。

【００２０】 このような足場板支持金具４は、図１に示
すように前記梁材２１の立片２１Ａに適宜の間隔を隔て
て複数個、取付けられるとともに、この足場板支持金具
４…の前記腕部９…上面間に、下の足場板３を架け渡
す。

【００２１】 前記下の足場板３は、図１、図２に示すよ
うに複数の孔部３ａ…を有する平面矩形の基板３４の両
側縁から断面Ｌ字の脚板３５、３５を立下げている。

【００２２】 下の足場板３は、前記足場板支持金具４…
の腕部９…上に載置されて押え具１３…によって挟持さ
れることにより、前記床開口部Ａの一つの内縁に沿って
水平に配される。なおこのとき下の足場板３の上面と前
記床パネル２２…の上面とは同一高さで整一する。

【００２３】 又前記足場板２は、複数の孔部２ａ…が穿
設された平面矩形の基板３６の両側縁から断面Ｌ字の脚
板３７、３７を立下げてなり、その一端側を前記下の足
場板３上に載置して下の足場板３により支持させ、かつ
他端側を前記床パネル２２の上面に載置するとともに、
側面を略当接させて並べて配することにより設けられ
る。

【００２４】 又並んだ２つの足場板２、２は、継ぎ金具
１４により連結される。継ぎ金具１４は、軸状の２つの
平行な挿入片１４Ａ、１４Ａの上端を軸状の連結片１４
Ｂにより連結したコ字状をなすとともに、連結片１４Ｂ
を並んで配される２つの足場板２、２に跨がらせて各挿
入片１４Ａを、各足場板２の孔部２ａに挿入することに
より、並んだ２つの足場板２、２は連結される。

【００２５】 さらに前記足場板２の、前記床開口部Ａ内
しかも前記梁材２１の側縁に近い位置にある孔部２ａ
に、この足場板２の下面（脚板３７の下面）をこえて垂
下し梁材２１の側縁に当接するＴ字状、コ字状、Ｌ字状
（図２ではＴ字状のものを示す）等のピン材１５を挿入
するとともに、足場板２の前記床開口部Ａ内しかも前記
下の足場板３の側面に近い位置にある孔部２ａに、この
足場板２の下面をこえて垂下し前記下の足場板３の側面
に当接するＴ字状、コ字状、Ｌ字状（図示実施例ではＴ
字状）等のピン材１６を挿入する。

【００２６】 なお前記ピン材１６が当接する下の足場板
３の側面は、いずれか一方の側面又は両側面の場合も含
むが、足場板２…の位置ずれを確実に防止するため、図
２に示すように、ピン材１６、１６を下の足場板３の両
側面に当接させることが望ましい。

【００２７】 又前記足場板２の孔部２ａと前記下の足場
板３の孔部３ａとを位置合わせして例えばＴ字状のピン
材１７を各孔部２ａ、３ａに挿入する。このピン材１７
の形状は、Ｔ字状の他にも、コ字状、Ｌ字状など種々の
ものを採用しうる。

【００２８】 このように足場板２、下の足場板３、およ
び継ぎ金具１４、ピン材１５、１６、１７を用いてコー
ナ部に設けられた前記床開口部Ａを簡単な作業で確実に
閉じることができ、安全性に優れた仮設床１を形成しう
る。

【００２９】 なお前記孔部２ａ、３ａは、図２に示すよ
うに足場板２、下の足場板３上面からその周縁部が隆起
し、滑り止め片３９…としての機能を具備しうるととも
に、前記連結片１４Ｂ及びピン材１５、１６、１７の上
端の係止片４０…も滑り止めとして機能しうる。

【００３０】 図４に前記下の足場板３を支持する足場板
支持金具４の他の例を示す。本例において足場板支持金
具４の前記上の係止金物５は、前記基軸部７の上端で固
定されかつこの上端を、前記腕部９よりも低位置とする
とともに、この腕部９の内端を基軸部７よりも外方で途
切れさせ、かつこの途切れ端１９と基軸部７上端とを斜
めの傾斜部４１でつなぐことにより、前記穴部Ｄ１で係
合する上の係止金物５を中心とする上向き回動を可能と
する空所Ｓを形成している。

【００３１】 従って足場板支持金具４は、図５に矢印で
示すように斜めにして上の係止金物５を穴部Ｄ１に差し
込む際に前記空所Ｓによって家屋架構体Ｃにこの足場板
支持金具４が当たることを防止できる。

【００３２】 なお前記腕部９の外端に設けた押え具１３
は、図４に示すようにレバー本体４２とピン４３…とに
よって高さ調節をできるようにしてもよい。

【００３３】 又本発明の足場床支持構造１は、図６に示
すように前記足場板支持金具４を用いないで下の足場板
３Ａ…を敷設しうる床開口部Ａを設けた床体Ｆにも採用
できる。

【００３４】

【発明の効果】 請求項１の発明によれば、足場板の一端
又は両端を支持する下の足場板の側面に近い位置にある
孔部に、この足場板の下面をこえて垂下し前記下の足場
板の側面に当接しうるピン材を挿入する。従って、前記
ピン材によって足場板の位置ずれを防止し安全性を確実
に確保しつつ、例えば仮設床を複数の足場板と下の足場
板とにより簡単かつ短時間で形成しうる。なお足場板の
孔部は、その上で作業を行う際の滑り止めにもなる。

【００３５】 又請求項２の発明によれば、前記足場板の
孔部と下の足場板の孔部とを位置合わせしてピン材を挿
入する。従って、足場板と下の足場板とをピン接合する
ため、足場板の位置ずれを確実に防ぎ、安全性を高めう
るとともに、足場板に接合される下の足場板によって、
強度に優れた仮設床を、ピン材の挿入という簡単な作業
で容易に形成できる。又前記足場板の複数の孔部は、そ
の上で作業をするときの滑り止めにもなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す斜視図である。

【図２】その要部を拡大して示す部分斜視図である。

【図３】下の足場板を支持するための足場板支持金具を
例示する側面図である。

【図４】足場板支持金具の他の例を示す側面図である。

【図５】その取付け時の傾動状態を示す側面図である。

【図６】本発明の他の実施例を示す斜視図である。

【符号の説明】 ２ 足場板 ２ａ 孔部 ３ 下の足場板 ３ａ 孔部 １４ 継ぎ金具 １４Ａ 挿入片 １４Ｂ 連結片 １５、１６、１７ ピン材

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の孔部が穿設された足場板を架設する
   とともに、この足場板の一端又は両端を支持する支持部
   材は下の足場板からなり、かつこの下の足場板の側面に
   近い位置にある前記架設された足場板の孔部に、足場板
   の下面をこえて垂下し前記下の足場板の側面に当接しう
   るピン材を挿入してなる足場板支持構造。
2. 【請求項２】 前記下の足場板は複数の孔部を有し、かつ
   前記足場板の孔部と前記下の足場板の孔部とを位置合わ
   せしてピン材を挿入したことを特徴とする請求項１記載
   の足場板支持構造。