JP2825617B2 - ポリエステルの製造法 - Google Patents

ポリエステルの製造法

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【発明の詳細な説明】 <技術分野> 本発明は溶融重合法によるポリエステルの製造法に関
する。更に詳しくは、ナフタレンジカルボン酸を主たる
酸成分としてテトラメチレングリコールを主たるグリコ
ール成分とする優れた色調と耐熱性を有するポリエステ
ルの製造法に関する。
<従来技術> 従来、テトラメチレングリコールを主たるグリコール
成分とするポリエステル、例えばポリテトラメチレンテ
レフタレート、ポリテトラメチレン−2,6−ナフタレン
−ジカルボキシレート等は種々の優れた機械特性を有
し、かつ成形性に優れた各種成形品素材として有用であ
ることが知られている。
かかるポリエステルの製造法としては、ポリテトラメ
チレン−2,6−ナフタレン−ジカルボキシレートを例に
とれば、ジメチル−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
トとテトラメチレングリコールとをエステル交換反応せ
しめ、又は、2,6−ナフタレンジカルボン酸とテトラメ
チレングリコールとをエステル化反応せしめ、次いで生
成する2,6−ナフタレン−ジカルボン酸のテトラメチレ
ングリコールジメステル及び/又はその低重合体を重縮
合せしめる方法、いわゆるエステル交換法又は直接重合
法が知られている。
例えば、特公昭57−45773には直接重合法でポリ−テ
トラメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを
製造するに際し、グリコール成分/酸成分のモル比を1.
7〜5.0とし、エステル化反応を180℃〜230℃、重縮合反
応をポリマー融点〜275℃の範囲で行なう方法、また特
公昭52−32671や特公昭56−39340にはエステル交換法で
ポリ−テトラメチレン−2,6−ナフタレン−ジカルボキ
シレートを製造するに際し、触媒としてチタニウム化合
物とアンチモン化合物あるいはチタニウケ化合物とマグ
ネシウム化合物を併用する方法等が提案されている。
しかしながら、これらの方法は副性するテトラヒドロ
フランの生成量が大であったり、反応に長時間を有する
ために色調が悪い等の欠点を有する。
<発明の構成> 本発明は、かかる欠点のないポリエステルの製造法に
ついて鋭意研究の結果、使用するグリコール成分/ジカ
ルボン酸成分のモル比をある特定の狭い範囲とし特定量
の触媒存在下、特定の温度範囲で反応せしめると、生成
するテトラヒドロフランの生成量が極めて少なく、優れ
た特性を有するポリエステルが得られる事を見出し、本
発明に到達した。
すなわち、本発明はナフタレンジカルボン酸を主とす
るジカルボン酸と該ジカルボン酸に対して1.1モル倍以
上1.4モル倍以下のテトラメチレングリコールを主とす
るグリコール成分を該ジカルボン酸成分に対して10ミリ
モル%(mmol%)以上30mmol%以下のチタニウム化合物
の存在下、180℃以上200℃以下の温度範囲でかつエステ
ル交換率あるいはエステル化率が60%以上80%以下に到
達する様に反応させ、得られた生成物を該生成物の融点
以上270℃以下の温度で重縮合せしめる事を特徴とする
ポリエステルの製造法である。
本発明において用いられる「ジカルボン酸成分」とは
ナフタレンジカルボン酸、例えば2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等を主たる対
象とするが、その一部(全酸成分に対して30モル%以
下、好ましくは20モル%以下)を他のジカルボン酸、例
えばテレフタル酸、イソフタル酸、4,4′−ジフェニル
ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボ
ン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、ジ
フェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸等の芳香族ジ
カルボン酸;セバチン酸;アジピン酸等の脂肪族ジカル
ボン酸等で置換えてもよい。
また、該酸成分のエステル形成性誘導体としては、低
級アルキルエステル,フェニルエステル,酸無水物等を
挙げることができる。
更に、「グリコール成分とは、テトラメチレングリコ
ールを主たる対象とするが、その一部(全グリコール成
分に対して30モル%以下、好ましくは20モル%以下)を
他のグリコール例えばエチレングリコール,ネオペンチ
ルグリコール,トリメチレングリコール,ヘキサメチレ
ングリコール,デカメチレングリコール,シクロヘキサ
ンジメチロール等で置換えてもよい。
かかるグリコール成分の使用量は、前記ジカルボン酸
に対して1.1モル倍以上1.4モル倍以下であることが必要
である。
その使用量が1.1モル倍に満たない場合にはエステル
化あるいはエステル交換反応が十分に進行せず好ましく
ない。また、1.4モル倍を超える場合にも、理由は定か
ではないが反応速度が遅くなり、過剰のグリコール成分
からテトラヒドロフランの副生量が大となり好ましくな
い。
本発明において用いられるチタニウム化合物として
は、例えばチタニウムテトラブトキシド,チタニウムテ
トラメトキシドの如きチタニウムアルコラート、酢酸チ
タン蓚酸,チタンの如き弱酸塩、酸化チタンの如き酸化
物、あるいこれらのアルカリ金属またはアルカリ土類金
属との複塩もしくは錯塩等を挙げることができる。
前記チタニウム化合物の使用量は「ジカルボン酸成
分」に対して10mmol%以上30mmol%以下の範囲が好まし
い。
その使用量が10mmol%に満たない場合にはエステル
化、あるいはエステル交換反応が不十分であり、しかも
その後の重縮合反応においても十分な重合度のポリマー
が得られない。
また30mmol%を超える場合には反応速度上の問題はな
いものの、得られるポリマーが着色することから好まし
くない。また、チタニウム化合物以外の通常のポリエス
テルのエステル交換(あるいはエステル化)反応に用い
られる触媒、例えばアルカリ金属塩またはアルキル土類
金属塩を使用した場合には反応が十分に進行せず好まし
くない。
本発明は前記ナフタレンジカルボン酸を主とするジカ
ルボン酸とテトラメチレングリコールを主とするグリコ
ールとをチタニウム化合物の存在下エステル化あるいは
エステル交換反応せしめるがその反応温度はエステル化
あるいはエステル交換反応終了の際に180℃以上200℃以
下の範囲にある事が好ましい。該反応が上記温度範囲よ
り高くなると反応速度は増大するが、テトラヒドロフラ
ンの副生が多くなり好ましくない。逆に180℃未満とな
ると反応が進行しなくなる。
上記エステル化反応あるいはエステル交換反応の反応
率は60%以上80%以下であることが必要であり、65%以
上75%以下の範囲が好ましい。反応率が60%に満たない
場合にはその後の重縮合反応が十分に進行せず、十分な
重合度のポリマーが得られない。
反応率が80%を超える場合には同時にテトラヒドロフ
ランの生成量も増大し、その後の重縮合反応で得られる
ポリマーの物性も悪くなり、好ましくない。
エステル化あるいはエステル交換反応により得られた
反応生成物(ビスグリコールエステル及び/又はその低
重合体)は該反応生成物を融点以上270℃以下の温度で7
60〜0.001mmHgの圧力下又は不活性気流下で重縮合せし
める。
270℃を超える温度で重縮合反応した場合にはむしろ
反応速度が低下し、着色も大となる。その際重合触媒と
して通常用いられる触媒を用いる事も可能であるが、前
記のチタニウム化合物をエステル化あるいはエステル交
換反応及び重縮合反応の共通触媒として使用する事が好
ましく、他の触媒を併用するとポリマーの着色が大とな
り好ましくなく、反応速度も併用しない場合と大差なく
メリットがない。
本発明においては、種々の安定剤(例えば酸化防止
剤,紫外線吸収剤等)、顔料、螢光増白剤、ガラス繊維
の如き強化材、その他等の各種添加剤を用いることがで
きる。
<発明の効果> 本発明によれば、ナフタレンジカルボン酸及びテトラ
メチレングリコールを主成分とするポリエステルを副生
するテトラヒドロフランの量が極めて少なく、色調良好
でかつ耐熱性の優れたポリマーどして製造する事ができ
る。
<実施例> 以下実施例を挙げて本発明を詳述する。なお実施例中
の「部」とあるのは「重量部」を表わし、固有粘度
「η」はフェノール/テトラクロルエタン(重量比3/
2)混合溶媒中、35℃で測定した溶液粘度から求めたも
のである。
また、色調はミノルタ色彩色差計CR−100で測定して
L,a,b値を求めた。L値は明るさを表わし、L=100は白
色、L=0は黒色である。a値は赤味〜緑味を示し、O
を中心にして+側に大きい程赤味をを帯び、−側に大き
い程緑味を帯びていることを示す。またb値は黄味〜青
味を示し、Oを中心にして+側に大きい程黄味を帯び−
側に大きい程青味を帯びていることを示す。
末端カルボキシル基[COOH]はエー・コニックス(A.
Conix)の方法[マクロモレキュラー・ヘミ(Makromol.
Chem.)26,226(1958)]によって測定した値でありポ
リマー106g当りのカルボキシル基当量数であり、[COO
H]が大きい程、加水分解性,耐熱性が悪く、ポリマー
物性の目安となる。
実施例1 ジメチル−2,6−ナフタレンジカルボキシレート97.6
部、テトラメチレングリコール43.3部、テトラブチルチ
タネート0.027部をエステル交換槽に入れ、エステル交
換反応率が(メタノール留出量から)理論量の70%にな
る時点に反応槽が190℃となる様に昇温しながら反応さ
せ、ついで得られた反応生成物を重縮合反応槽へ移し高
真空へ減圧しながら、265℃へ昇温し、0.5mmHgの高真空
下の反応時間が60分となった時点で反応を終了させた。
得られたポリマーは[η]=0.90、[COOH]=18.5、
色調L=85.0、a=−2.1、b=−4.0で優れた色調を有
するものであった。
実施例2〜7及び比較例1〜10 実施例1においてジカルボン酸成分に対するグリコー
ル成分の仕込量比,触媒量,エステル交換率,目標のエ
ステル交換率に到達した時の反応温度,高真空反応時の
反応温度を各々変更した場合に得られるポリマーについ
て、その結果を表−1にまとめた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナフタレンジカルボン酸及び又はそのエス
    テル形成性誘導体を主とするジカルボン酸成分とテトラ
    メチレングリコールを主とするグリコール成分とを重縮
    合せしめてポリエステルを製造するにあたり、該ジカル
    ボン酸成分に対して、 (a) 該グリコール成分を1.1mol倍以上1.4mol倍以
    下、 (b) 触媒としてのチタニウム化合物を10mmol%以上
    30mmol%以下の範囲で使用し、 (c) 180℃以上200℃以下の温度範囲で (d) エステル化率あるいはエステル交換反応率が60
    %以上80%以下に到達する様に反応させ、得られた生成
    物を (e) 該生成物の融点以上270℃以下の温度範囲で重
    縮合せしめる事を特徴とするポリエステルの製造法。
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