JP2824956B2 - 含フッ素不飽和カルボニル化合物及びその製造方法 - Google Patents

含フッ素不飽和カルボニル化合物及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、両末端異種官能性のフ
ルオロポリエーテル重合体を得るための重合開始剤等と
しての用途に有用な新規な含フッ素不飽和カルボニル化
合物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より知られている末端に不飽和基と
含フッ素基とを有するカルボニル化合物としては、例え
ば下記式(4)及び(5)に示すものが報告されてい
る。
【0003】CH2 =CH−CO−CF3 (4) [ J. Fluorine Chem., 20, 301(1982) 参照 ] CH2 =CH−CH2 −CO−CF3 (5) [ J. Org., 23, 1396(1958)参照 ]
【0004】然しながら、このようなカルボニル化合物
の中でも、例えば下記式(6): CH2 =CH−CF2 −CO−Rf 〔式中、Rf は、フッ素原子またはエーテル結合を含ん
でいてもよいパーフロロアルキル基である、〕で表され
るもののように、カルボニル基の両側に直接結合してい
る炭素原子にフッ素原子またはパーフロロアルキル基が
結合しているタイプのケトン或いは酸フロライドは未だ
知られていない。
【0005】ところで、上記の(6)式で表されるよう
な化合物を製造するためには、ジフロロアリル化試薬が
有効であると考えられており、それに類似した例として
は、下記反応式(7)〜(9)で表されるような手法が
報告されている。(尚、以下の式において、Meはメチ
ル基であり、Phはフェニル基である。)
【0006】 Li〔CH2 CHCF2 〕 + ClCH2 COOMe → CH2 =CHCF2 −CO−CH2 Cl (7) [ J. Am. Chem. Soc., 105, 4634(1983) 参照 ]
【0007】 CH2 =CHCF2 SiMe2 Ph + PhCHO → CH2 =CHCF2 CH(Ph)−OH (8) [ J. Am. Chem. Soc., 107, 4085(1985) 参照 ]
【0008】
【化4】 [ J. Org. Chem., 56, 1037(1991)参照 ]
【0009】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上記
(7)式の反応においては、反応成分として用いられる
リチウム化合物が−95℃以下の低温でのみ安定である
ため、その取扱いが著しく困難であり、また生成物につ
いても、カルボニル基の一方側の炭素原子にのみフッ素
原子が結合しているが、両側にフッ素原子等が結合して
いるものを得ることはできない。また(8)及び(9)
式の反応では、ケトンや酸フロライドが生成しない。
【0010】従って本発明の課題は、カルボニル基の両
側の炭素原子にフッ素原子またはパーフロロアルキル基
が結合している分子構造を有する新規な含フッ素不飽和
カルボニル化合物及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記一
般式(1): CH2 =CHCF2 −CO−R (1) 式中、Rはフッ素原子または下記式(1a):
【化5】 (ここで、nは0〜10の整数である)で表される基で
ある、で表される含フッ素不飽和カルボニル化合物が提
供される。
【0012】上記一般式(1)において、Rが(1a)
式の含フッ素基である化合物(ケトン)は、下記一般式
(2): CH2 =CHCF2 ZnX (2) 式中、Xは、Br,Iまたは−CF2 CH=CH2 を示
す、で表されるジフロロアリル亜鉛試薬と、下記一般式
(3):
【化6】 式中、nは0〜10の整数を示す、で表される酸フロラ
イドとを反応させることにより製造される。
【0013】また一般式(1)において、Rがフッ素原
子である化合物(酸フロライド)は、2,2−ジフロロ
ブテン酸を塩素化して該ブテン酸のクロライドを合成
し、次いで、これをフッ素化することにより製造され
る。
【0014】
【作用】前記一般式(1)で表される本発明の含フッ素
不飽和カルボニル化合物は、カルボニル基の両側の炭素
原子にフッ素原子または含フッ素基が結合していること
に関連して、分子中のカルボニル基の反応性が非常に高
く、他の含フッ素不飽和化合物を容易に誘導することが
できるという従来公知の含フッ素不飽和カルボニル化合
物には見られない利点を有している。例えば、本発明の
含フッ素不飽和カルボニル化合物を重合開始剤として用
いてヘキサフロロプロピレンオキサイド(HFPO)の
重合を行うと、下記一般式(10):
【0015】
【化7】
【0016】式中、mは0〜100、nは0〜10の整
数である、で表される両末端異種官能性のフルオロポリ
エーテルを得ることができる。このポリエーテルは、官
能性含フッ素ビニルモノマーとして、或いは機能性含フ
ッ素有機ケイ素化合物の前駆体として極めて有用であ
る。
【0017】
【発明の好適態様】含フッ素不飽和ケトン 前記一般式(1)で表される本発明の含フッ素不飽和カ
ルボニル化合物中、Rが(1a)式の含フッ素基である
化合物(以下、含フッ素不飽和ケトンと呼ぶ)は、式
(2)のジフロロアリル亜鉛試薬と式(3)の酸フロラ
イドとを反応させることによって合成することができ、
その反応式は例えば下記式によって表される。
【0018】
【化8】
【0019】ここで上記式(2)のジフロロアリル亜鉛
試薬は、亜鉛粉末を非プロトン性極性溶媒中に懸濁さ
せ、下記のハロゲン化合物: CH2 =CHCF2 Y (Yは、BrまたはIであり、特にBrであることが好
ましい)を、−50℃〜50℃、特に−20℃〜10℃
の温度で15分から10時間かけて滴下することにより
調製することができる。
【0020】このジフロロアリル亜鉛試薬の調製に用い
る非プロトン性極性溶媒としては、ジエチルエーテル、
THF、ジオキサン、グライム、ジグライム、トリグラ
イム、テトラグライム等のエーテル類、アセトニトリ
ル、アジポニトリル等のニトリル類、DMF、DMA
c、HMPA等のアミド類、DMSO等のスルホキシド
類などが例示されるが、これらの中でもジグライム、ト
リグライム、テトラグライム、DMF、DMAcが好適
である。またこの溶媒中に懸濁させる亜鉛粉末は、希塩
酸で処理する等の方法で予め活性化させておくことが好
ましい。
【0021】また亜鉛/ハロゲン化合物のモル比は、0.
5〜2、特に0.7〜1.2の範囲に設定することが好まし
く、非プロトン性極性溶媒の使用量は、ハロゲン化合物
1モルに対して0.1〜10リットル、特に0.2〜2リッ
トルの割合とすることが望ましい。
【0022】亜鉛とハロゲン化合物との反応後、過剰な
亜鉛はろ過により取り除くか、或いは上澄み液の分取に
より分離することができ、これによりジフロロ亜鉛試薬
の溶液を得ることができる。得られるジフロロアリル亜
鉛試薬は、19F−NMRによりその生成を確認すること
ができ、同時に原料の前記ハロゲン化合物の消費も観察
することができる。また、ジフロロアリル亜鉛試薬の濃
度は、一定量の標準フッ素化合物を混合し、19F−NM
Rの積分比を測定することにより算出することができ
る。
【0023】一方、上述したジフロロ亜鉛試薬と反応さ
せる式(3)の酸フロライドは、それ自体公知の方法に
より、例えばHFPOの重合等により容易に得ることが
できる。
【0024】本発明の含フッ素不飽和ケトンを製造する
に当り、式(2)のジフロロ亜鉛試薬と式(3)の酸フ
ロライドとの反応は、−20〜30℃、特に−5〜30
℃の温度で、15分〜10時間、両者を混合・攪拌する
ことにより容易に行うことができる。
【0025】通常、上述した亜鉛試薬の溶媒と酸フロラ
イドとの相溶性は低いため、その反応は不均一な2層系
で行われる。この場合、反応の進行は、下層となる含フ
ッ素化合物をガスクロマトグラフィー分析すること、ま
たは上層となる亜鉛試薬を含む溶媒を19F−NMR分析
することによって確認することができる。反応終了後、
下層を分取し、蒸留等の手段により目的物である含フッ
素不飽和ケトンを単離することができる。
【0026】酸フロライド また前記一般式(1)中のRがフッ素原子である酸フロ
ライド、即ち、2,2−ジフロロ−3−ブテン酸フロラ
イドは、2,2−ジフロロ−3−ブテン酸を出発原料と
し、次の合成経路で製造することができる。
【0027】
【0028】上記の合成経路において、ブテン酸(2,
2−ジフロロ−3−ブテン酸)からブテン酸クロライド
の合成は、該ブテン酸に塩素化剤を作用させることによ
り行なわれる。用いる塩素化剤としては特に制限され
ず、チオニルクロライド、5塩化リン等を使用すること
ができるが、副生物の後処理が容易であることからチオ
ニルクロライドが好適に使用される。また塩素化剤は、
通常、塩素化すべきブテン酸に対して1.1〜1.5倍モル
の量で使用される。
【0029】ブテン酸と塩素化剤との反応は、両者を単
に混合して行なうこともできるが、安全且つ円滑に反応
を進行させるためには、ブテン酸中に塩素化剤を滴下し
て行なうことが好ましい。また反応温度は30〜80
℃、特に40〜60℃が好適である。さらに反応触媒と
して、必要によりジメチルホルムアミド(DMF)を使
用することができる。
【0030】上記で得られたブテン酸クロライド(2,
2−ジフロロ−3−ブテン酸クロライド)のフッ素化
は、これにアルカリ金属フッ化物を反応させることによ
り行なわれる。このアルカリ金属フッ化物としては、フ
ッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を
用いることができ、一般にブテン酸クロライドに対して
1.1〜2.5モル倍の量で使用される。
【0031】反応は金属フッ化物を溶媒に懸濁させてお
き、そこにフッ素化すべきブテン酸クロライドを滴下す
ればよい。溶媒としては、アセトニトリル、アジポニト
リルなどのニトリル類、ジエチルエーテル、THF 、ジオ
キサンなどのエーテル類、その他グライム類が使用可能
であるが、特にニトリル類が好ましい。反応温度は、20
〜70℃、好ましくは30〜50℃であり、通常、1〜5時間
反応させることにより目的とするブテン酸クロライドが
合成され、反応終了後、蒸留単離することにより、目的
物を得ることができる。
【0032】尚、上記合成経路において、出発原料とし
て使用される2,2−ジフルオロ−3−ブテン酸は、例
えば下記式(11): BrCH2 CH2 CF2 COOEt (11) 〔式中、Etはエチル基である(以下、同様)〕で表さ
れるBr置換の含フッ素エチルエステルを、アルカリ存
在下で脱HBr反応に供して、下記式(12): CH2 =CHCF2 COOEt (12) で表されるエステルを合成し、さらに該エステルを水酸
化アルカリ水溶液中で加水分解することによって得られ
る。
【0033】この様にして得られる本発明の含フッ素不
飽和カルボニル化合物は、HFPOの重合開始剤として
の用途以外にも、単独重合や、各種オレフィン化合物、
ビニル化合物との共重合による高分子ポリマーの製造、
SiH結合を有するケイ素化合物とのヒドロシリル化反
応によるケイ素化合物の変性に用いることができる。ま
た、本発明の含フッ素不飽和カルボニル化合物は、分子
中のカルボニル基の反応性が高いため、アルコール類や
アミド類と容易に反応してエステル、酸アミド等の誘導
体を形成することもできる。特に、本発明の化合物から
誘導される各種のポリマー乃至化合物は、撥水性、撥油
性、潤滑性及びフッ素材料に対する親和性が良好である
ことが期待される。
【0034】
【実施例】参考例1 マグネチックスターラ、滴下ロート、温度計及びコンデ
ンサーを備えた100mlの三口フラスコに、予め希塩酸
で活性化し、十分乾燥したZn粉末9.8g(150mmol) を
仕込んだ。これに予めCaH2 を用いて脱水蒸留したD
MF39.0gを加え、攪拌を開始した。次いで、氷塩水
でフラスコを冷却し、激しく攪拌を続けながら、 CH2 =CHCF2 Br 15.6g(99mmol) を50分かけて滴下した。この間、発熱により最高4℃
まで内温の上昇が見られた。更に0℃で1時間攪拌した
後、グラスフィルターを用いて吸引ろ過を行い、過剰な
Zn粉末を除くことにより、56.8gのDMF溶液を得
た。尚、上記操作は、常に乾燥窒素気流中下で実施して
水分の混入を防止した。得られたDMF溶液のうち1.45
0 gをNMRチューブにとり、 PhCF3 0.039 g( 0.267mmol) を加えてよく混合し、19F−NMR分析を行った。
【0035】NMRスペクトルには、PhCF3 の吸収
を示す12.5ppm (CF3 COOH基準、以下同じ)の
他に、−21.7ppm に吸収が認められるのみで、CH2
=CHCF2 Brを示す27.1ppm の位置には吸収が無
かった。このことは、CH2=CHCF2 Brが完全に
消費され、前記式(2)で表されるジフロロアリル亜鉛
試薬が生成していることを示している。
【0036】また上記のNMRスペクトルにおいて、1
2.5ppm の吸収と−21.7ppm の吸収との積分比は、1
対4.65であった。この積分比より、DMF溶液1g中
に、式(2)の亜鉛試薬の状態で含まれているCH2
CHCF2 −残基の量が1.28mmolであることが計算され
た。得られたDMF溶液の量及び使用したCH2 =CH
CF2 Brの量とを考慮したところ、収率は73%であ
った。
【0037】このようにして得られたジフロロアリル亜
鉛試薬のDMF溶液を所定温度の冷蔵庫で保存し、一定
時間後の濃度を19F−NMRで測定した。その結果、−
20℃にて保存した4日後の濃度は、当初の値の45%
であったが、−65℃で13日後の濃度は、初期値の8
7%を保っていた。
【0038】実施例1 マグネチックスターラ、温度計及びコンデンサーを備え
た500mlの三口フラスコを0℃に冷却し、参考例1で
調製したジフロロアリル亜鉛試薬のDMF溶液(濃度:
0.87mmol/g)を、160.0g(139mmol)仕込ん
だ。
【0039】次に、下記式(3a): CF3 CF2 CF2 −O−CF(CF3 )−COF (3a) で表されるHFPO2量体酸フロライド50.8g(15
3mmol) を加え、激しく攪拌を開始した。この時、20
分間かけて温度を25℃に上げ、そのまま2時間攪拌を
続けた。その後、反応系は2層に分離し、上層をサンプ
リングして19F−NMR分析を行ったところ、−21.7
ppm の亜鉛試薬の吸収は消失していた。また下層のGC
分析を行ったところ、式(3a)で示される原料の酸フ
ロライドの他に、主生成物のピークが認められた。下層
を分取して蒸留することにより、沸点72℃/154mm
Hgの生成物22.2gを単離した(収率41%)。
【0040】得られた生成物の19F−NMR、 1H−N
MR、IR及びGC−MS分析を行ったところ、下記式
(i): CH2 =CHCF2 −CO−CF(CF3 )OCF2 CF2 CF3 (i) で表される構造を有していることが確認された。尚、各
分析結果は以下の通りである。
【0041】19F−NMR: CF3 COOH基準 −59.5ppm ( m, 1F, −CO−C< ) −53.0ppm ( s, 2F, −O−CF2 −C 2 −CF3 ) −28.9ppm ( m, 2F, −C 2 −CO−) −5.2 〜−3.3ppm ( m, 8F, −CO−CF(C 3 )−O- C
2 -CF2 -C 3 1 H−NMR: TMS基準 5.6〜6.1ppm (m,3H) IR: (チャートを図1に示す) 1780cm-1(C=O) 1660cm-1(C=C) GC−MS:371(M−F)+
【0042】実施例2 参考例1で調製されたジフロロアリル亜鉛試薬のDMF
溶液50.8g(65mmol)と、下記式(3b):
【0043】
【化9】
【0044】で表される酸フロライド54.0g(65mmol)
とを反応させた以外は、実施例1と同様に実験を行った
ところ、下記式(ii)で表されるものが17.7g得られ
た(収率31%)。
【0045】
【化10】
【0046】実施例3 ジムロート冷却管、滴下ロート、温度計、攪拌機を備え
た500ml 四つ口フラスコに、乾燥したフッ化カリウム
78.8g、脱水したアセトニトリル 147.6g、を仕込ん
だ。次いで25℃にて攪拌しながら2,2−ジフロロ−3
−ブテン酸クロリド 104.3g、を滴下ロートを用いて約
1時間かけて滴下した。滴下終了時発熱により内温は50
℃に上昇した。その後1時間攪拌を続け反応を完結させ
た。得られた反応混合物を蒸留し、沸点32〜37℃の留分
79.6g(収率:86%)を得た。
【0047】この留分の分析結果を以下に示す。 赤外吸収スペクトル: CaF2 ガスセル 図2にチャートを示す。 特性吸収; 1885cm-1(C=O)、1420cm-1、1265c
m-1、1220cm-1、1120cm-1、1030cm-1
【0048】GC−MS:分子量 1241 H−NMR:(TMS 標準) 5.9 ppm (m 、3H、CH2 =CH−)19 F−NMR:(CF3 COOH標準) −28.7ppm (s,CF2 , 2F) 94.5ppm (s,COF , 1F)
【0049】 元素分析:(%) C H F 計算値 (%): 38.5 2.6 46.3 実測値 (%): 38.7 2.4 46.0 以上の結果から、得られた化合物は、2,2−ジフロロ
−3−ブテン酸フロライドであることが確認された。
【0050】
【発明の効果】本発明の含フッ素不飽和カルボニル化合
物は、反応性が非常に高く且つ容易に製造することがで
きる。この化合物をHFPO重合開始剤として使用した
場合、両端に不飽和基及び酸フロライド基を有する両末
端異種官能性のフロロポリエーテル重合体を得ることが
できる。また、単独重合、各種共重合による高分子ポリ
マーの合成、SiH 化合物とのヒドロシリル化によるケイ
素化合物の変性に使用することができる。さらにカルボ
ニル基の反応性が高いことから、各種アルコール類、ア
ミン類との反応により、エステル、アミド等の誘導体を
容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成された含フッ素不飽和ケトンの
IRチャートである。
【図2】実施例3で合成された2,2−ジフロロ−3−
ブテン酸フロライドIRチャートを示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 4/00 C08F 4/00 // C08F 16/00 16/00 16/36 16/36 299/02 299/02 C09D 5/00 C09D 5/00 C09K 3/18 102 C09K 3/18 102 (72)発明者 猪俣 博 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 49/255 - 49/227 C07C 45/68 C07C 51/60 C07C 57/76 C08F 4/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): CH2 =CHCF2 −CO−R (1) 式中、Rはフッ素原子または下記式(1a): 【化1】 (ここで、nは0〜10の整数である)で表される基で
    ある、で表される含フッ素不飽和カルボニル化合物。
  2. 【請求項2】 下記一般式(2): CH2 =CHCF2 ZnX (2) 式中、Xは、Br,Iまたは−CF2 CH=CH2 を示
    す、で表されるジフロロアリル亜鉛試薬と、下記一般式
    (3): 【化2】 式中、nは0〜10の整数を示す、で表される酸フロラ
    イドとを反応させることを特徴とする下記式; 【化3】 式中、nは0〜10の整数を示す、で表される含フッ素
    不飽和ケトンの製造方法。
  3. 【請求項3】 2,2−ジフロロブテン酸を塩素化して
    該ブテン酸のクロライドを合成し、次いで、これをフッ
    素化することを特徴とする2,2−ジフロロ−3−ブテ
    ン酸フロライドの製造方法。
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