JP2824749B2 - 表面改質された酸化チタン膜およびその製造方法ならびにそれを用いた光電変換素子 - Google Patents

表面改質された酸化チタン膜およびその製造方法ならびにそれを用いた光電変換素子

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JP2824749B2
JP2824749B2 JP7201775A JP20177595A JP2824749B2 JP 2824749 B2 JP2824749 B2 JP 2824749B2 JP 7201775 A JP7201775 A JP 7201775A JP 20177595 A JP20177595 A JP 20177595A JP 2824749 B2 JP2824749 B2 JP 2824749B2
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面改質された酸化チタ
ン膜およびその製造方法ならびにそれを用いた光電変換
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン膜は、酸化チタン粒子を支持
体に固着させたものであって、紫外線吸収材、光学材
料、電気・電子材料、光電変換材料、装飾用材料、触
媒、光触媒、触媒担体、吸着材、バイオリアクターなど
に有用なものである。
【0003】酸化チタン膜を製造するには、たとえば、
チタニウムイソプロポキサイドなどの有機チタン化合物
を含む溶液に支持体を浸漬し、引き上げた後、支持体を
高温に加熱して成膜する方法、高温の支持体表面に四塩
化チタンの蒸気を吹きつけて成膜する方法、高温の支持
体表面にチタニウムアセチルアセトナート、チタンアル
コキシドなどの有機チタン化合物を含む溶液を吹きつけ
て成膜する方法、酸化チタン粒子を支持体表面に付着さ
せる方法などが採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】酸化チタン膜の表面に
は、格子欠陥、不純物や水酸基が多く存在するため、そ
れらが障害となって充分満足できる特性が得られ難い。
たとえば、光電変換材料として用いる場合には、格子欠
陥、不純物や水酸基により表面準位が形成され暗電流が
増加し開放電圧が低下したり、増感色素を吸着させる際
には増感色素の吸着量が低下すると共に電子注入も阻害
され増感効率が低下したりする。また、触媒、光触媒、
吸着材などに用いる場合には、格子欠陥、不純物や水酸
基によりそれらの活性や吸着能が低下したりする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために種々検討した結果、(1)酸化チタン
膜をエッチング剤に接触させて、酸化チタン膜の表面を
エッチングすると、格子欠陥や不純物を減少させること
ができ、酸化チタン粒子をエッチング処理した後成膜す
る方法に比べ、酸化チタン膜の表面を効率よく、かつ、
容易に改質することができること、さらに鉱酸イオンが
水酸基と置換して水酸基の量を制御できること、(2)
前記のエッチング処理を行った後増感色素を吸着させる
と、増感色素の吸着量が増加すると共に増感効率が向上
することなどを見出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、表面改質された酸化
チタン膜を提供することにある。また、本発明は、表面
改質された酸化チタン膜の製造方法を提供することにあ
る。さらに、本発明は、表面改質された酸化チタン膜を
電極として用いた光電変換素子を提供することにある。
【0007】本発明において、酸化チタンとは、アナタ
ース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト
型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オル
トチタン酸などの各種の酸化チタン、あるいは、水酸化
チタン、酸化チタン水和物を意味する。さらに、亜鉛や
ニオブなどの異種元素をドープしたり、表面に処理した
酸化チタンを含む。異種元素をドープしたり、表面処理
した酸化チタンを用いた酸化チタン膜をエッチング処理
すると、異種元素が溶出する際に酸化チタン膜の表面改
質が効率よく行われる。酸化チタンの粒子径は、支持体
との接着性を考慮すると、5〜100nmが好ましく、
10〜50nmがより好ましく、10〜30nmがもっ
とも好ましい。本発明において、酸化チタン膜とは、前
記の酸化チタンの粒子を支持体に付着したものである。
酸化チタン膜の結晶型は、アナタース型、ルチル型、あ
るいはそれらの混合物のいずれでもよく、用いる酸化チ
タン粒子の結晶型を適宜選択したり、支持体に付着する
際の焼成の条件などを適宜設定することにより任意に変
えることができる。また、酸化チタン膜の膜厚、透明
度、表面積で表される多孔度は、用いる酸化チタン懸濁
液の濃度や酸化チタン粒子の粒子径などの条件を適宜設
定することにより任意に変えることができる。酸化チタ
ン膜の膜厚は、0.5〜50μm程度が好ましい。酸化
チタン膜の多孔度は、光電変換材料、触媒、光触媒、触
媒担体、吸着材などに用いる場合は特に、大きいものが
好ましく、支持体1cm2 あたりの酸化チタン膜の表面
積の値で表して、10〜10000cm2 程度が好まし
く、50〜10000cm2 がより好ましい。
【0008】本発明において、酸化チタンを付着する支
持体は、使用目的、用途などに応じて材質、形状、大き
さなどを適宜選択することができる。材質としては、た
とえば、ガラス、金属、セラミックス、プラスチック
ス、木などが挙げられ、形状、大きさとしては、たとえ
ば、一枚の厚板、小さな断片、ビーズのような球状体な
どが挙げられる。
【0009】本発明において、酸化チタン膜は通常の方
法によって得られたものを用いることができる。通常の
方法としては、たとえば、分解性有機チタン化合物を
支持体に吹き付け、あるいは、塗布して、分解する方
法、チタンアルコキシドやチタンアセトナートの溶液
に支持体を浸漬し、次いで、乾燥する方法、ハロゲン
化チタンや有機チタン化合物を蒸発させて、支持体に酸
化チタン粒子を沈着する方法、酸化チタンゾルを支持
体上でゲル化する方法、チタン化合物を、必要に応じ
核種子の存在下、加水分解または中和して得られる酸化
チタン粒子を支持体に吹き付け、あるいは塗布し、乾燥
し、必要に応じて焼成する方法、酸化チタン粒子をバ
インダーとともに支持体に吹き付け、あるいは塗布し、
乾燥する方法を用いることができる。本発明において
は、前記で得られた酸化チタン粒子を200〜600
℃の温度で焼成するか、あるいは、100℃以上の温度
で水熱処理して酸化チタンの粒子を成長させた後、支持
体に吹き付け、あるいは、塗布し、次いで、乾燥し、焼
成する方法が、酸化チタン膜を支持体に強固に付着させ
ることができることから好ましい方法である。
【0010】本発明は、酸化チタン膜をエッチング剤に
接触させて、酸化チタン膜の表面をエッチングしてな
る、表面改質された酸化チタン膜である。前記のエッチ
ング剤としては、硫酸、塩酸、次亜塩素酸、硝酸、フッ
酸などの鉱酸、または、フッ化アンモニウム、酸性フッ
化アンモニウムなどのアンモニウム塩、アミン塩などの
鉱酸の塩、あるいは、フッ化水素、フッ素、塩化水素な
どを用いることができる。本発明においては、鉱酸また
は鉱酸の塩が好ましく、特に、フッ酸、あるいは、フッ
化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウムなどのフッ酸
の塩を用いると、エッチングにより格子欠陥や不純物を
減少させることができるとともに、酸化チタン膜の表面
に存在する水酸基がフッ素またはフッ素イオンで置換さ
れ、酸化チタン膜の表面にフッ素を結合させることがで
き、結合したフッ素は水分や汚れ成分などの付着を防止
できるため好ましい。
【0011】酸化チタン膜を前記のエッチング剤に接触
させるには、酸化チタン膜を液状のエッチング剤に浸漬
させたり、あるいは、酸化チタン膜にガス状のエッチン
グ剤を流したりして行うことができる。エッチング処理
の温度は適宜設定できるが、0〜110℃の温度、好ま
しくは室温〜80℃の温度、より好ましくは室温〜60
℃の温度である。また、エッチング処理の時間は適宜設
定できるが、0.05〜48時間、好ましくは0.1〜
12時間、より好ましくは0.1〜5時間である。エッ
チング剤にはアンモニア、アミン類などの緩衝剤を添加
してもよい。鉱酸の水溶液を用いる場合の鉱酸の濃度は
好ましくは0.0005〜20規定、より好ましくは
0.001〜10規定、さらに好ましくは0.01〜5
規定、もっとも好ましくは0.01〜2規定である。前
記の鉱酸の濃度が0.0005規定よりも低いと所望の
効果が得られ難いため好ましくなく、また、鉱酸の濃度
が20規定より高いと酸化チタンの溶解が進み過ぎるた
め好ましくない。酸化チタン膜を液状のエッチング剤に
接触させた後、エッチング剤溶液を中和してもよい。こ
の中和により、エッチング剤溶液に存在するエッチング
されたチタン分を、酸化チタン膜の表面に再度析出させ
ることができる。
【0012】エッチング処理した酸化チタン膜は、必要
に応じてエッチング剤から分離し、洗浄したり、乾燥し
たりしてもよい。さらに、表面改質された酸化チタン膜
を加熱するのが好ましい実施態様である。特に、酸化チ
タン膜をフッ酸、あるいは、フッ化アンモニウム、酸性
フッ化アンモニウムなどのフッ酸の塩に接触させて、該
酸化チタン膜を表面改質した場合は、酸化チタン膜の表
面に結合したフッ素は加熱により容易に除去することが
でき、フッ素を除去した酸化チタン膜は水分や汚れ成分
などが付着していない、大変活性な膜となる。加熱の温
度は40〜1000℃の範囲が好ましく、200〜60
0℃の範囲がより好ましい。加熱は、空気、酸素、窒
素、水素、アルゴン、ヘリウム、水蒸気などのガス雰囲
気下で行うことができるが、含有水分量の低い乾燥した
ガスの雰囲気下で行うのがよい。この加熱により、酸化
チタン膜の表面をより一層改質することができる。たと
えば、酸化チタン膜の表面に存在する水酸基などを除去
することができる。このようにして、表面が改質された
酸化チタン膜が得られる。
【0013】このようにして得られた表面が改質された
酸化チタン膜に増感色素を吸着させてもよい。本発明に
おいて、増感色素とは、可視光領域および/または赤外
光領域に吸収を持つ色素である。この増感色素として
は、金属錯体や有機色素を用いることができる。金属錯
体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニ
ンなどの金属フタロシアニン、クロロフィルまたはその
誘導体、ヘミン、特開平1─220380号や特表平5
−504023号に記載のルテニウム、オスミウム、
鉄、および亜鉛の錯体が挙げられる。有機色素として
は、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メ
ロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメ
タン系色素を用いることができる。シアニン系色素とし
ては、具体的には、NK3422、NK3203、NK
1194(いずれも日本感光色素研究所製)が挙げられ
る。メロシアニン系色素としては、具体的には、NK2
426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所
製)が挙げられる。キサンテン系色素としては、具体的
には、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミ
ンB、ジブロムフルオレセインが挙げられる。トリフェ
ニルメタン系色素としては、具体的には、マラカイトグ
リーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。本発明
においては、前記の金属錯体が分光増感の効果や耐久性
に優れているため好ましい。また、増感色素の分子中に
カルボキシル基、ヒドロキシルアルキル基、ヒドロキシ
ル基、スルホン基、カルボキシアルキル基の官能基を有
するものが、酸化チタン膜への吸着が早いため好まし
い。本発明においては、これら増感色素の一種または二
種以上を用いることができる。
【0014】エッチング処理して得られた表面が改質さ
れた酸化チタン膜を増感色素に接触させて、酸化チタン
膜に増感色素を吸着させる。増感色素に接触させるに
は、表面が改質された酸化チタン膜を増感色素の溶液に
浸漬させたり、ガス状の増感色素を流したりして行うこ
とができる。本発明においては、エッチング処理した酸
化チタン膜を、増感色素を含有した液体に浸漬し、該液
体を加温すればより速やかに増感色素を吸着させること
ができる。前記の液体としては、使用する増感色素を溶
解するものであればよく、具体的には、水、アルコー
ル、トルエン、ジメチルホルムアミドを用いることがで
きる。加温する温度は、40℃から前記の液体の沸点ま
での範囲が好ましく、60℃から前記液体の沸点までの
範囲がより好ましく、(前記液体の沸点−10℃)から
前記液体の沸点の範囲が最も好ましい。この加温では、
還流下行うのが好ましい。加温の時間は適宜設定するこ
とができるが、2分〜48時間程度が適当である。この
ようにして得られた、増感色素を吸着させた酸化チタン
膜は、必要に応じて、増感色素の溶液から分離したり、
洗浄したり、乾燥あるいは蒸発乾固したりしてもよい。
【0015】次に、本発明は、前記の表面改質された酸
化チタン膜を電極として備え、さらに、対電極を備え、
それらの間に電解質を封入してなる光電変換素子であ
る。本発明において、光電変換素子とは、電極間の電気
化学反応を利用して、光エネルギーを電気エネルギーに
変換する素子である。この光電変換素子に光を照射する
と、表面改質された酸化チタン膜の電極で電子が発生
し、電極間に設けられた電線を通って対電極に移動す
る。対電極に移動した電子は、電解質中を陰イオンとし
て移動する。このようにして光エネルギーを電気エネル
ギーに変換することができる。さらに、電解質中に酸化
還元対を存在させると、対電極に移動した電子は、酸化
還元対を構成する酸化体を還元する。その結果生じた還
元体は、酸化チタン膜の電極で酸化されて再び酸化体に
戻る。このようにして、酸化還元対を存在させた光電変
換素子は光エネルギーを継続して電気エネルギーに変換
することができ、太陽電池として利用できる。光電変換
素子に用いられる酸化チタン膜の電極は、光エネルギー
の利用効率を高めるため、増感色素を吸着させた酸化チ
タン膜を用いるのが好ましい。対電極としては、透明性
導電膜をコートしたガラス板などを用いることができ
る。電解質としては、リチウムイオンなどの陽イオンや
塩素イオンなどの陰イオンなど種々の電解質を用いるこ
とができる。電解質中に存在させる酸化還元対として
は、ヨウ素−ヨウ素化合物、臭素−臭素化合物などの酸
化還元対を用いることができる。
【0016】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。 実施例1 硫酸チタニルを熱加水分解して酸化チタンゾルを得た。
この酸化チタンゾルをアンモニアで中和したのち、濾過
し、洗浄し、次いで、450℃の温度で焼成して酸化チ
タンを得た。なお、この酸化チタンの粒子径は15nm
であった。
【0017】前記の酸化チタンを水に懸濁させて得られ
た液を導電性ガラス上に塗布した後、450℃の温度で
焼成して酸化チタン膜を得た。なお、この酸化チタン膜
は、膜厚10μmであり、支持体1cm2 あたり、10
00cm2 の表面積を有していた。
【0018】得られた酸化チタン膜を、0.5規定のフ
ッ酸水溶液に15分間浸漬してエッチング処理した後、
水溶液から取り出し、洗浄して、表面が改質された酸化
チタン膜を得た。
【0019】この表面が改質された酸化チタン膜に増感
色素としてRu(II)(ビピリジン−ジカルボン酸)2
(イソチオシアン酸)2 で表されるルテニウム錯体を吸
着させて色素で増感された酸化チタン膜(試料A)を得
た。
【0020】実施例2 硫酸チタニルを熱加水分解して得られる酸化チタンゾル
のpHを硝酸で1.5に調節した後、オートクレーブに
入れ、180℃の温度で13時間水熱処理を行い粒子成
長させた酸化チタンゾルを得た。なお、この酸化チタン
の粒子径は16nmであった。次いで、得られたゾルを
アンモニアで中和した後、濾過し、洗浄した。この酸化
チタン湿ケーキを水に懸濁させて得られた液を導電性ガ
ラス上に塗布した後、600℃の温度で焼成して、酸化
チタン膜(試料1)を得た。
【0021】得られた酸化チタン膜を、0.1規定の塩
酸水溶液に浸漬した後、還流下、16時間エッチング処
理した後、水溶液から取り出し、洗浄して、表面が改質
された酸化チタン膜を得た。なお、この酸化チタン膜
は、膜厚11μmであり、支持体1cm2 あたり、10
00cm2 の表面積を有していた。
【0022】この表面が改質された酸化チタン膜に増感
色素としてRu(II)(ビピリジン−ジカルボン酸)2
(イソチオシアン酸)2 で表されるルテニウム錯体を吸
着させて色素で増感された酸化チタン膜(試料B)を得
た。
【0023】実施例3 実施例1で得られた酸化チタン膜を、0.5規定のフッ
酸水溶液に15分間浸漬してエッチング処理した後、水
溶液から取り出し、洗浄し、酸素雰囲気中、500℃で
1時間加熱して、表面が改質された酸化チタン膜を得
た。この表面が改質された酸化チタン膜を、Ru(II)
(ビピリジン−ジカルボン酸)2 (イソチオシアン酸)
2 で表されるルテニウム錯体増感色素のエタノール溶液
に浸漬させ、次いで、加温し、沸点の温度で加熱還流を
15分間した後、酸化チタン膜を引き上げて、色素で増
感された酸化チタン膜(試料C)を得た。
【0024】比較例1 実施例2の試料1を比較試料として用いた。この試料1
に、実施例2と同様に増感色素を吸着させて色素で増感
された酸化チタン膜(試料D)を得た。
【0025】実施例1の試料Aを用いた場合の増感色素
の吸着量は91μg/cm2 であった。また、実施例2
の試料Bを用いた場合の増感色素の吸着量は81μg/
cm2 であった。さらに、実施例3の試料Cを用いた場
合の増感色素の吸着量は110μg/cm2 であった。
一方、比較例1の試料Dを用いた場合の増感色素の吸着
量は65μg/cm2 であった。
【0026】次に、増感色素と酸化チタン膜の表面との
間の結合状態を調べるため、波数1200〜2200c
-1の範囲でIRスペクトルを正反射法により測定し
た。使用した増感色素は−COOHを有しており、この
官能基を介して酸化チタン膜に吸着しているものと考え
られる。いずれの試料でも、−COOHに由来するC=
O伸縮吸収帯とO−C−O逆対称伸縮吸収帯が観測され
た。しかしながら、実施例の試料(A〜C)は、C=O
伸縮吸収帯の強度がO−C−O逆対称伸縮吸収帯の強度
より強くなっていたが、比較例の試料Dは逆にO−C−
O逆対称伸縮吸収帯の強度が強くなっていた。このこと
から、実施例の試料では、エステル結合性が増大し、増
感色素と酸化チタン膜の表面との間の結合がより強固に
なっていると推察される。
【0027】以上のことから、本発明のエッチング処理
を施した酸化チタン膜は、比較例に比し、増感色素の吸
着量が増加し、しかも、増感色素の結合強度が強固にな
っていることから、酸化チタン膜の表面が改質され、表
面活性が向上していることがわかった。さらに、エッチ
ング処理を施した後加熱をすると、より一層表面活性が
向上することがわかった。これらのことから、本発明の
酸化チタン膜は、表面での反応性が重要な触媒、光触
媒、触媒担体、吸着材または光電変換素子として有用で
あることがわかった。
【0028】次に、前記実施例および比較例で得られた
試料(A、B、CおよびD)の各々と対電極用透明導電
性ガラスとを重ね合わせ、その間にヨウ素−ヨウ化物イ
オンを酸化還元対とする電解液を入れ、これらの側面を
樹脂で封入した後、リード線を取り付けて、光電変換素
子を得た。前記の光電変換素子に、AM1.5の波長分
布で、照射強度100W/m2 の光を照射して、電流−
電圧特性を測定した。
【0029】実施例1の試料Aを用いた場合は、短絡電
流が1.42mA/cm2 であり、変換効率が6.3%
であった。また、実施例2の試料Bを用いた場合は、短
絡電流が1.35mA/cm2 であり、変換効率が5.
4%であった。さらに、実施例3の試料Cを用いた場合
は、短絡電流が1.51mA/cm2 であり、変換効率
が6.3%であった。これに対して、比較例1の試料D
を用いた場合は、短絡電流が1.18mA/cm2 であ
り、変換効率が4.6%であった。
【0030】さらに、前記の光電変換素子に、波長53
0nmの単色光を強度が約20mW/cm2 となるよう
に照射して、その際、光電変換素子から発せられるフォ
トルミネッセンスの強度を測定した。この測定では、発
せられたフォトルミネッセンスをダブルモノクロメータ
で波長600nmから1000nmの範囲で分光し、そ
の光強度を光電子倍増管により検出した。実施例の試料
を用いた場合のフォトルミネッセンス強度は、比較例1
の試料Dを用いた場合の半分以下であった。フォトルミ
ネッセンスは、増感色素が光を吸収して励起した際に生
じる電子が酸化チタン膜に注入されなかった場合に、失
活する過程で発せられる。このことから、実施例の試料
を用いた光電変換素子のほうが、比較例1の試料を用い
たものより、増感に有効な色素の割合が多いことがわか
った。
【0031】以上のことから、本発明のエッチング処理
した後増感色素を吸着させた酸化チタン膜は、比較例に
比し、有効に増感に寄与する増感色素の吸着量が増し、
それを電極として用いると光電変換特性が向上すること
から、太陽電池などの光電変換素子、光化学電池、電気
化学電極などの電極として有用であることがわかった。
また、本発明の、表面改質された酸化チタン膜を電極と
して用いてなる光電変換素子は、優れた電流−電圧特性
を有することから、太陽電池などの光電変換素子として
有用であることがわかった。
【0032】
【発明の効果】本発明は、酸化チタン膜をエッチング剤
に接触させて、該酸化チタン膜の表面をエッチングして
なることを特徴とする表面改質された酸化チタン膜であ
って、紫外線吸収材、光学材料、電気・電子材料、光電
変換材料、装飾用材料、触媒、光触媒、触媒担体、吸着
材、バイオリアクターなどに有用なものであり、工業用
途に限らず、一般家庭用としても種々の用途に適用する
ことができるなど有用なものである。また、本発明は、
表面改質された酸化チタン膜の製造方法であって、優れ
た特性を有する酸化チタン膜を簡便に製造することがで
きるなど有用な方法である。さらに、本発明は、表面改
質された酸化チタン膜を電極として用いてなる光電変換
素子であって、優れた光電変換特性を有し、しかも、廉
価に製造できることなどから、太陽電池などに有用なも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 31/04 H01L 31/04 Z (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01G 1/00 - 57/00 H01M 14/00 H01L 31/00 - 31/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体1cm あたりの表面積が10〜1
    0000cm である酸化チタン膜をエッチング剤に接
    触させて、該酸化チタン膜の表面をエッチングしてなる
    ことを特徴とする表面改質された酸化チタン膜。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のエッチング処理された酸
    化チタン膜の表面に、さらに増感色素を吸着してなるこ
    とを特徴とする表面改質された酸化チタン膜。
  3. 【請求項3】酸化チタン膜をエッチング剤に接触させ
    て、該酸化チタン膜の表面をエッチングし、次いで、得
    られた酸化チタン膜を加熱することを特徴とする表面改
    質された酸化チタン膜の製造方法。
  4. 【請求項4】酸化チタン膜をエッチング剤に接触させ
    て、該酸化チタン膜の表面をエッチングし、次いで、得
    られた酸化チタン膜を増感色素を含有した液体に浸漬
    し、該液体を加温して、該酸化チタン膜の表面に増感色
    素を吸着させることを特徴とする表面改質された酸化チ
    タン膜の製造方法。
  5. 【請求項5】酸化チタン膜をエッチング剤に接触させ
    て、該酸化チタン膜の表面をエッチングし、次いで、得
    られた酸化チタン膜を加熱し、さらに、得られた酸化チ
    タン膜を増感色素を含有した液体に浸漬し、該液体を加
    温して、該酸化チタン膜の表面に増感色素を吸着させる
    ことを特徴とする表面改質された酸化チタン膜の製造方
    法。
  6. 【請求項6】請求項1または2に記載の、または、請求
    ないしのいずれか1項に記載の製造方法によって
    得られる表面改質された酸化チタン膜を電極として備
    え、さらに、対電極を備え、それらの間に電解質を封入
    してなることを特徴とする光電変換素子。
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